JP7735724B2 - 熱硬化性樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
熱硬化性樹脂組成物及び半導体装置Info
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Description
一方、特許文献3に記載のエポキシ樹脂組成物では表面処理されたシリカの含有率が高いため、エポキシ樹脂組成物の流動性が悪化して未充填箇所が生じやすい場合がある。未充填箇所が生ずると、耐リフロー性が悪化する傾向にある。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、耐リフロー性に優れる熱硬化性樹脂組成物及びこの熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置を提供することを目的とする。
<1> 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、
前記無機充填材が、1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材を含み、
熱硬化性樹脂組成物全体に対する前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の含有率が、20質量%~60質量%である熱硬化性樹脂組成物。
<2> 前記無機充填材全体に占める前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の割合が、75質量%以下である<1>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<3> 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材のカップリング剤処理量が、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理される前の無機充填材100質量部に対して0.1質量部~5質量部である<1>又は<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<4> 前記カップリング剤が、アミノアルキルトリアルコキシシランである<1>~<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5> 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の安息角が、50°~60°である<1>~<4>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6> 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の嵩密度が、1.15g/cm3~1.40g/cm3である<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<7> 半導体素子と、前記半導体素子を封止する<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
<8> 表面実装型である<7>に記載の半導体装置。
<9> 前記半導体素子の両面が、直接又は金属基板を介して前記硬化物と接している<7>又は<8>に記載の半導体装置。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、複数種の粒子が含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、前記無機充填材が、1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材を含み、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の含有率が、20質量%~60質量%とされたものである。以下、「1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材」を、特定無機充填材と称することがある。
本開示の熱硬化性樹脂組成物が耐リフロー性に優れる理由は明確ではないが、以下のように推察される。
特定無機充填材の含有率が20質量%以上であると、特定無機充填材の樹脂、半導体素子、リードフレーム等のインサートなどに対する密着性が向上する傾向にある。一方、特定無機充填材の含有率が60質量%以下であると、特定無機充填材の表面に存在する1級アミノ基とエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂との反応が抑制され、熱硬化性樹脂組成物の流動性の悪化に伴う未充填箇所の発生が抑制される傾向にある。以上のことから、特定無機充填材の含有率を20質量%~60質量%とすることで耐リフロー性に優れる熱硬化性樹脂組成物が得られると推察される。
以下に、本開示の熱硬化性樹脂組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する。
熱硬化性樹脂の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、チオール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。本開示では、エポキシ基を含有するアクリル樹脂等の、熱可塑性と熱硬化性の両方の性質を示すものは「熱硬化性樹脂」に含めるものとする。熱硬化性樹脂は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)で固体であっても液体であってもよく、固体であることが好ましい。熱硬化性樹脂は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有型エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アミノフェノールのグリシジルエーテルであるアミノフェノール型エポキシ樹脂等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
また、一般式(III)~(XI)における炭素数1~18の1価の有機基はアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
本開示において、軟化点は、JIS K 7234:1986の環球法により測定された値をいう。
本開示において、融点は、JIS K 0064:1992の目視による方法に則って測定された値をいう。
熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有する。
硬化剤の種類は特に制限されず、併用する熱硬化性樹脂と硬化反応を生じる化合物であれば特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂と併用する硬化剤としては、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)で固体であっても液体であってもよく、固体であることが好ましい。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤は、耐熱性の観点から、フェノール系硬化剤又はアミン系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂及び多価フェノール化合物が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。さらには、フェノール系硬化剤としては、1分子中に1個のフェノール性水酸基を有する一価フェノール化合物も挙げられる。これらのフェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤全体に占めるアラルキル型フェノール樹脂の割合は、40質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、80質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
フェノール系硬化剤全体に占めるメラミン変性フェノール樹脂の合計の割合は、0質量%~15質量%であることが好ましく、0質量%~10質量%であることがより好ましく、0質量%~5質量%であることがさらに好ましい。
フェノール系硬化剤全体に占める一価フェノール化合物の割合は、ある態様では、5質量%~20質量%であることが好ましく、10質量%~19質量%であることがより好ましく、12質量%~18質量%であることがさらに好ましい。また、ある態様では、5質量%以下であってもよく、2質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよく、0質量%であってもよい。
フェノール系硬化剤の場合における水酸基当量は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出された値をいう。また、アミン系硬化剤の場合における活性水素当量は、JIS K7237:1995に準拠して測定されたアミン価に基づいて算出された値をいう。
熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、硬化性樹脂の種類、熱硬化性樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
第三ホスフィン化合物として具体的には、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-n-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-n-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(t-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン等が挙げられる。成形性の観点からは、トリフェニルホスフィン及びトリブチルホスフィンが好ましい。
ホスホニウム化合物以外の硬化促進剤として具体的には、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物などが挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含有する。無機充填材には、特定無機充填材と共に、カップリング剤で表面処理されていない無機充填材、1級アミノ基を含むカップリング剤以外のカップリング剤で表面処理された無機充填材等のその他の無機充填材が含まれる。
無機充填材の種類は、特に制限されない。具体的には、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカなどの無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは球状シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填材は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填材の状態としては粉未、粉末を球状化したビーズ、繊維等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有率は特に制限されない。流動性及び強度の観点からは、熱硬化性樹脂組成物全体の70体積%~90体積%であることが好ましく、72体積%~88体積%であることがより好ましく、75体積%~85体積%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の70体積%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の90体積%以下であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
体積平均粒子径が0.2μm以上であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。体積平均粒子径が50μm以下であると、狭い隙間への充填性がより向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により、体積平均粒子径(D50)として測定された値をいう。
分子中に1級アミノ基を有するカップリング剤としては、分子中に1級アミノ基を有するシランカップリング剤が好ましく、アミノアルキルトリアルコキシシランがより好ましい。アミノアルキルトリアルコキシシランとしては、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、3-アミノプロピルトリメトキシシラン及び3-アミノプロピルトリエトキシシランの少なくとも一方がさらに好ましく、3-アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
本開示において、嵩密度とは、下記方法により測定された値をいう。
嵩密度は、容量200mlのメスシリンダーを斜めにし、これに試料粉末を200mlの標線までさじを用いて徐々に投入し、メスシリンダーに栓をした後、メスシリンダーを5cmの高さから400回落下させた後の試料粉末の質量及び容積から算出する方法で測定される。
本開示において、安息角とは、注入法により測定された値をいう。
熱硬化性樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、難燃剤、着色剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含んでもよい。熱硬化性樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の紫外線吸収剤等の各種添加剤を含んでもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。本開示において熱硬化性樹脂組成物がカップリング剤を含むとは、カップリング剤が熱硬化性樹脂組成物に全体ブレンド(インテグラルブレンド(integral blend))されたことをいう。
カップリング剤の種類は特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有量は、熱硬化性樹脂と無機充填材との界面の密着性の観点から、無機充填材100質量部に対して、0.001質量部~10質量部であることが好ましく、0.01質量部~8質量部であることがより好ましく、0.05質量部~5質量部であることがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂組成物は、イオン交換体を含んでもよい。特に、熱硬化性樹脂組成物を封止用成形材料として用いる場合には、電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含むことが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びにマグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。イオン交換体は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(B)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
(0<X≦0.5、mは正の数)
熱硬化性樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含んでもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレン酸化物、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、難燃剤を含んでもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、着色剤をさらに含んでもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含んでもよい。応力緩和剤を含むことにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体、インデン、アルキルインデン等のインデン類とスチレン、アルキルスチレン等のスチレン類とフェノール類の共重合体で、他の構成モノマーとしてクマロン等の芳香族オレフィンを含有するインデン含有共重合体、エポキシ変性シリコーン樹脂などが挙げられる。応力緩和剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が応力緩和剤を含有する場合、応力緩和剤の含有量は、熱硬化性樹脂と硬化剤の合計100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
後硬化の条件は熱硬化性樹脂組成物の組成等を鑑みて適宜設定することができる。後硬化の硬化温度としては、例えば、160℃~240℃が好ましく、160℃~220℃がより好ましく、175℃~200℃がさらに好ましい。後硬化の硬化時間としては、例えば、1時間~48時間が好ましく、3時間~24時間がより好ましく、5時間~24時間がさらに好ましい。
本開示の半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子を封止する本開示の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を有する。
半導体素子としては、特に限定されるものではなく、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。
半導体装置として、具体的には、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の半導体素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、熱硬化性樹脂組成物を用いてトランスファ成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した半導体素子を熱硬化性樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体素子を、熱硬化性樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に半導体素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより半導体素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、熱硬化性樹脂組成物で半導体素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、これらの半導体装置は、基板上に半導体素子が2個以上重なった形で搭載されたスタックド(積層)型パッケージであっても、2個以上の半導体素子を一度に熱硬化性樹脂組成物で封止した一括モールド型パッケージであってもよい。
また、本開示の半導体装置は、半導体素子の両面が直接又は金属基板を介して本開示の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と接していてもよい。金属基板としては、リードフレーム、Agメッキ基板、Auメッキ基板、Ni/Pd/Auメッキ基板等が挙げられる。
半導体素子の両面が直接又は金属基板を介して熱硬化性樹脂組成物の硬化物と接することで、半導体素子と硬化物との接触面積が増大する。半導体素子と硬化物との接触面積が増大すると、半導体素子と硬化物との界面において剥離が生じやすくなり、その結果として耐リフロー性が悪化することがある。本開示の熱硬化性樹脂組成物は耐リフロー性に優れることから、半導体素子の両面が直接又は金属基板を介して熱硬化性樹脂組成物の硬化物と接する構成の半導体装置に本開示の熱硬化性樹脂組成物を適用すれば、耐リフロー性の悪化を防止する効果が発揮されやすい傾向にある。
下記の材料を表1に記載の組成(質量部)で混合し、混練温度80℃、混練時間15分の条件でロール混練を行うことによって、実施例1~3及び比較例1~3の熱硬化性樹脂組成物を調製した。なお、無機充填材の全てを無機充填材2とした以外は実施例1と同様の組成で熱硬化性樹脂組成物を調製したところ、混練が困難な状況となった。そのため、無機充填材の全てを無機充填材2とした熱硬化性樹脂組成物の評価は行わなかった。
なお、表1における「当量比(エポキシ/フェノール)」は、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比を意味する。
・エポキシ樹脂2:エポキシ当量196g/eq、軟化点106℃のビフェニル型エポキシ樹脂
・硬化剤1:水酸基当量175g/eq、軟化点70℃のアラルキル型フェノール樹脂
・硬化剤2:水酸基当量120g/eq、軟化点:90℃のメラミン変性フェノール樹脂
・硬化剤3:2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィンと1,4-ベンゾキノンとの付加反応物
・カップリング剤1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤2:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・離型剤1:モンタン酸エステル
・離型剤2:ポリエチレン酸化物
・着色剤:カーボンブラック
・イオン交換体:ハイドロタルサイト
・応力緩和剤1:インデン含有共重合体
・応力緩和剤2:エポキシ変性シリコーン樹脂
・無機充填材1:カップリング剤による表面処理がされていないシリカフィラ(平均粒子径20μmの球状シリカ、安息角:49°、嵩密度:1.42g/cm3)
・無機充填材2:3-アミノプロピルトリエトキシシラン処理シリカフィラ(体積平均粒子径20μmの球状シリカ、安息角:53°、嵩密度:1.28g/cm3、カップリング剤処理前のシリカ100質量部に対する3-アミノプロピルトリエトキシシランの処理量:1質量部)
各熱硬化性樹脂組成物を下記条件にて評価した。
熱硬化性樹脂組成物の硬化物についての評価は、下記条件で準備した硬化物を用いて評価した。評価結果を表1に示す。
硬化物は、熱硬化性樹脂組成物をトランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力8.3MPa、硬化時間120秒で成形し、次いで、175℃で6時間の後硬化を実施して得た。
(スパイラルフロー(SF)の評価)
EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、熱硬化性樹脂組成物をトランスファ成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120秒間の条件で成形して流動距離(inch)を求めた。
熱硬化性樹脂組成物のゲルタイム(GT)は、JSRトレーディング株式会社のキュラストメータを用いて測定した。熱硬化性樹脂組成物3gに対し、JSRトレーディング株式会社のキュラストメータを用いた測定を180℃で実施し、トルク曲線の立ち上がりまでの時間をゲルタイム(秒)とした。
被着体としてのCu製リードフレームの銀めっき処理品(吸湿後接着力1)又はNi-Pd-Auメッキ処理品(吸湿後接着力2)上に熱硬化性樹脂組成物を付与し、熱硬化性樹脂組成物を上記条件で硬化させ、試験片(被着面10mm2)を作製した。次いで試験片を85℃、85%RHの条件で96時間加湿した。DAGE社製ボンドテスターを用いてシェア速度(治具の移動速度)を50μm/秒に設定し、得られた試験片における硬化物の被着体表面から高さ約100μmの位置にせん断方向に力を加えていくことで、被着体と熱硬化性樹脂組成物の硬化物とが破断又は剥離する力を測定した。破断又は剥離する力は、試験片を260℃に加熱しながら測定した。
3.2mm×2.2mm×0.37mmのシリコンチップを5.2mm×4.1mmのダイパッドに搭載した28ピンのSO(Small Outline)パッケージ(リードフレーム材質:銅合金、ダイパッド部上面及びリード先端銀メッキ処理品)を、実施例1~2及び比較例1~2の硬化性樹脂組成物を用いて封止し、次いで上述の条件で後硬化した。得られた成形品の外部のクラックなきことを目視で、内部の剥離発生のなきことを超音波探傷装置(株式会社日立製作所製、FS-200)でそれぞれ確認した。成形品を125℃で12時間乾燥後、60℃、60%RHの条件で120時間加湿した。その後、リフロー温度はJEDECの規定に準拠し温度条件を260℃に設定し、同一温度で3回リフロー処理を行い、パッケージ外部のクラック有無を目視で、パッケージ内部の剥離発生の有無を超音波探傷装置でそれぞれ観察した。試験パッケージ16個に対する、クラック及び剥離のいずれかが発生したパッケージ数の割合を求めた。
3.0mm×3.0mm×0.37mmのシリコンチップを6.0mm×6.0mmのダイパッドに搭載したQFN(Quad Flat Non-leaded)パッケージ(リードフレーム材質:銅合金、Ni-Pd-Auメッキ処理品)を、実施例3及び比較例3の硬化性樹脂組成物を用いて封止し、次いで上述の条件で後硬化した。得られた成形品の外部のクラックなきことを目視で、内部の剥離発生のなきことを超音波探傷装置(日立製作所製、FS-200)でそれぞれ確認した。成形品を125℃で12時間乾燥後、85℃、60%RHの条件で168時間加湿した。その後、リフロー温度はJEDECの規定に準拠し温度条件を260℃に設定し、同一温度で3回リフロー処理を行い、パッケージ外部のクラック有無を目視で、パッケージ内部の剥離発生の有無を超音波探傷装置でそれぞれ観察した。試験パッケージ16個に対する、クラック及び剥離のいずれかが発生したパッケージ数の割合を求めた。
Claims (7)
- 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、
前記無機充填材が、1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材と、カップリング剤で表面処理されていない無機充填材とを含み、
前記無機充填材全体に占める前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の割合が、30質量%~50質量%であり、
熱硬化性樹脂組成物全体に対する前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の含有率が、20質量%~60質量%である、熱硬化性樹脂組成物(ただし、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材のカップリング剤処理量が、前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理される前の無機充填材100質量部に対して3質量部以上であるものを除く)。 - 前記カップリング剤が、アミノアルキルトリアルコキシシランである請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の安息角が、50°~60°である請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 前記1級アミノ基を含むカップリング剤で表面処理された無機充填材の嵩密度が、1.15g/cm3~1.40g/cm3である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 半導体素子と、前記半導体素子を封止する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
- 表面実装型である請求項5に記載の半導体装置。
- 前記半導体素子の両面が、直接又は金属基板を介して前記硬化物と接している請求項5又は請求項6に記載の半導体装置。
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