JP7727434B2 - 樹脂組成物および成形品 - Google Patents
樹脂組成物および成形品Info
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Description
しかしながら、成形品の表面にフッ素処理を施す方法では、撥油機能の持続性が弱く、繰り返し使用することにより撥油機能が低下するという問題があった。
そこで、撥油機能付与する方法として、熱可塑性樹脂に含フッ素重合体を配合することが検討されている(特許文献1および特許文献2)。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、ポリカーボネート樹脂を含む樹脂組成物であって、撥油性に優れ、かつ、透明性に優れた成形品を提供可能な樹脂組成物、および、前記樹脂組成物から得られた成形品を提供することを目的とする。
<1>式(1)で表される構成単位を全構成単位の90モル%超含むポリカーボネート樹脂と含フッ素重合体とを含む、樹脂組成物であって、前記含フッ素重合体は、フッ素原子と、CH2=CH-C(=O)-またはCH2=C(CH3)-C(=O)-を含む化合物F由来の構成単位を含み、前記ポリカーボネート樹脂と前記含フッ素重合体の合計質量に対して、前記含フッ素重合体を0.1~5.0質量%含み、前記樹脂組成物から形成される2mmの厚さの試験片のJIS K-7105に従って測定した全光線透過率が70%以上である、樹脂組成物。
式(1)
<2>前記含フッ素重合体は、さらに、環状構造を有する、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記環状構造は、芳香環を含む、<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記化合物Fは、炭素数1~6のポリフルオロアルキル基および/または炭素数1~6のポリフルオロエーテル基を有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<5>前記樹脂組成物から形成される2mmの厚さの試験片のJIS K-7105、JIS Z-8722、および、JIS K-7373に従って測定したYI値が8.0以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6><1>~<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書で示す規格が年度によって、測定方法等が異なる場合、特に述べない限り、2021年1月1日時点における規格に基づくものとする。
式(1)
本実施形態の樹脂組成物は、式(1)で表される構成単位を全構成単位の90モル%超含むポリカーボネート樹脂を含む。本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂は、式(1)で表される構成単位を全構成単位の95モル%以上含むことが好ましく、末端基を除く全構成単位の99モル%以上が式(1)で表される構成単位であることがさらに好ましい。
式(1)
またX1が、
式(1)中、X1は下記構造が好ましい。
2種以上のポリカーボネート樹脂を含む場合は、各ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量に質量分率をかけた値の合計とする。
粘度平均分子量を上記下限値以上とすることにより、成形性が向上し、かつ、機械的強度の高い成形品が得られる。また、上記上限値以下とすることにより、成形品の流動性が向上し、薄肉の成形品なども効率的に製造することができる。
特に、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、20,000~30,000であることが好ましく、20,000~25,000であることがより好ましい。
粘度平均分子量(Mv)は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
本実施形態の樹脂組成物は、含フッ素重合体を含む。含フッ素重合体は、フッ素原子と、CH2=CH-C(=O)-またはCH2=C(CH3)-C(=O)-とを含む化合物F由来の構成単位を含む。このような含フッ素重合体を含むことにより、ポリカーボネート樹脂が本来的に有する高い透明性を維持しつつ、撥油性を達成することができる。この理由は、CH2=CH-C(=O)-またはCH2=C(CH3)-C(=O)-が重合した重合体とすることにより、含フッ素重合体の耐熱性が向上し、ポリカーボネート樹脂の成形時にも含フッ素重合体の分解を抑制できると考えられる。そのため、ポリカーボネート樹脂との相溶性を維持でき、白濁してしまうことを効果的に抑制できると推測される。また、含フッ素重合体において、側鎖にフッ素原子が満遍なく存在することにより、撥油性を効果的に達成することができると推測される。
前記環状構造としては、5員環または6員環の単環または、5員環または6員環の単環が2つ以上(好ましくは2つまたは3つ、より好ましくは2つ)縮合した縮合環であり、6員環の単環が好ましい。具体的には、シクロヘキサン環およびベンゼン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
式(F)
Xf-Lf-Ar-Lf-Rf
(式(F)中、XfはCH2=CH-C(=O)-またはCH2=C(CH3)-C(=O)-であり、Lfは、それぞれ独立に、2価の連結基であり、Arは、芳香環であり、Rfは炭素数1~6のポリフルオロアルキル基または炭素数1~6のポリフルオロエーテル基である。)
Lfは、ヘテロ原子、または、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1~6のアルキレン基、あるいは、これらの組み合わせからなる基であることが好ましい。また、Arはベンゼン環であることが好ましい。
化合物Fの分子量は、200~500であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、含フッ素重合体を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記以外の他成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、上記したポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、アクリル樹脂等)、各種樹脂添加剤などが挙げられる。
樹脂添加剤としては、例えば、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
帯電防止剤としては、特開2016-216534号公報の段落0063~0067の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
難燃剤としては、特開2016-216534号公報の段落0068~0075の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
安定剤としては、熱安定剤や酸化防止剤が挙げられる。
安定剤としては、フェノール系安定剤、アミン系安定剤、リン系安定剤、チオエーテル系安定剤などが挙げられる。中でも本実施形態においては、リン系安定剤およびフェノール系安定剤が好ましい。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜リン酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ(登録商標。以下同じ)1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP-10」、城北化学工業社製「JP-351」、「JP-360」、「JP-3CP」、BASF社製「イルガフォス(登録商標。以下同じ)168」等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂、および、含フッ素重合体の合計が樹脂組成物の95質量%以上を占めることが好ましく、98質量%以上を占めることがより好ましい。上限値としては、100質量%であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、さらに、ポリカーボネート樹脂、含フッ素重合体、および、安定剤の合計が樹脂組成物の96質量%以上を占めることが好ましく、99質量%以上を占めることがより好ましい。上限値としては、100質量%であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、透明性が高い。
具体的には、樹脂組成物から形成される2mmの厚さの試験片のJIS K-7105に従って測定した全光線透過率が、70%以上であり、76%以上であることが好ましく、77%以上であることがより好ましく、80%以上であることがより好ましく、81%以上であることがさらに好ましく、82%以上であることが一層好ましく、84%以上であることがより一層好ましく、85%以上であることがさらに一層好ましい。前記全光線透過率の上限値は、100%が理想であるが、99%以下が実際的である。
このような高い全光線透過率は、例えば、ポリカーボネート樹脂を用いること、所定の含フッ素重合体を用いること、所定の含フッ素重合体や他の成分の配合量を調整すること等によって達成される。
このような低いYI値は、所定の含フッ素重合体を用いること、所定の含フッ素重合体や他の成分の配合量を調整することによって達成される。
このような低いヘイズは、所定の含フッ素重合体を所定量用いることによって達成される。
このような高い油接触角は、所定の含フッ素重合体を所定量用いることによって達成される。
本実施形態の樹脂組成物は、上記物性値のうち少なくとも2つを満たすことが好ましく、少なくとも3つを満たすことがより好ましく、上記物性値のすべてを満たすことがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知の樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂、および、含フッ素重合体、ならびに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240~320℃の範囲である。
上記した樹脂組成物(例えば、ペレット)は、各種の成形法で成形して成形品とされる。すなわち、本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物から成形される。成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状、ロッド状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状、ボタン状のもの等が挙げられる。中でも、フィルム状、枠状、パネル状、ボタン状のものが好ましく、厚さは例えば、枠状、パネル状の場合1mm~5mm程度である。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
下記表1および表2に示す原料を用いた。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度(η)(単位:dL/g)を求め、以下のSchnellの粘度式から算出した。
η=1.23×10-4Mv0.83
ポリカーボネート樹脂ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55-60H」)を用い、シリンダー設定温度280℃、金型温度80℃にて、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/sの条件下にて、平板状試験片(90mm×50mm×2mm厚)を射出成形した。
上記で得られた平板状試験片(90mm×50mm×2mm厚)について、ISO 15184に準拠し、鉛筆硬度試験機を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
鉛筆硬度試験機は、東洋精機(株)製のものを用いた。
<樹脂組成物ペレットの製造>
上記表1または表2に記載した各成分を、下記の表3に示す割合(質量部にて表示)にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、1ベントを二軸押出機(芝浦機械株式会社製、TEM26SX)に上流のフィーダーより供給し、シリンダー設定温度260℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量25kg/hrにて、溶融混練して樹脂組成物ペレットを得た。
上記で得られた樹脂組成物ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55-60H」)を用い、シリンダー設定温度280℃、金型温度80℃にて、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/sの条件下にて、平板状試験片(90mm×50mm×2mm厚)を射出成形した。
上記で得られた平板状試験片について、JIS K-7105に準じ、分光式色彩計を用いて、23℃におけるYI値を測定した。
分光式色彩計は、日本電色工業(株)製のSE-2000型分光式色彩計を用いた。
上記で得られた樹脂組成物ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55-60H」)を用い、シリンダー設定温度280℃、金型温度80℃にて、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/sの条件下にて、平板状試験片(90mm×50mm×2mm厚)を射出成形した。
上記で得られた平板状試験片について、JIS K-7105に準じ、ヘイズメーターを用いて、23℃におけるHAZE(ヘイズ)および全光線透過率を測定した。
ヘイズメーターは、日本電色工業(株)製のNDH-2000型ヘイズメーターを用いた。
HAZEおよび全光線透過率の単位は、%で示した。
ポリカーボネート樹脂ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55-60H」)を用い、シリンダー設定温度280℃、金型温度70℃にて、スクリュー回転数100rpm、射出速度25mm/sの条件下にて、3段型プレート(90mm×50mm×厚みがゲート側から3mm(長さ20mm)、2mm(長さ45mm)、1mm(長さ25mm))を射出成形した。
得られた3段型プレートの厚み2mmについて、静電気除去したのち、マイクロシリンジを用いて、液滴直径0.5mmのオレイン酸(東京化成工業社製、品番:O0180)を滴下し、接触角(単位:度)を測定した。
測定装置には、協和界面科学製固液界面解析装置DropMaster 300を用いた。油接触角が5度以下のものは、測定不可と示した。
Claims (5)
- 式(1)で表される構成単位を全構成単位の90モル%超含むポリカーボネート樹脂と含フッ素重合体とを含む、樹脂組成物であって、
前記含フッ素重合体は、フッ素原子とCH2=CH-C(=O)-またはCH2=C(CH3)-C(=O)-とを含む化合物F由来の構成単位を含み、
前記含フッ素重合体は、さらに、環状構造を有し、
前記ポリカーボネート樹脂と前記含フッ素重合体の合計質量に対して、前記含フッ素重合体を0.1~5.0質量%含み、
前記樹脂組成物から形成される2mmの厚さの試験片のJIS K-7105に従って測定した全光線透過率が70%以上である、樹脂組成物。
式(1)
(式(1)中、X1は下記のいずれかの式を表し、
R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6~12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。) - 前記環状構造は、芳香環を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記化合物Fは、炭素数1~6のポリフルオロアルキル基および/または炭素数1~6のポリフルオロエーテル基を有する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物から形成される2mmの厚さの試験片のJIS K-7105、JIS Z-8722、および、JIS K-7373に従って測定したYI値が8.0以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
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