本発明は、非晶質樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、及び離型剤を含有する原料の混合物を二軸押出機により溶融混練する工程を含む静電荷像現像用トナーの製造方法であり、原料の混合物を二軸押出機により溶融混練する際に、非晶質樹脂及び結晶性ポリエステル系樹脂と離型剤とを、それぞれ所定の位置から二軸押出機に供給することにより、グロス及び耐ホットオフセット性に優れた静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)が得られることを見出し、完成されたものである。
本発明の効果が奏される理由の詳細は不明なるも、以下のメカニズムによるものと推察される。
結晶性ポリエステル系樹脂は低温定着性に優れるものの、トナー全体の粘度を低下させるため、耐ホットオフセット性が低下しやすいという課題がある。そこで、軟化点の高い非晶質の結着樹脂の併用が検討されるが、生産性及び汎用性に優れる二軸押出機を用いて溶融混練すると、結晶性ポリエステル系樹脂がトナーの主成分である非晶質の結着樹脂から離型剤とともに分離してしまい、軟化点の高い非晶質の結着樹脂がトナー全体に混ざりにくく、グロスが低下しやすい。
例えば、特許文献1では、混練押し出し機の溶融混練工程において、顔料等の分散対象物を長時間混練することで、分散状態を良好にし、適度な分散径を保つため、また、樹脂の分子切断を避けるために短時間の混練とするべく、原料供給口を分割することが知られている。しかしながら、結晶性ポリエステル系樹脂の分散においては、その限りではないことが本発明者らの検討により、明らかとなった。二軸押出機の溶融混練工程においては、原料混合物がバレルと摩擦されることで加熱され溶融混練が進む。しかし、離型剤に加えて結晶性ポリエステル系樹脂を添加すると、離型剤と結晶性ポリエステル系樹脂がバレル内で非晶質の結着樹脂に先んじて溶融し低粘度化するため、主成分である非晶質の結着樹脂が溶融するために必要なバレルとの摩擦が不足してしまう。その結果、主成分であり、分散媒となる非晶質の結着樹脂の溶融が不十分なままの状態で混練工程が進んでしまい、非晶質の結着樹脂が結晶性ポリエステル系樹脂と十分に混ざり合うことができない。その結果、トナー中に、軟化点の高い非晶質の結着樹脂の濃度が高く、高粘度な箇所が存在してしまうため、グロスが低下してしまう。
これに対し、本発明では、二軸押出機のバレルの入り口側端部に近い原料供給口F1から非晶質樹脂及び結晶性ポリエステル系樹脂を含む原料を供給し、原料供給口F1よりもバレルの入り口側端部から離れた原料供給口F2から離型剤を含む原料を供給し、溶融混練することで、非晶質の結着樹脂とバレルとの摩擦を十分に確保することができる。これにより、非晶質の結着樹脂を十分に溶融させるとともに、結晶性ポリエステル系樹脂と十分に混ぜ合わせることができるため、非晶質の結着樹脂がムラなくトナー中に存在することで、グロスと耐ホットオフセット性を両立できるトナーを得ることができる。
非晶質樹脂としては、非晶質のポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂等のビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、これらの樹脂を2種以上有する複合樹脂等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂を有する複合樹脂等が挙げられる。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最大ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6以上、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、1.4以下、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下の樹脂である。
一方、非晶質樹脂は、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。
樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最大ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を指す。結晶性樹脂においては、吸熱の最大ピーク温度を融点とする。
非晶質ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物が好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、式(I):
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、低温定着性の観点から、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、脂肪族ジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸系化合物、芳香族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、炭化水素基で置換されたコハク酸誘導体、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分のカルボキシ基とアルコール成分の水酸基との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.16以下である。
非晶質ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは160℃以上、より好ましくは200℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
前記ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とを有する非晶質複合樹脂において、ポリエステル樹脂については前記非晶質ポリエステル樹脂と同様であり、スチレン系樹脂は、少なくとも、スチレン、又はα-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて「スチレン化合物」という)を含む原料モノマーの付加重合物である。
スチレン化合物、好ましくはスチレンの含有量は、スチレン系樹脂の原料モノマー中、保存性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
また、スチレン系樹脂は、原料モノマーとしてアルキル基の炭素数が7以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含んでも良い。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。なお、本明細書において、「(イソ)」は、この基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。
スチレン系樹脂の原料モノマーとしての(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは7以上、より好ましくは8以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。なお、該アルキルエステルの炭素数は、エステルを構成するアルコール成分由来の炭素数をいう。
スチレン系樹脂の原料モノマーには、スチレン化合物及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の原料モノマー、例えば、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が含まれていてもよい。
スチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、重合禁止剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
非晶質複合樹脂は、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とが結合した樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂の原料モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して化学的に結合した樹脂であることがより好ましい。
両反応性モノマーは、分子内に、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の官能基、好ましくは水酸基及び/又はカルボキシ基、より好ましくはカルボキシ基と、エチレン性不飽和結合とを有する化合物が好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましく、重縮合反応及び付加重合反応の反応性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸及びフマル酸からなる群より選ばれた少なくとも1種がさらに好ましい。但し、重合禁止剤と共に用いた場合は、フマル酸等のエチレン性不飽和結合を有する多価カルボン酸系化合物は、ポリエステル樹脂の原料モノマーとして機能する。この場合、フマル酸等は両反応性モノマーではなく、ポリエステル樹脂の原料モノマーである。
両反応性モノマーの使用量は、高温高湿下での帯電安定性の観点から、ポリエステル樹脂のアルコール成分の合計100モルに対して、好ましくは1モル以上、より好ましくは2モル以上であり、そして、スチレン系樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの転写性を向上させる観点から、好ましくは30モル以下、より好ましくは20モル以下、さらに好ましくは10モル以下である。
また、両反応性モノマーの使用量は、高温高湿下での帯電安定性の観点から、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、スチレン系樹脂とポリエステル樹脂との分散性を高め、トナーの転写性を向上させる観点から、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。ここで、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計に重合開始剤は含める。
非晶質複合樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)と、スチレン系樹脂の原料モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを含む方法により製造することができる。(i) 工程(A)の後に工程(B)を行ってもよいし、(ii) 工程(B)の後に工程(A)を行ってもよく、(iii) 工程(A)と工程(B)を同時に行ってもよい。なお、両反応性モノマーは、スチレン系樹脂の原料モノマーとともに用いることが好ましい。
(i)の方法において、工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、必要に応じて架橋剤となる3価以上の非晶質ポリエステル樹脂の原料モノマー等を反応系に添加し、工程(A)の重縮合反応や両反応性モノマーとの反応をさらに進めてもよい。
また、重縮合反応を行う工程(A)の代わりに、予め重合した重縮合系樹脂を用いてもよい。工程(A)と工程(B)を並行して進行する際には、ポリエステル樹脂の原料モノマーを含有した混合物中に、スチレン系樹脂の原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
工程(A)と工程(B)は、同一容器内で行うことが好ましい。
非晶質複合樹脂におけるポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の質量比(ポリエステル樹脂/スチレン系樹脂)は、高温高湿下での帯電安定性の観点から、好ましくは98/2以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上、さらに好ましくは75/25以上である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂の質量は、用いられるポリエステル樹脂の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂の原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂の量は、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計量である。
非晶質樹脂の軟化点は、保存安定性の観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下である。
なお、非晶質樹脂は、低温定着性及び定着幅の観点から、軟化点の異なる樹脂からなるものであってもよい。2種の樹脂の軟化点の差は、好ましくは10℃以上、より好ましくは20℃以上、さらに好ましくは30℃以上であり、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下である。
軟化点が高い方の非晶質樹脂(樹脂AH)の軟化点は、定着幅の観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下である。
また、軟化点が低い方の非晶質樹脂(樹脂AL)の軟化点は、保存性の観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは125℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。
樹脂AHと樹脂ALの質量比(樹脂AH/樹脂AL)は、好ましくは10/90以上、より好ましくは20/80以上、さらに好ましくは30/70以上であり、そして、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下、さらに好ましくは70/30以下である。
非晶質樹脂のガラス転移温度は、保存安定性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
非晶質樹脂の酸価は、低温定着性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上であり、そして、吸湿性の観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下である。
非晶質樹脂の含有量は、非晶質樹脂と結晶性ポリエステル系樹脂の合計量中、転写効率の観点から、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは96質量%以下である。
結晶性ポリエステル系樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂を有する結晶性複合樹脂等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と脂肪族ジカルボン酸系化合物を含有するカルボン酸成分との重縮合物が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール等が挙げられ、1種であっても、2種以上が併用されていてもよい。
脂肪族ジオールは、低温定着性の観点から、水酸基を炭素鎖の末端に有しているα,ω-脂肪族ジオールであることが好ましく、α,ω-直鎖アルカンジオールであることがより好ましい。
脂肪族ジオールの炭素数は、着色剤の分散性の観点から、好ましくは6以上であり、そして、グロスと耐ホットオフセット性の両立の観点から、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。
他のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、コハク酸(炭素数:4)、フマル酸(炭素数:4)、アジピン酸(炭素数:6)、スベリン酸(炭素数:8)、アゼライン酸(炭素数:9)、セバシン酸(炭素数:10)、ドデカン二酸(炭素数:12)、テトラデカン二酸(炭素数:14)、側鎖にアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸、これらの酸の無水物、これらの酸の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数は、低温定着性の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは8以上であり、そして、グロスと耐ホットオフセット性の両立の観点から、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上である。
他のカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、3価以上のカルボン酸系化合物等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
カルボン酸成分のカルボキシ基とアルコール成分の水酸基との当量比(COOH基/OH基)は、保存性の観点から、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.1以下である。
結晶性ポリエステル樹脂のアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応条件は、好適な反応温度が異なる以外は、前記非晶質ポリエステル樹脂と同様である。反応温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは230℃以下、より好ましくは220℃以下である。
前記ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とを有する結晶性複合樹脂において、ポリエステル樹脂については前記結晶性ポリエステル樹脂と同様であり、スチレン系樹脂は、少なくとも、スチレン、又はα-メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体(以下、スチレンとスチレン誘導体をまとめて「スチレン化合物」という)を含む原料モノマーの付加重合物である。
スチレン化合物、好ましくはスチレンの含有量は、スチレン系樹脂の原料モノマー中、保存性の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
スチレン系樹脂の原料モノマーには、スチレン化合物以外の原料モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が含まれていてもよい。
スチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、重合禁止剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、スチレン系樹脂の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
結晶性複合樹脂は、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とが結合した樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂の原料モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーを介して化学的に結合した樹脂であることがより好ましい。
両反応性モノマー及び結晶性複合樹脂の製造方法については、前記非晶質樹脂として記載した複合樹脂と同様である。
結晶性複合樹脂におけるポリエステル樹脂とスチレン系樹脂の質量比(ポリエステル樹脂/スチレン系樹脂)は、高温高湿下での帯電安定性の観点から、好ましくは98/2以下、より好ましくは95/5以下、さらに好ましくは90/10以下であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは70/30以上、さらに好ましくは75/25以上である。なお、上記の計算において、ポリエステル樹脂の質量は、用いられるポリエステル樹脂の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル樹脂の原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂の量は、スチレン系樹脂の原料モノマーの合計量である。
結晶性ポリエステル系樹脂の軟化点は、保存性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは65℃以上、さらに好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下である。
結晶性ポリエステル系樹脂の融点は、保存性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。
結晶性ポリエステル系樹脂の含有量は、非晶質樹脂と結晶性ポリエステル系樹脂の合計量中、低温定着性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、そして、転写効率の観点から、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
非晶質樹脂と結晶性ポリエステル系樹脂の質量比(非晶質樹脂/結晶性ポリエステル系樹脂)は、低温定着性の観点から、好ましくは60/40以上、より好ましくは65/35以上、さらに好ましくは70/30以上であり、そして、転写効率の観点から、好ましくは99/1以下、より好ましくは97/3以下、さらに好ましくは95/5以下である。
トナーにおいて、非晶質樹脂と結晶性ポリエステル系樹脂は結着樹脂として含有されている。
非晶質樹脂と結晶性ポリエステル系樹脂の合計含有量は、結着樹脂中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
また、結着樹脂の含有量は、トナー中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%未満、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と転写性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下、さらに好ましくは4質量部以下である。
結晶性ポリエステル系樹脂と離型剤の合計量は、非晶質樹脂100質量部に対して、低温定着性の観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上、さらに好ましくは9質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
トナー原料として、結着樹脂である非晶質樹脂及び結晶性ポリエステル系樹脂と離型剤以外に、着色剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を用いてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリヱント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料;4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリヱント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリヱント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン-アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」、「FCA-201-PS」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリヱント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明では、非晶質樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂、及び離型剤、さらに必要に応じて、着色剤、荷電制御剤等の添加剤を、二軸混練機を用いて溶融混練する工程に供する。
二軸混練機は、シリンダー(バレル)内で、供給された原料を2本のスクリュ軸の回転により押し出しながら混練し、排出する混練機であり、本発明で用いる二軸混練機は、原料供給口を2箇所以上備えたものである。二軸押出機のバレルの長さをLとするときに、バレルの入り口側端部から0.3L未満の位置f1と0.3L以上0.9L以下の位置f2にそれぞれ1箇所以上の原料供給口を備える。原料供給口の数は特に限定されないが、通常、二軸混練機の原料供給口は1箇所であるのが標準仕様であり、原料供給口の増設にかかる費用とそれに見合う効果を考慮すると、f1、f2それぞれで2箇所以下であることが好ましい。
f1は、0.3L未満であり、好ましくは0.2L以下、より好ましくは0.1L以下であり、そして、好ましくは0.01L以上、より好ましくは0.02L以上、さらに好ましくは0.03L以上である。
f2は、0.3L以上であり、好ましくは0.35L以上、より好ましくは0.4L以上であり、そして、0.9L以下であり、好ましくは0.8L以下、より好ましくは0.7L以下である。
f1の原料供給口F1とf2の原料供給口F2の間隔は、好ましくは0.1L以上、より好ましくは0.2L以上、さらに好ましくは0.3L以上であり、そして、好ましくは0.9L以下、より好ましくは0.7L以下、さらに好ましくは0.5L以下である。原料供給口F1と原料供給口F2が複数箇所ある場合は、最も近接した原料供給口F1と原料供給口F2の間が、上記範囲内であることが好ましい。
f1の原料供給口F1から非晶質樹脂及び結晶性ポリエステル系樹脂を含む原料を供給する。
原料供給口F1から供給する非晶質樹脂は、トナーに含まれる非晶質樹脂の、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。ここで、原料供給口F1から供給する非晶質樹脂の量は、原料供給口F1に2箇所以上の原料供給口を備える場合、それらの原料供給口から供給する非晶質樹脂の合計を意味する。
原料供給口F1から供給する結晶性ポリエステル系樹脂は、トナーに含まれる結晶性ポリエステル系樹脂の、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。ここで、原料供給口F1から供給する結晶性ポリエステル系樹脂の量は、原料供給口F1に2箇所以上の原料供給口を備える場合、それらの原料供給口から供給する結晶性ポリエステル系樹脂の合計を意味する。
原料供給口F1から供給する原料中、非晶質樹脂の含有量は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、そして、100質量%以下、好ましくは98質量%以下、より好ましくは96質量%以下である。
f2の原料供給口F2から離型剤を含む原料を供給する。
原料供給口F2から供給する離型剤は、トナーに含まれる離型剤の、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。ここで、原料供給口F2から供給する離型剤の量は、原料供給口F2に2箇所以上の原料供給口を備える場合、それらの原料供給口から供給する離型剤の合計を意味する。
着色剤、荷電制御剤等の添加剤は、原料供給口F1、F2のいずれか一方から供給しても、分割して供給してもよいが、分散性を向上させる観点から、原料供給口F1から供給することが好ましい。
各原料供給口に供給する原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後に供給することが好ましい。
バレルの設定温度は、原料供給口F1とF2の間のバレル設定温度をT1、結晶性ポリエステル系樹脂の融点をCMpとするとき、グロスと耐ホットオフセット性の両立の観点から、式(A):
T1≧CMp-30 (A)
を満足することが好ましい。なお、結晶性ポリエステル系樹脂が2種以上の樹脂からなる場合、融点が最も低い結晶性ポリエステル系樹脂の融点をCMpとする。
式(A)は、好ましくは式(A1):
180≧T1≧CMp-30 (A1)
、より好ましくは式(A2):
150≧T1≧CMp-20 (A2)
、さらに好ましくは式(A3):
150≧T1≧CMp-10 (A3)
である。
また、原料供給口F1とF2の間のバレル設定温度をT1、F2と混練物排出口の間のバレル設定温度をT2とするとき、グロスの観点から、式(B):
T1≧T2-80 (B)
を満足することが好ましい。
式(B)は、好ましくは式(B1):
180≧T1≧T2-40 (B1)
、より好ましくは式(B2):
150≧T1≧T2-20 (B2)
、さらに好ましくは式(B3):
150≧T1≧T2+20 (B3)
である。
混練物排出口の位置は、バレルの入り口側端部から、好ましくは0.9Lを超える、より好ましくは0.95L以上であり、そして、好ましくは1.0L未満、より好ましくは0.99L以下である。
二軸押出機による溶融混練の後、混練物を粉砕可能な硬度に達するまで適宜冷却し、必要に応じて、粉砕工程及び分級工程を行ってトナー粒子を得ることが好ましい。ここで、冷却とは、混練物を0℃以上50℃以下まで冷却すること、または、混練物中の結着樹脂のガラス転移温度以下まで冷却することを言う。
粉砕工程においては、混練物を、所望の粒径まで一度に粉砕しても、段階的に粉砕してもよいが、効率よく、かつより均一に粉砕する観点から、粗粉砕と微粉砕の2段階で行うことが好ましい。
粗粉砕に用いる粉砕機としては、ハンマーミル、カッターミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。
粗粉砕では、最大径が3mm以下になるまで粉砕することが好ましい。例えば、最大径が3mm以下の粉砕物は、混練物を、粒径が0.05mm以上3mm以下程度になるまで適宜粗粉砕した後、目開きが3mmの篩に通し、篩を通過した粉砕物として得ることができる。
微粉砕に用いる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、衝突板式ジェットミル等のジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
微粉砕の程度は、目的とするトナー粒子の粒径に応じて、適宜調整することが好ましい。
分級工程で用いる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
本発明では、さらに、得られたトナー粒子を、外添剤と混合する外添工程を有することが好ましい。トナー粒子と外添剤との混合には、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いることができる。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、環状シラザン、シリコーンオイル、アミノシラン、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明の方法により得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明の方法により得られたトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定することができる。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
〔非晶質樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最大ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1
表1に示す無水トリメリット酸以外の非晶質ポリエステル樹脂の原料モノマー及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、230℃にて12時間反応を行った後、8.3kPaにて1時間反応させた。160℃に降温し、表1に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去を行った。さらに、210℃にて、無水トリメリット酸を添加し、所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質複合樹脂(樹脂H1、H2)を得た。得られた樹脂の物性を表1に示す。
樹脂製造例2
表2に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。さらに210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、さらに40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A1~A3)を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
樹脂製造例3
表2に示すアルコール成分、無水トリメリット酸以外のカルボン酸成分、エステル化触媒、及び重合禁止剤を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃に昇温して6時間反応させた。さらに210℃に昇温した後、無水トリメリット酸を添加し、常圧(101.3kPa)にて1時間反応させ、さらに40kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A4)を得た。得られた樹脂の物性を表2に示す。
樹脂製造例4
表3に示す結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒、及び重合禁止剤を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、130℃から200℃まで10時間かけて昇温を行い、200℃で8kPaにて1時間反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(樹脂C1)を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
樹脂製造例5
表3に示す結晶性ポリエステル樹脂の原料モノマー、及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで加熱し、6時間反応させた。その後、表3に示すスチレン系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーを滴下ロートにより1時間かけて滴下した。160℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去を行った。さらに、200℃まで8時間かけて昇温、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応させて、結晶性複合樹脂(樹脂C2)を得た。得られた樹脂の物性を表3に示す。
実施例1~21
表4、5に示す原料供給口F1から供給する非晶質樹脂、結晶性ポリエステル系樹脂及び離型剤(実施例21のみ)と、負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業社製)1.0質量部及び着色剤「REGAL330R」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製)6.0質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて2分間混合し、原料供給口F1から供給する原料混合物を得た。
表4、5に示す原料供給口F2から供給する非晶質樹脂(実施例6のみ)、及び離型剤を、ヘンシェルミキサーを用いて2分間混合し、原料供給口F2から供給する原料混合物を得た。
得られた原料混合物を、原料供給口F1、F2それぞれから、同方向回転二軸押出機「PCM-43」(池貝鉄工社製、軸の直径 4.2cm)に供給し、溶融混練した。
二軸押出機のバレルの長さLは1600mmであり、原料供給口F1はバレルの入り口側端部から75mm(0.05L)の位置に、原料供給口F2は695mm(0.43L)の位置に、混練物排出口は1560mm(0.98L)の位置に、それぞれ設置した。
二軸押出機の運転条件は、軸回転数 150r/min、原料供給口F1、F2からの混合物供給速度は、原料が所望の組成比からなる混練物の排出速度が20kg/hとなるように、調整した。バレルの設定温度については、原料供給口F1とF2の間をT1、原料供給口F2と排出口の間をT2として、表4、5に示す通りに設定した。
得られた混練物を冷却し、粉砕機「ロートプレックス」(ホソカワミクロン社製)により粗粉砕し、目開きが2mmのふるいを用いて体積粒径が2mm以下の粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物をDS2型気流分級機(衝突板式、日本ニューマチック社製)を用いて体積中位粒径が7.0μmになるように粉砕圧を調整して微粉砕を行なった。得られた微粉砕物をDSX2型気流分級機(日本ニューマチック社製)を用いて体積中位粒径(D50)が7.5μmになるように静圧(内部圧力)を調整して分級を行い、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部と、外添剤として、疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)1.0質量部及び疎水性シリカ「RY-50」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、平均粒子径:40nm)1.0質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)にて2100r/min(周速度29m/sec)で3分間混合して、トナーを得た。
比較例1、2
表4、5に示す結着樹脂と離型剤を用い、これらを負帯電性荷電制御剤「ボントロンE-304」(オリヱント化学工業社製)1.0質量部及び着色剤「REGAL330R」(キャボット・スペシャリティー・ケミカルズ・インク社製)6.0質量部と、ヘンシェルミキサーを用いて2分間混合し、原料供給口F1から二軸押出機に供給し、バレルの設定温度を表4、5に示す通り変更した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
試験例1〔グロス〕
非磁性一成分現像装置「OKI MICROLINE 5400」((株)沖データ製)にトナーを実装し、トナー付着量を0.40±0.03mg/cm2に調整して、4.1cm×4.1cmのベタ画像を「J紙」(富士ゼロックスオフィスサプライ社製)に印刷した。定着機を通過する前にベタ画像を取りだして未定着画像を得た。得られた未定着画像を有する用紙を非磁性一成分現像装置「OKI MICROLINE 5400」(沖データ社製)に装填し、再度4.1cm×4.1cmのベタ画像を印刷し、定着機を通過する前にベタ画像を取りだして、0.80±0.06mg/cm2の未定着画像(2層)を得た。同様の操作を繰り返し、1.20±0.09mg/cm2の未定着画像(3層)を得た。
得られた3層未定着画像を「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)の定着機を外部に取り出した外部定着機にて、定着ロールの温度を100℃に設定し、80mm/secの定着速度で定着させた。その後、定着ロール温度を105℃に設定し、同様の操作を行った。これを190℃まで5℃ずつ上昇させながら行った。得られた3層の定着画像の各定着温度での光沢度を測定し最大値をグロスとした。光沢度は光沢度計「PG-1」(日本電色工業社製)を用い、光源を60°に設定して測定した。光沢度が高いほど、グロスが良好であることを示す。結果を表4、5に示す。
試験例2〔耐ホットオフセット(HO)性〕
試験例1と同様にして、2cm角のベタ画像の未定着画像を印刷した。プリンター「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)を改造した外部定着装置を使用して、定着ロールの回転速度90mm/secにて、定着ロールの温度を100℃から200℃まで10℃ずつ上昇させながら、各温度でこの未定着画像の定着処理を行い、定着画像を得た。得られた定着画像を目視で確認し、ホットオフセットの発生が見られない定着ロールの最高温度を最高定着温度とした。最高定着温度が高いほど耐ホットオフセット性に優れる。結果を表4、5に示す。「>200℃」は、200℃でもホットオフセットが発生しないことを示す。
以上の結果より、全ての原料を二軸混練機に一括で供給した比較例1、2と対比して、実施例1~21のトナーは、画像のグロスが高く、耐ホットオフセット性にも優れていることが分かる。