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JP7722121B2 - 波長変換部材の製造方法 - Google Patents
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JP7722121B2 - 波長変換部材の製造方法 - Google Patents

波長変換部材の製造方法

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Description

本発明は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)やレーザーダイオード(LD:Laser Diode)等の発する光の波長を別の波長に変換する波長変換部材の製造方法に関する。
近年、蛍光ランプや白熱灯に代わる次世代の発光装置として、低消費電力、小型軽量、容易な光量調節という観点から、LEDやLDを用いた発光装置に対する注目が高まってきている。そのような発光装置の一例として、例えば、特許文献1には、青色光を出射するLED上に、LEDからの光の一部を吸収して黄色光に変換する波長変換部材が配置された発光装置が開示されている。この発光装置は、LEDから出射された青色光と、波長変換部材から出射された黄色光との合成光である白色光を発する。
波長変換部材としては、樹脂マトリクス中に蛍光体粒子を分散させたものが用いられてきた。しかしながら、このような波長変換部材では、LEDやLDの発する熱や照射光を受けることで、樹脂マトリクスが変色、変形してしまい、波長変換部材の性能を低下させる原因となっていた。
そこで、樹脂マトリクスに代えてガラスマトリクス中に蛍光体粒子を分散固定した完全無機固体からなる波長変換部材が提案されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。このような波長変換部材は、母材となるガラスマトリクスがLEDの熱や照射光により劣化しにくく、変色や変形といった問題が生じにくいという特徴を有している。
特開2000-208815号公報 特開2003-258308号公報 特許第4895541号公報
特許文献2や特許文献3のような波長変換部材は、例えば、ガラス粉末と蛍光体粒子との混合物を成形した後、焼成することにより製造することができる。この際、ガラス粉末や蛍光体粒子のロットを変更すると、粒度分布などの違いにより、ロット変更前と同じ濃度設定でも得られる波長変換部材の色度が目標色度からずれる場合がある。そのため、所望とする色度の波長変換部材を安定して得ることが難しいという問題がある。
本発明の目的は、所望とする色度の波長変換部材を安定して得ることを可能とする、波長変換部材の製造方法を提供することにある。
本発明に係る波長変換部材の製造方法の広い局面では、蛍光体粒子を含む成形体を焼成することにより波長変換部材を製造する方法であって、蛍光体粒子を含む予備成形体を作製し、該予備成形体の焼成温度と焼成後の色度との相関関係を求める工程と、前記相関関係をもとに、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成温度を設定する工程と、蛍光体粒子を含む成形体を前記本焼成温度で焼成する工程とを備えることを特徴としている。
本発明においては、蛍光体粒子を含む複数の成形体のうち一部の成形体を先行焼成して求めた色度を前記相関関係に適用することにより、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成温度を設定する工程と、前記複数の成形体のうち残りの成形体を前記本焼成温度で焼成する工程とを備えることが好ましい。
本発明においては、前記先行焼成して求めた色度が前記目標色度よりも高いときに、前記本焼成温度を前記先行焼成温度よりも高く設定してもよい。
本発明においては、前記先行焼成して求めた色度が前記目標色度よりも低いときに、前記本焼成温度を前記先行焼成温度よりも低く設定してもよい。
本発明においては、前記成形体が、ガラス粉末をさらに含むことが好ましい。
本発明においては、前記成形体が、前記予備成形体と同じ組成を有することが好ましい。
本発明においては、成形が、シート成形またはプレス成形であることが好ましい。
本発明の波長変換部材の製造方法の他の広い局面は、蛍光体粒子を含む成形体を焼成することにより波長変換部材を製造する方法であって、蛍光体粒子を含む予備成形体を作製し、該予備成形体の焼成条件と焼成後の色度との相関関係を求める工程と、前記相関関係をもとに、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成条件を設定する工程と、蛍光体粒子を含む成形体を前記本焼成条件で焼成する工程とを備えることを特徴としている。
本発明においては、蛍光体粒子を含む複数の成形体のうち一部の成形体を先行焼成して求めた色度を前記相関関係に適用することにより、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成条件を設定する工程と、前記複数の成形体のうち残りの成形体を前記本焼成条件で焼成する工程とを備えることが好ましい。
本発明においては、前記焼成条件が、焼成時間、雰囲気圧力、または、昇降温速度であることが好ましい。
本発明によれば、所望とする色度の波長変換部材を安定して得ることを可能とする、波長変換部材の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る波長変換部材の製造方法により製造される波長変換部材を示す模式的正面断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る波長変換部材の製造方法における焼成温度と色度との相関関係の一例を示すグラフである。 図3(a)は、ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む成形体の焼成前の状態を示す模式図であり、図3(b)は、焼成後の状態を示す模式図である。 図4は、実施例1における焼成温度と色度との相関関係を示すグラフである。
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
(波長変換部材)
図1は、本発明の一実施形態に係る波長変換部材の製造方法により製造される波長変換部材を示す模式的正面断面図である。図1に示すように、波長変換部材1は、ガラスマトリクス2と、蛍光体粒子3とを備える、蛍光体ガラスである。本実施形態において、蛍光体粒子3は、ガラスマトリクス2中に分散されている。また、本実施形態において、波長変換部材1は、矩形板状の形状を有する。もっとも、本発明において、波長変換部材1の形状は、特に限定されない。
ガラスマトリクス2は、無機蛍光体等の蛍光体粒子3の分散媒として用いることができるものであれば、特に限定されない。ガラスマトリクス2は、例えば、ホウ珪酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、スズリン酸塩系ガラス、ビスマス酸塩系ガラス、テルライト系ガラスなどを用いることができる。
ホウ珪酸塩系ガラスとしては、質量%で、SiO 30%~85%、Al 0%~30%、B 0%~50%、LiO+NaO+KO 0%~10%、及び、MgO+CaO+SrO+BaO 0%~50%を含有するものが挙げられる。スズリン酸塩系ガラスとしては、モル%で、SnO 30%~90%、P 1%~70%を含有するものが挙げられる。テルライト系ガラスとしては、モル%で、TeO 50%以上、ZnO 0%~45%、RO(Rは、Ca、Sr及びBaから選択される少なくとも1種) 0%~50%、及び、La+Gd+Y 0%~50%を含有するものが挙げられる。
ガラスマトリクス2の軟化点は、250℃~1000℃であることが好ましく、300℃~950℃であることがより好ましく、500℃~900℃であることがさらに好ましい。ガラスマトリクス2の軟化点が低すぎると、波長変換部材1の機械的強度や化学的耐久性が低下する場合がある。また、ガラスマトリクス2自体の耐熱性が低いため、蛍光体粒子3から発生する熱により軟化変形するおそれがある。一方、ガラスマトリクス2の軟化点が高すぎると、製造時に焼成工程が含まれる場合、蛍光体粒子3が劣化して、波長変換部材1の発光強度が低下する場合がある。なお、波長変換部材1の化学的安定性及び機械的強度をより一層高める観点からは、ガラスマトリクス2の軟化点が、好ましくは500℃以上、より好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上、特に好ましくは800℃以上、最も好ましくは850℃以上である。そのようなガラスマトリクス2を構成するガラスとしては、ホウ珪酸塩系ガラスが挙げられる。ただし、ガラスマトリクス2の軟化点が高くなると、焼成温度も高くなり、結果として製造コストが高くなる傾向がある。また、蛍光体粒子3の耐熱性が低い場合、焼成により劣化するおそれがある。よって、波長変換部材1をより一層安価に製造する場合や、蛍光体粒子3の耐熱性がより低い場合は、ガラスマトリクス2の軟化点は、好ましくは550℃以下、より好ましくは530℃以下、さらに好ましくは500℃以下、特に好ましくは480℃以下、最も好ましくは460℃以下である。そのようなガラスマトリクス2を構成するガラスとしては、スズリン酸塩系ガラス、ビスマス酸塩系ガラス、テルライト系ガラスが挙げられる。
なお、ガラスマトリクス2の代わりにセラミックスマトリクスとしてもよい。セラミックスマトリクスを採用することにより、波長変換部材1の耐熱性を向上させることができる。セラミックスマトリクスを構成するセラミックスとしては、Al、MgO、AlN等が挙げられる。
蛍光体粒子3は、励起光の入射により蛍光を出射するものであれば、特に限定されない。蛍光体粒子3としては、例えば、酸化物蛍光体、窒化物蛍光体、酸窒化物蛍光体、塩化物蛍光体、酸塩化物蛍光体、硫化物蛍光体、酸硫化物蛍光体、ハロゲン化物蛍光体、カルコゲン化物蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、ハロリン酸塩化物蛍光体、又はガーネット系化合物蛍光体等が挙げられる。これらの蛍光体は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。励起光として青色光を用いる場合は、例えば、黄色光を蛍光として出射する蛍光体を用いることができる。黄色光を蛍光として出射する蛍光体としては、例えば、YAG蛍光体が挙げられる。
蛍光体粒子3の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上である。蛍光体粒子3の平均粒子径が小さすぎると、量子効率が悪く発光強度が低下する傾向がある。一方、蛍光体粒子3の平均粒子径が大きすぎると、マトリクス内での分散状態が悪くなり発光色が不均一になる傾向がある。よって、蛍光体粒子3の平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは25μm以下である。
なお、本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した平均粒子径D50のことをいうものとする。
波長変換部材1中における蛍光体粒子3の含有量は、好ましくは1体積%以上、より好ましくは1.5体積%以上、さらに好ましくは2体積%以上である。波長変換部材1中における蛍光体粒子3の含有量は、好ましくは70体積%以下、より好ましくは50体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下である。蛍光体粒子3の含有量が少なすぎると、所望の発光色を得るために波長変換部材1の厚みを厚くする必要があり、その結果、波長変換部材1の内部散乱が増加することで、光取り出し効率が低下する場合がある。一方、蛍光体粒子3の含有量が多すぎると、所望の発光色を得るために波長変換部材1の厚みを薄くする必要があるため、波長変換部材1の機械的強度が低下する場合がある。
波長変換部材1の厚みは、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.03mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上、特に好ましくは0.075mm以上、最も好ましくは0.1mm以上である。波長変換部材1の厚みは、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下、さらに好ましくは0.35mm以下、特に好ましくは0.3mm以下、最も好ましくは0.25mm以下である。波長変換部材1の厚みが厚すぎると、波長変換部材1における光の散乱や吸収が大きくなりすぎ、蛍光の出射効率が低くなってしまう場合がある。波長変換部材1の厚みが薄すぎると、十分な発光強度が得られにくくなる場合がある。また、波長変換部材1の機械的強度が不十分になる場合がある。
以下、波長変換部材1のような本発明の波長変換部材の製造方法について説明する。
(波長変換部材の製造方法)
本発明に係る波長変換部材の製造方法は、蛍光体粒子を含む成形体を焼成することにより波長変換部材を製造する方法である。具体的には、まず、蛍光体粒子を含む予備成形体を作製し、該予備成形体の焼成温度と焼成後の色度との相関関係を求める。次に、求めた相関関係をもとに、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成温度を設定する。次に、蛍光体粒子を含む成形体を設定した本焼成温度で焼成する。これにより、得られる波長変換部材の色度を目標色度に近づけるように調整する。
本発明に係る波長変換部材の製造方法は、上記の構成を備えるので、原料ロットなどの製造条件を変更した場合においても、所望とする色度の波長変換部材を安定して得ることができる。これを、以下詳細に説明する。
従来、ガラス粉末や蛍光体粒子のロットを変更すると、同じ濃度設定でも粒度分布などの違いにより得られる波長変換部材の色度が目標色度からずれる場合があった。そのため、所望とする色度の波長変換部材を安定して得ることが難しいという問題があった。
これに対して、本発明者らは、蛍光体粒子を含む成形体の焼成温度に着目し、焼成温度を変更することにより、得られる波長変換部材の色度を調整できることを見出した。特に、予め焼成温度と焼成後の色度との相関関係を求め、求めた相関関係をもとに本焼成温度を設定することにより、得られる波長変換部材の色度を目標色度に近づけるように調整できることを見出した。より具体的には、図2に相関関係の一例を示すように、焼成温度が高いほど色度が低められ、焼成温度が低いほど色度が高められることを見出した。なお、焼成温度により、得られる波長変換部材の色度を調整できる理由については、図3を参照して以下のように説明することができる。
図3(a)は、ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む成形体の焼成前の状態を示す模式図であり、図3(b)は、焼成後の状態を示す模式図である。
図3(a)に示すように、焼成前の成形体4では、ガラス粉末2A及び蛍光体粒子3が粒子の塊の状態で存在しており、各粒子間には界面が存在している。他方、図3(b)に示すように、焼成後の波長変換部材1では、ガラス粉末2Aが溶けてガラスマトリクス2が形成されており、ガラスマトリクス2内に蛍光体粒子3が分散されている。
ここで、図3(a)の状態で成形体4を焼成する場合、焼成途中において界面が存在することから、これが光の散乱要素となり、焼成温度によって散乱の程度が変化するものと考えられる。具体的には、焼成温度によって、ガラス粉末2A同士の融着状態が変化することにより波長変換部材1内部の散乱状態が変化し、蛍光体粒子3への励起光の入射の程度が変化するため、色度が変化するものと考えられる。
特に、焼成温度が高いほどガラス粉末2A同士の融着が進行して界面が減少し、波長変換部材1内部の散乱も減少して励起光が波長変換部材1をそのまま透過しやすくなる。その結果、蛍光体粒子3への励起光の入射量が減少して発光量が低減することから、色度が低下するものと考えられる。また、焼成温度が低いほどガラス粉末2A同士の融着が抑制されて界面が増加し、波長変換部材1内部での励起光の散乱も増加して、蛍光体粒子3への励起光の入射量が増加する。その結果、発光量が増加することから、色度が高められるものと考えられる。
また、焼成時間によっても散乱の程度が変化するものと考えられる。具体的には、焼成時間によって、ガラス粉末2A同士の融着状態が変化することにより、波長変換部材1内部の散乱状態が変化し、蛍光体粒子3への励起光の入射の程度が変化するため、色度が変化するものと考えられる。
特に、焼成時間が長いほどガラス粉末2A同士の融着が進行して界面が減少し、波長変換部材1内部の散乱も減少して、励起光が波長変換部材1をそのまま透過しやすくなる。その結果、蛍光体粒子3への励起光の入射量が減少して発光量が低減することから、色度が低下するものと考えられる。また、焼成時間が短いほどガラス粉末2A同士の融着が抑制されて界面が増加し、波長変換部材1内部での励起光の散乱も増加して、蛍光体粒子3への励起光の入射量が増加する。その結果、発光量が増加することから、色度が高められるものと考えられる。
このように、本発明においては、焼成温度と焼成後の色度との相関関係をもとに焼成温度を設定してもよいし、焼成時間と焼成後の色度との相関関係をもとに焼成時間を設定してもよい。つまり、焼成温度や焼成時間のような焼成条件と焼成後の色度との相関関係をもとに焼成条件を設定すればよい。
なお、焼成温度と焼成後の色度との相関関係をもとに焼成温度を設定するとともに、焼成時間と焼成後の色度との相関関係をもとに焼成時間を設定してもよい。
焼成温度や焼成時間以外の焼成条件と、焼成後の色度との相関関係をもとに、当該焼成条件を設定してもよい。そのような焼成条件として、雰囲気圧力や昇降温速度が挙げられる。
この場合、焼成時における雰囲気圧力によって、波長変換部材1内部に残存する気泡の量が変化し、それに応じて波長変換部材1内部の散乱状態が変化し、蛍光体粒子3への励起光の入射の程度が変化するため、色度が変化するものと考えられる。
例えば、焼成雰囲気が減圧雰囲気であり、かつ、その圧力が小さくなるほど、波長変換部材1内部に残存する気泡の量が少なくなり、波長変換部材1内部の散乱も減少して、励起光が波長変換部材1をそのまま透過しやすくなる。その結果、蛍光体粒子3への励起光の入射量が減少して発光量が低減することから、色度が低下するものと考えられる。また、焼成雰囲気が減圧雰囲気であり、かつ、その圧力が大きくなるほど、波長変換部材1内部に残存する気泡の量が多くなり、波長変換部材1内部での励起光の散乱も増加して、蛍光体粒子3への励起光の入射量が増加する。その結果、発光量が増加することから、色度が高められるものと考えられる。
あるいは、焼成雰囲気が加圧雰囲気であり、かつ、その圧力が大きくなるほど、成形体4が圧縮され、波長変換部材1内部に残存する気泡が圧縮されて小さくなり緻密な焼結体が得られやすくなる。それにより、波長変換部材1内部の散乱も減少して、励起光が波長変換部材1をそのまま透過しやすくなる。その結果、蛍光体粒子3への励起光の入射量が減少して発光量が低減することから、色度が低下するものと考えられる。また、焼成雰囲気が加圧雰囲気であり、かつ、その圧力が小さくなるほど、波長変換部材1内部に残存する気泡が圧縮されにくく、緻密な焼結体が得られにくくなる。それにより、波長変換部材1内部での励起光の散乱も増加して、蛍光体粒子3への励起光の入射量が増加する。その結果、発光量が増加することから、色度が高められるものと考えられる。
また、焼成時における昇降温速度(焼成温度(最高温度)に到達するまでの昇温速度や、焼成温度からの降温速度)によって、ガラス粉末2A同士の融着状態が変化する。それに応じて、波長変換部材1内部の散乱状態が変化し、蛍光体粒子3への励起光の入射の程度が変化するため、色度が変化するものと考えられる。
例えば、昇温速度や降温速度(絶対値)が大きくなるほど、ガラス粉末2A同士の融着が抑制されて界面が増加し、波長変換部材1内部での励起光の散乱も増加して、蛍光体粒子3への励起光の入射量が増加する。その結果、発光量が増加することから、色度が高められるものと考えられる。また、昇温速度や降温速度(絶対値)が小さくなるほど、ガラス粉末2A同士の融着が進行して界面が減少し、波長変換部材1内部の散乱も減少して、励起光が波長変換部材1をそのまま透過しやすくなる。その結果、蛍光体粒子3への励起光の入射量が減少して発光量が低減することから、色度が低下するものと考えられる。
上記の通り、焼成条件としては、焼成温度以外にも、焼成時間、雰囲気圧力または昇降温速度を選択することができる。なお、これらの焼成条件を選択した場合は、本焼成条件は、それぞれ本焼成時間、本雰囲気圧力または本昇降温速度となる。
以下、各工程の詳細について説明する。
検量線の作成;
ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む予備成形体を作製する。そして、作製した予備成形体の焼成温度と、焼成後の色度との相関関係を求める。
具体的には、予備成形体を焼成して色度を測定し、その焼成温度及び色度をもとに焼成温度と色度の相関関係を求める。例えば、焼成温度を変更して各焼成温度における色度をプロットし、図2のグラフに示すような検量線を作成する。これにより、予備成形体の焼成温度と、焼成後の色度との相関関係を求めることができる。なお、グラフを作成するためのプロット数は2点でもよいが、焼成温度と色度との相関関係をより一層精度良く得る観点から3点以上であることが好ましい。
図2より、作成した検量線では、焼成温度が高くなるほど、色度が低くなっていることがわかる。他方、焼成温度が低くなるほど、色度が高くなっていることがわかる。従って、焼成温度を変更することにより、得られる波長変換部材の色度をコントロールできることがわかる。
なお、波長変換部材の色度は、使用する光源からの励起光を波長変換部材の一方側の主面から照射し、波長変換部材の他方側の主面から出射された光を、色度計で測定することにより得ることができる。
先行焼成;
次に、ガラス粉末と蛍光体粒子を含む混合物を作製し、作製した混合物から複数の成形体を形成する。この際、ガラス粉末と蛍光体粒子とを含む混合物を大量に生産し、同じ混合物から複数の成形体を形成することが望ましい。また、ガラス粉末と蛍光体粒子のロットは、予備成形体の作製に用いた蛍光体粒子やガラス粉末のロットと同じであることが望ましい。また、成形体を作製するに際しては、予備成形体と同じ組成とすることが望ましい。また、複数の成形体の数は、例えば、4個以上、1000個以下とすることができる。
先行焼成では、作製した複数の成形体のうち一部の成形体を先行焼成し、焼成後の色度を測定する。先行焼成により得られた色度と、目標色度にずれが生じた場合、上記相関関係をもとに、目標色度に近づけるように焼成温度を設定する。この焼成温度を本焼成温度とすることができる。なお、先行焼成する一部の成形体は、例えば、作製した複数の成形体のうち、25%以下の成形体とすることができる。例えば、作製した複数の成形体のうち、1個以上、250個以下の成形体とすることができる。
特に、予備成形体の作製に用いた蛍光体粒子やガラス粉末のロットと異なるロットの蛍光体粒子やガラス粉末を使用した場合のように、製造条件を変更した場合においては、上記の先行焼成の工程を行うことが好ましい。
本焼成;
本焼成では、ガラス粉末と蛍光体粒子とを含む混合物を用いて作製した複数の成形体のうち残りの成形体を、上記のようにして設定した本焼成温度で焼成する。これにより、得られる波長変換部材の色度を目標色度に近づけるように調整する。
このように、本実施形態の製造方法では、予め求めた焼成温度と色度との相関関係をもとに、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成温度を設定し、その本焼成温度で成形体を焼成する。これにより、目標色度に近づけるように調整された波長変換部材を得ることができる。そのため、本実施形態の製造方法では、ガラス粉末や蛍光体粒子の原料ロットなどの製造条件を変更した場合においても、発光色の色ばらつき(色度のばらつき)が生じ難く、所望とする色度の波長変換部材を安定して精度よく得ることができる。
例えば、得られる波長変換部材の目標色度に対する色度(Cx)のばらつきが±0.0100以内であることが好ましく、±0.0050以内であることがより好ましく、±0.0025以内であることがさらに好ましく、特に好ましくは±0.0015以内であることが望ましい。また、原料ロットなどの製造条件を変更した場合には、ロット変更前後における波長変換部材における色度(Cx)のばらつきが±0.0100以内であることが好ましく、±0.0050以内であることがより好ましく、±0.0025以内であることがさらに好ましく、特に好ましくは±0.0015以内であることが望ましい。もっとも、得られる波長変換部材の色度が、目標色度と同じであることがより好ましい。
なお本焼成の前に、2回目の先行焼成を行って色度を確認し、最初の先行焼成で決定した本焼成温度を微調整しても構わない。このようにすれば、所望とする色度の波長変換部材をより一層安定して精度よく得ることができる。
本発明において、各製造工程における成形体の形成は、例えば、シート成形により行うことができる。具体的に、成形体は、ガラスマトリクスとなるガラス粉体と、蛍光体粒子と、必要に応じてバインダー樹脂や溶剤等の有機成分を含むスラリーを用いて作製することができる。例えば、上記スラリーを、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム上にドクターブレード法等により塗布し、加熱乾燥することにより、グリーンシートを作製することによって形成することができる。あるいは、上記スラリーを、基材上に塗布して膜を形成し、得られた膜を乾燥することによっても形成することができる。また、ガラス粉末と、蛍光体粒子とを含有する混合粉末の圧粉体を作製すること(プレス成形)によっても形成することができる。このように、シート成形またはプレス成形により成形することが望ましい。
本発明において、ガラス粉末の材料は、上述したガラスマトリクスの材料と同じものを用いることができる。また、ガラス粉末の平均粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは2μm以上である。ガラス粉末の平均粒子径が小さすぎると、生産コストが高くなったり、取扱い性が低下したりする傾向がある。一方、ガラス粉末の平均粒子径が大きすぎると、得られる波長変換部材において、焼成後のガラスマトリクス中に気泡が残存しやすくなり、波長変換部材の光取出し効率が低下するおそれがある。よって、ガラス粉末の平均粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下である。また、蛍光体粒子の平均粒子径は、上述の波長変換部材で説明した範囲とすることが望ましい。
本発明において、各製造工程における焼成温度は、ガラス粉末の軟化点±150℃以内であることが好ましく、ガラス粉末の軟化点±100℃以内であることがより好ましい。焼成温度が低すぎると、ガラス粉末が軟化流動せず、緻密な焼結体が得られない場合がある。一方、焼成温度が高すぎると、蛍光体粒子がガラス中に溶出して発光強度が低下したり、蛍光体成分がガラス中に拡散してガラスが着色して発光強度が低下したりする場合がある。また、各製造工程における焼成時間(最高温度における保持時間)は、例えば、5分以上、120分以下とすることができる。さらに、製造工程における焼成時間(最高温度における保持時間)は、10分以上、60分以下の間で適宜調整することが好ましい。
なお、上述したように、上記焼成温度に到達するまでの昇温速度や、上記焼成温度からの降温速度を適宜調整することにより、ガラス粉末同士の融着状態を変化させることができ、それにより色度の調整を行うことができる。昇温速度は、例えば+0.1℃/分~+10℃/分、さらには+0.5℃/分~+5℃/分の間で適宜調整することが好ましい。降温速度は、例えば-0.1℃/分~-50℃/分、さらには-1℃/分~-30℃/分の間で適宜調整することが好ましい。
また、焼成は、減圧雰囲気中で行うことが好ましい。具体的には、焼成中の雰囲気は1.013×10Pa未満であることが好ましく、1000Pa以下であることがより好ましく、400Pa以下であることがさらに好ましい。それにより、得られる波長変換部材中に残存する気泡の量を少なくすることができる。その結果、得られる波長変換部材における散乱因子を低減することができ、光取り出し効率を向上させることができる。
一方、焼成を加圧雰囲気中で行うと、成形体が圧縮され、波長変換部材内部に残存する気泡が圧縮されて小さくなり、緻密な焼結体が得られやすくなる。具体的には、焼成中の雰囲気は20MPa以上であることが好ましく、40MPa以上であることがより好ましく、100MPa以上であることがさらに好ましい。この場合も、得られる波長変換部材中に残存する気泡を圧縮して小さくすることができる。その結果、得られる波長変換部材における散乱因子を低減することができ、光取り出し効率を向上させることができる。もっとも、波長変換部材中での励起光の散乱を効果的に小さくする観点からは、焼成を減圧雰囲気中で行うことがより好ましい。
また、本発明においては、各工程において色度を測定する前に研磨を行ってもよい。研磨方法としては、特に限定されず、ラップ研磨や、鏡面研磨により行うことができる。ラップ研磨は、鏡面研磨より研磨速度が速いという利点がある。一方、鏡面研磨は、ラップ研磨より研磨面精度を高めることが可能である。最終製品の仕上げ面と同等の表面状態(表面粗さ)となる研磨方法を採用すればよい。
なお、各製造工程における焼成条件や、研磨する場合の研磨方法は、統一して行われることが望ましい。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施例1)
検量線の作成;
ガラス粉末として、モル%で、SiO 61.4%、B 5.3%、Al 3.6%、CaO 13.2%、BaO 12%、ZnO 4.5%の組成を有するガラス粉末(平均粒子径D50:2μm、軟化点850℃)を用いた。蛍光体粒子として、YAG蛍光体粒子(平均粒子径D50:25μm)を用いた。このガラス粉末及び蛍光体粒子を混合することにより混合物を得た。なお、混合物中における蛍光体粒子の含有量は、8質量%とした。
得られた混合物に対し、バインダー樹脂(共栄社化学株式会社製、オリコックス)、可塑剤(アジピン酸ジオクチル)、分散剤(共栄社化学株式会社製、フローレンG-700)、有機溶剤(メチルエチルケトン)を添加して混練することによりスラリーを得た。得られたスラリーをドクターブレード法によりシート状に成形し、室温で乾燥させることにより、グリーンシート状の予備成形体を得た。3つの予備成形体を作製し、作製した各予備成形体を、それぞれ、890℃、900℃、及び910℃で焼成して色度を求めた。そして、各焼成温度における色度をプロットして検量線を作成し、図4にグラフで示す相関関係を得た。
先行焼成;
上記検量線の作成で使用したガラス粉末及び蛍光体粒子と異なるロットのガラス粉末及び蛍光体粒子を使用し、上記予備成形体の作製と同様の方法により、100個のグリーンシート状の成形体を得た。
作製した成形体のうち2個の成形体を、上記検量線を用いて求めた目標色度(0.279)に対応する焼成温度である900℃(最高温度における保持時間:20分間)で先行焼成し、焼成後の色度を測定した。その結果、先行焼成により得られた色度は、目標色度から平均で+0.0038ずれていることを確認した。そこで、図4の相関関係をもとに、目標色度に近づけるように、本焼成温度を先行焼成温度より10℃上げて910℃に設定した。
本焼成;
本焼成では、作製した100個の成形体のうち残りの98個の成形体を、減圧雰囲気(1.013×10Pa)下にて、設定した910℃の本焼成温度(最高温度における保持時間:20分間)で焼成し、焼成後の色度を測定した。その結果、本焼成により得られた波長変換部材の色度は、目標色度からのずれが平均で+0.0003(先行焼成時からの変動量:-0.0035)となり、色度のずれが抑制できていることを確認できた。
なお、色度は次のように求めた。励起波長450nmの光源下に焼成後の成形体である波長変換部材を設置し、波長変換部材の下面から発せられる光を積分球内部に取り込んだ後、標準光源によって校正された分光器へ導光し、光のエネルギー分布スペクトルを測定した。次に、CIE 1931 2-deg,x(_)、y(_)、z(_)等色関数から上記スペクトルを積分し、三刺激値XYZを求めた。この三刺激値XYZより、色度x=X/(X+Y+Z)を算出した。
(実施例2)
検量線の作成;
蛍光体粒子として、YAG蛍光体粒子(平均粒子径D50:20μm)を用い、混合物中における蛍光体粒子の含有量を12質量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてグリーンシート状の予備成形体を得た。3つの予備成形体を作製し、作製した各予備成形体を、それぞれ、890℃、900℃、及び910℃で焼成して色度を求めた。そして、各焼成温度における色度をプロットして検量線を作成したところ、実施例1と同様に図4にグラフで示す相関関係を得た。
先行焼成;
上記検量線の作成で使用したガラス粉末及び蛍光体粒子と異なるロットのガラス粉末及び蛍光体粒子を使用し、上記予備成形体の作製と同様の方法により、100個のグリーンシート状の成形体を得た。
作製した成形体のうち2個の成形体を、上記検量線を用いて求めた目標色度(0.275)に対応する焼成温度である910℃(最高温度における保持時間:20分間)で先行焼成し、焼成後の色度を測定した。その結果、先行焼成により得られた色度は、目標色度から平均で-0.0025ずれていることを確認した。そこで、図4の相関関係をもとに、目標色度に近づけるように、本焼成温度を先行焼成温度より5℃下げて905℃に設定した。
本焼成;
本焼成では、作製した100個の成形体のうち残りの98個の成形体を、設定した905℃の本焼成温度(最高温度における保持時間:20分間)で焼成し、焼成後の色度を測定した。その結果、本焼成により得られた波長変換部材の色度は、目標色度からのずれが平均で+0.0001(先行焼成時からの変動量:+0.0026)となり、色度のずれが抑制できていることを確認できた。
1…波長変換部材
2…ガラスマトリクス
2A…ガラス粉末
3…蛍光体粒子
4…成形体

Claims (9)

  1. ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む成形体を焼成することにより波長変換部材を製造する方法であって、
    ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む予備成形体を作製し、該予備成形体の焼成温度と焼成後の色度との相関関係を求める工程と、
    前記相関関係をもとに、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成温度を設定する工程と、
    ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む成形体を前記本焼成温度で焼成する工程と、
    を備える、波長変換部材の製造方法。
  2. ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む複数の成形体のうち一部の成形体を先行焼成して求めた色度を前記相関関係に適用することにより、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成温度を設定する工程と、
    前記複数の成形体のうち残りの成形体を前記本焼成温度で焼成する工程と、
    を備える、請求項1に記載の波長変換部材の製造方法。
  3. 前記先行焼成して求めた色度が前記目標色度よりも高いときに、前記本焼成温度を前記先行焼成の焼成温度よりも高く設定する、請求項2に記載の波長変換部材の製造方法。
  4. 前記先行焼成して求めた色度が前記目標色度よりも低いときに、前記本焼成温度を前記先行焼成の焼成温度よりも低く設定する、請求項2に記載の波長変換部材の製造方法。
  5. 前記成形体が、前記予備成形体と同じ組成を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  6. 前記成形体の形成は、シート成形またはプレス成形により行われる、請求項1~のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  7. ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む成形体を焼成することにより波長変換部材を製造する方法であって、
    ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む予備成形体を作製し、該予備成形体の焼成条件と焼成後の色度との相関関係を求める工程と、
    前記相関関係をもとに、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成条件を設定する工程と、
    ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む成形体を前記本焼成条件で焼成する工程と、
    を備え
    前記焼成条件が、焼成時間、雰囲気圧力、または、昇降温速度である、波長変換部材の製造方法。
  8. ガラス粉末及び蛍光体粒子を含む複数の成形体のうち一部の成形体を先行焼成して求めた色度を前記相関関係に適用することにより、得られる波長変換部材の目標色度に対応する本焼成条件を設定する工程と、
    前記複数の成形体のうち残りの成形体を前記本焼成条件で焼成する工程と、
    を備える、請求項に記載の波長変換部材の製造方法。
  9. 前記ガラス粉末が、ホウ珪酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、スズリン酸塩系ガラス、ビスマス酸塩系ガラス、又はテルライト系ガラスにより構成され、前記ホウ珪酸塩系ガラスにおけるSiO の含有量が、61.4モル%以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
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