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JP7735724B2 - 熱硬化性樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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JP7735724B2 - 熱硬化性樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物及び半導体装置

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Description

本開示は、熱硬化性樹脂組成物及び半導体装置に関する。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化等に伴い、実装の高密度化が進んでいる。これにより、電子部品装置の主流は、従来のピン挿入型のパッケージから表面実装型のパッケージへと変化しつつある。
表面実装型のパッケージは、従来のピン挿入型のものと実装方法が異なっている。すなわち、ピンを配線板に取り付ける際、従来のピン挿入型パッケージではピンを配線板に挿入した後に配線板の裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが直接高温にさらされることはなかった。しかし、表面実装型パッケージでは電子部品装置全体が半田バス、リフロー装置等で処理されるため、パッケージが直接はんだ付け温度(リフロー温度)にさらされる。この結果、パッケージが吸湿した場合、はんだ付けの際に吸湿による水分が急激に膨張し、発生した蒸気圧が剥離応力として働くため、半導体素子、リードフレーム等のインサートと当該インサートを封止する熱硬化性樹脂組成物で構成される封止材料の硬化物との間で剥離が発生し、パッケージクラック、電気的特性不良等の原因となる場合がある。このため、インサートに対する接着性に優れ、ひいてははんだ耐熱性(耐リフロー性)に優れる封止材料及びその硬化物の開発が望まれている。
上記の要求に対応するために、封止材料に含まれる無機充填材の改質材として、シランカップリング剤の使用が検討されている。具体的には、エポキシ基含有シランカップリング剤又はアミノ基含有シランカップリング剤の使用(例えば、特許文献1参照)、硫黄原子含有シランカップリング剤の使用(例えば、特許文献2参照)等が検討されている。
さらに、耐リフロー性に優れるエポキシ樹脂組成物として、(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)硬化促進剤、(D)ホスファゼン化合物、(E)シリカ及び(F)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシランの群から選ばれる少なくとも1種以上のシランカップリング剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。特許文献3では、シランカップリング剤で表面処理されたシリカが用いられる。表面処理されたシリカの含有率は、全エポキシ樹脂組成物中に85質量%~93質量%とされる。
特開平11-147939号公報 特開2000-103940号公報 特開2004-67774号公報
しかしながら、特許文献1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物で構成される封止材料をもってしても、未だ耐リフロー性を実用的に充分に満足させることができないのが現状である。
一方、特許文献3に記載のエポキシ樹脂組成物では表面処理されたシリカの含有率が高いため、エポキシ樹脂組成物の流動性が悪化して未充填箇所が生じやすい場合がある。未充填箇所が生ずると、耐リフロー性が悪化する傾向にある。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、耐リフロー性に優れる熱硬化性樹脂組成物及びこの熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、
前記無機充填材が、1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材を含み、
熱硬化性樹脂組成物全体に対する前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の含有率が、20質量%~60質量%である熱硬化性樹脂組成物。
<2> 前記無機充填材全体に占める前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の割合が、75質量%以下である<1>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<3> 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材のカップリング剤処理量が、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理される前の無機充填材100質量部に対して0.1質量部~5質量部である<1>又は<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<4> 前記カップリング剤が、アミノアルキルトリアルコキシシランである<1>~<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5> 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の安息角が、50°~60°である<1>~<4>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6> 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の嵩密度が、1.15g/cm~1.40g/cmである<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<7> 半導体素子と、前記半導体素子を封止する<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
<8> 表面実装型である<7>に記載の半導体装置。
<9> 前記半導体素子の両面が、直接又は金属基板を介して前記硬化物と接している<7>又は<8>に記載の半導体装置。
本開示によれば、耐リフロー性に優れる熱硬化性樹脂組成物及びこの熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置を提供することができる。
以下、本開示に係る実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、複数種の粒子が含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
<熱硬化性樹脂組成物>
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、前記無機充填材が、1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材を含み、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の含有率が、20質量%~60質量%とされたものである。以下、「1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材」を、特定無機充填材と称することがある。
本開示の熱硬化性樹脂組成物が耐リフロー性に優れる理由は明確ではないが、以下のように推察される。
特定無機充填材の含有率が20質量%以上であると、特定無機充填材の樹脂、半導体素子、リードフレーム等のインサートなどに対する密着性が向上する傾向にある。一方、特定無機充填材の含有率が60質量%以下であると、特定無機充填材の表面に存在する1級アミノ基とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との反応が抑制され、熱硬化性樹脂組成物の流動性の悪化に伴う未充填箇所の発生が抑制される傾向にある。以上のことから、特定無機充填材の含有率を20質量%~60質量%とすることで耐リフロー性に優れる熱硬化性樹脂組成物が得られると推察される。
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
以下に、本開示の熱硬化性樹脂組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する。
熱硬化性樹脂の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、チオール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。本開示では、エポキシ基を含有するアクリル樹脂等の、熱可塑性と熱硬化性の両方の性質を示すものは「熱硬化性樹脂」に含めるものとする。熱硬化性樹脂は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)で固体であっても液体であってもよく、固体であることが好ましい。熱硬化性樹脂は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有型エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アミノフェノールのグリシジルエーテルであるアミノフェノール型エポキシ樹脂等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐熱性と流動性のバランスの観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれるエポキシ樹脂(これらを「特定エポキシ樹脂」と称する)が好ましい。特定エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂が特定エポキシ樹脂を含む場合、特定エポキシ樹脂の性能を発揮する観点からは、その含有率がエポキシ樹脂全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
特定エポキシ樹脂の中でも、流動性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂又は硫黄原子含有型エポキシ樹脂がより好ましく、耐熱性の観点からは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂又はアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であるYX-4000H(三菱ケミカル株式会社、商品名)、全てのRが水素原子である4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合及びRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基でそれ以外のRが水素原子である場合の混合品であるYL-6121H(三菱ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(II)中、Rは水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~18の芳香族基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
スチルベン型エポキシ樹脂は、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合と、Rのうち3,3’,5,5’位のうちの3つがメチル基であり、1つがt-ブチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合との混合品等が挙げられる。
式(III)中、R及びR10は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂は、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子であり、R12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のR12が水素原子であるYSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
硫黄原子含有型エポキシ樹脂は、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’位がt-ブチル基であり、6,6’位がメチル基であり、それ以外のR13が水素原子であるYSLV-120TE(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子であり、R15がメチル基であり、i=1であるESCN-190及びESCN-195(住友化学株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=0であるN-770及びN-775(DIC株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=0である部分と、i=1でありR15が-CH(CH)-Phである部分と、を有するスチレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂であるYDAN-1000-10C(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=1でありR15がメチル基である部分と、i=2でありR15のうち一つがメチル基で一つがベンジル基である部分と、を有するベンジル基変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が市販品として入手可能である。
式(VI)中、R14は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP-7200(DIC株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(VII)中、R16は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、トリフェニルメタン骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限されない。例えば、芳香族アルデヒド化合物とフェノール性化合物とから得られたトリフェニルメタン型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、kが0である1032H60(三菱ケミカル株式会社、商品名)、EPPN-502H(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(VIII)中、R17及びR18は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ナフトール化合物及びフェノール化合物と、アルデヒド化合物とから得られるノボラック樹脂をエポキシ化した共重合型エポキシ樹脂は、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でiが1であり、jが0であり、kが0であるNC-7300(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(IX)中、R19~R21は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、jは各々独立に0~2の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。l及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(l+m)は0~10の数を示す。式(IX)で表されるエポキシ樹脂の末端は、下記式(IX-1)又は(IX-2)のいずれか一方である。式(IX-1)及び(IX-2)において、R19~R21、i、j及びkの定義は式(IX)におけるR19~R21、i、j及びkの定義と同じである。nは1(メチレン基を介して結合する場合)又は0(メチレン基を介して結合しない場合)である。
上記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂としては、l個の構造単位及びm個の構造単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体等が挙げられる。これらのいずれか1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合型エポキシ樹脂としては、下記2種の構造単位をランダム、交互又はブロックの順序で含むメトキシナフタレン・クレゾールホルムアルデヒド共縮合型エポキシ樹脂であるエピクロンHP-5000(DIC株式会社、商品名)もまた好ましい。下記一般式では、n及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(n+m)は0~10の数を示し、好ましくはn及びmはそれぞれ平均値であり、1~9の数であり、(n+m)は2~10の数を示す。
アラルキル型エポキシ樹脂は、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体とから合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。
下記一般式(X)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、R38が水素原子であるNC-3000S(日本化薬株式会社、商品名)、iが0であり、R38が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を質量比80:20で混合したCER-3000(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。また、下記一般式(XI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、lが0であり、jが0であり、kが0であるESN-175(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(X)及び(XI)において、R38は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R37、R39~R41は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、lはそれぞれ独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(II)~(XI)中のR~R21及びR37~R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8~88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR~R21及びR37~R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R~R21及びR37~R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(III)~(XI)における炭素数1~18の1価の有機基はアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
上記一般式(II)~(XI)中のnは、平均値であり、それぞれ独立に0~10の範囲であることが好ましい。nが10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、熱硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度が低下し、充填不良、ボンディングワイヤ(半導体素子とリードを接続する金線)の変形等の発生が抑制される傾向にある。nは0~4の範囲に設定されることがより好ましい。
以上、熱硬化性樹脂組成物に使用可能な好ましいエポキシ樹脂の具体例を上記一般式(II)~(XI)に沿って説明したが、より具体的な好ましいエポキシ樹脂として、耐熱性の観点からは、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニルが挙げられ、成形性及び耐熱性の観点からは、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-ビフェニルが挙げられる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。成形性、耐熱性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、60g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂は、液状であっても固形であってもよい。エポキシ樹脂が固形である場合、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐熱性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、熱硬化性樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
本開示において、軟化点は、JIS K 7234:1986の環球法により測定された値をいう。
本開示において、融点は、JIS K 0064:1992の目視による方法に則って測定された値をいう。
熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%~60質量%であることが好ましく、2質量%~50質量%であることがより好ましい。
(硬化剤)
熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有する。
硬化剤の種類は特に制限されず、併用する熱硬化性樹脂と硬化反応を生じる化合物であれば特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂と併用する硬化剤としては、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)で固体であっても液体であってもよく、固体であることが好ましい。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤は、耐熱性の観点から、フェノール系硬化剤又はアミン系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂及び多価フェノール化合物が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。さらには、フェノール系硬化剤としては、1分子中に1個のフェノール性水酸基を有する一価フェノール化合物も挙げられる。これらのフェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤の中でも、耐熱性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(これらを「特定フェノール系硬化剤」と称する)が好ましい。特定フェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤全体に占めるアラルキル型フェノール樹脂及びメラミン変性フェノール樹脂の合計の割合は、40質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
フェノール系硬化剤全体に占めるアラルキル型フェノール樹脂の割合は、40質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
フェノール系硬化剤全体に占めるメラミン変性フェノール樹脂の合計の割合は、0質量%~15質量%であることが好ましく、0質量%~10質量%であることがより好ましく、0質量%~5質量%であることがさらに好ましい。
メラミン変性フェノール樹脂は、フェノール等のフェノール性化合物とメラミンとホルマリンとを混合し、加熱反応して得られるものであってもよい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。アラルキル型フェノール樹脂は、さらに他のフェノール樹脂と共重合していてもよい。共重合したアラルキル型フェノール樹脂としては、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂等が挙げられる。
アラルキル型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XII)~(XIV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
式(XII)~(XIV)において、R23は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R22、R24、R25及びR28は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R26及びR27は水酸基又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、pはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(XII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R23が全て水素原子であるMEH-7851(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるXL-225、XLC(三井化学株式会社、商品名)、MEH-7800(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIV)で表されるフェノール樹脂の中でも、jが0であり、kが0であり、pが0であるSN-170(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)、jが0であり、kが1であり、R27が水酸基であり、pが0であるSN-395(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であるフェノール樹脂が市販品として入手可能である。
式(XV)中、R29は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂は、芳香族アルデヒド化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるMEH-7500(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(XVI)中、R30及びR31は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、0~10の数である。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂は、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であり、qが0であるHE-510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(XVII)中、R32~R34は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、qはそれぞれ独立に0~5の整数である。l及びmはそれぞれ平均値であり、それぞれ独立に0~11の数である。ただし、lとmの合計は1~11の数である。
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社、商品名)、H-4(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
式(XVIII)中、R35は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R36は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるR22~R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23~R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22~R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22及びR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30及びR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるnは、0~10の範囲であることが好ましい。10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、熱硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度も低くなり、充填不良、ボンディングワイヤ(半導体素子とリードを接続する金線)の変形等が発生し難くなる。1分子中の平均nは0~4の範囲に設定されることが好ましい。
一価フェノール化合物としては、「Tinuvin405」、「Tinuvin900」、「Tinuvin99-2」、「Tinuvin326」、「Tinuvin384-2」、「Tinuvin928」等(いずれもBASF社)が挙げられる。
フェノール系硬化剤全体に占める一価フェノール化合物の割合は、ある態様では、5質量%~20質量%であることが好ましく、10質量%~19質量%であることがより好ましく、12質量%~18質量%であることがさらに好ましい。また、ある態様では、5質量%以下であってもよく、2質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
アミン系硬化剤としては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n-プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン等の脂肪族アミン化合物、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、2-メチルアニリン等の芳香族アミン化合物、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール等のイミダゾール化合物、イミダゾリン、2-メチルイミダゾリン、2-エチルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物などが挙げられる。これらの中でも保存安定性の観点からは、芳香族アミン化合物が好ましく、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン及びジメチルチオトルエンジアミンがより好ましい。
硬化剤の官能基当量(フェノール系硬化剤の場合は水酸基当量、アミン系硬化剤の場合は活性水素当量)は、特に制限されない。成形性、耐熱性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、10g/eq~1000g/eqであることが好ましく、30g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
フェノール系硬化剤の場合における水酸基当量は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出された値をいう。また、アミン系硬化剤の場合における活性水素当量は、JIS K7237:1995に準拠して測定されたアミン価に基づいて算出された値をいう。
硬化剤が固体である場合の軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐熱性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、熱硬化性樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比(樹脂中のエポキシ基のモル数/硬化剤の活性水素のモル数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑える観点から、例えば、0.7~1.3であることが好ましい。
(硬化促進剤)
熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、硬化性樹脂の種類、熱硬化性樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化性及び流動性の観点からは、硬化促進剤はホスホニウム化合物を含むことが好ましい。ホスホニウム化合物として具体的には、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキル・アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン等の三級ホスフィンと、無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;三級ホスフィンと4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウムとテトラ-p-トリルボレート等のテトラ置換ボレートとの塩;テトラ置換ホスホニウムとフェノール化合物からプロトンが脱離したアニオンとの塩、テトラ置換ホスホニウムとカルボン酸化合物からプロトンが脱離したアニオンとの塩、などが挙げられる。
上記ホスホニウム化合物は、下記一般式(I-1)で表される化合物(以下、特定硬化促進剤とも称する)を含むことが好ましい。
式(I-1)中、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~18の炭化水素基であり、R~Rのうち2以上が互いに結合して環状構造を形成してもよく、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1~18の有機基であり、R~Rのうち2以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。
一般式(I-1)のR~Rとして記載した「炭素数1~18の炭化水素基」は、炭素数が1~18である脂肪族炭化水素基及び炭素数が6~18である芳香族炭化水素基を含む。
流動性の観点からは、炭素数1~18の脂肪族炭化水素基は炭素数1~8であることが好ましく、2~6であることがより好ましく、4~6であることがさらに好ましい。
炭素数1~18の脂肪族炭化水素基は、炭素数1~18の直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基であっても、炭素数3~18の脂環式炭化水素基であってもよい。製造しやすさの観点からは、直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
炭素数1~18の直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、アリル基、ビニル基などが挙げられる。直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基は2以上の置換基を有してもよく、その場合の置換基は同じでも異なっていてもよい。直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合、脂肪族炭化水素基と置換基に含まれる炭素数の合計が1~18であることが好ましい。硬化性の観点からは無置換のアルキル基が好ましく、炭素数1~8の無置換のアルキル基がより好ましく、n-ブチル基、イソブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基及びn-オクチル基がさらに好ましい。
炭素数3~18の脂環式炭化水素基として具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基などが挙げられる。脂環式炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、t-ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。脂環式炭化水素基は2以上の置換基を有してもよく、その場合の置換基は同じでも異なっていてもよい。脂環式炭化水素基が置換基を有する場合、脂環式炭化水素基と置換基に含まれる炭素数の合計が3~18であることが好ましい。脂環式炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の位置は特に限定されない。硬化性の観点からは無置換のシクロアルキル基が好ましく、炭素数4~10の無置換のシクロアルキル基がより好ましく、シクロヘキシル基、シクロペンチル基及びシクロヘプチル基がさらに好ましい。
炭素数が6~18である芳香族炭化水素基は炭素数6~14であることが好ましく、6~10であることがより好ましい。芳香族炭化水素基は置換基を有していても、有していなくてもよい。置換基としては、メチル基、エチル基、n-ブチル基、t-ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n-ブトキシ基、t-ブトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。芳香族炭化水素基は2以上の置換基を有してもよく、その場合の置換基は同じでも異なっていてもよい。芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、芳香族炭化水素基と置換基に含まれる炭素数の合計が6~18であることが好ましい。芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、置換基の位置は特に限定されない。
炭素数が6~18である芳香族炭化水素基として具体的には、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、トリル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基、ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n-ブトキシフェニル基、t-ブトキシフェニル基等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素基における置換基の位置はオルト位、メタ位及びパラ位のうちいずれでもよい。流動性の観点からは、無置換で炭素数が6~12又は置換基を含めた炭素数が6~12のアリール基が好ましく、無置換で炭素数が6~10又は置換基を含めた炭素数6~10のアリール基がより好ましく、フェニル基、p-トリル基及びp-メトキシフェニル基がさらに好ましい。
一般式(I-1)のR~Rとして記載した用語「R~Rのうち2以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、R~Rのうち2個又は3個が結合し、全体としてひとつの2価又は3価の炭化水素基となる場合を意味する。この場合のR~Rの例としては、リン原子と結合して環状構造を形成し得るエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニレン、プロピレニレン、ブチレニレン基等のアルケニレン基、メチレンフェニレン基等のアラルキレン基、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン等のアリーレン基などの、リン原子と結合して環状構造を形成しうる置換基が挙げられる。これらの置換基はさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
上記一般式(I-1)のR~Rとして記載した「炭素数1~18の有機基」は、炭素数1~18であり、かつ置換されても置換されていなくてもよい脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素オキシ基、芳香族炭化水素オキシ基、アシル基、炭化水素オキシカルボニル基、及びアシルオキシ基を含むことを意味する。
上記脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基の例としては、R~Rで表される脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基の例として上述したものが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素オキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、2-ブトキシ基、t-ブトキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、アリルオキシ基、ビニルオキシ基等の上述の脂肪族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基、これらの脂肪族炭化水素オキシ基がさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されたものなどが挙げられる。
上記芳香族炭化水素オキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、フェノキシフェノキシ基等の上述の芳香族炭化水素基に酸素原子が結合した構造のオキシ基、これらの芳香族炭化水素オキシ基がさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換されたものなどが挙げられる。
上記アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、エチルカルボニル基、ブチリル基、シクロヘキシルカルボニル基、アリルカルボニル等の脂肪族炭化水素カルボニル基、フェニルカルボニル基、メチルフェニルカルボニル基等の芳香族炭化水素カルボニル基等、これらの脂肪族炭化水素カルボニル基又は芳香族炭化水素カルボニル基がさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換されたものなどが挙げられる。
上記炭化水素オキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の脂肪族炭化水素オキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、メチルフェノキシカルボニル基等の芳香族炭化水素オキシカルボニル基、これらの脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基又は芳香族炭化水素カルボニルオキシ基がさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換されたものなどが挙げられる。
上記アシルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等の脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基、メチルフェニルカルボニルオキシ基等の芳香族炭化水素カルボニルオキシ基、これらの脂肪族炭化水素カルボニルオキシ基又は芳香族炭化水素カルボニルオキシ基がさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等で置換されたものなどが挙げられる。
上記一般式(I-1)のR~Rとして記載した用語「R~Rのうち2以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい」とは、2個~4個のR~Rが結合し、全体としてひとつの2価~4価の有機基を形成してもよいことを意味する。この場合のR~Rとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等のアルキレン基、エチレニレン、プロピレニレン、ブチレニレン等のアルケニレン基、メチレンフェニレン等のアラルキレン基、フェニレン、ナフチレン、アントラセニレン等のアリーレン基などの環状構造を形成しうる置換基、これらのオキシ基又はジオキシ基などが挙げられる。これらの置換基はさらにアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アミノ基、水酸基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
上記一般式(I-1)のR~Rとしては、特に限定されるものではない。例えば、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルコキシ基、又は置換又は非置換のアリールオキシ基から選択されることが好ましい。中でも原料の入手しやすさの観点からは、水素原子、水酸基、非置換若しくはアルキル基及びアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つで置換されたアリール基、又は鎖状若しくは環状のアルキル基が好ましい。非置換又はアルキル基及びアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つで置換されたアリール基としては、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、p-メトキシフェニル基等が挙げられる。鎖状又は環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-ブチル基、t-ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。硬化性の観点からは、R~Rはすべて水素原子である場合か、又はR~Rの少なくとも一つが水酸基であり、残りがすべて水素原子である場合が好ましい。
一般式(I-1)においてより好ましくは、R~Rのうち2個以上が炭素数1~18のアルキル基又は炭素数3~18のシクロアルキル基であり、R~Rがすべて水素原子であるか、少なくとも一つが水酸基であり残りがすべて水素原子である。さらに好ましくは、R~Rのすべてが炭素数1~18のアルキル基又は炭素数3~18のシクロアルキル基であり、R~Rがすべて水素原子であるか、少なくとも一つが水酸基であり残りがすべて水素原子である。
速硬化性の観点からは、特定硬化促進剤は、下記一般式(I-2)で表される化合物を含むことが好ましい。
式(I-2)中、R~Rは、それぞれ独立して、炭素数1~18の炭化水素基であり、R~Rのうち2以上が互いに結合して環状構造を形成してもよく、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~18の有機基であり、R~Rのうち2以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。
一般式(I-2)におけるR~Rの具体例はそれぞれ一般式(I-1)におけるR~Rの具体例と同様であり、好ましい範囲も同様である。
特定硬化促進剤の具体例としては、トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物、トリ-n-ブチルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物、トリシクロヘキシルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物、ジシクロヘキシルフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物、シクロヘキシルジフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物、トリイソブチルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物、トリシクロペンチルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物等が挙げられる。
特定硬化促進剤は、例えば、第三ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物として得ることができる。
第三ホスフィン化合物として具体的には、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-n-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-n-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン等が挙げられる。成形性の観点からは、トリフェニルホスフィン及びトリブチルホスフィンが好ましい。
キノン化合物として具体的には、o-ベンゾキノン、p-ベンゾキノン、ジフェノキノン、1,4-ナフトキノン、アントラキノン等が挙げられる。耐湿性と保存安定性の観点からは、p-ベンゾキノンが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、ホスホニウム化合物以外の硬化促進剤を含んでもよい。
ホスホニウム化合物以外の硬化促進剤として具体的には、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物などが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤として特定硬化促進剤を含む場合、特定硬化促進剤の含有率は、硬化促進剤全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合、その量は、熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~15質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の量が熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して0.1質量部以上であると、短時間で良好に硬化する傾向にある。硬化促進剤の量が熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して30質量部以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
(無機充填材)
熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含有する。無機充填材には、特定無機充填材と共に、カップリング剤で表面処理されていない無機充填材、1級アミノ基を含むカップリング剤以外のカップリング剤で表面処理された無機充填材等のその他の無機充填材が含まれる。
無機充填材の種類は、特に制限されない。具体的には、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカなどの無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは球状シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填材は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填材の状態としては粉未、粉末を球状化したビーズ、繊維等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有率は特に制限されない。流動性及び強度の観点からは、熱硬化性樹脂組成物全体の80質量%~95質量%であることが好ましく、82質量%~93質量%であることがより好ましく、84質量%~91質量%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の80質量%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の95質量%以下であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有率は特に制限されない。流動性及び強度の観点からは、熱硬化性樹脂組成物全体の70体積%~90体積%であることが好ましく、72体積%~88体積%であることがより好ましく、75体積%~85体積%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の70体積%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の90体積%以下であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
無機充填材の平均粒子径は、特に制限されない。例えば、体積平均粒子径が0.2μm~50μmであることが好ましく、0.5μm~30μmであることがより好ましい。
体積平均粒子径が0.2μm以上であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。体積平均粒子径が50μm以下であると、狭い隙間への充填性がより向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により、体積平均粒子径(D50)として測定された値をいう。
熱硬化性樹脂組成物の流動性の観点からは、無機充填材の粒子形状は角形よりも球状が好ましく、また無機充填材の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。
本開示では、無機充填材が特定無機充填材を含み、特定無機充填材の含有率が、熱硬化性樹脂組成物全体の20質量%~60質量%とされる。特定無機充填材の含有率は、熱硬化性樹脂組成物全体の21質量%~55質量%が好ましく、22質量%~50質量%がより好ましい。
本開示では、無機充填材全体に占める特定無機充填材の割合は、75質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、65質量%以下がさらに好ましい。無機充填材に占める特定無機充填材の割合が75質量%以下であれば、熱硬化性樹脂組成物の増粘が抑制され、保存安定性が向上する傾向にある。無機充填材に占める特定無機充填材の割合は、20質量%以上であってもよい。
無機充填材の表面処理方法は、無機充填材の種類に応じて適宜選択される。無機充填材が例えばシリカである場合、シリカの表面処理方法は、シリカを含むスラリーに、カップリング剤を含む溶液を加えて、撹拌した後、表面処理されたシリカを濾過等により分離して乾燥する方法、カップリング剤をシリカに噴霧し乾燥する方法等を挙げることができる。
特定無機充填材のカップリング剤処理量は、1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理される前の無機充填材100質量部に対して0.1質量部~5質量部が好ましく、0.3質量部~4質量部がより好ましく、0.5質量部~3質量部がさらに好ましい。特定無機充填材のカップリング剤処理量が0.1質量部以上であれば、特定無機充填材の分散性が向上し、熱硬化性樹脂組成物の接着性及び成形性が向上する傾向にある。特定無機充填材のカップリング剤処理量が5質量部以下であれば、特定無機充填材の凝集が生じにくい傾向にある。
無機充填材の表面処理に用いられる1級アミノ基を含むカップリング剤は、分子中に少なくとも1つの1級アミノ基(-NH基)を有するカップリング剤であればよい。分子中に1級アミノ基を有するカップリング剤の具体例としては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
分子中に1級アミノ基を有するカップリング剤としては、分子中に1級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましく、アミノアルキルトリアルコキシシランがより好ましい。アミノアルキルトリアルコキシシランとしては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び3-アミノプロピルトリエトキシシランの少なくとも一方がさらに好ましく、3-アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
特定無機充填材の嵩密度は、1.15g/cm~1.40g/cmが好ましく、1.20g/cm~1.38g/cmがより好ましく、1.25g/cm~1.35g/cmがさらに好ましい。特定無機充填材の嵩密度が1.15g/cm以上であれば、熱硬化性樹脂組成物中での特定無機充填材の分散性がより向上する傾向にある。特定無機充填材の嵩密度が1.40g/cm以下であれば、熱硬化性樹脂組成物の流動性がより向上する傾向にある。
本開示において、嵩密度とは、下記方法により測定された値をいう。
嵩密度は、容量200mlのメスシリンダーを斜めにし、これに試料粉末を200mlの標線までさじを用いて徐々に投入し、メスシリンダーに栓をした後、メスシリンダーを5cmの高さから400回落下させた後の試料粉末の質量及び容積から算出する方法で測定される。
特定無機充填材の安息角は、50°~60°が好ましく、51°~58°がより好ましく、52°~57°がさらに好ましい。特定無機充填材の安息角が50°以上であれば、熱硬化性樹脂組成物中での特定無機充填材の偏在がより抑制される傾向にある。特定無機充填材の安息角が60°以下であれば、熱硬化性樹脂組成物中での特定無機充填材の凝集がより抑制される傾向にある。
本開示において、安息角とは、注入法により測定された値をいう。
[各種添加剤]
熱硬化性樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、難燃剤、着色剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含んでもよい。熱硬化性樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の紫外線吸収剤等の各種添加剤を含んでもよい。
(カップリング剤)
熱硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。本開示において熱硬化性樹脂組成物がカップリング剤を含むとは、カップリング剤が熱硬化性樹脂組成物に全体ブレンド(インテグラルブレンド(integral blend))されたことをいう。
カップリング剤の種類は特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、具体的には、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、メタクリロキシオクチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、熱硬化性樹脂組成物の接着性及び成形性を向上させる観点から、カップリング剤は、アミン系シランカップリング剤及びエポキシ系シランカップリング剤の少なくとも一方が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有量は、熱硬化性樹脂と無機充填材との界面の密着性の観点から、無機充填材100質量部に対して、0.001質量部~10質量部であることが好ましく、0.01質量部~8質量部であることがより好ましく、0.05質量部~5質量部であることがさらに好ましい。
(イオン交換体)
熱硬化性樹脂組成物は、イオン交換体を含んでもよい。特に、熱硬化性樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含むことが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びにマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。イオン交換体は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(B)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO ……(B)
(0<X≦0.5、mは正の数)
熱硬化性樹脂組成物がイオン交換体を含む場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~15質量部であることがより好ましい。
(離型剤)
熱硬化性樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含んでもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレン酸化物、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が離型剤を含む場合、その量は熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して0.01質量部~15質量部が好ましく、0.1質量部~10質量部がより好ましい。離型剤の量が熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。離型剤の量が熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して15質量部以下であると、より良好な接着性が得られる傾向にある。
(難燃剤)
熱硬化性樹脂組成物は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が難燃剤を含む場合、その量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して1質量部~300質量部であることが好ましく、2質量部~150質量部であることがより好ましい。
(着色剤)
熱硬化性樹脂組成物は、着色剤をさらに含んでもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(応力緩和剤)
熱硬化性樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含んでもよい。応力緩和剤を含むことにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体、インデン、アルキルインデン等のインデン類とスチレン、アルキルスチレン等のスチレン類とフェノール類の共重合体で、他の構成モノマーとしてクマロン等の芳香族オレフィンを含有するインデン含有共重合体、エポキシ変性シリコーン樹脂などが挙げられる。応力緩和剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が応力緩和剤を含有する場合、応力緩和剤の含有量は、熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
(熱硬化性樹脂組成物の調製方法)
熱硬化性樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
熱硬化性樹脂組成物は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)において固体であることが好ましい。熱硬化性樹脂組成物が固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状、ペレット状、グラニュール状等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物がタブレット状又はペレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の硬化方法は、特に限定されるものではない。低圧トランスファ成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法等により熱硬化性樹脂組成物を硬化し、次いで後硬化してもよい。
後硬化の条件は熱硬化性樹脂組成物の組成等を鑑みて適宜設定することができる。後硬化の硬化温度としては、例えば、160℃~240℃が好ましく、160℃~220℃がより好ましく、175℃~200℃がさらに好ましい。後硬化の硬化時間としては、例えば、1時間~48時間が好ましく、3時間~24時間がより好ましく、5時間~24時間がさらに好ましい。
<半導体装置>
本開示の半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子を封止する本開示の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を有する。
半導体素子としては、特に限定されるものではなく、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。
半導体装置として、具体的には、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の半導体素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、熱硬化性樹脂組成物を用いてトランスファ成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した半導体素子を熱硬化性樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体素子を、熱硬化性樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に半導体素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより半導体素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、熱硬化性樹脂組成物で半導体素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、これらの半導体装置は、基板上に半導体素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の半導体素子を一度に熱硬化性樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
本開示の半導体装置は、実装の高密度化の観点から表面実装型の半導体装置であることが好ましい。
また、本開示の半導体装置は、半導体素子の両面が直接又は金属基板を介して本開示の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と接していてもよい。金属基板としては、リードフレーム、Agメッキ基板、Auメッキ基板、Ni/Pd/Auメッキ基板等が挙げられる。
半導体素子の両面が直接又は金属基板を介して熱硬化性樹脂組成物の硬化物と接することで、半導体素子と硬化物との接触面積が増大する。半導体素子と硬化物との接触面積が増大すると、半導体素子と硬化物との界面において剥離が生じやすくなり、その結果として耐リフロー性が悪化することがある。本開示の熱硬化性樹脂組成物は耐リフロー性に優れることから、半導体素子の両面が直接又は金属基板を介して熱硬化性樹脂組成物の硬化物と接する構成の半導体装置に本開示の熱硬化性樹脂組成物を適用すれば、耐リフロー性の悪化を防止する効果が発揮されやすい傾向にある。
以下、本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔熱硬化性樹脂組成物の調製〕
下記の材料を表1に記載の組成(質量部)で混合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行うことによって、実施例1~3及び比較例1~3の熱硬化性樹脂組成物を調製した。なお、無機充填材の全てを無機充填材2とした以外は実施例1と同様の組成で熱硬化性樹脂組成物を調製したところ、混練が困難な状況となった。そのため、無機充填材の全てを無機充填材2とした熱硬化性樹脂組成物の評価は行わなかった。
なお、表1における「当量比(エポキシ/フェノール)」は、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比を意味する。
・エポキシ樹脂1:エポキシ当量250g/eq、軟化点58℃のメトキシナフタレン及びクレゾールとホルムアルデヒドとの共重合型エポキシ樹脂
・エポキシ樹脂2:エポキシ当量196g/eq、軟化点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂
・硬化剤1:水酸基当量175g/eq、軟化点70℃のアラルキル型フェノール樹脂
・硬化剤2:水酸基当量120g/eq、軟化点:90℃のメラミン変性フェノール樹脂
・硬化剤3:2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物
・カップリング剤1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤2:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・離型剤1:モンタン酸エステル
・離型剤2:ポリエチレン酸化物
・着色剤:カーボンブラック
・イオン交換体:ハイドロタルサイト
・応力緩和剤1:インデン含有共重合体
・応力緩和剤2:エポキシ変性シリコーン樹脂
・無機充填材1:カップリング剤による表面処理がされていないシリカフィラ(平均粒子径20μmの球状シリカ、安息角:49°、嵩密度:1.42g/cm
・無機充填材2:3-アミノプロピルトリエトキシシラン処理シリカフィラ(体積平均粒子径20μmの球状シリカ、安息角:53°、嵩密度:1.28g/cm、カップリング剤処理前のシリカ100質量部に対する3-アミノプロピルトリエトキシシランの処理量:1質量部)
[評価]
各熱硬化性樹脂組成物を下記条件にて評価した。
熱硬化性樹脂組成物の硬化物についての評価は、下記条件で準備した硬化物を用いて評価した。評価結果を表1に示す。
硬化物は、熱硬化性樹脂組成物をトランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力8.3MPa、硬化時間120秒で成形し、次いで、175℃で6時間の後硬化を実施して得た。
<流動性>
(スパイラルフロー(SF)の評価)
EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、熱硬化性樹脂組成物をトランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120秒間の条件で成形して流動距離(inch)を求めた。
(ゲルタイムの測定)
熱硬化性樹脂組成物のゲルタイム(GT)は、JSRトレーディング株式会社のキュラストメータを用いて測定した。熱硬化性樹脂組成物3gに対し、JSRトレーディング株式会社のキュラストメータを用いた測定を180℃で実施し、トルク曲線の立ち上がりまでの時間をゲルタイム(秒)とした。
-吸湿後接着力-
被着体としてのCu製リードフレームの銀めっき処理品(吸湿後接着力1)又はNi-Pd-Auメッキ処理品(吸湿後接着力2)上に熱硬化性樹脂組成物を付与し、熱硬化性樹脂組成物を上記条件で硬化させ、試験片(被着面10mm)を作製した。次いで試験片を85℃、85%RHの条件で96時間加湿した。DAGE社製ボンドテスターを用いてシェア速度(治具の移動速度)を50μm/秒に設定し、得られた試験片における硬化物の被着体表面から高さ約100μmの位置にせん断方向に力を加えていくことで、被着体と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが破断又は剥離する力を測定した。破断又は剥離する力は、試験片を260℃に加熱しながら測定した。
-耐リフロー性1-
3.2mm×2.2mm×0.37mmのシリコンチップを5.2mm×4.1mmのダイパッドに搭載した28ピンのSO(Small Outline)パッケージ(リードフレーム材質:銅合金、ダイパッド部上面及びリード先端銀メッキ処理品)を、実施例1~2及び比較例1~2の硬化性樹脂組成物を用いて封止し、次いで上述の条件で後硬化した。得られた成形品の外部のクラックなきことを目視で、内部の剥離発生のなきことを超音波探傷装置(株式会社日立製作所製、FS-200)でそれぞれ確認した。成形品を125℃で12時間乾燥後、60℃、60%RHの条件で120時間加湿した。その後、リフロー温度はJEDECの規定に準拠し温度条件を260℃に設定し、同一温度で3回リフロー処理を行い、パッケージ外部のクラック有無を目視で、パッケージ内部の剥離発生の有無を超音波探傷装置でそれぞれ観察した。試験パッケージ16個に対する、クラック及び剥離のいずれかが発生したパッケージ数の割合を求めた。
-耐リフロー性2-
3.0mm×3.0mm×0.37mmのシリコンチップを6.0mm×6.0mmのダイパッドに搭載したQFN(Quad Flat Non-leaded)パッケージ(リードフレーム材質:銅合金、Ni-Pd-Auメッキ処理品)を、実施例3及び比較例3の硬化性樹脂組成物を用いて封止し、次いで上述の条件で後硬化した。得られた成形品の外部のクラックなきことを目視で、内部の剥離発生のなきことを超音波探傷装置(日立製作所製、FS-200)でそれぞれ確認した。成形品を125℃で12時間乾燥後、85℃、60%RHの条件で168時間加湿した。その後、リフロー温度はJEDECの規定に準拠し温度条件を260℃に設定し、同一温度で3回リフロー処理を行い、パッケージ外部のクラック有無を目視で、パッケージ内部の剥離発生の有無を超音波探傷装置でそれぞれ観察した。試験パッケージ16個に対する、クラック及び剥離のいずれかが発生したパッケージ数の割合を求めた。
表1から、実施例の熱硬化性樹脂組成物は、比較例の熱硬化性樹脂組成物に比較して、耐リフロー性に優れることがわかる。

Claims (7)

  1. 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、
    前記無機充填材が、1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材と、カップリング剤で表面処理されていない無機充填材とを含み、
    前記無機充填材全体に占める前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の割合が、30質量%~50質量%であり、
    熱硬化性樹脂組成物全体に対する前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の含有率が、20質量%~60質量%である、熱硬化性樹脂組成物(ただし、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材のカップリング剤処理量が、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理される前の無機充填材100質量部に対して3質量部以上であるものを除く)
  2. 前記カップリング剤が、アミノアルキルトリアルコキシシランである請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の安息角が、50°~60°である請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の嵩密度が、1.15g/cm~1.40g/cmである請求項1~請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 半導体素子と、前記半導体素子を封止する請求項1~請求項のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
  6. 表面実装型である請求項に記載の半導体装置。
  7. 前記半導体素子の両面が、直接又は金属基板を介して前記硬化物と接している請求項又は請求項に記載の半導体装置。
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