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JP7716857B2 - 研磨用組成物 - Google Patents
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JP7716857B2 - 研磨用組成物 - Google Patents

研磨用組成物

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JP7716857B2 JP2021009313A JP2021009313A JP7716857B2 JP 7716857 B2 JP7716857 B2 JP 7716857B2 JP 2021009313 A JP2021009313 A JP 2021009313A JP 2021009313 A JP2021009313 A JP 2021009313A JP 7716857 B2 JP7716857 B2 JP 7716857B2
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Description

本発明は、研磨用組成物に関する。
近年、LSI製造プロセスの微細化がもたらす高集積化によって、コンピューターをはじめとした電子機器は、小型化、多機能化、高速化等の高性能化を果たしてきた。このようなLSIの高集積化に伴う新たな微細加工技術において、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)法が使用される。CMP法は、LSI製造工程、特に多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線(ダマシン配線)形成において頻繁に利用される技術である。
近年、CMPは、半導体製造における各工程に適用されてきており、その一態様として、例えばトランジスタ作製におけるゲート形成工程への適用が挙げられる。
トランジスタ作製の際には、多結晶シリコン(ポリシリコン)や酸化ケイ素といったSi含有材料を研磨することがあり、研磨後の金属汚染を低減することが求められている。例えば、特許文献1には、砥粒の凝集を抑制しつつ、研磨後の被研磨物表面の汚染を低減できる研磨用組成物として、ビニルエステル系単量体とビニルアルコールとの共重合体と、有機酸と、pH2.0以上の溶液中で表面のゼータ電位がマイナスであり且つ等電点を持たないように表面が化学修飾された砥粒とを含む研磨組成物が提案されている。
国際公開第2014/84091号
しかしながら、特許文献1の研磨組成物は、研磨対象物(特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物)に対する研磨速度が低いという問題がある。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、優れた安定性および研磨対象物(特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物)の高い研磨速度を両立できる研磨用組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明者は鋭意研究を積み重ねた。その結果、pH7未満の水溶液中で正のゼータ電位を有し、かつ単位表面積当たりのシラノール基数が2.5個/nm以下である砥粒と、下記一般式(1)で表される単量体とビニルエステル単量体との共重合体であって、けん化度が95モル%以上である、側鎖に1,2-ジオール構造を有する共重合体と、を含有し、pHが7未満である、研磨用組成物により上記課題が解決されうることを見出した。
前記一般式(1)中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子または有機基であり、
Xは単結合または連結基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはR-CO-(Rはアルキル基)である。
本発明は、優れた安定性および研磨対象物(特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物)の高い研磨速度を両立できる、新規な研磨用組成物を提供することができる。
本発明は、pH7未満の水溶液中で正のゼータ電位を有し、かつ単位表面積当たりのシラノール基数が2.5個/nm以下である砥粒と、下記一般式(1)で表される単量体とビニルエステル単量体との共重合体であって、けん化度が95モル%以上である、側鎖に1,2-ジオール構造を有する共重合体と、を含有し、pHが7未満である、研磨用組成物である。
前記一般式(1)中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子または有機基であり、
Xは単結合または連結基であり、
およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはR-CO-(Rはアルキル基)である。
かかる構成によって、研磨用組成物を低温から高温までの広い温度域(特に低温)で沈殿物を生じることなく安定して貯蔵できる(保存安定性に優れる)と共に、研磨対象物(特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物)に対して高い研磨速度を達成できる。ここで、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは以下のように推測される。なお、本発明は下記推測に限定されるものではない。
本発明の研磨用組成物に含まれる砥粒は、シラノール基数が少ない(シラノール基密度が低い)。通常、砥粒(例えば、シリカ粒子)表面には、表面シラノール基による水素結合等を介して分散媒分子(例えば、水分子)の膜が形成している。シラノール基数が少なく、砥粒表面上を被覆する分散媒(例えば、水)が少ない砥粒を研磨用組成物に使用すると、研磨時に砥粒表面と研磨対象物との間に分散媒分子膜が存在しないまたは存在しにくい。このため、研磨対象物に砥粒が容易にかつ効率よく(高頻度で)研磨対象物に接近し、研磨対象物表面を効率よく掻き取る(研磨する)ことが可能になる。特に、酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物等のケイ素原子を含む研磨対象物の研磨において、分散媒分子膜(例えば、水分子膜)が少ないと、研磨時に砥粒が研磨対象物表面により接近しやすい。さらに、かような砥粒と研磨対象物表面との間には水素結合だけでなく、電荷的な相互作用も関係する。このため、砥粒表面のシラノール基と研磨対象物表面のシラノール基とがより強固に結合しやすく、研磨対象物表面を高速でかつ効率よく研磨できる。また、本発明の研磨用組成物に含まれる砥粒は、研磨用組成物中で正(プラス)のゼータ電位を有する。研磨パッド屑は一般に酸性条件下でゼータ電位が正(プラス)であることから、砥粒同士の凝集や砥粒と研磨パッド屑との凝集が抑制され、粗大粒子がより形成されにくい。このため、研磨用組成物の保存(貯蔵)時の沈殿物の発生を有効に抑制・防止できる(保存安定性を向上できる)。また、研磨対象物表面のスクラッチの発生も有効に低減できる。なお、アニオン性のシラノール基の数が少ないことにより、砥粒の等電点が高い側にシフトする。このため、特に強酸性条件(例えば、pH=3以下)ではゼータ電位がより正側に帯電することで砥粒の分散性をさらに改善できる(保存安定性をさらに向上できる)。
本発明の研磨用組成物は、上記に加えて、特定構造の共重合体を含む。本発明に係る共重合体は側鎖に1,2-ジオール構造単位を有する。1,2-ジオール構造単位は親水性であるため、広い温度範囲(特に低温環境)下での砥粒の分散性をさらに向上し、砥粒の凝集を抑制できる(粗大粒子がより形成されにくい)。このため、研磨用組成物の保存(貯蔵)時の沈殿物の発生を有効に抑制・防止できる(保存安定性、特に低温下での保存安定性を向上できる)。また、研磨対象物表面のスクラッチの発生も有効に低減できる。また、共重合体はビニルエステル単量体(例えば、ビニルアルコール)由来の構成単位を有する。当該構成単位は砥粒(特にコロイダルシリカ)や研磨対象物表面(特に酸化ケイ素や多結晶シリコン等のシリコン含有材料を含む研磨対象物表面)に対して親和性を示す。このため、本発明に係る共重合体の添加により、砥粒が研磨対象物表面と接触しやすくなり、作用頻度が増す。特に側鎖に1,2-ジオール構造単位を含む共重合体は親水性を示すため、疎水性表面である研磨対象物表面をさらに親水化して、結果として研磨速度を向上できる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で行う。
[砥粒]
本発明に係る研磨用組成物中に含まれる砥粒は、研磨対象物を機械的に研磨する作用を有し、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度を向上させる。
本発明に係る砥粒は、pH7未満の水溶液中で正のゼータ電位を有し、かつ単位表面積当たりのシラノール基数が2.5個/nm以下である。ここで、「pH7未満の水溶液中で正のゼータ電位を有する」とは、砥粒が少なくとも水を含む水溶液中で正のゼータ電位を有することを意味し、砥粒がpH7未満の研磨用組成物中で正のゼータ電位を示すことと同義である。また、砥粒のゼータ電位が0となる等電点がpH7以上の範囲であるということと同義である。砥粒がpH7未満の水溶液中で0以下のゼータ電位を有するまたは砥粒の単位表面積当たりのシラノール基数が2.5個/nmを超える場合には、厚い分散媒分子膜が研磨時に砥粒表面と研磨対象物との間に存在するため、砥粒が研磨対象物に接近しにくく、研磨速度が低くなってしまう(下記比較例2、5、6参照)。pH7未満の水溶液(研磨用組成物)中の砥粒のゼータ電位は、好ましくは5mVを超え50mV以下であり、より好ましくは10mV以上50mV以下であり、さらに好ましくは10mV以上30mV以下であり、さらにより好ましくは13mV以上20mV以下であり、特に好ましくは13mV以上20mV未満である。また、砥粒の単位表面積当たりのシラノール基数は、2.4個/nm以下、2.4個/nm未満、2.3個/nm以下、2.2個/nm以下、2.1個/nm以下、2.0個/nm以下、1.9個/nm以下、1.8個/nm以下の順で好ましい。なお、シラノール基数の下限は低いほど好ましいため、0個/nmであるが、通常0.2個/nm以上であればよく、好ましくは0.4個/nm以上、より好ましくは0.8個nm以上である。このようなゼータ電位および/またはシラノール基数を有する砥粒であれば、保存安定性および研磨速度をさらに向上できる。なお、本明細書において、「砥粒のゼータ電位」および「砥粒の単位表面積当たりのシラノール基数」は、それぞれ、下記実施例中の<ゼータ電位の測定方法>および<シラノール基数の算出方法>に記載の方法によって測定される値が採用される。
本発明に係る砥粒のゼータ電位は、砥粒のシラノール基数を少なくするまたは砥粒の表面をカチオン修飾することによって達成できる。
本発明の一実施形態において、砥粒の具体例としては、例えば、シリカ等の金属酸化物からなる粒子が挙げられる。該砥粒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、該砥粒は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。これら砥粒の中でも、シリカが好ましく、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカがより好ましく、特に好ましいのはコロイダルシリカである。コロイダルシリカの製造方法としては、ケイ酸ソーダ法、ゾルゲル法が挙げられ、いずれの製造方法で製造されたコロイダルシリカであっても、本発明の砥粒として好適に用いられる。しかしながら、高純度で製造できるゾルゲル法により製造されたコロイダルシリカが好ましい。
本発明の一実施形態において、前記砥粒の単位表面積あたりのシラノール基数を2.5個/nm以下にするためには、砥粒の製造方法の選択等により制御することができ、例えば、焼成等の熱処理を行うことが好適である。本発明の一実施形態において、焼成処理とは、例えば、砥粒(例えば、シリカ)を、120~200℃の環境下に、30分以上保持する。このような、熱処理を施すことによって、砥粒表面のシラノール基数を、2.5個/nm以下等の所望の数値にせしめることができる。このような特殊な処理を施さない限り、砥粒表面のシラノール基数が2.5個/nm以下にはならない。
本発明の一実施形態において、表面がカチオン修飾された砥粒を使用することができる。ここで、表面がカチオン修飾されているコロイダルシリカとして、アミノ基または第4級アンモニウム基が表面に固定化されたコロイダルシリカが好ましく挙げられる。このようなカチオン性基を有するコロイダルシリカの製造方法としては、特開2005-162533号公報に記載されているような、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルジメチルエトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤またはN-トリメトキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム基を有するシランカップリング剤を砥粒の表面に固定化する方法が挙げられる。これにより、アミノ基または第4級アンモニウム基が表面に固定化されたコロイダルシリカを得ることができる。本発明の一実施形態において、前記砥粒は、アミノ基を有するシランカップリング剤または第4級アンモニウム基を有するシランカップリング剤を砥粒の表面に固定化させてなる。
本発明の一実施形態において、前記砥粒の平均一次粒子径が10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、25nm以上であることがよりさらに好ましく、30nm以上であることが特に好ましい。本発明の一実施形態の研磨用組成物において、前記砥粒の平均一次粒子径が60nm以下であることが好ましく、55nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましく、40nm以下であることが特に好ましい。前記砥粒の平均一次粒子径を上記範囲に調整することで研磨対象物の研磨速度をさらに向上させることができる。なお、本明細書において、平均一次粒子径は、実施例に記載の方法によって測定される値が採用される。
前記砥粒の平均二次粒子径が、40nm以上であることが好ましく、45nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、55nm以上であることがよりさらに好ましく、60nm以上であることが特に好ましい。本発明の一実施形態において、前記砥粒の平均二次粒子径が、110nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、90nm以下であることがさらに好ましく、80nm以下であることがよりさらに好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。前記砥粒の平均二次粒子径を上記範囲に調整することで研磨対象物の研磨速度をさらに向上させることができる。なお、本明細書において、平均二次粒子径は、実施例に記載の方法によって測定される値が採用される。
本発明の一実施形態において、研磨用組成物中の砥粒の平均会合度(平均二次粒子径/平均一次粒子径)の下限は、1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましく、2.0以上であることが特に好ましい。本発明の一実施形態において、研磨用組成物中の砥粒の平均会合度の上限は、3.5以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.5未満であることが特に好ましい。前記砥粒の平均会合度を上記範囲に調整することで研磨対象物をより高速に研磨できる。
本発明の一実施形態において、前記研磨用組成物中で、前記砥粒の含有量が、0.03質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらにより好ましく、0.9質量%以上であることがさらにより好ましく、2質量%以上であることが特に好ましい。本発明の一実施形態において、前記研磨用組成物中で、前記砥粒の含有量が、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることがさらにより好ましく、3質量%以下であることがさらにより好ましく、1質量%以下であることが特に好ましい。このような含有量であれば、研磨対象物をより高速に研磨できる。
特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物等のケイ素原子を含む研磨対象物を研磨する場合には、前記研磨用組成物中で、前記砥粒の含有量を、0.1~10質量%に調整することが好ましく、1~8質量%に調整することがより好ましく、2~7質量%に調整することが特に好ましい。または、特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物等のケイ素原子を含む研磨対象物を研磨する場合には、前記研磨用組成物中で、前記砥粒の含有量を、0.1~5質量%に調整することが好ましく、0.2~3質量%に調整することがより好ましく、0.3~1質量%に調整することが特に好ましい。かような範囲に調整しておくことで、研磨対象物をより高速に研磨できる。なお、本明細書に開示されている全ての下限値上限値の値は、全ての組合せが開示されている。
[共重合体]
本発明の一実施形態において、研磨用組成物は、下記一般式(1)で表される単量体とビニルエステル単量体との共重合体であって、けん化度が95モル%以上である、側鎖に1,2-ジオール構造を有する共重合体を含む。なお、本明細書において、「側鎖に1,2-ジオール構造を有する」とは、共重合体が、下記一般式(1)中、RおよびRが双方とも水素原子である構成単位を有することを意図する。
本発明の一実施形態において、当該共重合体を構成するビニルエステル単量体としては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。これらのビニルエステル単量体は単独で使用されてもまたは2種以上を組み合わせて使用されてもよい。後者の場合、各構成単位の配置は、特に制限されず、ブロック状(ブロック共重合体)でもよいしランダム状(ランダム共重合体)でもよいし交互状(交互共重合体)でもよい。これらのうち、入手容易性、研磨対象物との親和性などの観点から、酢酸ビニルが好ましい。上記ビニルエステル単量体は、単独で使用されてもまたは2種以上を組み合わせて使用されてもよい。後者の場合、各構成単位の配置は、特に制限されず、ブロック状(ブロック共重合体)でもよいしランダム状(ランダム共重合体)でもよいし交互状(交互共重合体)でもよい。
本発明の一実施形態において、当該ビニルエステル単量体と共重合体を構成する単量体は、上記一般式(1)で表される。ここで、一般式(1)の単量体は、単独で使用されてもまたは2種以上を組み合わせて使用されてもよい。後者の場合、各構成単位の配置は、特に制限されず、ブロック状(ブロック共重合体)でもよいしランダム状(ランダム共重合体)でもよいし交互状(交互共重合体)でもよい。
前記一般式(1)において、R~Rは、水素原子または有機基である。この際、R~Rは、それぞれ同じであっても、または互いに異なるものであってもよい。また、R~Rが有機基である場合の、有機基としては、炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基などが挙げられる。炭素数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、1-イソプロピルプロピル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、1,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2-メチル-1-イソプロピルプロピル基、1-エチル-3-メチルブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、3-メチル-1-イソプロピルブチル基、2-メチル-1-イソプロピル基、1-tert-ブチル-2-メチルプロピル基などが挙げられる。
なお、前記有機基は、少なくとも1つの水素原子が置換基で置換されていてもよい。ここで、置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヒドロキシル基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、チオール基(-SH)、シアノ基(-CN)、スルホン酸基等が挙げられる。
これらのうち、R~Rは、水素原子または炭素数1以上4以下の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖のアルキル基がより好ましく、R~Rすべてが水素原子であることが特に好ましい。
前記一般式(1)において、Xは単結合または連結基である。ここで、連結基としては、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基)、アルケニレン基(例えば、ビニレン基、1-プロペニレン基、アリレン基)、フェニレン基、ナフチレン基、酸素原子(-O-)、オキシアルキレン基[-(CHO)-;m=1~3]、-(OCH-(m=1~3)、-(CHO)CH-(m=1~3)、-CO-、-COCO-、-CO(CHCO-(m=1~3)、-CO(C)CO-、-S-、-CS-、-SO-、-SO-、-NR-、-CONR-、-NRCO-、-CSNR-、-NRCS-、-NRNR-、-HPO-、-Si(OR)-、-OSi(OR)-、-OSi(OR)O-、-Ti(OR)-、-OTi(OR)-、-OTi(OR)O-、-Al(OR)-、-OAl(OR)-、-OAl(OR)O-(Rは各々独立して任意の置換基(好ましくは水素原子またはアルキル基)である)等が挙げられる。なお、上記の連絡基は、少なくとも1つの水素原子が前記有機基と同様の置換基で置換されていていてもよい。
これらのうち、保存安定性のさらなる向上効果の観点から、Xは単結合またはメチレン基であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
およびRは、それぞれ独立して、水素原子またはR-CO-(Rはアルキル基)である。この際、RおよびRは、それぞれ同じであっても、または異なるものであってもよい。また、Rでアルキル基である場合のアルキル基は、炭素数1以上8以下の直鎖もしくは分岐のアルキル基であり、具体的な例は前記R~Rの例示と同様である。これらのうち、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1以上3以下の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基またはエチル基がより好ましく、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
すなわち、本発明の好ましい形態では、前記一般式(1)の単量体は、R~Rが水素原子であり、Xが単結合であり、R~RがR-CO-であり、この際、Rが炭素数1以上3以下の直鎖または分岐のアルキル基である前記一般式(1)の単量体であることが好ましく、R~Rが水素原子であり、Xが単結合であり、RおよびRが水素原子である(3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン)またはCH-CO-である(3,4-ジアセトキシ-1-ブテン)であることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係る共重合体は、下記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位およびビニルエステル単量体由来の構成単位を必須に含むが、別の構成単位(他の単量体由来の構成単位)をさらに有していてもよい。ここで、他の単量体としては、エチレン、プロピレン等のα-オレフィン;3-ブテン-1-オール、4-ペンテン-1-オール等の水酸基を有するオレフィンおよびそのアシル化物;イタコン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和酸またはその塩もしくはアルキルエステル化物(モノ,ジ-アルキルエステル化物);アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸またはその塩;アルキルビニルエーテル、ジメチルアリルビニルケトン、N-ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン等のビニル化合物;酢酸イソプロペニル、1-メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル;塩化ビニリデン;1,4-ジアセトキシ-2-ブテン;ビニレンカーボネートなどが挙げられる。共重合体は、好ましくは下記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位およびビニルエステル単量体由来の構成単位から実質的に構成され(他の単量体由来の構成単位の含有量が全構成単位に対して5モル%未満)、より好ましくは下記一般式(1)で表される単量体由来の構成単位およびビニルエステル単量体由来の構成単位から構成される(他の単量体由来の構成単位の含有量が全構成単位に対して0モル%)。
本発明の一実施形態に係る共重合体の製造方法は、公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。例えば、共重合は、ラジカル重合開始剤や触媒の存在下で、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法、又は塊状-懸濁重合法等の従来公知の方法で共重合させることにより行われる。例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で、必要であれば溶媒中で、ビニルエステル単量体と前記一般式(1)で表わされる単量体と必要であれば前記他の単量体とを、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法、又は塊状-懸濁重合法等の従来公知の方法で共重合することによって行われる。ここで、ラジカル重合開始剤(触媒)としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリルなどを使用できる。また、共重合条件は、使用する溶媒や圧力等の他の条件によるが、例えば、35~150℃、好ましくは40~100℃の範囲で行われる。
本発明の一実施形態に係る共重合体は、95モル%以上のけん化度を有し、側鎖に1,2-ジオール構造を有する。このため、前記構造とするためには、前記共重合体をけん化処理を施してもよい。ここで、共重合体のけん化度が95モル%未満であると、親水性が不十分で、砥粒が凝集してしまう(保存安定性が低い)(下記比較例7参照)。本発明の一実施形態において、けん化度が95(95.0)モル%を超えることが好ましく、98(98.0)モル%以上(上限:100モル%)であることがより好ましい。なお、本明細書において、「けん化度」は、JIS K6726-1994に準拠して測定された値が採用される。
すなわち、本発明の好ましい形態では、研磨用組成物に含まれる本発明の一実施形態に係る共重合体は、酢酸ビニルと、R~Rが水素原子であり、Xが単結合であり、R~RがR-CO-(R=炭素数1以上3以下の直鎖または分岐のアルキル基)である前記一般式(1)の単量体と、の共重合体のけん化処理物である。本発明のより好ましい形態では、研磨用組成物に含まれる本発明の一実施形態に係る共重合体は、酢酸ビニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブテンとの共重合体のけん化処理物である(ビニルアルコール由来の構成単位および3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン由来の構成単位を有する)。
ここで、けん化処理は、例えば、上記したような共重合によって得られた共重合体を溶媒に溶解し、アルカリ触媒または酸触媒を用いて行うことができる。ここで、前記溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert-ブタノール等のアルコールが使用できる。また、けん化処理に使用できるアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラート等が使用できる。また、けん化処理に使用できる酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等が使用できる。けん化処理反応の反応温度は特に限定されないが、10~60℃が好ましく、より好ましくは20~50℃である。
本発明の一実施形態に係る共重合体は、50~3000の重合度を有する。本発明の一実施形態に係る共重合体は、300~1200の重合度を有する。本発明の一実施形態に係る共重合体は、400~800の重合度を有する。かような実施形態であることによって、研磨対象物の保存安定性をより向上できる。また、保存安定性および研磨対象物の研磨速度とのバランスをさらに向上できる。
本発明の一実施形態に係る共重合体は、100℃~230℃の融点を有する。本発明の一実施形態に係る共重合体は、130℃~230℃の融点を有する。本発明の一実施形態に係る共重合体は、160℃以上190℃未満の融点を有する。かような実施形態であることによって、研磨対象物の保存安定性をより向上できる。また、保存安定性および研磨対象物の研磨速度とのバランスをさらに向上できる。なお、本明細書において、「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)により測定された値が採用される。
本発明の一実施形態に係る共重合体は、上記したように合成されても、または市販品を使用してもよい。市販品としては、三菱ケミカル株式会社製のニチゴーGポリマーTMシリーズ(酢酸ビニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブテンとの反応によって得られたものを加水分解したブテンジオールビニルアルコール共重合体)などが使用できる。
本発明の一実施形態において、前記研磨用組成物中で、前記共重合体の含有量が、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらに好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%超であることが特に好ましい。本発明の一実施形態において、前記研磨用組成物中で、前記共重合体の含有量が、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%未満であることがさらに好ましく、1質量%未満であることが特に好ましい。このような含有量であれば、研磨対象物の保存安定性をより向上できる。また、保存安定性および研磨対象物の研磨速度とのバランスをさらに向上できる。
特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物等のケイ素原子を含む研磨対象物を研磨する場合には、前記研磨用組成物中で、前記共重合体の含有量を、0.001~10質量%に調整することが好ましく、0.05質量%を超えて10質量%未満に調整することがより好ましく、0.1質量%を超えて7質量%以下に調整することが特に好ましい。または、特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物等のケイ素原子を含む研磨対象物を研磨する場合には、前記研磨用組成物中で、前記共重合体の含有量を、0.01~5質量%に調整することが好ましく、0.03質量%以上2質量%未満に調整することがより好ましく、0.05質量%以上1質量%未満に調整することが特に好ましい。かような範囲に調整しておくことで、研磨対象物の保存安定性をより向上できる。また、保存安定性および研磨対象物の研磨速度とのバランスをさらに向上できる。なお、本明細書に開示されている全ての下限値上限値の値は、全ての組合せが開示されている。
[研磨用組成物のpH]
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、7.0未満である。かかる実施形態であることによって、砥粒のゼータ電位をより有効に正に帯電することができる。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、6.0以下である。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、3.0以下である。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、2.5以下である。かような実施形態であることによって、研磨対象物の表面を高速でかつ効率よく研磨できる。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、1.0以上である。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、1.6以上である。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、2.0以上である。かような実施形態であることによって、研磨対象物の表面を高速でかつ効率よく研磨できる。
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHが、1.0以上3.0以下である。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHが、1.6以上2.5以下である。かかる実施形態であることによって、研磨対象物(特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物)の表面を高速でかつ効率よく研磨できる。このため、上記実施形態は、酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物等のケイ素原子を含む研磨対象物を研磨する場合に特に有効である。なお、研磨用組成物のpHは、1.5未満であると、本発明の所期の効果を効率的に奏することができない場合がある。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物のpHは、1.5超3.0未満、2.0超2.5以下である。かかる実施形態であることによって、研磨対象物(特に酸化ケイ素や多結晶シリコンを含む研磨対象物)の表面をさらに高速でかつさらに効率よく研磨できる。
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物は、pH調整剤を含む。本発明の一実施形態によれば、pH調整剤は、研磨用組成物のpHが所望の範囲になるようなものであれば酸およびアルカリのいずれであってもよく、また、無機化合物および有機化合物のいずれであってもよい。好ましくは、pH調整剤は酸である。
アルカリの具体例としては、エタノールアミン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール等の脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン、水酸化第四アンモニウムなどの有機塩基、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、テトラメチルアンモニウムムおよびテトラエチルアンモニウムなどの第4級アンモニウム塩、アンモニア等が挙げられる。
酸の具体例としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、ホウ酸、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、およびリン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2-メチル酪酸、n-ヘキサン酸、3,3-ジメチル酪酸、2-エチル酪酸、4-メチルペンタン酸、n-ヘプタン酸、2-メチルヘキサン酸、n-オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ジグリコール酸、2-フランカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、3-フランカルボン酸、2-テトラヒドロフランカルボン酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、およびエチドロン酸(1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、HEDP)等の有機酸が挙げられる。
[液体キャリア]
本発明の一実施形態において、研磨用組成物は、液体キャリアをさらに含んでもよい。本発明の一実施形態によれば、液体キャリアとしては、有機溶媒、水(特に純水)が考えられる。研磨対象物の汚染や他の成分の作用を阻害するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましい。具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、または蒸留水が好ましい。
[他の成分]
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物は、酸化剤、金属防食剤、防腐剤、防カビ剤、難溶性の有機物を溶解するための有機溶媒等の他の成分をさらに含んでもよい。
(酸化剤)
本発明の一実施形態によれば、酸化剤は、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、オゾン水、銀(II)塩、鉄(III)塩、過マンガン酸、クロム酸、重クロム酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過硫酸、ジクロロイソシアヌル等が挙げられる。該酸化剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、該酸化剤は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物は、実質的に、酸化剤を含まない。本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物は、実質的に、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、オゾン水、銀(II)塩、鉄(III)塩、過マンガン酸、クロム酸、重クロム酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過硫酸またはジクロロイソシアヌルである酸化剤を含まない。また、本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物は、実質的に、ビス[(1-ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸を含まない。なお、本明細書中、「実質的に含まない」とは、研磨用組成物中に全く含まない概念の他、研磨用組成物中に、0.0001g/L以下含む場合を含む。
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物中の酸化剤の含有量は0.1g/L以上であることが好ましく、より好ましくは1g/L以上であり、さらに好ましくは3g/L以上である。酸化剤の含有量が多くになるにつれて、研磨用組成物による研磨対象物の研磨速度はより向上する。研磨用組成物中の酸化剤の含有量はまた、200g/L以下であることが好ましく、より好ましくは100g/L以下であり、さらに好ましくは40g/L以下である。酸化剤の含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物の材料コストを抑えることができるのに加え、研磨使用後の研磨用組成物の処理、すなわち廃液処理の負荷を軽減することができる。また、酸化剤による研磨対象物表面の過剰な酸化が起こる虞を少なくすることもできる。
(金属防食剤)
研磨用組成物中に金属防食剤を加えることにより、研磨用組成物を用いた研磨で配線の脇に凹みが生じるのをより抑えることができる。また、研磨用組成物を用いて研磨した後の研磨対象物の表面にディッシングが生じるのをより抑えることができる。
本発明の一実施形態によれば、金属防食剤は、複素環式化合物または界面活性剤である。複素環式化合物中の複素環の員数は特に限定されない。また、複素環式化合物は、単環化合物であってもよいし、縮合環を有する多環化合物であってもよい。該金属防食剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。また、該金属防食剤は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
本発明の一実施形態によれば、前記複素環化合物の具体例としては、例えば、ピロール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物、テトラゾール化合物、ピリジン化合物、ピラジン化合物、ピリダジン化合物、ピリンジン化合物、インドリジン化合物、インドール化合物、イソインドール化合物、インダゾール化合物、プリン化合物、キノリジン化合物、キノリン化合物、イソキノリン化合物、ナフチリジン化合物、フタラジン化合物、キノキサリン化合物、キナゾリン化合物、シンノリン化合物、ブテリジン化合物、チアゾール化合物、イソチアゾール化合物、オキサゾール化合物、イソオキサゾール化合物、フラザン化合物等の含窒素複素環化合物が挙げられる。
(防腐剤および防カビ剤)
本発明の一実施形態によれば、防腐剤および防カビ剤としては、例えば、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾリン系防腐剤、パラオキシ安息香酸エステル類、およびフェノキシエタノール等が挙げられる。これら防腐剤および防カビ剤は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物の製造方法は、特に制限されず、例えば、上述の特定の砥粒と、上述の特定の共重合体と、必要であればpH調整剤とを、液体キャリアで攪拌混合することにより得ることができる。また、本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物の製造方法は、pH7未満の水溶液中で正のゼータ電位を有しかつ単位表面積当たりのシラノール基数が2.5個/nm以下である砥粒を選択し、前記砥粒を、上述の特定の共重合体と、必要であればpH調整剤と、液体キャリアで攪拌混合することにより得ることができる。各成分を混合する際の温度は特に制限されないが、10~40℃が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。
[研磨方法]
本発明は、本発明の研磨用組成物を用いて、研磨対象物を研磨する工程を含む、研磨方法をも提供する。研磨用組成物は、酸化ケイ素および多結晶シリコンの研磨に好適に用いられる。
本発明の一実施形態によれば、酸化ケイ素の研磨速度が、190Å/分以上2000Å/分以下である。本発明の一実施形態によれば、酸化ケイ素の研磨速度が、200Å/分を超え1500Å/分以下である。本発明の一実施形態によれば、酸化ケイ素の研磨速度が、240Å/分以上1000Å/分以下である。本発明の一実施形態によれば、酸化ケイ素の研磨速度が、500Å/分以上800Å/分以下である。本発明の実施形態の研磨用組成物を適用することで、かような研磨速度が達成できる。また、本発明の実施形態においては、かような研磨速度になりうるように、研磨用組成物の組成をさらに調整してもよい。なお、本明細書において、「酸化ケイ素の研磨速度」は、下記実施例中の<研磨試験>における「TEOS(酸化ケイ素)膜に対する研磨速度」が採用される。
本発明の一実施形態によれば、多結晶シリコン(ポリシリコン)の研磨速度が、210Å/分以上2000Å/分以下である。本発明の一実施形態によれば、多結晶シリコン(ポリシリコン)の研磨速度が、260Å/分を超え1500Å/分以下である。本発明の一実施形態によれば、多結晶シリコンの研磨速度が、280Å/分以上1000Å/分以下である。本発明の一実施形態によれば、多結晶シリコンの研磨速度が、300Å/分以上500Å/分以下である。本発明の実施形態の研磨用組成物を適用することで、かような研磨速度が達成できる。また、本発明の実施形態においては、かような研磨速度になりうるように、研磨用組成物の組成をさらに調整してもよい。なお、本明細書において、「多結晶シリコンの研磨速度」は、下記実施例中の<研磨試験>における「ポリシリコン基板に対する研磨速度」が採用される。
[研磨対象物]
本発明に係る研磨対象物は、特に制限されず、用途に応じて適宜選択される。具体的には、多結晶シリコン(ポリシリコン)、単結晶シリコン、オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl Orthosilicate;TEOS)を原料に成膜した酸化ケイ素膜、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、金属、SiGe等を含む膜や基板、HDP(High Density Plasma)膜、USG(Undoped Silicate Glass)膜、PSG(Phosphorus Silicate Glass)膜、BPSG(Boron-Phospho Silicate Glass)膜、RTO(Rapid Thermal Oxidation)膜等の酸化ケイ素膜などが挙げられる。これらのうち、酸化ケイ素(特にTEOSを原料とした膜)や多結晶シリコンを含む研磨対象物に対して本発明の実施形態の研磨用組成物を適用することが好ましい。当該形態によって、研磨用組成物を低温から高温までの広い温度域(特に低温)で沈殿物を生じることなく安定して貯蔵できる(安定性に優れる)と共に、これらの研磨対象物を高い速度で研磨できる。よって、本発明の一実施形態によれば、研磨用組成物は、酸化ケイ素および多結晶シリコン(ポリシリコン)の少なくとも一方を含む研磨対象物(例えば、酸化ケイ素膜、多結晶シリコン基板または多結晶シリコン膜)を研磨する用途で使用される。または、本発明の一実施形態によれば、研磨方法は、上記の研磨用組成物を用いて、または、上記の製造方法によって研磨用組成物を得、当該研磨用組成物を用いて、酸化ケイ素および多結晶シリコン(ポリシリコン)の少なくとも一方を含む研磨対象物(例えば、酸化ケイ素膜、多結晶シリコン基板または多結晶シリコン膜)を研磨することを有する、研磨方法である。
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモータ等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を使用することができる。
前記研磨パッドとしては、一般的な不織布、ポリウレタン、および多孔質フッ素樹脂等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件にも特に制限はなく、例えば、研磨定盤の回転速度は、10~500rpmが好ましく、研磨ヘッドの回転速度(キャリア回転速度)は、10~500rpmが好ましく、研磨対象物を有する基板にかける圧力(研磨圧力)は、0.1~10psiが好ましい。研磨パッドに研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、例えば、ポンプ等で連続的に供給する方法が採用される。この供給量に制限はないが、研磨パッドの表面が常に本発明の研磨用組成物で覆われていることが好ましい。
[半導体基板の製造方法]
本発明に係る研磨用組成物の用途は制限されないが、半導体基板に用いられることが好ましい。よって、本発明は、半導体基板を、上記の研磨方法により研磨する工程を有する、半導体基板の製造方法をも提供する。かかる実施形態によって、半導体基板の生産効率が向上する。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)/相対湿度40~50%RHの条件下で行われた。
<シラノール基数の算出方法>
砥粒の単位表面積あたりのシラノール基数(単位:個/nm)は、以下の測定方法または計算方法により、各パラメータを測定または算出した後、下記の方法により算出した。
より具体的には、下記式中のCは、砥粒の合計質量であり、下記式中のSは、砥粒のBET比表面積である。さらに具体的には、まず、固形分として1.50gの砥粒を200mlビーカーに採取し、100mlの純水を加えてスラリーとした後、30gの塩化ナトリウムを添加して溶解する。次に、1N 塩酸を添加してスラリーのpHを約3.0~3.5に調整した後、スラリーが150mlになるまで純水を加える。このスラリーに対して、自動滴定装置(平沼産業株式会社製、COM-1700)を使用して、25℃で0.1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHが4.0になるよう調整し、さらに、pH滴定によってpHを4.0から9.0に上げるのに要した0.1N水酸化ナトリウム水溶液の容量V[L]を測定する。平均シラノール基数(平均シラノール基密度)(個/nm)は、下記式により算出できる。
上記式中、
ρは、平均シラノール基数(平均シラノール基密度)(個/nm)を表わし;
cは、滴定に用いた水酸化ナトリウム水溶液の濃度(mol/L)を表わし;
Vは、pHを4.0から9.0に上げるのに要した水酸化ナトリウム水溶液の容量(L)を表わし;
は、アボガドロ定数(個/mol)を表わし;
Cは、砥粒の合計質量(固形分)(g)を表わし;
Sは、砥粒のBET比表面積の加重平均値(nm/g)を表わす。
<粒子径の算出方法>
砥粒の平均一次粒子径は、マイクロメリティックス社製の“Flow Sorb II 2300”を用いて測定されたBET法による砥粒の比表面積と、砥粒の密度とから算出した。また、砥粒の平均二次粒子径は、日機装株式会社製 動的光散乱式粒子径・粒度分布装置 UPA-UTI151により測定した。
<pHの測定方法>
研磨用組成物(液温:25℃)のpHは、pHメーター(株式会社 堀場製作所製 型番:LAQUA)により確認した。
<ゼータ電位の測定方法>
研磨用組成物中の砥粒のゼータ電位X[mV]は、研磨用組成物を大塚電子株式会社製ELS-Z2に供し、測定温度25℃でフローセルを用いてレーザードップラー法(電気泳動光散乱測定法)で測定し、得られるデータをSmoluchowskiの式で解析することにより、算出する。
[実施例1]
(研磨用組成物の調製)
液体キャリアとしての純水に、砥粒としてコロイダルシリカA(シラノール基数:1.8個/nm、平均一次粒子径:30nm、平均二次粒子径:60nm、平均会合度:2.0)を最終の研磨用組成物100質量%に対し0.45質量%、ブテンジオールビニルアルコール共重合体(製品名:ニチゴーGポリマーTM AZF8035W;三菱ケミカル株式会社製;重合度300;けん化度98.0モル%以上、融点172℃)を最終の研磨用組成物100質量%に対し0.05質量%となる量で加え、pH調整剤としての1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)をpHが2.5となるように加えることで、実施例1の研磨用組成物を調製した。当該組成物中におけるコロイダルシリカAのゼータ電位は+11mVであった。
[実施例2~6および比較例1~7]
(研磨用組成物の調製)
各成分の種類および含有量、並びに各研磨用組成物のpH及び各組成物中における砥粒のゼータ電位を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に操作して、各研磨用組成物を調製した。なお、下記表1中のコロイダルシリカB、コロイダルシリカC及びコロイダルシリカDは下記のものを使用した。
コロイダルシリカB:表面にスルホ基が固定化されたコロイダルシリカ(シラノール基数1.8個/nm、平均一次粒子径30nm、平均二次粒子径60nm、平均会合度2.0)
コロイダルシリカC:表面にアミノ基が固定化されたコロイダルシリカ(シラノール基数:1.8個/nm、平均一次粒子径:30nm、平均二次粒子径:60nm、平均会合度:2.0)
コロイダルシリカD:コロイダルシリカ(シラノール基数5.7個/nm、平均一次粒子径35nm、平均二次粒子径70nm、平均会合度2.0)。
また、表1中の共重合体の詳細は下記のとおりである。
OKS1011:ブテンジオールビニルアルコール共重合体(製品名:ニチゴーGポリマーTM OKS-1011;三菱ケミカル株式会社製;重合度300;けん化度98.0モル%以上;融点206℃)
OKS8039:ブテンジオールビニルアルコール共重合体(製品名:ニチゴーGポリマーTM OKS-8039;三菱ケミカル株式会社製;重合度600;けん化度98.0モル%以上;融点168℃)
OKS1028:ブテンジオールビニルアルコール共重合体(製品名:ニチゴーGポリマーTM OKS-1028;三菱ケミカル株式会社製;重合度600;けん化度98.0モル%以上;融点206℃)
OKS1009:ブテンジオールビニルアルコール共重合体(製品名:ニチゴーGポリマーTM OKS-1009;三菱ケミカル株式会社製;重合度1200;けん化度98.0モル%以上;融点190℃)
OKS8096:ブテンジオールビニルアルコール共重合体(製品名:ニチゴーGポリマーTM OKS-8096;三菱ケミカル株式会社製;重合度450;けん化度93.0モル%;融点168℃)
JPR-10HH:ポリビニルアルコール(製品名:HHタイプ JPR-10HH;日本酢ビ・ポバール株式会社製;重合度230;けん化度98モル%超;融点230℃)。
次に、上記にて調製した各研磨用組成物について、下記方法に従って、研磨速度(Removal Rate)(Å/分)を評価した。結果を下記表1に併せて示す。
<研磨試験>
各研磨用組成物を使用して、研磨対象物の表面を下記の条件で研磨した。研磨対象物としては、直径300mmのシリコン基板表面に形成した膜厚10000ÅのTEOS(酸化ケイ素)膜および膜厚4500Åのポリシリコン基板をそれぞれ使用した。なお、下記表1において、シリコン基板表面に形成したTEOS(酸化ケイ素)膜に対する研磨速度およびポリシリコン基板に対する研磨速度を、それぞれ、「TEOS」および「poly Si」と示す。
[研磨装置および研磨条件]
研磨装置:株式会社荏原製作所製 FREX 300E
研磨パッド:IC1000XY-k groove(ニッタハース株式会社製、ポリウレタン)
研磨圧力:140hPa(約2.0psi)
研磨定盤の回転速度:30rpm
研磨ヘッドの回転速度:30rpm
研磨用組成物の供給量:200mL/min
研磨時間:60sec
In-situ ドレッシング。
[評価]
各研磨用組成物について、下記項目について測定し評価を行った。
[研磨速度(研磨レート:Removal Rate)の測定]
研磨速度(Å/min)は、下記式(1)により計算した。
なお、各膜厚を光干渉式膜厚測定装置によって求めて、研磨前後の膜厚の差を研磨時間で除することによって、研磨速度を評価した。評価結果を表1に併せて示す。
<保存安定性試験>
各研磨用組成物をポリプロピレン(PP)製容器に入れて、5℃、25℃及び80℃の恒温室に14日間静置した。
[保存安定性の評価]
PP製容器に保管したサンプルを、容器に入れたまま底部を目視で観察し、沈殿物の有無を確認し、沈殿物の発生程度により下記3種の結果に保存安定性を分類した。なお、〇および△が実用上許容できる。評価結果を表1に併せて示す。
〇:保管温度および25℃に戻した後も沈殿が見られなかった
△:保管温度では沈殿が見られたものの、25℃に戻すと再分散し沈殿物がなくなった
×:沈殿が見られ、かつ25℃に戻しても沈殿物の解消が見られなかった。
<考察>
上記表1の結果から、実施例の研磨用組成物によれば、貯蔵温度によらず沈殿が観察されなかったことが示される。また、実施例の研磨用組成物によれば、酸化ケイ素膜および多結晶シリコン基板双方に対して、高い研磨速度が達成できたことも示される。これに対して、比較例の研磨用組成物では、保存安定性または研磨速度が劣り、両者を両立できない。

Claims (7)

  1. pH7未満の水溶液中で正のゼータ電位を有し、かつ単位表面積当たりのシラノール基数が2.5個/nm以下である砥粒と、
    酢酸ビニルと3,4-ジアセトキシ-1-ブテンとの共重合体のけん化処理物であって、けん化度が95モル%以上である、側鎖に1,2-ジオール構造を有する共重合体と、
    を含有し、
    前記砥粒はコロイダルシリカであり、
    pHが7未満であ
    酸化ケイ素および多結晶シリコンの少なくとも一方を含む研磨対象物を研磨する用途で使用される、
    研磨用組成物。
  2. 前記けん化処理物である共重合体の融点が100℃~230℃である、請求項1に記載の研磨用組成物。
  3. 前記けん化処理物である共重合体の重合度が50~3000である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
  4. 前記砥粒のゼータ電位が10mV以上50mV以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  5. pHが1.0以上3.0以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の研磨用組成物を用いて、酸化ケイ素および多結晶シリコンの少なくとも一方を含む研磨対象物を研磨する工程を含む、研磨方法。
  7. 半導体基板を、請求項に記載の研磨方法により研磨する工程を有する、半導体基板の製造方法。
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