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JP7714866B2 - トウプレグ - Google Patents
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JP7714866B2 - トウプレグ - Google Patents

トウプレグ

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JP7714866B2 JP2020144203A JP2020144203A JP7714866B2 JP 7714866 B2 JP7714866 B2 JP 7714866B2 JP 2020144203 A JP2020144203 A JP 2020144203A JP 2020144203 A JP2020144203 A JP 2020144203A JP 7714866 B2 JP7714866 B2 JP 7714866B2
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Description

本発明は、特に、繊維強化複合材料で構成された中空の容器や円筒の製造に好適に用いられるトウプレグに関するものである。より詳しくは、耐熱性と0°引張強度利用率のバランスに優れ、圧力容器の破裂強度を向上可能な繊維強化複合材料が得られるトウプレグに関するものである。
炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を用いた繊維強化複合材料は、その優れた軽量性から、航空・宇宙、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に適用されている。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、そして熱硬化性樹脂としては、炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。
近年の炭素繊維の用途拡大を受け、成形法も広がりを見せている。このうち、フィラメントワインディングは、圧力容器などの中空の容器や円筒の製造に好適に用いられる方法である。生産性および品質の観点から、従来のウェット法に加え、強化繊維束に熱硬化性樹脂をあらかじめ含浸したトウプリプレグ、ヤーンプリプレグあるいはストランドプリプレグなどと呼ばれる細幅の中間基材(以下、トウプレグと記載する)を用いる手法が注目されている。
トウプレグは、通常、数百から数千メートルを紙管に巻き取ったボビン形状で供給され、繊維強化複合材料の成形工程において高速で解舒され、フィラメントワインディング成形に用いられる。このため、トウプレグの製造・保管・使用の期間において、含浸させたエポキシ樹脂組成物の粘度の経時的増大が少なく、高速での解舒性が低下しにくいことが求められる。
トウプレグが好適に用いられる圧力容器用途では、部材のさらなる軽量化の要求が高まっており、破裂強度の向上により強化繊維の使用量を削減する技術が求められている。破裂強度の向上には繊維強化複合材料の繊維軸方向の引張強度(0°引張強度)を高めることが有用であり、これは強化繊維の引張強度を高めるか、0°引張強度利用率を高めることによって達成できる。0°引張強度利用率は、繊維強化複合材料が強化繊維の強度をどれだけ活用しているかの指標であり、同じ種類と量の強化繊維を用いた場合は、0°引張強度利用率が高い方が、高い0°引張強度が得られる。
また、圧力容器には、高圧ガスの急速充填時に起こる温度上昇に対して十分な耐熱性を有していること、長期間にわたる繰り返しの使用や、高温・高湿環境での使用による性能低下が少ないことなども求められる。これらの要求性能を満足させるためには、マトリックス樹脂の伸度・靱性の向上、耐熱性(ガラス転移温度)の向上、吸湿性の低減が有用である。
特許文献1は、硬化剤として液状アミンを用いた、耐熱性と0°引張強度利用率のバランスに優れる、ウェットフィラメントワインディング成形用のエポキシ樹脂組成物を開示している。このようなエポキシ樹脂組成物では、繊維強化複合材料は高い0°引張強度利用率を得られるが、トウプレグとして用いるには粘度の経時安定性(ポットライフ)が不十分だった。
特許文献2は、硬化剤としてジシアンジアミドを含み、コアシェルゴム粒子を多量に含有させることで、ドレープ性、タック性、解舒性に優れ、高い破壊圧力を有した圧力容器を製造可能なトウプレグを開示しているが、このようなトウプレグでは、耐熱性と強度利用率の両立という観点では不十分であった。
国際公開第2016/208618号 国際公開第2017/099060号
本発明は、かかる背景に鑑み、耐熱性と0°引張強度利用率のバランスに優れた繊維強化複合材料が得られるトウプレグを提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明のトウプレグは、下記成分[A]~[C]すべてを含み、条件(I)および(II)を満たすエポキシ樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなるトウプレグである。
[A]25℃で液状の2官能エポキシ樹脂
[B]ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびオキサゾリドン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つであるエポキシ樹脂
[C]ジシアンジアミド
(I)全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[B]を5~40質量部含む
(II)エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度が1~150Pa・s
本発明のトウプレグを成形、硬化して得た繊維強化複合材料は、耐熱性と0°引張強度利用率のバランスに優れるため、優れた耐熱性と破裂強度を有する圧力容器を得ることができる。
本発明は、次の構成を有するものである。すなわち、本発明のトウプレグは、下記成分[A]~[C]すべてを含み、条件(I)および(II)を満たすエポキシ樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなるトウプレグである。
[A]25℃で液状の2官能エポキシ樹脂
[B]ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂およびオキサゾリドン型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つであるエポキシ樹脂
[C]ジシアンジアミド
(I)全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[B]を5~40質量部含む
(II)エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度が1~150Pa・s。
(成分[A]について)
本発明における成分[A]は、25℃で液状の2官能エポキシ樹脂である。成分[A]は、耐熱性と0°引張強度利用率の良好なバランスを損なうことなく、エポキシ樹脂組成物の粘度をトウプレグの製造に適した粘度に調整するために必要である。ここで、2官能とは、1分子中に2つのエポキシ基を有することを意味する。かかるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、などのビスフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアニリン型等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール型、ポリプロピレングリコール型、ブタンジオール型、ネオペンチルグリコール型、ヘキサンジオール型、シクロヘキサンジメタノール型などの脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、“jER(登録商標)”828(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製)、“EPICLON(登録商標)”830、“EPICLON(登録商標)”807(以上、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC株式会社製)、“jER(登録商標)”806(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製)などが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂の市販品としては、GAN(N,N-ジグリシジルアニリン、日本化薬(株)製)、GOT(N,N-ジグリシジル-o-トルイジン、日本化薬株式会社製)、などが挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX-821、“デナコール(登録商標)”EX-850(以上、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、“デナコール(登録商標)”EX-920、“デナコール(登録商標)”EX-941(以上、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、“デナコール(登録商標)”EX-214(1,4-ブタンジオール型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、“Araldite(登録商標)”DY-026(1,4-ブタンジオール型エポキシ樹脂、ハンツマン・ジャパン株式会社製)、“デナコール(登録商標)”EX-212(1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、“アデカレジン(登録商標)”ED-503(1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、ADEKA株式会社製)、“デナコール(登録商標)”EX-211(ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、“アデカレジン(登録商標)”ED-523(ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、ADEKA株式会社製)、“デナコール(登録商標)”EX-216(シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)、“リカレジン(登録商標)”DME-100(シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、新日本理化株式会社製)などが挙げられる。
本発明では、成分[A]として、脂肪族エポキシ樹脂[A1]を、全エポキシ樹脂成分100質量部中に3~20質量部含むことが好ましい。かかる範囲の成分[A1]を含むことで、耐熱性と0°引張強度利用率の良好なバランスを損なうことなく、エポキシ樹脂組成物の粘度を効果的に低減し、トウプレグの製造に適した範囲への調整が可能となることに加え、後述する成分[D1]および成分[D2]と併用することで、それぞれの成分を単独で使用する場合、または2成分を併用する場合と比較して、特異的な引張破断伸度と靭性値の向上効果が得られる。このような効果が得られる理由は定かではないが、成分[A1]、成分[D1]、成分[D2]がそれぞれもつ、異なる引張破断伸度と靭性値の向上メカニズムが協奏的に働いたためであると推測している。かかる成分[A1]としては、例えば、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ブタンジオール型エポキシ樹脂、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。
さらに、成分[A1]の中でも、硬化後のマトリックス樹脂の吸湿性を抑制できることから、炭素数4~10のアルキレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。かかる炭素数4~10のアルキレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂としては、例えば、ブタンジオール型エポキシ樹脂(アルキレン骨格の炭素数:4)、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂(アルキレン骨格の炭素数:5)、ヘキサンジオール型エポキシ樹脂(アルキレン骨格の炭素数:6)、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂(アルキレン骨格の炭素数:8)などが挙げられる。
(成分[B]について)
本発明における成分[B]は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、オキサゾリドン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであるエポキシ樹脂である。
成分[B]であるビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”YX4000、“jER(登録商標)”YX4000H、“jER(登録商標)”YL6121H(以上、三菱ケミカル株式会社製)などが挙げられる。
成分[B]の1種であるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の市販品としては、NC-3000-L、NC-3000、NC-3100(以上、日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
成分[B]の1種であるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPICLON(登録商標)”HP-7200L、“EPICLON(登録商標)”HP-7200、“EPICLON(登録商標)”HP-7200H(以上、DIC株式会社製)、XD-1000-2L、XD-1000、XD-1000H(以上、日本化薬株式会社製)などが挙げられる。
成分[B]の1種であるオキサゾリドン型エポキシ樹脂の市販品としては、“D.E.R.(登録商標)”858(Olin Corporation社製)などが挙げられる。
成分[B]の中でも、耐熱性と0°引張強度利用率のバランスが最も優れることから、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂[B1]を含むことがより好ましく、成分[B1]は1分子中に2つのエポキシ基を有する2官能型であることがさらに好ましい。かかる2官能型である成分[B1]の市販品としては、“EPICLON(登録商標)”HP-7200L(DIC株式会社製)などが挙げられる。
本発明において、全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[B]を5~40質量部含むことが必要であり、5~30質量部含むことが好ましい。成分[B]の含有量をかかる範囲とすることで、耐熱性と0°引張強度利用率のバランスを良好に保ち、かつエポキシ樹脂組成物をトウプレグの製造に適した粘度に調整することができる。
(その他のエポキシ樹脂について)
本発明の効果を損なわない範囲において、成分[A]および[B]以外のエポキシ樹脂を含有することができる。かかるエポキシ樹脂としては、特に制限はなく、例えば、固形ビスフェノールA型、固形ビスフェノールF型、固形ビスフェノールS型などの固形ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型、ジアミノジフェニルスルホン型、アミノフェノール型、メタキシレンジアミン型、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン型等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型、ヒダントイン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、ビスナフタレン型、トリスヒドロキシフェニルメタン型およびテトラフェニロールエタン型のエポキシ樹脂などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。
(成分[C]について)
本発明の成分[C]は、ジシアンジアミドである。ジシアンジアミドは、熱活性型の潜在性硬化剤である。すなわち、所定温度以下では活性の低い状態であるが、一定の熱履歴を受けることにより相変化や化学変化などを起こして活性の高い状態に変わる性質をもつ。成分[C]は、エポキシ樹脂組成物に安定性を付与し、エポキシ樹脂組成物の調製工程、トウプレグの製造工程、トウプレグの保存期間でのエポキシ樹脂組成物の増粘を防ぐ効果と、加熱条件において速やかに硬化反応を進行させる効果を両立するために必要な成分である。
かかるジシアンジアミドの市販品としては、“jERキュア(登録商標)”DICY7、“jERキュア(登録商標)”DICY15(以上、三菱ケミカル株式会社製)などが挙げられる。
ジシアンジアミドの含有量は、エポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ樹脂成分のエポキシ基のモル数に対し、ジシアンジアミドの活性水素のモル数が0.3~1.2当量となる量であることが好ましく、0.4~0.9当量の範囲となる量であることがより好ましい。すなわち、本発明のトウプレグに用いられるエポキシ樹脂組成物において、成分[C]の含有量は、成分[A]を含む全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、2.5~20質量部とすることが好ましく、3.5~15質量部とすることがより好ましい。成分[C]の含有量をかかる範囲とすることで、硬化不良や反応発熱過多による、耐熱性や力学特性の低下を防ぎ、良好な硬化物を得ることができる。ここで、本発明では、ジシアンジアミド1分子は4つのエポキシ基と反応すると解釈して、活性水素当量を21g/eq.として扱う。
(成分[D]について)
本発明のトウプレグに用いるエポキシ樹脂組成物は、成分[D]としてゴム成分を含むことが好ましい。ここで、ゴム成分とは、エポキシ樹脂硬化物の靱性を高めるために一般的に用いられる液状または固形のゴム成分のことを指す。成分[D]を含むことで、樹脂硬化物の靱性を高めることができ、繰り返しの使用による性能低下が少ない圧力容器を得ることができる。かかる成分[D]としては、例えば、アクリルゴム微粒子、ブタジエンゴム微粒子、ブタジエン-スチレンゴム微粒子、シリコーンゴム微粒子などのゴム微粒子、ゴム微粒子を異種ポリマーで被覆したコアシェル構造をもつコアシェルゴム微粒子、液状ブタジエンニトリルゴム、CTBN(カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム)、ATBN(アミノ基末端ブタジエンニトリルゴム)、主鎖内カルボキシ基変性ブタジエンニトリルゴムなどの液状ゴムなどが挙げられる。これらのゴム成分は、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。
かかるゴム成分の市販品としては、“カネエース(登録商標)”MX-125、“カネエース(登録商標)”MX-150、“カネエース(登録商標)”MX-154、“カネエース(登録商標)”MX-257、“カネエース(登録商標)”MX-267、“カネエース(登録商標)”MX-416、“カネエース(登録商標)”MX-451、“カネエース(登録商標)”MX-EXP(HM5)(以上、株式会社カネカ製)、“PARALOID(登録商標)”EXL-2655、“PARALOID(登録商標)”EXL-2668(以上、Dow Chemical社製)、“Hypro(登録商標)”1300X31、“Hypro(登録商標)”1300X13、“Hypro(登録商標)”1300X13NA、“Hypro(登録商標)”1300X8(以上、CVC Thermoset Specialties社製)などが挙げられる。
本発明において、成分[D]のそれぞれを単独で用いる場合と比較して、特に優れた靱性向上効果が得られることから、コアシェルゴム粒子[D1]、カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム[D2]をともに含むことがより好ましい。
成分[D1]の市販品としては、“カネエース(登録商標)”MX-125、“カネエース(登録商標)”MX-150、“カネエース(登録商標)”MX-154、“カネエース(登録商標)”MX-257、“カネエース(登録商標)”MX-267、“カネエース(登録商標)”MX-416、“カネエース(登録商標)”MX-451、“カネエース(登録商標)”MX-EXP(HM5)(以上、株式会社カネカ製)、“PARALOID(登録商標)”EXL-2655、“PARALOID(登録商標)”EXL-2668(以上、Dow Chemical社製)などが挙げられる。
成分[D2]の市販品としては、“Hypro(登録商標)”1300X31、“Hypro(登録商標)”1300X13、“Hypro(登録商標)”1300X13NA、“Hypro(登録商標)”1300X8(以上、CVC Thermoset Specialties社製)などが挙げられる。
本発明では、特に優れた靱性向上効果と耐熱性を両立することができることから、コアシェルゴム粒子[D1]、カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム[D2]をともに含む場合において、成分[D1]の含有量と成分[D2]の含有量の和は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、5~45質量部とすることが好ましく、9~35質量部とすることがより好ましく、9~20質量部とすることがさらに好ましくい。また、成分[D2]の含有量は、全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、0.5~15質量部とすることが好ましく、0.5~10質量部とすることがより好ましい。
さらに、本発明において、成分[D2]の質量を成分[D1]の質量で除して得られる質量比(成分[D2]の質量/成分[D1]の質量)は、0.1~0.8であることが好ましい。成分[D1]に対する成分[D2]の含有量をかかる範囲とすることで、特異的に優れた靱性を効果的に得ることができ、かつ耐熱性を両立することができる。
(成分[E]について)
本発明のトウプレグに用いるエポキシ樹脂組成物は、成分[E]として芳香族ウレアを含むことが好ましい。成分[E]を成分[C]と併用することで、エポキシ樹脂組成物の粘度の経時安定性と、硬化速度のバランスを良好にできる。ここで、芳香族ウレアとは、芳香環にウレア基が結合した構造を有する化合物を指し、具体的には、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア(DCMU)、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア、フェニルジメチルウレア(PDMU)、2,4-トルエンビス(3,3-ジメチルウレア)(TBDMU)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、適宜混合して用いてもよい。
かかる成分[E]の市販品としては、DCMU99(DCMU、保土ヶ谷化学工業株式会社製)、“Omicure(登録商標)”24(TBDMU、蝶理GLEX株式会社製)、“Dyhard(登録商標)”UR505(4,4’-メチレンビス(フェニルジメチルウレア)、AlzChem社製)などが挙げられる。
成分[E]の中でも、耐熱性に優れた樹脂硬化物を得られることから、TBDMUを用いることが好ましい。
成分[E]の含有量は、成分[A]を含む全エポキシ樹脂成分100質量部に対して、1.0~10質量部とすることが好ましく、1.1~5.0質量部とすることがより好ましい。
さらに、本発明において、全エポキシ基のモル数をウレア基のモル数で除して得られるモル比(全エポキシ基のモル数/ウレア基のモル数)は、15~55であることがより好ましい。全エポキシ基とウレア基のモル比をかかる範囲とすることで、速硬化性と耐熱性のバランスを良好にすることができる。
(その他添加剤について)
本発明のトウプレグに用いるエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を失わない範囲において、熱可塑性樹脂や揺変剤などの粘度調整剤、消泡剤、安定剤、難燃剤、顔料などの各種添加剤を含有することができる。熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂に可溶な熱可塑性樹脂としては、例えばポリビニルホルマールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルピロリドン、ポリスルホンなどを挙げることができる。揺変性付与剤としては、アマイドワックス、水添ひまし油などの有機系のものや、シリカ、アルミナ、アルミニウムとケイ素の混合酸化物、酸化チタン、軽質炭酸カルシウム、スメクタイト系粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ベントナイト、ヘクトライト、サポナイトなど)、セピオライト、カーボンブラックなどの無機系のものが挙げられる。消泡剤としては、非シリコンポリマー系消泡剤、シリコン系消泡剤などが挙げられる。
本発明のトウプレグに含浸させるエポキシ樹脂組成物は、25℃における粘度が1~150Pa・sであることが必要であり、1~110Pa・sであることが好ましく、1~50Pa・sであることがより好ましい。かかる粘度範囲とすることで、トウプレグ製造時のエポキシ樹脂組成物の送液性、強化繊維への含浸性、トウプレグの解舒性を良好とすることができる。
本発明において、樹脂硬化物のガラス転移温度は110~160℃であることが好ましく、120~150℃であることがより好ましい。樹脂硬化物のガラス転移温度をかかる範囲とすることで、樹脂硬化物の耐熱性と靱性を良好なバランスとすることができる。ここで、樹脂硬化物とは、本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱条件下で硬化させたものをいう。エポキシ樹脂組成物の硬化条件は特に制限がなく、例えば、1~20℃/minの速さで昇温させたのち、110~160℃にて0.5~8時間熱処理することで硬化反応を完了させることができる。
本発明のトウプレグに用いるエポキシ樹脂組成物の調製には、様々な公知の方法を用いることができる。例えばニーダー、プラネタリーミキサー、メカニカルスターラー、ディゾルバー、三本ロールといった機械を用いて混練しても良いし、ビーカーとスパチュラなどを用い、手で混ぜても良い。
本発明のトウプレグは、本発明のトウプレグに用いるエポキシ樹脂組成物を、強化繊維束に含浸したものである。ここで、強化繊維束としては、直径が3~100μmのフィラメントが1,000~70,000本束ねられて構成される強化繊維束が通常用いられる。
本発明のトウプレグに用いる強化繊維束としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などからなる繊維束が挙げられる。これらの繊維束を2種以上混合して用いても構わない。この中で、軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる炭素繊維束を用いることが好ましい。かかる炭素繊維束としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維束が挙げられ、特に引張強度の高いアクリル系の炭素繊維束が好ましく用いられる。
本発明のトウプレグにおける、エポキシ樹脂組成物の質量含有率(Rc)は、目的に応じて特に制限なく設定することができるが、好ましくは20~40%であり、20~30%がさらに好ましく、22~28%が最も好ましい。エポキシ樹脂組成物と強化繊維束との質量含有率が20%以上であれば、得られる繊維強化複合材料の内部の未含浸部分やボイドのような欠陥が発生することを抑制できる。また、40%以下であれば強化繊維束の体積含有率を高めることができるため、繊維強化複合材料の力学特性を効果的に発現でき、軽量化に寄与できる。
本発明のトウプレグは、様々な公知の方法で製造することができる。すなわち、本発明のトウプレグに用いるエポキシ樹脂組成物を、有機溶媒を用いずに加熱により低粘度化し、強化繊維束を浸漬させながら含浸させる方法、加熱して低粘度化した該エポキシ樹脂組成物を回転ロールや離型紙上に塗膜化し、次いで強化繊維束の片面、あるいは両面に転写したあと、屈曲ロールあるいは圧力ロールを通すことで加圧して含浸させる方法などで製造できる。高品位なトウプレグが製造できることから、本発明のトウプレグの製造方法は、エポキシ樹脂組成物で被覆された回転ロールを、強化繊維束の少なくとも片面に接触させる工程を含むことが好ましい。トウプレグは、通常、数百から数千メートルを紙管に巻き取ったボビン形状で供給される。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のトウプレグを、加熱硬化することにより得ることができる。本発明のトウプレグは航空・宇宙、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に使用することができ、特に、圧力容器などの中空の容器や、円筒の製造に好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り質量部を意味する。また、各種特性(物性)の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
<実施例および比較例で用いた材料>
(1)強化繊維束
・“トレカ(登録商標)”T720SC-36K(引張強度5,880MPa、フィラメント数36,000本、総繊度1,650tex、密度1.8g/cm、東レ株式会社製)。
(2)成分[A](成分[A1]以外):25℃で液状の2官能エポキシ樹脂
・“jER(登録商標)”828(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製)
・“jER(登録商標)”806(液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製)
・GAN(N,N-ジグリシジルアニリン、日本化薬株式会社製)。
(3)成分[A1]:脂肪族エポキシ樹脂
・“デナコール(登録商標)”EX-821(ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ナガセケムテックス株式会社製)
・“デナコール(登録商標)”EX-211(ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂、アルキレン骨格の炭素数:5、ナガセケムテックス株式会社製)
・“デナコール(登録商標)”EX-212(1,6-ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、アルキレン骨格の炭素数:6、ナガセケムテックス株式会社製)
・“デナコール(登録商標)”EX-216(シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、アルキレン骨格の炭素数:8、ナガセケムテックス株式会社製)。
(4)成分[B]:ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、オキサゾリドン型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つであるエポキシ樹脂
・“jER(登録商標)”YX4000(ビフェニル型エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製)
・NC-3000-L(ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製)
・“EPICLON(登録商標)”HP-7200L(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、DIC株式会社製)
・“D.E.R.(登録商標)”858(オキサゾリドン型エポキシ樹脂、Olin Corporation社製)。
(5)その他のエポキシ樹脂
・“スミエポキシ(登録商標)”ELM-434(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、住友化学株式会社製)。
(6)成分[C]:ジシアンジアミド
・“jERキュア(登録商標)”DICY7(エポキシ樹脂硬化剤、ジシアンジアミド、三菱ケミカル株式会社製)。
(7)その他の硬化剤
・“セイカキュア(登録商標)”S(エポキシ樹脂硬化剤、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、セイカ株式会社製)。
(8)成分[D1]:コアシェルゴム粒子
・“カネエース(登録商標)”MX-150(ポリブタジエンゴム型コアシェルゴム粒子40%の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂マスターバッチ、株式会社カネカ製)
・“カネエース(登録商標)”MX-257(ポリブタジエンゴム型コアシェルゴム粒子37%の液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂マスターバッチ、株式会社カネカ製)。
(9)成分[D2]:カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム
・“Hypro(登録商標)”1300X13NA(末端カルボキシル基変性ブタジエンニトリルゴム、CVC Thermoset Specialties社製)。
(10)成分[E]:芳香族ウレア
“Omicure”(登録商標)24(TBDMU、蝶理GLEX株式会社製)。
(11)その他添加剤
・“BYK(登録商標)”1790(消泡剤、ビックケミ-・ジャパン株式会社製)。
<エポキシ樹脂組成物の調製方法>
ビーカー中に、成分[C]、成分[E]以外の成分を投入後、100℃に加熱して均一となるまで撹拌した。続いて、樹脂の温度を25~60℃まで下げた後、成分[C]、および、成分[E]を投入して均一となるまで撹拌しエポキシ樹脂組成物を得た。成分[B]が成分[A]に相溶して均一となったことは、目視で判定した。実施例および比較例の成分含有比について表1~3に示した。
<エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度の測定方法>
JIS Z8803(2011)における「円すい-平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計(東機産業(株)製、TVE-30H)を使用して、回転速度を5~20回転/分として測定した。サンプルカップ内を測定温度(25℃)に調整し、エポキシ樹脂組成物を投入後、1分以上経過し表示値が安定したところで値を読み取った。
<エポキシ樹脂組成物のゲル化開始時間の評価方法>
キュアモニターLT-451(Lambient Technologies社製)を用いて、150℃におけるエポキシ樹脂組成物のイオン粘度の経時変化を測定した。エポキシ樹脂組成物のイオン粘度は硬化開始時に最低値をとり、硬化反応の進行に伴い増加後、完了とともに飽和する。本発明においては、硬化反応完了時のイオン粘度(測定で得られた最高値)に対する、ある時点でのイオン粘度の値の百分率をキュアインデックス(Cd)として算出し、Cdが20%に到達するまでの時間をゲル化開始時間とした。
<樹脂硬化板の作製方法>
エポキシ樹脂組成物を、真空中で脱泡した後、“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mm、または6mmになるように設定したモールドに注入した。次に、熱風オーブン中で室温から150℃まで1分間に2.5℃ずつ昇温した後、該温度で1時間保持して該エポキシ樹脂組成物を硬化した。続いて、室温まで降温し、モールドから脱型することで、樹脂硬化板を作製した。
<ガラス転移温度の測定方法>
2mm厚の樹脂硬化板から、幅12.7mm、長さ45mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(ARES、ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、ねじり振動周波数1.0Hz、昇温速度5.0℃/分の条件下で、30~250℃の温度範囲でDMA測定を行った。ガラス転移温度(Tg)は、貯蔵弾性率G’曲線において、ガラス状態での接線と転移状態での接線との交点における温度とした。
<エポキシ樹脂硬化物の引張破断伸度の測定方法>
2mm厚の樹脂硬化板から、JIS K7161(1994)に準拠した、1BA型のダンベル状に切り出したのち、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いて、チャック間距離を58mmに設定し、試験速度1mm/分にて引張試験を実施し、引張破断伸度を測定した。
<樹脂硬化物の破壊靱性測定方法>
ASTM D5045に準拠したSENB(Single Edge Noched Bend)試験法に準拠して実施した。6mm厚の樹脂硬化板から、長さ60mm、幅12.7mmの試験片を切り出した後、予亀裂を導入した。その後、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いて、スパン間を50.8mm、クロスヘッドスピードを10mm/分、サンプル数n=6とし、破壊靱性値(KIC)を測定した。
<樹脂硬化物の吸水率の測定方法>
厚さ2mm、長さ60mm、幅10mmの大きさに加工した樹脂硬化板を、60℃で24時間真空乾燥させた後、温度85℃、湿度95%RHの湿熱条件下にて7日間静置した。試験片の乾燥質量に対する、湿熱条件曝露後の質量変化の百分率を吸水率とした。
<トウプレグの作製方法>
クリール、キスロール、ニップロール、ワインダーを備えたトウプレグ製造装置を用いて、炭素繊維“トレカ(登録商標)”T720SC-36Kの片面に、20~60℃の温度に調整したエポキシ樹脂組成物を塗工した後、ニップロールを通過させることで該エポキシ樹脂組成物を強化繊維束内部まで含浸して、樹脂含有率が25%のトウプレグを得た。トウプレグのボビンは、初期張力を600~1000gf、ワインド比を6~10として、巻き幅が230~260mmの円筒型となるよう、2300mを紙管に巻き取った。
<繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の測定方法>
離型フィルムを貼り付けた金属板でトウプレグを挟み込み、トウに一定の張力をかけながら、熱風オーブン中で室温から150℃まで1分間に2.5℃ずつ昇温した後、150℃で1時間保持してトウプレグを硬化させた。硬化したトウプレグの両端に、タブ間の距離が150mmとなるように幅14mm、長さ50mmのガラス繊維強化プラスチック製タブを接着して、試験片を作製した。この試験片に対して、インストロン万能試験機(インストロン社製)を用いて、クロスヘッドスピード3.0mm/分にて引張試験を行い、繊維長手方向(0°方向)の断面積あたりの破断荷重をもとめた。試験片の断面積は強化繊維の単位長さあたりの質量を密度で除して求めた。また、10個の試験片の引張強度の平均値を用いて0°引張強度利用率を算出した。0°引張強度利用率(%)は、トウプレグ硬化物の0°引張強度/強化繊維のストランド強度×100により算出した。
<強化繊維のストランド強度の測定方法>
強化繊維のストランド強度は、JIS R7608:2007「樹脂含浸ストランド試験法」に準拠し、次の手順に従って求めた。測定する炭素繊維束の樹脂含浸ストランドは、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(100質量部)、3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3質量部)およびアセトン(4質量部)からなる組成物を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸し、125℃の温度で30分硬化させて作製した。炭素繊維の樹脂含浸ストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値をストランド強度とした。引張弾性率の測定伸度域は伸度0.3~0.7%の範囲とした。本実施例では、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートとして、ダイセル化学工業社製“セロキサイド(登録商標)”2021Pを用いた。
(実施例1)
成分[A]として“jER(登録商標)”828を80質量部、成分[B]として“jER(登録商標)”YX-4000を20質量部、成分[C]として“jERキュア(登録商標)”DICY7を6.3質量部、成分[E]として“Omicure(登録商標)”24を1.7質量部、その他添加剤として“BYK(登録商標)”1790を0.5質量部用いて、上記<エポキシ樹脂組成物の調製方法>に従ってエポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の、25℃における粘度は22Pa・s、150℃におけるゲル化時間は3.5分であった。また、樹脂硬化物のガラス転移温度は140℃、引張破断伸度は5.5%、破壊靱性値(KIC)は0.8MPa・m0.5、吸水率は5.4%であった。
次に、このエポキシ樹脂組成物を用いて、上記<トウプレグの作製方法>に従ってトウプレグを得た。このトウプレグを用いて得られた0°引張強度利用率は91%であった。
以上のように全ての試験において良好な結果が得られた。
(実施例2)
表1に示したように、成分[B]としてNC-3000-Lを20質量部含む以外は、実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した。評価結果は、樹脂組成物の25℃における粘度、150℃におけるゲル化時間、樹脂硬化物のガラス転移温度、引張破断伸度、破壊靱性値(KIC)、吸水率、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の全てで良好な結果が得られた。
(実施例3)
表1に示したように、成分[B]として“EPICLON(登録商標)”7200-Lを20質量部含む以外は、実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した。評価結果は、樹脂組成物の25℃における粘度、150℃におけるゲル化時間、樹脂硬化物のガラス転移温度、引張破断伸度、破壊靱性値(KIC)、吸水率、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の全てで良好な結果が得られた。
(実施例4)
表1に示したように、成分[B]として“D.E.R.(登録商標)”858を20質量部含む以外は、実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した。評価結果は、樹脂組成物の25℃における粘度、150℃におけるゲル化時間、樹脂硬化物のガラス転移温度、引張破断伸度、破壊靱性値(KIC)、吸水率、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の全てで良好な結果が得られた。
(実施例5、6)
表1に示したように、樹脂組成を変更し、成分[D]として“hypro(登録商標)”CTBN1300X13NAを用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、樹脂組成物の25℃における粘度、150℃におけるゲル化時間、樹脂硬化物のガラス転移温度、引張破断伸度、破壊靱性値(KIC)、吸水率、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の全てで良好な結果が得られた。特にKICは、成分[D]によって優れた値を示した。
(実施例7~9)
表1に示したように、樹脂組成を変更し、成分[D]として“カネエース(登録商標)”MX-257を用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、樹脂組成物の25℃における粘度、150℃におけるゲル化時間、樹脂硬化物のガラス転移温度、引張破断伸度、破壊靱性値(KIC)、吸水率、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の全てで良好な結果が得られた。特にKICは、成分[D]によって優れた値を示した。
(実施例10~13)
表1および表2に示したように、樹脂組成を変更し、成分[D1]として“カネエース(登録商標)”MX-150を、成分[D2]として“hypro(登録商標)”CTBN1300X13NAを用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、樹脂組成物の25℃における粘度、150℃におけるゲル化時間、樹脂硬化物のガラス転移温度、引張破断伸度、破壊靱性値(KIC)、吸水率、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の全てで良好な結果が得られた。特にKICは、成分[D1]と成分[D2]の併用によって特に優れた値を示した。中でも、成分[D2]の質量/成分[D1]の質量が0.1~0.8である実施例10~12は、特に優れたKIC向上効果と耐熱性を両立した。
(実施例14~19)
表2に示したように、樹脂組成を変更し、成分[A1]を用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、樹脂組成物の25℃における粘度、150℃におけるゲル化時間、樹脂硬化物のガラス転移温度、引張破断伸度、破壊靱性値(KIC)、吸水率、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率の全てで良好な結果が得られた。成分[A1]によって、耐熱性と0°引張強度利用率の良好なバランスを損なうことなく、エポキシ樹脂組成物の粘度を効果的に低減でき、なおかつ、成分[D1]および成分[D2]と併用することで、それぞれの成分を単独で使用する場合、または2成分を併用する場合と比較して、特異的な引張破断伸度と靭性値の向上効果が得られた。また、成分[A1]として炭素数4~10のアルキレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂を用いた実施例15~19は、実施例14と比較して樹脂硬化物の吸湿性を抑制できた。
(比較例1)
表3に示したように、樹脂組成を変更し、成分[B]を用いない代わりに、その他のエポキシ樹脂として“スミエポキシ(登録商標)”ELM-434を20質量部用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、樹脂硬化物のガラス転移温度は144℃と良好だが、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率は84%と不十分であった。
(比較例2)
表3に示したように、樹脂組成を変更し、成分[B]を用いず、成分[A]として、“jER(登録商標)”806を80質量部、GANを20質量部用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率は93%と良好だが、樹脂硬化物のガラス転移温度は95℃と不十分であった。
(比較例3、4)
表3に示したように、樹脂組成を変更し、成分[B]を3質量部と、含有量を5質量部より少なくした。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、樹脂硬化物のガラス転移温度は良好だが、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率は不十分であり、成分[B]の効果が十分得られなかった。
(比較例5)
表3に示したように、樹脂組成を変更し、実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した。その結果、樹脂組成物の25℃における粘度が171Pa・sと高いため、使用した製造装置においてエポキシ樹脂組成物の送液のために高い加温条件とする設備が必要であり、トウプレグの製造効率としては不十分だった。
(比較例6)
表3に示したように、樹脂組成を変更し、成分[A]を用いない代わりに、その他のエポキシ樹脂として“スミエポキシ(登録商標)”ELM-434を80質量部用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物、トウプレグを作製、評価した結果、樹脂硬化物のガラス転移温度は196℃と良好だが、繊維強化複合材料の0°引張強度利用率は77%と不十分であった。
(比較例7)
表3に示したように、樹脂組成を変更し、成分[C]を用いない代わりに、その他の硬化剤として“セイカキュア(登録商標)”Sを用いた。実施例1と同じ方法で、エポキシ樹脂組成物を作製、評価した結果、上記<樹脂硬化板の作製方法>の条件では硬化せず、硬化速度が不十分であった。

Claims (6)

  1. 下記成分[A]、[B1]、[C]、[D1]および[D2]すべてを含み、条件(I)および(II)を満たすエポキシ樹脂組成物を、強化繊維に含浸させてなるトウプレグ。
    [A]25℃で液状の2官能エポキシ樹脂
    [B1]ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂
    [C]ジシアンジアミド
    [D1]コアシェルゴム粒子
    [D2]カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム
    (I)全エポキシ樹脂100質量部のうち、成分[B1]を5~40質量部含む
    (II)エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度が1~150Pa・s
  2. 前記エポキシ樹脂組成物が条件(III)を満たす、請求項1に記載のトウプレグ。
    (III) 成分[D2]の質量/成分[D1]の質量 = 0.1~0.8
  3. 前記エポキシ樹脂組成物が下記条件(IV)を満たす、請求項1または2に記載のトウプレグ。
    (IV)ガラス転移温度が110~160℃
  4. 前記エポキシ樹脂組成物が成分[A]として下記成分[A1]を、全エポキシ樹脂成分100質量部中に3~20質量部含む、請求項1~3のいずれかに記載のトウプレグ。
    [A1]脂肪族エポキシ樹脂
  5. 前記エポキシ樹脂組成物が成分[A1]として、炭素数4~10のアルキレン骨格を有する2官能エポキシ樹脂を含む、請求項4に記載のトウプレグ。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のトウプレグを硬化させてなる繊維強化複合材料。
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