JP7720178B2 - エポキシ樹脂組成物、及びエポキシ樹脂組成物製品 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物、及びエポキシ樹脂組成物製品Info
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Description
しかしながら、1液型エポキシ樹脂組成物において、高い保存安定性と硬化時間の短縮とはトレードオフの関係にあり、両者を高いレベルで両立することは非常に困難である。また、1液型エポキシ樹脂製品の輸送時は、品質保持のために冷却剤や冷蔵設備とそれに適した特殊梱包材が必要となる。冷蔵設備は、環境負荷が大きく、また、使用した冷却剤や特殊梱包材が廃棄物となる、という問題点を有している。
これらの課題に対して、特許文献1や特許文献2に記載された、1液型エポキシ樹脂組成物は、低粘度性、短時間硬化性、高い保存安定性、常温輸送適正と輸送時の環境負荷低減化、及び輸送後に発生する廃棄物削減に関し、未だ改善の余地がある、という問題点を有している。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
成分(A):リキットクロマトグラフィー測定で算出される、式(1)で示されるα-グリコール由来のピーク面積Sαの割合が、全ピーク面積総和STotalに対して、0.4%以上1.4%未満である、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、
成分(C):酸無水物と、
成分(D):マイクロカプセル型硬化促進剤と、
を、含有する、エポキシ樹脂組成物。
エポキシ化合物全量100質量部に対する、前記成分(B):ビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有量が、10質量部以上50質量部以下である、前記〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔3〕
成分(E)反応性希釈剤を、さらに含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔4〕
前記成分(C)が、下記式(2)又は式(3)の構造を有する酸無水物である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物。
R1~R14は、それぞれ、水素、アルキル基、芳香族基、ヘテロ原子を含む置換基、及びハロゲン原子を含む置換基からなる群より選ばれる一種である。
R1~R14は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
また、R1~R14から選ばれるいずれかが同一環に存在する縮合環化合物でもよい。)
R1~R12は、それぞれ、水素、アルキル基、芳香族基、ヘテロ原子を含む置換基、及びハロゲン原子を含む置換基からなる群より選ばれる一種である。
R1~R12は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
また、R1~R12から選ばれるいずれかが同一環に存在する縮合環化合物でもよい。)
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のエポキシ樹脂組成物と、
前記エポキシ樹脂組成物を中に含む樹脂製又は金属製の容器と、
前記容器を梱包する再生可能又は再利用可能な紙製若しくはプラスチック製の外装資材と、を含む、エポキシ樹脂組成物製品。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、
成分(A):リキッドクロマトグラフィー(以下、LCと記載する場合がある。)測定で算出される、式(1)で示されるα-グリコール由来のピーク面積Sαの割合が、全ピーク面積総和STotalに対して、0.4%以上1.4%未満である、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、
成分(C):酸無水物と、
成分(D):マイクロカプセル型硬化促進剤と、
を、含有する。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、成分(A)~(D)を含むことにより、1液型のエポキシ樹脂組成物でありながら、低粘度性、短時間硬化性、高い保存安定性を発現する。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、成分(A)として、LC測定で算出される、前記式(1)で示されるα-グリコール由来のピーク面積Sαの割合が、全ピーク面積総和STotalに対して、0.4%以上1.4%未満である、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、を含む。
成分(A)を含むことにより、高い保存安定性、十分な反応性、及び適切な粘度を有するものとなる。
成分(A)としては、以下に限定されないが、例えば、BE-186EL(長春社製商品名)、DER383J(Olin製商品名)等が挙げられる。
成分(A)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
一方で、本実施形態のエポキシ樹脂組成物において、高い保存安定性を維持したまま、十分な反応性を有するものとする観点から、0.40%以上であるものとし、0.41%以上が好ましく、0.42%以上がより好ましい。
α-グリコールは構造中の水酸基が、後述する成分(C)酸無水物に配位することにより、酸無水物の開環反応が促進され、これにより、エポキシ樹脂組成物の保存安定性が悪化すると共に、エポキシ樹脂組成物の吸水性が高まる。このように、エポキシ樹脂組成物の吸水性が高まると、エポキシ樹脂組成物内に侵入した水によって後述する成分(C)酸無水物の開環反応がより促進され、エポキシ樹脂組成物の保存安定性がさらに悪化する。
このため、α-グリコール量を低減することにより保存安定性を改善することが可能となる。一方で、保存安定性を悪化させない範囲でα-グリコールを含むことにより、後述する成分(C)酸無水物の反応性を効果的に向上できる。
上述したことから、本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、成分(A)として、LC測定で算出される、前記式(1)で示されるα-グリコール由来のピーク面積Sαの割合が、全ピーク面積総和STotalに対して、0.4%以上1.4%未満である、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を含む。
成分(A)における、LC測定で算出される、前記式(1)で示されるα-グリコール由来のピーク面積の割合は、製造工程での水分量の制御や製造後の蒸留等による精製により、上記数値範囲に制御することができる。
ここで、適切な粘度とは、本実施形態の1液型エポキシ樹脂組成物が、短時間でコイルや炭素繊維や狭い隙間へ十分に浸透可能であり、かつ、液だれや塗布後に不要な部分への広がりを抑制する粘度を示す。
なお、エポキシ化合物全量とは、成分(A)と成分(B)のエポキシ樹脂を少なくとも含む量であり、さらには、後述する成分(E)がエポキシ化合物である場合には、当該成分(E)も含む量であるものとする。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、成分(B)として、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む。
成分(B)を含むことにより、低粘度性、短時間硬化性、高い保存安定性を有するものとなる。
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、jER806、jER806H、jER807、jER1750、YL983U(三菱ケミカル製商品名)、830、830-S、EXA-830CRP、EXA-830LVP、835、EXA-835LV(DIC製商品名)EP-4901、EP-4901E(ADEKA製商品名)、YDF-8170C、YDF-170、YDF-170N(日鉄ケミカル製商品名)等が挙げられる。
固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、以下に限定されないが、例えば、jER4005PP、jER4007P、jER4010P(三菱ケミカル製商品名)、YDF-2001、YDF-2004、YDF-2005RD(日鉄ケミカル製商品名)等が挙げられる。
これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本実施形態では、低粘度性と取り扱い性の観点から、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂が含まれることにより、ビスフェノールA型エポキシ樹脂同士での凝集が抑えられ、本実施形態のエポキシ樹脂組成物の均一性が向上すると共に硬化温度での分子の拡散性が高まり、低粘度性と高い保存安定性と短時間反応性を示す。
なお、エポキシ化合物全量とは、成分(A)と成分(B)のエポキシ樹脂を少なくとも含む量であり、さらには、後述する成分(E)がエポキシ化合物である場合には、当該成分(E)も含む量であるものとする。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、成分(C)として、酸無水物を含む。
酸無水物は、硬化剤として機能する。
成分(C):酸無水物は、以下に限定されないが、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
R1~R14は、それぞれ、水素、アルキル基、芳香族基、ヘテロ原子を含む置換基、及びハロゲン原子を含む置換基からなる群より選ばれる一種である。
R1~R14は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
また、R1~R14から選ばれるいずれかが同一環に存在する縮合環化合物でもよい。)
R1~R12は、それぞれ、水素、アルキル基、芳香族基、ヘテロ原子を含む置換基、及びハロゲン原子を含む置換基からなる群より選ばれる一種である。
R1~R12は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
また、R1~R12から選ばれるいずれかが同一環に存在する縮合環化合物でもよい。)
一般式(3)の構造を持つ酸無水物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
これらの成分(C)酸無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、保存安定性の観点から、150質量部以下が好ましく、130質量部以下がより好ましく、120質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、成分(D):マイクロカプセル型硬化促進剤を含む。
成分(D)は、硬化促進剤成分がカプセル膜を隔てて、成分(A)、成分(B)、成分(C)と物理的に隔離されているため、保存安定性に優れる。
また、適切な粘度の観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下がさらに好ましく、11質量部以下がさらにより好ましい。
これらアミン系化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態では高い反応性により短時間硬化を可能にする観点からイミダゾール系化合物が好ましい。
これらアミド系化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらフェノール系化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらのマイクロカプセル型硬化促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、成分(E)反応性希釈剤(以下、成分(E)と記載する場合がある。)を含んでもよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂に属さず、かつ成分(A)のビスフェノールA型エポキシ樹脂に比べて低粘度であるエポキシ化合物を、エポキシ型反応性希釈剤と呼ぶことがある。
窒素原子を含まないエポキシ型反応性希釈剤としては、例えば、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、(о-又はm-又はp-)クレジルグリシジルエーテル、2-ビフェニルグリシジルエーテル、p-ターシャリーブトキシフェニルグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール(400)ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ダイマー酸グリシジルエステル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられる。
窒素原子を含むエポキシ型反応性希釈剤としては、例えば、グリシジルアニリン、グリシジルトルイジン等が挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、成分(C)酸無水物を含むため、高い保存安定性と低粘度化の観点から、成分(E)として窒素原子を含まないエポキシ型反応性希釈剤を含むことが好ましく、硬化物の引張強度を高める観点で、窒素原子を含まず炭素数4以上の直鎖構造を持つエポキシ型反応性希釈剤を含むことがより好ましい。
また、過剰な低粘度化、機械特性の悪化を抑制する観点から20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、8質量部以下がさらに好ましい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、上述した成分以外に、添加剤として、成分(A)、(B)以外のエポキシ樹脂、有機フィラー、無機フィラー、顔料、染料、流れ調整剤、増粘剤、離型剤、湿潤剤、難燃剤、界面活性剤、樹脂類等を、さらに含むことができる。
これらの成分(A)、(B)以外のエポキシ樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、有機フィラーを含有することで、各種接続部材との接着性をより一層向上することができる。また、フィレットクラックの発生及び進展を抑制することができる傾向にある。
有機フィラーとしては、以下に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリメチルメタクリレート、アクリルゴム、ポリスチレン、NBR、SBR、シリコーン変性樹脂、及びこれらを成分として含む共重合体の有機微粒子が挙げられる。
接着性向上の観点から、有機微粒子としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル-ブタジエン-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル-シリコーン共重合体、シリコーン-(メタ)アクリル共重合体、シリコーンと(メタ)アクリル酸との複合体、(メタ)アクリル酸アルキル-ブタジエン-スチレンとシリコーンとの複合体及び(メタ)アクリル酸アルキルとシリコーンとの複合体等が挙げられる。
また、コアシェル型の構造を有し、コア層とシェル層とで組成が異なる有機微粒子を用いることもできる。コアシェル型の有機微粒子として、例えば、シリコーン-アクリルゴムをコアとてアクリル樹脂をグラフトした粒子、及びアクリル共重合体にアクリル樹脂をグラフトとした粒子等が挙げられる。
これらの有機フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーとしては、以下に限定されないが、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、溶融シリカ(溶融球状シリカ、溶融破砕シリカ)、合成シリカ、結晶シリカ等の酸化シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;亜硫酸カルシウム等亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素等の窒化物が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性、耐湿性、及び強度を向上できる観点から、溶融シリカ、結晶シリカ、及び合成シリカ粉末が好ましく、また、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び窒化ホウ素のいずれかが好ましい。これらを用いることで、熱線膨張係数を抑制できるため、冷熱サイクル試験の改善等が見込まれる。
無機フィラーの形状は、特に限定されず、例えば、不定形、球状、及びりん片のいずれの形態であってもよい。これらの無機フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物製品は、本実施形態のエポキシ樹脂組成物と、前記エポキシ樹脂組成物を中に含む樹脂製又は金属製の容器と、前記容器を梱包する再生可能又は再利用可能な紙製若しくはプラスチック製の外装資材とを含む。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は高い保存安定性を有するため、品質保持のための冷却剤や冷蔵設備及び特殊梱包をせずに常温保管を行っても、粘度特性変化、硬化性変化が小さく、常温での輸送が可能となる。そのため、製品を梱包する材料には、結露水の影響、冷却材取り付け性、内部温度変化等を考慮する必要がなくなり、再生可能又は再利用可能な紙製又はプラスチック製の資材が利用可能になる。また冷却材や、発泡スチロール製特殊梱包材等が不要であることにより輸送後廃棄物を削減できる。さらに、冷蔵設備が不要であることは、地球温暖化ガスの排出削減に貢献できる。再生可能又は再利用可能な紙製又はプラスチック製の資材については、以下に限定されないが、例えば、紙段ボール、回収や再利用可能なプラスチック梱包材が挙げられる。
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)を混合することによって得られる。
各成分の混合方法は、特に限定されず、一般的な混合設備と加工条件が適用できる。
具体的には、特に限定されないが、例えば、上記成分(A)~(D)と、必要に応じて成分(E)、及びその他添加剤成分等とを、3本ロール等のミキシングロール、ディゾルバ、プラネタリミキサ、ニーダ、押出し機等を用いて均一になるまで充分に混合することによりエポキシ樹脂組成物を得る方法が挙げられる。
なお、以下において「部」及び「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
下記表1に示す配合比率で、後述する成分(A)~(E)を計量後、ノンバブリングニーダーでこれらの成分を、2分間の撹拌及び3分間の脱泡を行い、混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
なお、下記表1における各成分の配合量は、成分(A)、成分(B)、成分(E)、又は成分(A)に該当しないエポキシ樹脂、成分(B)、成分(E)の合計量を100質量部としたときの質量部表示で示されている。
(LC測定による、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中の、α-グリコール由来のピーク面積の割合)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂を、アセトニトリルに溶解させ、0.5質量%%溶液を作製した後、ウォーターズ株式会社製 UPLCを用いて,以下の条件に従い、測定を行った。
装置 :UPLC H-Class/QDa (ウォーターズ株式会社製)
カラム:Waters,ACQUITY UPLC BEH C18 1.7μm(2.1mmI.D.×50mm)
カラム温度:40℃
流速:0.2mL/分
検出:Photo Diode Array 280.4nm
移動相 A ; 水/メタノール(80%/20%)
B ; アセトニトリル(100%)
グラジェント
0分 = A:70% / B:30%
30分 = A:0% / B:100%
36分 = A:70% / B:30%
40分 = A:80% / B:20%
注入量 1μL
上述した条件にて測定を行い、4.5分に現れるピークが、式(1)で示されるα-グリコールに相当する。
α-グリコールに相当する面積値をSα、リキットクロマトグラフィーで検出された全ピーク面積総和をSTotalとし、全ピーク面積総和STotalに対する、α-グリコール由来のピーク面積Sαの割合を、下記式(1)で求めた。
Sα/STotal ×100 (%)・・・・・式(1)
(低粘度性:エポキシ樹脂組成物の初期粘度測定)
E型粘度計(TVE-35H、東機産業株式会社社製)を用いて室温(25℃)にてエポキシ樹脂組成物を調製した直後の粘度(初期粘度)を測定した。
初期粘度は、短時間でのコイルや炭素繊維への含浸や狭い隙間への浸透性の観点から1700mPa・s以下が好ましいものとして評価した。
一方で、液だれや塗布後に不要な部分への広がりを低減する観点から、750mPa・s以上が好ましく、1000mPa以上がより好ましいものとして評価した。
エポキシ樹脂組成物を調製した直後の初期粘度と、エポキシ樹脂組成物を40℃、7日間放置後での経過時粘度とをE型粘度計を用いて室温(25℃)にて測定し、下記数式(2)にて保存安定性粘度倍率を算出した。
保存安定性粘度倍率=40℃、7日放置後経過時粘度/初期粘度 ・・・・式(2)
保存安定性粘度倍率は、2以下が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましいものとして評価した。
キュラストメーター(キュラストメーターV、テイ・エスエンジニアリング社製)を用いて、設定温度150℃にてエポキシ樹脂組成物のトルク-加硫時間チャートを得た。
得られたチャートについて、トルク値が短調増加開始時間をトルク立ち上がり時間とした。
トルク立ち上がり時間が速い程、エポキシ樹脂組成物のゲル化速度が速く、短時間硬化性に適することを示す。
トルク立ち上がり時間は200秒未満が好ましく、190秒以下が特に好ましいものとして評価した。
縦550mm×幅350mm×厚み2mmのテフロン(登録商標)製の型に、エポキシ樹脂組成物を開口部まで十分に流し入れ、加熱炉にて設定温度100℃で30分間加熱した後、150℃で60分間加熱した。加熱完了後、テフロン(登録商標)製の型から取り外し、得られた硬化片を縦40mm×幅5mm×厚み2mmに切断し、引張強度測定用の試験片である硬化物サンプルを得た。
得られた試験片に対して、23℃、50%RHの恒温恒湿室において、AUTOGRAPH AGS-X 5kN (SHIMADZU製)を用いて、ユニット移動速度5mm/minにて引張試験を実施し、引張伸度(%)を得た。
引張試験を計5回実施し、得られた結果の中央値を正の引張伸度(%)とした。
エポキシ樹脂組成物を樹脂製容器に50g秤量し封をした後、段ボール製梱包資材、又は、プラスチック製梱包資材に入れ、評価サンプルを得た。
この評価サンプルを、北緯35.14、東経138.68の地点で、2021年5月に10日間、外気にさらされた金属製コンテナ内に保管し、10日後のエポキシ樹脂組成物の増粘倍率と150℃キュラストメータートルク立ち上がり時間の変化を評価した。
<本評価での増粘倍率の判定基準>
1倍以上1.3倍未満 ・・・・ ◎
1.3倍以上1.6倍未満 ・・・・ 〇
1.6倍以上2倍未満 ・・・・ △
2倍より大きい ・・・・ ×
<本評価での150℃キュラストメータートルク立ち上がり時間変化の判定基準>
5%以下 ・・・・〇
5%より大きく50%以下 ・・・・△
50%より大きい ・・・・×
以下、下記の表1中に記載する成分を示す。
なお、各エポキシ樹脂の粘度は、エポキシ樹脂組成物の初期粘度測定と同様の方法で測定した。
(成分(A)に該当するビスフェノールA型エポキシ樹脂)
BE-186EL(長春社製商品名)
エポキシ当量 178g/eq.、粘度 9410mPa・s、Sα/Stotal×100=1.03%
DER383J (Olin社製商品名)
エポキシ当量 178g/eq.、粘度 9780mPa・s、Sα/Stotal×100=0.42%
(成分(A)に該当しないビスフェノールA型エポキシ樹脂)
jER828(三菱ケミカル株式会社製商品名)
エポキシ当量 184g/eq.、粘度 13385mPa・s、Sα/Stotal×100=1.40%
(成分(B) ビスフェノールF型エポキシ樹脂)
EXA-830CRP (DIC製商品名)
エポキシ当量 161g/eq.
(成分(C) 酸無水物)
MHAC-P (昭和電工マテリアルズ製商品名)
メチル-3,6-エンドメチレン-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸(メチルナジック酸無水物)
HN-5500(昭和電工マテリアルズ製商品名)
3or4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸
(成分(D) マイクロカプセル型硬化促進剤)
ノバキュアHX-3742 (旭化成製商品名)
25℃、1013hPaで固体であるイミダゾール系硬化剤を含むマスターバッチ型硬化剤
(成分(E) 反応性希釈剤)
YED216D (三菱ケミカル製商品名)
1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、粘度 121mPa・s
表1に示す割合で各成分を配合し、上記方法によりエポキシ樹脂組成物を調製した。
調製したエポキシ樹脂組成物の各特性について上記方法により測定した。
樹脂組成物にビスフェノールA型エポキシ樹脂と、ビスフェノールF型エポキシ樹脂が含
まれるものとしたことにより、低粘度化、保存安定性の向上、短時間硬化性の向上のいず
れの特性においても、優れた効果が発揮でき、特性バランスに優れたエポキシ樹脂組成物
が得られることが分かった。
また、参考例2と比較例2を比較すると、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(成分(A
))を含むことで、低粘度化、保存安定性の向上の効果が得られることが分かった。
また、実施例1と比較例3を比較すると、成分(A)と成分(B)を含むことにより、
低粘度化、保存安定性の向上、反応性の向上、の効果が得られることが分かった。
以上、本実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
Claims (4)
- 成分(A):リキットクロマトグラフィー測定で算出される、式(1)で示されるα-グリコール由来のピーク面積Sαの割合が、全ピーク面積総和STotalに対して、0.4%以上1.4%未満である、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、
成分(B):ビスフェノールF型エポキシ樹脂と、
成分(C):酸無水物と、
成分(D):マイクロカプセル型硬化促進剤と、
を、含有する、エポキシ樹脂組成物であって、
前記成分(C)が、下記式(2)の構造を有する酸無水物であり、
前記成分(D)の含有量が、前記エポキシ樹脂組成物中のエポキシ化合物全量を100質量部としたとき、1質量部以上20質量部以下である、
エポキシ樹脂組成物。
(式(2)中、C 1 ~C 6 の炭素は、飽和炭素でも不飽和炭素でもよい。不飽和炭素の場合、隣り合う炭素同士で不飽和結合を形成してもよい。
R 1 ~R 14 は、それぞれ、水素、アルキル基、芳香族基、ヘテロ原子を含む置換基、及びハロゲン原子を含む置換基からなる群より選ばれる一種である。
R 1 ~R 14 は、それぞれ、同一であっても、異なっていてもよい。
また、R 1 ~R 14 から選ばれるいずれかが同一環に存在する縮合環化合物でもよい。) - エポキシ化合物全量100質量部に対する、前記成分(B):ビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有量が、10質量部以上50質量部以下である、
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 成分(E)反応性希釈剤を、さらに含む、
請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物と、
前記エポキシ樹脂組成物を中に含む樹脂製又は金属製の容器と、
前記容器を梱包する再生可能又は再利用可能な紙製若しくはプラスチック製の外装資材と、を含む、エポキシ樹脂組成物製品。
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