JP7733987B2 - 熱可塑性エラストマー組成物及びその用途 - Google Patents
熱可塑性エラストマー組成物及びその用途Info
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Description
本発明の課題は、要求性能を満足する硬度を有し、表面に低凹凸シボ加工が施されていても、耐傷性が良好な熱可塑性エラストマー組成物および成形体を提供することにある。
(A)プロピレン系重合体:100質量部、
(B)エチレンと炭素数3~20のα-オレフィン単位を含むエチレン・α―オレフィン共重合体:45~400質量部の範囲、
(C)軟化剤:5~250質量部の範囲、
(D)共役ジエン単量体単位を主体とするブロックと、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックと、をそれぞれ少なくとも1つずつ有するブロック共重合体の水素添加物:90~300質量部の範囲。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成分の一つであるプロピレン系重合体(A)〔以下、「成分(A)」と呼称する場合がある。〕は、該重合体を構成する構成単位のうち、プロピレンに由来する構成単位の含有量が50モル%以上である重合体のことをいい、成分(A)中のプロピレンに由来する構成単位の含有量は、90モル%以上であることが好ましい。
本発明に係る成分(A)は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレンとプロピレン以外のコモノマーとの共重合体であってもよい。
本発明に係る成分(A)は、従来公知の方法で合成してもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばサンアロマー(株)のポリプロピレン、(株)プライムポリマーのプライムポリプロ、日本ポリプロピレン(株)のノバテック、SCG Plastics社のSCG PP等が挙げられる。
本発明に係る成分(A)のMFRが前記範囲にあると、耐熱性、機械的強度、流動性、成形加工性に優れる組成物を容易に得ることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成分の一つであるエチレン・α―オレフィン共重合体(B)は、エチレンから導かれる単位と炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる単位とを含むエチレン・α-オレフィン共重合体である。
本発明に係る成分(B)は、通常、密度が0.8~0.9g/cm3の範囲にある。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成分の一つである軟化剤(C)〔以下、「成分(C)」と呼称する場合がある。〕は、特に限定されないが通常ゴムに使用される可塑剤を用いることができる。上記プロピレン系重合体(A)およびエチレン・α―オレフィン共重合体(B)などとの相溶性の観点から、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等の炭化水素からなるプロセスオイルが好ましい。これら成分(C)の中でも耐候性や着色性の観点からパラフィン系炭化水素主体のプロセスオイルが好ましく、相溶性の観点からナフテン系炭化水素主体のプロセスオイルが好ましい。熱及び光安定性の観点から、プロセスオイル中の芳香族系炭化水素の含有量は、ASTM D2140-97に規定する炭素数比率で、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成分の一つであるブロック共重合体の水素添加物(D)〔以下、「成分(D)」、あるいは「水添物(D)」と呼称する場合がある。〕は、共役ジエン単量体単位を主体とするブロックと、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックとをそれぞれ少なくとも1つずつ有するブロック共重合体の水素添加物である。
ここで、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
本発明に係る成分(D)中のビニル芳香族単量体単位ブロックの含有量は、機械的強度の観点から、10質量%以上であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。ここで、成分(D)中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は、四酸化オスミウムを触媒として水添前の共重合体をtert-ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I. M. Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、「四酸化オスミウム分解法」ともいう。)により得たビニル芳香族化合物重合体ブロックの質量(ここで、平均重合度が約30以下のビニル芳香族化合物重合体は除かれている)を用いて、下記式で定義される。
ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量(質量%)=(水添前の共重合体中のビニル芳香族化合物重合体ブロックの質量/水添前の共重合体の質量)×100
(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、
(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、
(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒を用いることができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物に含まれてよい成分の一つであるポリオルガノシロキサン(E)〔以下、「成分(E)」と呼称する場合がある。〕の構造としては、特に限定されないが、耐摩耗性や手触り感の観点から、直鎖状、分岐状、又は架橋構造のポリマー構造をとることが好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、前記プロピレン系重合体(A)、当該プロピレン系重合体(A)100質量部に対して、前記エチレン・α―オレフィン共重合体(B)は柔軟性と耐傷性の観点から45~400質量部、好ましくは50~350質量部、より好ましくは60~300質量部、前記軟化剤(C)は成形性と耐熱性の観点から5~250質量部、好ましくは5~200質量部、より好ましくは5~170質量部および前記ブロック共重合体の水素添加物(D)は成形性と耐傷性の観点から、90~300質量部、好ましくは95~290質量部、より好ましくは100~285質量部の範囲で含む。
本発明に係る成分(F)は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を動的に熱処理することにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の成分である成分(A)と成分(B)および成分(D)の架橋開始剤等として働く。
本発明に係る有機過酸化物(F)の具体例としては、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m-トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウリレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類等が挙げられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(F)を含む場合は、その含有量は、成分(A)100質量部に対して、成形流動性の観点から、好ましくは2~6質量部、より好ましくは2~4質量部含む。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が成分(F)を含む場合は、下記架橋助剤を併用することが好ましい。
本発明に係る架橋助剤は、種々公知の架橋助剤、具体的には、単官能単量体や多官能単量体が挙げられる。かかる架橋助剤は架橋反応速度を制御することができる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物が架橋助剤を含む場合は、成分(F)100質量部に対して、1~100質量部、好ましくは1~50質量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物を動的架橋することにより、熱可塑性エラストマー組成物に含まれる成分(A)、成分(B)および成分(D)の少なくとも一部が架橋される。動的架橋を行う際には、前記成分(F)の存在下、あるいは前記成分(F)と前記架橋助剤の存在下に、動的に熱処理するのがよい。
なお、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に対し、動的に熱処理する前の組成物を「組成物1」とも呼び、動的に熱処理されてなる組成物を「組成物2」とも呼ぶ。
前記ショアA硬度(10秒値)は具体的には、下記実施例に記載の方法で測定できる。
無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、酸化チタン、クレー、マイカ、タルク、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
その他の添加剤としては、例えば、カーボンブラックや二酸化チタン又はフタロシアニンブラック等の有機・無機顔料;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノールやn-オクタデシル-3-(3,5'-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の熱安定剤;トリスノニルフェニルフォスファイトやジステアリルペンタエリストールジホスファイト等の酸化防止剤;2-(2'-ヒドロキシ-5'メチルフェニル)ベンゾトリアゾールや2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;ビス-[2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル]セバケート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート等の光安定剤;ポリリン酸アンモニウムやトリオクチルホスフェート及び水酸化マグネシウム等の難燃剤;ジメチルシリコンオイルやメチルフェニルシリコンオイル等のシリコンオイル;ステアリン酸アミドやエルカ酸アミド等のアンチブロッキング剤;重炭酸ナトリウムやN,N'-ジニトロソペンタメチレンテトラミン等の発泡剤;パルミチン酸モノグリセライドやステアリン酸モノグリセライド等の帯電防止剤;銀イオン担持ゼオライトやチオサルファイト銀錯体等の抗菌剤等が挙げられる。
本発明に係る成形体は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物を含めば特に制限されず、用途に応じて、任意の既知の成形法を用いて成形された成形体である。成形法の例としては、例えば、プレス成形、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、中空成形法、真空成形法、圧縮成形法が挙げられる。生産性や複雑な形状を容易に形成できるという観点から、射出成形法を用いて成形した射出成形体であることが好ましい。
本発明に係る成形体の使用し得る自動車部品としては、例えば、ウェザーストリップ、天井材、内装シート、バンパーモール、サイドモール、エアスポイラー、エアダクトホース、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、フラッパードアシール、ワイヤーハーネスグロメット、ラックアンドピニオンブーツ、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド 、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウィンドガスケット、コーナーモールディング、グラスエンキャプシュレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、各種パッキン類、バンパー部品、ボディパネル、サイドシールド、グラスランチャンネル、インストルメントパネル表皮、ドア表皮、天井表皮、ウェザーストリップ材、ホース、ステアリングホイール、ブーツ、ワイヤーハーネスカバー、シートアジャスターカバー等を例示でき、中でも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、風合いや触感をよくすることができるので、特に好ましい。
本発明に係る成形体の使用し得る土木・建材用品としては、例えば、地盤改良用シート、上水板、騒音防止壁等の土木資材や建材、土木・建築用各種ガスケット及びシート、止水材、目地材、建築用窓枠などを例示でき、中でも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、風合いや触感をよくすることができるので、特に好ましい。
本発明に係る成形体の使用し得る電気・電子部品としては、例えば、電線被覆材、コネクター、キャップ、プラグ等の電気・電子部品などを例示でき、中でも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、風合いや触感をよくすることができるので、特に好ましい。
本発明に係る成形体の使用し得る生活関連用品としては、スポーツシューズソール、スキーブーツ、テニスラケット、スキー板のビンディング、バットグリップなどのスポーツ用品、ペングリップ、歯ブラシグリップ、ヘアブラシ、ファッションベルト、各種キャップ、靴インナーソールなどの雑貨用品などを例示でき、中でも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、風合いや触感をよくすることができるので、特に好ましい。
本発明に係る成形体の使用し得るフィルム・シートとしては、例えば、輸液バッグ、医療容器、自動車内外装材、飲料ボトル、衣装ケース、食品包材、食品容器、レトルト容器、パイプ、透明基板、シーラントなどを例示でき、中でも、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、風合いや触感をよくすることができるので、特に好ましい。
本発明に係る成形体の使用し得る人造皮革としては、例えば、椅子表皮、鞄、ランドセル、陸上競技用シューズやマラソンシューズ、ランニング用シューズなどのスポーツ用シューズ、ジャンバー、コートなどのウェア、帯、襷、リボン、手帳カバー、ブックカバー、キーホルダー、ペンケース、財布、名刺入れ、定期入れなどを例示でき、中でも本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、皮革に風合いや触感をよくすることができるので、特に好ましい。
実施例及び比較例で用いた原材料の各成分の試験法は以下の通りである。
水添率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定した。測定機器として核磁気共鳴測定装置(JEOL社製、装置名「JNM-LA400」)を用い、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、化学シフト基準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。サンプル濃度50mg/mL、観測周波数400MHz、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°及び測定温度26℃の条件で測定を行った。
ビニル芳香族単量体単位、エチレン単量体単位、ブチレン単量体単位、ブタジエンの1,4-結合単位、1,2-結合単位及び3,4-結合単位の各含有量は、NMRにより測定した。測定機器として核磁気共鳴測定装置(JEOL社製、装置名「JNM-LA400」)を用い、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、化学シフト基準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。サンプル濃度50mg/mL、観測周波数400MHz、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°及び測定温度26℃の条件で測定を行った。
スチレン重合体ブロック含有量は、水添前の共重合体を用いて、I. M. Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法(四酸化オスミウム分解法)により測定した。水添前の共重合体の分解にはオスミウム酸の0.1g/125mL第3級ブタノール溶液を用いた。スチレン重合体ブロック含有量は、下記式にて算出した。ここで得られるスチレン重合体ブロック含有量を「Os値」と称する。
スチレン重合体ブロック含有量(Os値;質量%)
=[(水添前の共重合体中のスチレン重合体ブロックの質量)/(水添前の共重合体の質量)]×100
粘弾性測定解析装置(ARES、Ta Instruments社製)を用い、粘弾性スペクトルを測定することで求めた。ひずみ0.1%、周波数1Hzの条件で測定した。
〔プロピレン系重合体(A)〕
プロピレン系重合体(A-1)として、230℃、2.16kg荷重条件におけるメルトフローレート(MFR):2.0g/10分)のプロピレン単独重合体(ホモPP)(商品名 サンアロマー(登録商標) PL400A サンアロマー社製)を用いた。
エチレン・α―オレフィン共重合体(B-1)として、エチレン・1-オクテン共重合体(ダウ・ケミカル社製、商品名「エンゲージ8842」)を使用した。共重合体のエチレンの含有量は55質量%であり、オクテンの含有量は45質量%、温度;190℃、荷重;2.16kgの条件下で測定したMFRは1.0g/10分である。
軟化剤(C-1)として、パラフィン系オイル(出光興産社製、商品名「ダイアナプロセスオイル PW-100」)を用いた。
ブロック共重合体の水素添加物(D)として、以下に示す方法で製造したブロック共重合体の水添物を用いた。
(1)水添触媒の調製
ブロック共重合体の水添反応に用いた水添触媒は下記の方法で調製した。窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながら、トリメチルアルミニウム200mmolを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
(2)ブロック共重合体の水添物の製造
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに、シクロヘキサン6.4L、スチレン75gを加え、予めTMEDAをn-ブチルリチウムのLiモル数の0.25倍モルになるように添加し、n-ブチルリチウム開始剤のLiのモル数として10ミリモルとなるように添加し、初期温度65℃で重合し、重合終了後、ブタジエン470gとスチレン380gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、重合集合後、スチレン75gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を10分間かけて添加して共重合体(D-1‘)を得た。
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに、乾燥及び精製したシクロヘキサン6.4L、スチレン175gを加え、予めテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn-ブチルリチウム開始剤のLiモル数の0.30倍モルになるように添加し、n-ブチルリチウム開始剤のLiのモル数として11mmolとなるように添加した。そして、初期温度65℃で重合し、重合終了後、ブタジエン650gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した後、スチレン175gを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22質量%)を10分間かけて更に添加して共重合体(D-2‘)を得た。得られた共重合体(D-2’)のスチレン重合体ブロック含有量は35質量%、ビニル結合含有量は36%であった。
ポリオルガノシロキサン(E-1)として、ジメチルシロキサンを50質量%とポリプロピレン50質量%とからなるマスターバッチ(デュポン・東レ・スペシャルティ・マテリアル社製、商品名「MB50-001」)を用いた。
有機過酸化物(F)として、下記有機過酸化物と下記架橋助剤の混合物を使用した。
有機過酸化物:2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂社製、商品名「パーヘキサ25B」) 100質量部
架橋助剤:ジビニルベンゼン(和光純薬社製;以下、「DVB」と称する。)15質量部
<組成物の製造>
押出機として、バレル中央部にオイル注入口を有した二軸押出機(30mmφ、L/D=74;神戸製鋼所製、「KTX-30」)を用いた。スクリューとしては注入口の前後に混練部を有した2条スクリューを用いた。表1に記載した軟化剤以外の原料を表1に示した組成比(質量部比)で一括混合したのち、二軸押出機(シリンダー温度200℃)に定量フィーダーで導入し、引き続き、押出機の中央部にある注入口より表1に示した量の軟化剤をポンプにより注入し、溶融押出を行い、熱可塑性エラストマー組成物を得た。
射出成形機は、株式会社名機製作所製「M150CL-DM」を用いた。成形条件は、樹脂温度220℃、金型温度40℃で実施した。縦15cm×横9cmの大きさを有し、皮シボ加工が施された平板金型を用いて、前記で得られた熱可塑性エラストマー組成物の射出成形を行った。平板金型はシボ形状の異なる2種を用い、通常シボ(平均算術粗さRa=20μm)と、微細シボ(Ra=6μm)の2種類の粗さを持つ成形品を、それぞれ射出成形体サンプルとして作成した。
(1)MFR(g/10分)
上記で得られた熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレートは、JIS K7120に準拠して、230℃、1.2kg荷重の条件にて測定した。
(2)ショアA硬度測定
上記で得られた熱可塑性エラストマー組成物から厚さ2mmのプレスシートを作製し、このプレスシートを3枚重ねて得られた厚み6mmの積層されたシートを測定サンプルとして用いた。
上記で得られた2種の粗さをもつ射出成形体サンプル(通常シボ成形体サンプル、微細シボ成形体サンプル)に対し、ペンシル型引っ掻き硬度計(エリクセン社製、318/318S No.2)を使用し、荷重10Nにて縦方向と横方向それぞれに10本ずつ引っ掻き傷をつけた。中央の格子部分の傷を目視で観察して評価を行った。評価は、以下の基準で行った。
A: 傷による外観変化はほとんど認められない
B: 傷による外観変化がわずかに認められる
C: 傷による外観変化が認められる
D: 傷による外観変化が著しい
用いた原料を表1に記載の配合に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、サンプルの作成および評価を行った。
表1に示すように、実施例1~4の熱可塑性エラストマー組成物から得られる射出成形体は、要求性能を満足する硬度を有しながら、通常シボおよび微細シボの両方のシボ形状で耐傷性に優れていることがわかる。
Claims (6)
- 下記(A)~(E)を含み、下記(A)、(B)および(D)の少なくとも一部が架橋されてなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物であり、
下記(1)、(2)および(3)を満たす熱可塑性エラストマー組成物;
(A)プロピレン系重合体:100質量部、
(B)エチレンから導かれる単位と炭素数3~20のα-オレフィンから導かれる単位とを含むエチレン・α-オレフィン共重合体:143~400質量部の範囲、
(C)軟化剤:5~200質量部の範囲、
(D)共役ジエン単量体単位を主体とするブロックと、ビニル芳香族単量体単位を主体とするブロックと、をそれぞれ少なくとも1つずつ有するブロック共重合体の水素添加物:
243~300質量部の範囲、
(E)ポリオルガノシロキサン:2~20質量部の範囲、
(1)前記(A)がプロピレン単独重合体である;
(2)前記(D)のビニル芳香族単量体単位ブロックの含有量が10質量%以上である;
(3)前記(D)のビニル芳香族単量体単位の含有量が30~80質量%である。 - 前記(B)と前記(C)の質量比(C/B)が、0.0125以上3未満である、請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 前記(D)の共役ジエン単量体単位を主体とするブロックが、共役ジエン単量体単位を主体として含み、かつビニル芳香族単量体単位を含む、共重合体ブロックの水素添加物(D1)を含む、請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 動的に熱処理されてなる、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物を含む射出成形体。
- 請求項5に記載の射出成形体からなる自動車内装部品。
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