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JP7717602B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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JP7717602B2 - 液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出ヘッド

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Description

本発明の実施形態は、液体吐出ヘッドに関する。
所定量の液体を所定の位置に供給する液体吐出ヘッドが知られている。液体吐出ヘッドは、例えばインクジェットプリンタ、3Dプリンタ、分注装置などに搭載する。インクジェットプリンタは、インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体の表面に画像等を形成する。3Dプリンタは、造形材の液滴を造形材吐出ヘッドから吐出し、硬化させて、三次元造形物を形成する。分注装置は、試料の液滴を吐出して複数の容器等へ所定量供給する。
液体吐出ヘッドは、液体を吐出するチャネルを複数有している。各チャネルは、液体を吐出するノズル、ノズルに連通する圧力室、及び圧力室の容積を変えるアクチュエーターを備える。液体吐出ヘッドは、複数のチャネルの中から液体を吐出するチャネルを選択し、アクチュエーターに駆動信号を与えて駆動させる。アクチュエーターを駆動すると、液体で満たされている圧力室の容積が変わり、ノズルから液体を吐出する。このような構成の液体吐出ヘッドは、吐出直後にノズル内の液体のメニスカスが外方側に向かって盛り上がることがある。特に繰返し液体を吐出したときに、メニスカスの盛り上がりが発生し易い。メニスカスが盛り上がった状態で次の液体を吐出すると吐出速度が遅くなり、液体の吐出が安定しないことがある。
国際公開2018/43090号公報 特開2019-51624号公報 特開2020-26046号公報
本発明が解決しようとする課題は、液体を吐出することにより吐出後に外方側に盛り上がったノズル内の液体のメニスカスを復帰させることのできる液体吐出ヘッドを提供することにある。
本発明の実施形態の液体吐出ヘッドは、ノズル部、圧力室、アクチュエーター、第1の液体室、及び第2の液体室を備える。ノズル部は、液体を吐出する複数のノズルを形成している。複数の圧力室は、前記各ノズルにそれぞれ連通する。アクチュエーターは、前記各圧力室の容積を変化させ、前記各圧力室に、前記圧力室内の長手方向の液柱共鳴による圧力変化を生じさせる。第1の液体室は、前記各圧力室の長手方向の一方の開放端に連通し、さらに液体供給路と連通する。第2の液体室は、前記各圧力室の長手方向の他方の開放端にそれぞれ連通し、前記圧力室ごとに分離した袋小路になっている。
実施形態に従うインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタの全体構成図である。 上記インクジェットヘッドの斜視図である。 上記インクジェットヘッドのヘッド部を部分拡大した断面図である。 上記インクジェットヘッドのヘッド部を部分拡大した断面図である。 上記インクジェットヘッドのヘッド部を部分拡大した平面図である。 上記インクジェットヘッドの圧力室と空気室を拡大した断面図である。 上記インクジェットヘッドのアクチュエーターに与える駆動波形である。 上記駆動波形で駆動するアクチュエーターの動作説明図である。 上記インクジェットヘッドの圧力室内に生じる液柱共鳴の説明図である。 上記インクジェットヘッドのノズルと排出穴を拡大した断面図である。 上記インクジェットヘッドにインクを充填する様子を模式的に示した説明図である。
以下、実施形態に従う液体吐出ヘッドについて、添付図面を参照しながら詳述する。なお、各図において、同一構成は同一の符号を付している。
実施形態の液体吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例として、記録媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタ10を説明する。図1は、インクジェットプリンタ10の概略構成を示す。インクジェットプリンタ10は、筐体11の内部に、記録媒体の一例であるシートSを収納するカセット12、シートSの上流搬送路13、カセット12内から取り出したシートSを搬送する搬送ベルト14、搬送ベルト14上のシートSに向けてインクの液滴を吐出する複数のインクジェットヘッド100~103、シートSの下流搬送路15、排出トレイ16、及び制御基板17を配置する。ユーザーインターフェイスである操作部18は、筐体11の上部側に配置する。
シートSに印刷する画像データは、例えば外部接続機器であるコンピュータ200で生成する。コンピュータ200で生成した画像データは、ケーブル201、コネクタ202,203を通してインクジェットプリンタ10の制御基板17に送る。
ピックアップローラ204は、カセット12からシートSを一枚ずつ上流搬送路13へ供給する。上流搬送路13は、送りローラ対131、132と、シート案内板133、134で構成する。シートSは、上流搬送路13を経由して、搬送ベルト14の上面に送る。図中の矢印104は、カセット12から搬送ベルト14へのシートSの搬送経路を示す。
搬送ベルト14は、表面に多数の貫通孔を形成した網状の無端ベルトである。駆動ローラ141、従動ローラ142,143の3本のローラは、搬送ベルト14を回転自在に支持する。モータ205は、駆動ローラ141を回転することによって搬送ベルト14を回転させる。モータ205は、駆動装置の一例である。図中105は、搬送ベルト14の回転方向を示す。搬送ベルト14の裏面側に、負圧容器206を配置する。負圧容器206は、減圧用のファン207と連結する。ファン207は、形成する気流によって負圧容器206内を負圧にし、搬送ベルト14の上面にシートSを吸着保持させる。図中106は、気流の流れを示す。
液体吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッド100~103は、搬送ベルト14上に吸着保持したシートSに対して、例えば1mmの僅かな隙間を介して対向するように配置する。インクジェットヘッド100~103は、シートSに向けてインクの液滴を夫々吐出する。インクジェットヘッド100~103は、下方をシートSが通過する際に画像を印刷する。各インクジェットヘッド100~103は、吐出するインクの色が異なることを除けば、同じ構造である。インクの色は、例えば、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックである。
インクジェットヘッド100~103は、夫々、インク流路311~314を介してインクタンク315~318及びインク供給圧力調整装置321~324と連結する。各インクタンク315~318は、各インクジェットヘッド100~103の上方に配置する。待機時に、インクジェットヘッド100~103のノズル3(図2参照)からインクが漏れ出ないように、各インク供給圧力調整装置321~324は、各インクジェットヘッド100~103内を大気圧に対して負圧、例えば-1.2kPaに調整している。画像形成時、各インクタンク315~318のインクは、インク供給圧力調整装置321~324によって各インクジェットヘッド100~103に供給する。
画像形成後、搬送ベルト14から下流搬送路15へシートSを送る。下流搬送路15は、送りローラ対151,152,153,154と、シートSの搬送経路を規定するシート案内板155,156で構成する。シートSは、下流搬送路15を経由し、排出口157から排出トレイ16へ送る。図中矢印107は、シートSの搬送経路を示す。
続いて、インクジェットヘッド100~103の構成について説明する。以下は、図2~図6を参照しながら、インクジェットヘッド100について説明しているが、インクジェットヘッド101~103もインクジェットヘッド100と同じ構造である。
図2に示すように、インクジェットヘッド100は、液体吐出部の一例であるヘッド部2を備える。ヘッド部2は、フレキシブルプリント配線板21と接続する。ヘッド部2は、ノズルプレート22、アクチュエーター基板23、液体供給部の一例であるインク供給部24を備える。インク供給部24は、インク流路311を介して図1のインク供給圧力調整装置321に接続する。
フレキシブルプリント配線板21は、ドライバチップである駆動用のIC(Integrated Circuit)25を搭載している(以下、駆動ICと称す)。制御部としての駆動IC25は、インクジェットプリンタ10の制御基板17から送られてくるプリントデータを一時的に格納し、所定のタイミングでインクを吐出するよう各チャネルに駆動信号を与える。
ノズル部の一例であるノズルプレート22は、例えばポリイミドなどの樹脂又はステンレスなどの金属で形成した矩形状のプレートである。インクを吐出する各チャネルのノズル3は、ノズルプレート22の長手方向(X方向)に沿って配列する。ノズル密度は、例えば150~1200dpiの範囲内に設定する。排出穴31は、ノズルプレート22に形成する。排出穴31は、後述する個別負圧インク室5と連通し、例えばインクジェットヘッド100にインクを充填する際に使用する。すなわち、排出穴31は、印刷時にインクを吐出しない。排出穴31は、ノズル3よりも小さい穴で形成し、一つのノズル3に対しY方向に沿って配列する。ノズル3、及び3個一組の排出穴31は、ノズルプレート22のY方向に複数列に形成してもよい。排出穴31は、ノズル3と同じ面(図の例ではXY方向の面)に形成する開口穴の一例である。
特に図3~図6に示すように、ノズル3を形成したノズルプレート22は、例えば枠状部材26を介在してアクチュエーター基板23に取り付ける。アクチュエーター基板23は、例えば絶縁性のセラミックスで形成した基板である。枠状部材26は、例えば樹脂で形成する。各チャネルのインクの圧力室4は、ノズルプレート22、枠状部材26及びアクチュエーター基板23によって囲われた空間内に、例えばノズルプレート22の長手方向(X方向)に空気室40と交互に配列する。インクを吐出する各チャネルの圧力室4は、各チャネルのノズル3と夫々連通する。
圧力室4は、アクチュエーター基板23の表面に、例えば分極方向が相反する方向(一例として対向方向)に積層した2枚の圧電部材41を、例えば矩形の溝状に切り欠くことによって形成する(図6参照)。すなわち、圧電部材41は、その長手方向がアクチェーター基板23の短手方向(Y方向)に延びるように形成する。圧電部材41は、ノズルプレート22の表面と接する高さに形成する。従って圧力室4は、その短手方向の両側に立設する圧電部材41の側壁を有し、その長手方向の両端が開口した、例えば細長い空間となっている。なお、圧電部材41は、例えば側面視が台形となるように形成しているが、側面視の形状は台形に限らない。
空気室40は、圧電部材41を介在して圧力室4の両隣りに配置する。空気室40は、圧力室4と同様に圧電部材41を例えば矩形の溝状に切り欠き、さらに長手方向の両端の開口を、例えば枠状部材26から内側に延びる凸状の壁部材27で塞いで、インクを導入しない密閉空間とする。壁部材27は、例えば樹脂壁である。
圧力室4の長手方向の両端の開口のうち一方は、インク待機室42と連通する。液体待機室としてのインク待機室42は、第1の液体室の一例である。各インク待機室42は、例えば枠状部材26から延びる凸状の壁部材27によって隣のチャネルのインク待機室42と仕切っている。すなわち、インク待機室42は、インクを吐出するチャネル毎に分離している。インク待機室42は、平面視において両側にある圧電部材41の幅の分、圧力室4の開口の幅よりも横方向に空間を拡げている。さらに縦断面でみると、例えば圧電部材41の傾斜面の延長線に沿って縦方向に空間を拡げている。このように、圧力室4の端部の開口に比してインク待機室42の空間を大きくしたことで、圧力室4の一方の開口を、後述する液柱共鳴による圧力変化が小さい開放端とする。但し、インク待機室42の空間を拡げるのは必ずしも横方向と縦方向の両方でなくともよく、いずれか一方でもよい。また、隣のチャネルのインク待機室42と仕切る壁部材27を、空気室40の開口を塞ぐ壁部材27と共用する構成を一例に挙げているが、別々に形成してもよい。さらに、壁部材27は、例えばプレートなどの他の部材で形成してもよい。
各インク待機室42は、狭窄部43を介してインク供給マニホールド44と夫々連通する。すなわち、狭窄部43は、各チャネルのインク待機室42毎に設ける。狭窄部43は、例えば矩形状のインクの通路である。狭窄部43は、一例として、インク待機室42の外方側に凸状にした部分の底面からアクチュエーター基板23を厚み方向に貫通するように形成する。インク供給マニホールド44は、一例として、インク供給部24の表面に、狭窄部43の配列方向(X方向)に沿って溝状に形成する。インク供給マニホールド44は、インク流路311と連通する(図2参照)。そしてアクチュエーター基板23とインク供給部24を積層することで、各チャネルの狭窄部43がインク供給マニホールド44と連通する。狭窄部43の開口面積は少なくともインク待機室42の断面積よりも小さくする。また通常は更に圧力室4の開口面積より小さくする。すなわち、狭窄部43をインクが通過する断面積は、インク待機室42をインクが通過する断面積よりも小さく、また圧力室4をインクが通過する断面積よりも小さいのが好ましい。狭窄部43の長さはアクチュエーター基板23の厚さである。狭窄部43をインクが通過する際の抵抗は、狭窄部43の開口面積と長さで決まり、開口面積が小さく長さが長い程、抵抗は大きい。インク供給マニホールド44と狭窄部43は、第1の液体室としてのインク待機室42にインクを供給する液体供給路の一例である。
圧力室4の長手方向の両端の開口のうち他方は、個別負圧インク室5と連通する。個別負圧液体室としての個別負圧インク室5は、第2の液体室の一例である。各個別負圧インク室5は、例えば枠状部材26から延びる凸状の壁部材51によって隣のチャネルの個別負圧インク室5と仕切っている。すなわち、個別負圧インク室5は、インクを吐出するチャネル毎に分離している。個別負圧インク室5は、平面視において両側にある圧電部材41の幅の分、圧力室4の開口の幅よりも横方向に空間を拡げている。さらに縦断面でみると、例えば圧電部材41の傾斜面の延長線に沿って縦方向に空間を拡げている。このように、圧力室4の端部の開口に比して個別負圧インク室5の空間を大きくしたことで、圧力室4の長手方向の他方の開口を、後述する液柱共鳴による圧力変化が小さい開放端とする。但し、個別負圧インク室5の空間を拡げるのは必ずしも横方向と縦方向の両方でなくともよく、いずれか一方でもよい。また、隣のチャネルの個別負圧インク室5と仕切る壁部材51を、空気室40の開口を塞ぐ壁部材51と共用する構成を一例に挙げているが、別々に形成してもよい。さらに、壁部材51は、例えばプレートなどの他の部材で形成してもよい。
個別負圧インク室5は、圧力室4の開口以外にインクの出入りがない袋小路となっている。排出穴31は、例えばインクジェットヘッド100にインクを充填する際に使用するが、印刷時にこの排出穴31からのインクの出入りはない。すなわち、個別負圧インク室5は、圧力室4の開放端に連通しているので、圧力室4内のようにインク圧が上昇せず、排出穴31からインクは吐出しない。さらに個別負圧インク室5は、室内を負圧にすることを目的としているので、排出穴31から空気を吸い込まないように、穴の大きさをノズル3よりも小さくしている。排出穴31の形状は、寸胴であることが好ましい。排出穴31は、個別負圧インク室5が負圧になったときに空気を吸い込まないよう穴の大きさを小さくした一方で、インクを充填する際に空気を排出し易いように穴の数を多くしている。勿論、一つの個別負圧インク室5に形成する排出穴31の数は、3個に限らず、増減してもよい。また、圧力室4の長手方向(Y方向)の延長線上に沿って配列するのが好ましいが、配列方向を変えてもよい。
各個別負圧インク室5は、例えば排出穴31と対向する位置に凹状の空気溜まり部52を形成している。図1に例示したようにノズル3が底面側に位置する姿勢でインクジェットヘッド100を使用する場合、空気溜まり部52は、排出穴31の上部側に位置する。すなわち、空気溜まり部52は、個別負圧インク室5の室内において、重力が作用する方向とは反対の方向の一面(この場合は天井面)に形成し、室内に残存した空気が溜まるようにしている。空気溜まり部52の形状は、好ましい一例として、平面視で例えば楕円状にする。さらに断面で見ると、空気溜まり部52の外周は、段差を設けず傾斜状が好ましい。
図3~図5では図示を省略しているが、図6に示すように、電極45は、例えば圧力室4の底面及び両側面に一体的に形成する。各圧力室4の電極45は、個別電極としての配線電極46と夫々接続する。電極47は、例えば空気室40の底面及び両側面に一体的に形成する。各空気室40の電極47は、共通電極としての配線電極48と接続する。圧電部材41、及び圧電部材41を挟む電極45,47は、シアモード変形によって圧力室4の容積を変えるアクチュエーター6を構成する。電極45,47及び配線電極46,48は、例えば無電解メッキなどによるニッケル薄膜などで形成する。特に圧力室4の電極45は、インクと接液しないように保護膜(不図示)で被覆してもよい。圧力室4からの配線電極46は、例えばアクチュエーター基板23端部でフレキシブルプリント配線板21と接続し、駆動IC25の駆動ドライバ(すなわち、駆動回路)に接続する。各チャネルの駆動ドライバは、各チャネルのアクチュエーター6に対し、駆動信号として例えば駆動電圧を夫々与える。一方、空気室40からの配線電極48は、例えばグランド(GND)に接続する。かかる構成により、駆動電圧を与えたアクチュエーター6は、圧電部材41の分極軸と交差(望ましくは、直交)する方向に電界が印加され、圧力室4の両側の側壁となっている圧電部材41がシアモードで変形する。
図7は、アクチュエーター6を駆動する駆動波形の一例として、駆動波形(DRP波形)を示す。図7には、駆動時における圧力室4内のインクの圧力及びインクの流速の変化を併せて示している。駆動波形は、期間t1で負電位の電圧(-V)、期間t2でグランド電位(GND)、期間t3で正電位の電圧(+V)をアクチュエーター6に順に与える。期間t1は、例えばヘッド部2の圧力振動周期の1/2の時間に設定する。圧力振動周期が例えば4.8[μs]のとき、期間t1は、2.4[μs]とする。期間t2は、例えば3.25[μs]、期間t3は、期間t2よりも短い0.7[μs]とする。このとき期間t1と期間t3の中心間隔は、t1/2+t2+t3/2=(圧力振動周期)である。
図8(a)は、隣接する圧力室4と空気室40の電極45,47の電位がいずれもグランド電位(GND)である状態を示している。この状態では、圧力室4の両側にある圧電部材41は何ら歪み作用を受けない。図8(b)は、図7の駆動波形の期間t1に、圧力室4の電極45に負電位の電圧(-V)を印加した状態を示している。この状態では、圧力室4の両側にある圧電部材41に、その分極方向と直交する方向に電界が作用し、圧電部材41がそれぞれ外側にシアモードで変形することで、圧力室4の容積が拡張する。
続く期間t2に、圧力室4の電極45の電位をグランド電位(GND)にすることで、拡張していた圧力室4の容積が図8(a)の状態まで復帰する。このように圧力振動周期の1/2の時間に設定した期間t1の終点で圧力室4の容積を復帰させることによって、図7に示したように圧力室4内のインクの圧力が高まって、インクの液滴がノズル3から吐出する。この圧力変化は、詳しくは後述する圧力室長手方向の液柱共鳴を利用している。
さらに続く期間t3に、圧力室4の電極45に正電位の電圧(+V)を印加する。この状態では、図8(c)に示すように、圧力室4の両側にある圧電部材41に対し、図8(b)のときとは逆の方向に電界が作用し、圧電部材41がそれぞれ内側に変形することで、圧力室4の容積が収縮する。期間t3の経過後、圧力室4の電極45の電位をグランド電位(GND)にすることで、収縮していた圧力室4の容積が図8(a)の状態まで復帰する。この収縮と復帰によって残留振動を減衰させる。
このようにインクの吐出は、アクチュエーター6を駆動して圧力室4内の圧力を制御することによって行う。圧力室4の長手方向の端部が開放端になっている場合、アクチュエーター6を駆動させた際に生じる圧力室長手方向の液柱共鳴を、インクの吐出に利用している。すなわち、ヘルムホルツ共鳴を利用する構成のインクジェットヘッドとは異なる。液柱共鳴は、上述の圧力振動周期に圧力室4内のインクの音速を乗じた値が波長となる。圧力室4の長手方向の両端が開口している場合は、この波長の1/2波長共鳴管となる。
1/2波長共鳴管の場合、図9のように圧力振幅と流速振幅を定在波で表すと、圧力室長手方向の中央部が圧力振幅最大であって流速振幅最小となる。一方、定在波の解放端では圧力振幅最小であって流速振幅最大となる。そこで、ノズル3は、圧力振幅が最も大きくなる長手方向の中央部に配置している。厳密に圧力振幅が最も大きくなる位置に限らず、その付近であってもよい。その付近の一例は1/10波長の範囲内である。ノズル3は、先端側に向かうにつれて径が小さくなるテーパー形状とするのが好ましい。ノズル3の基端側の直径は、例えば40~55μmである。ノズル3の先端側の直径は、例えば例えば20~30μmである。
ノズル3は、その開口付近にインクのメニスカスMを形成し(図10参照)、アクチュエーター6を駆動した際に生じる液柱共鳴による圧力変化をノズル3に導入して、インクを吐出する。テーパー形状としたノズル3は、先端側を狭い開口に絞ることでインクの流速を上げ、基端側の広い開口によって圧力室4に負荷を与えている。なお、インクを吐出しない静止時においては、圧力室4に負圧を与えてメニスカスMを凹型に保つ。すなわち、既述したように、インク供給圧力調整装置321によってインクジェットヘッド100内を大気圧に対して負圧に調整している。
液柱共鳴管の動作原理上、圧力室4の開放端位置では圧力変化が無いことが望ましい。そのためにインク待機室42と個別負圧インク室5を設けて圧力室4の両端を開放端としているが、現実にはアクチュエーター6を駆動したときの圧力室4とインク待機室42との間、圧力室4と個別負圧インク室5との間を出入りするインクの流れによって、圧力室4の両端にも圧力変化が生じることがある。この圧力変化に因る圧力振動が周囲のチャネルに伝搬するとクロストークの問題が起こり得るが、インク待機室42及び個別負圧インク室5を圧力室4毎に分離したことで、周囲のチャネルへ圧力振動が伝搬するのを抑えている。各チャネルのインク待機室42は、インク供給マニホールド44で連通するので、インク待機室42とインク供給マニホールド44との間に狭窄部43を設けて、インク供給マニホールド44を介しての圧力振動の伝搬を抑えている。
上述のように、インクの吐出に液柱共鳴を利用した場合、その圧力振動の時間領域では、インク待機室42と個別負圧インク室5は開放端として働く。しかしながら吐出動作を、もう少し長い時間スパンで見ると、繰返しインクを吐出しているチャネルでは、ノズル3に形成されるインクのメニスカスMが図10の破線のように次第に外側へ凸状に膨らんでいき、同時に圧力室4、インク待機室42、及び個別負圧インク室5の平均圧力が低下していく。インク待機室42は、室内が負圧になるとインク供給マニホールド44からインクが補給されるので、これにより負圧でなくなる。これに対し、袋小路にした個別負圧インク室5は、インクが補給されない為、インク待機室42よりも長い時間その負圧状態を保ち続ける。そしてその負圧によって、ノズル3のインクのメニスカスMを引き戻すことができ、結果として吐出後のメニスカスMの盛り上がりを抑えることができる。
排出穴31の形状が、ノズル3よりも小さい穴であって、ノズル3のようにテーパー状にしない寸胴が好ましいのは、上述の個別負圧インク室5の負圧状態を保つのに適しているからである。すなわち、個別負圧インク室5が負圧になって、排出穴31のメニスカスMが図10の破線のように後退しても、寸胴状であればメニスカス力は変わらず、空気を吸い込むのを防ぐことができる。
ノズル3のインクのメニスカスMの盛り上がりは、インクを吐出していないチャネルには生じず、インクを吐出しているチャネルに生じる。特に、繰返しインクを吐出しているチャネルで生じ易い。そのため、個別負圧インク室5を圧力室4毎に分離して、メニスカスMの盛り上がりを早く元に復帰させることと、上述のチャネル間のクロストークを抑えることの両方を可能にした。ノズル3内のインクのメニスカスMの状態が安定すれば、安定した高品質の高速印字が可能となる。従って、例えば周波数50kHzで高速連続吐出を行ってもインクの吐出状態が安定化する。
続いて、インクジェットヘッド100へのインクの充填について説明する。
図11は、図1に例示したようにノズル3が底面側に位置する姿勢でインクジェットヘッド100を配置したときに、圧力室4、インク待機室42及び個別負圧インク室5にインクが充填される様子を模式的に示す。インクの充填は、例えば図1のインク供給圧力調整装置321からインクを供給して行う。インク供給マニホールド44からのインクは、図11(a)に示すように、狭窄部43を通じてインク待機室42に流入し、インク待機室42の室内を満たしていく。さらに、図11(b)に示すように、各圧力室4の室内を満たしていき、ノズル3内ではインクのメニスカスMが形成する。さらに、図11(c)に示すように、インクは個別負圧インク室5内を満たしていくが、例えば排出穴31がインクで濡れて室内に残存した空気は、その後、凹状の空気溜まり部51に溜まる。
すなわち、インク充填時に空気が個別負圧インク室5内に残ったとしたとしても、空気溜まり部52に溜めることができる。その結果、例えば圧力室4内に空気が侵入するなどしてインクの吐出動作に影響するのを抑えることができる。さらには個別負圧インク室5内の空気は、インクを吐出したときの残留振動を抑えるバッファとして機能することも期待できる。空気溜まり部52は、圧力室4の開放端からできるだけ離れた位置に形成するのが好ましい。なお、例えば圧力室4、インク待機室42、及び個別負圧インク室5を減圧状態にしてインクを充填するなど、空気の残留が無視できるほどに少ない場合は、空気溜まり部52と排出穴31を省略してもよい。
上述の実施形態によれば、吐出により外方側に盛り上がったノズル3内のインクのメニスカスMを元に復帰させることが可能である。なお、インク待機室42側は、必ずしもチャネルごとに分離しなくともよく、チャネル間で連通する共通インク室としてもよい。この場合、狭窄部43とインク供給マニホールド44も省略して、共通インク室とインク流路311を連通させてもよい。
インクジェットヘッド100は、図1に例示したようにノズル3が底面側に位置する姿勢で使用する形態に限らない。インクジェットヘッド100は、例えばノズル3が横方向を向く姿勢で使用してもよく、或いは横方向以外を向いていてもよい。ノズル3が鉛直下向きでは無い場合、充填後個別負圧インク室5内に残留する気体の体積を少なく抑えるために、排出穴31の位置は圧力室4から遠くかつなるべく重力方向の反対側に高い位置に配置し、空気溜まり部52は廃止するか又は排出穴31より更に高い位置に配置することが望ましい。排出穴31と空気溜まり部52の位置と有無はインクジェットヘッド100の使用時の姿勢と重力が作用する方向を考慮して決めることができる。
インクジェットヘッド100は、圧力室4を複数配置したシアモード型のアクチュエーター6に限らない。ドロップオンデマンド・ピエゾ方式のアクチュエーターなどであってもよい。
上述の実施形態では、インクジェットプリンタ10のインクジェットヘッド100を液体吐出ヘッドの一例として説明したが、液体吐出ヘッドは、3Dプリンタの造形材吐出ヘッド、分注装置の試料吐出ヘッドであってもよい。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 インクジェットプリンタ
100~103 インクジェットヘッド
2 ヘッド部
22 ノズルプレート
23 アクチュエーター基板
3 ノズル
31 排出穴
4 圧力室
41 圧電部材
42 インク待機室
43 狭窄部
44 インク供給マニホールド
5 個別負圧インク室
52 空気溜まり部
6 アクチュエーター

Claims (5)

  1. 液体を吐出する複数のノズルを形成したノズル部と、
    前記各ノズルにそれぞれ連通する複数の圧力室と、
    前記各圧力室の容積を変化させ、前記各圧力室に、前記圧力室内の長手方向の液柱共鳴による圧力変化を生じさせるアクチュエーターと、
    前記各圧力室の長手方向の一方の開放端に連通し、さらに液体供給路と連通する第1の液体室と、
    前記各圧力室の長手方向の他方の開放端にそれぞれ連通し、前記圧力室ごとに分離した袋小路の第2の液体室と、を備えたことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記第2の液体室は、前記ノズルと同じ面に、前記ノズルよりも小さい開口穴を形成したことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記第2の液体室は、重力が作用する方向とは反対の方向にあたる位置に、凹状の空気溜まり部を形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記凹状の空気溜まり部の外周は、傾斜状に形成したことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記第1の液体室は、前記圧力室ごとに分離して形成し、液体供給マニホールドに狭窄部を介してそれぞれ連通していることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
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