JP7726621B2 - バイオマス固形燃料の製造方法、及びバイオマス固形燃料の水分調整方法 - Google Patents
バイオマス固形燃料の製造方法、及びバイオマス固形燃料の水分調整方法Info
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Description
例えば、特許文献1には、木材を含むバイオマス原料を機械的に圧縮して脱水する工程を含む、固形燃料の製造方法が開示されている。特許文献1に記載の固形燃料の製造方法においては、目開きが6.4mmの篩を通過するバイオマス原料の重量割合が、圧縮の前後で5.0%以下しか増加せず、圧縮後のバイオマスの低位発熱量が2100kcal/kg以上であることが開示されている。
例えば、特許文献2には、石炭を粉砕し、石炭粉体を得る石炭粉砕装置と、バイオマスを粉砕し、バイオマス粉体を得るバイオマス粉砕装置と、前記石炭粉体とバイオマス粉体とが供給されるボイラ火炉とを有し、前記バイオマス粉砕装置での粉砕の際に、前記バイオマスに添加物を添加しつつ混合粉砕することを特徴とするバイオマス・石炭混焼システムが開示されている。
一方、FIT制度(電力固定価格買取制度)及び電力事業者に再生エネルギーの利用拡大を義務付ける法律等により、発電所で使用されるバイオマス燃料の使用量をより増大させることが求められている。このようなバイオマス燃料の使用量増大の要請に応えるためには、バイオマス燃料の安全性をより高めることが求められている。
本発明の目的は、粉じん爆発を起こしにくいバイオマス固形燃料の製造方法、バイオマス固形燃料の水分調整方法及びバイオマス固形燃料を提供することである。
前記バイオマス固形燃料に水分を付与することにより、前記バイオマス固形燃料の含水率を5質量%以上25質量%以下に調整する水分調整工程を有する、バイオマス固形燃料の水分調整方法が提供される。
〔バイオマス固形燃料の製造方法〕
第1実施形態に係るバイオマス固形燃料の製造方法(以下、「本実施形態の製造方法」とも称する)について説明する。
本実施形態の製造方法は、バイオマスを含むバイオマス原料を塊状物に成形して得られるバイオマス固形燃料の製造方法であって、具体的には、前記バイオマス固形燃料の含水率が、5質量%以上25質量%以下になるように、前記バイオマス原料及び前記塊状物の少なくとも一方に水分を付与する工程を有する。
本実施形態の製造方法で得られるバイオマス固形燃料は、バイオマスを含むバイオマス原料が塊状物に成形されたものであり、かつバイオマス原料及び塊状物の少なくとも一方に水分を付与することにより、含水率が特定の範囲(5質量%以上25質量%以下)に調整されている。
本実施形態でいう「塊状物」とは、水分が付与された後の塊状物(含水率が特定の範囲に調整された塊状物)と、水分が付与される前の塊状物(含水率が特定の範囲に調整されていない塊状物)の両者を含む概念で用いている。
したがって、本実施形態の製造方法において、含水率が特定の範囲に調整された塊状物は、本実施形態の製造方法で得られたバイオマス固形燃料と同義である。
これに対し、本実施形態の製造方法では、製造過程で得られるバイオマス原料及び塊状物の少なくとも一方に水分を付与することで、得られるバイオマス固形燃料の含水率を特定の範囲に調整する。すなわち、本実施形態の製造方法は、従来の「バイオマス原料の水分をより少なくする」とは逆の発想で、バイオマス固形燃料にあえて水分を含ませる。
含ませる水分量について、バイオマス固形燃料の含水率を5質量%以上とすることで、最小着火エネルギーを高めてバイオマスへの着火を抑制する効果を発現させる。また、前記含水率を25質量%以下とすることで、燃料としての発熱量を確保する。
なお、含水率が調整されていない半炭化ペレットの含水率は、通常5質量%未満である。また、前記半炭化ペレットを水中に浸漬させた場合、半炭化ペレットの含水率は、通常25質量%程度で飽和する。
以下では、バイオマス固形燃料の含水率を5質量%以上25質量%以下に調整することで奏される効果(すなわち、粉じん爆発を起こしにくくする効果)を「加水効果」と称することがある。
バイオマス固形燃料の輸送時における「搬送」としては、例えば、所定場所から積込港までの輸送、積込港から陸揚港までの輸送、陸揚港から各地の発電所、製鉄所、及び工場等の敷地内までの輸送、並びに前記敷地内から火炉までの輸送等が挙げられる。輸送手段としては、例えば、エレベーター、車、船、コンベア、アンローダ(揚炭機)、及びベルトフィーダー等が挙げられる。
バイオマス固形燃料の貯蔵時における「貯蔵」としては、例えば、屋外の場所、屋内の屋根付き(ドーム方式、倉庫型など)の場所、船倉、サイロ、及び容器(例えばビン)への貯蔵等が挙げられる。
バイオマス固形燃料の含水率は、本実施形態の製造方法で得られたバイオマス固形燃料から、以下の方法で確認することができる。
バイオマス固形燃料から試料1gを採取する。採取した試料を107℃±2℃で1時間加熱乾燥する。加熱乾燥前の試料の質量に対する加熱乾燥による減量の割合を百分率(%)で算出する(JIS M8820(2000))。上記操作を3回実施して百分率をそれぞれ求め、その平均値をバイオマス固形燃料の含水率とする。
バイオマス原料の最小着火エネルギーは、後述の実施例に記載した方法で測定することができる。
バイオマス固形燃料の最小着火エネルギーは、バイオマス固形燃料から試料を採取し、その試料を用いて、バイオマス原料の最小着火エネルギーと同様の方法で測定することができる。
水分を付与する工程は、バイオマス原料及び塊状物の少なくとも一方に水分を付与する工程である。水分を付与する工程は特に限定されないが、水中に浸漬する工程、水分を散布する工程、または加湿した空間に保管する工程であることが好ましい。
すなわち、バイオマス原料に水分を付与する工程としては、バイオマス原料を水中に浸漬する工程、バイオマス原料に水分を散布する工程、またはバイオマス原料を加湿した空間に保管する工程であることが好ましく、塊状物に水分を付与する工程としては、塊状物を水中に浸漬する工程、塊状物に水分を散布する工程、または塊状物を加湿した空間に保管する工程であることが好ましい。
水分の状態としては、例えば、水(液体)、水滴、ミスト、及び水蒸気等が挙げられる。水分の温度は限定されない。
水分を散布する工程において、使用する水の種類、水の量、水の温度、水分の状態及び水分の散布時間等は、所望のバイオマス固形燃料の含水率に調整できるように適宜設定することが好ましい。水分を散布する手段としては特に限定されないが、例えば、スプレー、シャワー、スプリンクラー、及びホース等が挙げられる。また、水分を散布する手段として降雨を利用してもよい。
加湿した空間に保管する工程において、使用する空間の状態(例えば、湿度、温度、水分の状態、及び広さ等)及び加湿した空間に保管する時間等は、所望のバイオマス固形燃料の含水率に調整できるように適宜設定することが好ましい。
空間を加湿する手段としては特に限定されないが、例えば、スチーム、及び公知の加湿装置等が挙げられる。また、空間を加湿する手段として多湿の自然環境を利用してもよい。
・バイオマス
バイオマス原料はバイオマスを含む。
バイオマスとしては特に限定されないが、例えば、木質系バイオマス、草木系バイオマス、農作物残渣系バイオマス、パーム椰子バイオマス、セルロース製品、及びパルプ製品等が挙げられる。
本明細書において、農作物残渣系バイオマスとは、食用部分以外のものを意味する。
本明細書において、パーム椰子バイオマスとは、バイオマス燃料となり得るパーム椰子の農業廃棄物を意味する。パーム椰子バイオマスとしては、具体的には、パーム椰子殻(PKS:Palm Kernel Shell)、及びパーム椰子空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)等が挙げられる。
バイオマスは、木質系バイオマス、草木系バイオマス、農作物残渣系バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
草木系バイオマスとしては、例えば、草、自然に生育した植物、及び人工的に植林した植物等が挙げられる。草木系バイオマスは、麻、綿、稲わら、籾殻、麦わら、ササ、及びススキ等であってもよい。
以上に記載したバイオマスは、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
粉末の長軸径とは、粉末の最大径のことであり、具体的には、粉末の外側輪郭線上の任意の2点を直線で結んだ時の直線の最大長さを意味する。
粉末の長軸径は、以下の方法で測定することができる。バイオマス粉末またはバイオマス固形燃料から試料1gを採取し、走査型電子顕微鏡(SEM)によって試料を観察する。観察した視野におけるバイオマス粉末の長軸径を測定する。
例えば、木質系バイオマスとして木材を用いる場合、木材で大型のものは数センチ程度のチップに粗粉砕し、その後、粉末(好ましくは長軸径1mm以下の粉末)に粉砕してもよい。また、チップ及び小型のバイオマスを用いる場合、公知の粉砕機を用いて粉末(好ましくは長軸径1mm以下の粉末)に粉砕することが好ましい。
塊状物の形状及び大きさは特に限定されない。
塊状物はペレットまたはブリケットであることが好ましい。ペレットは、通常、円筒状であり、直径5mm以上10mm以下、長さ5mm以上50mm以下である。ブリケットは、通常、ペレットよりも大きい直径または長さを有する。
ペレットは、例えば、バイオマス原料または水分が調整されたバイオマス原料を、金属穴(例えば、直径5mm以上10mm以下、長さ5mm以上50mm以下)から押し出すことで作製することができる。また、ペレットは、リングダイ方式またはフラットダイ方式等のペレタイザーを用いて作製することができる。
ブリケットは、例えば、ブリケットマシーンを用いて豆炭状または円筒状に成型することで作製することができる。
半炭化する方法としては特に限定されないが、例えば、ロータリーキルン等を用いて、空気を遮断した容器内でバイオマス原料または塊状物を一定時間過熱して炭化度を高める方法が挙げられる。
バイオマス原料は、石炭を含んでもよい。石炭はとしては、例えば、瀝青炭、亜瀝青炭、及び褐炭が挙げられる
・瀝青炭…無水無灰基準において、総発熱量が8、100kcal/kg以上8、400kcal/kg未満の石炭
・亜瀝青炭…無水無灰基準において、総発熱量が7、300kcal/kg以上8、100 kcal/kg未満の石炭
・褐炭…無水無灰基準において、総発熱量が5、800kcal/kg以上7、300 kcal/kg未満の石炭
石炭の粒径は、塊状物への成形のし易さの観点から、好ましくは1mm以下、より好ましくは110μm以下である。石炭の粒径の下限値は0超えである。
石炭の粒径は、例えば、篩を用いて調整することができる。
前記バイオマスに対する石炭の割合(石炭/バイオマス)が、0/100超え75/25であると、加水効果がより発現され易くなる。
その他成分としては特に限定されないが、バインダー及び各種添加剤等が挙げられる。
本実施形態の製造方法で得られたバイオマス固形燃料は、発電所、製鉄所、及び工場等で広く用いることができる。本実施形態のバイオマス固形燃料は、単独で燃焼させて用いてもよいし、石炭等の他の燃料と混合して燃焼(混焼)させてもよい。
例えば、バイオマス固形燃料を火力発電設備で用いる場合、バイオマス固形燃料を粉砕機で粉砕してボイラに導入してもよいし、大きさによってはそのままボイラに導入してもよい。
また、バイオマス固形燃料を石炭と混合して用いることも好ましく、その場合、既存の火力発電設備を用いて、例えば、石炭粉砕機を利用して、バイオマス固形燃料を石炭と共に粉砕し、これらをボイラに導入してもよい。
また、バイオマス固形燃料を石炭粉砕機とは別の粉砕機(例えば、バイオマス固形燃料用粉砕機)で粉砕した後、別途粉砕された石炭と混合して、これらをボイラに導入してもよい。
バイオマス固形燃料の使用態様は上記に限定されない。
〔バイオマス固形燃料の水分調整方法〕
第2実施形態に係るバイオマス固形燃料の水分調整方法(以下、「本実施形態の水分調整方法」とも称する)は、バイオマスを含むバイオマス原料を塊状物に成形して得られるバイオマス固形燃料の水分調整方法であって、バイオマス固形燃料に水分を付与することにより、バイオマス固形燃料の含水率を5質量%以上25質量%以下に調整する水分調整工程を有する。
例えば、含水率が5質量%以上(好ましくは10質量%以上)のバイオマス固形燃料であれば、粉じん爆発を起こしにくいので、乾燥して含水率が低下したバイオマス固形燃料(例えば含水率が5質量%未満のバイオマス固形燃料)または含水率の低下傾向が見られるバイオマス固形燃料に対し、本実施形態の水分調整方法を実施することにより、粉じん爆発を起こしにくいバイオマス固形燃料とすることができる。
また、含水率が5質量%未満であるバイオマス固形燃料は、輸送、貯蔵、及び利用の過程で、破壊され粉じんとして装置の不可動部分に吹き溜まることがある。装置の不可動部分に吹き溜まって乾燥した粉じんは、粉じん爆発の要因となり得る。
したがって、本実施形態の水分調整方法は、粉じん爆発の要因となり得る、装置の不可動部分への粉じんの吹き溜まりを抑制できる点でも有効である。
含水率検知手段としては特に限定されないが、例えば、光学的検知器または電気的検知器を用いることができる。光学的検知器としては、例えば赤外線水分計等が挙げられる。電気的検知器としては、例えば静電容量方式の水分計等が挙げられる。
含水率制御手段としては特に限定されないが、例えば、公知の制御装置を用いることができる。
すなわち、本実施形態の水分調整方法は、含水率検知手段によって、バイオマス固形燃料の含水率(水分量)が5質量%未満であると検知されたとき、含水率制御手段によって、水分を散布する装置または水分を散布する設備を作動させて、バイオマス固形燃料の含水率が5質量%以上25質量%以下になるように、バイオマス固形燃料に水分を付与する(例えば散水する)ことが好ましい。
言い換えれば、本実施形態の水分調整方法は、含水率検知手段によって、バイオマス固形燃料の含水率(水分量)が5質量%以上であると検知されたとき、含水率制御手段によって、水分を散布する装置または水分を散布する設備を作動させないことが好ましい。
これにより、バイオマス固形燃料の含水率を絶え間なく監視できるので、バイオマス固形燃料をより安全に取り扱うことができる。その結果、バイオマス固形燃料の利用を拡大することができ、バイオマス固形燃料の使用量増大の要請に応えることができる。
なお、水分を散布する装置または水分を散布する設備は、粉じんが吹き溜まり易い部分、具体的には、装置の不可動部分の付近、清掃しにくい部分に設置することが好ましい。
本実施形態において、「バイオマス原料中におけるバイオマスの含有量」及び「バイオマス原料中におけるバイオマスに対する石炭の割合(石炭/バイオマス)」は、第1実施形態と同様である。
〔バイオマス固形燃料〕
第3実施形態に係るバイオマス固形燃料は、バイオマスを含むペレット状またはブリケット状のバイオマス固形燃料である。
前記バイオマス固形燃料に対し、前記バイオマスの含有量は、25質量%以上95質量%未満であり、前記バイオマス固形燃料の含水率は、5質量%以上25質量%以下である。
バイオマス固形燃料の含水率が、5質量%以上であると、最小着火エネルギーを高めてバイオマスへの着火を抑制する効果が発現される。
バイオマス固形燃料の含水率が、25質量%以下であると、燃料としての発熱量が確保される。
バイオマス固形燃料に対し、バイオマスの含有量が、25質量%以上95質量%未満であると、バイオマス固形燃料が水分を含むことによるバイオマスへの着火抑制効果が発現され易くなる。
したがって、本実施形態のバイオマス固形燃料によれば、輸送時及び貯蔵時において、機械的衝撃等により粉じんが発生しても、粉じん爆発を起こしにくくなる。
また、本実施形態のバイオマス固形燃料の含水率は、バイオマスへの着火をより抑制する観点から、8.0質量%以上25質量%以下であることも好ましく、9.1質量%以上25質量%以下であることも好ましい。
本実施形態において、バイオマス固形燃料中に含まれるバイオマスは、第1実施形態に記載のバイオマスと同様のものを使用することができる。バイオマス固形燃料中に含まれる石炭は、第1実施形態に記載の石炭と同様のものを使用することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更、改良等は、本発明に含まれる。
工業分析値は、JIS M8812(2004)に準拠して測定した値である。
元素分析値のうち炭素、水素、窒素及び硫黄は、JIS M8819(1997)に準拠して測定した値であり、酸素はJIS M8813(2004)に準拠して、他の分析値から算出した値である。
高位発熱量は、JIS M8814(2003)に準拠して測定した値である。
燃料比は、「固定炭素/揮発分」である。
「ar」は、As Received Baseの略で、到着ベースを表し、何も手を加えないそのままの状態を示す。表2も同様である。
「ad」は、Air Dry Basisの略で、気乾ベースを表し、大気中で乾燥させた状態を表す。表2も同様である。
「daf」は、Dry Ash Freeの略で、無水無灰ベースを表し、石炭に水分と灰分とが含まれないと仮定した仮想状態を表す。分析値から換算により求める。
「<0.01」は、「0.01未満」であることを表す。
<バイオマス粉の作製>
半炭化されたペレット状のバイオマス(Siambiomas社製、木質系バイオマス(ゴムノキ))を粉砕機にて粉砕し、目開き105μm(140メッシュ)の篩にかけて、粒径105μm以下のバイオマス粉を作製した。
石炭(インドネシア産の褐炭)を粉砕機にて粉砕し、バイオマスと同様105μm(140メッシュ)の篩にかけて、粒径105μm以下の微粉炭を作製した。
バイオマス粉50質量部及び微粉炭50質量部を混合し、バイオマス粉と微粉炭との混合粉を得た。これをバイオマス原料とした。
密閉容器を用いて、バイオマス原料100質量部に対して、5質量部の水を加えて容器に入れ、振とうしてもこぼれないようにしっかりと蓋をし、2時間振とう器にてよく混合して、含水率が12.2質量%の加水されたバイオマス原料(以下、「加水バイオマス原料」とも称する)を得た。
なお、加水バイオマス原料の含水率は、表1に示すバイオマスの全水分(4.9wt%)及び石炭の全水分(10.8wt%)を考慮し、以下のように算出した。
含水率[質量%]=(5+2.45+5.4)/105=12.2
実施例1の「バイオマス原料への加水」において、バイオマス原料100質量部に対して、10質量部の水を散布したこと以外は、実施例1と同様の方法で、含水率が16.2質量%の実施例2の加水バイオマス原料を得た。
なお、加水バイオマス原料の含水率は、表1に示すバイオマスの全水分(4.9wt%)及び石炭の全水分(10.8wt%)を考慮し、以下のように算出した。
含水率[質量%]=(10+2.45+5.4)/110=16.2
実施例1で用いたバイオマス粉及び微粉炭を表2に示す質量部で混合した混合粉を比較例1のバイオマス原料とした。比較例1においては、「バイオマス原料への加水」を行わなかった。後述の比較例2及び参考例1~3においても同様に、バイオマス原料への加水を行わなかった。
比較例1のバイオマス原料の含水率は、表1に示すバイオマスの全水分(4.9wt%)及び石炭の全水分(10.8wt%)から算出した。
実施例1で用いたバイオマス粉を比較例2のバイオマス原料とした。
比較例2のバイオマス原料の含水率は、表1に示すバイオマスの全水分(4.9wt%)に相当する。
実施例1で用いた微粉炭を参考例1の石炭原料とした。
参考例1の石炭原料の含水率は、表1に示す石炭の全水分(10.8wt%)に相当する。
実施例1で用いたバイオマス粉及び微粉炭を表2に示す質量部で混合した混合粉を、それぞれ、参考例2~3のバイオマス原料とした。
参考例2~3のバイオマス原料の含水率は、表1に示すバイオマスの全水分(4.9wt%)及び石炭の全水分(10.8wt%)から算出した。
試料として、実施例1~2で得られた加水バイオマス原料、比較例1~2及び参考例2~3で得られたバイオマス原料、並びに参考例1で得られた石炭原料を用いて以下の評価を行った。
図1に示す最小着火エネルギー測定装置(Adolf Kuhner AG社製、MIKE3型)を用いて、最小着火エネルギーを測定した。
最小着火エネルギー測定装置(Adolf Kuhner AG社製、MIKE3型)は、国際規格“ISO/IEC 80079-20-2 Edition 1.0 2016-02 :8.3 Method for determining minimum ignition energy of dust/air mixtures”に準拠する。
最小着火エネルギー測定装置100は、円筒形状を有するガラス製の燃焼容器10(内径7cm、内容積1.2L)と、燃焼容器10を支持する第1支持台30と、第2支持台32とを備えている。燃焼容器10の上部には、ろ紙28が配置されている。
燃焼容器10の内部には、互いに対向して配置された一対の着火用電極12が設けられている。一対の着火用電極12は、燃焼容器10の内部から外部まで延設され、燃焼容器10の外部で電気絶縁材26a、26bによって被覆されている。一対の着火用電極12は、容量放電式の着火装置(不図示)に接続されている。着火装置から電圧が印加されると、着火用電極12間に放電が発生し、発生した放電エネルギーにより、着火用電極12間に放電火花が形成される。
燃焼容器10は、底側に分散皿14を有し、この分散皿14に試料(加水バイオマス原料、バイオマス原料または石炭原料)が導入されるようになっている。また、分散皿14には反射板16が設けられている。
燃焼容器10の分散皿14は、圧縮空気を燃焼容器10に吹き込むためのパイプ18に接続されている。パイプ18は、第1支持台30及び第2支持台32の内部を通り、パイプ18より外径が小さい配管20に接続されている。圧縮空気溜24には、コンプレッサー(不図示)から供給された圧縮空気が溜められる。圧縮空気は燃焼容器10の底側から内部へ導入される。圧縮空気は配管20に設けられた電磁弁22によって燃焼容器10への圧縮空気の供給及び停止が制御される。
なお、第1支持台30の上部から着火用電極12までの高さH(図1)は、7.6cmである。
まず、燃焼容器10の粉じん濃度が、750g/m3、1000g/m3、1250g/m3、1500g/m3、1750g/m3及び2000g/m3になるように、試料をそれぞれ準備した。各粉じん濃度に対する試料量は、それぞれ、0.9g、1.2g、1.5g、1.8g、2.1g及び2.4gである。
次に、試料0,9g(粉じん濃度が750g/m3になるように準備された試料)を燃焼容器10の分散皿14に載せた。圧縮空気溜24から圧縮空気を燃焼容器10に供給し、試料を燃焼容器10内に吹き上げて分散させた。容量放電式の着火装置により、放電エネルギーを1mJ、3mJ、10mJ、30mJ、100mJ、300mJ及び1Jの7段階に変えて各放電エネルギーによる着火の有無を求め、必要ならば、着火遅延時間を変更して着火の有無を求めた。
着火試験は、試料量0.9gと各放電エネルギーとによる試験を10回行って、着火の有無を調べ、10回中、1回でも試料が着火すれば、その条件で着火性が「有り」と判定し、1回も試料が着火しなかった場合を、その条件で着火性が「無し」と判定した。
結果を表2に示す。
表2に示していない条件(例えば、試料量0.9g、放電エネルギー1mJ)の試験は、結果が予測されるので行っていない。後述する表3~4も同様である。
表2の結果から、図2を作成した。図2は、粉じん濃度と放電エネルギーとの関係を示すグラフである。
図2より、実施例1の加水バイオマス原料の最小着火エネルギー(Emin)は、10mJ<Emin<30mJであり、その統計的最小着火エネルギー(Es)は、19mJとなる。
統計的最小着火エネルギー(Es)は、EN13821:2002及びSAP12-10-2010(社団法人日本粉体工業技術協会規格)に則り、着火の確率から以下の数式(1)により求めた。本試験では、この統計的最小着火エネルギー(Es)を最小着火エネルギー(mJ)として用いた。
E1:着火した最小の放電エネルギー
E2:着火しなかった最大の放電エネルギー
I[E2]:E2において着火した粉じん濃度の数
(NI+I)[E2]:試験した粉じん濃度の総数
Es、E1及びE2の単位はいずれも(mJ)である。
燃焼容器10の粉じん濃度が、750g/m3、1000g/m3、1500g/m3、2000g/m3、2250g/m3及び2500g/m3になるように、試料をそれぞれ準備した。各粉じん濃度に対する試料量は、それぞれ、0.9g、1.2g、1.8g、2.4g、2.7g及び3.0gである。
他は、実施例1と同様の手順で、着火試験を行った。結果を表3に示す。
表3の結果から、図3を作成した。図3は、粉じん濃度と放電エネルギーとの関係を示すグラフである。
図3より、実施例2の加水バイオマス原料の最小着火エネルギー(Emin)は、30mJ<Emin<100mJであり、その統計的最小着火エネルギー(Es)は、60mJとなる。統計的最小着火エネルギー(Es)は、実施例1と同様の方法で求めた。
燃焼容器10の粉じん濃度が、1000g/m3、1500g/m3、1750g/m3、2000g/m3、2250g/m3及び2500g/m3になるように、試料をそれぞれ準備した。各粉じん濃度に対する試料量は、それぞれ、1.2g、1.8g、2.1g、2.4g、2.7g及び3.0gである。
実施例1と同様の手順で、着火試験を行った。結果を表4に示す。
表4の結果から、図4を作成した。図4は、粉じん濃度と放電エネルギーとの関係を示すグラフである。
図4より、比較例1のバイオマス原料の最小着火エネルギー(Emin)は、3mJ<Emin<10mJであり、その統計的最小着火エネルギー(Es)は、6.0mJとなった。統計的最小着火エネルギー(Es)は、実施例1と同様の方法で求めた。
実施例1の加水バイオマス原料に代えて、比較例2のバイオマス粉、参考例1の石炭粉、及び参考例2~3のバイオマス原料にそれぞれ変更し、実施例1と同様の手順で各例の着火試験を行い、統計的最小着火エネルギー(Es)を求めた。
図5に、バイオマス原料中におけるバイオマス粉の混合比と最小着火エネルギーとの関係を示す。
図5中に示される領域A、領域B及び領域Cは、静電気帯電による発火危険性の判定図に記載の「粉体が持つ最小着火エネルギー毎の対策」(粉じん爆発火災対策、社団法人日本粉体工業技術協会粉じん爆発委員会編P169の「R.Siwek and C.Cesana:Ignition behavior of dusts: Meaning and interpretation, Process Safety Progress, 14, 2, pp.107-119(1995)」)に基づき、以下のように定義した。
・領域A:容器等接地対策のよる静電気帯電の回避で対応可能な領域。
・領域B:人体の設置等爆発危険性および爆発の制御が必要な領域。領域Bは、「注意を要する領域」である。
・領域C:容器全体を不活性化対策したり、搬入速度の制御等が必要な領域。領域Cは、「極めて注意を要する領域」である。
JIS Z8818(2002)の「可燃性粉じんの爆発下限濃度測定方法」に定められている吹上げ式試験装置として、図1に示す最小着火エネルギー測定装置100と同様の構成の試験装置を用いて、爆発下限濃度を求めた。
-測定条件-
・温度 :20.1℃~20.3℃
・相対湿度 :13%~14%
・吹き上げ圧力:30kPa以上50kPa以下
試料として、実施例1の加水バイオマス原料を用いた。
まず、燃焼容器の粉じん濃度が、65g/m3、70g/m3、75g/m3、80g/m3、85g/m3、90g/m3、95g/m3、100g/m3及び110g/m3になるように、試料をそれぞれ準備した。
圧縮空気溜から圧縮空気を燃焼容器に供給し、試料を燃焼容器内に吹き上げて分散させ、粉じん雲を発生させた。着火源には2次側出力15kV、容量20mAのネオントランスによる放電火花を用いた。
試料を燃焼容器内に吹き上げると同時(放電開始時間0.1秒)に放電火花を発生させ、この時、粉じん雲が爆発するか否かを目視により判定した。必要に応じて、空気の圧力等を変化させてこの操作を繰り返した。爆発試験は、同一条件で5回繰り返し行った。同一条件での爆発試験は、5回中、爆発が確認された回で中止した。爆発性を示した最低粉じん濃度、すなわち、爆発が確認された回の粉じん濃度を「爆発下限濃度(見かけの爆発下限濃度)」とした。
粉じん濃度65g/m3における(65)とは、粉じん雲の爆発の有無を参考に計測したことを意味する。後述の表6の(60)も同様である。
表5より、実施例1の加水バイオマス原料の爆発下限濃度は、80g/m3であった。
試料として、比較例1の混合粉を用いた。
まず、燃焼容器10の粉じん濃度が、60g/m3、65g/m3、70g/m3、75g/m3、80g/m3、85g/m3、90g/m3、95g/m3、100g/m3及び110g/m3になるように、試料をそれぞれ準備した
実施例1と同様の手順で爆発試験を行った。結果を表6に示す。
表6より、比較例1の混合粉の爆発下限濃度は、75g/m3であった。
実施例1の加水バイオマス原料に代えて、実施例2の加水バイオマス原料、比較例2のバイオマス粉、参考例1の石炭粉、及び参考例2~3のバイオマス原料にそれぞれ変更し、実施例1と同様の手順で各例の爆発試験を行い、爆発下限濃度を求めた。
結果を表7に示す。
「-」は測定しなかったことを示す。
また、実施例1の加水バイオマス原料は、比較例1~2のバイオマス原料に比べ、爆発下限濃度も高くなった。
また、実施例1~2の加水バイオマス原料は、到着ベースの高位発熱量が確保されていた。
また、本実施例によれば、図5に示すように、バイオマス原料を加水バイオマス原料とすることにより、領域Cにあるバイオマス原料を領域Aの方向にシフトさせることができる。
したがって、本実施例の加水バイオマス原料を用いてバイオマス固形燃料を製造した場合、得られるバイオマス固形燃料の含水率は、加水バイオマス原料の含水率が反映されるので、粉じん爆発を起こしにくいバイオマス固形燃料を得ることができる。
Claims (10)
- バイオマスを含むバイオマス原料を塊状物に成形して得られるバイオマス固形燃料の製造方法であって、
前記バイオマス固形燃料の含水率が、5質量%以上25質量%以下になるように、成形して得られた前記塊状物に水分を付与する工程を有し、
前記水分を付与する工程は、成形して得られた前記塊状物に水分を散布する工程、または成形して得られた前記塊状物を加湿した空間に保管する工程である、バイオマス固形燃料の製造方法。 - 請求項1に記載のバイオマス固形燃料の製造方法において、
前記バイオマスは、木質系バイオマス、草木系バイオマス、農作物残渣系バイオマス、及びパーム椰子バイオマスからなる群から選択される少なくとも1種である、バイオマス固形燃料の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載のバイオマス固形燃料の製造方法において、
前記バイオマスは粉末であり、前記粉末の長軸径が5mm以下である、バイオマス固形燃料の製造方法。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバイオマス固形燃料の製造方法において、
前記塊状物は、ペレットまたはブリケットである、バイオマス固形燃料の製造方法。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバイオマス固形燃料の製造方法において、
前記バイオマス原料は、さらに、石炭を含む、バイオマス固形燃料の製造方法。 - 請求項5に記載のバイオマス固形燃料の製造方法において、
前記石炭の粒径は、1mm以下である、バイオマス固形燃料の製造方法。 - 請求項5または請求項6に記載のバイオマス固形燃料の製造方法において、
前記バイオマス原料中における前記バイオマスに対する前記石炭の割合(石炭/バイオマス)は、質量比で、0/100以上75/25以下である、バイオマス固形燃料の製造方法。 - バイオマスを含むバイオマス原料を塊状物に成形して得られるバイオマス固形燃料の水分調整方法であって、
前記バイオマス固形燃料に水分を付与することにより、前記バイオマス固形燃料の含水率を5質量%以上25質量%以下に調整する水分調整工程を有し、
前記水分調整工程は、前記バイオマス固形燃料の前記含水率を検知する手段が、前記含水率が5質量%未満であると検知したとき、前記バイオマス固形燃料の含水率を5質量%以上25質量%以下に調整する工程である、バイオマス固形燃料の水分調整方法。 - バイオマスを含むバイオマス原料を塊状物に成形して得られるバイオマス固形燃料の水分調整方法であって、
前記バイオマス固形燃料に水分を付与することにより、前記バイオマス固形燃料の含水率を5質量%以上25質量%以下に調整する水分調整工程を有し、
前記水分調整工程は、前記バイオマス固形燃料の前記含水率を検知する手段が、前記含水率を検知し、検知された前記含水率に基づいて前記含水率を制御する手段が、前記バイオマス固形燃料に水を付与するか否かを判定し、判定された結果に基づいて、前記含水率を5質量%以上25質量%以下に調整する工程である、バイオマス固形燃料の水分調整方法。 - 請求項8または請求項9に記載のバイオマス固形燃料の水分調整方法において、
水分調整の対象となる前記バイオマス固形燃料は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のバイオマス固形燃料の製造方法によって得られたバイオマス固形燃料である、バイオマス固形燃料の水分調整方法。
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