半導体装置の1種として、窒化物半導体を用いたものが知られている。窒化物半導体を用いた半導体装置は、高い飽和電子速度やワイドバンドギャップ等の特徴を利用し、高耐圧、高出力デバイスとしての開発が行われている。窒化物半導体を用いた半導体装置としては、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)、例えば、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor;HEMT)についての報告が数多くなされている。HEMTの1つとして、AlGaN(アルミニウムガリウムナイトライド)層を電子供給層(「バリア層」とも称される)として用い、GaN(ガリウムナイトライド)層を電子走行層(「チャネル層」とも称される)として用いたHEMTが知られている。このようなHEMTでは、AlGaN層の自発分極、及びGaN層との格子定数差に起因した歪みによってAlGaN層に発生するピエゾ分極により、AlGaN層との接合界面近傍のGaN層に高濃度の二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)が生成され、高出力デバイスが実現される。このため、GaN系窒化物半導体を用いたHEMTは、通信向け高出力増幅器等への応用が期待されている。
HEMTの形成においては、所定の基板上に、有機金属気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;MOCVD)法等を用いて、上記のような電子走行層及び電子供給層を含む半導体層が設けられる。半導体層を設ける基板として、SiC(シリコンカーバイド)基板やSi(シリコン)基板を用いる技術が知られている。このほか、半導体層を設ける基板として、GaN基板を用いる技術も知られている。半導体層にGaN系窒化物半導体を用いる場合、それを設ける基板としてGaN基板を用いると、SiC基板やSi基板といった異種基板を用いる時と比べて、基板上に設けられる半導体層の結晶欠陥が抑えられる。基板上に設けられる半導体層の結晶欠陥が抑えられることで、当該半導体層に形成されるHEMTの電流コラプスが抑えられる。そのため、基板としてGaN基板を用いることは、HEMT及びそれが適用される増幅器等の出力特性の改善に有効な手法の1つとして期待されている。
ところが、このように基板としてGaN基板を用い、その上に半導体層としてGaN系窒化物半導体を設ける場合には、電流コラプスが抑えられる一方、基板と半導体層との界面にSiが偏析し易い。例えば、半導体層を設ける前の基板を空気中に曝すと、基板の表面にSiが付着してしまい、Siが付着した基板上に半導体層が設けられることで、それらの界面にSiが偏析するようになる。基板と半導体層との界面にSiが偏析すると、寄生損失が生じる。例えば、基板と半導体層との界面に偏析したSiは、キャリア(ドナー)として機能し得るため、界面が低抵抗となり、半導体層に形成されるHEMTの耐圧が低下する等、HEMTの特性劣化を引き起こす恐れがある。
尚、このようなSiの偏析は、GaN基板に限らず、SiC基板やSi基板といった各種基板と、その上に設けられる半導体層との界面においても、同様に起こり得る。また、Siの偏析は、GaN系窒化物半導体に限らず、GaAs(ガリウムヒ素)やInP(インジウムリン)といった各種半導体を用いる半導体層と、それが設けられる各種基板との界面においても、同様に起こり得る。
基板と半導体層との界面に偏析するSiの影響を抑える手法として、基板上に、厚さ10μm程度といった比較的厚い高抵抗のバッファ層を設ける手法が提案されている。しかし、厚いバッファ層は、その形成に比較的長時間を要するため、量産性の観点では採用することが難しい。
また、基板と半導体層との界面に偏析するSiを補償するFe(鉄)やC(カーボン)といった元素を添加する手法も提案されている。しかし、添加されるFe等の元素の濃度が、界面に偏析するSiの濃度に対して低すぎると、Siが十分に補償されず、HEMTの耐圧の低下等、その特性劣化を抑えることが難しい。これに対し、界面に偏析するSiを十分に補償できる程度に、Fe等の元素を比較的高濃度(例えば1×1019cm-3)に添加することも考えられるが、当該元素の濃度が高すぎると、当該元素により電流コラプスの悪化を招き、それによるHEMTの出力の低下等、その特性劣化を引き起こす恐れがある。
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような手法を用い、基板とその上に設けられる半導体層との界面のSiに起因した特性劣化を抑えることのできる半導体装置を実現する。
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図1には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図1に示す半導体装置1は、HEMTの一例である。半導体装置1は、基板10、半導体層20、ゲート電極30、ソース電極40及びドレイン電極50を含む。
基板10には、例えば、半導体基板が用いられる。一例として、基板10には、GaN基板が用いられる。このほか、基板10には、SiC基板、Si基板、AlN(アルミニウムナイトライド)基板、AlGaN基板等が用いられてもよい。基板10は、1種の基板の単層構造であってもよいし、2種以上の基板の積層構造であってもよい。
基板10には、下地基板上に半導体層が設けられたもの、例えば、GaN層が設けられたものや、SiC層、Si層、AlN層、AlGaN層等が設けられたものが用いられてもよい。この場合の下地基板には、上記のようなGaN基板、SiC基板、Si基板、AlN基板、AlGaN基板のほか、サファイア基板、ダイヤモンド基板等の他の基板が用いられてもよい。
基板10(下地基板上に半導体層が設けられたものの場合はその半導体層)には、Siを補償する元素(以下「Si補償元素」と言う)が含有されるものが用いられる。基板10のSi補償元素には、例えば、Fe、C、Mn(マンガン)等が用いられる。基板10には、1種のSi補償元素が含有されてもよいし、2種以上のSi補償元素が含有されてもよい。基板10に含有されるSi補償元素の濃度は、例えば、1×1018cm-3以上に設定される。
基板10は、その一方の面10a(下地基板上に半導体層が設けられたものの場合はその半導体層の面10a)に、後述のようにして半導体層20が設けられる前に、面10aに付着したSiが除去され、面10aにおけるダングリングボンドがF(フッ素)で終端される。基板10の面10aにおけるダングリングボンドがFで終端されることで、それ以降に面10aに付着するSiの量、即ち、面10aを汚染するSiの量が低減される。例えば、基板10の面10aにFが導入されない時には1019cm-3のオーダーの濃度で付着するSiが、面10aにFが導入されることで、1017cm-3のオーダーの濃度まで低減されるようになる。
上記のような基板10の一方の面10aに、半導体層20が設けられる。半導体層20には、界面層21、初期層22、電子走行層23及び電子供給層24が含まれる。半導体層20は、基板10の面10aに、例えば、MOCVD法を用いて、界面層21、初期層22、電子走行層23及び電子供給層24を順に成長させることで、得られる。
界面層21は、半導体層20の、基板10の面10aとの界面に設けられる。界面層21は、基板10の面10aと、半導体層20の初期層22との間に設けられる。例えば、基板10の面10aに対しMOCVD法を用いて初期層22を成長する際の、その成長初期段階で、基板10の面10aに界面層21が形成され、その界面層21の形成に続いて初期層22の成長が更に進行することで、初期層22が形成される。界面層21及び初期層22には、AlN、GaN、AlGaN等の窒化物半導体が用いられる。界面層21は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。初期層22は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。
ここで、界面層21には、Si補償元素及びFが含有される。
界面層21のSi補償元素には、例えば、Fe、C、Mn等が用いられる。界面層21には、1種のSi補償元素が含有されてもよいし、2種以上のSi補償元素が含有されてもよい。界面層21に含有されるSi補償元素の濃度は、基板10の面10aに付着し、その面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの濃度よりも高くなるように、設定される。但し、界面層21に含有されるSi補償元素の濃度は、例えば、5×1018cm-3以下に設定されることが好ましい。
Si補償元素を含有する界面層21は、例えば、基板10の面10aに対しMOCVD法を用いて初期層22を成長する際、少なくともその成長初期段階においてSi補償元素を添加することで、形成される。界面層21のSi補償元素には、基板10の面10aに存在するもの、基板10から拡散するもの、Si補償元素を添加して成長される初期層22のもの、又はその初期層22から拡散するものが含まれてもよい。
界面層21のFは、半導体層20(その界面層21)を設ける前に基板10の面10aにおけるダングリングボンドを終端するように導入されたFを含む。基板10の面10aに、MOCVD法を用いて初期層22が成長されることで、その成長初期段階において、Fを含有する界面層21が形成される。
Si補償元素は、界面層21のほか、初期層22に含有され得る。初期層22のSi補償元素には、例えば、Fe、C、Mn等が用いられる。初期層22には、1種のSi補償元素が含有されてもよいし、2種以上のSi補償元素が含有されてもよい。Si補償元素を含有する初期層22は、基板10の面10aに対しMOCVD法を用いて初期層22を成長する際にSi補償元素を添加することで、形成される。
初期層22のSi補償元素は、必ずしも初期層22に一様に含有されていることを要しない。例えば、初期層22のSi補償元素は、界面層21近傍の領域に含有され、電子走行層23近傍の領域には含有されないような分布とされてもよい。また、初期層22には、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から電子走行層23側に向かう方向にSi補償元素の濃度が増加する領域が設けられてもよい。初期層22のSi補償元素の各種分布は、基板10の面10aに対しMOCVD法を用いて初期層22を成長する際のSi補償元素の添加量を調整することで、実現される。
電子走行層23は、初期層22の、界面層21又は基板10側とは反対側の面22aに設けられる。電子走行層23には、GaN、AlGaN等の窒化物半導体が用いられる。電子走行層23は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。例えば、電子走行層23には、i型GaNが用いられる。
電子供給層24は、電子走行層23の、初期層22側とは反対側の面23aに設けられる。電子供給層24には、AlGaN、InAlN(インジウムアルミニウムナイトライド)、InAlGaN(インジウムアルミニウムガリウムナイトライド)、AlN、ScAlN(スカンジウムアルミニウムナイトライド)等の窒化物半導体が用いられる。電子供給層24は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。
電子走行層23の、電子供給層24との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。電子走行層23及び電子供給層24には、電子走行層23に2DEG1aが生成されるような組み合わせの窒化物半導体が用いられる。
尚、ここでは図示を省略するが、電子走行層23と電子供給層24との間には、AlN、AlGaN等の窒化物半導体を用いたスペーサ層が設けられてもよい。また、電子供給層24の、電子走行層23側とは反対側の面24aには、GaN等の窒化物半導体を用いたキャップ層が設けられてもよい。半導体層20には、上記のような界面層21、初期層22、電子走行層23及び電子供給層24のほか、このようなスペーサ層、キャップ層が含まれてもよい。
ゲート電極30は、半導体層20の面20a(図1の例では電子供給層24の面24a)側に設けられる。ゲート電極30には、Ni(ニッケル)、Au(金)等の金属が用いられる。ゲート電極30は、ショットキー電極として機能するように設けられる。ゲート電極30と半導体層20の面20aとの間には、酸化物、窒化物又は酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜(図示せず)が介在されてもよい。
ソース電極40及びドレイン電極50は、半導体層20の面20a側に、ゲート電極30を挟むように設けられる。ソース電極40及びドレイン電極50には、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)等の金属が用いられる。ソース電極40及びドレイン電極50は、オーミック電極として機能するように設けられる。ソース電極40及びドレイン電極50は、オーミック電極として機能すれば、電子供給層24と接続されてもよいし、電子供給層24を貫通して電子走行層23と接続されてもよい。ソース電極40及びドレイン電極50が接続される電子供給層24内又は電子走行層23内の部位には、n型GaNやn型AlGaN等の窒化物半導体を用いた再成長層がコンタクト層として設けられてもよい。
半導体装置1の動作時には、ソース電極40とドレイン電極50との間に所定の電圧が供給され、ゲート電極30に所定のゲート電圧が供給される。ソース電極40とドレイン電極50との間の電子走行層23にキャリアの電子が輸送されるチャネルが形成され、半導体装置1のトランジスタ機能が実現される。
上記のように、半導体装置1では、基板10の面10aに設けられる半導体層20の、基板10の面10aとの界面に、Si補償元素及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のSi補償元素は、基板10の面10aに付着してその面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの濃度よりも高くなるような濃度で、含有される。従って、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiが、界面層21のSi補償元素によって十分に補償され、偏析するSiのキャリア(ドナー)として機能が抑えられ、半導体装置1の耐圧の低下、界面への信号の伝搬が抑えられる。
界面層21には、Si補償元素に加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端する。界面層21にFが含有され、Fにより基板10の面10aのダングリングボンドが終端されることで、その面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの量が低減される。そのため、界面層21に含有させるSi補償元素の量、即ち、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの濃度よりも高くなるような濃度で含有させるSi補償元素の量が低減される。例えば、界面層21のSi補償元素の濃度が、5×1018cm-3以下に抑えられる。従って、半導体層20及びそれと基板10の面10aとの界面に、過剰な量のSi補償元素を添加することが不要になり、半導体層20のSi補償元素の量が抑えられ、Si補償元素による電流コラプスの悪化、それによる半導体装置1の出力の低下が抑えられる。半導体装置1では、比較的低濃度のSi補償元素で界面のSiが補償される。
基板10の面10aと半導体層20との界面に、Si補償元素及びFを含有する界面層21が設けられることで、当該界面のSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1が実現される。
また、半導体装置1では、半導体層20における初期層22の、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から電子走行層23側に向かう方向にSi補償元素の濃度が増加する領域が設けられてもよい。このような領域が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に、電子走行層23側からキャリア又は信号が伝搬することが、効果的に抑えられるようになる。
半導体装置1では、Si補償元素及びFを含有する界面層21が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの影響が抑えられる。界面に偏析するSiの影響を抑えるために、基板10上に、厚さ10μm程度といった比較的厚い高抵抗のバッファ層を設けることを要しない。半導体装置1では、界面層21を設けることで、半導体層20の厚さ(半導体層20に含まれる全層の合計厚さ)を、例えば、5μm以下としても、界面に偏析するSiの影響を抑えることができる。このように半導体装置1では、半導体層20の厚さを厚くすることを要しないため、半導体層20の形成に要する時間が長くなることが抑えられ、その量産性が高められるようになる。
続いて、上記のような界面層21による効果を評価した結果について述べる。
図2は第1の実施の形態に係る界面層により得られる効果について説明する図である。
図2(A)には、比較のため、上記半導体装置1における界面層21にFが含有されない場合(「F非含有」)のSi濃度及びキャリア密度の分布の一例を示している。図2(B)には、上記半導体装置1における界面層21にFが含有される場合(「F含有」)のSi濃度及びキャリア密度の分布の一例を示している。ここでは、基板10としてGaN基板を用い、Si補償元素としてFeを用いている。
図2(A)に示すように、界面層21にFが含有されない場合には、基板10と半導体層20との界面に、ピーク濃度で5×1019cm-3といった比較的高濃度のSiが偏析している。評価に用いた基板10に含有されているSi補償元素のFe濃度は2×1018cm-3程度である。よって、界面層21にFが含有されない場合には、基板10と半導体層20との界面において、Si濃度>Fe濃度、の関係があることから、余剰のSiに起因したキャリア蓄積が生じる。
これに対し、図2(B)に示すように、界面層21にFが含有される場合には、基板10と半導体層20との界面におけるSiが、ピーク濃度で8×1017cm-3まで低減されている。よって、界面層21にFが含有される場合には、基板10と半導体層20との界面において、Si濃度<Fe濃度、の関係があることから、Siに起因したキャリア蓄積が抑えられる。
界面層21にFが含有されない場合でも、基板10と半導体層20との界面に対してFeのようなSi補償元素を高濃度に添加することで、界面のSiを補償することは可能であると考えられる。しかし、鋭意検討の結果、界面に5×1018cm-3を超えるSi補償元素を添加すると、電流コラプス現象が顕著になり、出力特性の劣化を招く可能性が高まる。界面層21にFを含有させることで、基板10に付着するSiの量を抑え、基板10と半導体層20との界面に偏析するSiの量を抑えて、そのSiを補償するために添加するSi補償元素の量を抑えることが可能になる。従って、比較的低濃度のSi補償元素の添加で、界面に偏析するSiによるキャリア蓄積を抑えることが可能になる。
一例として、2.45GHz帯での出力特性の評価において、界面層21にFが含有されない場合の電力負荷効率は70%であったのに対し、界面層21にFが含有される場合の電力負荷効率は80%まで向上することが確認された。
[第2の実施の形態]
図3は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図3には第2の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図3に示す半導体装置1Aは、HEMTの一例である。半導体装置1Aは、基板10、半導体層20、ゲート電極30、ソース電極40及びドレイン電極50、並びにパッシベーション層60を含む。
半導体装置1Aの基板10には、例えば、GaN基板が用いられる。基板10には、例えば、Si補償元素であるFeが含有される。基板10のSi補償元素の濃度は、例えば、1×1018cm-3以上に設定される。基板10の面10aには、半導体層20が設けられる前に、面10aにおけるダングリングボンドを終端するFが導入される。これにより、面10aに付着するSiの量が、Fで終端されない場合に比べて、低減される。
半導体装置1Aの半導体層20には、界面層21、初期層22、電子走行層23、電子供給層24及びキャップ層25が含まれる。半導体層20は、基板10の面10aに、例えば、MOCVD法を用いて、界面層21、初期層22、電子走行層23、電子供給層24及びキャップ層25を順に成長させることで、得られる。
半導体装置1Aの界面層21及び初期層22には、AlN、GaN、AlGaN等の窒化物半導体が用いられる。半導体装置1Aの電子走行層23は、初期層22の、界面層21又は基板10側とは反対側の面22aに設けられる。電子走行層23には、例えば、i型GaNが用いられる。半導体装置1Aの電子供給層24は、電子走行層23の、初期層22側とは反対側の面23aに設けられる。電子供給層24には、AlGaN、InAlN、InAlGaN、AlN、ScAlN等の窒化物半導体が用いられる。半導体装置1Aにおいて、電子走行層23の、電子供給層24との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。半導体装置1Aのキャップ層25は、電子供給層24の、電子走行層23側とは反対側の面24aに設けられる。キャップ層25には、GaN、AlN、AlGaN等の窒化物半導体が用いられる。
尚、半導体装置1Aにおいて、その半導体層20の界面層21、初期層22、電子走行層23、電子供給層24及びキャップ層25にはそれぞれ、1種の窒化物半導体の単層構造が採用されてもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造が採用されてもよい。
また、ここでは図示を省略するが、半導体装置1Aの電子走行層23と電子供給層24との間には、AlN、AlGaN等の窒化物半導体を用いた、単層構造又は積層構造のスペーサ層が設けられてもよい。
半導体装置1Aの半導体層20の厚さ(半導体層20に含まれる全層の合計厚さ)は、例えば、5μm以下に設定される。
半導体装置1Aにおいて、界面層21は、半導体層20の、基板10の面10aとの界面に設けられる。その界面層21の、基板10側とは反対側に、初期層22が設けられる。半導体装置1Aの界面層21及び初期層22には、Si補償元素、例えば、Feが含有される。界面層21は、基板10の面10aに対しMOCVD法を用いて初期層22を成長する際に、形成される。MOCVD法を用いて初期層22を成長する際にSi補償元素のFeを添加することで、その成長初期段階で、Feを含有する界面層21が形成され、その界面層21の形成に続いて初期層22の成長が更に進行することで、Feを含有する初期層22が形成される。
半導体装置1Aにおいて、界面層21に含有されるSi補償元素のFeの濃度は、基板10の面10aに付着してその面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの濃度よりも高くなるように、設定される。界面層21に含有されるFeには、基板10の面10aに存在するもの、基板10から拡散するもの、Feを添加して成長される初期層22のもの、又はその初期層22から拡散するものが含まれてもよい。初期層22には、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から電子走行層23側に向かう方向にFeの濃度が増加する領域が設けられてもよい。
半導体装置1Aの界面層21には、Si補償元素のFeに加えて、基板10の面10aにおけるダングリングボンドを終端するように導入されたFが含有される。Fにより、基板10の面10aに付着するSiの量が低減され、面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの量が低減される。そのため、界面層21に含有させるSi補償元素のFeの濃度が比較的低濃度に、例えば、5×1018cm-3以下に、抑えられる。
このように、半導体装置1Aでは、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素のFeが含有され、界面層21には更に、Siの付着及び偏析を抑えるFが含有される。図3には、便宜上、基板10にFeが含有されることを[Fe]で表し、界面層21にFe及びFが含有されることを[Fe,F]で表し、初期層22にFeが含有されることを[Fe]で表している。
半導体装置1Aでは、上記のような構成を有する半導体層20の面20a(図3の例ではキャップ層25の面25a)側に、ゲート電極30、ソース電極40及びドレイン電極50、並びにパッシベーション層60が設けられる。
ゲート電極30は、半導体層20の面20a側に設けられる。ゲート電極30には、Ni、Au等の金属が用いられる。ゲート電極30は、ショットキー電極として機能するように設けられる。ゲート電極30と半導体層20の面20aとの間には、酸化物、窒化物又は酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜(図示せず)が介在されてもよい。
ソース電極40及びドレイン電極50は、半導体層20の面20a側に、ゲート電極30を挟むように設けられる。ソース電極40及びドレイン電極50には、Ti、Al等の金属が用いられる。ソース電極40及びドレイン電極50は、オーミック電極として機能するように設けられる。ソース電極40及びドレイン電極50は、オーミック電極として機能すれば、キャップ層25と接続されてもよいし、キャップ層25を貫通して電子供給層24と接続されてもよいし、キャップ層25及び電子供給層24を貫通して電子走行層23と接続されてもよい。ソース電極40及びドレイン電極50が接続されるキャップ層25内、電子供給層24内又は電子走行層23内の部位には、n型GaNやn型AlGaN等の窒化物半導体を用いた再成長層がコンタクト層として設けられてもよい。
半導体装置1Aでは、例えば、図3に示すように、ゲート電極30とドレイン電極50との間隔を、ゲート電極30とソース電極40との間隔よりも広くした、いわゆる非対称構造が採用される。非対称構造が採用されることで、ゲート電極30とドレイン電極50との間の電界の緩和、耐圧の向上が図られる。
パッシベーション層60は、半導体層20の面20a側に、少なくともゲート電極30とソース電極40及びドレイン電極50との間の半導体層20の面20aを覆うように、設けられる。パッシベーション層60には、SiN(窒化シリコン)等の絶縁層が用いられる。
半導体装置1Aの動作時には、ソース電極40とドレイン電極50との間に所定の電圧が供給され、ゲート電極30に所定のゲート電圧が供給される。ソース電極40とドレイン電極50との間の電子走行層23にキャリアの電子が輸送されるチャネルが形成され、半導体装置1Aのトランジスタ機能が実現される。
半導体装置1Aでは、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Fe及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のFeは、基板10の面10aに付着してその面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiを、界面層21のFeによって十分に補償し、半導体装置1Aの耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。
半導体装置1Aの界面層21には、Feに加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端する。そのため、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの量を低減し、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるFeの量を抑えることができる。従って、半導体層20及びそれと基板10の面10aとの界面に、過剰な量のFeを添加することが不要になり、比較的低濃度のFeで、電流コラプスの悪化、それによる半導体装置1Aの出力の低下を抑えることができる。半導体装置1Aでは、比較的低濃度のFeで界面のSiを補償することができる。また、半導体層20に、厚い高抵抗のバッファ層を含めることを要しない。
基板10の面10aと半導体層20との界面に、Fe及びFを含有する界面層21が設けられることで、当該界面のSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1Aが実現される。
続いて、上記のような構成を有する半導体装置1Aの形成方法について述べる。
図4~図7は第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。図4(A)、図4(B)、図5(A)、図5(B)、図6(A)、図6(B)、図7(A)及び図7(B)にはそれぞれ、第2の実施の形態に係る半導体装置形成の各工程の要部断面図を模式的に示している。以下、各工程について順に説明する。
図4(A)には、基板10の準備工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
まず、図4(A)に示すように、基板10が準備される。この例では、基板10として、GaN基板(GaN自立基板)が準備される。基板10には、Si補償元素であるFeが添加される。例えば、基板10には、添加により、1×1018cm-3以上の濃度のFeが含有される。
図4(B)には、基板10に対するF導入処理工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
基板10の準備後、図4(B)に示すように、準備された基板10の面10aに対し、Fを導入する処理が行われる。この処理では、基板10の面10aが、Fを含有する環境70に曝される。基板10の面10aを、Fを含有する環境70に曝す処理として、例えば、その面10aを、HF(フッ化水素)といったFを含有する溶液に浸す、ウェットケミカル処理が行われる。尚、ウェットケミカル処理は、Fを含有する溶液を、基板10の面10aに滴下したり、噴霧したりすることで、行われてもよい。また、基板10の面10aを、Fを含有する環境70に曝す処理として、例えば、SF6(六フッ化硫黄)やCF4(四フッ化炭素)といったFを含有するガスをプラズマ化し、基板10の面10aに照射する、ドライケミカル処理が行われてもよい。
このようなFを含有する環境70に曝す処理により、基板10の面10aに、その面10aにおけるダングリングボンドがFで終端されるように、Fが導入される。基板10の面10aにおけるダングリングボンドがFで終端されることで、その面10aに付着するSiの量、即ち、面10aを汚染するSiの量が、Fで終端されない場合に比べて、低減される。
図5(A)には、界面層21及び初期層22の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
基板10の面10aに対するFの導入後、図5(A)に示すように、Fが導入された基板10の面10aに、MOCVD法を用いて、所定の窒化物半導体が成長され、界面層21及び初期層22が形成される。界面層21及び初期層22には、Si補償元素であるFeが含有される。上記のようにしてFが導入された基板10の面10aに、MOCVD法を用いて初期層22が成長され、その際、Si補償元素のFeが添加される。この初期層22の成長初期段階で、基板10の面10a上に、Feを含有する界面層21が形成され、その界面層21の形成に続いて初期層22の成長が更に進行することで、界面層21上に、Feを含有する初期層22が形成される。
界面層21の成長時に添加されるFeの量は、界面層21に含有されるFeの濃度が、基板10の面10aに付着してその面10aとの界面に偏析するSiよりも高濃度となるように、設定される。界面層21に含有されるFeには、基板10の面10aに存在するもの、基板10から拡散するもの、Feを添加して成長される初期層22のもの、又はその初期層22から拡散するものが含まれてもよい。形成される界面層21には、Feに加えて、基板10の面10aに導入されたFが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端する。そのため、基板10の面10aとの界面に偏析するSiの量が低減され、界面層21の成長時に、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有されるように添加されるFeの量が抑えられる。
初期層22には、その成長時のFeの添加量を調整し、分布を持たせてFeを含有させることができる。例えば、初期層22のFeは、界面層21近傍の領域に含有され、初期層22の面22a近傍の領域には含有されないような分布とされてもよい。また、初期層22には、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から初期層22の面22a側に向かう方向にFeの濃度が増加する領域が設けられてもよい。
このように、Feが添加され面10aにFが導入された基板10のその面10aに、Feが添加されて窒化物半導体が成長され、Fe及びFを含有する界面層21と、Feを含有する初期層22との積層構造が形成される。
図5(B)には、電子走行層23、電子供給層24及びキャップ層25の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
界面層21及び初期層22の形成後、図5(B)に示すように、形成された初期層22の面22aに、MOCVD法を用いて、所定の窒化物半導体が成長され、電子走行層23が形成される。形成された電子走行層23の面23aに、MOCVD法を用いて、所定の窒化物半導体が成長され、電子供給層24が形成される。電子走行層23の、電子供給層24との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。形成された電子供給層24の面24aに、MOCVD法を用いて、所定の窒化物半導体が成長され、キャップ層25が形成される。これにより、界面層21、初期層22、電子走行層23、電子供給層24及びキャップ層25が順に積層された積層構造を有する半導体層20が形成される。尚、半導体層20には、電子走行層23と電子供給層24との間に設けられるスペーサ層等の他の層が更に含まれてもよい。
半導体層20の形成後、素子分離領域(図示せず)が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術により、素子分離領域を形成する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。そして、形成されたレジストパターンをマスクとして、その開口部の窒化物半導体に対してAr(アルゴン)イオンが注入され、素子分離領域が形成される。素子分離領域は、レジストパターンの開口部の窒化物半導体を、Cl(塩素)系ガスを用いた反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching;RIE)等のドライエッチングによって除去することで形成されてもよい。素子分離領域の形成後、マスクとして用いたレジストパターンは、有機溶剤等を用いて除去される。
図6(A)には、ソース電極40及びドレイン電極50の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
半導体層20の形成及び素子分離領域(図示せず)の形成後、図6(A)に示すように、ソース電極40及びドレイン電極50が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術により、ソース電極40及びドレイン電極50を形成する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、真空蒸着法により、レジストパターン上及びその開口部内に、金属が蒸着される。一例として、厚さ2nm~50nmのTiが蒸着され、その上に厚さ100nm~300nmのAlが蒸着される。金属の蒸着後、リフトオフ技術により、レジストパターンがその上に蒸着された金属と共に除去される。これにより、ソース電極40及びドレイン電極50が形成される。その後、窒素雰囲気中、500℃~900℃で熱処理(合金化処理)が行われることで、ソース電極40及びドレイン電極50におけるオーミック接続が確立される。
図6(B)には、パッシベーション層60の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
ソース電極40及びドレイン電極50の形成後、図6(B)に示すように、ソース電極40及びドレイン電極50が形成された半導体層20の面20aを覆うように、パッシベーション層60が形成される。パッシベーション層60は、半導体層20の面20aと共に、ソース電極40及びドレイン電極50を覆うように形成されてもよい。例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて、厚さ5nm~100nmのSiNが、パッシベーション層60として形成される。
図7(A)には、パッシベーション層60の開口部形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
パッシベーション層60の形成後、図7(A)に示すように、ゲート電極30を形成する領域のパッシベーション層60が除去され、開口部60aが形成される。例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて、ゲート電極30を形成する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成され、そのレジストパターンの開口部から露出するパッシベーション層60が、RIE等のドライエッチングによって除去される。これにより、ゲート電極30を形成する領域に開口部60aを有するパッシベーション層60が形成される。
図7(B)には、ゲート電極30の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
開口部60aを有するパッシベーション層60の形成後、図7(B)に示すように、ゲート電極30が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極30を形成する領域であってパッシベーション層60の開口部60aを包含する領域に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。次いで、真空蒸着法により、レジストパターン上及びその開口部内に、金属が蒸着される。一例として、厚さ5nm~30nmのNiが蒸着され、その上に厚さ100nm~300nmのAuが蒸着される。金属の蒸着後、リフトオフ技術により、レジストパターンがその上に蒸着された金属と共に除去される。これにより、パッシベーション層60の開口部60a及びその外側のパッシベーション層60上に、ゲート電極30が形成される。ゲート電極30の形成後には熱処理が行われてもよい。
以上のような工程により、図7(B)及び上記図3に示すような半導体装置1Aが形成される。
半導体装置1Aでは、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Fe及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のFeは、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、界面に偏析するSiを、界面層21のFeによって十分に補償し、半導体装置1Aの耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。半導体装置1Aの界面層21には、Feに加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端し、界面に偏析するSiの量を低減する。従って、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるFeの量を抑え、比較的低濃度のFeで、電流コラプスの悪化、それによる半導体装置1Aの出力の低下を抑えることができる。半導体装置1Aでは、比較的低濃度のFeで界面のSiを補償することができる。界面層21により、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1Aが実現される。
ここで、界面層21のFe濃度は、5×1018cm-3以下となるように設定されることが好ましい。
図8は第2の実施の形態に係る界面層のFeの濃度と特性との関係の一例について説明する図である。
例えば、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの濃度をNSiとする。図8に示すように、界面層21のFeの濃度が、界面のSiの濃度NSi以上であれば、一定レベル以上のRF(Radio Frequency)特性及び耐圧特性が得られると考えられる。界面層21のFeの濃度が、界面のSiの濃度NSiの1/10以上であっても、一定レベル以上の耐圧特性は得られると考えられる。即ち、一定レベル以上のRF特性及び耐圧特性を得るためには、界面層21のFeの濃度を、界面のSiの濃度NSi以上とし、一定レベル以上の耐圧特性を得るためには、界面層21のFeの濃度を、界面のSiの濃度NSiの1/10以上とすることが考えられる。
但し、界面層21のFeの濃度が、5×1018cm-3を超えると、電流コラプス現象が顕著になり、電流コラプス特性が低下し、出力特性の劣化を招く可能性が高まる。よって、電流コラプス特性の低下を抑えるためには、界面層21のFeの濃度を、5×1018cm-3以下とすることが好ましい。一定レベル以上のRF特性及び耐圧特性を実現し、更に電流コラプス特性の低下を抑えるためには、界面層21のFeの濃度を、界面のSiの濃度NSi以上で且つ5×1018cm-3以下とすることがより好ましい。
また、半導体層20の初期層22には、Feの濃度に分布を持たせることができる。
図9は第2の実施の形態に係る半導体層の深さとFeの濃度との関係の一例について説明する図である。
図9に示すように、半導体層20には、基板10の面10aと半導体層20との界面層21(界面)近傍の領域に、界面側から半導体層20の面20a(表面)側に向かう方向にFeの濃度が増加する領域ARが設けられてもよい。このような領域ARは、例えば、MOCVD法を用いた初期層22の成長時に添加するFeの量を調整することで、初期層22内に設けることができる。このような領域ARが設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に、電子走行層23側からキャリア又は信号が伝搬することが、効果的に抑えられるようになる。
領域ARは、例えば、半導体層20の初期層22における、界面層21近傍の領域の全体に設けることができる。このほか、領域ARは、半導体層20の初期層22における、界面層21近傍の領域の一部に選択的に設けることもできる。例えば、領域ARは、半導体層20の初期層22における界面層21近傍の領域のうち、ゲート電極30の直下の領域に設けたり、ゲート電極30とソース電極40との間の直下、ゲート電極30とドレイン電極50との間の直下等に設けたりすることができる。
以上、第2の実施の形態に係る半導体装置1Aについて説明した。
以上の第2の実施の形態に係る半導体装置1Aについての説明では、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてFeが含有される例を示した。このほか、半導体装置1Aの基板10、界面層21及び初期層22には、Si補償元素として、Feに加えて、CやMn等の他の元素が更に含有されてもよい。但し、半導体装置1Aにおいて、基板10に含有されるSi補償元素はFeの積分濃度が最も高く、界面層21に含有されるSi補償元素はFeの積分濃度が最も高く、初期層22に含有されるSi補償元素はFeの積分濃度が最も高いものとする。このような構成であっても、基板10、界面層21及び初期層22に含有される、Feを主体とするSi補償元素により、基板10と半導体層20との界面に偏析するSiを補償することができる。更に、界面層21に含有されるFにより、界面に偏析するSiの量を低減し、Feを主体とするSi補償元素の添加量を抑えることができる。これにより、比較的低濃度のSi補償元素で、界面に偏析するSiを補償することができる。また、このような構成であっても、上記図8の例に従い、界面層21のSi補償元素の濃度を、界面のSiの濃度NSi以上で且つ5×1018cm-3以下の範囲に設定することが可能である。更にまた、上記図9の例に従い、基板10の面10aと半導体層20との界面層21近傍の領域に、界面側から半導体層20の面20a側に向かう方向にSi補償元素の濃度が増加する領域を設けることが可能である。
[第3の実施の形態]
図10は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図10には第3の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図10に示す半導体装置1Bは、HEMTの一例である。半導体装置1Bは、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてCが含有された構成を有する。半導体装置1Bは、このような点で、上記第2の実施の形態で述べたような、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてFeが含有された構成を有する半導体装置1Aと相違する。
半導体装置1Bでは、Si補償元素としてCが含有され面10aにFが導入された基板10のその面10aに、MOCVD法を用いて、Cを添加して界面層21及び初期層22が形成される。界面層21に含有されるCには、基板10の面10aに存在するもの、基板10から拡散するもの、Cを添加して成長される初期層22のもの、又はその初期層22から拡散するものが含まれてもよい。
半導体装置1Bでは、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてCが含有され、界面層21には更に、Siの付着及び偏析を抑えるFが含有される。図10には、便宜上、基板10にCが含有されることを[C]で表し、界面層21にC及びFが含有されることを[C,F]で表し、初期層22にCが含有されることを[C]で表している。
半導体装置1Bにおけるその他の構成及び形成方法は、上記半導体装置1Aについて述べたのと同様とすることができる。
半導体装置1Bでは、基板10の面10aと半導体層20との界面に、C及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のCは、基板10の面10aに付着してその面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiを、界面層21のCによって十分に補償し、半導体装置1Bの耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。但し、電流コラプスを抑える観点では、界面層21のCの濃度は、5×1018cm-3以下となるように設定されることが好ましい。
半導体装置1Bの界面層21には、Cに加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端する。そのため、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの量を低減し、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるCの量を抑えることができる。従って、半導体層20及びそれと基板10の面10aとの界面に、過剰な量のCを添加することが不要になり、比較的低濃度のCで、電流コラプスの悪化、それによる半導体装置1Bの出力の低下を抑えることができる。半導体装置1Bでは、比較的低濃度のCで界面のSiを補償することができる。
基板10の面10aと半導体層20との界面に、C及びFを含有する界面層21が設けられることで、当該界面のSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1Bが実現される。
また、半導体装置1Bでは、上記図9の例に従い、半導体層20における初期層22の、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から電子走行層23側に向かう方向にCの濃度が増加する領域が設けられてもよい。このような領域が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に、電子走行層23側からキャリア又は信号が伝搬することが、効果的に抑えられるようになる。
半導体装置1Bでは、C及びFを含有する界面層21が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの影響が抑えられる。界面に偏析するSiの影響を抑えるために、厚い高抵抗のバッファ層を設けることを要しない。半導体装置1Bでは、界面層21を設けることで、半導体層20の合計厚さを、例えば、5μm以下としても、界面に偏析するSiの影響が抑えられ、半導体層20の形成に要する時間が長くなることが抑えられ、その量産性が高められる。
ここでは、半導体装置1Bの基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてCが含有される例を示したが、基板10、界面層21及び初期層22には、Si補償元素として、Cに加えて、FeやMn等の他の元素が更に含有されてもよい。但し、半導体装置1Bにおいて、基板10に含有されるSi補償元素はCの積分濃度が最も高く、界面層21に含有されるSi補償元素はCの積分濃度が最も高く、初期層22に含有されるSi補償元素はCの積分濃度が最も高いものとする。このような構成であっても、基板10、界面層21及び初期層22に含有される、Cを主体とするSi補償元素により、基板10と半導体層20との界面に偏析するSiを補償することができる。更に、界面層21に含有されるFにより、界面に偏析するSiの量を低減し、Cを主体とするSi補償元素の添加量を抑えることができる。これにより、比較的低濃度のSi補償元素で、界面に偏析するSiを補償することができる。また、このような構成であっても、上記図8の例に従い、界面層21のSi補償元素の濃度を、界面のSiの濃度NSi以上で且つ5×1018cm-3以下の範囲に設定することが可能である。更にまた、上記図9の例に従い、基板10の面10aと半導体層20との界面層21近傍の領域に、界面側から半導体層20の面20a側に向かう方向にSi補償元素の濃度が増加する領域を設けることが可能である。
[第4の実施の形態]
図11は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図11には第4の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図11に示す半導体装置1Cは、HEMTの一例である。半導体装置1Cは、基板10にSi補償元素としてCが含有され、初期層22にSi補償元素としてFeが含有され、界面層21にSi補償元素としてC及びFeが含有された構成を有する。半導体装置1Cは、このような構成を有する点で、上記第2の実施の形態で述べたような、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてFeが含有された構成を有する半導体装置1Aと相違する。
半導体装置1Cでは、Si補償元素としてCが含有され面10aにFが導入された基板10のその面10aに、MOCVD法を用いて、Feを添加して界面層21及び初期層22が形成される。界面層21の形成時、即ち、初期層22の成長初期段階に、Cが添加されてもよい。界面層21に含有されるCには、基板10の面10aに存在するもの、基板10から拡散するもの、Cを添加して成長される初期層22のもの、又はその初期層22から拡散するものが含まれてもよい。
半導体装置1Cでは、基板10にSi補償元素としてCが含有され、初期層22にSi補償元素としてFeが含有され、界面層21にSi補償元素としてC及びFeが含有され、界面層21には更に、Siの付着及び偏析を抑えるFが含有される。図11には、便宜上、基板10にCが含有されることを[C]で表し、界面層21にC、Fe及びFが含有されることを[C,Fe,F]で表し、初期層22にFeが含有されることを[Fe]で表している。
半導体装置1Cにおけるその他の構成及び形成方法は、上記半導体装置1Aについて述べたのと同様とすることができる。
半導体装置1Cでは、基板10の面10aと半導体層20との界面に、C、Fe及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のC及びFeは、基板10の面10aに付着してその面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiを、界面層21のC及びFeによって十分に補償し、半導体装置1Cの耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。但し、電流コラプスを抑える観点では、界面層21のC及びFeの合計濃度は、5×1018cm-3以下となるように設定されることが好ましい。
半導体装置1Cの界面層21には、C及びFeに加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端する。そのため、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの量を低減し、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるC及びFeの量を抑えることができる。従って、半導体層20及びそれと基板10の面10aとの界面に、過剰な量のC及びFeを添加することが不要になり、比較的低濃度のC及びFeで、電流コラプスの悪化、それによる半導体装置1Cの出力の低下を抑えることができる。半導体装置1Cでは、比較的低濃度のC及びFeで界面のSiを補償することができる。
基板10の面10aと半導体層20との界面に、C、Fe及びFを含有する界面層21が設けられることで、当該界面のSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1Cが実現される。
また、半導体装置1Cでは、上記図9の例に従い、半導体層20における初期層22の、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から電子走行層23側に向かう方向にSi補償元素(例えばFe)の濃度が増加する領域が設けられてもよい。このような領域が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に、電子走行層23側からキャリア又は信号が伝搬することが、効果的に抑えられるようになる。
半導体装置1Cでは、C、Fe及びFを含有する界面層21が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの影響が抑えられる。界面に偏析するSiの影響を抑えるために、厚い高抵抗のバッファ層を設けることを要しない。半導体装置1Cでは、界面層21を設けることで、半導体層20の合計厚さを、例えば、5μm以下としても、界面に偏析するSiの影響が抑えられ、半導体層20の形成に要する時間が長くなることが抑えられ、その量産性が高められる。
ここでは、半導体装置1Cの基板10にSi補償元素としてCが含有され、初期層22にSi補償元素としてFeが含有され、界面層21にSi補償元素としてC及びFeが含有される例を示した。このほか、基板10には、Si補償元素として、Cに加えて、FeやMn等の他の元素が更に含有されてもよい。初期層22には、Si補償元素として、Feに加えて、CやMn等の他の元素が更に含有されてもよい。界面層21には、Si補償元素として、C及びFeに加えて、Mn等の他の元素が更に含有されてもよい。但し、半導体装置1Cにおいて、基板10に含有されるSi補償元素はCの積分濃度が最も高く、初期層22に含有されるSi補償元素はFeの積分濃度が最も高く、界面層21に含有されるSi補償元素はC及びFeの積分濃度が最も高いものとする。このような構成であっても、基板10に含有される、Cを主体とするSi補償元素、初期層22に含有される、Feを主体とするSi補償元素、界面層21に含有される、C及びFeを主体とするSi補償元素により、基板10と半導体層20との界面に偏析するSiを補償することができる。更に、界面層21に含有されるFにより、界面に偏析するSiの量を低減し、Si補償元素の添加量を抑えることができる。これにより、比較的低濃度のSi補償元素で、界面に偏析するSiを補償することができる。また、このような構成であっても、上記図8の例に従い、界面層21のSi補償元素の濃度を、界面のSiの濃度NSi以上で且つ5×1018cm-3以下の範囲に設定することが可能である。更にまた、上記図9の例に従い、基板10の面10aと半導体層20との界面層21近傍の領域に、界面側から半導体層20の面20a側に向かう方向にSi補償元素の濃度が増加する領域を設けることが可能である。
[第5の実施の形態]
図12は第5の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図12には第5の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図12に示す半導体装置1Dは、HEMTの一例である。半導体装置1Dは、基板10にSi補償元素としてFeが含有され、初期層22にSi補償元素としてCが含有され、界面層21にSi補償元素としてFe及びCが含有された構成を有する。半導体装置1Dは、このような構成を有する点で、上記第2の実施の形態で述べたような、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてFeが含有された構成を有する半導体装置1Aと相違する。
半導体装置1Dでは、Si補償元素としてFeが含有され面10aにFが導入された基板10のその面10aに、MOCVD法を用いて、Cを添加して界面層21及び初期層22が形成される。界面層21の形成時、即ち、初期層22の成長初期段階に、Feが添加されてもよい。界面層21に含有されるFeには、基板10の面10aに存在するもの、基板10から拡散するもの、Feを添加して成長される初期層22のもの、又はその初期層22から拡散するものが含まれてもよい。
半導体装置1Dでは、基板10にSi補償元素としてFeが含有され、初期層22にSi補償元素としてCが含有され、界面層21にSi補償元素としてFe及びCが含有され、界面層21には更に、Siの付着及び偏析を抑えるFが含有される。図12には、便宜上、基板10にFeが含有されることを[Fe]で表し、界面層21にFe、C及びFが含有されることを[Fe,C,F]で表し、初期層22にCが含有されることを[C]で表している。
半導体装置1Dにおけるその他の構成及び形成方法は、上記半導体装置1Aについて述べたのと同様とすることができる。
半導体装置1Dでは、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Fe、C及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のFe及びCは、基板10の面10aに付着してその面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiを、界面層21のFe及びCによって十分に補償し、半導体装置1Dの耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。但し、電流コラプスを抑える観点では、界面層21のFe及びCの合計濃度は、5×1018cm-3以下となるように設定されることが好ましい。
半導体装置1Dの界面層21には、Fe及びCに加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端する。そのため、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの量を低減し、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるFe及びCの量を抑えることができる。従って、半導体層20及びそれと基板10の面10aとの界面に、過剰な量のFe及びCを添加することが不要になり、比較的低濃度のFe及びCで、電流コラプスの悪化、それによる半導体装置1Dの出力の低下を抑えることができる。半導体装置1Dでは、比較的低濃度のFe及びCで界面のSiを補償することができる。
基板10の面10aと半導体層20との界面に、Fe、C及びFを含有する界面層21が設けられることで、当該界面のSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1Dが実現される。
また、半導体装置1Dでは、上記図9の例に従い、半導体層20における初期層22の、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から電子走行層23側に向かう方向にSi補償元素(例えばC)の濃度が増加する領域が設けられてもよい。このような領域が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に、電子走行層23側からキャリア又は信号が伝搬することが、効果的に抑えられるようになる。
半導体装置1Dでは、Fe、C及びFを含有する界面層21が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの影響が抑えられる。界面に偏析するSiの影響を抑えるために、厚い高抵抗のバッファ層を設けることを要しない。半導体装置1Dでは、界面層21を設けることで、半導体層20の合計厚さを、例えば、5μm以下としても、界面に偏析するSiの影響が抑えられ、半導体層20の形成に要する時間が長くなることが抑えられ、その量産性が高められる。
ここでは、半導体装置1Dの基板10にSi補償元素としてFeが含有され、初期層22にSi補償元素としてCが含有され、界面層21にSi補償元素としてFe及びCが含有される例を示した。このほか、基板10には、Si補償元素として、Feに加えて、CやMn等の他の元素が更に含有されてもよい。初期層22には、Si補償元素として、Cに加えて、FeやMn等の他の元素が更に含有されてもよい。界面層21には、Si補償元素として、Fe及びCに加えて、Mn等の他の元素が更に含有されてもよい。但し、半導体装置1Dにおいて、基板10に含有されるSi補償元素はFeの積分濃度が最も高く、初期層22に含有されるSi補償元素はCの積分濃度が最も高く、界面層21に含有されるSi補償元素はFe及びCの積分濃度が最も高いものとする。このような構成であっても、基板10に含有される、Feを主体とするSi補償元素、初期層22に含有される、Cを主体とするSi補償元素、界面層21に含有される、Fe及びCを主体とするSi補償元素により、基板10と半導体層20との界面に偏析するSiを補償することができる。更に、界面層21に含有されるFにより、界面に偏析するSiの量を低減し、Si補償元素の添加量を抑えることができる。これにより、比較的低濃度のSi補償元素で、界面に偏析するSiを補償することができる。また、このような構成であっても、上記図8の例に従い、界面層21のSi補償元素の濃度を、界面のSiの濃度NSi以上で且つ5×1018cm-3以下の範囲に設定することが可能である。更にまた、上記図9の例に従い、基板10の面10aと半導体層20との界面層21近傍の領域に、界面側から半導体層20の面20a側に向かう方向にSi補償元素の濃度が増加する領域を設けることが可能である。
[第6の実施の形態]
図13は第6の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図13には第6の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図13に示す半導体装置1Eは、HEMTの一例である。半導体装置1Eは、基板10にSi補償元素としてMnが含有され、初期層22にSi補償元素としてFeが含有され、界面層21にSi補償元素としてMn及びFeが含有された構成を有する。半導体装置1Eは、このような構成を有する点で、上記第2の実施の形態で述べたような、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてFeが含有された構成を有する半導体装置1Aと相違する。
半導体装置1Eでは、Si補償元素としてMnが含有され面10aにFが導入された基板10のその面10aに、MOCVD法を用いて、Feを添加して界面層21及び初期層22が形成される。界面層21の形成時、即ち、初期層22の成長初期段階に、Mnが添加されてもよい。界面層21に含有されるMnには、基板10の面10aに存在するもの、基板10から拡散するもの、Mnを添加して成長される初期層22のもの、又はその初期層22から拡散するものが含まれてもよい。
半導体装置1Eでは、基板10にSi補償元素としてMnが含有され、初期層22にSi補償元素としてFeが含有され、界面層21にSi補償元素としてMn及びFeが含有され、界面層21には更に、Siの付着及び偏析を抑えるFが含有される。図13には、便宜上、基板10にMnが含有されることを[Mn]で表し、界面層21にMn、Fe及びFが含有されることを[Mn,Fe,F]で表し、初期層22にFeが含有されることを[Fe]で表している。
半導体装置1Eにおけるその他の構成及び形成方法は、上記半導体装置1Aについて述べたのと同様とすることができる。
半導体装置1Eでは、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Mn、Fe及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のMn及びFeは、基板10の面10aに付着してその面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiを、界面層21のMn及びFeによって十分に補償し、半導体装置1Eの耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。但し、電流コラプスを抑える観点では、界面層21のMn及びFeの合計濃度は、5×1018cm-3以下となるように設定されることが好ましい。
半導体装置1Eの界面層21には、Mn及びFeに加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端する。そのため、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの量を低減し、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるMn及びFeの量を抑えることができる。従って、半導体層20及びそれと基板10の面10aとの界面に、過剰な量のMn及びFeを添加することが不要になり、比較的低濃度のMn及びFeで、電流コラプスの悪化、それによる半導体装置1Eの出力の低下を抑えることができる。半導体装置1Eでは、比較的低濃度のMn及びFeで界面のSiを補償することができる。
基板10の面10aと半導体層20との界面に、Mn、Fe及びFを含有する界面層21が設けられることで、当該界面のSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1Eが実現される。
また、半導体装置1Eでは、上記図9の例に従い、半導体層20における初期層22の、界面層21近傍の領域の全体又は一部に、界面層21側から電子走行層23側に向かう方向にSi補償元素(例えばFe)の濃度が増加する領域が設けられてもよい。このような領域が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に、電子走行層23側からキャリア又は信号が伝搬することが、効果的に抑えられるようになる。
半導体装置1Eでは、Mn、Fe及びFを含有する界面層21が設けられることで、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiの影響が抑えられる。界面に偏析するSiの影響を抑えるために、厚い高抵抗のバッファ層を設けることを要しない。半導体装置1Eでは、界面層21を設けることで、半導体層20の合計厚さを、例えば、5μm以下としても、界面に偏析するSiの影響が抑えられ、半導体層20の形成に要する時間が長くなることが抑えられ、その量産性が高められる。
ここでは、半導体装置1Eの基板10にSi補償元素としてMnが含有され、初期層22にSi補償元素としてFeが含有され、界面層21にSi補償元素としてMn及びFeが含有される例を示した。このほか、基板10には、Si補償元素として、Mnに加えて、FeやC等の他の元素が更に含有されてもよい。初期層22には、Si補償元素として、Feに加えて、CやMn等の他の元素が更に含有されてもよい。界面層21には、Si補償元素として、Mn及びFeに加えて、C等の他の元素が更に含有されてもよい。但し、半導体装置1Eにおいて、基板10に含有されるSi補償元素はMnの積分濃度が最も高く、初期層22に含有されるSi補償元素はFeの積分濃度が最も高く、界面層21に含有されるSi補償元素はMn及びFeの積分濃度が最も高いものとする。このような構成であっても、基板10に含有される、Mnを主体とするSi補償元素、初期層22に含有される、Feを主体とするSi補償元素、界面層21に含有される、Mn及びFeを主体とするSi補償元素により、基板10と半導体層20との界面に偏析するSiを補償することができる。更に、界面層21に含有されるFにより、界面に偏析するSiの量を低減し、Si補償元素の添加量を抑えることができる。これにより、比較的低濃度のSi補償元素で、界面に偏析するSiを補償することができる。また、このような構成であっても、上記図8の例に従い、界面層21のSi補償元素の濃度を、界面のSiの濃度NSi以上で且つ5×1018cm-3以下の範囲に設定することが可能である。更にまた、上記図9の例に従い、基板10の面10aと半導体層20との界面層21近傍の領域に、界面側から半導体層20の面20a側に向かう方向にSi補償元素の濃度が増加する領域を設けることが可能である。
尚、上記の例に従い、基板10、界面層21及び初期層22に、Si補償元素としてMnが主体で含有された構成を有する半導体装置を得ることもできる。
また、上記の例に従い、基板10にSi補償元素としてFeが主体で含有され、初期層22にSi補償元素としてMnが主体で含有され、界面層21にSi補償元素としてFe及びMnが主体で含有された構成を有する半導体装置を得ることもできる。
また、上記の例に従い、基板10にSi補償元素としてMnが主体で含有され、初期層22にSi補償元素としてCが主体で含有され、界面層21にSi補償元素としてMn及びCが主体で含有された構成を有する半導体装置を得ることもできる。
また、上記の例に従い、基板10にSi補償元素としてCが主体で含有され、初期層22にSi補償元素としてMnが主体で含有され、界面層21にSi補償元素としてC及びMnが主体で含有された構成を有する半導体装置を得ることもできる。
以上の説明では、基板10及び半導体層20に窒化物半導体を用いる例を示したが、上記のような基板10、界面層21及び初期層22を用いる手法は、基板10及び半導体層20に、他の半導体、化合物半導体を用いる場合にも、同様に適用可能である。このような場合にも、上記同様、基板10の面10aとその上に設けられる半導体層20との界面に偏析するSiを、半導体層20を厚くすることなく、比較的低濃度のSi補償元素で補償することが可能になる。
以上、第1~第6の実施の形態について説明した。
上記第1~第6の実施の形態で述べたような構成を有する半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等は、各種電子装置に適用することができる。一例として、上記のような構成を有する半導体装置を、半導体パッケージ、力率改善回路、電源装置及び増幅器に適用する場合について、以下に説明する。
[第7の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、半導体パッケージへの適用例を、第7の実施の形態として説明する。
図14は第7の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。図14には第7の実施の形態に係る半導体パッケージの一例の要部平面図を模式的に示している。
図14に示す半導体パッケージ200は、ディスクリートパッケージの一例である。半導体パッケージ200は、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1A(図3等)、半導体装置1Aが搭載されたリードフレーム210、及びそれらを封止する樹脂220を含む。
半導体装置1Aは、例えば、リードフレーム210のダイパッド210a上にダイアタッチ材等(図示せず)を用いて搭載される。半導体装置1Aには、上記ゲート電極30と接続されたパッド30a、ソース電極40と接続されたパッド40a、及びドレイン電極50と接続されたパッド50aが設けられる。パッド30a、パッド40a及びパッド50aはそれぞれ、Au、Al等のワイヤ230を用いてリードフレーム210のゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213に接続される。ゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213の各一部が露出するように、リードフレーム210とそれに搭載された半導体装置1A及びそれらを接続するワイヤ230が、樹脂220で封止される。
半導体装置1Aの、ゲート電極30と接続されたパッド30a及びドレイン電極50と接続されたパッド50aが設けられる面とは反対側の面に、ソース電極40と接続された外部接続用電極が設けられてもよい。当該外部接続用電極を、ソースリード212に繋がるダイパッド210aに、半田等の導電性接合材を用いて接続してもよい。
例えば、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1Aが用いられ、このような構成を有する半導体パッケージ200が得られる。
上記のように、半導体装置1Aでは、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Si補償元素及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のSi補償元素は、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、界面に偏析するSiを、界面層21のSi補償元素によって十分に補償し、耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。界面層21には、Si補償元素に加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端し、界面に偏析するSiの量を低減する。従って、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるSi補償元素の量を抑え、比較的低濃度のSi補償元素で、電流コラプスの悪化、それによる出力の低下を抑えることができる。半導体装置1Aでは、比較的低濃度のSi補償元素で界面のSiを補償することができる。界面層21により、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1Aが実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能の半導体パッケージ200が実現される。
ここでは、半導体装置1Aを例にしたが、他の半導体装置1,1B,1C,1D,1E等を用いて同様に半導体パッケージを得ることが可能である。
[第8の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、力率改善回路への適用例を、第8の実施の形態として説明する。
図15は第8の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。図15には第8の実施の形態に係る力率改善回路の一例の等価回路図を示している。
図15に示す力率改善(Power Factor Correction;PFC)回路300は、スイッチ素子310、ダイオード320、チョークコイル330、コンデンサ340、コンデンサ350、ダイオードブリッジ360及び交流電源370(AC)を含む。
PFC回路300において、スイッチ素子310のドレイン電極と、ダイオード320のアノード端子及びチョークコイル330の一端子とが接続される。スイッチ素子310のソース電極と、コンデンサ340の一端子及びコンデンサ350の一端子とが接続される。コンデンサ340の他端子とチョークコイル330の他端子とが接続される。コンデンサ350の他端子とダイオード320のカソード端子とが接続される。また、スイッチ素子310のゲート電極には、ゲートドライバが接続される。コンデンサ340の両端子間には、ダイオードブリッジ360を介して交流電源370が接続され、コンデンサ350の両端子間から直流電源(DC)が取り出される。
例えば、このような構成を有するPFC回路300のスイッチ素子310に、上記半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が用いられる。
上記のように、半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等では、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Si補償元素及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のSi補償元素は、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、界面に偏析するSiを、界面層21のSi補償元素によって十分に補償し、耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。界面層21には、Si補償元素に加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端し、界面に偏析するSiの量を低減する。従って、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるSi補償元素の量を抑え、比較的低濃度のSi補償元素で、電流コラプスの悪化、それによる出力の低下を抑えることができる。半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等では、比較的低濃度のSi補償元素で界面のSiを補償することができる。界面層21により、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が実現される。このような半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が用いられ、高性能のPFC回路300が実現される。
[第9の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、電源装置への適用例を、第9の実施の形態として説明する。
図16は第9の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。図16には第9の実施の形態に係る電源装置の一例の等価回路図を示している。
図16に示す電源装置400は、一次側回路410及び二次側回路420、並びに一次側回路410と二次側回路420との間に設けられるトランス430を含む。
一次側回路410には、上記第8の実施の形態で述べたようなPFC回路300、及びPFC回路300のコンデンサ350の両端子間に接続されたインバータ回路、例えば、フルブリッジインバータ回路440が含まれる。フルブリッジインバータ回路440には、複数、ここでは一例として4つのスイッチ素子441、スイッチ素子442、スイッチ素子443及びスイッチ素子444が含まれる。
二次側回路420には、複数、ここでは一例として3つのスイッチ素子421、スイッチ素子422及びスイッチ素子423が含まれる。
例えば、このような構成を有する電源装置400の、一次側回路410に含まれるPFC回路300のスイッチ素子310、及びフルブリッジインバータ回路440のスイッチ素子441~444に、上記半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が用いられる。例えば、電源装置400の、二次側回路420のスイッチ素子421~423には、シリコンを用いた通常のMIS(Metal Insulator Semiconductor)型FETが用いられる。
上記のように、半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等では、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Si補償元素及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のSi補償元素は、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、界面に偏析するSiを、界面層21のSi補償元素によって十分に補償し、耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。界面層21には、Si補償元素に加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端し、界面に偏析するSiの量を低減する。従って、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるSi補償元素の量を抑え、比較的低濃度のSi補償元素で、電流コラプスの悪化、それによる出力の低下を抑えることができる。半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等では、比較的低濃度のSi補償元素で界面のSiを補償することができる。界面層21により、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が実現される。このような半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が用いられ、高性能の電源装置400が実現される。
[第10の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、増幅器への適用例を、第10の実施の形態として説明する。
図17は第10の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。図17には第10の実施の形態に係る増幅器の一例の等価回路図を示している。
図17に示す増幅器500は、デジタルプレディストーション回路510、ミキサー520、ミキサー530及びパワーアンプ540を含む。
デジタルプレディストーション回路510は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー520は、非線形歪みが補償された入力信号SIと交流信号とをミキシングする。パワーアンプ540は、入力信号SIが交流信号とミキシングされた信号を増幅する。増幅器500では、例えば、スイッチの切り替えにより、出力信号SOをミキサー530で交流信号とミキシングしてデジタルプレディストーション回路510に送出することができる。増幅器500は、高周波増幅器、高出力増幅器として使用することができる。
このような構成を有する増幅器500のパワーアンプ540に、上記半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が用いられる。
上記のように、半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等では、基板10の面10aと半導体層20との界面に、Si補償元素及びFを含有する界面層21が設けられる。界面層21のSi補償元素は、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiよりも高濃度で含有される。従って、界面に偏析するSiを、界面層21のSi補償元素によって十分に補償し、耐圧の低下、界面への信号の伝搬を抑えることができる。界面層21には、Si補償元素に加え、Fが含有される。界面層21のFは、基板10の面10aのダングリングボンドを終端し、界面に偏析するSiの量を低減する。従って、界面に偏析するSiよりも高濃度で含有させるSi補償元素の量を抑え、比較的低濃度のSi補償元素で、電流コラプスの悪化、それによる出力の低下を抑えることができる。半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等では、比較的低濃度のSi補償元素で界面のSiを補償することができる。界面層21により、基板10の面10aと半導体層20との界面に偏析するSiに起因した特性劣化が効果的に抑えられる半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が実現される。このような半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等が用いられ、高性能の増幅器500が実現される。
上記半導体装置1,1A,1B,1C,1D,1E等を適用した各種電子装置(上記第7~第10の実施の形態で述べた半導体パッケージ200、PFC回路300、電源装置400及び増幅器500等)は、各種電子機器又は電子装置に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置、送信器、受信器、レーダー装置といった、各種電子機器又は電子装置に搭載することが可能である。
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 基板と、
前記基板の第1面に設けられる半導体層と
を含み、
前記半導体層は、前記基板の前記第1面との界面に、シリコンを補償する元素と、フッ素とを含有する界面層を有し、
前記界面層における前記シリコンの濃度が、前記界面層における前記元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置。
(付記2) 前記フッ素は、前記基板の前記第1面におけるダングリングボンドを終端することを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記元素は、鉄、炭素及びマンガンのうちの少なくとも1種を含有することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4) 前記界面層における前記元素の濃度は、5×1018cm-3以下であることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
(付記5) 前記半導体層は、前記界面層側に、前記元素を含有する領域であって、前記界面層から、前記半導体層の前記界面層側とは反対側の第2面に向かう方向に、前記元素の濃度が増加する前記領域を有することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6) 前記半導体層は、
前記界面層側に設けられる初期層と、
前記初期層の、前記界面層側とは反対側に設けられる電子走行層と、
前記電子走行層の、前記初期層側とは反対側に設けられる電子供給層と
を含み、
前記元素は、前記基板、前記界面層及び前記初期層に含有されることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
(付記7) 前記元素として、前記基板及び前記初期層に、同種の第1元素が含有され、前記界面層に、前記第1元素が含有されることを特徴とする付記6に記載の半導体装置。
(付記8) 前記元素として、前記基板及び前記初期層に、互いに異種の第2元素及び第3元素がそれぞれ含有され、前記界面層に、前記第2元素及び前記第3元素が含有されることを特徴とする付記6に記載の半導体装置。
(付記9) 前記基板及び前記半導体層に窒化物半導体が用いられることを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記10) 基板の第1面に半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の、前記基板の前記第1面との界面に、シリコンを補償する元素と、フッ素とを含有する界面層を形成する工程と
を含み、
前記界面層における前記シリコンの濃度が、前記界面層における前記元素の濃度よりも低いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記半導体層を形成する前に、前記基板の前記第1面におけるダングリングボンドを前記フッ素で終端し、
前記フッ素で終端された前記基板の前記第1面に、前記元素を添加して前記半導体層を形成することによって、前記界面層を形成することを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) 前記半導体層を形成する前の前記基板の前記第1面を、前記フッ素を含有する環境に曝すことによって、前記第1面におけるダングリングボンドを前記フッ素で終端することを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13) 基板と、
前記基板の第1面に設けられる半導体層と
を含み、
前記半導体層は、前記基板の前記第1面との界面に、シリコンを補償する元素と、フッ素とを含有する界面層を有し、
前記界面層における前記シリコンの濃度が、前記界面層における前記元素の濃度よりも低い半導体装置を備えることを特徴とする電子装置。