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JP7730299B2 - 偏心揺動型歯車装置 - Google Patents
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JP7730299B2 - 偏心揺動型歯車装置 - Google Patents

偏心揺動型歯車装置

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JP7730299B2
JP7730299B2 JP2022000265A JP2022000265A JP7730299B2 JP 7730299 B2 JP7730299 B2 JP 7730299B2 JP 2022000265 A JP2022000265 A JP 2022000265A JP 2022000265 A JP2022000265 A JP 2022000265A JP 7730299 B2 JP7730299 B2 JP 7730299B2
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Description

本開示は、偏心揺動型歯車装置に関する。
特許文献1は、外歯歯車と、外歯歯車と噛み合う内歯歯車と、外歯歯車を揺動させる偏心体と、外歯歯車に設けられた軸受孔と偏心体との間に配置される偏心軸受とを備えた偏心揺動型歯車装置を開示する。
特開2013-194869号公報
外歯歯車の軸受孔を偏心軸受の転動体が転動する場合、転動体の転動に起因して軸受孔で高い面圧が発生する。この面圧に対する強度の確保のため、熱処理による軸受孔の高硬度化が要求される。このような熱処理を施すうえで、従来、外歯歯車全体を対象として、ずぶ焼き入れ等の熱処理を施していた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、外歯歯車全体を対象として熱処理を施す場合、熱歪み量が大きくなり易く、熱歪みの除去のための後加工に要するコストの増大を招き易い。これは、外歯歯車の部品コストの増大の原因となるため、その改善が望まれる。
本開示の目的の1つは、軸受孔の高硬度化を図りつつ、外歯歯車の部品コストの削減を図ることができる偏心揺動型歯車装置を提供することにある。
本開示の偏心揺動型歯車装置は、外歯歯車と、前記外歯歯車と噛み合う内歯歯車と、前記外歯歯車を揺動させる偏心体と、前記外歯歯車に設けられた軸受孔と前記偏心体との間に配置される偏心軸受と、を備えた偏心揺動型歯車装置であって、前記軸受孔の内周面は、前記偏心軸受の転動体が転動する転動面を構成し、前記軸受孔の内周面の表面硬度は、前記外歯歯車の歯面の表面硬度よりも100HV以上高い偏心揺動型歯車装置。
本開示の偏心揺動型歯車装置によれば、軸受孔の高硬度化を図りつつ、外歯歯車の部品コストの削減を図ることができる。
第1実施形態の歯車装置の側面断面図である。 第1実施形態の歯車装置の軸方向に直交する断面図である。 第1実施形態の外歯歯車の断面図である。 第1実施形態の外歯歯車と内歯歯車の噛み合い部の拡大図である。 第2実施形態の歯車装置の軸方向に直交する断面図である。 第3実施形態の外歯歯車の側面断面図である。 第3実施形態の歯車装置の軸方向に直交する断面図である。 第4実施形態の歯車装置の軸方向に直交する断面の一部を示す図である。
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
実施形態の歯車装置を想到するに至った背景から説明する。前述のように、外歯歯車の軸受孔では転動体の転動に起因して高い面圧が発生するため、熱処理による高硬度化が要求される。このような軸受孔の高硬度化を目的とした熱処理を施すうえで、従来、内歯歯車との噛み合いに起因して高い面圧の発生する歯面に関しても、軸受孔と同程度の表面硬度が当然に必要であると考えられていた。このため、従来、軸受孔の高硬度化を図るため、外歯歯車全体を対象としてずぶ焼き入れ等の熱処理(表面硬化処理)を施すことで、軸受孔及び歯面の双方に同程度の高い表面硬度を確保していた。
しかしながら、熱処理(表面硬化処理)により実現しようとする表面硬度が高くなるほど、熱歪み量が大きくなり易く、熱歪みの除去のための後加工(例えば、研削加工)に要するコストの増大を招き易い。特に、複雑形状となる外歯歯車の歯面は厳しい寸法精度を要求されるため、後加工のコストの更なる増大の要因となっていた。
この対策として、本願発明者は、軸受孔の高硬度化を図るうえで、当然のように軸受孔の表面硬度と同程度としていた歯面の表面硬度に関して、あえて、軸受孔よりも低い表面硬度にすることが有効であるとの発想を得た。本願発明者は、実験的、解析的な検討の結果、軸受孔の表面硬度よりも歯面の表面硬度を100HV以上低くする、つまり、歯面の表面硬度よりも軸受孔の表面硬度を100HV以上高くすることが有効であるとの知見を得た。これにより、歯面を軸受孔と同程度に高い表面硬度にする場合と比べ、熱処理(表面硬化処理)による歯面での熱歪み量を小さくでき、後加工に要するコストを有効に削減することができる。特に、厳しい寸法精度を要求される歯面において熱歪み量を小さくすることで、後加工に要するコストを効果的に削減することができる。ひいては、軸受孔の高硬度化を図りつつ、外歯歯車の部品コストの削減を図ることができる。また、本願発明者は、歯車装置の用途、外歯歯車や内歯歯車の設計によって、外歯歯車の歯面の面圧が、軸受孔の面圧に比べて相対的に小さくなることがある点に着想を得た。本開示は、この着想をもとに、外歯歯車の歯面について、必ずしも軸受孔と同様に高硬度化する必要がないとの発想に至ったことで得られたものでもある。
なお、ここでの「熱歪み量」とは、表面硬化処理の素材となるワークの母材領域50(後述する)に表面硬化処理を施したときに生じる熱歪み量をいう。また、「熱歪み量を小さくする」とは、ワークの母材領域50における言及している箇所(ここでは歯面)に対して表面硬化処理を施さずに熱歪み量をゼロにする場合も含む。
(第1実施形態)実施形態の歯車装置の詳細を説明する。図1、図2を参照する。偏心揺動型歯車装置10は、クランク軸12と、クランク軸12に設けられる偏心体14と、偏心体14により揺動する外歯歯車16と、外歯歯車16と噛み合う内歯歯車18とを備える。歯車装置10は、この他に、外歯歯車16の軸受孔30(後述する)と偏心体14との間に配置される偏心軸受20と、外歯歯車16の軸方向側方に配置されるキャリヤ22A、22Bと、キャリヤ22Aから突出する内ピン24と、外歯歯車16を収容するケーシング26と、を備える。本実施形態の偏心揺動型歯車装置10は、内歯歯車18の中心C18上にクランク軸12が配置されるセンタークランクタイプである。本明細書では、外歯歯車16の中心C16に沿った方向を単に軸方向といい、その中心C16を円中心とする円周方向及び半径方向を単に周方向及び径方向という。
本実施形態のクランク軸12は、駆動源(不図示)から伝達される回転動力が入力される入力部材を構成する。駆動源は、例えば、モータ、ギヤモータ、エンジン等である。
クランク軸12は、軸方向に延びる軸体28と、軸体28と一体的に回転可能な偏心体14とを備える。本実施形態の偏心体14は、軸体28と同じ部材の一部として設けられるが、軸体28とは別体に設けられてもよい。偏心体14の中心C14は、クランク軸12の回転中心C12に対して偏心しており、その回転中心C12周りに回転することで外歯歯車16を揺動させる。複数の偏心体14の偏心位相は、偏心体14の個数をM個(本実施形態では2個)とするとき、360°/Mの分だけずれている。偏心体14の個数は特に限定されず、単数及び三つ以上のいずれでもよい。
外歯歯車16は、複数の偏心体14のそれぞれに対応して個別に設けられ、偏心軸受20を介して対応する偏心体14に相対回転自在に支持される。外歯歯車16は、クランク軸12が挿通される軸受孔30と、内ピン24が挿通される内ピン孔32と、を備える。
本実施形態の軸受孔30は、外歯歯車16の中心C16を軸方向に貫通している。本実施形態の内ピン孔32は、外歯歯車16の中心C16から径方向にオフセットした位置に周方向に間隔を空けて複数設けられる。
本実施形態の内歯歯車18は、ケーシング26と一体化される内歯歯車本体34と、内歯歯車本体34の内周部に設けられる複数の内歯36と、を備える。複数の内歯36は、内歯歯車本体34の内周面に直接に形成されている。内歯歯車本体34と内歯36は同じ部材により一体的に形成されているともいえる。
偏心軸受20は、外歯歯車16の軸受孔30と偏心体14との間において周方向に間隔を空けて配置される複数の転動体38を備える。本実施形態の転動体38はころである。本実施形態の偏心軸受20は専用の内輪を備えておらず、偏心体14が内輪を兼ねている。この他にも、偏心軸受20は、偏心体14とは別に専用の内輪を備えていてもよい。偏心軸受20は、専用の外輪を備えておらず、外歯歯車16の軸受孔30が外輪を兼ねている。軸受孔30の内周面は、転動体38が転動する転動面を構成する。
キャリヤ22A、22Bは、軸方向一側(図1の紙面左側)に配置される第1キャリヤ22Aと、軸方向他側(図1の紙面右側)に配置される第2キャリヤ22Bとを含む。本実施形態の第2キャリヤ22Bは、複数のキャリヤ部材22a、22bを組み合わせて構成される。
内ピン24は、第1キャリヤ22Aと一体化される。本実施形態の内ピン24は、第1キャリヤ22Aと同じ部材によって一体に構成されるが、第1キャリヤ22Aと別体に構成されてもよい。
内ピン24は、外歯歯車16の内ピン孔32と接触しており、外歯歯車16が揺動したときに、外歯歯車16の自転成分と同期可能である。ここでの「自転成分と同期」するとは、ゼロを含めた数字範囲内で、外歯歯車16の自転成分と内ピン24の公転成分とを同じ大きさに維持することをいう。本実施形態の内ピン24は、自身の外周側に配置されるローラ40を介して、外歯歯車16の内ピン孔32と接触している。この他にも、内ピン24は、内ピン孔32と直接に接触していてもよい。ローラ40は、内ピン24に回転自在に支持され、内ピン孔32及び内ピン24の双方に転がり接触可能である。
本実施形態のケーシング26は、複数のケーシング部材26a、26bを組み合わせて構成される。
ケーシング26及び第1キャリヤ22Aの一方は、歯車装置10の外部の被駆動部材に出力回転を出力する出力部材となる。本実施形態では第1キャリヤ22Aが出力部材となるが、ケーシング26が出力部材となってもよい。
以上の歯車装置10の動作を説明する。駆動源によって入力部材(ここではクランク軸12)が回転すると、クランク軸12の偏心体14によって外歯歯車16が揺動する。外歯歯車16が揺動すると、外歯歯車16と内歯歯車18の噛合位置が順次に周方向に変化する。この結果、クランク軸12が一回転する毎に、外歯歯車16と内歯歯車18の何れか一方(ここでは外歯歯車16)が両者の歯数差分だけ自転する。この自転成分は、内ピン24を介して出力部材(ここでは第1キャリヤ22A)に伝達されたうえで被駆動部材に出力回転として出力される。本実施形態では入力部材の回転に対して減速された出力回転が出力部材に伝達される。
図3を参照する。外歯歯車16は、機械構造用合金鋼等の焼き入れ可能な鋼材、つまり、金属を素材とする。本実施形態の外歯歯車16は、例えば、軸受鋼により構成される。外歯歯車16には、母材領域50と表面硬化層52とが設けられる。図3では表面硬化層52のみハッチングを付し、母材領域50にはハッチングを付さずに示す。母材領域50は、外歯歯車16の表面処理素材となるワークそのものの硬度を持つ領域である。母材領域50は、表面硬化層52が設けられない領域であり、表面硬化層52よりも低い硬度を持つ。表面硬化層52は、外歯歯車16の表面硬化処理の素材となるワークに対して表面硬化処理を施すことで設けられる。表面硬化層52は、自身に施された表面硬化処理に対応する特有の組織分布、硬度分布を持つ。
本実施形態の表面硬化層52は、第1表面硬化処理が施された第1表面硬化層52Aを含む。第1表面硬化処理の具体例は特に限定されないものの、例えば、部分焼入れ処理、レーザークラッディング処理等を用いてもよい。本実施形態の第1表面硬化層52Aには、レーザーを用いて加熱する部分焼き入れ処理が第1表面硬化処理として施されている。部分焼き入れ処理を施した場合、表面硬化層52の少なくとも表層部ではマルテンサイト等を主相とする焼入れ組織が設けられる。この他にも、第1表面硬化処理として、例えば、高周波焼入れ処理等の部分焼入れ処理の他に、熱処理箇所以外を防炭処理等でマスキングした状態で加熱炉内で加熱する部分焼入れ処理を用いてもよい。
外歯歯車16の表面硬度に関して、軸受孔30の内周面の表面硬度Ha、歯面54の表面硬度Hb、内ピン孔32の内周面の表面硬度Hcを想定する。ここでの表面硬度Ha、Hb、Hc(後述のHdも)は、JIS Z2244に準拠した方法により測定されるビッカース表面硬度をいう。
軸受孔30の表面硬度Haは、歯面54の表面硬度Hbよりも100HV以上高くなる。これは、本実施形態では、軸受孔30の内周面に第1表面硬化層52Aを設け、歯面54に母材領域50を設けることで実現される。第1表面硬化層52Aの表面硬度は母材領域50の表面硬度よりも100HV以上高くなるともいえる。
内ピン孔32の表面硬度Hcは、軸受孔30の表面硬度Haよりも100HV以上低くなる。この条件は、本実施形態において、全ての内ピン孔32と軸受孔30との間で満たされるが、少なくとも一つの内ピン孔32と軸受孔30との間で満たされていればよい。これは、本実施形態では、軸受孔30の内周面に第1表面硬化層52Aを設け、内ピン孔32の内周面に母材領域50を設けることで実現される。内ピン孔32の表面硬度Hcは、歯面54の表面硬度Hbと同程度になることになる。本実施形態では、外歯歯車16の軸方向に直交する断面において、軸受孔30の内周面以外の外面には母材領域50が設けられる(つまり、表面硬化処理が施されていない)ことになる。
なお、表面硬度Ha、Hb、Hcの具体的な範囲は特に限定されない。一例を挙げると、表面硬度Haは、例えば、450HV以上の範囲となる。また、一例を挙げると、表面硬度Hb及びHcは、例えば、350HV以下の範囲となる。
図4を参照する。外歯歯車16の軸方向に直交する断面において、外歯歯車16と内歯歯車18の噛み合い部において、外歯歯車16の歯面54及び内歯歯車18の歯面18aの一方は凸曲面70とされ、他方は凹曲面72とされる。外歯歯車16と内歯歯車18との噛み合いが凸曲面70と凹曲面72の接触である凸凹接触になるということである。言い換えると、外歯歯車16及び内歯歯車18において互いに接触する接触点となる箇所が凸曲面70と凹曲面72の組み合わせになるともいえる。ここでは、外歯歯車16の歯面54が凸曲面70とされ、内歯歯車18の歯面18aが凹曲面72とされる例を示す。外歯歯車16の歯面54が凹曲面72とされ、内歯歯車18の歯面18aが凸曲面70とされていてもよい。本実施形態では、外歯歯車16と内歯歯車18の噛み合い部において、噛み合い始めから噛み合い終わるまでの間に接触点となる箇所が凸曲面70と凹曲面72の組み合わせになる。これを実現する外歯歯車16及び内歯歯車18の歯形の種類は特に限定されない。
以上の歯車装置10の効果を説明する。
(A)軸受孔30の表面硬度Haは、歯面54の表面硬度Hbよりも100HV以上高くしている。よって、前述の通り、歯面54の表面硬度Hbを軸受孔30の表面硬度Haと同程度に高くする場合と比べ、熱処理(表面硬化処理)による歯面54での熱歪み量を小さくでき、後加工に要するコストを削減できる。ひいては、軸受孔30の高硬度化を図りつつ、外歯歯車16の部品コストの削減を図ることができる。
(B)外歯歯車16と内歯歯車18の噛み合いは凸凹接触になる。よって、外歯歯車16と内歯歯車18の噛み合いが凸曲面と凸曲面の接触である凸凸接触になる場合と比べ、外歯歯車16及び内歯歯車18の噛み合いに起因して両者の歯面で発生する面圧を低減することができる。ここでの凸凸接触は、例えば、内歯歯車18の内歯36を内歯歯車本体34とは別体のピンによって構成する場合に実現される。このように外歯歯車16の歯面54に発生する面圧を低減することで、軸受孔30に対して低硬度の歯面54を持つ外歯歯車16を用いる場合でも、歯面54の寿命を延ばすことができる。
(C)内ピン孔32の表面硬度Hcは、軸受孔30の表面硬度Haよりも100HV以上低くなる。よって、内ピン孔32の表面硬度Hcを軸受孔30の表面硬度Haと同程度に高くする場合と比べ、熱処理(表面硬化処理)による内ピン孔32での熱歪み量を小さくでき、後加工に要するコストを削減できる。
(C)この内ピン孔32に接触する接触部材の外径は、偏心軸受20の転動体38の外径よりも大きくなる。ここでの接触部材とは、内ピン24及びローラ40のいずれかをいう。よって、転動体38の転動に起因して軸受孔30に発生する面圧よりも、接触部材の接触に起因して内ピン孔32に発生する面圧が小さくなる。このように面圧の小さい条件下にあるため、軸受孔30に対して低硬度の内ピン孔32を持つ外歯歯車16を用いる場合でも、内ピン孔32の寿命を延ばすことができる。
(C)内ピン孔32と軸受孔30との間隔を最も狭くする箇所を通る直線La(図3参照)を想定し、その直線Laに沿った方向を深さ方向という。軸受孔30に対して内ピン孔32の表面硬度Hcを低くした場合、内ピン孔32の表面硬度Hcを軸受孔30の表面硬度Haに合わせる場合と比べ、内ピン孔32と軸受孔30との間にある局所領域での深さ方向での硬度分布において、適度な硬度差を持たせることができる。ひいては、内ピン孔32の表面硬度Hcを軸受孔30の表面硬度Haに合わせる場合と比べ、この局所領域において靱性を確保することができ、外歯歯車16の寿命を延ばすことができる。
(第2実施形態)図5を参照する。第1実施形態では、外歯歯車16の歯面54に発生する面圧を低減できる条件下で外歯歯車16を使用するため、外歯歯車16と内歯歯車18の噛み合いを凸凹接触にする場合を説明した。本実施形態では、同様の条件下で外歯歯車16を使用するため、以下の工夫を講じている。
軸受孔30の直径での内径R30と外歯歯車16のピッチ円径R16を想定する。ピッチ円径R16は、外歯歯車16の複数の外歯それぞれの歯丈方向中央位置を繋いだ円の直径をいう。クランク軸12から外歯歯車16に入力される入力トルクと、外歯歯車16から出力部材(ここでは第1キャリヤ22A)に出力される出力トルクとが同じ条件下で、軸受孔30の内径R30に対して外歯歯車16のピッチ円径16の大きさを相対的に変化させる場合を考える。この場合、外歯歯車16のピッチ円径R16に対して軸受孔30の内径R30を相対的に小さくするほど、入力トルク及び出力トルクが同じ条件下での軸受孔30の面圧に対して歯面54の面圧を相対的に低減することができる。
本実施形態の外歯歯車16では、軸受孔30の内径R30に関して、ピッチ円径R16の1/3倍以下としている。これにより、入力トルク及び出力トルクが同じ条件下で、ピッチ円径R16の1/3倍超の内径R30にする場合と比べ、歯面54に発生する面圧を低減することで、軸受孔30に対して低硬度の歯面54を持つ外歯歯車16を用いる場合でも、歯面54の寿命を有効に延ばすことができる。軸受孔30の内径R30の下限値は特に限定されないものの、現実的に製造可能なサイズに応じて定まる大きさとなる。これらは、本願発明者の実験的、解析的な検討の結果として得られた知見である。
なお、設計上、軸受孔30に対する外歯歯車16のピッチ円径R16の大きさを相対的に変化させるうえで、大型の外歯歯車16が許容される用途の場合は、軸受孔30の大きさはそのままに、外歯歯車16のピッチ円径R16を大きくすればよい。また、偏心軸受20の軸受容量の低減が許容される用途の場合は、外歯歯車16のピッチ円径R16の大きさはそのままに、軸受孔30の大きさを小さくすればよい。
この他に、本実施形態の歯車装置10は、前述した(A)、(B),(C)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
(第3実施形態)図6、図7を参照する。図7では、外歯歯車16の他に、外歯歯車16の内側にある部材も併せて示す。また、図7では、外歯歯車16に関しては、表面硬化層52のみにハッチングを付す。
本実施形態の偏心揺動型歯車装置10は、内歯歯車18の中心から径方向にオフセットした位置に配置される複数のクランク軸12と、少なくとも一つのクランク軸12に設けられるクランク軸歯車90と、を備える振り分けタイプである。本実施形態のクランク軸12は、軸体28と偏心体14とが別体に設けられる。
クランク軸歯車90は、駆動源から伝達される回転動力が入力される入力部材を構成する。本実施形態では複数のクランク軸12のそれぞれにクランク軸歯車90(図示せず)が設けられる。複数のクランク軸12それぞれのクランク軸歯車90には共通の歯車(図示せず)が噛み合っており、その歯車を介して駆動源の回転動力が複数のクランク軸12のそれぞれに振り分けられる。これにより、複数のクランク軸歯車90は、同一の回転速度で同一の方向に回転可能である。
本実施形態の外歯歯車16の軸受孔30は、外歯歯車16の中心C16から径方向にオフセットした位置に設けられる。本実施形態の軸受孔30は、外歯歯車16の中心C16周りに周方向に間隔を空けて複数設けられる。外歯歯車16は、この他に、自身の中心C16に設けられた中央貫通孔92と、自身の中心C16から径方向にオフセットした位置に軸受孔30とは別に設けられるオフセット貫通孔94とを備える。オフセット貫通孔94には、隣り合うキャリヤ22A、22Bを連結する柱部材96が挿通される。
外歯歯車16に関して、前述した軸受孔30の表面硬度Ha,歯面54の表面硬度Hbの他に、中央貫通孔92の内周面の表面硬度Hdを想定する。軸受孔30の表面硬度Haと歯面54の表面硬度Hbの関係は第1実施形態と同様である。
第1実施形態と同様、軸受孔30の表面硬度Haは、歯面54の表面硬度Hbよりも100HV以上高くなる。この条件は、本実施形態において、全ての軸受孔30と歯面54との間で満たされるが、少なくとも一つの軸受孔30と歯面54との間で満たされていればよい。
中央貫通孔92の表面硬度Hdは、軸受孔30の表面硬度Haよりも100HV以上低くなる。この条件は、本実施形態において、全ての軸受孔30と中央貫通孔92との間で満たされるが、少なくとも一つの軸受孔30と中央貫通孔92との間で満たされていればよい。これは、本実施形態では、軸受孔30の内周面に第1表面硬化層52Aを設け、中央貫通孔92に母材領域50を設けることで実現される。中央貫通孔92の表面硬度Hdは、歯面54の表面硬度Hbと同程度になることになる。本実施形態では、外歯歯車16の軸方向に直交する断面において、軸受孔30の内周面以外の外面には母材領域50が設けられることになる。
中央貫通孔92の表面硬度Hdは、軸受孔30の表面硬度Haよりも100HV以上低くなる。よって、中央貫通孔92の表面硬度Hdを軸受孔30の表面硬度Haと同程度に高くする場合と比べ、熱処理による中央貫通孔92での熱歪み量を小さくでき、後加工に要するコストを削減できる。
中央貫通孔92と軸受孔30との間隔を最も狭くする箇所を通る直線Lbを想定し、その直線Lbに沿った方向を深さ方向という。軸受孔30に対して中央貫通孔92の表面硬度を低くした場合、中央貫通孔92の表面硬度Hdを軸受孔30の表面硬度Haに合わせる場合と比べ、中央貫通孔92と軸受孔30との間にある局所領域での深さ方向での硬度分布において、適度な硬度差を持たせることができる。ひいては、中央貫通孔92の表面硬度Hdを軸受孔30の表面硬度Haに合わせる場合と比べ、この局所領域において靱性を確保することができ、外歯歯車16の寿命を延ばすことができる。なお、このことは、外歯歯車16の歯面54と軸受孔30との間にある局所領域でも同様のことがいえる。
この他に、本実施形態の歯車装置10は、前述した(A)、(B)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
(第4実施形態)図8を参照する。本実施形態の外歯歯車16は、第1実施形態の外歯歯車16と比べて、次に説明する第2表面硬化層52Bにおいて相違する。図8は、第4実施形態の外歯歯車16において、図3の範囲Saを拡大した箇所と同じ箇所を示す図である。前述の実施形態では、表面硬化層52として第1表面硬化層52Aのみを含む例を説明した。この他にも、表面硬化層52は、第1表面硬化層52Aとは異なる第2表面硬化処理が施された第2表面硬化層52Bを含んでいてもよい。第2表面硬化層52Bは、第1表面硬化層52Aよりも表面硬度を低くしている。これを実現する第1表面硬化処理及び第2表面硬化処理の組み合わせは特に限定されない。この一例として、例えば、第1表面硬化処理としてレーザーを用いて加熱する部分焼入れ処理を採用し、第2表面硬化処理として調質処理、浸炭処理、窒化処理等を採用してもよい。ここで挙げた第2表面硬化処理は、第1表面硬化処理前に施すことを想定しているが、第1表面硬化層52Aをマスキングした状態で第1表面硬化処理後に施してもよい。
前述の通り、軸受孔30の表面硬度Haは、歯面54の表面硬度Hbよりも100HV以上高くなる。この条件を満たすうえで、本実施形態では、軸受孔30の内周面に第1表面硬化層52Aを設け、歯面54に第2表面硬化層52Bを設けている。第1表面硬化層52Aの表面硬度は、第2表面硬化層52Bの表面硬度よりも100HV以上高くなるともいえる。
前述の通り、内ピン孔32の表面硬度Hcは、軸受孔30の表面硬度Haよりも100HV以上低くなる。この条件を満たすうえで、本実施形態では、軸受孔30の内周面に第1表面硬化層52Aを設け、内ピン孔32の内周面に第2表面硬化層52Bを設けている。このように、外歯歯車16の軸方向に直交する断面において、軸受孔30と他の外面(歯面54、内ピン孔32、中央貫通孔92等)との間で硬度差を持たせるうえで、この外面には母材領域50及び第2表面硬化層52Bのいずれかが設けられていればよい。
本実施形態の歯車装置10は、前述した(A)、(B)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
ここまで歯車装置10は、減速装置として機能する例を説明した。この歯車装置は、入力部材は高速回転する高速部材となり、出力部材は低速回転する低速部材となり、外歯歯車16及び内歯歯車18を用いて高速部材に入力された回転を減速して低速部材に伝達する。この他にも、歯車装置10は増速装置として機能してもよい。この歯車装置は、入力部材が低速部材(第1キャリヤ22A等)となり、出力部材が高速部材(クランク軸12等)となり、外歯歯車16及び内歯歯車18を用いて低速部材に入力された回転を増速して高速部材に伝達する。
振り分けタイプのクランク軸歯車90は、複数のクランク軸12のうちの少なくとも一つのクランク軸12に設けられていればよく、その個数は特に限定されない。クランク軸歯車90が単数となる場合、一つのクランク軸12のみがクランク軸歯車90によって駆動され、他のクランク軸12は外歯歯車16の揺動によって駆動されてもよい。
図2、図5では、外歯歯車16の歯面54に発生する面圧を低減できる条件下で、軸受孔30と歯面54に100HV以上の表面硬度差を持つ外歯歯車16を使用する例を説明した。このような表面硬度差を持つ外歯歯車16は、外歯歯車16の歯面54に発生する面圧を低減できる条件下で使用することは必須とはならない。言い換えると、外歯歯車16と内歯歯車18との噛み合いを凸凹接触とせず、かつ、軸受孔30の内径R30をピッチ円径R16の1/3倍以下としない条件下で、前述の表面硬度差を持つ外歯歯車16を使用してもよい。外歯歯車16の部品コストの削減を図るという目的との関係で、歯面54の寿命を延ばすための構成を組み合わせることは必須にはならないともいえる。例えば、歯車装置10の運転頻度が低く、歯車装置10に長寿命を要求されない条件下で、前述の表面硬度差を持つ外歯歯車16を使用してもよい。
外歯歯車16と内歯歯車18の噛み合い部における歯面の形状は特に限定されない。この噛み合い部において、例えば、外歯歯車16の歯面及び内歯歯車18の歯面の両方が凸曲面となっていてもよい。
内歯歯車18の複数の内歯36は、内歯歯車本体34とは別体のピンによって構成されてもよい。
軸受孔30の内径R30は、外歯歯車16のピッチ円径R16の1/3倍超としてもよい。
内ピン24は、キャリヤ22A、22Bとは別体に設けられる例を説明したが、一方のキャリヤ22A、22Bと同じ部材により一体に設けられてもよい。内ピン孔32の表面硬度Hcは、軸受孔30の表面硬度Haと無関係に設定されてもよい。例えば、内ピン孔32の表面硬度Hcは、100HV未満の範囲で軸受孔30の表面硬度Haよりも低くしてもよいし、軸受孔30の表面硬度Ha以上としてもよい。
中央貫通孔92の表面硬度Hdは、軸受孔30の表面硬度Haと無関係に設定されてもよい。例えば、中央貫通孔92の表面硬度Hdは、100HV未満の範囲で軸受孔30の表面硬度Haよりも低くしてもよいし、軸受孔30の表面硬度Ha以上としてもよい。
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。実施形態及び変形形態において言及している構造/数値には、製造誤差等を考慮すると同一とみなすことができるものも当然に含まれる。
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。例えば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形形態に対して実施形態及び他の変形形態の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
10…偏心揺動型歯車装置、14…偏心体、16…外歯歯車、18…内歯歯車、20…偏心軸受、24…内ピン、30…軸受孔、32…内ピン孔、34…内歯歯車本体、36…内歯、38…転動体、50…母材領域、52A…第1表面硬化層、52B…第2表面硬化層、54…歯面、70…凸曲面、72…凹曲面、92…中央貫通孔、94…貫通孔。

Claims (7)

  1. 外歯歯車と、
    前記外歯歯車と噛み合う内歯歯車と、
    前記外歯歯車を揺動させる偏心体と、
    前記外歯歯車に設けられた軸受孔と前記偏心体との間に配置される偏心軸受と、を備えた偏心揺動型歯車装置であって、
    前記軸受孔の内周面は、前記偏心軸受の転動体が転動する転動面を構成し、
    前記軸受孔の内周面の表面硬度は、前記外歯歯車の歯面の表面硬度よりも100HV以上高い偏心揺動型歯車装置。
  2. 前記軸受孔の内周面には、表面硬化処理が施された第1表面硬化層が設けられ、
    前記外歯歯車の歯面には、前記第1表面硬化層とは異なる表面硬化処理が施され前記第1表面硬化層よりも表面硬度の低い第2表面硬化層、又は、母材領域が設けられる請求項1に記載の偏心揺動型歯車装置。
  3. 前記外歯歯車と前記内歯歯車の噛み合い部において、前記外歯歯車の歯面及び前記内歯歯車の歯面の一方は凸曲面とされ、他方は凹曲面とされる請求項1または2に記載の偏心揺動型歯車装置。
  4. 前記内歯歯車は、内歯歯車本体と、前記内歯歯車本体の内周面に直接に形成された内歯と、を備える請求項3に記載の偏心揺動型歯車装置。
  5. 前記軸受孔の内径は、前記外歯歯車のピッチ円径に対して1/3倍以下である請求項1から4のいずれかに記載の偏心揺動型歯車装置。
  6. 前記外歯歯車は、自身の中心から径方向にオフセットした位置に設けられ、内ピンが挿通される内ピン孔を備え、
    前記内ピン孔の内周面の表面硬度は、前記軸受孔の内周面の表面硬度よりも100HV以上低い請求項1から5のいずれかに記載の偏心揺動型歯車装置。
  7. 前記外歯歯車は、自身の中心から径方向にオフセットした位置に設けられた前記軸受孔と、自身の中心に設けられた中央貫通孔とを備え、
    前記中央貫通孔の内周面の表面硬度は、前記軸受孔の内周面の表面硬度よりも100HV以上低い請求項1から5のいずれかに記載の偏心揺動型歯車装置。
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