図1、図2及び図3に示すように、本開示のケース200は、内部にコイル装置100を配置している。図1の例では、10個のコイル装置100がケース200内に配置されている。なお、各コイル装置100は概ね同一形状となっている。また、ケース200はポリブチレンテレフタレート(PBT)製である。ケース200の体格は、長辺が150ミリメートル程度、短辺が100ミリメートル程度、高さが30~50ミリメートル程度の外周壁面240で囲まれた直方体である。
ケース200の外周壁面240の内部には、4個のコイル装置100が配置される第1コイル装置収容空間251と、同じく4個のコイル装置100が配置される第2コイル装置収容空間252とが形成されている。そして、第1コイル装置収容空間251と第2コイル装置収容空間252とは、第1分離壁221によって分離されている。
ケース200の外周壁面240の内部には、それぞれ1個のコイル装置100が配置される第3コイル装置収容空間253と第4コイル装置収容空間254も形成されている。第3コイル装置収容空間253と第4コイル装置収容空間254とは、間に介在するモータ用端子保持部255によって仕切られている。また、第3コイル装置収容空間253及び第4コイル装置収容空間254は、第2分離壁222により第2コイル装置収容空間252とも仕切られている。
ケース200の一方側(図1及び図2の右側)の側面には、各種のセンサや電源と後述する回路基板300とを接続するケース端子部230が形成されている。電源は、コイル装置100の駆動や、後述するハウジング400内に配置されるポンプ駆動用モータに電源を供給するのに用いられる。各種センサは、本例が自動車のブレーキ装置として用いられる際に必要な情報を得るためのものである。例えば、ブレーキの液圧センサ、ブレーキ信号入力センサ、ハンドルの操舵角センサや、自動車のヨーレイトセンサがある。
図1及び図3に示すように、ケース端子部230の背面にはコネクタ231が形成されている。上記の電源はこのコネクタ231に電源線が接続することで印加される。同様に、上記の各センサからの信号もこのコネクタ231に信号線が接続することで供給される。
ケース200に配置されるコイル装置100は、上述の通り、基本的に同一形状である。各コイル装置100は、ボビン110の円筒状部111(図5図示)に多数回巻線されたコイル120と、コイルに電源を供給するコイル端子130を備えている。また、各コイル装置100は、コイル120の周囲に配置されるヨーク140を備えている。
図4は、ボビン110を示す側面図である。ボビン110はポリアミド66(PA66)製の樹脂材料からなる。ボビン110は、中央に円筒状部111が形成され、この円筒状部111にエナメルで絶縁被膜された銅線からなるコイル120が多数回巻線されている。
円筒状部111の軸方向の第1方向側(図4の上側)には、第1鍔部112が形成されている。第1鍔部112には、図5に示すように、左右両側に第1アーム部113が延びている。そして、第1アーム部113には、抜け止め機構となる係止部114が突出形成されている。図3において、円筒状部111の軸方向と直交する左方向を第3方向とすると、係止部114は、第3方向に向かい第1方向に傾斜して形成されている。そして、第3方向の端部が係止面1140となっている。
第1鍔部112には、第1アーム部113とは反対側(第3方向)に、コイル端子130の基部を保持する基部保持部115が形成されている。基部保持部115は、一対のコイル端子130に対応して2か所形成され、かつ、中間部分が連結して四角形状となっている。
円筒状部111の軸方向の第2方向側(図4の下側)には、第2鍔部116が形成されている。この第2鍔部116にも、図5に示すように、左右両側に第2アーム部117が延びている。第2アーム部117は、第2鍔部116の基幹部118より第3方向に向かい第2方向に傾斜して延びている。その為、第2アーム部117は樹脂の弾力性を利用して樹脂バネとして機能する。
ボビン110は、以上の各要素111~118が一体に樹脂成形されている。樹脂成形時には、コイル端子130の基部139(図25図示)も基部保持部115にインサート成形されている。コイル端子130は、基部139以外に伸長部131、屈曲部132及び端子部133を備える。伸長部131は、基部保持部115にインサート成形された基部139から第1方向に延びている。屈曲部132は、この伸長部131の第1方向の端部より円筒状部111とは反対方向である第3方向(水平方向)に屈曲している。端子部133は、この屈曲部132の第3方向の端部より第1方向に屈曲して形成されている。屈曲部132の第3方向の端部で端子部133が連続する部位が、後述する保持部位136となる。端子部133は、後述する回路基板300の貫通孔301への挿入が容易となるよう、先端がテーパ形状となっている。端子部133は回路基板300と電気的に接続できるよう、プレスフィット端子構造となっており、円形の穴部1330が形成されている。
コイル端子130には、コイル120を形成する銅線の両端が電気接続する電気接続部135も形成されている。電気接続部135は一対のコイル端子130の伸長部131より水平方向に延び、中間位置でU字状に屈曲している(図5図示)。コイル端子130の基部139には、この電気接続部135より第1鍔部112に近い位置に銅線保持部134が形成されている。この銅線保持部134も基部保持部115より水平方向に延びている。
銅線とコイル端子130との接続は、銅線の端部近くが銅線保持部134に巻かれることで、物理的接続がなされる。次いで、銅線の端部が電気接続部135のU字状部に配置される。その状態で、U字状部を圧し潰すと同時に高圧電流を印加して銅線のエナメル被覆を蒸発させる。これにより、銅線の端部は電気接続部135に物理的に保持されると共に、電気的にも接続される。なお、コイル端子130は、導電材である銅合金製である。
図6は、上記構成のボビン110にヨーク140が組付けられた状態を示す斜視図である。ヨーク140は、冷間圧延鋼板(SPCE)等の磁性材料からなる。図6に示すように、ヨーク140はコイル120の径方向外方に配置される中間壁部141を備えている。また、この中間壁部141の第1方向側には中間壁部141から連続して第1壁部142が屈曲形成されている。この第1壁部142にボビン110の第1鍔部112が当接している。
中間壁部141の第2方向側にも中間壁部141から連続して第2壁部143が屈曲形成されている。第1壁部142、中間壁部141、第2壁部143は厚さ2ミリメートル程度の鋼材をコ字形状に屈曲して形成している。
ヨーク140の第2壁部143には、ボビン110の第2鍔部116の基幹部118から第3方向に向けて第2方向に傾斜して延びる第2アーム部117の先端が当接している。第2アーム部117の弾性変形により、ボビン110はヨーク140内で第1方向及び第2方向に移動可能である。
ヨーク140の第1壁部142には、ボビン110の係止部114の係止面が当接する係合部144が形成されている。従って、ヨーク140に対するボビン110の変移は、係止部114と係合部144との係合により規制される。ただ、ボビン110はヨーク140に対して第3方向には変移可能である。
ボビン110とヨーク140の組付けは、ボビン110をヨーク140に対して第3方向に挿入する。挿入時には、図8に示すように、係止部114が第1壁部142と当接し、ボビン110は第2アーム部117の弾性変形により第2方向に変移する。そして、係止部114が係合部144と係合する位置まで、ボビン110の挿入が進むと、図7に示すように、第2アーム部117の復元力により、ボビン110は第1方向に変移する。
第1壁部142には、ボビン110の円筒状部111と対向する部位に、後述するバルブスリーブ410(図19図示)や入れ子ピン510(図9示)が貫通する第1丸穴148が形成されている。第1丸穴148の第1方向側は、第1方向に突出してリング部145を形成している。但し、リング部145はコイル装置100にとって必須ではない。図2の例では、図の上方に配置された6個のコイル装置100は第1壁部142にリング部145を形成しているが、図の下方に配置された4個のコイル装置100は第1壁部142にリング部145を形成していない。
第2壁部143もボビン110の円筒状部111と対向する部位は、図3に示すように、バルブスリーブ410の外径に対応する第2丸穴146となっている。従って、ケース200にハウジング400が組付けられた状態では、バルブスリーブ410は、ボビン110の円筒状部111及びヨーク140の第1丸穴148と第2丸穴146を貫通する。また、コイル装置100が型内に配置された状態でも、入れ子ピン510が、ボビン110の円筒状部111及びヨーク140の第1丸穴148と第2丸穴146を貫通する。
コイル装置100は、以上のように、まずコイル端子130をインサート成形したボビン110を形成する。次いで、ボビン110の円筒状部111にコイル120を多数回巻線する。そして、コイル120の両端近傍をコイル端子130の銅線保持部134に巻き付け、その後、コイル120の両端を電気接続部135に電気接続する。次いで、ヨーク140内にボビン110を挿入して、ボビン110の係止部114とヨーク140の係合部144とを係合させることで、組付けを行う。
このように、組付けられたコイル装置100を図2に示すように配置し、ケース200にインサート成形する。インサート成形は、コイル装置100のコイル端子130の屈曲部132と端子部133との連続部である保持部位136が、ケース200の端子保持部220にインサートされるようにして行う。
図1及び図3に示すように、第1コイル装置収容空間251、第2コイル装置収容空間252、第3コイル装置収容空間253及び第4コイル装置収容空間254は、第1方向及び第2方向が開口している。そして、第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252に配置されるコイル装置100の端子保持部220は、第1分離壁221に形成されている。
ここで、第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252には、それぞれ4個ずつ配置されるコイル装置100が、第1分離壁221に沿って並列に配置されている。この並列方向は、上述の円筒状部111の軸方向である第1方向及び第2方向に対して、第3方向とは直交する第4方向に配置されている。そのため、第1分離壁221に端子保持部220を形成すれば、4個のコイル装置100を各第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252内に第4方向に整列して配置することができる。
また、第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252内に、それぞれ4個ずつ配置されるコイル装置100は、第1分離壁221を挟んで互いに線対称に配置されている。この線対称配置は、上述の方向では第3方向に向かい合う配置である。そのため、第1分離壁221に端子保持部220を形成すれば、第1分離壁221を挟んで互いに線対称に配置される4対のコイル装置100のそれぞれのコイル端子130を纏めて埋設することができる。これにより、端子保持部220の配置を簡略化することができる。
なお、第3コイル装置収容空間253及び第4コイル装置収容空間254にはそれぞれ1個のコイル装置100しか配置されていないので、端子保持部220は外周壁面240と一体に形成している。
次に、これらのコイル装置100をケース200内にインサート成形する製造方法を説明する。図9に示すように、コイル装置100の第1方向に第1型500を配置し、第2方向に第2型を配置する。なお、図9は、第1型500及び第2型600の構造を説明するため、第1型500及び第2型600のうち、図2にIXで示す四角形部分のみを切り出して示している。第1型500には、コイル端子130のうち端子部133が嵌入する挿入穴501が形成されている。また、第1型500には、コイル端子130のうち屈曲部132の中間部分を保持する端子保持溝502も形成されている。
図10は、第1型500の入れ子ピン510がコイル装置100の円筒状部111に挿入された状態を示している。図10は、入れ子ピン510の形状が良く分かるように、一対となるコイル装置100のうち片方のコイル装置100の図示は省略している。図10に示すように、第1型500がコイル装置100にセットされた状態では、コイル端子130の端子部133は挿入穴501内に挿入されている。かつ、コイル端子130の屈曲部132は端子保持溝502に保持されている。
図11は図10の断面図であるが、図11に示すように、端子保持溝502の深さはコイル端子130の屈曲部132の肉厚と同等となっている。また、図に示すように、第1型500とコイル装置100とは、入れ子ピン510がヨークの第1丸穴148及びボビン110の円筒状部111と嵌り合うことで位置決めができている。
図12は、第1型500に第2型600を当接させた状態を示す。図9との対比から明らかなように、図12では、第2型600の半分を切り欠いて示している。これにより、第2型600の形状及び第2型600内でのコイル装置100の配置が明らかとなる。第2型600には、ケース200の端子保持部220及び第1分離壁221を形成する端子保持空間610が形成されている。かつ、端子保持空間610の第1型500側の端部は、第1型500の端子保持溝502と対向して、コイル端子130の屈曲部132を押さえる端子押さえ部601も形成されている。
図13は、図12の状態の断面図であるが、図13に示すように、端子押さえ部601が端子保持溝502と当接することにより、端子保持空間610が閉じられる。また、第2型600のうち図13の左下部分の第1型壁602が第1型500と当接する。この第1型壁602と端子押さえ部601との間の空間が第1コイル装置収容空間251となる。同様に、第2型600のうち図13の右下部分の第2型壁603も第1型500と当接して、この第2型壁603と端子押さえ部601との間の空間が第2コイル装置収容空間252となる。
第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252は、共に外周を第1型壁602、第2型壁603及び端子押さえ部601で囲まれている。そして、後述する樹脂の射出ゲート630は、この第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252には開口していない。そのため、第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252に樹脂が流入することは無く、上述の通り、第1方向及び第2方法が共に開口している。
図14は第1型500及び第2型600の一部を示す断面図で、図2のXIV-XIV線の部分での型を示す。図14では、第1型500の端子保持溝502内にコイル端子130の屈曲部132が嵌り込んでいる状態が示されている。また、第2型600には端子保持空間610が形成されている。樹脂の射出ゲート630は、端子保持空間610と連通している。図15は端子保持空間610内に樹脂が射出された状態を示す。図15に示すように、射出された樹脂は、コイル端子130の一部(保持部位136)を含んで端子保持部220を形成している。かつ、第1分離壁221も形成している。
図16は第1型500及び第2型600を図14とは異なる断面で示す断面図で、図2のXVI-XVI線の部分での型を示す。図16で示す断面では、第1型500の挿入穴501が示されており、挿入穴501内にコイル端子130の端子部133が挿入されている。図13と同様、第1型壁602と端子押さえ部601とで第1コイル装置収容空間251を形成し、第2型壁603と端子押さえ部601とで第2コイル装置収容空間252を形成している。図17に示すように、射出ゲート630から射出された樹脂は、外周壁面240と第1分離壁221及び第2分離壁222を形成する。
以上説明したように、コイル装置100は第1型500の入れ子ピン510によって位置合わせされる。その状態では、第1型500の挿入穴501内に端子部133が挿入され、かつ、端子保持溝502に屈曲部132が保持されている。その状態で、第1型500は第2型600と当接する。第2型600と当接した状態では、外周壁面240、第1分離壁221、端子保持部220、第2分離壁222やコネクタ231等を形成する型空間が閉じられる。その状態で、第2型600の射出ゲート630から溶融した樹脂が射出される。射出された樹脂は、型空間内で凝固し、外周壁面240等を形成する。なお、この例では、第1型500が可動型であり、第2型600は固定型である。
インサート成形終了時には、入れ子ピン510で位置合わせされているので、ケース200内でのコイル装置100の位置は正確に定められている。かつ、その状態は、コイル端子130の屈曲部132と端子部133とが連続する保持部位136が、端子保持部220によって保持されているので、正確な位置を確実に維持することができている。
図18は、インサート成形終了後のケース200とコイル装置100を示す。図18に示すように、コイル装置100のコイル端子130のうち、屈曲部132と端子部133とが連続する保持部位136で、ケース200の端子保持部220にインサート成形されている。そのため、上述のように、コイル端子130とケース200との間の相対位置は正確に位置決めされる。
なお、ケース200の第1コイル装置収容空間251ないし第4コイル装置収容空間254の第1方向及び第2方向が共に開口していることは、図18にも示されている。その為、コイル装置100がケース200にインサート成形された状態では、コイル装置100はコイル端子130のみでケース200内に保持されている。
コイル装置100をインサート成形したケース200の第1方向には、図19に示すように、第1方向に回路基板300が配置される。上述の通り、回路基板300には貫通孔301が端子部133と対応する位置に開口している。回路基板300はケース200の開口部に対応した形状をしており、厚さは1ミリメートル程度である。
そして、回路基板300は、ガラス繊維で強化されたエポキシ樹脂からなり、回路基板300には、配線が印刷されている。その為、コイル端子130の端子部133が貫通孔301に挿入され、プレスフィット端子構造により固定されると、回路基板300の配線を介してコイル装置100は電源に接続可能となる。
回路基板300には、中央演算処理装置(CPU)や、集積回路(IC)、ダイオード等の各種の電気部品も配置されている。上述の各種センサからの信号に基づき、中央演算処理装置はコイル装置100やポンプ駆動用モータの動作を制御する。
また、コイル装置100をインサート成形したケース200の第2方向には、ハウジング400が配置される。上述の通り、バルブスリーブ410がボビン110の円筒状部111に対応する位置に配置されている。バルブスリーブ410の外径は、ボビン110の円筒状部111やヨーク140のリング部145及び第2丸穴146の内径より多少小さく設定されている。かつ、バルブスリーブ410の第1方向の先端411は球形状に掲載されており、ヨーク140の第2丸穴146に嵌りやすく形成されている。
ハウジング400は、アルミニウム合金製で、ダイキャスト若しくは切削により形成される。ハウジング400は一辺が100ミリメートル程度で高さが30~50ミリメートル程度の概略正四角柱形状をしている。バルブスリーブ410はステンレス製で、パッキンでシールされた状態でハウジング400にカシメ固定されている。
バルブスリーブ410は、内部に磁性材製の移動子が配置されている。移動子はコイル120の通電時の磁力によって、バルブスリーブ410内を第1方向及び第2方向に変移する。ハウジング400内には、図示しないがブレーキを動作する流体の流路が形成されており、バルブスリーブ410内の移動子の変移によって、この流体流路の切り替えや圧力調整が行われる。
本例では、コイル装置100をインサート成形したケース200の第1方向に回路基板300を組付け、第2方向にハウジング400を組付けることで、液圧制御装置10を構成する。また、上述したようにケース200内にコイル装置100をインサート成形し、次いで、回路基板300及びハウジング400を組付けることで、液圧制御装置10の製造方法がなされる。なお、本例の液圧制御装置10は、車両のアンチロックブレーキシステム(ABS)や、トラクションコントロールシステム(TCS)、及びエレクトロニックスタビリティコントロール(ESC)等に用いられる。
図20は、ケース200に回路基板300を組付けた状態を示す斜視図である。図20に示すように、貫通孔301からはコイル端子130の端子部133の先端が飛び出している。
図21は、ケース200に回路基板300を組付けた状態を示す断面図である。図18及び図21から分かるように、コイル端子130は回路基板300の近傍でケース200の保持部210により位置が決められている。その為、ケース200に対する回路基板300の組付けは精度よく行うことができる。換言すれば、ケース200と回路基板300の位置ずれによってコイル端子130を変形させる事態は殆ど無くなっている。その為、位置ずれに伴う変形で、コイル端子130に過大な応力が加わることが、効果的に防止できている。
かつ、コイル端子130は端子保持部220により確実に固定されている。しかも、端子保持部220より飛び出ているのは、コイル端子130の端子部133の更にその一部である。その為、回路基板300の貫通孔301に端子部133を挿入しても、挿入時の力によって端子部133が座屈することもない。以上の各要因が相俟って、ケース200に保持されたコイル装置100と回路基板300との組付けは容易となる。
図18及び図21に示すように、コイル装置100がケース200に配置された状態では、コイル装置100の下端(第2壁部143)は、ケース200より第2方向に多少飛び出ている。この図18及び図21に示す状態で、ハウジング400とケース200とはボルトにより固定される。ボルト固定された状態では、コイル装置100の下端(第2壁部143)はハウジング400の上面401(図19図示)に接している。そのため、ハウジング400との組付け時にコイル装置100は第1方向に多少移動する(図22図示)。この組付け時の第1方向の移動は、上述した、第2アーム部117の弾性変形により吸収できる。
また、ケース200とハウジング400との組付けは、まず、バルブスリーブ410の先端411がヨーク140の第2丸穴146に嵌入し、次いでボビン110の円筒状部111に嵌入する。この際、バルブスリーブ410の先端411は球形状となっているので、第2丸穴146及び円筒状部111へ先端411の形状によってガイドされる。このバルブスリーブ410により、ケース200とハウジング400との水平方向の位置合わせがなされる。
そして、このバルブスリーブ410がボビン110の円筒状部111に組付けられる状態は、ボビン110はヨーク140に対して水平方向に多少変動することが可能となっている。即ち、第2アーム部117の弾性変形による押圧力は、組付け時の水平方向の移動を許容する大きさとなっている。また、ボビン110の係止部114とヨーク140の係合部144との係合も、組付け時の水平方向の移動を許容する係合となっている。
その為、バルブスリーブ410の先端411の球形状によってガイドされる結果、ヨーク140が多少水平方向にずれることがあるとしても、そのずれはコイル装置100自体によって吸収することができる。特に、バルブスリーブ410の先端411がボビン110の円筒状部111に嵌入する状態では、コイル装置100の下端(第2壁部143)はフリーである。即ち、コイル装置100の下端(第2壁部143)はハウジング400の上面401とは接していない。その為、コイル装置100自体で、ボビン110とヨーク140に多少のずれが生じても、そのずれが過大な応力として、コイル端子130とケース200の保持部210に加わることはない。
コイル装置100の下端(第2壁部143)にハウジング400の上面401が接するのは、上記の通り水平方向の位置合わせが終了した状態である。そのため、ハウジング400の組付けに伴いヨーク140が移動したとしても、その移動は全て第1方向であり、水平方向に力が加わることはない。第1方向の変移は、第2アーム部117の弾性変形により確実に吸収できる。
以上の図18、図21及び図22で示した例では、コイル装置100が保持されたケース200に、まず回路基板300を組付け、次いで、ハウジング400を固定している。ただ、先にハウジング400を固定することも可能である。その場合には、回路基板300が存在しない状態で、ケース200の第2方向側にハウジング400がボルト固定される。固定された状態では、バルブスリーブ410とボビン110の円筒状部111及びヨーク140の第2丸穴146により、ケース200とハウジング400との位置合わせが終了している。
このケース200とハウジング400との位置合わせ時に生じる水平方向の位置ずれがコイル装置100自体により吸収できていることは、上述の組付け工程と同様である。同様に、ケース200とハウジング400との位置合わせ時に生じる第1方向のずれもコイル装置100自体により吸収済みであることも、上述の組付け工程と同様である。
先にハウジング400を固定して次いで回路基板300を固定する場合も図22の状態となる。このようにハウジング400が固定された状態であっても、ケース200と回路基板300との固定は、上述の図18から図21への固定と同様である。即ち、コイル端子130は回路基板300の近傍で、ケース200の端子保持部220によって正確に位置が決められている。また、コイル端子130の端子保持部220からの飛び出し量も少なく、座屈の恐れもない。従って、先にハウジング400が固定されていたとしても、回路基板300の固定に阻害要因となることはない。
このように、本開示では、ケース200とハウジング400との組付けが、ケース200と回路基板300との組付けに影響を及ぼすことはない。同様に、ケース200と回路基板300との組付けも、ケース200とハウジング400との組付けに影響は及ぼさない。ケース200にコイル装置100をインサート成形する工程が先行するが、それ以降は回路基板300を先に組付けても良く、ハウジング400を先に組付けても良い。かつ、回路基板300とハウジング400を同時にケース200に固定することも可能である。
なお、上述したのは本開示の望ましい例であるが、本開示は種々に変更可能である。上述の例ではコイル端子130の基部139をインサート成形していたが、端子保持部220に圧入により固定しても良い。他に、接着やクリップによる固定も可能である。上述の例では、第2アーム部117を2本平行に形成したが、第2アーム部117を3本以上としてもよい。3本以上の場合も各第2アーム部117は同一の形状とする。そして、各第2アーム部117は中心軸周りに対称に配置される。ここで、中心軸はボビン110の円筒状部111の中心軸を指す。
また、第2アームb117に代えて、図23に示すような円盤形状部119としてもよい。円盤形状部119も基幹部118で第2鍔部116と接続している。そして、基幹部118より第2方向に向けて外周方向に広がるように傾斜して延びている。円盤形状部119もボビン110と同一の樹脂で一体に成形される。円盤形状部119も、第1方向及び第2方向への弾性変形が可能である。
図24に示すように、半円弧形状部1190とすることも可能である。この半円弧形状部1190も第2鍔部116の基幹部118から第2方向に向けて傾斜して延びている。半円弧形状部1190も、ヨーク140に対するボビン110の第1方向及び第2方向への相対移動を可能としている。
尤も、ヨーク140に対するボビン110の第1方向及び第2方向への相対移動は必須ではない。上述の例では、図18及び図21に示すようにコイル装置100の下端(ヨーク140の第2壁部143)をケース200より第2方向に飛び出していたが、コイル装置100の下端とケース200の下端を一致させるようにすればよい。コイル装置100の下端とケース200の下端との第1方向及び第2方向の多少のずれは、コイル端子130の屈曲部132により吸収することが可能である。
図23及び図24の例では、第1鍔部112に第1アーム部113は形成していない。従って、第1アーム部113に設けられた係止部114も設けていない。ヨーク140に対するボビン110の水平方向の変移が容易になっている。図4や図5のように、第1アーム部113を形成する場合でも係止部114を廃止することは可能である。
上述の例では、ヨーク140を第1壁部142、中間壁部141及び第2壁部143とからなるコ字形状としたが、ヨーク140の形状は他の形状でもよい。ヨーク140はコイル120の周囲に配置され、コイル120の通電時に磁気回路を構成する構造であればよい。例えば、円筒形状としても良い。また、第1壁部142を含む部材と第2壁部143を含む部材との2部材でヨーク140を形成しても良い。
上述の例では、コイル端子130と回路基板300との結合はプレスフィット端子構造で行っている。コイル端子130を貫通孔301に挿入するのみで結合ができて作業性が良い。ただ、コイル端子130と回路基板300との電気接続はハンダ付けによっても可能である。
上述の例では、第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252内に、コイル装置100をそれぞれ4個ずつ配置したが、このコイル装置100の数は液圧制御装置10に要求される機能に応じて変更可能である。また、複数のコイル装置100を第4方向に並列配置することは、ケース200内にコイル装置100を収納する上で望ましい。但し、必要に応じ、第3コイル装置収容空間253や第4コイル装置収容空間254のように個別のコイル装置100を収容しても良い。
同様に上述の例では、第1コイル装置収容空間251に収容されたコイル装置100と、第2コイル装置収容空間252内に収容されたコイル装置100とは、互いの端子部133が対向するようにして第3方向に配置されていた。複数のコイル装置100をコンパクトに収容する上では望ましい配置である。但し、この配置も必須ではない。必要に応じ、第1コイル装置収容空間251に収容されたコイル装置100と、第2コイル装置収容空間252内に収容されたコイル装置100とをオフセットして配置してもよい。また、全てのコイル装置100が同じ方向に向くように並べても良い。
また、上述の例では、第1コイル装置収容空間251内に配置したコイル装置100と第2コイル装置収容空間252内に配置したコイル装置100を略同形状としたが、必ずしも同一形状である必要は無い。第1コイル装置収容空間251内に配置したコイル装置100の方が、第2コイル装置収容空間252内に配置したコイル装置100より大きくしても良く、その逆でも良い。コイルの体格のみでなく、形状自体異なるものでも良い。
また、上述の例では、コイル端子130の保持部位136を屈曲部132と端子部133との間に形成したが、保持部位136はコイル端子130のいずれかの部位であればよい。第1コイル装置収容空間251及び第2コイル装置収容空間252内収納されるコイル装置100のように並列や対向配置されるには、保持部位136を屈曲部132にするのが望ましい。
しかし、第3コイル装置収容空間253や第4コイル装置収容空間254に配置の個別のコイル装置100のように、個別に配置されるコイル装置100はケース200側の形状を工夫することでコイル端子130を保持することが可能である。そのような場合、コイル端子130に屈曲部132を設ける必要もなく、保持部位136が屈曲部132にある必要は無くなる。第1型500は、保持部位136より基部139に近い部位に端子保持溝502を設けることとで、端子保持部220を形成することができる。
更に、本開示では、ケース200の端子保持部220がコイル端子130を保持していればよい。従って、ケース200にコイル端子130のみならず、コイル装置100全体がインサート成形されるようにしても良い。
また、上述した素材や大きさは、一例であり、要求される性能に応じて適宜選択可能である。この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。