以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における二次電池の集電体用導電性樹脂フィルム5は、図1や図2に示すように、組成質量比率でポリアリーレンエーテルケトン樹脂2を75質量%以上97質量%以下、炭素系導電材料3を3質量%以上25質量%以下含有する導電性の成形材料1により成形された相対結晶化度80%以上の樹脂フィルムである。
成形材料1におけるポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の組成質量比率は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂75質量%以上97質量%以下、好ましくは78質量%以上95質量%以下、より好ましくは80質量%以上90質量%以下が良い。これは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の組成質量比率が75質量%未満の場合には、成形材料1の溶融粘度が高くなって溶融流動性の低下を招いたり、溶融伸びの低下に伴い、集電体用導電性樹脂フィルム5の加工性が低下し、集電体用導電性樹脂フィルム5に孔が開くからである。加えて、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂中に導電性材料を配合することが困難になるからである。
さらに、組成質量比率が75質量%未満の場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5から炭素系導電材料3が分離して目ヤニの発生原因となり、集電体用導電性樹脂フィルム5の品質低下を招くからである。この点について詳しく説明すると、集電体用導電性樹脂フィルム5をフィルム成形する場合、図2に示す成形用のダイス23の出口(ダイスリップとも言う)に目ヤニと呼ばれる多量の付着物が付着して堆積することがある。係る目ヤニが堆積すると、集電体用導電性樹脂フィルム5にダイスラインが生じたり、目ヤニがダイス23出口から離れて集電体用導電性樹脂フィルム5に混入し、その結果、集電体用導電性樹脂フィルム5の品質低下を招くのである。
これに対し、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の組成質量比率が97質量%を越える場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5の体積抵抗値が100Ω・cmを越え、集電体用導電性樹脂フィルム5に充分な導電性を付与することができず、二次電池の集電体として使用することが困難になるからである。
このような成形材料1には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2や炭素系導電材料3の他、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂等のポリオレフィン樹脂、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂等の酸変性オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂等のポリイミド樹脂、ポリアミド4T(PA4T)樹脂、ポリアミド6T(PA6T)樹脂、変性ポリアミド6T(変性PA6T)樹脂、ポリアミド9T(PA9T)樹脂、ポリアミド10T(PA10T)樹脂、ポリアミド11T(PA11T)樹脂、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド66(PA66)樹脂、ポリアミド46(PA46)樹脂等のポリアミド樹脂、ポリサルホン(PSU)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルホン(PPSU)樹脂等のポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトン樹脂、ポリフェニレンスルフィドスルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィドケトンスルホン樹脂等のポリアリーレンサルファイド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピル共重合体(FEP)樹脂、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)樹脂、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)樹脂、フッ化ビニリデン・テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂、酸変性フッ素樹脂等のフッ素樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、液晶ポリマー(LCP)、脂肪族ポリケトン樹脂ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の熱可塑性樹脂を選択的に添加することができる。
成形材料1には、本発明の特性を損なわない範囲において、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2、炭素系導電材料3、及び上記熱可塑性樹脂の他、所定の添加物を選択的に添加することができる。具体的には、結晶核剤、耐衝撃改良剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、耐熱向上剤、無機充填剤、有機充填剤、ガラス繊維、炭素繊維等を選択的に添加することができる。
成形材料1のポリアリーレンエーテルケトン樹脂2は、アリーレン基、エーテル基、及びカルボニル基からなる結晶性の熱可塑性樹脂であり、例えば特許5709878号公報や特許第5847522号公報、あるいは文献〔株式会社旭リサーチセンター:先端用途で成長するスーパーエンプラ・PEEK(上)〕等に記載された樹脂があげられ、機械的強度、軽量性、低誘電特性、耐加水分解性、耐熱性、耐薬品性等に優れるという特徴を有する。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の具体例としては、例えば化学式(1)で表される化学構造式を有するポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、化学式(2)で表される化学構造を有するポリエーテルケトン(PEK)樹脂、化学式(3)で表される化学構造を有するポリエーテルケトンケトン(PEKK)樹脂、化学式(4)の化学構造を有するポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)樹脂、あるいは化学式(5)の化学構造を有するポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)樹脂等があげられる。
これらポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の中では、易入手性、コスト、及び集電体用導電性樹脂フィルム5の成形性の観点から、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルケトンケトン樹脂の少なくともいずれかが好ましい。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、ビクトレック社製の製品名:Victrex Powderシリーズ、Victrex Granulesシリーズ、ダイスセル・エボニック社製の製品名:ベスタキープシリーズ、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製の製品名:キータスパイア PEEKシリーズがあげられる。また、ポリエーテルケトンケトン樹脂の具体例としては、アルケマ社製の製品名:KEPSTANシリーズがあげられる。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2は、1種単独でも良いし、2種以上を混合して使用しても良い。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2は、化学式(1)~(5)で表される化学構造を2つ以上有する共重合体でも良い。ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2は、通常、粉状、顆粒状、ペレット状等の成形加工に適した形態で使用される。また、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば文献〔株式会社旭リサーチセンター:先端用途で成長するスーパーエンプラ・PEEK(上)〕に記載された製法があげられる。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の温度375℃、荷重50kgfの条件下で直径1.0mm×長さ10mmのダイスを用い、フローテスターで測定した温度375℃における見掛けのせん断粘度は、成形性向上の観点から、1×101Pa・s以上1×104Pa・s以下、好ましくは5×101Pa・s以上5×103Pa・s以下、より好ましくは1×102Pa・s以上2×103Pa・s以下が良い。これは、1×101Pa・s未満の場合には、見掛けのせん断粘度が低くなり、溶融張力の低下を招き、成形材料1の成形が困難となるので、注意する必要があるからである。また、見掛けのせん断粘度が1×104Pa・sを越える場合には、溶融粘度が高くなったり、溶融伸びが低下し、成形材料1の成形が困難になるので、注意する必要がある。
成形材料1における炭素系導電材料3の組成質量比率は、炭素系導電材料3質量%以上25質量%以下、好ましくは5質量%以上22質量%以下、より好ましくは10質量%以上20質量%以下が良い。この炭素系導電材料3としては、例えばファーネスブラック(オイルファーネスブラック及びガスファーネスブラック)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、カーボンナノチューブ4、カーボンナノファイバー、フラーレン、アモルファスカーボン、パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛、鱗片状黒鉛を濃硫酸等で化学処理した後に加熱して得られる膨張黒鉛、膨張黒鉛を高温で加熱処理して得られる膨張化黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛があげられる。
これらの炭素系導電材料3の中では、少量で高い導電性が得られ、集電体用導電性樹脂フィルム5の機械的強度を失うことなく、集電体用導電性樹脂フィルム5を成形することが可能なカーボンナノチューブ4が最適である。このカーボンナノチューブ4は、円筒形の中空繊維構造なので、軽量化の向上が期待できる。カーボンナノチューブ4には、グラファイトの一枚面を巻いた構造の単層カーボンナノチューブ、二層以上で巻いた多層カーボンナノチューブがあるが、特に制限されるものではない。
これら単層カーボンナノチューブや多層カーボンナノチューブ以外のカーボンナノチューブ4には、カーボンナノチューブの材料化学入門〔コロナ社 齋藤弥八編 P7~P9〕に記載のナノグラファイバー、竹形ナノチューブ、カップ積み上げ型ナノチューブ等が該当する。また、カーボンナノチューブの材料化学入門〔コロナ社 齋藤弥八編 P9~P11〕に記載のナンホーン、ナノコール、マイクロコイル、及びナノコイル等のカーボンナノチューブ4の類似物も該当する。これらカーボンナノチューブ4やその類似物の中では、コスト削減の観点から多層カーボンナノチューブが最も有利である。
カーボンナノチューブ4の繊維径(外径)は、特に制限されるものではないが、0.5nm以上200nm以下が望ましい。このようなカーボンナノチューブ4は、公知の製造方法により製造することができる。例えば、カーボンナノチューブの材料化学入門〔コロナ社 齋藤弥八編 P11~P12〕に記載された(1)アーク放電法、(2)レーザー蒸発法、(3)基板成長法、担持触媒法、流動触媒法、HiPco法等の化学気相成長法(又は熱分解法)等により製造することができる。また、eDPIS法やスパーグロス法等により製造することも可能である。
カーボンナノチューブ4の製品例としては、例えばスパーグロス法CNT〔独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構製〕、eDIPS‐CNT〔独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構製〕、SWNTシリーズ〔名城ナノカーボン社製:商品名〕、VGCFシリーズ〔昭和電工社製:商品名〕、FloTubeシリーズ〔CNano Technology社製:商品名〕、AMC〔宇部興産社製:商品名〕、Nanocyl NC7000シリーズ〔Nanocyl社製:商品名〕、Baytubes〔BAYER社製:商品名〕、GRAPHISTRENGTH〔アルケマ社製:商品名〕、MWNT7〔保土ヶ谷化学社製:商品名〕、K-Nanosシリーズ〔Kumho社製〕、ハイペリオンCNT〔Hypeprion Catalysis International社製:商品名〕等が該当する。
カーボンナノチューブ4には、本発明の特性を損なわない範囲において、他の金属系あるいは炭素系の導電性材料を添加しても構わない。金属系の導電性材料としては、例えば金、銀、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、クロム、ニオブ、クロム、チタン、スズ、バナジウム、及びこれらを2種類以上含む合金、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物等があげられる。
炭素系導電材料3は、粉体状、顆粒状、塊状、繊維状等を特に問うものではない。また、1種類を単独で使用したり、あるいは2種以上を併用しても良い。さらに、炭素系導電材料3は、集電体用導電性樹脂フィルム5の特性を損なわない範囲において、例えばシランカップリング剤〔3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルエトキシシラン、イミダゾールシラン等〕、チタネート系カップリング剤〔イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトラオクチルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリ(N‐アミトエチル・アミノエチル)チタネート等〕、アルミネート系カップリング剤〔アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等〕等からなる各種カップリング剤で処理を施すことができる。
成形材料1の見掛けのせん断粘度は、温度375℃、荷重50kgfの条件下で直径1.0mm×長さ10mmのダイスを用い、フローテスターで測定した温度375℃における見掛けのせん断粘度が1×101Pa・s以上1×104Pa・s以下、好ましくは1×102Pa・s以上5×103Pa・s以下、より好ましくは5×102Pa・s以上2×103Pa・s以下の範囲が良い。
これは、見掛けのせん断粘度が1×101Pa・s以上1×104Pa・s以下の範囲内であれば、集電体用導電性樹脂フィルム5の成形性に優れ、充分な機械的強度が期待できるからである。これに対し、見掛けのせん断粘度が1×101Pa・s未満の場合には、見掛けのせん断粘度が低くなったり、溶融張力の低下を招き、集電体用導電性樹脂フィルム5の成形が困難になる。また、見掛けのせん断粘度が1×104Pa・sを越える場合には、溶融粘度が高くなったり、溶融伸びが低下し、集電体用導電性樹脂フィルム5に孔が開いて破断するおそれがあり、その結果、集電体用導電性樹脂フィルム5の成形に支障を来す。
上記において、集電体用導電性樹脂フィルム5を製造する場合には、先ず、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2と、炭素系導電材料3であるカーボンナノチューブ4とを所定の時間、溶融混練して成形材料1を調製し、この成形材料1を樹脂フィルム成形用の溶融押出成形機20に投入して厚さ500μm以下、例えば5μm以上500μm以下の集電体用導電性樹脂フィルム5を製造する。
成形材料1を調製する方法としては、(1)成形材料1用の溶融混練機10に、カーボンナノチューブ4を投入して溶融したポリアリーレンエーテルケトン樹脂2と溶融混練することで成形材料1を調製する方法、(2)攪拌混合機により、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とを室温(0℃以上50℃以下程度の温度)下で攪拌混合して溶融混練機10で溶融押出混練し、成形材料1を調製する方法があげられる。
先ず、(1)の調製方法について詳細に説明すると、この方法の場合には、図1に示す所定の溶融混練機10を用意し、この溶融混練機10にポリアリーレンエーテルケトン樹脂2を投入して溶融した後、溶融混練機10に、カーボンナノチューブ4をサイドフィーダ法等により新たに投入して既に溶融したポリアリーレンエーテルケトン樹脂2と溶融混練することで成形材料1を調製する。
溶融混練機10としては、バンバリーミキサー、ミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機あるいは二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機からなる多軸押出成形機等があげられる。これらの中では、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4との良好な混練分散が期待でき、これらの水分、これらから発生する揮発ガスを脱気可能なベント方式の多軸押出成形機の使用が好ましい。
多軸押出成形機からなる溶融混練機10は、図1に示すように、台座11上に設置されたシリンダー12と、このシリンダー12に内蔵軸支され、モータの駆動で回転してポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とを溶融混練して先端部のダイス14からストランド等を押し出すスクリュー13と、シリンダー12の上流部に連設されるポリアリーレンエーテルケトン樹脂2用の投入口15と、シリンダー12の下流部に連設されるカーボンナノチューブ4投入用のサイドフィーダ16と、シリンダー12のダイス14から押し出され、空気あるいは水により冷却されたストランド(棒状)等を切断して成形材料1とする回転可能なカッター17とを備えて構成される。
溶融混練機10の投入口15とサイドフィーダ16とは、投入口15がシリンダー12の上部上流側にホッパーとして設置され、サイドフィーダ16がスクリュー構造に構成されてシリンダー12の上部下流側に搭載されており、投入口15よりも下流に位置するサイドフィーダ16に微粉末のカーボンナノチューブ4が横方向から投入されることにより、カーボンナノチューブ4が溶融したポリアリーレンエーテルケトン樹脂2中に注入され、成形材料1の均一分散性が向上する。また、カーボンナノチューブ4のポリアリーレンエーテルケトン樹脂2との混練時間が短縮されるので、分解防止も期待できる。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とを溶融混練する場合の溶融温度は、溶融混練分散が可能でポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の分解がない温度であれば、特に制限はないが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の熱分解温度未満の範囲である。具体的には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+10℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂+100℃以下、好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂+20℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂+80℃以下、より好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂+60℃以下、さらに好ましくはポリアリーレンエーテルケトンの融点+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+50℃以下の範囲である。
これは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点未満の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とを溶融混練して分散させることができないという理由に基づく。逆に、熱分解温度以上の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の分解を招き、好ましくないという理由に基づく。
溶融混練されたポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とは、ダイス14からストランドにして押し出され、ストランドの成形材料1に調製されるが、ダイス14から結晶性熱可塑性樹脂フィルムにして押し出された後、粉状、顆粒状、フレーク状、ペレット状の成形材料1に調製されても良い。また、成形材料1を調製する際、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4のいずれかを所定量以上に分散させ、マスターバッチ化しても良い。
次に、(2)の調製方法について詳細に説明すると、この方法でポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とを室温で攪拌混合する場合には、タンブラーミキサー、ヘンシルミキサー、V型混合機、ナウターミキサー、リボンブレンダー、万能攪拌ミキサー等の攪拌混合機が使用される。この際、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の形状は、カーボンナノチューブ4とより均一に分散することのできる粉体状であるのが好ましい。粉体状に粉砕する方法としては、例えばせん断粉砕法、衝撃粉砕法、衝突粉砕法、冷凍粉砕法、溶液粉砕法等があげられる。
ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とは、攪拌混合された後、バンバリーミキサー、ミキシングロール、加圧ニーダー、単軸押出成形機あるいは二軸押出成形機、三軸押出成形機、四軸押出成形機、八軸押出成形機からなる多軸押出成形機等の溶融混練機により、溶融混練して分散され、成形材料1に調製される。溶融混練機は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4との良好な混練分散が期待でき、これらの水分、これらから発生する揮発ガスを脱気可能なベント方式の多軸押出成形機が好ましい。また、成形材料1を調製する際、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4のいずれかを所定量以上に分散させ、マスターバッチ化することができる。
成形材料1の溶融押出成形される前の含水率(水分率)は、熱風乾燥機等により、2000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下に調整される。これは、含水率が2000ppmを越える場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5の発泡を招くおそれがあるからである。
成形材料1は、溶融混練前に含水率を低下させるため、加熱乾燥されることが好ましい。加熱乾燥の方法としては、熱風循環乾燥法、除湿熱風乾燥法、加熱真空乾燥法、マイクロ波乾燥法等の公知の方法があげられる。成形材料1の加熱乾燥温度は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2のガラス転移点-50℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2のガラス転移点+50℃以下、好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂2のガラス転移点-30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2のガラス転移点+30℃以下、より好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂2のガラス転移点-20℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2のガラス転移点+20℃以下が良い。
成形材料1の加熱乾燥時間は、2時間以上、好ましくは4時間以上、より好ましくは8時間以上が良い。加熱乾燥時間の上限は、特に限定されるものではないが、24時間以下が妥当である。
成形材料1を調製したら、この成形材料1により集電体用導電性樹脂フィルム5を製造するが、製造方法としては、溶融押出成形法、カレンダー成形法、あるいはキャスティング法等を採用することができる。これらの製造方法の中では、集電体用導電性樹脂フィルム5の厚さ精度、生産性、ハンドリング性の向上、設備の簡略化の観点から、集電体用導電性樹脂フィルム5を連続して帯形に押出成形する溶融押出成形法が最適である。
溶融押出成形法は、溶融押出成形機20を使用して成形材料1を溶融混練し、溶融押出成形機20の先端部に連結されたTダイスや丸ダイス等のダイス23から集電体用導電性樹脂フィルム5を連続的に押出し、集電体用導電性樹脂フィルム5を製造する方法である(図2参照)。溶融押出成形機20は、図2に示すように、例えば単軸押出成形機や二軸押出成形機等からなり、後部上方に、成形材料1用の原料投入口21が設置され、この原料投入口21には、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、窒素ガス等の不活性ガスを必要に応じて供給する不活性ガス供給管22が接続されており、この不活性ガス供給管22による不活性ガスの供給により、成形材料1の酸化劣化、酸素架橋、熱架橋が有効に防止される。
溶融押出成形機20の溶融混練時の溶融温度は、溶融混練分散が可能でポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の分解がない温度であれば、特に制限はないが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の熱分解温度未満の範囲が良い。
具体的には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+10℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂+100℃以下、好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂+20℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂+80℃以下、より好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂+60℃以下、さらに好ましくはポリアリーレンエーテルケトンの融点+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+50℃以下の範囲である。
これは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点未満の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とを溶融混練して分散させることができないという理由に基づく。逆に、熱分解温度以上の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の分解を招き、好ましくないからである。
ダイス23は、溶融押出成形機20の先端部に連結管24を介して連結され、帯形の集電体用導電性樹脂フィルム5を連続的に下方に押し出すよう機能する。このダイス23は、優れた厚さ精度の集電体用導電性樹脂フィルム5を得ることが可能なTダイスが好適である。ダイス23の上流の連結管24には、ギアポンプ25が装着されることが好ましい。このギアポンプ25は、溶融押出成形機20により溶融混練された成形材料1を一定の流量で、かつ高精度に下流のダイス23に移送するよう機能する。
ダイス23の押出時の温度は、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の熱分解温度未満、具体的には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点+10℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点+100℃以下、好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点+20℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点+80℃以下、より好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点+60℃以下、さらに好ましくはポリアリーレンエーテルケトン2の融点+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点+50℃以下の範囲である。
これは、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点未満の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2とカーボンナノチューブ4とを溶融混練して分散させることができないという理由に基づく。逆に、熱分解温度以上の場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の分解を招き、好ましくないという理由に基づく。
ダイス23の下方には、間隔をおいて相対向する一対の圧着ロール26が回転可能に軸支され、この一対の圧着ロール26の間には、一列に配列されて相互に摺接する複数の冷却ロール27が回転可能に軸支されており、この複数の冷却ロール27のうち、上流の冷却ロール27と下流の冷却ロール27が圧着ロール26の周面にそれぞれ摺接する。各圧着ロール26と各冷却ロール27は、圧着ロール26が縮径に構成され、冷却ロール27が拡径に構成される。
一対の圧着ロール26のうち、下流の圧着ロール26のさらに下流には、集電体用導電性樹脂フィルム5を回転可能な巻取管29に巻き取る巻取機28が設置される。この巻取機28と下流の圧着ロール26との間には、集電体用導電性樹脂フィルム5の側部長手方向にスリットを形成するスリット刃30が昇降可能に配置され、このスリット刃30と巻取機28との間には、集電体用導電性樹脂フィルム5にテンションを作用させて円滑に巻き取るための回転可能なテンションロール31が必要数軸支される。
各圧着ロール26は、50℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点未満、好ましくは100℃以上〔ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点-50℃〕以下、より好ましくは130℃以上〔ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点-100℃〕以下、さらに好ましくは150℃以上〔ポリアリーレンエーテルケトン樹脂-100℃〕以下の温度に調整され、集電体用導電性樹脂フィルム5に摺接してこれを冷却ロール27に圧接する。
圧着ロール26の温度が係る範囲なのは、50℃未満の場合には、圧着ロール26が結露するからである。逆に、融点を越える場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5が圧着ロール26の周面に貼り付いて破断したり、集電体用導電性樹脂フィルム5の強度が低下して破断するおそれがあるからである。圧着ロール26の温度調整法としては、例えば空気、水、オイル等の熱媒体を用いる方法、電気ヒーターを用いる方法、誘導加熱を利用する方法等があげられる。
各圧着ロール26の周面には、集電体用導電性樹脂フィルム5と冷却ロール27の密着性を向上させる観点から、少なくとも天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ノルボルネンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム層が必要に応じて被覆形成され、このゴム層には、シリカやアルミナ等の無機化合物が選択的に添加される。これらの中では、耐熱性に優れるシリコーンゴムやフッ素ゴムの選択が好ましい。
圧着ロール26としては、表面が金属の金属弾性ロールが必要に応じて使用され、この金属弾性ロールが使用される場合には、表面が平滑性に優れる集電体用導電性樹脂フィルム5の成形が可能となる。この金属弾性ロールの具体例としては、例えば、金属スリーブロール、エアーロール〔ディムコ社製 製品名〕、UFロール〔日立造船社製 製品名〕が該当する。また、表面がポリテトラフルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)樹脂、あるいはテトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロピレン共重合体(FEP)樹脂等のフッ素樹脂フィルムで被覆した圧着ロール26も同様に使用することができる。
複数の冷却ロール27は、例えば圧着ロール26よりも拡径の金属ロール等からなり、ダイス23の下方に回転可能に軸支されて押し出された集電体用導電性樹脂フィルム5を圧着ロール26の周面との間に挟持し、圧着ロール26と共に集電体用導電性樹脂フィルム5を冷却しながらその厚さを所定の範囲内に制御するよう機能する。
各冷却ロール27は、圧着ロール26と同様の理由から、50℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点未満、好ましくは100℃以上〔ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点-50℃〕以下、より好ましくは130℃以上〔ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点-100℃〕以下、さらに好ましくは150℃以上〔ポリアリーレンエーテルケトン樹脂-100℃〕以下の温度に調整され、集電体用導電性樹脂フィルム5に摺接してこれを冷却ロール27に圧接する。冷却ロール27の温度調整法としては、例えば空気、水、オイル等の熱媒体を用いる方法、電気ヒーターを用いる方法、誘導加熱を利用する方法等があげられる。
成形材料1を帯形の集電体用導電性樹脂フィルム5に押出成形したら、この集電体用導電性樹脂フィルム5を一対の圧着ロール26、冷却ロール27、テンションロール31、及び巻取機28の巻取管29に巻架し、集電体用導電性樹脂フィルム5の両側部をスリット刃30でそれぞれ長手方向にカットし、巻取機28の巻取管29に順次巻き取れば、長尺の集電体用導電性樹脂フィルム5を製造することができる。
冷却ロール27により冷却され、製造された集電体用導電性樹脂フィルム5の厚さは、5μm以上500μm以下、好ましくは10μm以上300μm以下、より好ましくは20μm以上200μm以下、さらに好ましくは20μm以上100μm以下が良い。これは、集電体用導電性樹脂フィルム5の厚さが5μm未満の場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5の引張強度が著しく低下するので、集電体用導電性樹脂フィルム5の製造が困難になるからである。
逆に、集電体用導電性樹脂フィルム5の厚さが500μmを越える場合には、リチウムイオン二次電池、双極型リチウムイオン二次電池、全固体電池の二次電池用集電体として使用した場合、軽量化に支障を来すからである。この集電体用導電性樹脂フィルム5の厚さは、各種の接触式厚さ計により、測定することが可能である。また、複数の測定値の平均値を求め、平均厚みにより測定することができる。
集電体用導電性樹脂フィルム5の比重は、1.60以下、好ましくは1.23以上1.60以下、より好ましくは1.26以上1.55以下、さらに好ましく1.28以上1.50以下、さらにまた好ましく1.30以上1.45以下が良い。これは、集電体用導電性樹脂フィルム5の比重が1.60以下、特に1.23未満の場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5中にボイドあるいはクラックが発生しているおそれがあり、機械的強度の低下の問題が生じているため好ましくないからである。
これに対し、集電体用導電性樹脂フィルム5の比重が、1.60を越える場合には、リチウムイオン二次電池、双極型リチウムイオン二次電池、全固体電池の二次電池用集電体として使用したとき、軽量化に支障を来すからである。集電体用導電性樹脂フィルム5の比重は、例えばJIS K 7112 A法に準拠した比重測定装置等で測定することができる。
集電体用導電性樹脂フィルム5の相対結晶化度は、80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは100%が最適である。これは、集電体用導電性樹脂フィルム5の相対結晶化度が80%未満の場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5の機械的強度、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性に問題が生じるからである。これに対し、相対結晶化度が80%を越える場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5として使用可能な機械的強度、耐熱性、耐薬品性が期待できるからである。
集電体用導電性樹脂フィルム5の結晶化度は、相対結晶化度により表すことができる。この集電体用導電性樹脂フィルム5の相対結晶化度は、示差走査熱量計を用いて10℃/分の昇温速度で測定した熱分析結果に基づき、以下の式により算出される。
相対結晶化度(%)={1-(ΔHc/ΔHm)}×100
ΔHc:集電体用導電性樹脂フィルムの再結晶化ピークの熱量(J/g)
ΔHm:集電体用導電性樹脂フィルムの融解ピークの熱量(J/g)
集電体用導電性樹脂フィルム5の機械的特性は、引張弾性率、引張破断時伸び、及び引張最大強度で表すことができる。集電体用導電性樹脂フィルム5の引張弾性率は、JIS K 7127に準拠して測定した場合、2000MPa以上、好ましくは3000MPa以上、より好ましくは3500MPa以上、さらに好ましくは4000MPa以上が良い。この引張弾性率の上限値は、特に制約されるものではないが、10000MPa以下が良い。
これは、引張弾性率が2000MPa未満の場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5を二次電池の集電板として使用するとき、集電体用導電性樹脂フィルム5の剛性に劣るため、正極活物質あるいは負極活物質の塗工工程、二次電池組立中に集電体用導電性樹脂フィルム5が変形してしまうおそれがあるからである。これに対し、引張弾性率が10000MPaを越える場合には、剛性が大きすぎるため、集電体用導電性樹脂フィルム5を巻き取れなくなるからである。
集電体用導電性樹脂フィルム5の引張破断時伸びは、JIS K 7127に準拠して測定した場合、10%以上、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましく25%以上が良い。これは、集電体用導電性樹脂フィルム5の引張破断時伸びが10%未満の場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5が靭性に劣るため、集電体用導電性樹脂フィルム5の製造中に割れてしまうという理由に基づく。また、集電体用導電性樹脂フィルム5の正極活物質あるは負極活物質塗工工程で集電体用導電性樹脂フィルム5が割れてしまうという理由に基づく。この引張破断時伸びの上限値は、特に制約させるものではないが、500%以下が良い。これは、500%を越えると、集電体用導電性樹脂フィルム5の正極活物質あるは負極活物質塗工工程で集電体用導電性樹脂フィルム5が延伸してしまうという理由に基づく。
集電体用導電性樹脂フィルム5の引張最大強度は、JIS K 7127に準拠して測定した場合、60MPa以上、好ましくは70MPa以上、より好ましくは90MPa以上、さらに好ましくは100MPa以上が良い。これは、集電体用導電性樹脂フィルム5の引張最大強度が60MPa未満の場合には、集電体用導電性樹脂フィルム5が靭性に劣るため、集電体用導電性樹脂フィルム5の製造中に割れてしまうという理由に基づく。また、集電体用導電性樹脂フィルム5の正極活物質あるいは負極活物質塗工工程で集電体用導電性樹脂フィルム5が割れてしまうという理由に基づく。
引張最大強度の上限値は、特に制約されるものではないが、500MPa以下が良い。これは、500MPaを越えると、集電体用導電性樹脂フィルム5の製造時、スリット刃30でのカット性が低下するため、長尺の集電体用導電性樹脂フィルム5の製造スピードが低下するため好ましくないからである。
集電体用導電性樹脂フィルム5の導電性は、体積抵抗値により評価することができる。この体積抵抗値の測定は、JIS K 7194に準拠した四端子四探針法により測定した場合、1Ω・cm以上100Ω・cm以下、好ましくは10Ω・cm以上75Ω・cm以下、より好ましくは20Ω・cm以上50Ω・cm以下、さらに好ましくは20Ω・cm以上25Ω・cm以下が最適である。これは、集電体用導電性樹脂フィルム5の体積抵抗値が100mΩ・cmを越える場合には、二次電池用集電体として使用したとき、エネルギー密度の低下を招くからである。逆に、体積抵抗値が1Ω・cm未満の場合は、カーボンナノチューブ4を多量に添加しなければならず、得られる集電体用導電性樹脂フィルム5が脆くなり、二次電池組立中で集電体用導電性樹脂フィルム5が割れる問題が生じるからである。
集電体用導電性樹脂フィルム5の耐薬品性については、N-メチル-2-ピロリドンと電解質に集電体用導電性樹脂フィルム5を浸漬してその質量変化により評価すれば良い。集電体用導電性樹脂フィルム5をN-メチル-2-ピロリドンと電解液に浸漬させた場合の質量変化率は、耐薬品性や耐溶剤性を向上させる観点から、2.0%以下、好ましくは0.0%以上2.0%以下、より好ましくは0.0%以上1.0%以下、さらに好ましくは0.0%以上0.1%以下が最適である。
電解質は、有機溶媒に溶質としてリチウム塩を溶解させた有機電解液である。電解質の有機溶媒としては、例えばエチレカーボネート〔EC〕、プロピレンカーボネート〔PC〕、及びブチレンカーボネート〔BC〕等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート〔DMC〕、エチルメチルカーボネート〔EMC〕、及びジエチルカーボネート〔DEC〕等の鎖状炭酸エステル、テトラヒドロフラン〔THF〕、1,3‐ジオキソラン〔DOXL〕等の環状エーテル、1,2‐ジメトキシエタン〔DEM〕、及び1,2‐ジエトキシエタン〔DEE〕等の鎖状エーテル、γ‐ブチロラクトン〔GBL〕等の環状エステル、酢酸メチル〔MA〕等の鎖状エステル等があげられる。
リチウム塩には、例えば過塩素酸リチウム〔LiClO4〕、ホウフッ化リチウム〔LiBF4〕、ヘキサフルオロリン酸リチウム〔LiPF6〕、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム〔LiCF3SO3〕、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド〔LiN(CF3SO2)2〕、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド〔LiC(CF3SO2)3〕等が該当する。
なお、集電体用導電性樹脂フィルム5中にN‐メチル‐2‐ピロリドンあるいは電解液が残留すると、集電体用導電性樹脂フィルム5を使用した集電板は、二次電池作動中にN‐メチル‐2‐ピロリドンあるいは電解液が二次電池中に染み出して不具合が生じるので、注意が必要である。また、二次電池の電解液が集電板に染み込み、充放電サイクルが低下するので、留意すべきである。
成形した集電体用導電性樹脂フィルム5は、そのまま使用しても良いが、さらに加熱圧縮成形しても良い。集電体用導電性樹脂フィルム5を加熱圧縮成形すれば、抵抗値をより低くして導電性を高め、炭素系導電材料3の使用量を減らしてコストの低減を図ることが可能となる。
集電体用導電性樹脂フィルム5を加熱圧縮成形する場合には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の融点以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の熱分解温度未満、具体的には、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+10℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂+100℃以下、好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+20℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+80℃以下、より好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+60℃以下、さらに好ましくはポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+30℃以上ポリアリーレンエーテルケトン樹脂の融点+50℃以下に加熱された複数の金属板、金属ロール、金属ベルトの間に集電体用導電性樹脂フィルム5を挟み、この集電体用導電性樹脂フィルム5の投影面積に対して0.5kgf/cm2以上100kgf/cm2以下の圧力を作用させて0.5秒間以上300秒間以下保持し、直ちにポリアリーレンエーテルケトン樹脂2のガラス転移点以下に冷却すれば良い。
上記によれば、成形材料1の熱可塑性樹脂として、軽量性、機械的特性、耐薬品性、耐熱性に優れ、低吸水率のポリアリーレンエーテルケトン樹脂2を選択して集電体用導電性樹脂フィルム5を製造するので、例え集電体用導電性樹脂フィルム5を集電体として使用しても、集電体用導電性樹脂フィルム5の内部に電解質成分が浸透することがなく、充放電サイクル特性が低下するおそれを有効に排除することができる。また、フッ素樹脂ではなく、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂2を用いるので、成形に特殊な鋼材や設備を特に必要とせず、集電体のコスト削減が大いに期待できる。
また、二種類の異なる樹脂を用いる必要がないので、集電体の剥離を招くおそれを有効に排除することができる。加えて、製造後の吸水による膨張率の差でカールしたり、第一、第二の導電性層間で集電体が剥離するおそれもない。また、炭素系導電材料3がカーボンナノチューブ4の場合、化学的に安定する他、二次電池の軽量化をさらに向上させることができる。また、集電体用導電性樹脂フィルム5の厚さが5μm以上500μm以下なので、集電体用導電性樹脂フィルム5の引張強度の低下を防止し、二次電池の集電体の軽量化が大いに期待できる。
また、集電体用導電性樹脂フィルム5の比重が1.60以下なので、二次電池や集電体の大幅な軽量化に資することが可能となる。さらに、集電体用導電性樹脂フィルム5の体積抵抗値が1Ω・cm以上100Ω・cm以下と低いので、集電体用導電性樹脂フィルム5を二次電池の集電体として使用しても、エネルギー密度の低下を防ぐことができる。
なお、上記実施形態のポリアリーレンエーテルケトン樹脂2については、1種類を単独で使用したり、あるいは2種以上をアロイ化したり、ブレンド化して使用しても良い。このポリアリーレンエーテルケトン樹脂2の形状は、粉体状、顆粒状、塊状、粉状、ペレット状等を特に問うものではない。また、集電体用導電性樹脂フィルム5は、JIS K7112 A法の規格に準拠して測定した比重が1.23以上1.60以下、相対結晶化度が95%以上100%以下、JIS K 7127に準拠して測定した場合の引張弾性率が3500MPa以上5300MPa以下、JIS K 7127に準拠して測定した場合の引張破断時伸びが10%以上65%以下、JIS K 7194に準拠して測定した場合の体積抵抗値が1Ω・cm以上100Ω・cm以下でも良い。
また、カーボンナノチューブ4には、カーボンナノチューブ4の特性を活かすため、外径や長さの異なる複数種のカーボンナノチューブ4を混合して使用しても良い。さらに、一対の圧着ロール26の間に単一の冷却ロール27を回転可能に軸支させても良い。
以下、本発明に係る二次電池の集電体用導電性樹脂フィルム及びその製造方法の実施例を比較例と共に説明する。
〔実施例1〕
先ず、成形材料を調製するため、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂として、市販のポリエーテルケトンケトン樹脂〔ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ社製 製品名:キータスパイアPEEK KT-851NL SP 以下、「KT-851NL SP」と略する〕を用意し、このポリエーテルエーテルケトン樹脂を冷凍粉砕法により粉砕した。ポリエーテルエーテルケトン樹脂は、以下「PEEK樹脂」と略称する。
PEEK樹脂の融点(融解温度とも言う)は、示差走査熱量計〔エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 製品名:高感度型示差走査熱量計 X-DSC7000〕を用い、JIS K 7121に準拠し、昇温速度10℃/分の条件で測定した。測定したところ、KT-851NLSPの融点は340℃であった。
PEEK樹脂を粉砕したら、この粉砕したPEEK樹脂と炭素系導電材料である多層のカーボンナノチューブとを組成質量比率でPEEK樹脂95質量%とカーボンナノチューブが5質量%となるように計量し、その後、PEEK樹脂とカーボンナノチューブを混合機に投入し、攪拌混合することにより、攪拌混合物を調製した。カーボンナノチューブは、NC7000〔ナノシル社製:製品名、以下、「NC7000」と略す〕を使用した。
PEEK樹脂の見掛けのせん断粘度については、フローテスター〔島津製作所製 製品名島津フローテスタCFT-500D〕により測定した。具体的には、予めPEEK樹脂を熱風乾燥機で160℃×12時間乾燥し、PEEK樹脂1.5cm3をダイス(直径:1mm、長さ10mm)を装着した375℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に面積が1.0cm2のプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が375℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、PEEK樹脂を溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。見掛けのせん断粘度は、以下、同様の方法により測定した。
攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付きの高速二軸押出成形機に供給して減圧下で溶融混練し、この溶融混練した攪拌混合物を高速二軸押出成形機先端部のダイスから棒形に押し出して空冷後カットし、ペレット状の成形材料を調製した。高速二軸押出成形機は、φ42mm、L/D=38のタイプを用いた。また、攪拌混合物は、シリンダー温度:350~375℃、ダイス温度375℃の条件下で高速二軸押出成形機の原料投入口側のベントを開放した状態、ダイス側のベントを減圧下で脱気しながら溶融混練し、成形材料に調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、376℃であった。
成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を測定した。この成形材料の見掛けのせん断粘度については、フローテスター〔島津製作所製 製品名島津フローテスタCFT-500D〕により測定した。具体的には、予め成形材料を熱風乾燥機で160℃×12時間乾燥した後、成形材料1.5cm3をダイス(直径:1mm、長さ10mm)を装着した375℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に面積が1.0cm2のプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が375℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、成形材料を溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。見掛けのせん断粘度は、以下、同様の方法により測定した。
次いで、調製した成形材料を160℃に加熱した除湿熱風乾燥機に投入して12時間以上乾燥させ、乾燥した成形材料の含水率が300ppm以下であることを確認後、成形材料をφ40mmの単軸押出成形機に投入してその幅900mmのダイスであるTダイスから連続して押し出すことにより、帯形の集電体用導電性樹脂フィルムを成形した。成形材料の含水率は、微量水分測定装置〔三菱化学社製 製品名:CA‐100型〕を用い、カールフィッシャー滴定法により確認した。以後、成形材料の含水率については、同様の方法で測定した。
単軸押出成形機は、L/D=25、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリューのタイプとした。また、単軸押出成形機の温度は360~395℃、Tダイスの温度は395℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は395℃、ギアポンプは395℃に調整した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、398℃であった。この単軸押出成形機に成形材料を投入する際には、窒素ガス15L/分を供給した。
集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、この集電体用導電性樹脂フィルムを図2に示すようなシリコーンゴム製の一対の210℃の圧着ロール、210℃の複数の冷却ロール、及びこれらの下流に位置する6インチの巻取管に順次巻架するとともに、圧着ロールと冷却ロールとに挟持させ、連続した集電体用導電性樹脂フィルムの両側部をスリット刃で裁断して巻取管に順次巻き取ることにより、長さ100m、幅650mmの集電体用導電性樹脂フィルムを製造した。圧着ロールと巻取管との間には、集電体用導電性樹脂フィルムの両側部を切断するスリット刃を昇降可能に配置し、巻取管とスリット刃との間には、集電体用導電性樹脂フィルムにテンションを作用させるテンションロールを回転可能に軸支させた。
集電体用導電性樹脂フィルムを製造したら、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニ発生の有無、集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表1にまとめた。集電体用導電性樹脂フィルムの機械的特性は引張弾性率、引張破断時伸び、及び引張最大強度、導電性は導電性フィルムの電解液浸漬前後の体積抵抗値、耐薬品性はN‐メチル‐2‐ピロリドンと電解液浸漬前後の質量変化、耐熱性は加熱寸法変化によりそれぞれ評価した。
・集電体用導電性樹脂フィルム製造中に発生する目ヤニ
集電体用導電性樹脂フィルム製造中に発生する目ヤニについては、集電体用導電性樹脂フィルムを100m製造後、Tダイスのリップ付近を目視により観察した。
・集電体用導電性樹脂フィルムのフィルム厚
集電体用導電性樹脂フィルムのフィルム厚さについては、マイクロメータ〔ミツトヨ社製 製品名:クーラントプルーフマイクロメータ 符号MDC‐25PJ〕を使用して測定した。測定に際しては、集電体用導電性樹脂フィルムの幅方向〔押出方向の直角方向(以下、「TD」と略称する)〕の任意の10箇所を測定し、その平均値をフィルム厚とした。
・集電体用導電性樹脂フィルムの比重
集電体用導電性樹脂フィルムの比重については、23℃の環境下、JIS K 7112 A法の規格に準拠して測定した。
・集電体用導電性樹脂フィルムの相対結晶化度
集電体用導電性樹脂フィルムの相対結晶化度については、集電体用導電性樹脂フィルムから測定試料約5mgを秤量し、示差走査熱量計〔エスアイアイ・ナノテクノロジーズ社製 製品名:EXSTAR7000シリーズ X-DSC7000〕を使用して昇温速度10℃/分、測定温度範囲20℃から380℃まで測定した。このときに得られる融解ピークの熱量(J/g)、再結晶化ピークの熱量(J/g)から以下の式を用いて算出した。
相対結晶化度(%)={1-(ΔHc/ΔHm)}×100
ΔHc:集電体用導電性樹脂フィルムの再結晶化ピークの熱量(J/g)
ΔHm:集電体用導電性樹脂フィルムの融解ピークの熱量(J/g)
・集電体用導電性樹脂フィルムの機械的性質
集電体用導電性樹脂フィルムの機械的性質については、23℃における引張弾性率、破断時伸び、及び引張最大強度で評価した。機械的性質は、押出方向(以下、「MD」と略称する)とTDについて測定した。測定は、JIS K 7127に準拠し、引張速度50mm/分、温度23℃±2℃、相対湿度50RH±5%RHの条件で実施した。
・集電体用導電性樹脂フィルムの耐薬品性
集電体用導電性樹脂フィルムの耐薬品性については、N-メチル-2-ピロリドン(以下、「NMP」と略する)と電解液に浸漬させ、質量変化により評価した。
集電体用導電性樹脂フィルムの質量変化を評価する場合には、集電体用導電性樹脂フィルムをMD:50mm×TD:80mmの大きさに切り出して秤量〔W0〕し、この集電体用導電性樹脂フィルムとNMP5gあるいは電解液各5gとをPET/AL/PE構成平袋〔日本生産社製:商品名ラミジップ〕に入れ、ヒートシールにより封をした。電解液は、リチウム一次・二次・ポリマー電池&リチウムイオンキャパシタ用電解液〔キシダ化学社製:商品名 電解質LiPF6、モル濃度1mol/L 溶媒EC:DEC(3:7)V/V%〕を使用した。
ヒートシールにより封をしたら、PET/AL/PE構成平袋を50℃に加熱した熱風オーブン中に15日間静置し、静置後にPET/AL/PE構成平袋から集電体用導電性樹脂フィルムを取り出してエタノールで洗浄し、この集電体用導電性樹脂フィルムを50℃に加熱した熱風オーブン中に24時間静置するとともに、静置後に乾燥剤〔オゾン化学社製:商品名OZO‐C〕を入れたガラス製のデシケータ内で23℃環境下、24時間静置し、その後、集電体用導電性樹脂フィルムを秤量〔W1〕し、以下の式から質量変化率を求めてA~F評価した。
質量変化率(%)={(W1-W0)/W0}×100
W0:集電体用導電性樹脂フィルムの初期質量〔g〕
W1:集電体用導電性樹脂フィルムとNMPあるいは電解液浸漬後の質量〔g〕
A:質量変化率が0.0%以上0.1%以下の場合
B:質量変化率が0.1%を越えて1.0%以下の場合
C:質量変化率が1.0%を越えて2.0%以下の場合
D:質量変化率が2.0%を越えて5.0%以下の場合
E:質量変化率が5.0%を越えて10%以下の場合
F:質量変化率が10%を越えて20%以下の場合
・集電体用導電性樹脂フィルムの導電性
集電体用導電性樹脂フィルムの導電性については体積抵抗値により評価することとし、体積抵抗値はNMPと電解液の浸漬前後で測定した。
体積抵抗値は、四端子四探針法(JIS K 7194:1994に準拠する方法)により測定した。測定は、低抵抗率計〔三菱化学アナリテック社製:商品名 ロレスター GP MCP-610〕を用いて実施した。また、集電体用導電性樹脂フィルムの体積抵抗値は、耐薬品性評価の前後で測定した。測定は、温度23℃±2℃、相対湿度50RH±5%RHの環境下で実施した。
・集電体用導電性樹脂フィルムの耐熱性
集電体用導電性樹脂フィルムの耐熱性は、加熱寸法変化により評価した。
加熱寸法変化は、MDとTDについて測定した。この測定は、JIS K 7133に準拠し、温度250℃、時間10分加熱し、加熱前後の寸法変化率により評価した。寸法変化率は、以下の式から求めて評価した。
寸法変化率(%)={(L1-L0)/L0}×100
L0:集電体用導電性樹脂フィルムの加熱前の寸法〔mm〕
L1:集電体用導電性樹脂フィルムと加熱後の寸法〔mm〕
〔実施例2〕
粉砕した実施例1のポリアリーレンエーテルケトン樹脂とカーボンナノチューブとの組成質量比率を表1に示すように変更し、実施例1と同様にペレット形の成形材料を調製した。成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法により測定した。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、398℃であった。こうして集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、この集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表1にまとめた。
〔実施例3〕
基本的には実施例1と同様であるが、成形材料として、実施例1で使用したポリアリーレンエーテルケトン樹脂であるPEEK樹脂をKT-851NL SPから予め実施例1の方法で粉砕したVictrex Granules 381G〔ビクトレックス社;製品名 以下、「381GG」と略す〕に変更し、実施例1で使用したカーボンナノチューブを表1に示す組成質量となるように計量し、攪拌混合物を調製した。381Gの見掛けのせん断粘度は、実施例1と同様の方法により測定した。381Gの融点を実施例1と同様の方法により測定した結果、343℃であった。
次いで、実施例1と同様の方法により成形材料を調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、375℃であった。成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法により測定した。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、398℃であった。こうして集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表1にまとめた。
〔実施例4〕
基本的には実施例1と同様であるが、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂であるPEEK樹脂をKT-851NL SPから予め実施例1の方法で粉砕したVictrex Granules 450G〔ビクトレックス社;製品名 以下、「450G」と略す〕に変更した。
また、実施例1で使用したカーボンナノチューブは、実施例1のNC7000からFloTube 9000〔CNano Technology社製〕変更した。PEEK樹脂とカーボンナノチューブは、表2に示す組成質量比率となるように計量し、攪拌混合物を調製した。450Gの見掛けのせん断粘度は、実施例1と同様の方法により測定した。450Gの融点を実施例1と同様の方法により測定した結果、341℃であった。
次いで、実施例1と同様の方法で成形材料を調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、380℃であった。成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法で測定した。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、400℃であった。集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表2に記載した。
〔実施例5〕
基本的には実施例1と同様であるが、成形材料として、実施例1で使用したポリアリーレンエーテルケトン樹脂であるPEEK樹脂をKT-851NL SPから予め実施例1の方法で粉砕したVictrex Granules 151G〔ビクトレックス社;製品名 以下、「151G」と略す〕に変更し、表2に示す組成質量となるように計量し、攪拌混合物を調製した。151Gの見掛けのせん断粘度は、実施例1と同様の方法で測定した。151Gの融点を実施例1と同様の方法により測定した結果、341℃であった。
次いで、実施例1と同様の方法で成形材料を調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、375℃であった。成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法で測定した。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、395℃であった。集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表2に記載した。
〔実施例6〕
先ず、成形材料を調製するため、市販のポリアリーレンエーテルケトン樹脂としてポリエーテルケトンケトン樹脂〔アルケマ社製、製品名:KEPSTAN 8003PF ST 以下、「8003」と略称する〕を用意し、このポリエーテルケトンケトン樹脂と実施例1で使用したカーボンナノチューブとを表2に示す組成質量比率となるように計量し、その後、ポリエーテルケトンケトン樹脂とカーボンナノチューブを混合機に投入し、攪拌混合して攪拌混合物を調製した。ポリエーテルケトンケトン樹脂の融点を実施例1と方法により測定した結果、361℃であった。ポリエーテルケトンケトン樹脂は、以下「PEKK樹脂」と略称する。
8003の見掛けのせん断粘度については、フローテスター〔島津製作所製 製品名島津フローテスタCFT-500D〕により測定した。具体的には、予め8003を熱風乾燥機で160℃×12時間乾燥した後、1.5cm3の8003をダイス(直径:1mm、長さ10mm)に装着した375℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に面積が1.0cm2のプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が375℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、PEKK樹脂を溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。
次いで、実施例1と同様の方法で成形材料を調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、375℃であった。成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法で測定した。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、395℃であった。集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表2に記載した。
〔比較例1〕
先ず、実施例1で使用したポリアリーレンエーテルケトン樹脂とカーボンナノチューブとを表3に示す本発明の範囲外の組成質量比率で計量し、攪拌混合機に投入して攪拌混合物を調製し、この攪拌混合物を実施例1と同様にペレット形の成形材料に調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、376℃であった。成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法により測定した。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、398℃であった。こうして集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表3にまとめた。
〔比較例2〕
先ず、実施例1で使用したポリアリーレンエーテルケトン樹脂とカーボンナノチューブとを表3に示す本発明の範囲外の組成質量比率で計量し、攪拌混合機に投入して攪拌混合物を調製し、この攪拌混合物を実施例1と同様にペレット形の成形材料に調製した。成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法により測定した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、389℃であった。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、403℃であった。こうして集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表3にまとめた。
〔比較例3〕
先ず、実施例3で使用したポリアリーレンエーテルケトン樹脂とカーボンナノチューブとからなる成形材料を使用して集電体用導電性樹脂フィルムを成形した。集電体用導電性樹脂フィルムの成形は、実施例1と同様の方法により実施した。但し、圧着ロールと冷却ロールの温度は、実施例1では圧着ロール220℃、冷却ロール210℃としたが、比較例3では圧着ロール100℃、冷却ロール100℃で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、398℃であった。
こうして集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表3にまとめた。
〔比較例4〕
先ず、成形材料を調製するため、ポリアミド9T樹脂としてジェネスタN1000A-M42NA〔クラレ社製:製品名、以下、「N1000A」と略称する〕選択し、このポリアミド9T樹脂を冷凍粉砕法により粉砕した。以下、ポリアミド9T樹脂はPA9T樹脂と略称する。
N1000A樹脂の融点(融解温度とも言う)は、示差走査熱量計〔エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 製品名:高感度型示差走査熱量計 X-DSC7000〕を用い、JIS K7121に準拠し、昇温速度10℃/分の条件で測定した。測定したところ、N1000Aの融点は300℃であった。
N1000Aの見掛けのせん断粘度については、フローテスター〔島津製作所製 製品名島津フローテスタCFT-500D〕により測定した。具体的には、予めPA9T樹脂を熱風乾燥機で160℃×12時間乾燥した後、PA9T樹脂1.5cm3をダイス(直径:1mm、長さ10mm)に装着した360℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に面積が1.0cm2のプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が360℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、PA9T樹脂を溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。PA9T樹脂を粉砕したら、このPA9T樹脂と実施例4で使用したカーボンナノチューブであるFloTube 9000とを表4で示す組成質量比率で攪拌混合し、攪拌混合物を調製した。
攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付きの高速二軸押出成形機に供給して減圧下で溶融混練し、高速二軸押出成形機先端部のダイスから棒形に押し出して空冷後カットし、ペレット形の成形材料を調製した。攪拌混合物は、シリンダー温度330~360℃、アダプター温度360℃、ダイス温度360℃の条件下で溶融混練した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、361℃であった。
成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法で測定した。この成形材料の見掛けのせん断粘度については、フローテスター〔島津製作所製 製品名島津フローテスタCFT-500D〕により測定した。具体的には、予め成形材料を熱風乾燥機で160℃×12時間乾燥した後、成形材料1.5cm3をダイス(直径:1mm、長さ10mm)に装着した360℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に面積が1.0cm2のプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が360℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、N1000Aを溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。
次いで、調製した成形材料を160℃に加熱した除湿熱風乾燥機に投入して12時間以上乾燥させ、乾燥した成形材料の含水率が300ppm以下であることを確認後、成形材料をφ40mmの単軸押出成形機に投入してその幅900mmのダイスであるTダイスから連続して押し出すことにより、帯形の集電体用導電性樹脂フィルムを成形した。単軸押出成形機は、L/D=25、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリューのタイプとした。
単軸押出成形機の温度は340~360℃、Tダイスの温度は360℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は360℃、ギアポンプは395℃に調整した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、360℃であった。この単軸押出成形機に成形材料を投入する際には、窒素ガス15L/分を供給した。
集電体用導電性樹脂フィルムを製造したら、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生の有無、集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表4に記載した。しかしながら、集電体用導電性樹脂フィルムの機械的特性である体積抵抗値を測定する際、NMPと電解液に集電体用導電性樹脂フィルムを浸漬したところ、変形してしまい、体積抵抗値の測定が不可能であった。
〔比較例5〕
先ず、成形材料を調製するため、ポリエーテルイミド樹脂〔4,4’-イソプロピリデンビス(P-フェニルオキシ)ジフタル酸二無水物とm-フェニレンジアミンとの重縮合物、SABIC社製、製品名:ULTEM 1010-1000-NB〔SABIC社製:製品名、以下、「1010」と略称する〕〕に変更したを選択し、このポリエーテルイミド樹脂を冷凍粉砕法により粉砕した。以下、ポリエーテルイミド樹脂はPEI樹脂と略称する。
1010の融点(融解温度とも言う)は、示差走査熱量計〔エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 製品名:高感度型示差走査熱量計 X-DSC7000〕を用い、JIS K7121に準拠し、昇温速度10℃/分の条件で測定した。しかしながら、融点は認められなかった。
1010の見掛けのせん断粘度については、フローテスター〔島津製作所製 製品名島津フローテスタCFT-500D〕により測定した。具体的には、予めPEI樹脂を熱風乾燥機で160℃×12時間乾燥した後、1010、1.5cm3をダイス(直径:1mm、長さ10mm)に装着した375℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に面積が1.0cm2のプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が375℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、1010を溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。
PEI樹脂を粉砕したら、このPEI樹脂と実施例4で使用したカーボンナノチューブであるNC7000とを表4に示す組成質量比率で攪拌混合し、攪拌混合物を調製した。攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付きの高速二軸押出成形機に供給して減圧下で溶融混練し、高速二軸押出成形機先端部のダイスから棒形に押し出して空冷後カットし、ペレット状の成形材料を調製した。攪拌混合物は、シリンダー温度350~380℃、アダプター温度380℃、ダイス温度375℃の条件下で溶融混練した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、383℃であった。
成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法で測定した。この成形材料の見掛けのせん断粘度については、フローテスター〔島津製作所製 製品名島津フローテスタCFT-500D〕により測定した。具体的には、予め成形材料を熱風乾燥機で160℃×12時間乾燥した後、成形材料1.5cm3をダイス(直径:1mm、長さ10mm)に装着した360℃のシリンダー内に充填し、このシリンダーの上部に面積が1.0cm2のプランジャーを取り付け、シリンダーの温度が360℃に達したら、5分間予備加熱するとともに、この予備加熱後に直ちに50kgfの荷重を加え、PEI樹脂を溶融流出させてその見掛けのせん断粘度を測定した。
次いで、調製した成形材料を160℃に加熱した除湿熱風乾燥機に投入して12時間以上乾燥させ、乾燥した成形材料の含水率が300ppm以下であることを確認後、成形材料をφ40mmの単軸押出成形機に投入してその幅900mmのダイスであるTダイスから連続して押し出すことにより、帯形の集電体用導電性樹脂フィルムを成形した。単軸押出成形機は、L/D=25、圧縮比:2.5、スクリュー:フルフライトスクリューのタイプとした。
単軸押出成形機の温度は350~380℃、Tダイスの温度は360℃、単軸押出成形機とTダイスとを連結する連結管の温度は380℃、ギアポンプは380℃に調整した。また、Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、384℃であった。単軸押出成形機に成形材料を投入する際には、窒素ガス15L/分を供給した。
集電体用導電性樹脂フィルムを製造したら、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生の有無、集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表4に記載した。しかしながら、集電体用導電性樹脂フィルムの耐薬品性を測定しようと、NMPに集電体用導電性樹脂フィルムを浸漬したところ、集電体用導電性樹脂フィルムが溶解してしまい、耐薬品性を測定することができなかった。
〔比較例6〕
先ず、成形材料を調製するため、PEEK樹脂として実施例1で使用したKT-851NLSPを選択し、このPEEK樹脂と、炭素系導電材料としてカーボンブラックであるケッチェンブラック EC600JB〔ライオン・スペシャルティ・ケミカルズ社製、製品名、以下、「EC600JD」と略称する〕を表4に示す組成質量比率で混合機に投入し、攪拌混合して攪拌混合物を調製した。
攪拌混合物を調製したら、この攪拌混合物を真空ポンプ付きの高速二軸押出成形機に供給して減圧下で溶融混練し、高速二軸押出成形機先端部のダイスから棒形に押し出して空冷後カットし、ペレット状の成形材料を調製した。溶融混練時の温度は、ダイスから押し出した直後の溶融状態の成形材料の温度を測定することとし、測定したところ、383℃であった。また、成形材料を調製したら、この成形材料の見掛けのせん断粘度を実施例1と同様の方法で測定した。
次いで、調製した成形材料を用い、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを帯形に成形した。Tダイス入口の樹脂温度から溶融した成形材料の温度を測定したところ、403℃であった。集電体用導電性樹脂フィルムを成形したら、実施例1と同様の方法で集電体用導電性樹脂フィルムを製造し、集電体用導電性樹脂フィルム製造中の目ヤニの発生、この集電体用導電性樹脂フィルムの厚さ、比重、相対結晶化度、機械的特性、導電性、耐薬品性、耐熱性をそれぞれ評価して表4に記載した。
〔評 価〕
各実施例の集電体用導電性樹脂フィルムの場合、製造中に目ヤニが発生せず、優れた機械的特性、導電性、耐薬品性、及び耐熱性を得ることができた。これらの実施例により、各実施例の集電体用導電性樹脂フィルムが二次電池の集電体用に適することが明らかとなった。
これに対し、比較例1の集電体用導電性樹脂フィルムの場合、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂が本発明の範囲外で多量だったので、機械的特性が悪化し、二次電池の集電体用に適するか否か疑問が生じた。また、比較例2、4、5、6の集電体用導電性樹脂フィルムの場合、製造中に目ヤニが発生し、集電体用導電性樹脂フィルムの品質に疑義が生じた。比較例3の集電体用導電性樹脂フィルムの場合、製造中に目ヤニが発生しなかったが、耐薬品性が悪化し、二次電池の集電体用に適するか否か疑義が生じた。さらに、比較例5の集電体用導電性樹脂フィルムの場合、ポリアリーレンエーテルケトン樹脂を用いなかったので、集電体用導電性樹脂フィルムが溶解してしまい、耐薬品性が非常に悪化し、二次電池の集電体用に適するか否か疑義が生じた。