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JP7732482B2 - 固体電解質粒子 - Google Patents
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JP7732482B2 - 固体電解質粒子 - Google Patents

固体電解質粒子

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Description

本開示は、固体電解質粒子に関する。
国際公開第2017/155119号は、硫化物固体電解質を開示する。
国際公開第2017/155119号
固体電解質は、全固体電池のキーマテリアルである。従来、Li、PおよびSを含む硫化物固体電解質が開発されている。硫化物固体電解質は、10-3S/cmオーダーの高いイオン伝導度を有し得る。しかし硫化物固体電解質は、低い耐酸化性を有する傾向がある。硫化物固体電解質が酸化分解すると、ポリスルフィドが形成され得る。ポリスルフィドの形成により、イオン伝導度が低下し得る。
正極は高電位を有する。正極内において、硫化物固体電解質が酸化分解することにより、例えば、正極活物質と硫化物固体電解質との界面に抵抗層(ポリスルフィド)が形成される可能性がある。抵抗層は、10-10S/cm以下のイオン伝導度を有し得る。抵抗層の形成により、全固体電池の性能劣化が促進される可能性がある。
本開示の目的は、耐酸化性の改善にある。
1.本開示の一局面における固体電解質粒子は、次の構成を含む。固体電解質粒子は、Li、Ge、PおよびSを含む。固体電解質粒子は、下記式(1)かつ式(2)の関係を満たす。
0.20≦IB/IA≦0.35 …(1)
0.30≦IC/IA≦0.45 …(2)
上記式(1)および式(2)中、IA、IBおよびICは、それぞれ、CuKα線をX線源として測定されるX線回折スペクトルにおける、ピーク高さを示す。IAは、29.4±0.5°の回折角におけるピーク高さを示す。IBは、41.4±0.5°の回折角におけるピーク高さを示す。ICは、47.3±0.5°の回折角におけるピーク高さを示す。
固体電解質粒子のX線回折(X-Ray Diffraction,XRD)スペクトルにおいて、回折角(2θ)=29.4±0.5°、41.4±0.5°、47.3±0.5°に出現するピーク群は、LGPS型結晶相に帰属すると考えられる。LGPS型結晶相は、高いイオン伝導度を有し得る。ピーク高さ比(IB/IA、IC/IA)は、結晶性の指標である。ピーク高さ比(IB/IA、IC/IA)が小さい程、結晶性が低いことを示す。本開示の新知見によると、適度に結晶性が低いことにより、耐酸化性の改善が期待される。ただし、結晶性が過度に低下すると、かえって耐酸化性が低下する可能性がある。すなわち、上記式(1)かつ式(2)の関係が満たされる時、耐酸化性の改善が期待される。
2.上記「1」に記載の固体電解質粒子は、次の構成を含んでいてもよい。X線回折スペクトルにおいて、29.4±0.5°の回折角におけるピークは、0.15°以下の半値全幅を有する。
29.4±0.5°の回折角におけるピークが0.15°以下の半値全幅(Full Width at Half Maximum,FWHM)を有する時、高いイオン伝導度と、耐酸化性との両立が期待される。
3.上記「1」または「2」に記載の固体電解質粒子は、次の構成を含んでいてもよい。固体電解質粒子は、下記式(3)の関係をさらに満たす。
1.2≦IE/ID …(3)
上記式(3)中、IDおよびIEは、それぞれ、ラマンスペクトルにおけるピーク高さを示す。IDは、420±10cm-1のラマンシフトにおけるピーク高さを示す。IEは、360±10cm-1のラマンシフトにおけるピーク高さを示す。ラマンスペクトルは、388±3cm-1のラマンシフトにショルダーピークを有する。
固体電解質粒子のラマンスペクトルにおいて、388±3cm-1のラマンシフトに出現するショルダーピークは、Li2S等の不純物相に由来すると考えられる。不純物相は、LGPS型結晶相の酸化分解により生成されると考えられる。すなわち、不純物相は、結晶性低下の要因である。固体電解質粒子が上記式(3)の関係を満たす時、バルクにおける結晶性が維持されていると考えられる。バルクの結晶性が維持されたまま、局所的に不純物相が導入されることにより、高いイオン伝導度と、耐酸化性との両立が期待される。
4.上記「1」~「3」のいずれか1項に記載の固体電解質粒子は、次の構成を含んでいてもよい。固体電解質粒子は、コア部およびシェル部を含む。シェル部は、コア部の周囲を覆っている。コア部は、LGPS型結晶相を含む。シェル部は、非晶質相を含む。コア部は、10×10-3S/cm以上のイオン伝導度を有する。シェル部は、1×10-3S/cm以下のイオン伝導度を有する。
例えば、粒子の最表面において、局所的に結晶性が低下していてもよい。固体電解質粒子は、例えば、コアシェル構造を有していてもよい。LGPS型結晶相は、高いイオン伝導性を有し、かつ低い耐酸化性を有する傾向がある。非晶質相は、低いイオン伝導性を有し、かつ高い耐酸化性を有する傾向がある。コア部がLGPS型結晶相を含み、かつシェル部(最表面)が非晶質相を含むことにより、高いイオン伝導度と、耐酸化性との両立が期待される。
5.上記「4」に記載の固体電解質粒子は、例えば、次の構成を含んでいてもよい。シェル部は、100nm以下の厚さを有する。
シェル部(非晶質相)が100nmの厚さを有することにより、高いイオン伝導度と、耐酸化性との両立が期待される。
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」と略記され得る。)、および本開示の実施例(以下「本実施例」と略記され得る。)が説明される。ただし、本実施形態および本実施例は、本開示の技術的範囲を限定しない。本実施形態および本実施例は、全ての点で例示である。本実施形態および本実施例は、非制限的である。本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内における全ての変更を包含する。例えば、本実施形態および本実施例から、任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも当初から予定されている。
図1は、XRDスペクトルの一例である。 図2は、ラマンスペクトルの一例である。 図3は、サイクリックボルタモグラムの一例である。 図4は、コアシェル構造の概念図である。 図5は、本実施形態における固体電解質粒子の製造方法の概略フローチャートである。 図6は、実験結果を示す表である。
<用語の説明>
「XRDスペクトル」は、粉末XRD法により測定される。測定条件は、下記のとおりである。ただし、測定装置は一例であり、同等品が使用されてもよい。
測定装置:製品名「RINT-2000」、リガク社製
X線源:Cu-Kα線
角度範囲:2θ=10~60°
ピーク高さ比(IB/IA、IC/IA)は、次の手順で特定される。XRDスペクトルの生データからバックグラウンドが除去される。バックグラウンドの除去後、29.4±0.5°の回折角に出現するピークの高さを「1」として、XRDスペクトルが規格化される。規格化後のXRDスペクトルにおいて、41.4±0.5°の回折角におけるピーク高さが、ピーク高さ比(IB/IA)とみなされる。同様に、規格化後のXRDスペクトルにおいて、47.3±0.5°の回折角におけるピーク高さが、ピーク高さ比(IC/IA)とみなされる。なお、例えば、29.4±0.5°等の範囲に、複数のピークが存在する場合、最も高いピークの高さが測定される。さらに、29.4±0.5°の回折角におけるピークのFWHMが測定される。
「ラマンスペクトル」は、ラマン分光法により測定される。測定条件は、下記のとおりである。ただし、測定装置は一例であり、同等品が使用されてもよい。
測定装置:製品名「LabRAM HR」、堀場製作所社製
レーザー波長:532nm
グレーティング:1200
波数範囲:200~2000cm-1
ピーク高さ比(IE/ID)は、次の手順で特定される。460~500cm-1の範囲におけるラマン強度の平均値が、基準強度とみなされる。420±10cm-1のラマンシフトにおける、ピークトップのラマン強度と、基準強度との差が、ピーク高さ(ID)とみなされる。360±10cm-1のラマンシフトにおける、ピークトップのラマン強度と、基準強度との差が、ピーク高さ(IE)とみなされる。ピーク高さ(IE)がピーク高さ(ID)で除されることにより、ピーク高さ比(IE/ID)が求まる。
「LGPS型結晶相」は、LGPS型構造を有する結晶相を示す。LGPS型構造は、三次元骨格を含む。三次元骨格は、複数の一次元鎖を含む。各一次元鎖は、(Ge0.50.5)S4四面体とLiS6八面体とが稜を共有しつつ、一次元的に連なることにより形成される。互いに隣接する2つの一次元鎖は、PS4四面体を通じて連結している。LGPS型構造において、P原子は、4dサイトおよび2bサイトを占有し得る。4dサイトは、一次元鎖を構成する。2bサイトは、一次元鎖同士を連結する連結部を構成する。4dサイトは、Ge原子およびP原子により占有され得る。4dサイトにおいて、モル比は「Ge/P=1/1」である。2bサイトは、P原子のみにより占有され得る。LGPS型結晶相のXRDスペクトルは、回折角(2θ)=29.4±0.5°、41.4±0.5°、47.3±0.5°の各位置にピークを有する。
「m~n%」等の数値範囲は、特に断りのない限り、上限値および下限値を含む。すなわち「m~n%」は、「m%以上n%以下」の数値範囲を示す。「m%以上n%以下」は「m%超n%未満」を含む。
「備える」、「含む」、「有する」、および、これらの変形(例えば「から構成される」等)の記載は、オープンエンドの用語である。オープンエンドの用語は、必須要素に加えて、追加要素をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。「からなる」との記載はクローズドの用語である。ただしクローズドの用語であっても、通常において付随する不純物であったり、本開示技術に無関係であったりする付加的な要素は排除されない。「実質的に…からなる」との記載は、セミクローズドの用語である。セミクローズドの用語においては、本開示技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しない要素の付加が許容される。
単数形で表現される要素は、特に断りの無い限り、複数形も含む。例えば「粒子」は、「1個の粒子」のみならず、「複数の粒子(粒子群)」および「粒子の集合体(粉末)」も含む。
化学量論的組成式は、化合物の代表例を示す。化合物は、非化学量論的組成を有していてもよい。例えば、「Al23」は、「Al/O=2/3」の物質量比(モル比)を有する化合物に限定されない。「Al23」は、特に断りのない限り、AlおよびOを任意の物質量比で含む化合物を示す。さらに、例えば、該化合物に微量元素がドープされていてもよい。AlおよびOの一部が別の元素で置換されていてもよい。
<固体電解質粒子>
固体電解質粒子は、Liイオン伝導体である。固体電解質粒子は、例えば、全固体電池用であってもよい。固体電解質粒子は、例えば、正極用、負極用またはセパレータ用のいずれでもよい。固体電解質粒子のD50は、例えば、0.01~10μm、0.01~1μm、または、0.1~1μmのいずれでもよい。「D50」は、体積基準の粒度分布(積算分布)において、積算が50%になる粒子径を示す。粒度分布は、レーザー回折法により測定され得る。
固体電解質粒子は、化学成分として、Li(リチウム)、Ge(ゲルマニウム)、P(リン)およびS(硫黄)を含む。固体電解質粒子は、例えば、下記式(4)のバルク組成を有していてもよい。
Li10+xGe1+x2-x12(0≦x≦0.7) …(4)
上記式(4)中、xは、例えば、0.5以下、0.3以下、または、0.1以下のいずれでもよい。
<XRDスペクトル>
図1は、XRDスペクトルの一例である。固体電解質粒子は、特定のXRDスペクトルを有する。ピーク高さ比(IB/IA)は、0.20~0.35である。該範囲において、耐酸化性の改善が期待される。ピーク高さ比(IB/IA)は、例えば、0.31以下であってもよい。ピーク高さ比(IB/IA)は、例えば、0.29以上であってもよい。
ピーク高さ比(IC/IA)は、0.30~0.45である。該範囲において、耐酸化性の改善が期待される。ピーク高さ比(IC/IA)は、例えば、0.44以下または0.43以下であってもよい。ピーク高さ比(IC/IA)は、例えば、0.42以上または0.43以上であってもよい。
29.4±0.5°の回折角におけるピークにおける、FWHMは、例えば、0.15°以下であってもよい。FWHMは、例えば0.14°以下であってもよい。FWHMは、例えば0.13°以上であってもよい。
<ラマンスペクトル>
図2は、ラマンスペクトルの一例である。固体電解質粒子は、特定のラマンスペクトルを有していてもよい。ラマンスペクトルは、388±3cm-1のラマンシフトにショルダーピークを有していてもよい。ショルダーピークは、不純物相(Li2S等)に由来すると考えられる。適度に不純物相が存在することにより、耐酸化性の改善が期待される。
ピーク高さ比(IE/ID)は、例えば、1.2以上であってもよい。ピーク高さ比(IE/ID)が1.2以上である時、バルクの結晶性の変化が小さいと考えられる。バルクの結晶性の変化が小さいことにより、高いイオン伝導度が期待される。ピーク高さ比(IE/ID)は、例えば、1.30以上または1.35以上であってもよい。ピーク高さ比(IE/ID)は、例えば、1.40以下または1.35以下であってもよい。
<サイクリックボルタンメトリー>
図3は、サイクリックボルタモグラムの一例である。耐酸化性は、サイクリックボルタンメトリー(CV)により評価され得る。サイクリックボルタモグラム(電流-電位曲線)における、酸化電流の最大値(以下「最大電流」とも記される。)が小さい程、耐酸化性が良好であると考えられる。固体電解質粒子は、例えば、20μA以下の最大電流を有していてもよい。最大電流は、例えば11μA以下、または、7μA以下のいずれでもよい。最大電流は、例えば、1μA以上、3μA以上、または、7μA以上のいずれでもよい。
サイクリックボルタモグラムは、酸化側にピーク(極大値)を有していてもよい。サイクリックボルタモグラムは、酸化側にピークを有していなくてもよい。酸化側にピークがない時、耐酸化性の改善が期待される。
CVは、ハーフセルにより測定される。ハーフセルは、作用極および対極を含む。対極は、Li金属である。作用極は、次の手順で準備される。試料(固体電解質粒子)が、圧縮されることにより、第1ペレット(圧粉体)が成形される。試料と気相成長炭素繊維(VGCF)とが混合されることにより、混合物が準備される。混合比は、「試料/VGCF=1/1(体積比)」である。第1ペレットを基材として、基材上において、混合物が圧縮されることにより、第2ペレットが形成される。作用極は、第1ペレットおよび第2ペレットの積層体である。第2ペレットは、第1ペレットに圧着されている。作用極が導電材(VGCF)を含むことにより、実際の電極内で起こり得る酸化反応が観測され得ると考えられる。
CVの測定条件は下記のとおりである。ただし、測定装置は一例であり、同等品が使用されてもよい。
測定装置:製品名「VMP3」、BioLogic社製
掃引速度:0.1mV/s
掃引電位範囲:2.5~4.8V(vs.Li/Li+
<交流インピーダンス>
固体電解質粒子は、高いイオン伝導度を有し得る。固体電解質粒子は、例えば、3.0×10-3S/cm以上のイオン伝導度を有していてもよい。イオン伝導度は、例えば、4.5×10-3S/cm以上、または、5.0×10-3S/cm以上のいずれでもよい。イオン伝導度は、例えば、5.5×10-3S/cm以下、または、5.0×10-3S/cm以下のいずれでもよい。
イオン伝導度は、交流インピーダンス法により測定される。固体電解質粒子(粉体)が圧縮されることにより、ペレットが作製される。ペレットが非活性化電極で挟まれることにより、対称セルが形成される。非活性化電極および固体電解質粒子は、互いに異なるキャリアイオンを有する。非活性化電極は、例えば、ステンレス鋼等を含んでいてもよい。対称セルにおいて、イオン伝導度が測定される。測定条件は、下記のとおりである。ただし、測定装置は一例であり、同等品が使用されてもよい。
測定装置:製品名「VMP3」、BioLogic社製
周波数範囲:1MHz~0.1Hz
印加電圧:10mV
測定温度:25±1℃
測定データが複素平面にプロットされることにより、Cole-Coleプロットが作成される。曲線と実軸との交点から抵抗が求まる。下記式(5)により、イオン伝導度が求まる。
σ=1/{(r×s)/t} …(5)
σ:イオン伝導度
r:抵抗
s:作用極の面積
t:作用極の厚さ
<コアシェル構造>
図4は、コアシェル構造の概念図である。固体電解質粒子10は、例えば、コアシェル構造を有していてもよい。すなわち、固体電解質粒子10は、コア部11およびシェル部12を含んでいてもよい。
コア部11は、高イオン伝導相を含む。コア部11は、例えば、LGPS型結晶相を含んでいてもよい。コア部11は、例えば、10×10-3S/cm以上のイオン伝導度を有していてもよい。コア部11のイオン伝導度は、例えば、15×10-3S/cm以上、または、20×10-3S/cm以上のいずれでもよい。コア部11のイオン伝導度は、例えば、20×10-3S/cm以下、または、15×10-3S/cm以下のいずれでもよい。コア部11は、例えば、0.1~1μmのフェレ径を有していてもよい。「フェレ径」は、固体電解質粒子10の断面画像において、コア部11の輪郭線上の最も離れた2点間の距離を示す。
シェル部12は、コア部11の周囲を覆っている。シェル部12は、コア部11の全体を覆っていてもよい。シェル部12は、コア部11の一部を覆っていてもよい。シェル部12は、低イオン伝導相を含む。シェル部12は、耐酸化性を有していてもよい。シェル部12は、例えば、コア部11に比して低い結晶性を有していてもよい。シェル部12は、例えば、非晶質相を含んでいてもよい。シェル部12は、例えば、1×10-3S/cm以下のイオン伝導度を有していてもよい。シェル部12のイオン伝導度は、例えば、0.5×10-3S/cm以下、または、0.1×10-3S/cm以下のいずれでもよい。シェル部12のイオン伝導度は、例えば、0.1×10-3S/cm以上、または、0.5×10-3S/cm以上のいずれでもよい。シェル部12は、例えば、100nm以下の厚さを有していてもよい。シェル部12の厚さは、例えば、50nm以下、または、10nm以下のいずれでもよい。シェル部12の厚さは、例えば、1nm以上、10nm以上、または、50nm以上のいずれでもよい。
<固体電解質粒子の製造方法>
図5は、本実施形態における固体電解質粒子の製造方法の概略フローチャートである。以下「本実施形態における固体電解質粒子の製造方法」が「本製造方法」と略記され得る。本製造方法は、「(a)固体電解質粒子の合成」および「(b)表面処理」を含む。
(a)固体電解質粒子の合成
本製造方法は、固体電解質粒子を合成することを含む。固体電解質粒子は、例えば、固相反応により合成されてもよい。固体電解質粒子は、例えば、メカノケミカル反応により合成されてもよい。固体電解質粒子は、LGPS型結晶相を含むように合成される。例えば、Li2S、P25およびGeS2が、所定配合で混合されることにより、混合物が形成される。例えば、遊星型ボールミルにより混合が実施されてもよい。Ar雰囲気下で混合が実施されてもよい。混合物に熱処理(焼成)が施されることにより、固体電解質粒子が合成され得る。
(b)表面処理
本製造方法は、固体電解質粒子の表面の少なくとも一部において、結晶性を低下させることを含む。例えば、粒子の表面に機械的エネルギーが付与されることにより、ダメージ層が形成されてもよい。ダメージ層は、母材に対して、低い結晶性を有する。ダメージ層は、コアシェル構造のシェル部12を形成し得る。ダメージ層を除く母材は、コアシェル構造のコア部11を形成し得る。
例えば、固体電解質粒子に湿式ミリング処理が施されてもよい。例えば、遊星型ボールミルにより、溶媒の存在下で、固体電解質粒子が粉砕されてもよい。溶媒は、例えば、酪酸ブチル、ヘプタン、および、テトラリンからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。湿式ミリング処理の後、溶媒は乾燥除去され得る。
例えば、ZrO2製のメディア(粉砕ボール)が使用されてもよい。遊星型ボールミルの回転数は、例えば、200~250rpmであってもよい。処理時間は、例えば、1時間以上であってもよい。処理時間は、例えば、24時間以下であってもよい。
<試料>
図6は、実験結果を示す表である。下記手順により、No.1~No.6に係る固体電解質粒子が製造された。
No.1
3.902質量部のLi2S、3.775質量部のP25、および、2.323質量部のGeSが、乳鉢において、略均一になるまで混合されることにより、第1混合物が準備された。遊星型ボールミル用の第1ポット(素材:ZrO2、容積:500mL)、および、第1メディア(素材:ZrO2、直径:5mm)が準備された。450質量部の第1メディア、および、第1混合物が第1ポットに投入された。300rpmの回転数で、20時間にわたって、乾式ミリング処理が実施された。これにより第2混合物が準備された。第2混合物がペレットに成形された。ペレットが石英管に封入された。石英管には、カーボンコートが施されていた。ペレットに熱処理が施された。熱処理温度は、600℃であった。熱処理時間は、6時間であった。これにより、固体電解質が合成された。熱処理後、ペレットが粉砕されることにより、固体電解質粒子が回収された。
遊星型ボールミル用の第2ポット(素材:ZrO2、容積:45mL)、第2メディア(素材:ZrO2、直径:1mm)、および、第3メディア(素材:ZrO2、直径:0.1mm)が準備された。10質量部の第2メディア、40質量部の第3メディア、0.75質量部の固体電解質粒子、および、6質量部の酪酸ブチル(溶媒)が、第2ポットに投入された。200rpmの回転数で、1時間にわたって、湿式ミリング処理が実施された。湿式ミリング処理の後、乾燥操作により、溶媒が除去された。
No.2~No.6
図6の「湿式ミリング処理」の項目に示されるように、湿式ミリング処理における回転数が変更されることを除いては、No.1と同様に、固体電解質粒子が製造された。なお、No.3は、湿式ミリング処理が実施されていない。No.3は、母材(未加工品)である。
<評価>
図1に、No.1~No.6のXRDスペクトルが示される。いずれの試料も、2θ=29.4±0.5°、41.4±0.5°、47.3±0.5°の位置にピークを有する。湿式ミリング処理の回転数が大きくなる程、ピーク高さ比(IB/IA)、(IC/IA)が小さくなる傾向がみられる。湿式ミリング処理により、結晶性が低下するためと考えられる。
図2に、No.1、No.3~No.5のラマンスペクトルが示される。No.1においては、388±3cm-1のラマンシフトにショルダーピークが明確に確認された。ショルダーピークは、不純物相(Li2S等)に由来すると考えられる。不純物相は、湿式ミリング処理により、LGPS型結晶相が僅かに分解することにより生成されると考えられる。
各試料間において、ピーク高さ比(IE/ID)の差は小さい。この結果から、湿式ミリング処理によって、バルクの結晶性(LGPS型構造の対称性)は、殆ど変化していないと考えられる。湿式ミリング処理においては、粒子の最表面において、結晶性が局所的に低下すると考えられる。
図3に、No.1~No.6のサイクリックボルタモグラムが示される。湿式ミリング処理における回転数が大きくなる程、酸化電流のピークが小さくなる傾向がみられる(No.1~No.6)。湿式ミリング処理により、粒子の表面に、耐酸化性が付与されていると考えられる。しかし、湿式ミリング処理における回転数が250rpmを超えると、再び酸化電流が増大している(No.6)。粒子が破壊されたためと考えられる。粒子の破壊により、微粒子が形成される。微粒子とVGCF(導電材)との界面量が増大することにより、酸化反応が促進されていると考えられる。
図6に、No.1~No.6のイオン伝導度が示される。湿式ミリング処理により、イオン伝導度が低減する傾向がみられる。しかし、10-3S/cmオーダーの高いイオン伝導度は維持されている。
以上の結果から、XRDスペクトルにおけるピーク高さ比(IB/IA)が0.20~0.35であり、かつピーク高さ比(IC/IA)が0.30~0.45である時、耐酸化性の改善が期待される。
<付記>
本開示の一局面においては、固体電解質粒子の製造方法が提供される。
固体電解質粒子の製造方法は、下記(a)および(b)を含む。
(a)LGPS型結晶相を含む固体電解質粒子を合成する。
(b)固体電解質粒子に表面処理を施す。
表面処理により、固体電解質粒子の表面の少なくとも一部において、LGPS型結晶相が非晶質相に変化する。
上記(b)は、固体電解質粒子に湿式ミリング処理を施すことを含んでいてもよい。湿式ミリング処理は、遊星型ボールミルにより実施されてもよい。遊星型ボールミルの回転数は、例えば、200~250rpmであってもよい。処理時間は、例えば、1時間以上であってもよい。
10 固体電解質粒子、11 コア部、12 シェル部。

Claims (4)

  1. Li、Ge、PおよびSを含み、
    式(1)かつ式(2):
    0.20≦IB/IA≦0.35 …(1)
    0.30≦IC/IA≦0.45 …(2)
    の関係を満たし、
    前記式(1)および前記式(2)中、IA、IBおよびICは、それぞれ、CuKα線をX線源として測定されるX線回折スペクトルにおける、ピーク高さを示し、
    Aは、29.4±0.5°の回折角におけるピーク高さを示し、
    Bは、41.4±0.5°の回折角におけるピーク高さを示し、かつ
    Cは、47.3±0.5°の回折角におけるピーク高さを示
    さらに、式(3):
    1.20≦I E /I D …(3)
    の関係を満たし、
    前記式(3)中、I D およびI E は、それぞれ、ラマンスペクトルにおけるピーク高さを示し、
    D は、420±10cm -1 のラマンシフトにおけるピーク高さを示し、
    E は、360±10cm -1 のラマンシフトにおけるピーク高さを示し、かつ
    前記ラマンスペクトルは、388±3cm -1 のラマンシフトにショルダーピークを有する、
    固体電解質粒子。
  2. 前記X線回折スペクトルにおいて、
    29.4±0.5°の回折角におけるピークは、0.15°以下の半値全幅を有する、
    請求項1に記載の固体電解質粒子。
  3. コア部およびシェル部を含み、
    前記シェル部は、前記コア部の周囲を覆っており、
    前記コア部は、LGPS型結晶相を含み、
    前記シェル部は、非晶質相を含み、
    前記コア部は、10×10-3S/cm以上のイオン伝導度を有し、かつ
    前記シェル部は、1×10-3S/cm以下のイオン伝導度を有する、
    請求項1または請求項2に記載の固体電解質粒子。
  4. 前記シェル部は、100nm以下の厚さを有する、
    請求項に記載の固体電解質粒子。
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