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JP7712134B2 - 医療情報処理方法、医療情報処理装置およびプログラム - Google Patents
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JP7712134B2 - 医療情報処理方法、医療情報処理装置およびプログラム - Google Patents

医療情報処理方法、医療情報処理装置およびプログラム

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Description

本開示は、医療情報処理方法、医療情報処理装置およびプログラムに関する。
近年、人工知能の医療分野への適用が進められている。例えば、カルテのデータとカルテ作成前の患者のバイタルデータ等を含む診療情報との組を複数含んだ学習用データセットを生成し、該学習用データセットを用いて機械学習を行い、学習済みモデルを生成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、バイタルデータ等の診療情報を入力として、カルテに記載されるイベントの発生を予測することができる。このような装置は、患者の予後の予測を行い医師の治療計画の立案等の支援を行うこと等に利用することができる。
特開2021-86558号公報
医療機関の医療情報システムに蓄積された後ろ向きの医療データを用いて機械学習を行う場合、電子カルテ等のカルテの情報は、イベントの発生などの予測対象の情報の日付情報しか含まず、詳細な時刻の情報を含んでいないことが多い。例えば、透析移行および呼吸器の導入/離脱等のデータは、レセプトデータとして診療報酬の請求のために電子カルテに記録がなされている場合、日付の情報は含まれるが、時刻の情報までは含まれていないことが多い。また、死亡の記録は、死亡した日付の情報を含むが、時刻情報は含まれないことが多い。
一方、患者の状態は、特に重篤な患者を擁するICU(Intensive Care Unit)等では、急変することがある。このため、患者の状態の変化を予測し管理するためには、日単位よりも高い時間分解能での予測が必要となる。しかし、電子カルテに蓄積された日単位のイベント情報を目的変数として生成された学習済みモデルを用いてイベントの発生の予測を行っても、時間分解能が低い予測しか行うことができず、患者の診療に利用するには不十分となることが懸念される。
したがって、これらの点に着目してなされた本開示の目的は、電子カルテ等の医療情報システムに登録された情報に含まれる時間の情報よりも、高い時間分解能で患者のイベント発生を予測するための機械学習用のデータを生成することにある。
本開示の一態様としての医療情報処理方法は、コンピュータにより実行される医療情報処理方法であって、医療情報システムに登録された患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、前記イベントの発生時間を示す第1の時間情報を含むイベント情報を取得し、前記患者IDおよび前記第1の時間情報を用いて、前記患者に係る前記第1の時間情報よりも高い時間分解能を有する第2の時間情報を含む該第1の診療情報を取得し、前記第1の診療情報に基づいて、前記第1の時間情報よりも高い時間分解能で前記イベントの前記発生時間を推定する、というものである。
一実施形態として、前記第1の診療情報は、前記患者のバイタルデータを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、前記バイタルデータの所定のデータ項目のデータの値が所定の変化をしたときの前記第2の時間情報に基づいて、前記イベントの前記発生時間を推定することを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、前記バイタルデータの取得されたデータ項目が変更されたときの前記第2の時間情報に基づいて、前記イベントの前記発生時間を推定することを含む。
一実施形態として、前記第1の診療情報は、前記患者に対して行った薬剤の投与の情報を示す薬剤投与データを含む。
一実施形態として、前記第1の診療情報は、前記患者に対して行った検査の結果を示す検査値データを含む。
一実施形態として、前記第1の診療情報は、前記第2の時間情報による時系列で生成される時系列データを含み、前記医療情報処理方法は、前記時系列データの生成される時間間隔の変化に基づいて、前記イベントの前記発生時間を推定することを含む。
一実施形態として、前記第1の診療情報は、電子カルテまたは他の医療システムに入力されたテキストデータと該テキストデータが入力されたときの前記第2の時間情報とを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、2種類以上の前記第1の診療情報の組み合わせに基づいて、前記イベントの前記発生時間を推定することを含む。
一実施形態として、前記イベントは前記第1の診療情報に含まれる1つ以上の特定のデータ項目に対応付けられる特定のイベントを含み、前記医療情報処理方法は、前記特定のデータ項目のみに基づいて、前記特定のイベントの前記発生時間を推定することを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、前記第1の診療情報を入力とし、前記イベントの前記発生時間を出力とする第1の学習済みモデルを用いて、前記イベントの前記発生時間を推定することを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、前記イベントを第1のイベントとし、前記第1のイベントと前記推定した前記発生時間とを含む情報を第1のイベント情報とし、該第1のイベント情報を前記第1の診療情報として使用し、前記第1のイベントとは異なる第2のイベントの発生時間を推定することを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、前記イベントの発生を予測する機械学習モデルの入力データとして使用される第2の診療情報を取得し、該第2の診療情報と、推定された前記イベントの前記発生時間とを対応付けることを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、前記第2の診療情報に前記イベントの前記発生時間を示す情報を付加することにより、前記第2の診療情報と前記イベントの前記発生時刻とを対応付けることを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、複数の患者についての前記イベント情報と、該イベントの前記発生時間と対応付けられた前記第2の診療情報とを教師データとし、前記教師データを用いて、前記第2の診療情報を入力とし前記イベント情報を出力とする第2の学習済みモデルを生成することを含む。
一実施形態として、前記医療情報処理方法は、特定の患者の第3の診療情報を取得し、前記第2の学習済みモデルに前記第3の診療情報を入力して、前記特定の患者に係る前記イベントの発生を予測することを含む。
一実施形態として、前記医療情報システムは、電子カルテシステムである。
本開示の一態様としての医療情報処理装置は、医療情報システムに登録された患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、前記イベントの発生時間を示す第1の時間情報を含むイベント情報を取得し、前記患者IDおよび前記第1の時間情報を用いて、前記患者に係る前記第1の時間情報よりも高い時間分解能を有する第2の時間情報を含む第1の診療情報を取得し、前記第1の診療情報に基づいて、前記第1の時間情報よりも高い時間分解能で前記イベントの前記発生時間を推定する制御部を含む。
本開示の一態様としてのプログラムは、医療情報システムに登録された患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、前記イベントの発生時間を示す第1の時間情報を含むイベント情報を取得し、前記患者IDおよび前記第1の時間情報を用いて、前記患者に係る前記第1の時間情報よりも高い時間分解能を有する第2の時間情報を含む第1の診療情報を取得し、前記第1の診療情報に基づいて、前記第1の時間情報よりも高い時間分解能で前記イベントの前記発生時間を推定する処理を、コンピュータに実行させる。
本開示の医療情報処理方法、医療情報処理装置およびプログラムは、医療情報システムに登録された第1の時間情報よりも高い時間分解能を有する第2の時間情報を含む第1の診療情報に基づいて、イベントの発生時間を推定するようにした。これにより、本開示によれば、医療情報システムに登録された情報に含まれる時間の情報よりも、高い時間分解能で患者のイベント発生を予測するための機械学習用のデータを生成することができる。
一実施形態に係る医療情報処理装置を含む医療機関内システムの概略構成を示す図である。 図1の医療情報処理装置の概略構成の一例を示すブロック図である。 図1の医療機関内システムにおける、機械学習の全体的なプロセスを示す図である。 図1の医療情報処理装置の制御部が実行する処理のフローチャートである。 図4におけるイベント発生時刻の推定処理を示すフローチャートである。 第1の診療情報の抽出順序の一例を示す図である。 人工呼吸の導入時刻を推定する方法の一例を説明する図である。 第1の診療情報とイベント発生時刻との対応付けの一例を示す図である。 イベントと第1の診療情報との対応関係の一例を示す図である。 死亡の時刻を推定する方法の一例を説明する図である。 医療機関内外に装置が分散配置される実施形態の一例を示す概略構成図である。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
(医療機関内システムの構成)
本開示の一実施形態に係る医療情報処理装置11は、図1に示すように医療機関内システム10に含まれる。医療機関内システム10は、医療機関内の医療情報システムに登録されるイベント情報を出力(目的変数)とし診療情報を入力(説明変数)として機械学習を行うことにより、診療情報から患者に発生するイベントを予測するシステムを含む。医療情報システムとは、患者の情報を取り扱うすべての機器やシステムである。医療情報システムは、例えば、医療機関等のレセプト作成用コンピュータ、電子カルテシステム、および、オーダリングシステム等の医療事務や診療を支援するシステム、ならびに、何らかの形で患者の情報を保有するコンピュータを含む。以下では、医療情報システムを電子カルテシステムとして説明する。
本願において、イベントは患者に生じた大きな状態の変化を意味する。イベントは、医師による診断を伴う情報、および/または、医師による処置の情報である。電子カルテに登録されるイベントは、患者の合併症の発症、死亡、敗血症やその他感染症の発症、ショック、患者に対する処置の実行等を含む。合併症には、脳梗塞、頭蓋内出血、心筋梗塞、尿崩症、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、腎機能障害および肝機能障害等を含む。患者に対する処置には、透析導入ならびに呼吸器の導入および離脱等を含む。
診療情報は、患者の診療に関するデータである。診療情報は、電子カルテのデータ、患者のバイタルデータ、薬剤投与データ、検査値データ、および、患者の診療に関する他のデータを含む。バイタルデータは、血圧、呼吸数、心拍数、体温、動脈血酸素飽和度(SpO)、および、尿量等の測定項目を含む。バイタルデータは、時刻情報としてバイタルデータを測定した時刻の情報を含む。薬剤投与データは、患者に投与した薬剤の識別情報および投与量の情報を含む。薬剤投与データは、時刻情報として薬剤を投与した時刻の情報を含む。検査値データは、血液検査、心電図検査および胸部X線検査等を含む種々の検査により取得された種々の検査項目の検査結果を示すデータを含む。検査値データは、時刻情報として検査を行った時刻の情報を含む。以下において、診療情報に含まれるバイタルデータの個々の測定項目、薬剤投与データの各薬剤および検査値データの各検査項目を、データ項目と呼ぶ。診療情報のデータ項目は、診療情報の変数と言い換えることができる。
医療機関内システム10は、例えば、医療情報処理装置11に加え、学習装置12、予測装置13、電子カルテシステム14、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16、検査値データ管理サーバ17、および、情報端末18を含む。それぞれの装置は、ネットワーク19により、通信可能に相互に接続されたコンピュータである。ネットワーク19は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、および、無線LANを用いることができる。コンピュータは、PC(personal computer)、PCサーバ、ワークステーション、汎用コンピュータ、および、その他のコンピュータを含む。
医療情報処理装置11は、電子カルテシステム14からイベント情報を収集可能に構成される。イベント情報は、患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、イベントの発生日の日付情報を含む。日付情報は、本開示の第1の時間情報である。また、医療情報処理装置11は、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16、および、検査値データ管理サーバ17から、イベント情報に対応する患者のイベント発生日の第1の診療情報を時刻情報とともに取得可能に構成される。時刻情報は、本開示の第2の時間情報である。第1の診療情報は、イベントの発生時刻の推定に使用される診療情報である。イベントの発生時刻は、イベントの発生時間の情報であって、日付情報よりも高い時間分解能を有する。医療情報処理装置11はイベント発生日の日付情報により、診療情報に含まれる時刻情報を検索してイベントの発生日の情報を含む第1の診療情報を取得してよい。医療情報処理装置11は、取得した第1の診療情報に基づいて、イベントの発生時刻を日単位よりも高い時間分解能で推定することができる。医療情報処理装置11は、第2の診療情報と推定したイベントの発生時刻とを対応付ける。第2の診療情報は、機械学習の入力データに使用される診療情報である。医療情報処理装置11は、データの収集および加工等を担当するオペレータにより操作されてよい。
第1の診療情報および第2の診療情報は、それぞれ一つ以上のデータ項目のデータを含む。第1の診療情報と第2の診療情報とは、同一の情報であってもよく、一部が重複し他の一部が異なる情報であってもよい。また、第1の診療情報と第2の診療情報とは全く異なっていてもよい。第1の診療情報としては、特定のイベントの発生時刻を特定するために、イベントに直接関連しイベントの前後で変化するデータ項目のデータが優先的に選択される。一方、第2の診療情報としては、イベントの発生に対して因果関係が推定されるデータ項目のデータが優先的に選択される。例えば、第1の診療情報として、イベントの発生日の情報を含むバイタルデータに含まれるデータ項目のデータが選択され、第2の診療情報として患者への薬剤投与データに含まれるデータ項目のデータが選択されてよい。第2の診療情報は、電子カルテに記載される医師による治療および処置のデータを含んでよい。
学習装置12は、多数の患者についての多数のイベント情報と、それぞれのイベントの発生時刻と対応付けられた第2の診療情報とを教師データとし、この教師データを用いて機械学習を行うことにより、学習済みモデル(第2の学習済みモデル)を生成する。イベント情報は、機械学習の目的変数であり、第2の診療情報は機械学習の説明変数である。学習装置12は、生成した学習済みモデルを予測装置13に引き渡す。
予測装置13は、学習装置12により生成された学習済みモデルを用いて、患者に発生するイベントを予測する。言い換えれば、予測装置13は、患者の予後を予測する。予測装置13は、予測の対象となる特定の患者の第3の診療情報を取得する。第3の診療情報は第2の診療情報と同じデータ項目(変数)の診療情報を含む。予測装置13は、学習装置12により生成された学習済みモデルに、取得した第3の診療情報を入力して、予測されるイベントとその発生時刻を含むイベントの情報を出力する。
医療情報処理装置11、学習装置12および予測装置13の機能は、別々のハードウェア上ではなく、同一のハードウェア上に実装されてよい。例えば、医療情報処理装置11、学習装置12および予測装置13の機能は、全て単一のコンピュータにより実現されてよい。また、例えば、医療情報処理装置11と学習装置12との機能は、予測装置13とは別の機械学習の学習フェーズを実行する単一のコンピュータにより実現されてよい。
電子カルテシステム14は、医療機関内で使用される電子カルテのデータを管理する。電子カルテシステム14は、医療情報システムに含まれる。電子カルテには、医師または看護師により患者のイベントの情報が入力される。電子カルテシステム14に入力されるイベントの情報は、イベントの発生した日付情報を含むが、日付よりも細かい時刻情報は必ずしも含んでいない。電子カルテシステム14には、患者の診療情報の一部が入力されていてよい。電子カルテシステム14には、医師がテキストにより入力した診察の所見、薬剤の処方および処置の内容等が、時刻情報とともに記録されてよい。
電子カルテシステム以外の他の医療システムにも、医師または看護師により入力されたテキストのコメントが含まれることがある。例えば、他の医療システムとしては、CT(Computed Tomography)またはMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の画像を管理するシステムが含まれる。これらの医療システムに入力されたコメントも、システムによって記入した時刻情報とともに登録されている場合がある。医療情報処理装置11は、これら他の医療システムから情報を取得可能に構成されてよい。
バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16、および、検査値データ管理サーバ17は、それぞれ、各患者のバイタルデータ、薬剤投与データ、検査値データを管理する。バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16、および、検査値データ管理サーバ17は、データベース管理システムを搭載した、データベースとして構成されてよい。
バイタルデータ、薬剤投与データおよび検査値データは、図1のようにそれぞれ異なるサーバ機器ではなく、単一のサーバにより管理されてよい。また、バイタルデータ、薬剤投与データおよび検査値データは、種々の組合せで異なる複数のハードウェアによって管理されてよい。診療情報は、ここに挙げた分類とは異なる方法で分類され、管理されてよい。バイタルデータ、薬剤投与データおよび検査値データの少なくとも一部は、電子カルテシステム14により記憶され管理されてよい。
情報端末18は、診察室等で医師または看護師等の医療従事者が使用する端末である。情報端末18は、例えば、PCを用いることができる。情報端末18は、電子カルテシステム14により管理される電子カルテの内容を表示、付加および変更をすることができる。情報端末18は、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16、および、検査値データ管理サーバ17により管理されるデータを表示することができる。情報端末18は、予測装置13に対して患者のイベント発生の予測の指示を送信し、予測装置13が予測した結果を取得することができる。
(医療情報処理装置の構成)
医療情報処理装置11は、図2に示すように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、出力部25とを備える。なお、学習装置12、予測装置13、電子カルテシステム14、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16および検査値データ管理サーバ17は、医療情報処理装置11と同様に、制御部、記憶部、通信部、入力部および出力部を含んで構成されてよい。
制御部21は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、CPU(central processing unit)などの汎用プロセッサ、または、特定の処理に特化した専用のプロセッサを含む。制御部21は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、デジタル信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、プログラマブルロジックデバイス(PLD;Programmable Logic Device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)、または、これらの任意の組合せを含んでよい。制御部21は、プロセッサに内蔵されるメモリまたはプロセッサとは独立したメモリを含んでよい。制御部21は、医療情報処理装置11の各部を制御しながら、医療情報処理装置11の動作に関わる処理を実行する。
記憶部22は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ、またはこれらの任意の組合せを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(random access memory)またはROM(read only memory)である。RAMは、例えば、SRAM(static random access memory)またはDRAM(dynamic random access memory)である。ROMは、例えば、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)である。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、またはキャッシュメモリとして機能する。記憶部22には、医療情報処理装置11の動作に用いられるデータと、医療情報処理装置11の動作によって得られたデータとが記憶される。
通信部23は、少なくとも1つの通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェース、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th generation)規格、若しくは5G(5th generation)規格などの移動通信規格に対応したインタフェース、またはBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信規格に対応したインタフェースである。通信部23は、医療情報処理装置11の動作に用いられるデータを受信し、また医療情報処理装置11の動作によって得られるデータを送信する。医療情報処理装置11は、電子カルテ(医療情報システム)に含まれるイベント情報と、バイタルデータ、薬剤投与データおよび検査値データを含む第1の診療情報とを、通信部23を介して取得することができる。
入力部24は、少なくとも1つの入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、カメラなどの撮像機器、またはマイクロフォンである。入力部24は、医療情報処理装置11の動作に用いられるデータを入力する操作を受け付ける。入力部24は、イベント情報および第1の診療情報に対するオペレータによる操作を受け付ける。入力部24は、医療情報処理装置11に備えられる代わりに、外部の入力機器として医療情報処理装置11に接続されてもよい。
出力部25は、少なくとも1つの出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイまたはスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD(liquid crystal display)または有機EL(electro luminescence)ディスプレイである。出力部25は、医療情報処理装置11の動作によって得られるデータを出力する。出力部25は、医療情報処理装置11に備えられる代わりに、外部の出力機器として医療情報処理装置11に接続されてもよい。
医療情報処理装置11の機能は、本実施形態に係るプログラムを、制御部21としてのプロセッサで実行することにより実現される。すなわち、医療情報処理装置11の機能は、ソフトウェアにより実現される。プログラムは、医療情報処理装置11の動作をコンピュータに実行させることで、コンピュータを医療情報処理装置11として機能させる。すなわち、コンピュータは、プログラムに従って医療情報処理装置11の動作を実行することにより医療情報処理装置11として機能する。
プログラムは、非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体に記憶しておくことができる。非一時的なコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、フラッシュメモリ、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、またはROMである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記憶したSD(Secure Digital)カード、DVD(digital versatile disc)、またはCD-ROM(compact disc read only memory)などの可搬型媒体を販売、譲渡、または貸与することによって行う。プログラムをサーバのストレージに格納しておき、サーバから他のコンピュータにプログラムを転送することにより、プログラムを流通させてもよい。プログラムをプログラムプロダクトとして提供してもよい。
コンピュータは、例えば、可搬型媒体に記憶されたプログラムまたはサーバから転送されたプログラムを、一旦、主記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、主記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサで読み取り、読み取ったプログラムに従った処理をプロセッサで実行する。コンピュータは、可搬型媒体から直接プログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行してもよい。コンピュータは、コンピュータにサーバからプログラムが転送される度に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行してもよい。サーバからコンピュータへのプログラムの転送は行わず、実行指示および結果取得のみによって機能を実現する、いわゆるASP(application service provider)型のサービスによって処理を実行してもよい。プログラムは、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるものを含む。例えば、コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータは、「プログラムに準ずるもの」に該当する。
医療情報処理装置11の一部または全ての機能が、制御部21としてのプログラマブル回路または専用回路により実現されてもよい。すなわち、医療情報処理装置11の一部または全ての機能が、ハードウェアにより実現されてもよい。
(機械学習の全体プロセス)
図3を参照して、医療機関内システム10において実行される機械学習のプロセスを説明する。機械学習のプロセスは、学習時のフローと予測時のフローとを含む。
学習時のフローは、「データ収集」、「前処理」、「対応付け」、「特徴抽出」、「学習」、「モデル出力」、および、「評価」の各工程を含む。
「データ収集」は、電子カルテシステム14からイベント情報を収集する工程、および、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16および検査値データ管理サーバ17から、診療情報を収集する工程を含む。診療情報は、第1の診療情報および/または第2の診療情報に使用される。オペレータは、医療情報処理装置11を用いてこれらの情報を収集することができる。
「前処理」は、収集したイベント情報および診療情報を、機械学習をしやすいように整理する工程である。「前処理」は、データのクレンジング、データの統合およびデータの変換を含む。これらの前処理の工程は、機械学習の分野において公知なので、説明を省略する。医療情報処理装置11は、オペレータが実行する前処理を支援するソフトウェアを含んでよい。
「対応付け」は、診療情報に基づいてイベントの発生時刻を日単位よりも高い時間分解能で推定し、診療情報と推定されたイベントの発生時刻とを対応付ける工程である。「対応付け」は、本開示の医療情報処理装置11の行う医療情報処理方法の特徴となる処理である。イベントの発生時刻の推定は、全体の診療情報から抽出した第1の診療情報に基づいて実行される。診療情報とイベントの発生時刻との対応付けは、例えば、各装置から収集した診療情報中にイベントの発生を示すフラグ領域を設け、イベント発生時刻の当該フラグ領域を所定の値にすること等により行うことができる。また、「対応付け」は、イベント情報に時刻の情報を付加することにより行ってもよい。「対応付け」は、ラベリングと言い換えることができる。
「特徴抽出」は、診療情報のデータの中から機械学習に必要な第2の診療情報を抽出し、機械学習の入力となる第2の診療情報を決定する工程である。第2の診療情報の抽出は、イベントの発生に影響を与えると推定される診療情報のデータ項目を抽出することによって行う。「特徴抽出」は、学習装置12を用いてオペレータが実行してよい。特徴抽出は、オペレータによらず、対応付けされたイベント情報および診療情報に基づいて学習装置12が自動的に実行してもよい。
「学習」は、イベント情報を目的変数とし、全体の診療情報から抽出された第2の診療情報を説明変数とする教師データを用いて機械学習を実行し、学習済みモデルを生成する工程である。機械学習には、リカレントニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、ランダムフォレスト、勾配ブースティング、または、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)等の手法を用いることができる。「学習」は、学習装置12により実行される。学習装置12は、「特徴抽出」と「学習」とを同時に実行してよい。
「モデル出力」は、予測時のフローのために学習済みモデルを出力する工程である。学習装置12は、学習済みモデルを予測装置13に対してネットワーク19を介して送信してよい。
「評価」は、学習済みモデルを評価する工程である。学習装置12は、特徴抽出で抽出したデータの一部をテストデータとして、学習済みモデルの予測精度を評価する。予測精度が低い場合、学習装置12は、「特徴抽出」に戻って機械学習に使用するデータ項目を変更してよい。予測精度が低い場合、学習装置12は、「前処理」または「対応付け」の処理に戻ってもよい。
予測時のフローは、「入力」、「特徴抽出」、「予測」、および、「結果出力」の各工程を含む。予測時の処理は、医師、看護師または専門のオペレータが端末装置から、予測装置13に対して指示を送信することによって起動されてよい。
「入力」は、予測しようとする患者の診療情報を取得する工程である。予測装置13は、情報端末18から患者に関するイベントの発生を予測する指示を受けると、その患者の診療情報を、電子カルテシステム14、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16、および、検査値データ管理サーバ17等から取得する。
「特徴抽出」は、患者の診療情報から、予測に使用する第3の診療情報のデータを抽出する工程である。予測装置13は、学習フェーズにおける「特徴抽出」で抽出された第2の診療情報と同じデータ項目のデータを、入力された診療情報から学習済みモデルへの入力データとして抽出する。あるいは、第3の診療情報の一部として、処置または投薬の効果等を予測するために、未だ実行されていない処置または投薬等の情報が情報端末18から入力されてもよい。
「予測」は、第3の診療情報を入力データとして学習フェーズで生成された学習済みモデルに入力して、イベント発生の予測を行う工程である。予測装置13は、「予測」を実行する。
「結果出力」において、予測装置13は、予測結果を出力する。予測装置13は、予測されるイベントと、当該イベントの予測される発生時刻とを出力する。予測装置13は、医師の操作する情報端末18の表示装置に対して予測結果の出力を行ってよい。医師は、予測結果に基づいて、診療方針を検討することができる。
(医療情報処理装置の処理フロー)
以下に、図4および図5を参照して、医療情報処理装置11の実行する処理のうち、本開示の特徴である「対応付け」に関連する処理内容について説明する。図4および図5のフローチャートの処理は、オペレータが医療情報処理装置11の入力部24および出力部25を用いて、医療情報処理装置11を操作しながら実行してよい。また、図4および図5のフローチャートの処理は、部分的に自動化されてよく、または、全自動化されてよい。
まず、医療情報処理装置11の制御部21は、電子カルテシステム14から、患者の電子カルテ(医療情報システム)に登録された患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、イベントの発生日の日付情報を含むイベント情報を取得する(ステップS101)。制御部21は、取得したイベント情報を記憶部22に記憶してよい。この処理は、図3の「データ収集」の工程で実行されてよい。
次に、制御部21は、患者IDと日付情報とを用いて、上記イベントに関連する第1の診療情報を取得する(ステップS102)。制御部21は、患者IDおよび日付情報を検索条件に用いて、診療情報を検索することができる。制御部21は、全体の診療情報から、時刻情報に含まれる日付の情報が患者のイベント情報に含まれる日付情報と一致している診療情報を取得してよい。例えば、取得される第1の診療情報は、患者にイベントが発生した日の当該患者の時系列のバイタルデータ、薬剤投与データまたは検査値データを含む。制御部21は、取得した第1の診療情報を記憶部22に記憶してよい。医療情報処理装置11は、図3の「データ収集」の工程で取得した診療情報を検索して、第1の診療情報を取得してよい。あるいは、医療情報処理装置11は、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16および検査値データ管理サーバ17を直接検索して、第1の診療情報を取得してよい。
次に、制御部21は、それぞれのイベント情報と第1の診療情報との組について、第1の診療情報に基づいてイベントの発生時刻を推定する(ステップS103)。すなわち、イベント情報には、イベントの発生した日付の情報のみが含まれる場合が多いが、制御部21は、第1の診療情報を用いることによってイベントが発生した時刻を、日付よりも高い時間分解能で推定する。
医療情報処理装置11におけるイベントの発生時刻の推定方法を、図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御部21は、イベントの内容に基づいて、イベントに関連する、または、イベントに対する関連性が高いと推定される第1の診療情報を抽出する(ステップS201)。例えば、制御部21は、イベントの発生した日付の時系列のバイタルデータを取得する。バイタルデータは、イベントの発生時刻を推定するうえで利用できる最も優先度の高い情報と考えられる。
次に、制御部21は、抽出した第1の診療情報から特定の変化を抽出する(ステップS202)。特定の変化には、イベントに対応した特定のデータ項目のデータの値の変化、データの取得頻度の変化、および、データ項目の変化が含まれる。
特定のデータ項目のデータの値の変化は、診療情報に含まれる特定のデータ項目のデータの値が、異常値となる場合、急上昇する場合、および、急下降する場合等を含む。例えば、診療情報がバイタルデータの場合、特定のデータ項目のデータの値の変化は、患者の血圧、心拍数、または、体温等が正常値の範囲を超えること、および、正常値の範囲を下回ることを含む。第1の診療情報が、薬剤投与データの場合、特定のデータ項目のデータの値の変化は、特定の薬剤の投与量が増加したこと等を含む。
データの取得頻度の変化は、データが取得された時間間隔の変化を含む。例えば、データの取得頻度の変化には、バイタルデータの測定頻度の変化含む。例えば、容態が安定した患者であれば、バイタルデータは2時間から3時間おきに測定されることがある。これに対し、患者の容態が悪化した場合、バイタルデータは、より短い間隔で測定されることがある。したがって、バイタルデータの測定された時間間隔が短くなったことから、イベントが発生したことを推定することができる。
データ項目の変化は、取得していなかったデータ項目のデータが取得されるようになったことを含む。例えば、呼気終末二酸化炭素分圧(EtCO)は、患者が換気を行えているかを評価する指標である。EtCOを測定するEtCOモニターは、人工呼吸器管理下の患者の呼吸状態を管理するために使用される。したがって、バイタルデータのデータ項目としてEtCOが取得されるようになったタイミングは、人工呼吸器が導入されたタイミングであると推定される。
制御部21は、ステップS202において第1の診療情報から特定の変化を抽出した場合、当該特定の変化が発生した時刻の情報を取得する(ステップS203)。
制御部21は、取得した特定の変化の発生時刻の情報から、イベントが発生した時刻を推定する(ステップS204)。いくつかのイベントにおいて、ステップS203で取得した特定の変化の発生時刻は、イベントが発生した時刻に等しいと推定される。また、他のいくつかのイベントでは、ステップS203で取得した特定の変化の発生時刻から、イベントの発生した時刻までの間に、タイムラグがあることを考慮してイベントの発生時刻が推定される。
ステップS204でイベントの発生時刻が推定できた場合(ステップS205:Yes)、制御部21は図4のフローチャートに戻り、処理を継続する。ステップS204でイベントの発生時刻が推定できなかった場合(ステップS205:No)、制御部21は、イベントに関連する可能性が高いと推定される他の第1の診療情報を抽出して(ステップS206)、ステップS202以降の処理を繰り返す。
例えば、図6に示すように、制御部21は、初めにバイタルデータを取得してよい。バイタルデータのみでイベントの発生時刻を推定できない場合、制御部21は、他の第1の診療情報として、順次、薬剤投与データ、検査値データ、および、その他のデータを取得し、ステップS202からS205の処理を実行してよい。しかし、第1の診療情報を取得する順序はこの順序に限られない。記憶部22は、イベントに応じて最適化された第1の診療情報の取得順序を記憶し、制御部21は、この順序に基づいて第1の診療情報を取得してよい。
図6のその他のデータは、例えば、電子カルテまたは他の医療情報システムに含まれる医師の所見、処方および処置等を示すテキストデータと、その入力時刻の情報を含んでよい。制御部21は、テキストマイニング技術を用いて、電子カルテに含まれるテキスト情報からイベントと関連性の高い情報を取得し、当該テキストの入力時刻からイベントの発生時刻を推定してよい。
制御部21は、イベントの発生時刻を、バイタルデータ、薬剤投与データ、検査値データおよびその他のデータに含まれるデータのうちの少なくとも2種類以上の組み合わせに基づいて推定してよい。
制御部21は、図5のステップS205でイベントの発生時刻を推定した後、図4に示すように第2の診療情報とイベントの発生時刻との対応付けを行う(ステップS104)。例えば、制御部21は、時系列の第2の診療情報のうちイベントの発生時刻のデータに対して、イベントの発生を示すフラグを付与することにより、第2の診療情報とイベントの発生時刻とを対応付けることができる。あるいは、制御部21は、イベント情報そのものに時刻情報を付与し、第2の診療情報と間接的に対応付けることができる。後段の学習のプロセスにおいて入力(説明変数)として使用される複数の第2の診療情報中のデータが、イベント情報(目的変数)と対応付けられてよい。
(イベント発生時刻の推定および対応付けの具体例)
図7を参照して、イベント発生時刻の推定方法および第2の診療情報との対応付けの一例を説明する。医療情報処理装置11の制御部21は、電子カルテ(医療情報システム)の情報から、患者に発生したイベントの識別情報と、その患者の識別情報である患者ID、および、イベントの発生日の日付情報を取得する。イベントの識別情報は、イベントの名称を用いることができる。図7の例の場合、制御部21は、患者ID123の患者に2021年3月1日付で人工呼吸が導入されたことを示すイベント情報を取得する。
制御部21は、イベントが発生した時刻を推定するための種々の基準を参照することができる。そのような基準は、予め記憶部22に記憶されてよい。例えば、人工呼吸器の導入の場合、呼吸数は人工呼吸器の導入に関連する診療情報である。呼吸回数が1分あたり5回以下または35回以上になった場合に、人工呼吸器を導入すべきとする呼吸器導入基準が知られている。したがって、1分当たりの呼吸回数が35回以上になると、医師は人工呼吸器を導入すると推定される。基準としては、国および公的機関等により定められた基準、医療機関内で定められた基準、または、医療機関において過去の診療情報から導出された基準等を使用することができる。
制御部21は、患者IDおよび電子カルテの日付情報を用いて第1の診療情報としてバイタルデータを検索し、患者のイベント発生日のデータを含むバイタルデータを取得する。制御部21は、バイタルデータに含まれる呼吸数の値を参照し、呼吸回数が1分当たり35回未満から35回以上に変化したデータを抽出する。図示の例では、12時30分に患者の呼吸回数は35回となっている。
制御部21は、バイタルデータの呼吸回数が基準を超えた時刻、呼吸器を導入するのにかかる時間および他の診療情報を考慮して、人工呼吸器の導入時刻を推定する。図示の例では、人工呼吸器の導入時刻は12時38分と推定されている。
次に、制御部21は、第2の診療情報とイベントの発生時刻とを対応付ける。ここでは、バイタルデータの呼吸回数のデータが第2の診療情報にも含まれるものとして、呼吸回数のデータを示す。図8に示すように、制御部21は、記憶部22に記憶した呼吸回数のバイタルデータに、バイタルデータ内のデータとイベントの発生時刻とを対応付けるためのフラグ領域を追加してよい。例えば、制御部21は、各時刻に測定されたバイタルデータに人工呼吸器が導入されたことを示すフラグを付与する。図8では、「人工呼吸器導入フラグ」の欄が「1」となっている行のデータが、人工呼吸器が導入されたと推定されるタイミングのデータを示す。人工呼吸器が導入されたと推定されるタイミングでのバイタルデータが測定されていない場合、制御部21は、人工呼吸器が導入されたと推定された時刻のデータを補間することにより付加してよい。上記と同様に、呼吸回数以外の第2の診療情報に含まれるデータに対して、イベントの発生時刻との対応付けが行われてよい。
(イベントとイベントに関連する診療情報の例)
図9は、イベントと、イベントに関連する第1の診療情報のデータ項目とを示す図である。以下に、いくつかのイベントについて関連する第1の診療情報を説明する。制御部21は、イベントに対し、当該イベントに対応する第1の診療情報の一つまたは複数の特定のデータ項目のみを用いて、イベントの発生した時刻を推定してよい。
脳梗塞および頭蓋内出血は、確定診断のために頭部のCT等の撮影を行うことが一般的である。例えば、頭部のCT検査では、造影剤を入れながら脳を撮影することで、脳内の血液の流れが観察される。したがって、脳梗塞の発症および頭蓋内出血の発症のイベントについては、薬剤投与データに含まれる造影剤の投与された時刻のデータを用いることにより、イベントの発生時刻を推定することができる。
また、例えば、心筋梗塞の診断では、心電図検査、血液検査および画像検査が行われる。心筋梗塞の場合、心電図には心筋梗塞に特有な波形が生じる。また、心筋梗塞になると、血液中のトロポニンTおよびCK-MB等の様々な酵素の上昇がみられる。さらに、胸部X線検査では、肺の鬱血または心拡大などの画像が撮影される。したがって、第1の診療情報のデータ項目として、これらの検査値データが含まれる場合、検査が行われる前に心筋梗塞が発症したと推定される。
また、イベントが死亡である場合、血圧、SpO、呼吸数および心拍数等のバイタルデータにより死亡時刻を推定することができる。
一例として、制御部21は、血圧のデータのみから患者が死亡した時刻を推定することができる。図10は、収縮期および拡張期の血圧の時系列データの一例を示す。血圧値が0付近に下降した時刻は、患者が死亡した時刻であると推定することができる。同様に、制御部21は、呼吸数および心拍数からも単独で死亡時刻を推定することができる。
仮に、上記とは異なり、血圧値の低下のみから死亡の時刻を判定できない場合、制御部21は、呼吸数または心拍数等の他のバイタルデータと組み合わせて、死亡のイベントが発生した時刻を推定してよい。
イベントが敗血症である場合、意識障害があること、収縮期血圧が100mmHg以下であること、および、1分間の呼吸数22回以上であることの3つの要件のうち2つを満たしている場合に、敗血症が発症した可能性が高いと判断することができる。さらに、敗血症の確定診断には胸部X線検査およびCT検査などの画像診断が行われる。したがって、バイタルデータに含まれる血圧および呼吸数、検査値データに含まれる胸部X線検査結果、および、薬剤投与データに含まれるCT検査用の造影剤を、敗血症に関連する第1の診療情報のデータ項目とすることができる。
(機械学習を用いるイベントの発生時刻の推定)
特定のイベントについて、一定数以上の正確なまたは精度の高いイベントの発生時刻の情報と診療情報との組が存在する場合、イベントの発生時刻を推定する過程に、機械学習を使用することも可能である。正確なイベント発生時刻は、電子カルテまたはその他の医療情報システムに入力されている場合がある。また、呼吸器の導入時刻は、呼吸に関連するバイタル情報の測定項目が追加されたタイミングからある程度精度高く予測することができる。イベントの発生時刻について精度が高いとは、記録されている発生時刻が日単位よりも時間分解能が高いことを意味し、より好ましくは、時間単位よりも時間分解能が高いことを意味する。
医療情報処理装置11または専用の他の装置は、イベントの発生と関連性の高い診療情報を入力情報とし、イベントの発生時刻を出力として機械学習を実行して、イベント発生時刻推定用の学習済みモデル(第1の学習済みモデル)を生成してよい。生成された学習済みモデルは、記憶部22に記憶することができる。制御部21は、正確な発生時刻が不明なイベントについて、イベント発生時刻推定用の学習済みモデルに、学習時の診療情報と同じデータ項目を含む第1の診療情報のデータを入力することにより、イベントが発生した時刻を推定させることができる。
上記のように、医療情報処理装置11は、予測装置13と同様に機械学習を利用することがある。しかし、図1の予測装置13が行う予測は、患者の診療情報から未来のイベントの発生を予測するのに対して、関連付けの工程で医療情報処理装置11が行う時刻の推定は、既に発生した特定のイベントについて発生した時刻を推定するものである点において異なる。
(推定したイベントの発生時刻に基づく他のイベントの発生時刻の推定)
制御部21は、発生時刻を推定したイベント(第1のイベント)のイベント情報(第1のイベント情報)を、他のイベント(第2のイベント)の発生時刻を推定するための第1の診療情報として使用することができる。例えば、制御部21は、人工呼吸器の導入を第1のイベントとし、死亡を第2のイベントとすることができる。すなわち、制御部21は、人工呼吸器の導入時刻を推定し、推定した人工呼吸器の導入時刻を含む情報を第1の診療情報とし、さらに、患者の死亡する時刻を推定してよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の診療情報に基づいて、イベントの発生時刻を日単位よりも高い時間分解能で推定し、第2の診療情報と推定したイベントの発生時刻とを対応付けるようにした。これにより、日単位よりも高い時間分解能で患者のイベント発生と第2の診療情報とを関連付けた機械学習用のデータを生成することができる。この機械学習用のデータを用いることにより、学習装置12が機械学習を行って学習済みモデルを生成することができる。さらに、予測装置13が、生成された学習済みモデルに対して、予測を行おうとする患者の診療情報である第3の診療情報を入力することにより、患者のイベントの発生を、日単位よりも高い時間分解能で予測することが可能になる。
(各装置を分散配置する例)
上記実施形態では、医療情報処理装置11、学習装置12、予測装置13、電子カルテシステム14、バイタルデータ管理サーバ15、薬剤投与データ管理サーバ16および検査値データサーバは、医療機関内に位置するものとした。しかし、これらの装置は、地理的に離れて分散配置することが可能である。
図11に示す例において、医療情報処理装置11および学習装置12は、学習済みモデルを提供するサービス提供者30の拠点内に位置してよい。機械学習の精度を高めるために、診療情報およびイベント情報を含む学習用のデータは、多い方が好ましい。このため、サービス提供者30は複数の医療機関からの情報を収集することが好ましいことがある。サービス提供者30は、サービスの提供を行う事業者、または、本システムを採用する複数の医療機関の一つであってよい。サービス提供者30のシステムと複数の医療機関内システム10とは、専用回線、インターネットまたはVPN(Virtual Private Network)等の広域の通信手段により接続されてよい。
また、検査値データは、医療機関内システム10内のサーバではなく、検査装置を提供する事業者のデータセンタ40に置かれた検査値データ管理サーバ41により管理されてよい。この場合、検査値データ管理サーバ41の機能は、クラウドサービスとして提供されてよい。事業者の検査値データ管理サーバ41は、複数の医療機関の検査値データを管理することができる。医療機関は、検査値データ管理サーバ41を、医療機関内に位置するかの如く利用することができる。データセンタ40と複数の医療機関内システム10とは、専用回線、インターネットまたはVPN(Virtual Private Network)等の広域の通信手段により接続されてよい。
図11に示した装置の配置は一例であって、各装置は種々の態様による配置が可能である。また、各装置の機能、および、各装置で管理される診療情報は、種々の態様で分割または統合することが可能である。医療機関は、検査値データに代えて、または、検査値データに加えて、他の診療データを外部のクラウドサービスを利用して管理することができる。
本開示に係る実施形態について、諸図面および実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または変更を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部または各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部またはステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。本開示に係る実施形態について装置を中心に説明してきたが、本開示に係る実施形態は装置の各構成部が実行するステップを含む方法としても実現し得るものである。本開示に係る実施形態は装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、またはプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものである。本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。また、上記実施形態において説明した具体的なイベントおよび診療情報は、例を示したものに過ぎない。本開示は、種々のイベントおよび診療情報に対して適用することができる。
また、上記実施形態では、イベントの発生した日付情報を第1の時間情報とし、診療情報に含まれる日単位よりも高い時間分解能を有する時刻情報を第2の時間情報とした。しかし、本開示の第1の時間情報と第2の時間情報とは、この組み合わせに限られない。例えば、医療情報システムに登録されたイベントの発生時間が時間単位で特定され、当該イベントに関連する診療情報が分単位で特定されるような場合、時間を単位とするイベントの発生時間の情報を第1の時間情報とし、分を単位とする診療情報の時刻情報を第2の時間情報とすることもできる。
10 医療機関内システム
11 医療情報処理装置
12 学習装置
13 予測装置
14 電子カルテシステム(医療情報システム)
15 バイタルデータ管理サーバ
16 薬剤投与データ管理サーバ
17 検査値データ管理サーバ
18 情報端末
19 ネットワーク
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 出力部
30 サービス提供者
40 データセンタ
41 検査値データ管理サーバ

Claims (16)

  1. コンピュータにより実行される医療情報処理方法であって、
    医療情報システムに登録された患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、前記イベントの発生時間を示す第1の時間情報を含むイベント情報を取得し、
    前記患者IDおよび前記第1の時間情報を用いて、時刻情報を含む診療情報の中から、前記時刻情報に含まれる日付が前記イベントの前記発生時間における日付と一致する前記患者に係る診療情報を検索することにより、前記患者に係る前記第1の時間情報よりも高い時間分解能を有する第2の時間情報を含み、前記イベントに対する関連性が高い第1の診療情報を取得し、
    前記第1の診療情報に含まれる前記第2の時間情報に基づいて、前記第1の時間情報よりも高い時間分解能で前記イベントの前記発生時間を推定する
    医療情報処理方法。
  2. 前記第1の診療情報は、前記患者のバイタルデータを含む、請求項1に記載の医療情報処理方法。
  3. 前記イベントに対する関連性が高い前記第1の診療情報から前記バイタルデータの所定のデータ項目のデータの値の特定の変化を抽出し、該特定の変化が発生した発生時間を前記第2の時間情報として取得し、取得した発生時間に基づいて、前記発生時間が前記イベントの前記発生時間に等しい、又は、前記発生時間から前記イベントの前記発生時間までの間のタイムラグを考慮することにより、前記イベントの前記発生時間を推定する、請求項2に記載の医療情報処理方法。
  4. 前記イベントは、前記患者の容態の悪化であり、
    前記バイタルデータの測定された時間間隔が短くなったときの前記第2の時間情報に基づいて、前記イベントの前記発生時間を推定する、請求項2に記載の医療情報処理方法。
  5. 前記第1の診療情報は、前記患者に対して行った薬剤の投与の情報を示す薬剤投与データを含む、請求項1から4の何れか一項に記載の医療情報処理方法。
  6. 前記第1の診療情報は、前記患者に対して行った検査の結果を示す検査値データを含む、請求項1から5の何れか一項に記載の医療情報処理方法。
  7. 前記第1の診療情報は、電子カルテまたは他の医療システムに入力されたテキストデータと該テキストデータが入力されたときの前記第2の時間情報とを含む、請求項1からの何れか一項に記載の医療情報処理方法。
  8. 記第1の診療情報は、イベントに直接関連しイベントの前後で変化する特定のデータ項目を含み、前記特定のデータ項目の変化が発生した発生時間を前記第2の時間情報として取得し、取得した発生時間に基づいて、前記特定のイベントの前記発生時間を推定する、請求項1からの何れか一項に記載の医療情報処理方法。
  9. 前記イベントを第1のイベントとし、前記第1のイベントと前記推定した前記発生時間とを含む情報を第1のイベント情報とし、該第1のイベント情報を前記第1の診療情報として使用し、前記第1のイベントとは異なる第2のイベントの発生時間を推定する、請求項1からの何れか一項に記載の医療情報処理方法。
  10. 前記イベントの発生を予測する機械学習モデルの入力データとして使用される第2の診療情報を取得し、該第2の診療情報と、推定された前記イベントの前記発生時間とを対応付ける、請求項1からの何れか一項に記載の医療情報処理方法。
  11. 前記第2の診療情報に前記イベントの前記発生時間を示す情報を付加することにより、前記第2の診療情報と前記イベントの前記発生時間とを対応付ける、請求項10に記載の医療情報処理方法。
  12. 複数の患者についての前記イベント情報と、該イベントの前記発生時間と対応付けられた前記第2の診療情報とを教師データとし、前記教師データを用いて、前記第2の診療情報を入力とし前記イベント情報を出力とする第2の学習済みモデルを生成する、請求項10または11に記載の医療情報処理方法。
  13. 前記第2の学習済みモデルの生成において、前記イベントの発生に影響を与えると推定される診療情報のデータ項目を抽出することにより、入力される前記第2の診療情報を抽出しており、
    特定の患者に関する前記イベントの発生を予測する指示を受けて、前記特定の患者の診療情報を取得し、
    特定の患者の第3の診療情報として、取得した前記診療情報から、前記第2の学習済みモデルの生成において抽出した前記第2の診療情報と同じデータ項目のデータを取得し、前記第2の学習済みモデルに前記第3の診療情報を入力して、前記特定の患者に係る前記イベントの発生を予測する、請求項12に記載の医療情報処理方法。
  14. 前記医療情報システムは、電子カルテシステムである、請求項1から13の何れか一項に記載の医療情報処理方法。
  15. 医療情報システムに登録された患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、前記イベントの発生時間を示す第1の時間情報を含むイベント情報を取得し、前記患者IDおよび前記第1の時間情報を用いて、時刻情報を含む診療情報の中から、前記時刻情報に含まれる日付が前記イベントの前記発生時間における日付と一致する前記患者に係る診療情報を検索することにより、前記患者に係る前記第1の時間情報よりも高い時間分解能を有する第2の時間情報を含み、前記イベントに対する関連性が高い第1の診療情報を取得し、前記第1の診療情報に含まれる前記第2の時間情報に基づいて、前記第1の時間情報よりも高い時間分解能で前記イベントの前記発生時間を推定する処理を実行する制御部
    を含む、医療情報処理装置。
  16. 医療情報システムに登録された患者の識別情報である患者ID、イベントの識別情報、および、前記イベントの発生時間を示す第1の時間情報を含むイベント情報を取得し、前記患者IDおよび前記第1の時間情報を用いて、時刻情報を含む診療情報の中から、前記時刻情報に含まれる日付が前記イベントの前記発生時間における日付と一致する前記患者に係る診療情報を検索することにより、前記患者に係る前記第1の時間情報よりも高い時間分解能を有する第2の時間情報を含み、前記イベントに対する関連性が高い第1の診療情報を取得し、前記第1の診療情報に含まれる前記第2の時間情報に基づいて、前記第1の時間情報よりも高い時間分解能で前記イベントの前記発生時間を推定する処理を、コンピュータに実行させるプログラム。
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