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JP7723218B2 - 酸化物焼結体 - Google Patents
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JP7723218B2 - 酸化物焼結体 - Google Patents

酸化物焼結体

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Description

本発明は、In-Ga-Zn系複合酸化物を含む酸化物焼結体に関する。
フラットパネルディスプレイ(以下、「FPD」という。)等の表示装置に使用される薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という。)の技術分野においては、FPDの高機能化に伴い、従来のアモルファスシリコンに代わって、特許文献1、2に示すようなIn-Ga-Zn系複合酸化物(以下、「IGZO」という。)に代表される酸化物半導体の実用化が進んでいる。
また、近年では酸化物半導体は、高移動度(>10cm/Vs)と極低オフリーク電流(<10-22A/μm)とを両立できるという優れた特徴を有しており、半導体の製造工程において、BEOL互換プロセスによるSi-CMOS LSIとの混載、高集積化が可能な縦型FETのチャネル材料として期待されている。このような期待に伴って、酸化物半導体を成膜するためのスパッタリングターゲットに対する要求特性も高まっている。
特開2014-105124号公報 特開2011-195406号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示された酸化物焼結体は、Ga粉末とZnO粉末とを混合し、仮焼することにより、先ずGaZnO粉末を製造した後、当該GaZnO粉末を粉砕し、In粉末と混合し、製造されたものであると、酸化物焼結体の焼結が十分に進まず、密度が上がらないという問題があった。また、GaZnO粉末は非常に硬いため、In粉末と混合する際、GaZnO粉末を粉砕する粉砕メディアであるZrOが削れてしまい、Zrを含む不純物が多く含有するという問題もあった。
本発明は、上記課題に鑑みて、相対密度が高く、またZrを含む不純物の含有量を大幅に低減した酸化物焼結体を提供する。
上記課題を解決するためになされた本発明の酸化物焼結体は、In元素、Ga元素、及びZn元素を含む酸化物焼結体であって、InGaZnO結晶相と、GaZnO結晶相とを含み、相対密度が100.0%超であり、Zr含有量が100質量ppm以下であることを特徴とする。
本発明の酸化物焼結体は、In元素、Ga元素、及びZn元素を含む酸化物焼結体であって、InGaZnO結晶相と、GaZnO結晶相とを含み、相対密度が100.0%超であり、Zr含有量が100質量ppm以下であることにより、相対密度が高く、またZrを含む不純物の含有量を大幅に低減することができる。
本発明の酸化物焼結体は、In元素、Ga元素、及びZn元素を含む酸化物焼結体である。
また、本発明の酸化物焼結体、及びこれを用いてなるスパッタリングターゲット材は、InGaZnO結晶相と、GaZnO結晶相とを有する。本発明の酸化物焼結体は、InGaZnO結晶相と、GaZnO結晶相とが、まだら模様のように混在している。図2は、本発明の酸化物焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したSEM像であり、黒く見える領域(図2中のA)は、GaZnO結晶相を示し、白っぽく見える領域(図2中のB)は、InGaZnO結晶相を示す。
図2に示すSEM像は、次のように撮影することができる。本発明の酸化物焼結体を切断して得られた切断面を、エメリー紙#180、#400、#800、#1000、#2000を用いて段階的に研磨し、最後にバフ研磨して鏡面に仕上げる。そして、鏡面に仕上げた当該切断面を1100℃で1時間サーマルエッチングを施し、走査型電子顕微鏡(SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、当該切断面の粒界が現れたSEM像を撮影する。
また、本発明の酸化物焼結体、及びこれを用いてなるスパッタリングターゲット材に含まれるInGaZnO相と、GaZnO相とは、粉末X線回折法により得られたピークを同定することにより、確認することができる。具体的には、下記粉末X線回折測定条件に従い、X線回折測定を実施する。
=粉末X線回折測定条件=
・線源:CuKα線
・管電圧:40kV
・管電流:30mA
・スキャン速度:5deg/min
・ステップ:0.02deg
・スキャン範囲:2θ=20度~80度
・X線解析ソフトウェア:PDXL2 Version2.1.3.6
X線回折測定の結果、InGaZnO相の結晶構造に対応するICDD(International Centre forDiffraction Data)カードNo.38-1097のX線回折パターンと照らし合わせて、当該X線回折パターンが一致すれば、本発明の酸化物焼結体にInGaZnO相が含まれると確認することができる。また、GaZnO相の結晶構造に対応するICDDカードNo.38-1240のX線回折パターンと照らし合わせて、当該X線回折パターンが一致すれば、本発明の酸化物焼結体にGaZnO相が含まれると確認することができる。
また、本発明の酸化物焼結体、及びこれを用いてなるスパッタリングターゲット材の相対密度が100.0%超であると、スパッタリングの際、アーキングの発生回数を抑えられる観点で好ましい。これは、相対密度が向上することによって、酸化物焼結体、及びこれを用いてなるスパッタリングターゲット材の体積抵抗値が低下し、スパッタリング時の電荷集中が抑制されることからである。さらに、スパッタリング時の電荷集中による高電位箇所と電荷非集中による低電位箇所との形成が抑えられ、高電位箇所から低電位箇所への放電が生じにくくなり、アーキングの発生回数を減らすことができる。本発明の酸化物焼結体の相対密度が100.5%以上であるとより好ましく、101.0%以上であるとさらに好ましく、101.5%以上であると特に好ましく、102.0%以上であるとより特に好ましく、102.5%以上であるとまた特に好ましく、103.0%以上であるとさらに特に好ましい。なお、当該相対密度の上限は、特に限定されるものではないが、例えば105.0%以下である。
ここで、本発明の酸化物焼結体、及びこれを用いてなるスパッタリングターゲット材の相対密度は、アルキメデス法に基づき、測定される。具体的には、ターゲット材の空中質量を体積(ターゲット材の水中質量/計測温度における水比重)で除し、下記式(X)に基づく理論密度ρ(g/cm)に対する百分率の値を相対密度(単位:%)とする。
(式中C~Cはそれぞれターゲット材の構成物質の含有量(質量%)を示し、ρ~ρはC~Cに対応する各構成物質の密度(g/cm)を示す。)
本発明の酸化物焼結体、及びこれを用いてなるスパッタリングターゲット材の構成物質はIn、Ga、ZnOと考え、例えば以下のように、
:酸化物焼結体、又はターゲット材のInの質量%
ρ:Inの密度(7.18g/cm
:酸化物焼結体、又はターゲット材の、Gaの質量%
ρ:Gaの密度(5.95g/cm
:酸化物焼結体、又はターゲット材のZnOの質量%
ρ:ZnOの密度(5.60g/cm
を式(X)に適用することにより、理論密度ρを算出することができる。
なお、上述したInの質量%、Gaの質量%、ZnOの質量%は、ICP-OES分析による酸化物焼結体、又はスパッタリングターゲット材の各元素の分析結果から求めることができる。
また、本発明の酸化物焼結体中のZr含有量が100質量ppm以下であると、本発明の酸化物焼結体に含まれるZrを含む不純物が大幅に低減し、好ましい。また、本発明の酸化物焼結体中のZr含有量が50質量ppm以下であるとより好ましく、30質量ppm以下であるとさらに好ましく、20質量ppm以下であると特に好ましく、10質量ppm以下であるとより特に好ましく、5質量ppm以下であるとさらに特に好ましく、2質量ppm以下であるとまた特に好ましく、1質量ppm以下であるとよりまた特に好ましく、1質量ppm未満であるとよりさらに特に好ましい。
ここで、本発明の酸化物焼結体中のZr含有量は、必要に応じて当該焼結体に、硝酸、過塩素酸、過酸化水素を添加し、加熱分解して溶液化し、ICP発光分光分析装置(アジレント・テクノロジーズ製:720 ICP-OES)を用いることにより、Zr濃度を測定することができる。
また、本発明の酸化物焼結体は、ピンホール面積率が0.7%以下であることを特徴とする。
本発明の酸化物焼結体は、ピンホール面積率が0.7%以下であると、スパッタリングターゲット材として、高品質な薄膜を形成する点で好ましい。また、本発明の酸化物焼結体は、ピンホール面積率が0.6%以下であるとより好ましく、0.5%以下であるとさらに好ましく、0.4%以下であると特に好ましく、0.3%以下であるとまた特に好ましい。なお、当該ピンホール面積率の下限は、特に限定されるものではないが、例えば0.01%以上である。
ここで、ピンホール面積率は、次のように測定することができる。本発明の酸化物焼結体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて、結晶相の評価を行うことにより、測定する。
具体的には、本発明の酸化物焼結体を切断して得られた切断面を、エメリー紙#180、#400、#800、#1000、#2000を用いて段階的に研磨し、最後にバフ研磨して鏡面に仕上げる。そして、鏡面に仕上げた当該切断面を、走査型電子顕微鏡(SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、倍率1000倍、87.5μm×125μmの範囲のBSE-COMP像を無作為に10視野撮影して、10視野分のSEM像を得る。
次に、各SEM像の円相当径0.1μm以上のピンホールが占める範囲を、Pictbear(フェンリル社製)を用いて、描画・色塗りつぶしを行う。さらに、粒子解析ソフトウェア(住友金属テクノロジー株式会社製:粒子解析Version3.0)を用いて、当該ピンホールを塗りつぶしたSEM像を認識させて、二値化する。この際、1画素がμm単位で表示されるように換算値を設定する。
その後、粒子解析ソフトウェアでピンホールと全体の面積をそれぞれ算出し、全体に対するピンホールの百分率を、面積率として求める。そして、10視野分のSEM像毎に得られた面積率の平均値を、本発明の酸化物焼結体におけるピンホール面積率とする。
また、本発明の酸化物焼結体に含まれるInGaZnO相の平均粒径は、6.0μm以下であると、抗折強度が高くなる点で好ましい。当該InGaZnO相の平均粒径は、5.5μm以下であるとより好ましく、5.0μm以下であるとさらに好ましく、4.5μm以下であると特に好ましく、4.0μm以下であるとより特に好ましく、3.5μm以下であるとさらに特に好ましい。一方、当該InGaZnO相の平均粒径は、1.0μm以上であると好ましく、2.0μm以上であるとより好ましく、3.0μm以上であると特に好ましい。
本発明の酸化物焼結体に含まれるInGaZnO相の平均粒径、すなわち面積円相当径は、走査型電子顕微鏡を用いて撮影したSEM像を画像処理することにより、算出することができる。
具体的には、本発明の酸化物焼結体を切断して得られた切断面を、エメリー紙#180、#400、#800、#1000、#2000を用いて段階的に研磨し、最後にバフ研磨して鏡面に仕上げる。次に、鏡面に仕上げた当該切断面を1100℃で1時間サーマルエッチングを施し、走査型電子顕微鏡(SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、倍率1000倍、87.5μm×125μmの範囲のBSE-COMP像を無作為に10視野撮影して、10視野分のSEM像を得る。
得られたSEM像を、画像処理ソフトウェアImageJを用いて、InGaZnO相の粒界に沿って描画を行い、全ての描画が完了した後、粒子解析を実施し、各粒子における面積を得る。その後、得られた各粒子における面積から、面積円相当径を算出した。そして、これを10視野分のSEM像に対して実施し、算出された全粒子の面積円相当径の平均値を、InGaZnO相の面積円相当径とする。
また、本発明の酸化物焼結体に含まれるGaZnO相の平均粒径は、1.0μm以上4.5μm以下であると、異常放電が低減される点で好ましい。当該GaZnOの平均粒径は、1.5μm以上4.0μm以下であるとより好ましく、2.0μm以上3.5μm以下であるとさらに好ましい。
本発明の酸化物焼結体に含まれるGaZnO相の平均粒径、すなわち面積円相当径は、InGaZnO相の平均粒径と同様に、走査型電子顕微鏡を用いて撮影したSEM像を画像処理することにより、算出することができる。
具体的には、得られたSEM像を、画像処理ソフトウェアImageJを用いて、GaZnO相の粒界に沿って描画を行い、全ての描画が完了した後、粒子解析を実施し、各粒子における面積を得る。その後、得られた各粒子における面積から、面積円相当径を算出した。そして、これを10視野分のSEM像に対して実施し、算出された全粒子の面積円相当径の平均値を、GaZnO相の面積円相当径とする。
また、本発明の酸化物焼結体は、前記In元素、Ga元素、及びZn元素の原子比が下記式を満たすことを特徴とする。
0.15<In/(In+Ga+Zn)<0.35
0.4<Ga/(In+Ga+Zn)<0.6
0.15<Zn/(In+Ga+Zn)<0.35
本発明の酸化物焼結体は、前記In元素、Ga元素、及びZn元素の原子比が上記3つの式を全て満たすことにより、本発明の酸化物焼結体にInGaZnO相と、GaZnO相とが最適な割合で含まれるため好ましい。
In/(In+Ga+Zn)は、0.17<In/(In+Ga+Zn)<0.33であるとより好ましく、0.2<In/(In+Ga+Zn)<0.3であるとさらに好ましい。
また、Ga/(In+Ga+Zn)は、0.42<Ga/(In+Ga+Zn)<0.58であるとより好ましく、0.45<Ga/(In+Ga+Zn)<0.55であるとさらに好ましい。
さらに、Zn/(In+Ga+Zn)は、0.17<Zn/(In+Ga+Zn)<0.33であるとより好ましく、0.2<Zn/(In+Ga+Zn)<0.3であるとさらに好ましい。
ここで、本発明の酸化物焼結体におけるIn元素、Ga元素、及びZn元素の原子比は、In元素、Ga元素、及びZn元素の各濃度を、ICP発光分光分析装置(アジレント・テクノロジーズ製:720 ICP-OES)を用いることにより測定することができ、測定された各濃度から、当該原子比を算出することができる。
また、本発明の酸化物焼結体は、抗折強度が150MPa以上であることを特徴とする。
本発明の酸化物焼結体は、このように高い抗折強度を示すものであると、これをスパッタリングターゲット材として用いてスパッタリングを行う場合、スパッタリング中に意図しない異常放電が起こったとしても、当該ターゲット材に割れやクラックが生じにくいことから好ましい。本発明の酸化物焼結体は、抗折強度が160MPa以上であると好ましく、165MPa以上であるとより好ましく、170MPa以上であると特に好ましい。当該抗折強度の上限は、特に限定されるものではないが、例えば250MPa以下である。なお、抗折強度の具体的な測定方法は、後述する。
また、本発明のスパッタリングターゲット材は、上述した本発明の酸化物焼結体を含むことを特徴とする。
本発明のスパッタリングターゲット材は、上述した本発明の酸化物焼結体を含むことより、アーキングの発生回数を大幅に抑えることができることから、パーティクルの発生をより抑えることができ、高品質な酸化物半導体膜を歩留まり高く成膜することできる。また、酸化物半導体膜中にZrを含む不純物が混入することを大幅に低減することができる。
また、本発明の酸化物焼結体の製造方法の一例として、濾過式成形法について、以下説明する。
先ず、原料であるIn粉末、Ga粉末、及びZnO粉末をそれぞれ秤量し、ポットに入れ、これらを粉砕混合し、そこに有機添加物や、分散媒を加えることにより、混合物スラリーが得られる。有機添加物としては、公知のバインダーや、分散剤などが挙げられる。また、分散媒は、特に制限はないが、用途に応じて、水や、アルコールなどから適宜選択して用いることができる。
ここで、粉砕混合する方法としては、乾式粉砕、又は湿式粉砕であってもよい。
具体的には、乾式粉砕は、ポットに、In粉末、Ga粉末、及びZnO粉末と、粉砕メディアとして、GaZnOボール(以下、GZOメディアという。)とを入れ、当該ポットをボールミル混合することにより、In粉末、Ga粉末、及びZnO粉末を乾式粉砕する。
当該ポット内の乾式粉砕されたIn粉末、Ga粉末、及びZnO粉末を含む混合物を、フィルタを用いて、GZOメディアと分離し、その乾式粉砕されたIn粉末、Ga粉末、及びZnO粉末を含む混合物を得る。
その後、さらに別のポットに、乾式粉砕されたIn粉末、Ga粉末、及びZnO粉末と、有機添加物(例えば、分散剤)と、分散媒(例えば、水)とを入れ、さらに粉砕メディアとして、GZOメディアを加え、当該ポットを混合することにより、これらの混合物をスラリー化させる。なお、乾式粉砕されたIn粉末、Ga粉末、及びZnO粉末を含む混合物を当該ポットから取り出さず、乾式粉砕された当該混合物が入った当該ポット内に、有機添加物(例えば、分散剤)と、分散媒(例えば、水)とを入れて、混合することによりスラリー化させてもよい。
一方、湿式粉砕は、ポットに、In粉末、Ga粉末、及びZnO粉末と、有機添加物(例えば、分散剤)と、分散媒(例えば、水)とを入れ、さらに粉砕メディアとして、GZOメディアを加え、当該ポットをボールミル混合することにより、In粉末、Ga粉末、及びZnO粉末を湿式粉砕する。
当該ポット内の湿式粉砕されたIn粉末、Ga粉末、及びZnO粉末を含む混合物スラリーを、フィルタを用いて濾過することにより、GZOメディアと分離し、その混合物スラリーを得る。
このようにして得られた混合物スラリーを、成形型に流し込み、分散媒を除去することにより、成形体が得られる。成形型として、金属製成形型、石膏製成形型、樹脂製成形型などが挙げられる。
得られた成形体を焼成することにより、焼成体が得られる。当該成形体が焼成される際、InGaZnO相及びGaZnO相が形成される。当該成形体の焼成温度は、1400℃超1530℃未満であると、高密度、且つ高強度の酸化物焼結体を得ることができる。そして、得られた焼成体を任意の形状に切削加工することにより、本発明の酸化物焼結体が得られる。
また、本発明の酸化物焼結体の製造方法の別例として、CIP成形法について、以下説明する。
先ず、原料であるIn粉末、Ga粉末、及びZnO粉末を粉砕混合し、混合物スラリーを得るまでの工程は、上述した濾過式成形法と同じ工程であるため、説明は省略する。
上述したようにして、得られた混合物スラリーを噴霧乾燥することにより、乾燥粉末が得られる。得られた乾燥粉末を成形型に充填し、加圧成形することにより、成形体が得られる。
次に、得られた成形体を焼成することにより、焼成体が得られる。当該成形体が焼成される際、InGaZnO相及びGaZnO相が形成される。当該成形体の焼成温度は、1400℃超1530℃未満であると、高密度、且つ高強度の酸化物焼結体を得ることができる。そして、得られた焼成体を任意の形状に切削加工することにより、本発明の酸化物焼結体が得られる。
上述した本発明の酸化物焼結体の製造方法は、Ga粉末とZnO粉末とを粉砕混合し仮焼を行って、結晶質GaZnOからなる仮焼粉体を形成する工程を有しないことにより、仮焼粉体に含まれる非常に硬い特性を有する結晶質GaZnOが存在せず、ZrOからなる粉砕メディアを用いたとしても、得られた本発明の酸化物焼結体中のZrを含む不純物の含有量を大幅に低減することができる。また、ZrOからなる粉砕メディアの代わりに、GaZnOからなる粉砕メディアを用いることにより、得られた本発明の酸化物焼結体中のZrを含む不純物の含有量をさらに低減することができる。
上述した本発明の酸化物焼結体の製造方法により得られた本発明の酸化物焼結体と、基材をボンディングすることにより、本発明のスパッタリングターゲット材が得られる。基材として、Cu、Al、Ti、又はステンレス製が挙げられる。ボンディング材として、従来のITOターゲット材のボンディングに使用されるボンディング材、例えばInメタルを用いることができる。ボンディング方法も、従来のITOターゲット材のボンディング方法と同様である。
本発明の膜の製造方法は、本発明のスパッタリングターゲット材を用いて、スパッタリングを行うことにより、基板上に薄膜を形成することを特徴とする。
本発明のスパッタリングターゲット材を用いて、スパッタリングを行うことにより、基板上に薄膜を形成することにより、高品質な薄膜を歩留まり高く成膜することできる。
具体的には、本発明のスパッタリングターゲット材を用いて、スパッタリングを行うことにより、基板上に高品質な薄膜、例えば酸化物半導体膜を形成することができる。ここで、基板としては、ガラス基板、樹脂基板、シリコン基板などが挙げられる。
なお、本明細書において「X~Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特に断らない限り、「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」旨の意も包含する。また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現する場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
本発明の酸化物焼結体は、相対密度が高く、またZrを含む不純物の含有量を大幅に低減するものである。
本発明の実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体の物性値及び測定結果の一覧表である。 本発明に係る酸化物焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察したSEM像である。
以下、本発明に係る実施形態の酸化物焼結体について、以下の実施例によりさらに説明する。但し、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
In粉末(メジアン径D50が0.6μm)、Ga粉末(メジアン径D50が1.5μm)、及びZnO粉末(メジアン径D50が0.8μm)を、各粉末の混合比率が、InとGaとZnとの原子比がIn:Ga:Zn=1:2:1となるように秤量し、ポットに入れ、粉砕メディア(GZOメディア)を用いて、ボールミルで24時間乾式混合することにより、粉砕混合し、混合原料粉末を得た。なお、粉砕混合した後、混合原料粉末の仮焼は行わなかった。
ここで、各粉末のメジアン径D50は、マイクロトラックベル株式会社製の粒度分布測定装置MT3300EXIIを用いて測定した。測定試料は、溶媒として水を用いた。また、測定物質の屈折率は2.20に設定した。
次に、ポットに、バインダーとして混合原料粉末に対して0.2質量%のアクリルエマルジョンバインダーと、分散剤として混合原料粉末に対して0.6質量%のポリカルボン酸アンモニウムと、分散媒として混合原料粉末に対して20質量%の水とを加え、さらに粉砕メディア(GZOメディア)を用いて、24時間ボールミル混合して、混合物スラリーを得た。
このようにして得られた混合物スラリーを、アルミニウム製成形型に流し込み、分散媒を排水し、成形体を得た。
次に、得られた成形体を、大気雰囲気下中、焼成温度1410℃で、焼成時間10時間、昇温速度300℃/h、降温速度50℃/hで焼成することにより、焼成体を得た。そして、得られた焼成体を、幅寸法210mm×長さ寸法710mm×厚さ寸法6mmとなるように、切削加工し、実施例1に係る酸化物焼結体を得た。なお、切削加工には、#170の砥石を用いた。
(実施例2)
実施例2では、焼成温度を1450℃に変更したこと以外、実施例1と同様な製造方法を実施し、実施例2に係る酸化物焼結体を得た。
(実施例3)
実施例3では、焼成温度を1500℃に変更したこと以外、実施例1と同様な製造方法を実施し、実施例3に係る酸化物焼結体を得た。
(実施例4)
実施例4では、粉砕メディアをZrOに変更し、また焼成温度を1450℃に変更したこと以外、実施例1と同様な製造方法を実施し、実施例4に係る酸化物焼結体を得た。
(比較例1)
比較例1では、焼成温度を1400℃に変更したこと以外、実施例1と同様な製造方法を実施し、比較例1に係る酸化物焼結体を得た。
(比較例2)
比較例2では、焼成温度を1530℃に変更したこと以外、実施例1と同様な製造方法を実施し、比較例2に係る酸化物焼結体を得た。
(比較例3)
Ga粉末(メジアン径D50が1.5μm)と、ZnO粉末(メジアン径D50が0.8μm)とを、Ga:ZnO=1:1(GaとZnとの原子比がGa:Zn=2:1)となるように秤量し、分散媒として水を用い、粉砕メディア(ZrOボール)を用いて、ボールミルで6時間混合することにより、粉砕混合し、Ga-ZnO混合粉スラリーを得た。次に、得られたGa-ZnO混合粉スラリーをスプレードライヤーして、乾燥して、Ga-ZnO造粒粉を得た。さらに、得られたGa-ZnO造粒粉をアルミナ製るつぼに入れ、大気雰囲気中、仮焼温度900℃で5時間仮焼を行い、結晶質GaZnOを含む仮焼粉を得た。
得られた仮焼粉(結晶質GaZnOを含む)と、In粉末(メジアン径D50が0.6μm)とを、GaZnO:In=2:1(InとGaとZnとの原子比がIn:Ga:Zn=1:2:1)となるように秤量し、分散媒として水を用い、粉砕メディア(ZrOボール)を用いて、ボールミルで6時間混合することにより、粉砕混合し、GaZnO-In混合粉スラリーを得た。次に、得られたGaZnO-In混合粉スラリーをスプレードライヤーして、乾燥して、GaZnO-In造粒粉を得た。
このようにして得られたGaZnO-In造粒粉を、面圧0.5tf/cmの条件でプレス成形し、さらに面圧1.5tf/cmの条件でCIP成形することにより、成形体を得た。
次に、得られた成形体を、大気雰囲気下中、焼成温度1450℃で、焼成時間10時間、昇温速度300℃/h、降温速度50℃/hで焼成することにより、焼成体を得た。そして、得られた焼成体を、幅寸法210mm×長さ寸法710mm×厚さ寸法6mmとなるように、切削加工し、比較例3に係る酸化物焼結体を得た。なお、切削加工には、#170の砥石を用いた。なお、比較例3で用いた、In粉末、Ga粉末、及びZnO粉末は、実施例1で用いたものと同じものである。
(比較例4)
比較例4では、焼成温度を1500℃に変更したこと以外、比較例3と同様な製造方法を実施し、比較例4に係る酸化物焼結体を得た。
(比較例5)
In粉末(メジアン径D50が0.6μm)、Ga粉末(メジアン径D50が1.5μm)、及びZnO粉末(メジアン径D50が0.8μm)を、各粉末の混合比率が、InとGaとZnとの原子比がIn:Ga:Zn=1:2:1となるように秤量し、ポットに入れ、粉砕メディア(ZrOボール)を用いて、ボールミルで24時間乾式混合することにより、粉砕混合し、混合原料粉末を得た。
得られた混合原料粉末をアルミナ製るつぼに入れ、大気雰囲気中、仮焼温度900℃で5時間仮焼を行い、結晶質GaZnOを含む仮焼粉を得た。
次に、ポットに、バインダーとして仮焼粉に対して0.2質量%のアクリルエマルジョンバインダーと、分散剤として仮焼粉に対して0.6質量%のポリカルボン酸アンモニウムと、分散媒として仮焼粉に対して20質量%の水とを加え、さらに粉砕メディア(ZrOボール)を用いて、24時間ボールミル混合して、混合物スラリーを得た。
このようにして得られた混合物スラリーを、アルミニウム製成形型に流し込み、分散媒を排水し、成形体を得た。
次に、得られた成形体を、大気雰囲気下中、焼成温度1430℃で、焼成時間10時間、昇温速度300℃/h、降温速度50℃/hで焼成することにより、焼成体を得た。そして、得られた焼成体を、幅寸法210mm×長さ寸法710mm×厚さ寸法6mmとなるように、切削加工し、比較例5に係る酸化物焼結体を得た。なお、切削加工には、#170の砥石を用いた。
そして、実施例1~4、及び比較例1~5において得られた酸化物焼結体について、次のような物性を測定した。以下、測定した物性値、及びその物性値の測定方法を示すとともに、測定結果を図1に示す。
〈元素分析〉
必要に応じて試料に、硝酸、過塩素酸、過酸化水素を添加し、加熱分解して溶液化し、ICP発光分光分析装置(アジレント・テクノロジーズ製:720 ICP-OES)を用いて、各元素濃度(In、Ga、Zn、及びZr濃度)を測定した。
〈相対密度〉
実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体の相対密度は、アルキメデス法に基づき、測定した。具体的には、ターゲット材の空中質量を体積(ターゲット材の水中質量/計測温度における水比重)で除し、上記式(X)に基づく理論密度ρ(g/cm)に対する百分率の値を相対密度(単位:%)とした。
〈結晶粒径測定〉
実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡を用いて撮影したSEM像から、InGaZnO相、及びGaZnO相の結晶粒径、すなわち面積円相当径を測定した。具体的には、実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体を切断して得られた切断面を、エメリー紙#180、#400、#800、#1000、#2000を用いて段階的に研磨し、最後にバフ研磨して鏡面に仕上げた。次に、鏡面に仕上げた当該切断面を1100℃で1時間サーマルエッチングを施し、走査型電子顕微鏡(SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、倍率1000倍、87.5μm×125μmの範囲のBSE-COMP像を無作為に10視野撮影して、10視野分のSEM像を得た。
さらに、得られたSEM像を、画像処理ソフトウェアImageJを用いて、InGaZnO相の粒界に沿って描画を行い、全ての描画が完了した後、粒子解析を実施し、各粒子における面積を得た。その後、得られた各粒子における面積から、面積円相当径を算出した。そして、これを10視野分のSEM像に対して実施し、算出された全粒子の面積円相当径の平均値を、InGaZnO相の面積円相当径とした。次に、得られたSEM像を、画像処理ソフトウェアImageJを用いて、GaZnO相の粒界に沿って描画を行い、同様に粒子解析を実施することによって得られた各粒子における面積から、面積円相当径を算出した。そして、これを10視野分のSEM像に対して実施し、算出された全粒子の面積円相当径の平均値を、GaZnO相の面積円相当径とした。
〈X線回折による結晶相の特定〉
実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体のX線回折による結晶相の特定は、株式会社リガクのSmartLab(登録商標)を用いて、上記粉末X線回折測定条件に従い、測定した。
〈抗折強度〉
実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体の抗折強度を、島津製作所製オートグラフ(登録商標) AGS-500Bを用いて、JIS規格:JIS-R-1601(ファインセラミックスの曲げ強度試験法)に準拠して、測定した。具体的には、酸化物焼結体から切り出した試験片(全長36mm以上、幅4.0mm、厚さ3.0mm)を用いて、JIS-R-1601(ファインセラミックスの曲げ強度試験法)の3点曲げ強さの測定方法に従って測定した。
〈ピンホール面積率〉
実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体のピンホール面積率は、酸化物焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡を用いて、結晶相の評価を行うことにより、測定した。具体的には、酸化物焼結体を切断して得られた切断面を、エメリー紙#180、#400、#800、#1000、#2000を用いて段階的に研磨し、最後にバフ研磨して鏡面に仕上げた。そして、鏡面に仕上げた当該切断面を、走査型電子顕微鏡(SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、倍率1000倍、87.5μm×125μmの範囲のBSE-COMP像を無作為に10視野撮影し、10視野分のSEM像を得た。
次に、各SEM像の円相当径0.1μm以上のピンホールが占める範囲を、Pictbear(フェンリル社製)を用いて、描画・色塗りつぶしを行った。さらに、粒子解析ソフトウェア(住友金属テクノロジー株式会社製:粒子解析Version3.0)を用いて、当該ピンホールを塗りつぶしたSEM像を認識させて、二値化した。この際、1画素がμm単位で表示されるように換算値を設定した。その後、粒子解析ソフトウェアでピンホールと全体の面積をそれぞれ算出し、全体に対するピンホールの百分率を、面積率として求めた。そして、10視野分のSEM像毎に得られた面積率の平均値を、酸化物焼結体におけるピンホール面積率とした。
〈アーキング評価〉
実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体を用いて、以下のスパッタリング条件に従って、スパッタリングを行い、アーキングの発生回数を測定した。
=スパッタリング条件=
・装置:DCマグネトロンスパッタ装置、排気系クライオポンプ、ロータリーポンプ
・到達真空度:3×10-6[Pa]
・スパッタ圧力:0.4[Pa]
・酸素分圧:1×10-3[Pa]
・投入電力量時間:2W/cm
・時間:10時間
アーキングの発生回数は、アーキングカウンター(型式:μArc Moniter MAM Genesis MAM データコレクター Ver.2.02(LANDMARK TECHNOLOGY社製)を用い測定し、以下のように評価した。
A:非常に少ない(200回以下)
B:少ない(200回超250回以下)
C:やや多い(250回超300回以下)
D:非常に多い(300回超)
図1に示す通り、実施例1~4に係る酸化物焼結体は、相対密度が100.0%超であると、アーキングの発生回数を抑えることができた。
実施例1~4に係る酸化物焼結体は、Zr含有量が100質量ppm以下であることから、Zrを含む不純物が含まれるのを低減することができた。また、実施例1~3に係る酸化物焼結体は、Zr含有量が1質量ppm未満であると、アーキングの発生回数が特に少なかった。
実施例1~4に係る酸化物焼結体は、ピンホール面積率が0.7%以下であると、アーキングの発生回数を抑えることができた。
実施例1~4に係る酸化物焼結体は、抗折強度が150MPa以上であると、アーキングの発生回数を抑えることができた。
実施例1~4、及び比較例1~5に係る酸化物焼結体は、X線回折測定の測定結果より、結晶相InGaZnO相、及びGaZnO相の2相の結晶相からなることが確認された。
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含む。
本発明に係る酸化物焼結体は、相対密度が高く、またZrを含む不純物の含有量を大幅に低減したものであるから、スパッタリングターゲット材として好適である。また、本発明に係る酸化物焼結体は、従来のスパッタリングターゲットに比べアーキングの発生を抑制することができるため、不良品の発生を低減させることができる。これは、天然資源の持続可能な管理、効率的な利用、及び脱炭素(カーボンニュートラル)を達成することにつながる。

Claims (7)

  1. In元素、Ga元素、及びZn元素を含む酸化物焼結体であって、
    前記In元素、Ga元素、及びZn元素の原子比が下記式を満たし、
    0.15<In/(In+Ga+Zn)<0.35
    0.4<Ga/(In+Ga+Zn)<0.6
    0.15<Zn/(In+Ga+Zn)<0.35
    粉末X線回折により得られたピークを同定し、確認したInGaZnO結晶相と、GaZnO結晶相とを含み、
    下記式(X)に基づく理論密度ρ(g/cm )に対する百分率の値である相対密度が100.0%超であり、
    Zr含有量が質量ppm未満であることを特徴とする酸化物焼結体。
    (式中C ~C はそれぞれターゲット材の構成物質の含有量(質量%)を示し、ρ ~ρ はC ~C に対応する各構成物質の密度(g/cm )を示す。)
  2. ピンホール面積率が0.7%以下であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物焼結体。
  3. 前記相対密度が100.5%以上であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の酸化物焼結体。
  4. 前記相対密度が101.0%以上であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の酸化物焼結体。
  5. 前記酸化物焼結体は、抗折強度が150MPa以上であることを特徴とする請求項1、又は2に記載の酸化物焼結体。
  6. 請求項1、又は2に記載の酸化物焼結体を含むことを特徴とするスパッタリングターゲット材。
  7. 請求項に記載のスパッタリングターゲット材を用いて、スパッタリングを行うことにより、基板上に薄膜を形成することを特徴とする膜の製造方法。
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