JP7718230B2 - 常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法、並びに常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法 - Google Patents
常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法、並びに常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法Info
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Description
1.
少なくともテルビウムとアルミニウムを含有するガーネット型(A 3 B 5 O 12 )複合酸化物(但し、前記組成式のAサイトにおいてテルビウムを60モル%以上100モル%以下含み、Bサイトにおいてアルミニウムを80モル%以上100モル%以下含む。)の焼結体であって、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有する円柱形状の焼結体について加圧焼結し、更にこの加圧焼結体について酸化アニール処理を行う常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法において、
上記加圧焼結体を加圧焼結仕上り径が最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径に対して+0.1mm以上1.5mm以下であるニアネットシェイプ型の加圧焼結体とし、該加圧焼結体についてその直径が上記最終直径となるように研削した後、上記酸化アニール処理を行うことを特徴とする常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
2.
上記ガーネット型複合酸化物が、更にイットリウムを含有する1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
3.
得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの平均粒径が10μm以上である1又は2に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
4.
上記ニアネットシェイプ型の加圧焼結体の光学軸方向の加圧焼結仕上り長さが最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学軸方向の最終長さに対して+0.5mm以上である1~3のいずれかに記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
5.
上記最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径が3.6~8mmである1~4のいずれかに記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
6.
少なくともテルビウムとアルミニウムを含有するガーネット型(A 3 B 5 O 12 )複合酸化物(但し、前記組成式のAサイトにおいてテルビウムを60モル%以上100モル%以下含み、Bサイトにおいてアルミニウムを80モル%以上100モル%以下含む。)からなり、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有する円柱形状の焼結体であって、加圧焼結仕上り径が最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径に対して+0.1mm以上1.5mm以下となったニアネットシェイプ型の加圧焼結体の外周を研削してその直径を上記最終直径とし、次いで酸化アニール処理を行うことを特徴とする常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
7.
上記ガーネット型複合酸化物が、更にイットリウムを含有する6に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
8.
加圧焼結体の光学軸方向の加圧焼結仕上り長さが最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学軸方向の最終長さに対して+0.5mm以上である6又は7に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
9.
上記最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径が3.6~8mmである6~8のいずれかに記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
本発明に係る常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法は、少なくともテルビウムとアルミニウムを含有するガーネット型複合酸化物の焼結体であって、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有する円柱形状の焼結体について加圧焼結し、更にこの加圧焼結体について酸化アニール処理を行う常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法において、上記加圧焼結体を加圧焼結仕上り径が最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径に対して+0.1mm以上1.5mm以下であるニアネットシェイプ型の加圧焼結体とし、該加圧焼結体についてその直径が上記最終直径となるように研削した後、上記酸化アニール処理を行うことを特徴とするものである。
まず、本発明で製造する常磁性ガーネット型透明セラミックスについて説明する。
本発明で製造する常磁性ガーネット型透明セラミックスは、少なくともテルビウム(Tb)とアルミニウム(Al)を含有したガーネット型複合酸化物の焼結体であって、更に焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有している透明セラミックスである。上記ガーネット型複合酸化物は、更にイットリウムを含有することが好ましい。
本発明で用いる原料としては、少なくともテルビウム、アルミニウムを含み、さらに場合によっては、イットリウム、ルテチウム、スカンジウム、ガリウム、セリウム、マグネシウム、カルシウムなども加えたそれぞれの金属粉末、ないしは硝酸、硫酸、尿酸等の水溶液、あるいは上記元素の酸化物粉末等が好適に利用できる。また、上記原料の純度は99.9質量%以上が好ましく、99.99質量%以上が特に好ましい。
本発明では、上記原料粉末を用いて、所定寸法の円柱形状にプレス成形する。ここでいう所定寸法とは、緻密化後の外径寸法、すなわち加圧焼結仕上り径が、最終仕上り外径寸法、すなわち最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径に対してプラス(+)0.1mm以上1.5mm以下、好ましくは0.1mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.1mm以上0.5mm以下であるニアネットシェイプ型の加圧焼結体(HIP体)となるように逆算して設計された内径寸法を有する金型治具を用いてプレス成形することにより得られる形状を指す。経験的には最終仕上り外径寸法(最終直径)よりも25~35%程度内径の大きなプレス用金型治具を用いることが好ましいが、その詳細な寸法については、数バッチの検証実験によって決定することが好ましい。
本発明では、通常の脱脂工程を好適に利用できる。すなわち、加熱炉による昇温脱脂工程を経ることが可能である。また、このときの雰囲気ガスの種類も特に制限はなく、空気、酸素、水素等が好適に利用できる。脱脂温度も特に制限はないが、もしも有機添加剤が混合されている原料を用いる場合には、その有機成分が分解消去できる温度まで昇温することが好ましい。
本発明では、一般的な焼結工程を好適に利用できる。すなわち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等の加熱焼結工程を好適に利用できる。このときの雰囲気は特に制限されず、不活性ガス、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス等の各種雰囲気、あるいはまた、減圧下(真空中)での焼結も可能である。ただし、最終的に酸素欠損の発生を防止することが好ましいため、より好ましい雰囲気としては、酸素ガス、減圧酸素ガス雰囲気である。
さらに本発明においては、得られる焼結体の平均損失係数を0.0017cm-1以下に抑えるために、最終的な焼結平均粒径(すなわち、加圧焼結体の平均粒径)が10μm以上となるように焼結条件を調整することが好ましい。
本発明では、焼結工程を経た後に更に熱間等方圧プレス(HIP)処理を行う。
金属顕微鏡の透過モードを用いて、50倍の対物レンズを使用して両端面が研磨された常磁性ガーネット型透明セラミックスサンプルの透過オープンニコル像を撮影する。詳しくは、対物レンズの有効画像サイズと有効焦点深度を考慮して対象常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効領域の全領域を撮影し、その撮影した画像について解析処理を行う。このとき、まず各撮影像に対角線を描き、当該対角線が横切る焼結粒子の総数をカウントし、その上で対角線長をこのカウント総数で割った値をその画像中の焼結粒子の平均粒径と定義する。更に解析処理で読み取った各撮影画像の平均粒径を合算したうえで、撮影枚数で割った値を対象常磁性ガーネット型透明セラミックスの平均焼結粒径とする(以下、同じ)。
本発明ではHIP処理により加圧焼結体を得る。
この加圧焼結体は、上述したように少なくともテルビウムとアルミニウムを含有するガーネット型複合酸化物からなり、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有する円柱形状の焼結体であって、加圧焼結仕上り径が最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径に対して+0.1mm以上1.5mm以下となったニアネットシェイプ型の常磁性ガーネット型透明セラミックス製造用加圧焼結体である。
図1(a)の本発明のニアネットシェイプ型の加圧焼結体のように、可能な限り最終仕上りに近い寸法で焼結することができると、焼結及び加圧焼結時の気泡排出に要する拡散距離を極小化できるため、残留気泡が生じにくくなるため好ましい。特に直径(外径)寸法については焼結仕上がり径D1を極力最終直径(最終仕上り外径)D2に近づけることで、加圧焼結体中心部の残留気泡を低減できるため好ましい。なお、焼結仕上がり径D1と最終直径(最終仕上り外径)D2の中心は同じである。
上記のようにして得られた加圧焼結体について、後述する酸化アニール処理を施す前に、必ず加圧焼結体外周部の研削仕上げ加工処理を施し、最終的な利用が想定される磁気光学デバイスに求められる外径寸法でその公差の範囲内となるように整える。すなわち、上述したように、HIP処理で加圧焼結仕上り径が最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径(最終仕上り外径)に極力近い直径で仕上げられたニアネットシェイプ型の加圧焼結体について、該加圧焼結体の外周部をさらに研削して所望の最終直径(最終仕上り外径)に仕上げることが好ましい。この場合、外周部の研削加工として、一般的な加工機の有する加工精度内で所望の最終外径寸法を狙えば実用上の問題はないが、最終直径(最終仕上り外径)を実力値でプラスマイナス(±)15μm、公差値でプラスマイナス(±)30μmで仕上げることが好ましい。
本発明では、加圧焼結体の外周部の研削加工処理により、その加工表面が一定深さのダメージを受ける(ダメージ層が形成される)。これを取り除く(回復する)ためには酸化アニール処理が不可欠となる。また、上記加圧焼結体は、還元雰囲気の焼結処理(HIP処理を含む)によって酸素欠損が内在している場合が多い。これを回復するための酸化アニール処理工程も必要である。そのため、これらの酸化アニール処理をまとめて1回で済ませるため、上記加圧焼結体の外周部の研削加工処理の後工程として実施する。
上記一連の製造工程を経た酸化アニール処理済の加圧焼結体について、その光学的に利用する軸上にある両端面を光学研磨することが好ましい。このときの光学面精度は測定波長λ=633nmの場合、λ/2以下が好ましく、λ/8以下が特に好ましい。さらに光学研磨面の表面キズ残り等を生じさせないために、必ずポリッシュ仕上げ面とすることが好ましい。
続いて、上記光学研磨された両端面にさらに反射防止膜(ARコート)を成膜することが好ましい。当該処理により、得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの、利用しようとする波長での光学損失を最大限低減させることができるため好ましい。この際、光学両端面上に汚れが残らないよう、反射防止膜処理を施す前に入念に光学面を清浄に拭き洗浄し、実体鏡や顕微鏡などで清浄度を検査することが好ましい。更に当該拭き洗浄工程で光学面にキズをつけたり、汚れをこすり付けることのないよう、取扱い治具は柔らかい材質でできているものを、拭くものは低発塵性のものを選定することが好ましい。
挿入損失係数は、対象の常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学面の光学有効領域(光学有効径)内の全域でレーザー光を入射する位置を一定ピッチで移動しながら挿入損失を測定し、得られた全測定点における挿入損失の平均値を算出し、この平均値を基に以下の式で算出したものである。このときのレーザー光の位置移動量はビーム径の半分程度(100μm)が好ましい。
平均損失係数(/cm)=(挿入損失の平均値)/10×(1cm/試料長(mm))/log10e
本発明では、得られた常磁性ガーネット型透明セラミックスを磁気光学材料として利用することを想定しているため、該常磁性ガーネット型透明セラミックスにその光学軸と平行に磁場を印加したうえで、偏光子、検光子とを互いにその光軸が45度ずれるようにセットして磁気光学デバイスを構成するように利用することが好ましい。すなわち、本発明で得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスは、磁気光学材料として、磁気光学デバイス用途に好適であり、特に波長0.9~1.1μmの光アイソレータのファラデー回転子として好適に使用される。
また、上記光アイソレータ100は産業用ファイバーレーザー装置に好適に利用できる。即ち、レーザー光源から発したレーザー光の反射光が光源に戻り、発振が不安定になるのを防止するのに好適である。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、酸化スカンジウム粉末、及び大明化学(株)製の酸化アルミニウム粉末を入手した。更にキシダ化学(株)製のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の液体を入手した。純度は粉末原料がいずれも99.99質量%以上、液体原料が99.999質量%以上であった。
上記原料を用いて、混合比率を調整して仕上り組成がTb3Al5O12:Sc(1質量%)、Si(100ppm)となる酸化物出発原料を用意した。
続いて、用意した酸化物出発原料をエタノール中でアルミナ製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は10時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
得られた顆粒状原料を用いて、内径寸法がそれぞれ異なる一軸プレス用金型で一軸プレス成形を行い、円柱形状の成形体を作製した。ここでは、一軸プレス用金型の内径を成形体の直径として表1に示す。
続いて、それらプレス成形体について198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1,000℃、2時間の条件にて脱脂処理して表1に示す長さL0の各種成形体を準備した。
続いて、すべての脱脂済み成形体をまとめて真空加熱炉に仕込み、1,600℃、3時間で焼結処理した。この時の昇温レートは100℃/hであった。得られたサンプルの焼結相対密度はいずれも94.5%から99.0%の範囲におさまっていた。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1,700℃、3時間の条件でHIP処理した。その結果、得られた各加圧焼結体はいずれも外見上はわずかに灰色化(酸素欠損吸収)していたが、いずれも透明な状態に仕上がっていた。こうして得られたそれぞれの透明な加圧焼結体につき、ノギスを用いて直径(外径寸法)と長さを測定した(表1)。その後、センタレス研削機にて外周を研削して、すべて直径5mm(公差+0/-0.05mm)に仕上げた。
こうして得られた研削加工済み加圧焼結体について、各々のロット管理をしながら酸素雰囲気炉にて、1,500℃で6時間の酸化アニール処理を行い、酸素欠損を回復させる処置を施した。いずれのサンプルも無色透明であった。
さらに、得られた各セラミックス焼結体を、すべて長さ15mmとなるように研削及び研磨処理し、次いでそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨して、常磁性ガーネット型透明セラミックスサンプルを得た。以上の加工結果を表1に示す。
平均焼結粒径(平均粒径)は、ツァイス製光学顕微鏡を使い、50倍の対物レンズを用いて光学研磨された各サンプルの表面の粒界にピントを合わせて撮影し、得られる各々の画像を印刷したうえで、それぞれの印刷画像の左斜め上端から右斜め下隅に直線を引き、その直線と交わるすべての表面粒子の交わっている長さをカウントし、最後にその合計値を、直線と交わる粒子の個数で割ることにより算出した。
挿入損失は、NKT Photonics社製の光源と、コリメータレンズ、ワークステージ、Gentec社製のパワーメータ並びにGeフォトディテクタを用いて内製した光学系を用い、波長1,064nmの光をビーム径200μmφの大きさに絞って透過させたときの光の強度により測定され、以下の式に基づき、測定した。
挿入損失(dB/試料長;15mm)=-10×log10(I/I0)
(式中、Iは透過光強度(長さ25mmのサンプルを直線透過した光の強度)、I0は入射光強度を示す。)
その上で、サンプルを載せるワークステージにオートステッピングモータで上下左右に動かせる機構を付与し、サンプルを端から端まで100μmピッチで動かしながら、前述の挿入損失測定を繰り返すことで、光学有効径面内全体の挿入損失分布を測定した。またこのとき、得られた全測定点における挿入損失データの平均値を算出し、その値と最大値との差を挿入損失変動として読み取った。
また、挿入損失データの平均値を元に、さらに以下の式を用いて平均損失係数も算出した。
平均損失係数(/cm)=(挿入損失の平均値)/10×(1cm/試料長;15mm)/log10e
上述の挿入損失測定で用いた系に偏光子と検光子ユニットを追加装填した状態で、消光比面内最低値の測定を以下の構成で行った。すなわち、NKT Photonics社製の光源と、コリメータレンズ、偏光子、ワークステージ、検光子、Gentec社製のパワーメータ並びにGeフォトディテクタをこの順に光軸上に並べて内製した光学系を用い、波長1,064nmの光をビーム径200μmφと絞った状態でサンプル中を透過させ、この状態で検光子の偏光面を偏光子の偏光面と一致させた際の光の強度I0’(レーザー光強度として最大値)を測定し、続いて検光子の偏光面を90度回転して偏光子の偏光面と直交させた状態で再度受光強度I’(レーザー光強度として最小値)を測定したうえで、以下の式に基づいて計算により求めた。その上で、サンプルを載せるワークステージにオートステッピングモータで上下左右に動かせる機構を付与し、焼結体サンプルを端から端まで100μmピッチで動かしながら、該消光比測定を繰り返すことで、光学有効径面内全体の消光比を測定し、その中の最小値を消光比面内最低値とした。
消光比(dB/試料長;15mm)=-10×log10(I’/I0’)
一方、加圧焼結体の加圧焼結仕上り径D1と最終直径D2(φ5mm)との差分が1.75mm以上の比較例では、いずれも平均損失係数が0.0021cm-1以上、挿入損失変動(光学有効径内の挿入損失の最大値と平均値との差)が0.030dB以上であり、消光比面内最低値(光学有効径内部の消光比の最小値)が40dBを下回ることが確認された。なお、比較例1-1では平均粒径が10μmを超えているが、平均損失係数と挿入損失変動、消光比が仕様を満たしていないことから、加圧焼結体の加圧焼結仕上り径D1と最終直径D2(φ5mm)との差分が1.75mm以上大きな場合、所望の常磁性ガーネット型透明セラミックスを得ることは困難であることが分かる。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、酸化イットリウム粉末、酸化スカンジウム粉末、及び大明化学(株)製の酸化アルミニウム粉末を入手した。更にキシダ化学(株)製のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の液体を入手した。純度は粉末原料がいずれも99.99質量%以上、液体原料が99.999質量%以上であった。
上記原料を用いて、混合比率を調整して仕上り組成が(Tb0.8Y0.2)3Al5O12:Sc(1質量%)、Si(100ppm)となる酸化物出発原料を用意した。
続いて、用意した酸化物出発原料をエタノール中でアルミナ製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は10時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
得られた顆粒状原料を用いて、内径寸法がそれぞれ異なる一軸プレス用金型で一軸プレス成形を行い、円柱形状の成形体を作製した。ここでは、一軸プレス用金型の内径を成形体の直径として表3に示す。
続いて、それらプレス成形体について198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1,000℃、2時間の条件にて脱脂処理して表3に示す長さL0の各種成形体を準備した。
続いて、すべての脱脂済み成形体をまとめて真空加熱炉に仕込み、1,600℃、4時間で焼結処理した。この時の昇温レートは100℃/hであった。得られたサンプルの焼結相対密度はいずれも94.5%から99.0%の範囲におさまっていた。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1,700℃、3時間の条件でHIP処理した。その結果、得られた各加圧焼結体はいずれも外見上はわずかに灰色化(酸素欠損吸収)していたが、いずれも透明な状態に仕上がっていた。こうして得られたそれぞれの透明な加圧焼結体につき、ノギスを用いて直径(外径寸法)と長さを測定した(表3)。その後、センタレス研削機にて外周を研削して、すべて直径5mm(公差+0/-0.05mm)に仕上げた。
こうして得られた研削加工済み加圧焼結体について、各々のロット管理をしながら酸素雰囲気炉にて、1,500℃で6時間の酸化アニール処理を行い、酸素欠損を回復させる処置を施した。いずれのサンプルも無色透明であった。
さらに、得られた各セラミックス焼結体を、すべて長さ20mmとなるように研削及び研磨処理し、次いでそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨して、常磁性ガーネット型透明セラミックスサンプルを得た。以上の加工結果を表3に示す。
一方、加圧焼結体の加圧焼結仕上り径D1と最終直径D2(φ5mm)との差分が1.75mm以上の比較例では、いずれも平均損失係数が0.0018cm-1以上、挿入損失変動(光学有効径内の挿入損失の最大値と平均値との差)が0.025dB以上あり、消光比面内最低値(光学有効径内部の消光比の最小値)が40dBを下回ることが確認された。
信越化学工業(株)製の酸化テルビウム粉末、酸化イットリウム粉末、酸化スカンジウム粉末、及び大明化学(株)製の酸化アルミニウム粉末を入手した。更にキシダ化学(株)製のオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)の液体を入手した。純度は粉末原料がいずれも99.99質量%以上、液体原料が99.999質量%以上であった。
上記原料を用いて、混合比率を調整して仕上り組成が(Tb0.65Y0.35)3Al5O12:Sc(1質量%)、Si(100ppm)となる酸化物出発原料を用意した。
続いて、用意した酸化物出発原料をエタノール中でアルミナ製ボールミル装置にて分散・混合処理した。処理時間は10時間であった。その後スプレードライ処理を行って、いずれも平均粒径が20μmの顆粒状原料を作製した。
得られた顆粒状原料を用いて、内径寸法がそれぞれ異なる一軸プレス用金型で一軸プレス成形を行い、円柱形状の成形体を作製した。ここでは、一軸プレス用金型の内径を成形体の直径として表5に示す。
続いて、それらプレス成形体について198MPaの圧力での静水圧プレス処理を施してCIP成形体を得た。得られた成形体をマッフル炉中で1,000℃、2時間の条件にて脱脂処理して表5に示す長さL0の各種成形体を準備した。
続いて、すべての脱脂済み成形体をまとめて真空加熱炉に仕込み、1,600℃、5時間で焼結処理した。この時の昇温レートは100℃/hであった。得られたサンプルの焼結相対密度はいずれも94.5%から99.0%の範囲におさまっていた。
得られた各焼結体をカーボンヒーター製HIP炉に仕込み、Ar中、200MPa、1,700℃、3時間の条件でHIP処理した。その結果、得られた各加圧焼結体はいずれも外見上はわずかに灰色化(酸素欠損吸収)していたが、いずれも透明な状態に仕上がっていた。こうして得られたそれぞれの透明な加圧焼結体につき、ノギスを用いて直径(外径寸法)と長さを測定した(表5)。その後、センタレス研削機にて外周を研削して、すべて直径5mm(公差+0/-0.05mm)に仕上げた。
こうして得られた研削加工済み加圧焼結体について、各々のロット管理をしながら酸素雰囲気炉にて、1,500℃で6時間の酸化アニール処理を行い、酸素欠損を回復させる処置を施した。いずれのサンプルも無色透明であった。
さらに、得られた各セラミックス焼結体を、すべて長さ25mmとなるように研削及び研磨処理し、次いでそれぞれのサンプルの光学両端面を光学面精度λ/8(測定波長λ=633nmの場合)で最終光学研磨して、常磁性ガーネット型透明セラミックスサンプルを得た。以上の加工結果を表5に示す。
一方、加圧焼結体の加圧焼結仕上り径D1と最終直径D2(φ5mm)との差分が2.5mm以上の比較例3-2、3-3では、いずれも平均損失係数が0.0025cm-1以上、挿入損失変動(光学有効径内の挿入損失の最大値と平均値との差)が0.035dB以上であり、消光比面内最低値(光学有効径内部の消光比の最小値)が40dBを下回ることが確認された。なお、加圧焼結体の加圧焼結仕上り径D1と最終直径D2(φ5mm)との差分が1.75mmの比較例3-1については、消光比面内最低値が40dBを超えていたが、平均粒径が10μmを下回っており、また平均損失係数が0.0019cm-1以上で、かつ、挿入損失変動が0.025dBであったため、所望の光学仕様を満足することは困難であると判定した。
11、91 常磁性ガーネット型透明セラミックス
100 光アイソレータ
110 ファラデー回転子
120 偏光子
130検光子
140 磁石
D1、D1’ 加圧焼結仕上り径
D2 最終直径
t、t’ 削り代
Claims (9)
- 少なくともテルビウムとアルミニウムを含有するガーネット型(A 3 B 5 O 12 )複合酸化物(但し、前記組成式のAサイトにおいてテルビウムを60モル%以上100モル%以下含み、Bサイトにおいてアルミニウムを80モル%以上100モル%以下含む。)の焼結体であって、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有する円柱形状の焼結体について加圧焼結し、更にこの加圧焼結体について酸化アニール処理を行う常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法において、
上記加圧焼結体を加圧焼結仕上り径が最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径に対して+0.1mm以上1.5mm以下であるニアネットシェイプ型の加圧焼結体とし、該加圧焼結体についてその直径が上記最終直径となるように研削した後、上記酸化アニール処理を行うことを特徴とする常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。 - 上記ガーネット型複合酸化物が、更にイットリウムを含有する請求項1に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
- 得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの平均粒径が10μm以上である請求項1又は2に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
- 上記ニアネットシェイプ型の加圧焼結体の光学軸方向の加圧焼結仕上り長さが最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学軸方向の最終長さに対して+0.5mm以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
- 上記最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径が3.6~8mmである請求項1~4のいずれか1項に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの製造方法。
- 少なくともテルビウムとアルミニウムを含有するガーネット型(A 3 B 5 O 12 )複合酸化物(但し、前記組成式のAサイトにおいてテルビウムを60モル%以上100モル%以下含み、Bサイトにおいてアルミニウムを80モル%以上100モル%以下含む。)からなり、焼結助剤としてSiO2を0質量%超0.1質量%以下含有する円柱形状の焼結体であって、加圧焼結仕上り径が最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径に対して+0.1mm以上1.5mm以下となったニアネットシェイプ型の加圧焼結体の外周を研削してその直径を上記最終直径とし、次いで酸化アニール処理を行うことを特徴とする常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
- 上記ガーネット型複合酸化物が、更にイットリウムを含有する請求項6に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
- 加圧焼結体の光学軸方向の加圧焼結仕上り長さが最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学軸方向の最終長さに対して+0.5mm以上である請求項6又は7に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
- 上記最終的に得られる常磁性ガーネット型透明セラミックスの最終直径が3.6~8mmである請求項6~8のいずれか1項に記載の常磁性ガーネット型透明セラミックスの光学有効径内の挿入損失変動の抑制方法。
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| Yan Lin Aungら,Development of optical grade (TbxY1-x)3Al5O12 ceramics as Faraday rotator material,Journal of American Ceramics Society,2017年,Vol.100, No.9,4081-4087,DOI:10.1111/jace.14961 |
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