JP7733832B2 - 正極活物質層、電極、及び固体電池 - Google Patents
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Description
本発明は、正極活物質層、電極、及び固体電池に関する。
電解液を含有する従来の二次電池では、セルの内部短絡などセルに異常が生じ、セルの温度が上昇すると、発火する可能性が極めて高かった。そこでセルの安全性を向上させる観点から、電解液の大部分又は全てを固体電解質に変えた半固体電池または全固体電池の検討が行われている。半固体電池または全固体電池は、可燃性である有機溶媒を含む電解液が極少量またはゼロであるため、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れていると考えられる。
半固体または全固体電池の電極の活物質層は、従来の二次電池の電極活物質層を構成する活物質、導電助剤、バインダーに加え、さらに固体電解質を含有することが想定される。しかしながら、電解質として電解液を用いる場合と比較して、リチウムイオンや電子の移動が困難となるため、集電体と電極活物質層との界面抵抗が高くなるという問題がある。
これに対し、例えば、特許文献1には、固体電解質と電極との界面抵抗を抑制することを目的として、硫黄、導電材、バインダーおよびイオン液体もしくは溶媒和イオンを含有するリチウム硫黄固体電池用正極材が開示されている。
しかしながら、イオン液体を用いると、電極集電体に含まれる金属の腐食が生じ、良好な充放電効率を実現することができない場合がある。このため、イオン液体を用いずとも、集電体と電極活物質層との界面抵抗を抑制する技術が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、集電体と電極活物質との界面抵抗が抑制された正極を形成することができる正極活物質層、該正極活物質層を備える電極、及び該電極を備える半固体電池または全固体電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、正極活物質と固体電解質とを含有する正極活物質層において、バインダーとして特定の固有粘度を有するフッ化ビニリデンの単独重合体又は共重合体を含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の態様は、正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)とを含有する以下の正極活物質層、電極、及び半固体電池または全固体電池に関する。
[1] 正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)とを含有する、正極活物質層であって、
前記バインダー(C)が、下記重合体(C-a)または重合体(C-b)である、正極活物質層。
重合体(C-a):固有粘度が3.5dL/g以下であるフッ化ビニリデンの単独重合体。
重合体(C-b):フッ化ビニリデンに由来する構成単位と、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位とを含有するフッ化ビニリデン共重合体であって、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、前記フッ化ビニリデン共重合体の全構成単位を100.0質量%とした場合にヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位が8.0質量%以下である。
前記バインダー(C)が、下記重合体(C-a)または重合体(C-b)である、正極活物質層。
重合体(C-a):固有粘度が3.5dL/g以下であるフッ化ビニリデンの単独重合体。
重合体(C-b):フッ化ビニリデンに由来する構成単位と、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位とを含有するフッ化ビニリデン共重合体であって、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、前記フッ化ビニリデン共重合体の全構成単位を100.0質量%とした場合にヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位が8.0質量%以下である。
[2] 前記重合体(C-a)または重合体(C-b)の固有粘度が3.0dL/g未満である、[1]に記載の正極活物質層。
[3] 前記固体電解質(B)が酸化物系固体電解質である、[1]または[2]に記載の正極活物質層。
[4] 前記固体電解質(B)が、下記式(1):
Li1+x+yAlxTi2-xSiyP3-yO12 ・・・(1)
(式(1)中、xおよびyは、0≦x≦1、0≦y≦1を満たす。)
で表される材料を含む、[3]に記載の正極活物質層。
[5] 前記正極活物質(A)が、リン酸金属リチウムを含有し、
前記リン酸金属リチウムが、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、およびLiNiPO4からなる群より選択される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の正極活物質層。
[6] 集電体と、[1]~[5]のいずれか1つに記載の正極活物質層を備える電極。
[7] [6]に記載の電極を備える半固体電池または全固体電池。
[3] 前記固体電解質(B)が酸化物系固体電解質である、[1]または[2]に記載の正極活物質層。
[4] 前記固体電解質(B)が、下記式(1):
Li1+x+yAlxTi2-xSiyP3-yO12 ・・・(1)
(式(1)中、xおよびyは、0≦x≦1、0≦y≦1を満たす。)
で表される材料を含む、[3]に記載の正極活物質層。
[5] 前記正極活物質(A)が、リン酸金属リチウムを含有し、
前記リン酸金属リチウムが、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、およびLiNiPO4からなる群より選択される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の正極活物質層。
[6] 集電体と、[1]~[5]のいずれか1つに記載の正極活物質層を備える電極。
[7] [6]に記載の電極を備える半固体電池または全固体電池。
本発明によれば、集電体と電極活物質との界面抵抗が抑制された正極を形成することができる正極活物質層、該正極活物質層を備える電極、及び該電極を備える半固体電池または全固体電池を提供することができる。
≪正極活物質層≫
正極活物質層は、正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)とを含有する。
正極活物質層に含まれるバインダー(C)は、下記重合体(C-a)または重合体(C-b)である。
重合体(C-a):固有粘度が3.5dL/g以下であるフッ化ビニリデンの単独重合体。
重合体(C-b):フッ化ビニリデンに由来する構成単位と、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位とを含有するフッ化ビニリデン共重合体であって、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、前記フッ化ビニリデン共重合体の全構成単位を100質量%とした場合にヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位が8.0重量%以下である。
正極活物質層が特定のバインダー(C)を含有することにより、集電体と正極活物質層との界面抵抗が抑制された電極を形成することができる。
正極活物質層は、正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)とを含有する。
正極活物質層に含まれるバインダー(C)は、下記重合体(C-a)または重合体(C-b)である。
重合体(C-a):固有粘度が3.5dL/g以下であるフッ化ビニリデンの単独重合体。
重合体(C-b):フッ化ビニリデンに由来する構成単位と、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位とを含有するフッ化ビニリデン共重合体であって、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、前記フッ化ビニリデン共重合体の全構成単位を100質量%とした場合にヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位が8.0重量%以下である。
正極活物質層が特定のバインダー(C)を含有することにより、集電体と正極活物質層との界面抵抗が抑制された電極を形成することができる。
以下、正極活物質層に含まれる、必須、又は任意の成分について説明する。
<正極活物質(A)>
正極活物質(A)としては、特に限定されず、例えば、従来公知の正極用の電極活物質を用いることができる。正極用の電極活物質としては、少なくともリチウムを含むリチウム系正極用電極活物質が好ましい。リチウム系正極用電極活物質としては、例えば、下記式(A-1)で表される正極活物質を挙げることができる。
LixMyOz ・・・(A-1)
(式(A-1)において、Mは遷移金属元素であり、x=0.02~2.2、y=1~2、z=1.4~4である。)
正極活物質(A)としては、特に限定されず、例えば、従来公知の正極用の電極活物質を用いることができる。正極用の電極活物質としては、少なくともリチウムを含むリチウム系正極用電極活物質が好ましい。リチウム系正極用電極活物質としては、例えば、下記式(A-1)で表される正極活物質を挙げることができる。
LixMyOz ・・・(A-1)
(式(A-1)において、Mは遷移金属元素であり、x=0.02~2.2、y=1~2、z=1.4~4である。)
式(A-1)において、Mは、Co、Mn、Ni、V、FeおよびSiからなる群から選択される少なくとも一種が挙げられ、Co、NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも一種であってよい。このような正極活物質としては、具体的には、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiVO2、LiMn2O4、Li(Ni0.5Mn1.5)O4、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4等が挙げられる。
式(A-1)で表される正極活物質としては、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制する観点から、下記式(A-2)で表されるリチウム金属酸化物であることが好ましい。
LiNixCoyMnzO2 ・・・(A-2)
(式(A-2)において、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1である。)
LiNixCoyMnzO2 ・・・(A-2)
(式(A-2)において、0≦x<1、0<y≦1、0≦z<1である。)
式(A-2)において、x、y、及びzの組成比としては、例えば、0.3≦x≦0.8、0.1≦y≦0.4、0.15≦z≦0.5であることが好ましく、0.35≦x≦0.7、0.1≦y≦0.35、0.2≦z≦0.45であることがより好ましい。
式(A-2)で表されるリチウム金属酸化物としては、例えば、LiNi0.33Co0.33Mn0.33(NCM111)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2O2(NCM532)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1(NCM811)、LiCoO2(LCO)等が挙げられる。これらの中では、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523)が好ましい。
また、上記式(A-1)以外の正極活物質(A)としては、チタン酸リチウム(例えば、Li4Ti5O12)、リン酸金属リチウム(LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、LiNiPO4)、遷移金属酸化物(V2O5、MoO3)、TiS2、LiCoN、Si、SiO2、Li2SiO3、Li4SiO4、及びリチウム貯蔵性金属間化合物(例えばMg2Sn、Mg2Ge、Mg2Sb、Cu3Sb)等が挙げられる。これらの中では、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制する観点から、リン酸金属リチウムが好ましい。リン酸金属リチウムの中では、LiFePO4がより好ましい。
正極活物質(A)の形状は特に限定されるものではないが、例えば粒子状、薄膜状とすることができ、取扱い性が良いという観点から、粒子状であってもよい。
正極活物質が粒子である場合の当該粒子の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。
正極活物質が粒子である場合の当該粒子の平均粒径(D50)は、例えば1nm以上100μm以下であることが好ましく、10nm以上30μm以下であることがより好ましい。
正極活物質(A)の表面には、正極活物質と、固体電解質との反応を抑制できる観点から、Liイオン伝導性酸化物を含有するコート層が形成されていてもよい。
Liイオン伝導性酸化物としては、例えば、LiNbO3、Li4Ti5O12、及びLi3PO4等が挙げられる。
コート層の厚さの下限は、0.1nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましい。コート層の厚さの上限は、100nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
Liイオン伝導性酸化物としては、例えば、LiNbO3、Li4Ti5O12、及びLi3PO4等が挙げられる。
コート層の厚さの下限は、0.1nm以上であることが好ましく、1nm以上であることがより好ましい。コート層の厚さの上限は、100nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
正極活物質(A)の含有量は、特に限定されず、正極活物質層100.0質量%に対して、50.0質量%以上98.0質量%以下であることが好ましく、60.0質量%以上95.0質量%以下であることがより好ましく、70.0質量%以上90.0質量%以下であることがさらに好ましい。
<固体電解質(B)>
固体電解質(B)としては、硫化物系固体電解質、及び酸化物系固体電解質等を用いることができる。このなかでも、電解質の安全性、安定性の観点から、酸化物系固体電解質を用いることが好ましい。
固体電解質(B)としては、硫化物系固体電解質、及び酸化物系固体電解質等を用いることができる。このなかでも、電解質の安全性、安定性の観点から、酸化物系固体電解質を用いることが好ましい。
硫化物系固体電解質としては、例えば、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P2S5、LiI-Li2O-Li2S-P2S5、LiI-Li2S-P2O5、LiI-Li3PO4-P2S5、Li2S-P2S5、Li3PS4等が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、LLTO系化合物((La,Li)TiO3)、Li6La2CaTa2O12、Li6La2ANb2O12(A:アルカリ土類金属)、Li2Nd3TeSbO12、Li3BO2.5N0.5、Li9SiAlO8、LAGP系化合物(Li1+xAlxGe2-x(PO4)3(0≦x≦1))、Li2O-Al2O3-TiO2-P2O5のようなLATP系化合物(Li1+xAlxTi2-x(PO4)3(0≦x≦1))、Li1+xTi2-xAlxSiy(PO4)3-y(0≦x≦1、0≦y≦1)、Li1+yAlxM2-x(PO4)3(Mは、Ti、Ge、Sr、Sn、Zr、及びCaからなる群から選択される1種又は2種以上の元素であり、0≦x≦1、0≦y≦1)、LiTixZr2-x(PO4)3(0≦x≦1)、LISICON(Li4-2xZnxGeO4(0≦x≦1))、LIPON系化合物(Li3+yPO4-xNx(0≦x≦1、0≦y≦1))、NASICON系化合物(LiTi2(PO4)3など)、ガーネット系化合物(Li7La3Zr2O12、Li7-xLa3Zr1-xNbxO12(0≦x≦1)など)などが挙げられる。
酸化物系固体電解質のうち、高いリチウムイオン伝導度を有する観点から、LATP系化合物が好ましい。LATP系化合物としては、下記式(1):
Li1+x+yAlxTi2-xSiyP3-yO12 ・・・(1)
(式(1)中、xおよびyは、0≦x≦1、0≦y≦1を満たす。)
で表される材料を含むことが好ましい。
Li1+x+yAlxTi2-xSiyP3-yO12 ・・・(1)
(式(1)中、xおよびyは、0≦x≦1、0≦y≦1を満たす。)
で表される材料を含むことが好ましい。
また、上記LATP系化合物以外の好ましい酸化物系固体電解質としては、例えば、Li7La3Zr2O12(LLZO)、Li6.75La3Zr1.75Ta0.25O12(LLZTO)、Li0.33La0.56TiO3(LLTO)、Li1.6Al0.6Ge1.4(PO4)3(LAGP)等が挙げられる。
固体電解質(B)の含有量は、特に限定されず、正極活物質層100.0質量%に対して、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上20.0質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以上15.0質量%以下であることがさらに好ましい。
<バインダー(C)>
バインダー(C)は、下記重合体(C-a)または重合体(C-b)である。
重合体(C-a):固有粘度が3.5dL/g以下であるフッ化ビニリデンの単独重合体。
重合体(C-b):フッ化ビニリデンに由来する構成単位と、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位とを含有するフッ化ビニリデン共重合体であって、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、前記フッ化ビニリデン共重合体の全構成単位を100.0質量%とした場合にヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位が8.0重量%以下である。
重合体(C-a)または重合体(C-b)は、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制することを目的として用いられる。
なお、以下では、重合体(C-a)と重合体(C-b)とを特に区別する必要がない場合は、単に「バインダー(C)」として説明する。
バインダー(C)は、下記重合体(C-a)または重合体(C-b)である。
重合体(C-a):固有粘度が3.5dL/g以下であるフッ化ビニリデンの単独重合体。
重合体(C-b):フッ化ビニリデンに由来する構成単位と、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位とを含有するフッ化ビニリデン共重合体であって、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、前記フッ化ビニリデン共重合体の全構成単位を100.0質量%とした場合にヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位が8.0重量%以下である。
重合体(C-a)または重合体(C-b)は、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制することを目的として用いられる。
なお、以下では、重合体(C-a)と重合体(C-b)とを特に区別する必要がない場合は、単に「バインダー(C)」として説明する。
(重合体(C-a))
重合体(C-a)の固有粘度の上限は、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制する観点から、3.5dL/g以下であり、3.0dL/g未満であることが好ましく、2.5dL/g未満であることがより好ましい。
重合体(C-a)の固有粘度の上限は、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制する観点から、3.5dL/g以下であり、3.0dL/g未満であることが好ましく、2.5dL/g未満であることがより好ましい。
重合体(C-a)の固有粘度の下限は、特に限定されないが、製造上の観点から、0.3dL/g以上であることが好ましく、0.5dL/g以上であることがより好ましい。すなわち、固有粘度が0.3dL/g未満である重合体(C-a)を作製する場合、モノマーの濃度を薄くしたり、また、後述する連鎖移動剤を過剰量使用する必要がある。このような条件で重合を行うと、重合速度が非常に遅くなり、また、後述する懸濁重合を行う場合、懸濁安定性を保つことが難しくなる場合がある。
(重合体(C-b))
重合体(C-b)の構成単位は、本発明の効果を損なわない限り、前述したフッ化ビニリデン(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)とは異なる他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。このような他の単量体としては、例えば、水素結合性の極性官能基を有するモノマー(好ましくはカルボキシル基含有モノマー)が含まれる。 フッ化ビニリデンと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、2-カルボキシエチルメタクリレートなどの不飽和一塩基酸;マレイン酸、シトラコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステルなどの不飽和二塩基酸のモノエステル、アクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリロイロキシプロピルコハク酸、メタクリロイロキシエチルコハク酸、メタクリロイロキシプロピルコハク酸が含まれる。
重合体(C-b)の構成単位は、本発明の効果を損なわない限り、前述したフッ化ビニリデン(VDF)およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)とは異なる他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。このような他の単量体としては、例えば、水素結合性の極性官能基を有するモノマー(好ましくはカルボキシル基含有モノマー)が含まれる。 フッ化ビニリデンと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーの例には、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、2-カルボキシエチルメタクリレートなどの不飽和一塩基酸;マレイン酸、シトラコン酸などの不飽和二塩基酸;マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステルなどの不飽和二塩基酸のモノエステル、アクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリロイロキシプロピルコハク酸、メタクリロイロキシエチルコハク酸、メタクリロイロキシプロピルコハク酸が含まれる。
重合体(C-b)におけるヘキサフルオロプロピレン(HFP)に由来する構成単位の含有量は、重合体(C-b)の全構成単位を100質量%とした場合に、8.0質量%以下であり、7.5質量%以下であることが好ましい。
重合体(C-b)にマレイン酸モノメチル(MMM)に由来する構成単位が含まれる場合、該構成単位の含有量は、特に限定されないが、重合体(C-b)の全構成単位を100質量%とした場合に、1.0質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以下であることがより好ましい。
重合体(C-b)の固有粘度の上限は、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制する観点から、4.0dL/g以下であり、3.0dL/g未満であることが好ましく、2.5dL/g未満であることがより好ましい。
重合体(C-b)の固有粘度の下限は、集電体と正極活物質層との界面抵抗を抑制する観点から、1.3dL/g以上であることが好ましく、1.6dL/g以上であることがより好ましい。
重合体(C-a)および重合体(C-b)は、それぞれ単独で用いてもよいし、併用してもよい。
バインダー(C)の含有量は、特に限定されず、正極活物質層100.0質量%に対して、1.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上30.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以上20.0質量%以下であることがさらに好ましい。
(バインダー(C)の製造方法)
バインダー(C)の製造方法は特に限定されず、通常は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の方法で行われる。後処理の容易さ等の点から水系の懸濁重合、乳化重合が好ましく、水系の懸濁重合がより好ましい。
バインダー(C)の製造方法は特に限定されず、通常は、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の方法で行われる。後処理の容易さ等の点から水系の懸濁重合、乳化重合が好ましく、水系の懸濁重合がより好ましい。
水系の懸濁重合法としては特に限定されず、例えば、水系の媒体中、懸濁剤、重合開始剤、連鎖移動剤等の存在下で、重合に使用するモノマーを重合させる方法等が挙げられる。
懸濁剤としては、特に限定されず、例えば、メチルセルロース、メトキシ化メチルセルロース、プロポキシ化メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ゼラチン等が挙げられる。懸濁剤の使用量は特に限定されず、例えば、重合に使用する全モノマー100質量部に対して、0.005質量部以上1.0質量部以下であることが好ましく、0.01質量部以上0.4質量部以下であることがより好ましい。
重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-n-ヘプタフルオロプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチリルパーオキサイド、ジ(クロロフルオロアシル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロアシル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート等が挙げられる。重合開始剤の使用量は特に限定されず、例えば、重合に使用する全モノマー100.0質量部に対して、0.05質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.15質量部以上2.0質量部以下であることがより好ましい。
連鎖移動剤としては、特に限定されず、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、アセトン、炭酸ジエチル等が挙げられる。
また、重合に使用するモノマーの仕込量は、モノマーの合計:水の質量比で、通常は1:1~1:10であり、1:2~1:5であることが好ましい。懸濁重合を行う際の、重合温度、重合時間等の重合条件は、特に限定されず、例えば、公知の重合条件を採用してもよい。重合温度Tは、重合開始剤の10時間半減期温度T10に応じて適宜選択され、通常はT10-25℃≦T≦T10+25℃の範囲で選択される。例えば、t-ブチルパーオキシピバレートおよびジイソプロピルパーオキシジカーボネートのT10はそれぞれ、54.6℃および40.5℃(日油株式会社製品カタログ参照)である。したがって、t-ブチルパーオキシピバレートおよびジイソプロピルパーオキシジカーボネートを重合開始剤として用いた重合では、その重合温度Tはそれぞれ29.6℃≦T≦79.6℃および15.5℃≦T≦65.5℃の範囲で適宜選択される。重合時間は、特に制限されず、生産性等を考慮すると、1~24時間であることが好ましい。
<他の成分>
正極活物質層は、本発明の効果を損なわない限り、前述した正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含有してもよい。他の成分としては、公知の添加剤であれば全て使用することができ、例えば、導電助剤、アルミナやマグネシアやシリカ等の絶縁性無機フィラー、ポリテトラフルオロエチレンやポリイミドやポリアクリロニトリル等の絶縁性有機フィラー、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート等の可塑剤、LiPF6、LiFSI、LiTFSI等のLi塩、分散剤、難燃剤、消泡剤等が挙げられる。
正極活物質層は、本発明の効果を損なわない限り、前述した正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含有してもよい。他の成分としては、公知の添加剤であれば全て使用することができ、例えば、導電助剤、アルミナやマグネシアやシリカ等の絶縁性無機フィラー、ポリテトラフルオロエチレンやポリイミドやポリアクリロニトリル等の絶縁性有機フィラー、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート等の可塑剤、LiPF6、LiFSI、LiTFSI等のLi塩、分散剤、難燃剤、消泡剤等が挙げられる。
導電助剤(D)としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
導電助剤(D)の含有量は特に限定されないが、正極活物質層100.0質量%に対して、0.05質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上8.0質量%以下であることがさらに好ましい。
≪電極≫
電極とは、正極電極を意味する。電極は、集電体と、前述した正極活物質層を備える。
上記正極活物質層を備えることにより、電極は、集電体と正極活物質層との界面抵抗が抑制されるという効果を奏する。
電極とは、正極電極を意味する。電極は、集電体と、前述した正極活物質層を備える。
上記正極活物質層を備えることにより、電極は、集電体と正極活物質層との界面抵抗が抑制されるという効果を奏する。
(集電体)
集電体は、電気を取り出すための端子である。集電体の材質としては、特に限定されるものではなく、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属網等を用いることができる。また、他の媒体の表面に上記金属箔あるいは金属網等を施したものであってもよい。
集電体は、電気を取り出すための端子である。集電体の材質としては、特に限定されるものではなく、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス鋼、鋼、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属網等を用いることができる。また、他の媒体の表面に上記金属箔あるいは金属網等を施したものであってもよい。
電極の嵩密度としては、特に限定されず、例えば、1.5g/cm3以上5.0g/cm3以下であることが好ましい。
電極の目付量としては、特に限定されず、例えば、20g/m2以上1000g/m2以下であることが好ましい。
電極の目付量としては、特に限定されず、例えば、20g/m2以上1000g/m2以下であることが好ましい。
≪電極の製造方法≫
電極の製造方法としては、例えば、前述した正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)と、必要に応じて他の成分と、非水溶媒(S)とを混合して正極スラリーを作製する工程、得られた正極スラリーを集電体に塗布した後、乾燥させる工程を含む態様が挙げられる。すなわち、上記実施態様では、正極スラリーを乾燥させる工程を経て、正極活物質層が作製されるとともに、電極も作製される。
電極の製造方法としては、例えば、前述した正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)と、必要に応じて他の成分と、非水溶媒(S)とを混合して正極スラリーを作製する工程、得られた正極スラリーを集電体に塗布した後、乾燥させる工程を含む態様が挙げられる。すなわち、上記実施態様では、正極スラリーを乾燥させる工程を経て、正極活物質層が作製されるとともに、電極も作製される。
非水溶媒(S)としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(以下、「NMP」ともいう。)、ジメチルホルムアミド、N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスフォアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラメチルウレア、トリエチルホスフェイト、トリメチルホスフェイト、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフラン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
塗布方法としては、特に限定されず、例えば、ドクターブレード法、リバースロール法、コンマバー法、グラビヤ法、エアーナイフ法、ダイコート法、及びディップコート法等を適用することができる。
乾燥温度としては、例えば、80℃以上300℃以下であることが好ましく、90℃以上200℃以下であることがより好ましく、100℃以上180℃以下であることがさらに好ましい。
乾燥時間としては、例えば、10秒以上300分以下であることが好ましく、1分以上200分以下であることがより好ましい。
乾燥は、異なる温度で複数回行ってもよい。乾燥の際には、圧力を印加してもよい。
乾燥時間としては、例えば、10秒以上300分以下であることが好ましく、1分以上200分以下であることがより好ましい。
乾燥は、異なる温度で複数回行ってもよい。乾燥の際には、圧力を印加してもよい。
≪全固体電池≫
全固体電池は、前述した実施態様の電極を備える。全固体電池としては、正極以外の部材、例えば、負極、セパレータ等は従来公知のものを用いることができる。
全固体電池は、前述した実施態様の電極を備える。全固体電池としては、正極以外の部材、例えば、負極、セパレータ等は従来公知のものを用いることができる。
≪半固体電池≫
半固体電池は、前述した実施態様の電極を備える。半固体電池としては、正極以外の部材、例えば、負極、セパレータ等は従来公知のものを用いることができる。半固体電池に含有される電解液量は、電解液を含有する従来の二次電池に含まれる電解液の体積を100.0%としたとき、1.0~95.0%が好ましく、1.0~90.0%がより好ましく、1.0~80.0%がさらに好ましい。
半固体電池は、前述した実施態様の電極を備える。半固体電池としては、正極以外の部材、例えば、負極、セパレータ等は従来公知のものを用いることができる。半固体電池に含有される電解液量は、電解液を含有する従来の二次電池に含まれる電解液の体積を100.0%としたとき、1.0~95.0%が好ましく、1.0~90.0%がより好ましく、1.0~80.0%がさらに好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1~10及び比較例1~5]
<使用材料>
実施例および比較例において、正極活物質(A)として、下記A1~A2を用いた。
A1:LiFePO4
A2:NCM523
<使用材料>
実施例および比較例において、正極活物質(A)として、下記A1~A2を用いた。
A1:LiFePO4
A2:NCM523
実施例および比較例において、固体電解質(B)として、下記B1を用いた。
B1:Li1+x+yAlx Ti2x Siy P3yO12(LATP)(オハラ社製、「LICGCTMPW-01(粒径1μm)」)
B1:Li1+x+yAlx Ti2x Siy P3yO12(LATP)(オハラ社製、「LICGCTMPW-01(粒径1μm)」)
実施例および比較例において、バインダー(C)として、下記C1~C12を作製し、用いた。また、作製した各バインダーの固有粘度を下記方法に従い、測定した。
(固有粘度の測定)
各バインダー80mgを、N,N-ジメチルホルムアミド20mlに溶解させ、バインダー含有溶液を準備した。そして、当該バインダー含有溶液の粘度η1を、30℃の恒温槽内でウベローデ粘度計を用いて測定した。同様に、30℃の恒温槽内でウベローデ粘度計を用いて、N,N-ジメチルホルムアミドの粘度η0を測定した。そして、以下の式に基づき、固有粘度ηを求めた。
固有粘度η=(1/C)・ln(η1/η0)
各バインダー80mgを、N,N-ジメチルホルムアミド20mlに溶解させ、バインダー含有溶液を準備した。そして、当該バインダー含有溶液の粘度η1を、30℃の恒温槽内でウベローデ粘度計を用いて測定した。同様に、30℃の恒温槽内でウベローデ粘度計を用いて、N,N-ジメチルホルムアミドの粘度η0を測定した。そして、以下の式に基づき、固有粘度ηを求めた。
固有粘度η=(1/C)・ln(η1/η0)
(バインダーC1(PVDF)の作製例)
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水253.0質量部、メチルセルロース0.05質量部、フッ化ビニリデン(VDF)100質量部、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート0.6質量部、メタノール0.6質量部、酢酸エチル1.4質量部の各量を仕込み、26℃で重合を開始した。その後、昇温して40℃で12時間懸濁重合を行った。重合完了後、得られた重合体スラリーを95℃で30分間熱処理した後、脱水、水洗し、更に80℃で20時間乾燥を行い、バインダーC1を得た。バインダーC1には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC1の固有粘度(η)は1.1dL/gであった。
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水253.0質量部、メチルセルロース0.05質量部、フッ化ビニリデン(VDF)100質量部、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート0.6質量部、メタノール0.6質量部、酢酸エチル1.4質量部の各量を仕込み、26℃で重合を開始した。その後、昇温して40℃で12時間懸濁重合を行った。重合完了後、得られた重合体スラリーを95℃で30分間熱処理した後、脱水、水洗し、更に80℃で20時間乾燥を行い、バインダーC1を得た。バインダーC1には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC1の固有粘度(η)は1.1dL/gであった。
(バインダーC2(PVDF)の作製例)
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水231.8質量部、メチルセルロース0.05質量部、VDF100質量部、ジ-i-プロピルジオキシジカーボネート(IPP)0.7質量部、酢酸エチル0.7質量部の各量を仕込み、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC2を得た。バインダーC2には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC2の固有粘度(η)は2.1dL/gであった。
容積2リットルのオートクレーブに、イオン交換水231.8質量部、メチルセルロース0.05質量部、VDF100質量部、ジ-i-プロピルジオキシジカーボネート(IPP)0.7質量部、酢酸エチル0.7質量部の各量を仕込み、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC2を得た。バインダーC2には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC2の固有粘度(η)は2.1dL/gであった。
(バインダーC3(PVDF)の作製例)
イオン交換水を213.8質量部、IPPを0.3質量部、酢酸エチルを0.42質量部の仕込み量に変更した以外は、バインダーC2の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC3を得た。バインダーC3には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC3の固有粘度(η)は3.1dL/gであった。
イオン交換水を213.8質量部、IPPを0.3質量部、酢酸エチルを0.42質量部の仕込み量に変更した以外は、バインダーC2の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC3を得た。バインダーC3には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC3の固有粘度(η)は3.1dL/gであった。
(バインダーC4(PVDF)の作製例)
イオン交換水を312.5質量部、ジエチルカーボネートを3.5質量部、VDF100質量部、ペルオキシピバル酸-t-ブチル0.13質量部、酢酸エチルを0.1質量部の仕込み量に変更した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC4を得た。バインダーC4には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC4の固有粘度(η)は0.3dL/gであった。
イオン交換水を312.5質量部、ジエチルカーボネートを3.5質量部、VDF100質量部、ペルオキシピバル酸-t-ブチル0.13質量部、酢酸エチルを0.1質量部の仕込み量に変更した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC4を得た。バインダーC4には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC4の固有粘度(η)は0.3dL/gであった。
(バインダーC5(VDF/HFP)の作製例)
容積2Lのオートクレーブに、イオン交換水290質量部、メチルセルロース0.15質量部、フッ化ビニリデン(VDF)57.9質量部、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)7.8質量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.9質量部を入れ、45℃で重合した。VDF34.3質量部をアフターチャージし、共重合体を得た。得られた共重合体を、95℃で60分熱処理した後、脱水、水洗し、さらに80℃で20時間乾燥して、バインダーC5を得た。バインダーC5には、全構成単位量に対して、VDFが94.3質量%、HFPが5.7質量%含まれていた。バインダーC5の固有粘度(η)は1.5dL/gであった。
容積2Lのオートクレーブに、イオン交換水290質量部、メチルセルロース0.15質量部、フッ化ビニリデン(VDF)57.9質量部、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)7.8質量部、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート0.9質量部を入れ、45℃で重合した。VDF34.3質量部をアフターチャージし、共重合体を得た。得られた共重合体を、95℃で60分熱処理した後、脱水、水洗し、さらに80℃で20時間乾燥して、バインダーC5を得た。バインダーC5には、全構成単位量に対して、VDFが94.3質量%、HFPが5.7質量%含まれていた。バインダーC5の固有粘度(η)は1.5dL/gであった。
(バインダーC6(VDF/HFP)の作製例)
イオン交換水を253.0質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを90.0質量部、HFPを10.0質量部、IPPを0.4質量部、酢酸エチル1.0質量部とした以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFおよびHFPを重合し、バインダーC6を得た。バインダーC6には、全構成単位に対してVDFが93.0質量%、HFPが7.0質量%含まれていた。また、バインダーC6の固有粘度(η)は1.9dL/gであった。
イオン交換水を253.0質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを90.0質量部、HFPを10.0質量部、IPPを0.4質量部、酢酸エチル1.0質量部とした以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFおよびHFPを重合し、バインダーC6を得た。バインダーC6には、全構成単位に対してVDFが93.0質量%、HFPが7.0質量%含まれていた。また、バインダーC6の固有粘度(η)は1.9dL/gであった。
(バインダーC7(VDF/HFP/MMM)の作製例)
イオン交換水を240.2質量部、メチルセルロースを0.2質量部、VDFを96.7質量部、HFPを3.0質量部、マレイン酸モノメチル(MMM)を0.3質量部、IPPを0.47質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDF、HFPおよびMMMを重合し、バインダーC7を得た。なお、バインダーC7中の各モノマーの量は、VDF/HFP比を、19F-NMRによって算出し、VDF/MMM比を後述の方法により算出した後、VDF、HFPおよびMMMの合計が100mol%になるように計算することにより求めた。
重合体中のVDF/MMM比(フッ化ビニリデンに由来する構成単位の量とマレイン酸モノメチルに由来する構成単位の量とのモル比)は、国際公開第2009/084483号に開示されたIRスペクトルと検量線を用いた算出方法に基づき算出した。バインダーC7には、全構成単位に対してVDFが97.4質量%、HFPが2.3質量%、MMMが0.3質量%含まれていた。また、バインダーC7の固有粘度(η)は3.0dL/gであった。
イオン交換水を240.2質量部、メチルセルロースを0.2質量部、VDFを96.7質量部、HFPを3.0質量部、マレイン酸モノメチル(MMM)を0.3質量部、IPPを0.47質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDF、HFPおよびMMMを重合し、バインダーC7を得た。なお、バインダーC7中の各モノマーの量は、VDF/HFP比を、19F-NMRによって算出し、VDF/MMM比を後述の方法により算出した後、VDF、HFPおよびMMMの合計が100mol%になるように計算することにより求めた。
重合体中のVDF/MMM比(フッ化ビニリデンに由来する構成単位の量とマレイン酸モノメチルに由来する構成単位の量とのモル比)は、国際公開第2009/084483号に開示されたIRスペクトルと検量線を用いた算出方法に基づき算出した。バインダーC7には、全構成単位に対してVDFが97.4質量%、HFPが2.3質量%、MMMが0.3質量%含まれていた。また、バインダーC7の固有粘度(η)は3.0dL/gであった。
(バインダーC8(VDF/CTFE)の作製例)
イオン交換水を256.6質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを96.0質量部、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を4.0質量部、IPPを0.6質量部、酢酸エチルを0.59質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFおよびCTFEを重合し、バインダーC8を得た。バインダーC8には、全構成単位に対してVDFが96.0質量%、CTFEが4.0質量%含まれていた。バインダーC8の固有粘度(η)は2.1dL/gであった。
イオン交換水を256.6質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを96.0質量部、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を4.0質量部、IPPを0.6質量部、酢酸エチルを0.59質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFおよびCTFEを重合し、バインダーC8を得た。バインダーC8には、全構成単位に対してVDFが96.0質量%、CTFEが4.0質量%含まれていた。バインダーC8の固有粘度(η)は2.1dL/gであった。
(バインダーC9(VDF/HFP/MMM)の作製例)
イオン交換水を259.0質量部、メチルセルロースを0.2質量部、VDFを90質量部、HFPを10質量部、MMMを0.5質量部、IPPを2.0質量部、酢酸エチルを0.17質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDF、HFPおよびMMMを重合し、バインダーC9を得た。バインダーC9には、全構成単位に対してVDFが93.3質量%、HFPが6.2質量%、MMMが0.5質量%含まれていた。バインダーC9の固有粘度(η)は1.2dL/gであった。
イオン交換水を259.0質量部、メチルセルロースを0.2質量部、VDFを90質量部、HFPを10質量部、MMMを0.5質量部、IPPを2.0質量部、酢酸エチルを0.17質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDF、HFPおよびMMMを重合し、バインダーC9を得た。バインダーC9には、全構成単位に対してVDFが93.3質量%、HFPが6.2質量%、MMMが0.5質量%含まれていた。バインダーC9の固有粘度(η)は1.2dL/gであった。
(バインダーC10(VDF/HFP/MMM)の作製例)
イオン交換水を243.1質量部、メチルセルロースを0.2質量部、VDFを86.0質量部、HFPを13.5質量部、MMMを0.5質量部、IPPを1.77質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDF、HFPおよびMMMを重合し、バインダーC10を得た。バインダーC10には、全構成単位に対してVDFが89.5質量%、HFPが10.0質量%、MMMが0.5質量%含まれていた。バインダーC10の固有粘度(η)は1.5dL/gであった。
イオン交換水を243.1質量部、メチルセルロースを0.2質量部、VDFを86.0質量部、HFPを13.5質量部、MMMを0.5質量部、IPPを1.77質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDF、HFPおよびMMMを重合し、バインダーC10を得た。バインダーC10には、全構成単位に対してVDFが89.5質量%、HFPが10.0質量%、MMMが0.5質量%含まれていた。バインダーC10の固有粘度(η)は1.5dL/gであった。
(バインダーC11(PVDF)の作製例)
イオン交換水を217質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを100質量部、IPPを0.09質量部、酢酸エチルを0.25質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC11を得た。バインダーC11には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC11の固有粘度(η)は4.2dL/gであった。
イオン交換水を217質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを100質量部、IPPを0.09質量部、酢酸エチルを0.25質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFを重合し、バインダーC11を得た。バインダーC11には、全構成単位に対してVDFが100.0質量%含まれていた。バインダーC11の固有粘度(η)は4.2dL/gであった。
(バインダーC12(VDF/HFP)の作製例)
イオン交換水を256.0質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを90.0質量部、HFPを10質量部、IPPを0.1質量部、酢酸エチルを0.2質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFおよびHFPを重合し、バインダーC12を得た。バインダーC12には、全構成単位に対してVDFが93.0質量%、HFPが7.0質量%含まれていた。バインダーC12の固有粘度(η)は4.4dL/gであった。
イオン交換水を256.0質量部、メチルセルロースを0.05質量部、VDFを90.0質量部、HFPを10質量部、IPPを0.1質量部、酢酸エチルを0.2質量部使用した以外は、バインダーC1の作製例と同様の方法で、VDFおよびHFPを重合し、バインダーC12を得た。バインダーC12には、全構成単位に対してVDFが93.0質量%、HFPが7.0質量%含まれていた。バインダーC12の固有粘度(η)は4.4dL/gであった。
得られたバインダーC1~C12の詳細情報を表1に示す。
実施例および比較例において、導電助剤(D)として、下記D1~D2を用いた。
D1:カーボンナノチューブ(CNT)分散液
D2:SuperP
D1:カーボンナノチューブ(CNT)分散液
D2:SuperP
実施例および比較例において、非水溶媒(S)として、下記S1を用いた。
S1:N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
S1:N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
(正極スラリーの作製)
バインダー(C)の濃度が任意の濃度となるように、各バインダー(C)を室温でN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散し、その後溶液温度を50℃に昇温して各バインダー(C)を溶解させた(以下、「バインダー溶液」と称す。)。正極活物質(A)、固体電解質(B)、導電助剤(D)、および上記各バインダー溶液を用い、各成分を下記表2に記載の含有量になるように混合し、各正極スラリーを得た。正極スラリーの固形分はNMPを用いて調整した。
バインダー(C)の濃度が任意の濃度となるように、各バインダー(C)を室温でN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に分散し、その後溶液温度を50℃に昇温して各バインダー(C)を溶解させた(以下、「バインダー溶液」と称す。)。正極活物質(A)、固体電解質(B)、導電助剤(D)、および上記各バインダー溶液を用い、各成分を下記表2に記載の含有量になるように混合し、各正極スラリーを得た。正極スラリーの固形分はNMPを用いて調整した。
(正極電極の作製)
得られた各正極スラリーをAl箔(厚さ15μm)に塗布した後、120℃で乾燥させた。得られた各予備正極電極をプレスし、120℃で3時間熱処理をさらに実施した。これにより、LiFePO4を活物質とした場合には電極嵩密度が2.3g/cm3であり、NCM523を活物質とした場合には電極嵩密度が3.3g/cm3であり、いずれの活物質を用いた場合も目付け量が200g/m2である各正極電極を得た。
得られた各正極スラリーをAl箔(厚さ15μm)に塗布した後、120℃で乾燥させた。得られた各予備正極電極をプレスし、120℃で3時間熱処理をさらに実施した。これにより、LiFePO4を活物質とした場合には電極嵩密度が2.3g/cm3であり、NCM523を活物質とした場合には電極嵩密度が3.3g/cm3であり、いずれの活物質を用いた場合も目付け量が200g/m2である各正極電極を得た。
<評価>
得られた各正極電極の電極抵抗を、以下の方法に従い測定した。
得られた各正極電極の電極抵抗を、以下の方法に従い測定した。
(界面抵抗)
作製した各正極電極をΦ14mmに打ち抜き、計3枚の測定サンプルを作製した。電極抵抗測定システムRM2610(日置電機株式会社)を用いて、測定サンプル1枚につき5点測定を行った。合計15個の測定データの平均値から界面抵抗(Ω・cm2)を求めた。結果を表2に示す。
作製した各正極電極をΦ14mmに打ち抜き、計3枚の測定サンプルを作製した。電極抵抗測定システムRM2610(日置電機株式会社)を用いて、測定サンプル1枚につき5点測定を行った。合計15個の測定データの平均値から界面抵抗(Ω・cm2)を求めた。結果を表2に示す。
表2から、固有粘度が3.5dL/gを超えるバインダーC11(PVDF)を含む正極活物質層を備える比較例4の正極電極では、界面抵抗が1.03Ω・cm2もあった。一方、固有粘度が3.5dL/g以下であるバインダーC1~C4(いずれも、PVDF)を含む正極活物質層を備える正極電極では、実施例1~4に示すように、界面抵抗が最大でも0.50Ω・cm2しかなく、集電体と電極活物質との界面抵抗が大きく抑制されたことが分かる。
また、固有粘度が1.3dL/g未満であるバインダーC9(VDF/HFP/MMM)、固有粘度が4.0dL/gを超えるバインダーC12(VDF/HFP)、HFPに由来する構成単位が8質量%を超えるバインダーC10(VDF/HFP/MMM)を含む正極活物質層を備える比較例2、3、5の正極電極では、界面抵抗が最小でも0.79Ω・cm2にとどまった。
一方、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、HFPに由来する構成単位が8質量%以下であるバインダーC5~C6(VDF/HFP)、バインダーC7(VDF/HFP/MMM)を含む正極活物質層を備える正極電極では、実施例5~7に示すように、界面抵抗が最大でも0.56Ω・cm2しかなく、集電体と電極活物質との界面抵抗が抑制されたことが分かる。
一方、上記固有粘度範囲を満たすものの、HFPの代わりにCTFEに由来する構成単位を含有するバインダーC8(VDF/CTFE)を含む正極活物質層を備える正極電極では、比較例1に示すように、界面抵抗が0.74Ω・cm2にとどまった。
また、固有粘度が1.3dL/g未満であるバインダーC9(VDF/HFP/MMM)、固有粘度が4.0dL/gを超えるバインダーC12(VDF/HFP)、HFPに由来する構成単位が8質量%を超えるバインダーC10(VDF/HFP/MMM)を含む正極活物質層を備える比較例2、3、5の正極電極では、界面抵抗が最小でも0.79Ω・cm2にとどまった。
一方、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、HFPに由来する構成単位が8質量%以下であるバインダーC5~C6(VDF/HFP)、バインダーC7(VDF/HFP/MMM)を含む正極活物質層を備える正極電極では、実施例5~7に示すように、界面抵抗が最大でも0.56Ω・cm2しかなく、集電体と電極活物質との界面抵抗が抑制されたことが分かる。
一方、上記固有粘度範囲を満たすものの、HFPの代わりにCTFEに由来する構成単位を含有するバインダーC8(VDF/CTFE)を含む正極活物質層を備える正極電極では、比較例1に示すように、界面抵抗が0.74Ω・cm2にとどまった。
Claims (7)
- 正極活物質(A)と、固体電解質(B)と、バインダー(C)とを含有する、正極活物質層であって、
前記バインダー(C)が、下記重合体(C-a)または重合体(C-b)である、正極活物質層。
重合体(C-a):固有粘度が3.5dL/g以下であるフッ化ビニリデンの単独重合体。
重合体(C-b):フッ化ビニリデンに由来する構成単位と、ヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位とを含有するフッ化ビニリデン共重合体であって、固有粘度が1.3dL/g以上4.0dl/g以下であり、前記フッ化ビニリデン共重合体の全構成単位を100.0質量%とした場合にヘキサフルオロプロピレンに由来する構成単位が8.0質量%以下である。 - 前記重合体(C-a)または重合体(C-b)の固有粘度が3.0dL/g未満である、請求項1に記載の正極活物質層。
- 前記固体電解質(B)が酸化物系固体電解質である、請求項1または2に記載の正極活物質層。
- 前記固体電解質(B)が、下記式(1):
Li1+x+yAlxTi2-xSiyP3-yO12 ・・・(1)
(式(1)中、xおよびyは、0≦x≦1、0≦y≦1を満たす。)
で表される材料を含む、請求項3に記載の正極活物質層。 - 前記正極活物質(A)が、リン酸金属リチウムを含有し、
前記リン酸金属リチウムが、LiFePO4、LiMnPO4、LiCoPO4、およびLiNiPO4からなる群より選択される、請求項1または2に記載の正極活物質層。 - 集電体と、請求項1または2に記載の正極活物質層を備える電極。
- 請求項6に記載の電極を備える半固体電池または全固体電池。
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