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JP7723556B2 - 温度調整装置および温度調整方法 - Google Patents
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JP7723556B2 - 温度調整装置および温度調整方法 - Google Patents

温度調整装置および温度調整方法

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Description

本発明は、温度調整装置および温度調整方法に関する。
例えば、半導体基板(半導体ウェハ)等の基板に熱処理を行うために、熱処理装置が用いられる。熱処理装置では、基板の温度が予め設定された値に調整される。例えば特許文献1に記載された熱処理装置は、基板が載置される熱処理プレートを含む。熱処理プレートは、温度センサおよびヒータを含む。温度センサの検出信号に基づいてヒータが制御されることにより熱処理プレートの温度が設定温度に制御される。特許文献2には、複数の領域に分割された加熱プレートを有する基板熱処理装置が記載されている。この基板熱処理装置では、加熱プレートの領域ごとに個別に温度制御が行われる。
特開2020-181948号公報 特開2013-162097号公報
熱処理プレートの複数の領域の温度を個別に制御する場合には、各領域にヒータおよび温度センサが設けられる。この場合、各領域において温度センサの検出温度に基づいてヒータが制御される。通常、温度センサの検出温度と熱処理プレートの実際の温度との関係は領域ごとに異なる。そこで、熱処理装置の設置時に、別途用意された温度測定用基板を用いて熱処理プレートの上面の各領域の実際の温度が測定され、熱処理プレートの複数の領域の温度が均一になるように、各領域の温度センサの検出温度が補正される。ここで、温度測定用基板とは、複数の温度センサを備える基板である。
しかしながら、各領域の温度センサの経時変化、またはメンテナンス時におけるセンサの配線抵抗の変化等により、一部の領域において温度センサの検出温度と熱処理プレートの温度との間の関係が変化することがある。そのような場合、熱処理プレートの上面全体の温度が均一にならない。そこで、熱処理プレートの温度が均一であるか否かを定期的に確認する必要がある。
通常は、定期的に、温度測定用基板を用いて熱処理プレートの複数の領域の温度が測定される。しかし、温度測定用基板を用いて熱処理プレートの温度が均一であるか否かを定期的に確認する必要がある。
複数の領域に分割されていない熱処理プレートを有する熱処理装置においても、温度センサの経時変化、またはメンテナンス時におけるセンサの配線抵抗の変化等により、温度センサの検出温度と熱処理プレートの温度との間の関係が変化することがある。それにより、温度センサの検出温度と熱処理プレートの実際の温度とが異なることになる。そのため、温度測定用基板を用いて熱処理プレートの実際の温度と温度センサの検出温度との関係を定期的に確認する必要がある。
本発明の目的は、対象物の実際の温度と検出温度値との関係が適正であるか否かを短時間で容易に判定することが可能な温度調整装置および温度調整方法を提供することである。
(1)本発明の一局面に従う温度調整装置は、対象物の温度を調整する温度調整装置であって、対象物の温度を調整するように設けられる熱処理部と、電力操作量に基づいて熱処理部に電力を供給する電力供給回路と、対象物の温度を検出する温度センサと、温度センサの出力値を検出温度値に変換する変換部と、初期設定時に、変換部により得られる検出温度値が適正状態であるとした場合において電力供給回路に与えられるべき電力操作量を適正電力操作量として記憶する記憶部と、温度調整動作時に、温度センサに対応する検出温度値が目標温度値に一致するように電力操作量を制御し、検出温度ずれ判定時に、記憶部に記憶された適正電力操作量を電力供給回路に与える電力制御部と、検出温度ずれ判定時に、変換部により得られる検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定する判定部とを備える。
その温度調整装置においては、初期設定時に、温度センサの出力値と検出温度値との関係が予め調整される。また、初期設定時に、適正状態の検出温度値を得るための電力操作量である適正電力操作量が記憶部に記憶される。
温度調整動作時には、検出温度値が目標温度値に一致するように電力操作量が制御される。初期設定後、温度センサの特性または配線抵抗が変化することにより、温度センサの出力値と検出温度値との関係が変化することがある。この場合、対象物の実際の温度と検出温度値との関係にずれが生じる。それにより、検出温度値が不適正状態になる。そこで、検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定する必要がある。
上記の構成によれば、検出温度ずれ判定時おいて、初期設定時に記憶部に記憶された適正電力操作量が電力供給回路に与えられる。この場合、適正電力操作量に対応する電力が熱処理部に供給される。それにより、検出温度ずれ判定時の対象物の実際の温度が初期設定時の対象物の実際の温度と等しくなる。したがって、検出温度ずれ判定時の検出温度値が不適正状態にあるか否かを容易に判定することができる。その結果、対象物の実際の温度と検出温度値との関係が適正であるか否かを短時間で容易に判定することが可能になる。
(2)温度調整装置は、対象物としての基板が載置される処理面を有する熱処理プレートをさらに備え、熱処理プレートの処理面は、複数の領域を有し、熱処理部は、処理面の複数の領域にそれぞれ対応して複数設けられ、電力供給回路は、複数の領域に対応する複数の電力操作量に基づいて複数の熱処理部に電力をそれぞれ供給するように構成され、温度センサは、複数の領域にそれぞれ対応して複数設けられ、変換部は、複数の温度センサの出力値を複数の検出温度値にそれぞれ変換するように構成され、記憶部は、初期設定時に、複数の領域にそれぞれ対応する複数の適正電力操作量を記憶するように構成され、電力制御部は、温度調整動作時に、複数の温度センサにそれぞれ対応する複数の検出温度値が目標温度値に一致するように複数の電力操作量をそれぞれ制御し、検出温度ずれ判定時に、記憶部に記憶された複数の適正電力操作量を電力供給回路に与えるように構成され、判定部は、検出温度ずれ判定時に、変換部により得られる複数の検出温度値のうち少なくとも1つが不適正状態にあるか否かを判定するように構成されてもよい。
この場合、熱処理プレートの処理面が複数の領域を有し、複数の領域に対応して複数の熱処理部および複数の温度センサが設けられる。初期設定時に、複数の温度センサの出力値と複数の検出温度値との関係が予め調整される。また、初期設定時に、適正状態の複数の検出温度値を得るための電力操作量である複数の適正電力操作量が記憶部に記憶される。
温度調整動作時には、熱処理プレートの複数の領域にそれぞれ対応する複数の検出温度値が目標温度値に一致するように複数の電力操作量がそれぞれ制御される。検出温度ずれ判定時には、初期設定時に記憶部に記憶された複数の適正電力操作量が電力供給回路に与えられる。この場合、複数の適正電力操作量に対応する電力が熱処理プレートの複数の熱処理部にそれぞれ供給される。それにより、検出温度ずれ判定時の熱処理プレートの複数の領域の実際の温度が初期設定時の熱処理プレートの複数の領域の実際の温度と等しくなる。したがって、少なくとも1つの領域に対応する検出温度値が不適正状態にあるか否かを短時間で容易に判定することができる。
(3)温度調整装置においては、初期設定時に、熱処理プレートの複数の領域の実際の温度が等しい場合に、複数の領域にそれぞれ対応する複数の検出温度値が同一になるように複数の適正電力操作量が設定され、判定部は、検出温度ずれ判定時に、変換部により得られる最大の検出温度値と最小の検出温度値との差が予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かに基づいて、変換部により得られる複数の検出温度値のうち少なくとも1つが不適正状態にあるか否かを判定してもよい。
この場合、各領域の熱処理部に印加される電圧の時間的な変動により初期設定時と検出温度ずれ判定時とで各熱処理部に供給される電力が異なる場合でも、複数の検出温度値のうち少なくとも1つの検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定することが可能となる。
(4)記憶部は、初期設定時に、電力供給回路に適正電力操作量が与えられた場合における適正状態の検出温度値を適正検出温度値として記憶し、判定部は、検出温度ずれ判定時には、各領域について、変換部により得られる複数の検出温度値の各々と対応する適正検出温度値とに基づいて、変換部により得られる検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定してもよい。
この場合、各熱処理部に印加される電圧の変動がないかまたは小さい場合には、検出温度ずれ判定時には、検出温度ずれ判定時に各領域の熱処理部に供給される電力が初期設定時に各領域の熱処理部に供給される電力と等しい。そのため、検出温度ずれ判定時に得られる各領域の検出温度値を対応する適正検出温度値と比較することにより、各検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定することが可能となる。それにより、いずれの領域に対応する検出温度値が不適正状態であるかを特定することが可能となる。
(5)温度調整装置は、電力供給回路により熱処理部に印加される電圧の値を取得する電圧値取得部と、変換部により得られた検出温度値を補正する補正部とをさらに備え、記憶部は、初期設定時に、電圧値取得部により取得された電圧の値を基準電圧値として記憶し、補正部は、熱処理部に印加される電圧の値と変換部により得られる検出温度値との関係に基づいて、検出温度ずれ判定時に変換部により得られた検出温度値を、記憶部に記憶された基準電圧値が熱処理部に印加された場合に得られることになる検出温度値に補正し、判定部は、補正部による補正後の検出温度値と記憶部に記憶された適正検出温度値とに基づいて、検出温度ずれ判定時に変換部により得られた検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定してもよい。
この場合、検出温度ずれ判定時に印加される電圧の値が初期設定時に印加された基準電圧値と互いに異なっていても、検出温度ずれ判定時において得られた各領域の検出温度値が、電圧の値と検出温度値との関係に基づいて基準電圧値に対応するように補正される。したがって、検出温度ずれ判定時に各領域の補正された検出温度値を対応する適正検出温度値と比較することにより、各検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定することが可能となる。それにより、各領域の熱処理部に印加される電圧が時間的に変動する場合でも、いずれの領域に対応する検出温度値が不適正状態であるかを特定することが可能となる。
(6)温度調整装置は、検出温度ずれ判定時に、判定部により変換部により得られた検出温度値が不適正状態にあると判定された場合、警報を発生する報知部をさらに備えてもよい。
この場合、使用者は、初期設定を再度行う必要性を即座に認識することができる。
(7)温度調整装置を用いて対象物の温度を調整する温度調整方法であって、
温度調整装置は、対象物の温度を調整するように設けられる熱処理部と、電力操作量に基づいて熱処理部に電力を供給する電力供給回路と、対象物の温度を検出する温度センサと、温度センサの出力値を検出温度値に変換する変換部とを備え、
温度調整方法は、初期設定時に、変換部により得られる検出温度値が適正状態であるとした場合において電力供給回路に与えられるべき電力操作量を適正電力操作量として記憶するステップと、温度調整動作時に、温度センサに対応する検出温度値が目標温度値に一致するように電力操作量を制御するステップと、検出温度ずれ判定時に、記憶された適正電力操作量を電力供給回路に与えるステップと、検出温度ずれ判定時に、変換部により得られる検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定するステップとを含んでもよい。
その温度調整方法によれば、検出温度ずれ判定時おいて、初期設定時に記憶部に記憶された適正電力操作量が電力供給回路に与えられる。この場合、適正電力操作量に対応する電力が熱処理部に供給される。それにより、検出温度ずれ判定時の対象物の実際の温度が初期設定時の対象物の実際の温度と等しくなる。したがって、検出温度ずれ判定時の検出温度値が不適正状態にあるか否かを容易に判定することができる。その結果、対象物の実際の温度と検出温度値との関係が適正であるか否かを短時間で容易に判定することが可能になる。
本発明によれば、対象物の実際の温度と検出温度値との関係が適正であるか否かを短時間で容易に判定することが可能になる。
一実施の形態に係る熱処理装置の構成を示す模式的側面図である。 図1の熱処理プレートの模式的平面図である。 初期設定時の複数の領域の実温度、検出温度値および電力操作量の関係の一例を示す図である。 検出温度ずれ判定時の複数の領域の実温度、検出温度値および電力操作量の関係の一例を示す図である。 検出温度ずれ判定時の複数の領域の実温度、検出温度値および電力操作量の関係の他の例を示す図である。 各ヒータに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。 各ヒータに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。 各ヒータに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。 各ヒータに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。 各ヒータに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。 各ヒータに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。 各ヒータに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。 1つの領域について検出温度ずれが生じた場合における検出温度ずれ量と複数の領域の検出温度値の変化量との関係を示す図である。 1つの領域について検出温度ずれが生じた場合における検出温度ずれ量と複数の領域の検出温度値の変化量との関係を示す図である。 1つの領域について検出温度ずれが生じた場合における検出温度ずれ量と複数の領域の検出温度値の変化量との関係を示す図である。 各領域における検出温度ずれ量と各領域における検出温度値のばらつきとの関係を示す図である。 図1の制御部の機能的な構成を示すブロック図である。 図17の制御部の制御動作の一例を示すフローチャートである。 ヒータに印加される電圧の変動による検出温度値の変化の例を示す図である。 図20は、ヒータに印加される電圧と検出温度値との相関を示す図である。 他の実施の形態に係る熱処理装置の制御部の機能的な構成を示すブロック図である。 さらに他の実施の形態に係る熱処理装置の制御部の機能的な構成を示すブロック図である。
以下、本発明の一実施の形態に係る温度調整装置および温度調整方法について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明においては、温度調整装置の一例として基板に加熱処理を行う熱処理装置を説明する。この場合、基板が温度調整の対象物である。なお、基板とは、半導体基板(半導体ウェハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
(1)熱処理装置の構成
図1は、一実施の形態に係る熱処理装置の構成を示す模式的側面図である。図2は、図1の熱処理プレートの模式的平面図である。図1に示すように、熱処理装置100は、熱処理プレート10、温度センサ群20、ヒータ群30、制御部40、表示部50および電源回路PGを備える。本実施の形態では、熱処理装置100は、加熱装置であり、熱処理プレート10は加熱プレートである。
熱処理プレート10は、扁平な円柱形状を有する金属製の伝熱プレートであり、平坦な上面を有する。熱処理プレート10の上面は、加熱処理の対象となる基板Wが載置可能に構成される。熱処理プレート10の上面には、基板Wの下面を支持する複数のプロキシミティボール等が設けられている。本実施の形態では、熱処理プレート10の上面が処理面である。図1では、熱処理プレート10上に載置される基板Wが一点鎖線で示される。
熱処理プレート10内には、温度センサ群20およびヒータ群30が設けられている。温度センサ群20は、図2に示される複数の温度センサSeを含む。ヒータ群30は、図2に示される複数のヒータHeを含む。ヒータHeは、例えばマイカヒータまたはペルチェ素子等で構成される。
制御部40は、温度センサ群20により検出された温度に基づいてヒータ群30を制御する。具体的には、制御部40は、温度センサ群20により検出された温度に基づいて電源回路PGから供給される電圧をヒータ群30に印加する。ここで、制御部40においては、各領域のヒータHeに供給される電力をPID(比例-積分-微分)制御するために、後述する検出温度値と予め設定された温度(以下、目標温度値と呼ぶ。)との差に基づいて電力操作量が制御される。本実施の形態では、電力操作量はデューティ比である。
それにより、熱処理プレート10の処理面の温度が目標温度値で保持される。この状態で、基板Wに熱処理が行われる。以下、この動作を温度調整動作と呼ぶ。制御部40は、例えば、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)および記憶装置等を含む。表示部50は、例えば、液晶表示装置または有機エレクトロルミネッセンス表示装置を含み、種々の画像等を表示するために用いられる。
図2に示すように、熱処理プレート10は、平面視において複数の領域Z1~Z6にそれぞれ区分される。領域Z1は熱処理プレート10の中央部に円形状に配置される。領域Z2は領域Z1を取り囲むように環状に配置される。領域Z3~Z6は、領域Z2を取り囲むようにそれぞれ部分円環状に配置される。
複数の領域Z1~Z6の各々には、複数の温度センサSeおよびヒータHeがそれぞれ設けられる。複数の領域Z1~Z6に設けられた複数の温度センサSeが図1の温度センサ群20を構成する。また、複数の領域Z1~Z6に設けられた複数のヒータHeが図1のヒータ群30を構成する。本実施の形態では、熱処理プレート10の処理面の温度が目標温度値に等しくなるように複数のヒータHeが制御される。以下、熱処理プレート10の処理面の実際の温度を実温度と呼ぶ。
複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値は、それぞれ温度値に変換される。各温度センサSeの出力値は、例えば電圧値である。各温度センサSeの出力値と温度値との関係は既知である。各温度センサSeの出力値は、温度値に比例していてもよく、比例していなくてもよい。後述する温度換算部420(図17参照)により得られた各領域の温度値を検出温度値と呼ぶ。本実施の形態では、領域Z1~Z6の各々における複数の温度センサSeの出力値に対応する複数の温度値の平均値が当該領域Z1~Z6の検出温度値として用いられる。本実施の形態では、制御部40は、複数の領域Z1~Z6の各々において、検出温度値が目標温度値と等しくなるように、各領域におけるヒータHeに供給される電力をデューティ制御する。
熱処理プレート10の領域Z1~Z6の各々において、熱処理プレート10の処理面の実温度と、熱処理プレート10内の温度センサSeが配置されている部分の温度とは等しいとは限らない。また、熱処理プレート10の複数の領域Z1~Z6の処理面の実温度が同一であっても、熱処理プレート10内で複数の領域Z1~Z6の温度センサSeが配置されている部分の温度が同一であるとは限らない。さらに、複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの特性が同じであるとは限らない。そのため、熱処理プレート10の複数の領域Z1~Z6の処理面の実温度が同一であっても、複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値はそれぞれ異なる場合がある。換言すれば、複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値が同一であっても、熱処理プレート10の複数の領域Z1~Z6の処理面の実温度が同一であるとは限らない。
そこで、各温度センサSeの出力値を検出温度値に変換する際に、各温度センサSeの出力値と検出温度値との関係が温度センサSeごとに調整される。例えば、温度センサSeの出力値が温度値と比例する場合、温度センサSeの出力値Vs[mV]を検出温度値Td[℃]に変換するための変換式をTd=kVs+OFとする。kは変換係数であり、OFはオフセット値である。
上記のように、複数の領域Z1~Z6の処理面の実温度が同一であるにもかかわらず、複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値が異なる場合がある。このような場合、熱処理プレート10の複数の領域Z1~Z6の処理面の実温度が同一であるときに複数の領域Z1~Z6の検出温度値が同一になるように各温度センサSeの出力値を検出温度値に変換するときのオフセット値OFが予めそれぞれ調整される。それにより、熱処理プレート10の処理面の実温度が均一である場合には、複数の領域Z1~Z6に対応する検出温度値が同一となる。
以下、熱処理プレート10の複数の領域Z1~Z6の処理面の実温度が等しくなるように各領域についての電力操作量を設定するとともに、各領域の処理面の実温度と検出温度値とが等しくなるように各領域についてのオフセット値OFを調整することを初期設定と呼ぶ。本実施の形態において、初期設定は、熱処理装置100の製造時または据え付け時等に温度測定用基板(以下、温測ウェハと呼ぶ。)を用いて行われる。初期設定直後には、各領域における検出温度値は、熱処理プレート10の処理面の実温度に相当する。以下、初期設定直後の各領域における検出温度値を適正状態温度値と呼ぶ。
しかしながら、各領域の温度センサSeの経時変化、またはメンテナンス時における温度センサSeの配線抵抗の変化等により、いずれかの領域の温度センサSeの出力値と検出温度値との関係が変化することがある。それにより、当該領域の検出温度値が適正状態温度値からずれることになる。以下、各領域における適正状態温度値からの検出温度値のずれ量(検出温度値と適正状態温度値との差)を検出温度ずれ量と呼ぶ。
検出温度ずれ量が予め定められた温度ずれ許容範囲を超える場合、複数の領域Z1~Z6の検出温度値が等しくなるように複数のヒータHeが制御されても複数の領域Z1~Z6のうち一部の領域の処理面の実温度が他の領域の処理面の実温度と異なることがある。その場合、熱処理プレート10の処理面の実温度が不均一となる。本実施の形態では、以下に説明するように、いずれかの領域において検出温度値に許容できないずれが生じているか否かを判定するための検出温度ずれ判定を行うことが可能である。
(2)初期設定および検出温度ずれ判定
ここで、熱処理装置100の初期設定および検出温度ずれ判定の一例について説明する。図3は、初期設定時の複数の領域の実温度、検出温度値および電力操作量の関係の一例を示す図である。図3の縦軸は、温度および電力操作量を示し、横軸は領域Z1~Z6を示す。
図3に示すように、初期設定時においては、温測ウェハにより検出される領域Z1~Z6の実温度Rt1~Rt6が一定の温度値(以下、設定温度値Tt0と呼ぶ。)に一致するように領域Z1~Z6の電力操作量がそれぞれ設定される。以下、設定された電力操作量を適正電力操作量P1~P6と呼ぶ。また、初期設定時においては、領域Z1~Z6における検出温度値Dt1~Dt6が熱処理プレート10の処理面の実温度Rt1~Rt6に一致するように各領域のオフセット値OFが調整される。図3の検出温度値Dt1~Dt6は適正状態温度値である。
なお、図2に示すように、熱処理プレート10内の領域Z3~Z6は、領域Z1および領域Z2を取り囲むように均等に配置される。したがって、領域Z3~Z6の電力操作量は、ほぼ同一または近似している。また、領域Z2においては、領域Z1および領域Z3~Z6に隣接している。この場合、隣接する領域Z1,Z3~Z6の温度の影響により、領域Z2の適正電力操作量P2は、他の適正電力操作量P1,P3~P6より低い。本例では、領域Z1の適正電力操作量P1は、他の適正電力操作量P2~P6より高い。
上記のように、各領域の温度センサSeの経時変化、またはメンテナンス時における温度センサSeの配線抵抗の変化等により、いずれかの領域の温度センサSeの出力値と検出温度値との関係が変化することがある。この場合、実温度Rt1~Rt6と検出温度値Dt1~Dt6との関係が変化する。本例では、検出温度値Dt1~Dt6が実温度Rt1~Rt6からずれる。そこで、本実施の形態の熱処理装置100においては、検出温度ずれ判定が行われる。
図4は、検出温度ずれ判定時の複数の領域の実温度、検出温度値および電力操作量の関係の一例を示す図である。図5は、検出温度ずれ判定時の複数の領域の実温度、検出温度値および電力操作量の関係の他の例を示す図である。図4および図5の縦軸は、温度および電力操作量を示し、横軸は、領域Z1~Z6を示す。なお、検出温度ずれ判定時には、温度測定用基板は用いられない。そのため、図4の実温度Rt1~Rt6は検出されない。
例えば、半導体工場等で電源回路から供給される電圧は、±10%程度変動することがある。したがって、検出温度ずれ判定時において、電源回路PGから供給される電圧が変動することがある。この場合、複数の領域Z1~Z6のヒータHeに印加される電圧が変動する。それにより、初期設定時に各領域のヒータHeに印加される電圧と検出温度ずれ判定時に各領域のヒータHeに印加される電圧とが異なることがある。
したがって、図4および図5に示すように、検出温度ずれ判定時において、初期設定時と同じ適正電力操作量P1~P6が与えられても、実温度Rt1~Rt6が設定温度値Tt0から温度値Tt1にずれることがある。それにより、検出温度値Dt1~Dt6が実温度Rt1~Rt6と同様にずれる。図4および図5の例では、設定温度値Tt0から温度値Tt1へのずれはΔDtである。
図4の例では、複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6に僅かなばらつきがある。図4における検出温度値Dt1~Dt6のばらつきは、温度ずれ許容範囲内にある。一方、図5の例では、領域Z3の検出温度値Dt3と領域Z4の検出温度値Dt4との間に大きなばらつきがある。図5における領域Z3の検出温度値Dt3と領域Z4の検出温度値Dt4との間のばらつきは許容できない。本例では、検出温度値Dt1~Dt6のうち最大の検出温度値Dt3と最小の検出温度値Dt4との差はΔRである。本実施の形態において、複数の検出温度値のばらつきとは、最大の検出温度値と最小の検出温度値との差である。
本実施の形態では、初期設定時に、複数の適正電力操作量P1~P6が記憶され、検出温度ずれ判定時に、記憶された複数の適正電力操作量P1~P6が設定される。この状態で、複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6のばらつきが予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かが判定される。複数の領域Z1~Z6の検出温度値のばらつきが許容温度ずれ量以下である場合には、複数の領域Z1~Z6の検出温度値が適正状態であると判定される。複数の領域Z1~Z6の検出温度値のばらつきが許容温度ずれ量よりも大きい場合には、複数の領域Z1~Z6の検出温度値のうち少なくとも1つが不適正状態であると判定される。 ここで、各ヒータHeに印加される電圧の変動による検出温度値の変動について説明する。図6~図12は、各ヒータHeに印加される電圧の変化による検出温度値の変化の例を示す図である。図6~図12の左の縦軸は検出温度値を示し、右の縦軸は電力操作量を示す。図6~図12の横軸は時間を示す。
図6~図12の例において、複数の領域Z1~Z6には、それぞれ一定の適正電力操作量P1~P6が設定されている。この状態で、電源回路PGから各ヒータHeに印加される電圧が変動すると、各ヒータHeに供給される電力が変動する。それにより、適正電力操作量P1~P6がそれぞれ変化しなくても、複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6は変動する。
図6には、全ての領域Z1~Z6に検出温度ずれが生じていない場合の複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6の時間的変化が示される。図6の例では、検出温度値Dt1~Dt6がほぼ同一の形態で変化している。
図7および図8には、領域Z1についてそれぞれ+0.5[deg]および-0.5[deg]の検出温度ずれが生じた場合における複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6の時間的変化が示される。図7および図8の検出温度値Dt1~Dt6は、領域Z1に設定されたオフセット値OFを意図的にそれぞれ+0.5[deg]および-0.5[deg]変更することにより得られる。
図7の例では、領域Z1の検出温度値Dt1は、他の領域Z2~Z6の検出温度値Dt2~Dt6よりも0.5[deg]高い状態を保ちつつ変化する。図8の例では、領域Z1の検出温度値Dt1は、他の領域Z2~Z6の検出温度値Dt2~Dt6よりも0.5[deg]低い状態を保ちつつ変化する。
図9および図10には、領域Z2についてそれぞれ+0.5[deg]および-0.5[deg]の検出温度ずれが生じた場合における複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6の時間的変化が示される。図11および図12には、領域Z3についてそれぞれ+0.5[deg]および-0.5[deg]の検出温度ずれが生じた場合における複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6の時間的変化が示される。
このように、検出温度ずれが生じている領域における検出温度値は、検出温度ずれが生じていない領域における検出温度値から乖離している。したがって、各領域の温度センサSeに印加される電圧が変動する場合でも、複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6のばらつきに基づいて複数の領域Z1~Z6の検出温度値Dt1~Dt6のうち少なくとも1つが不適正状態であるか否かを判定することができる。
図13~図15は、1つの領域について検出温度ずれが生じた場合における検出温度ずれ量と複数の領域Z1~Z6の検出温度値の変化量との関係を示す図である。図13~図15において、縦軸は複数の領域Z1~Z6の検出温度値の変化量を示し、横軸は1つの領域の検出温度ずれ量を示す。
図13には、領域Z1について検出温度ずれが生じた場合が示される。図14には、領域Z2について検出温度ずれが生じた場合が示される。図15には、領域Z3について検出温度ずれが生じた場合が示される。図13~図15の関係は、領域Z1~Z3に設定されたオフセット値OFを-0.5[deg]から+0.5[deg]まで変化させることにより得られる。
本実施の形態では、検出温度ずれ判定時に、複数の領域Z1~Z6に初期設定時と同じ適正電力操作量P1~P6が設定される。それにより、熱処理プレート10の複数の領域Z1~Z6の処理面の実温度は均一になる。そのため、各領域の処理面の実温度が他の領域の処理面の実温度からの影響を受けない。したがって、一部の領域について検出温度ずれが生じた場合でも、全ての領域Z1~Z6の実温度が等しくなる。仮に、一部の領域の実温度が他の領域の実温度と異なると、一部の領域の実温度が他の領域の実温度に影響を与える。それにより、各領域の検出温度値が他の領域の実温度の影響により変化することになる。これに対して、本実施の形態では、検出温度ずれ判定時に、複数の領域Z1~Z6の実温度が等しい状態で複数の領域Z1~Z6の検出温度値が得られる。
図13の例では、実線で示すように、領域Z1について検出温度ずれが生じた場合でも、他の領域Z2~Z6の検出温度値は変化しない。同様に、図14の例では、破線で示すように、領域Z2について検出温度ずれが生じた場合でも、他の領域Z1,Z3~Z6の検出温度値は変化しない。また、図15の例では、太い破線で示すように、領域Z3について検出温度ずれが生じた場合でも、他の領域Z1,Z2,Z4~Z6の検出温度値は変化しない。
図16は、各領域における検出温度ずれ量と各領域における検出温度値のばらつきとの関係を示す図である。図16の縦軸は検出温度値のばらつきを示し、横軸は各領域における検出温度ずれ量を示す。検出温度値のばらつきは、各領域についての検出温度ずれ量の絶対値にほぼ比例している。したがって、検出温度値のばらつきにしきい値として許容温度ずれ量を設定することにより、複数の領域Z1~Z6の検出温度値のいずれかが不適正状態であるか否かを判定することが可能である。以下、この動作を検出温度ずれ判定動作と呼ぶ。
(3)制御部40の機能的な構成
図17は、図1の制御部40の機能的な構成を示すブロック図である。図17に示すように、制御部40は、ヒータ制御部410、温度換算部420、検出温度値取得部430、記憶部440、検出温度ずれ量算出部450、判定部460、表示制御部470および動作開始指示部480を含む。ヒータ制御部410は、電力制御部411および電力供給回路412を含む。
本実施の形態では、制御部40に含まれるROMまたは記憶装置に制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、初期設定時の動作を制御するための初期設定プログラム、温度調整動作を制御するための温度制御プログラム、および検出温度ずれ判定動作を制御するための検出温度ずれ判定プログラム等を含む。制御部40の電力供給回路412を除く各構成要素(411,420~480)は、ROMまたは記憶装置に記憶される制御プログラム等のコンピュータプログラムをRAM上で実行することにより実現される。制御部40の構成要素(411,420~480)の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより構成されてもよい。
電力制御部411は、電力供給回路412に各領域の電力操作量を与える。本実施の形態において、電力供給回路412は、電源回路PGから供給される電圧を各領域のヒータHeに印加する。電力供給回路412は、電力制御部411から与えられる電力操作量に基づいてヒータHeに供給する電力をデューティ制御する。それにより、各領域のヒータHeに供給される電力が制御される。温度調整動作時には、電力制御部411は、後述する検出温度値取得部430により取得された各領域の検出温度値が目標温度値と等しくなるように、PID制御における電力操作量を調整する。
温度換算部420は、複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値と検出温度値との関係をテーブルの形式でまたは関数として保持している。温度換算部420は、複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値と検出温度値との関係に基づいて、複数の領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値をそれぞれ検出温度値に変換する。
検出温度値取得部430は、温度換算部420により得られた複数の領域Z1~Z6の検出温度値を取得する。電力制御部411は、温度調整動作時に、検出温度値取得部430により取得された複数の領域Z1~Z6の検出温度値が目標温度値と等しくなるように、複数の領域Z1~Z6の電力操作量をそれぞれ制御する。電力制御部411は、検出温度ずれ判定動作時に、後述する初期設定時に記憶された複数の領域Z1~Z6の適正電力操作量を電力供給回路412に与える。
記憶部440は、初期設定時に得られた適正電力操作量を記憶するとともに、初期設定時に検出温度値取得部430により取得された検出温度値を適正状態温度値として記憶する。なお、本実施の形態では、記憶部440が初期設定時に取得された適正状態温度値を記憶しないでもよい。検出温度ずれ量算出部450は、検出温度ずれ判定時に、検出温度値取得部430により取得された領域Z1~Z6の検出温度値のばらつきを算出する。
判定部460は、領域Z1~Z6の検出温度値のばらつきが予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かを判定する。表示制御部470は、判定部460により領域Z1~Z6の検出温度値のばらつきが予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいと判定された場合、表示部50に警告を表示させる。動作開始指示部480は、初期設定時の動作、温度調整動作および検出温度ずれ判定動作の開始を電力制御部411に指示する。
(4)検出温度ずれ判定動作
以下、制御部40の制御動作の一例を説明する。図18は、図17の制御部40の制御動作の一例を示すフローチャートである。まず、動作開始指示部480は、作業者の操作または外部からの指令信号に基づいて、電力制御部411に初期設定動作の開始を指示する。それにより、電力制御部411は、初期設定動作を開始する(ステップS1)。初期設定により複数の領域Z1~Z6の適正電力操作量が設定される。また、複数の領域Z1~Z6の適正状態温度値が得られる。記憶部440は、初期設定時に設定された適正電力操作量および初期設定時に検出温度値取得部430により取得された検出温度値を記憶する(ステップS2)。
初期設定後、動作開始指示部480は、使用者の操作または外部からの指令信号に基づいて、電力制御部411に温度調整動作の開始を指示する。それにより、電力制御部411は、温度調整動作を行う(ステップS3)。
その後、動作開始指示部480は、使用者の操作または外部からの指令信号に基づいて、検出温度ずれ判定動作の開始が指示されたか否かを判定する(ステップS4)。温度ずれ判定動作の開始が指示されていない場合、使用者の操作または外部からの指令信号に基づいて、ステップS3の温度調整動作が行われる。
ステップS4で検出温度ずれ判定動作の開始が指示された場合、電力制御部411は、記憶部440に記憶された初期設定時の領域Z1~Z6の適正電力操作量をそれぞれ取得する(ステップS5)。電力制御部411は、取得した領域Z1~Z6の適正電力操作量を電力供給回路412に与える(ステップS6)。それにより、複数の領域Z1~Z6の適正電力操作量に基づく電力が電力供給回路412によりそれぞれ複数の領域Z1~Z6のヒータHeに供給される。このとき、温度換算部420は、領域Z1~Z6の温度センサSeの出力値を検出温度値に変換する。検出温度値取得部430は、温度換算部420により得られた複数の領域Z1~Z6の検出温度値を取得する(ステップS7)。
検出温度ずれ量算出部450は、検出温度値取得部430により取得された領域Z1~Z6の検出温度値から検出温度値のばらつきを算出する(ステップS8)。本実施の形態では、最大の検出温度値と最小の検出温度値との差が複数の検出温度値のばらつきとして算出される。
判定部460は、検出温度ずれ量算出部450により算出された検出温度値のばらつきが予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かを判定する(ステップS9)。検出温度値のばらつきが許容温度ずれ量以下である場合、判定部460は、ステップS3に戻る。検出温度値のばらつきが許容温度ずれ量よりも大きい場合、表示制御部470は、警告を表示部50に表示させる(ステップS10)。この場合、使用者は、温測ウェハを用いて初期設定を行う。
(5)実施の形態の効果
本実施の形態に係る熱処理装置100において、検出温度ずれ判定時には、初期設定時に記憶部440に記憶された複数の適正電力操作量が電力供給回路412に与えられる。この場合、複数の適正電力操作量に対応する電力が熱処理プレートの複数のヒータHeにそれぞれ供給される。それにより、検出温度ずれ判定時の熱処理プレート10の領域Z1~Z6の実温度が初期設定時の熱処理プレート10の領域Z1~Z6の実温度と等しくなる。したがって、領域Z1~Z6のうち、少なくとも1つの領域に対応する検出温度値が不適正状態にあるか否かを短時間で容易に判定することができる。
本実施の形態における検出温度ずれ判定動作によれば、複数の領域Z1~Z6の検出温度値が適正状態にある場合には、温測ウェハを用いたオフセット値の再調整は不要である。使用者は、少なくとも1つの領域に対応する検出温度値が不適正状態にある場合にのみ、温測ウェハを用いたオフセット値の再調整を行う。したがって、使用者は、温測ウェハを用いたオフセット値の調整を定期的に行う必要がなくなる。
また、判定部460は、検出温度ずれ判定時に、温度換算部420により得られる最大の検出温度値と最小の検出温度値との差が予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かに基づいて少なくとも1つの領域に対応する検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定する。それにより、各領域のヒータHeに印加される電圧の時間的な変動により初期設定時と検出温度ずれ判定時とで領域Z1~Z6の各ヒータHeに供給される電力が異なる場合でも、複数の検出温度値のうち少なくとも1つの検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定することが可能となる。
さらに、検出温度値のばらつきが許容温度ずれ量よりも大きい場合、警告が表示部50に表示される。したがって、使用者は、初期設定を再度行う必要性を即座に認識することができる。
(6)他の実施の形態
(6-a)上記実施の形態の検出温度ずれ判定動作においては、領域Z1~Z6の検出温度値のばらつきに基づいていずれかの検出温度値が不適正状態であるか否かが判定されるが、本発明はこれに限定されない。
図19は、ヒータHeに印加される電圧の変動による検出温度値の変化の例を示す図である。図20は、ヒータHeに印加される電圧と検出温度値との相関を示す図である。図19の左の縦軸は検出温度値を示し、右の縦軸は電圧を示し、横軸は時間を示す。ヒータHeに印加される電圧が変動すると、熱処理プレート10の実温度が変動する。そのため、図19に示すように、ヒータHeに印加される電圧の変動に基づいて検出温度値が変動する。
図20の縦軸は検出温度値であり、横軸はヒータHeに印加される電圧の二乗の値である。例えば初期設定時において、変動する電圧および検出温度値が取得され、図20に示すように、各電圧の二乗と検出温度値とで定まる複数の点VDPがそれぞれプロットされる。図20の例では、プロットされた点VDPにより決定計数(R2)が算出され、算出された決定計数(R2)を用いて回帰直線RLが算出される。以下、回帰直線RLにより表される関数をデータベース関数と呼ぶ。
ここで、ヒータHeに印加される電圧が変動する場合、初期設定時にヒータHeに印加される電圧の値(以下、基準電圧値と呼ぶ。)と検出温度ずれ判定時にヒータHeに印加される電圧の値とが互いに異なることがある。そのため、検出温度ずれが生じていなくても、初期設定時の検出温度値(適正状態温度値)と検出温度ずれ判定時の検出温度値とが異なる。上記の実施の形態では、検出温度ずれ判定時に得られる複数の検出温度値のばらつきに基づいて少なくとも1つの検出温度値が不適正状態にあるか否かが判定される。しかしながら、領域Z1~Z6の検出温度ずれ判定時の検出温度値のうち不適正状態にある検出温度値を特定することが困難となる。
そこで、他の実施の形態では、上記のデータベース関数が予め算出され、検出温度ずれ判定時に各領域のヒータHeに印加される電圧の値とデータベース関数とに基づいて、検出温度ずれ判定時の各領域の検出温度値が基準電圧値の印加時に得られることになる検出温度値に補正される。それにより、各領域について、適正状態温度値と補正された検出温度値とに基づいて、検出温度ずれ判定の検出温度値が不適正状態であるか否かを判定することが可能となる。この場合、各領域について適正状態温度値と補正された検出温度値との差の絶対値が予め定められた許容値以下である場合には、当該領域の検出温度値が適正状態であると判定される。また、各領域について適正状態温度値と補正された検出温度値との差の絶対値が予め定められた許容値より大きい場合には、当該領域の検出温度値が不適正状態であると判定される。
図21は、他の実施の形態に係る熱処理装置100の制御部40の機能的な構成を示すブロック図である。図21の制御部40の構成が図17の制御部40の構成と異なるのは以下の点である。図21の制御部40は、検出温度値補正部490をさらに含む。図21の制御部40のヒータ制御部410は、電圧値取得部413をさらに含む。電圧値取得部413は、初期設定時および検出温度ずれ判定時に、電力供給回路412により各ヒータHeに印加される電圧の値を取得する。
記憶部440は、初期設定時に電圧値取得部413により取得された電圧の値を基準電圧値として記憶するとともに、初期設定時に得られた複数の領域Z1~Z6の検出温度値を適正状態温度値として記憶する。
検出温度値補正部490は、記憶部440に記憶された基準電圧値および適正状態温度値に基づいてデータベース関数を算出する。また、検出温度値補正部490は、検出温度ずれ判定時に、電圧値取得部413により取得された電圧およびデータベース関数に基づいて、領域Z1~Z6の検出温度値を基準電圧値の印加時に得られることになる検出温度値にそれぞれ補正する。
判定部460は、各領域について適正状態温度値と補正された検出温度値との差の絶対値が予め定められた許容値より大きいか否かを判定する。少なくとも1つの領域についての適正状態温度値と補正された検出温度値との差の絶対値が許容値より大きい場合、判定部460は、当該領域の検出温度値が不適正状態であると判定する。この場合、表示制御部470は、少なくとも1つの検出温度値が不適正状態であることを示す警告を表示部50に表示させる。また、表示制御部470は、不適正状態である検出温度値および領域を特定する情報を表示部50に表示させる。
このように、検出温度ずれ判定時に印加される電圧の値が初期設定時に印加された基準電圧値と異なっていても、検出温度ずれ判定時において得られた領域Z1~Z6の検出温度値が、電圧の値と検出温度値との関係(データベース関数)に基づいて基準電圧値に対応するように補正される。したがって、検出温度ずれ判定時に領域Z1~Z6の補正された検出温度値を対応する適正検出温度値と比較することにより、各検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定することが可能となる。それにより、領域Z1~Z6のヒータHeに印加される電圧が時間的に変動する場合でも、いずれの領域に対応する検出温度値が不適正状態であるかを特定することが可能となる。
(6-b)図22は、さらに他の実施の形態に係る熱処理装置100の制御部40の機能的な構成を示すブロック図である。図22の制御部40では、電源回路PGから供給される電圧を一定電圧として出力する定電圧回路LVが設けられる。この場合、電源回路PGから供給される電圧が変動する場合でも、定電圧回路LVにより電力供給回路412に一定の電圧が供給されるので、複数のヒータHeに一定の電圧が印加される。そのため、検出温度ずれ判定時に得られる領域Z1~Z6の検出温度値を対応する適正検出温度値と比較することにより、各検出温度値が不適正状態にあるか否かを判定することが可能となる。それにより、いずれの領域に対応する検出温度値が不適正状態であるかを特定することが可能となる。
(6-c)上記実施の形態において、熱処理プレート10が平面視において複数の領域Z1~Z6にそれぞれ区分され、領域Z1~Z6の各々には、複数の温度センサSeおよびヒータHeがそれぞれ設けられるが、本発明は、これに限定されない。熱処理プレート10に単一の領域が設けられてもよく、単一の領域に温度センサSeおよびヒータHeが設けられてもよい。この場合、例えば、初期設定時の適正状態にある検出温度値と検出温度ずれ判定時の検出温度値とに基づいて単一の領域の検出温度値が不適正状態であるか否かが判定されてもよい。
(6-d)上記実施の形態において、表示制御部470は、判定部460の判定結果に基づいて領域Z1~Z6の検出温度値のいずれかが不適正状態であることを示す警告を表示部50に表示させるが、本発明はこれに限定されない。いずれかの検出温度値が不適正状態であることを示す警告は、ランプ等の点灯により使用者に報知されてもよく、または警告が音声により使用者に報知されてもよい。
(6-e)上記実施の形態の検出温度ずれ判定動作においては、領域Z1~Z6の検出温度値のばらつきが予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かを判定することにより、複数の領域Z1~Z6の検出温度値のいずれかが不適正状態であるか否かが判定されるが、本発明はこれに限定されない。各ヒータHeに印加される電圧の変動が小さいかまたは電圧が変動しない場合には、領域Z1~Z6の検出温度値と領域Z1~Z6の適正検出温度値とに基づいて複数の領域Z1~Z6の検出温度値のいずれかが不適正状態であるか否かが判定されてもよい。例えば、領域Z1~Z6の検出温度値と領域Z1~Z6の適正検出温度値とのそれぞれの差が予め定められた許容値より大きいか否かにより、複数の領域Z1~Z6の検出温度値のいずれかが不適正状態であるか否かが判定されてもよい。
(6-f)上記実施の形態において、温度調整装置の一例として基板に加熱処理を行う熱処理装置が説明されるが、本発明はこれに限定されない。温度調整装置は、基板に冷却処理を行う熱処理装置(クーリングプレート)、温調水循環ユニットまたは空調ユニット等の温度制御を行う装置であってもよい。
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、熱処理装置100が温度調整装置の例であり、ヒータHeが熱処理部の例であり、温度換算部420が変換部の例であり、検出温度値補正部490が補正部の例であり、表示部50が報知部の例である。
10…熱処理プレート,20…温度センサ群,30…ヒータ群,40…制御部,50…表示部,100…熱処理装置,410…ヒータ制御部,411…電力制御部,412…電力供給回路,413…電圧値取得部,420…温度換算部,430…検出温度値取得部,440…記憶部,450…検出温度ずれ量算出部,460…判定部,470…表示制御部,480…動作開始指示部,490…検出温度値補正部,Dt1~Dt6…検出温度値,He…ヒータ,LV…定電圧回路,OF…オフセット値,P1~P6…適正電力操作量,PG…電源回路,RL…回帰直線,Rt1~Rt6…実温度,Se…温度センサ,Td…検出温度値,Tt0…設定温度値,Tt1…温度値,W…基板,Z1~Z6…領域,

Claims (3)

  1. 対象物の温度を調整する温度調整装置であって、
    前記対象物としての基板が載置される処理面を有する熱処理プレートと、
    前記熱処理プレートの前記処理面は、複数の領域を有し、
    前記対象物の温度を調整するように前記処理面の前記複数の領域にそれぞれ対応して設けられる複数の熱処理部と、
    前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の電力操作量に基づいて前記複数の熱処理部に電力をそれぞれ供給する電力供給回路と、
    前記対象物の温度を検出するように前記複数の領域にそれぞれ対応して設けられる複数の温度センサと、
    前記複数の温度センサの出力値を複数の検出温度値にそれぞれ変換する変換部と、
    初期設定時に、前記変換部により得られる複数の検出温度値が適正状態であるとした場合において前記電力供給回路に与えられるべき前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の電力操作量を複数の適正電力操作量として記憶する記憶部と、
    温度調整動作時に、前記複数の温度センサにそれぞれ対応する複数の検出温度値が目標温度値に一致するように前記複数の電力操作量をそれぞれ制御し、検出温度ずれ判定時に、前記記憶部に記憶された前記複数の適正電力操作量を前記電力供給回路に与える電力制御部と、
    前記検出温度ずれ判定時に、前記変換部により得られる最大の検出温度値と最小の検出温度値との差が予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かに基づいて、前記変換部により得られる前記複数の検出温度値のうち少なくとも1つが不適正状態にあるか否かを判定する判定部とを備え
    前記初期設定時に、前記熱処理プレートの前記複数の領域の実際の温度が等しい場合に、前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の検出温度値が同一になるように前記複数の適正電力操作量が設定される、温度調整装置。
  2. 前記検出温度ずれ判定時に、前記判定部により前記変換部により得られた前記複数の検出温度値の少なくとも1つが前記不適正状態にあると判定された場合、警報を発生する報知部をさらに備える、請求項に記載の温度調整装置。
  3. 温度調整装置を用いて対象物の温度を調整する温度調整方法であって、
    前記温度調整装置は、
    前記対象物としての基板が載置される処理面を有する熱処理プレートと、
    前記熱処理プレートの前記処理面は、複数の領域を有し、
    前記対象物の温度を調整するように前記処理面の前記複数の領域にそれぞれ対応して設けられる複数の熱処理部と、
    前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の電力操作量に基づいて前記複数の熱処理部に電力をそれぞれ供給する電力供給回路と、
    前記対象物の温度を検出するように前記複数の領域にそれぞれ対応して設けられる複数の温度センサと、
    前記複数の温度センサの出力値を複数の検出温度値にそれぞれ変換する変換部とを備え、
    前記温度調整方法は、
    初期設定時に、前記変換部により得られる複数の検出温度値が適正状態であるとした場合において前記電力供給回路に与えられるべき前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の電力操作量を複数の適正電力操作量として記憶するステップと、
    温度調整動作時に、前記複数の温度センサにそれぞれ対応する複数の検出温度値が目標温度値に一致するように前記複数の電力操作量をそれぞれ制御するステップと、
    検出温度ずれ判定時に、憶された前記複数の適正電力操作量を前記電力供給回路に与えるステップと、
    前記検出温度ずれ判定時に、前記変換部により得られる最大の検出温度値と最小の検出温度値との差が予め定められた許容温度ずれ量よりも大きいか否かに基づいて、前記変換部により得られる前記複数の検出温度値のうち少なくとも1つが不適正状態にあるか否かを判定するステップとを含み、
    前記記憶するステップは、前記初期設定時に、前記熱処理プレートの前記複数の領域の実際の温度が等しい場合に、前記複数の領域にそれぞれ対応する複数の検出温度値が同一になるように前記複数の適正電力操作量を設定することを含む、温度調整方法。
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