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JP7737072B2 - 柱梁接合構造 - Google Patents
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JP7737072B2 - 柱梁接合構造 - Google Patents

柱梁接合構造

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Description

本発明は、柱梁接合構造に関する。
本願は、2023年6月19日に、日本に出願された特願2023-099747号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
1994年にアメリカ合衆国で、ノースリッジ地震が発生した。このノースリッジ地震が発生するよりも前においては、図20に示す柱梁接合構造200が採用されていた(非特許文献1参照)。すなわち、柱梁接合構造200は、柱201と、梁211と、を備える。柱201は、柱用H形鋼(H形鋼)で構成された柱本体202と、一対のスチフナ(ダイアフラム。第1補強板、連続板)203と、シアプレート204と、を有する。
柱本体202は、一対の柱用フランジ206及び柱用ウェブ207を有し、上下方向に沿って延びている。
各スチフナ203は、水平スチフナであり、水平面に沿って配置されている。各スチフナ203は、上下方向において、梁211における後述する一対の梁用フランジ216と同じ位置に配置されている。各スチフナ203は、柱201(柱本体202)の一対の柱用フランジ206及び柱用ウェブ207に、溶接により形成された溶接部208によりそれぞれ接合されている。
シアプレート204は、柱201の柱用フランジ206に溶接等により接合されている。
梁211は、梁用H形鋼(H形鋼)212と、一対の裏当て金213と、を有する。梁用H形鋼212は、例えば、JIS(日本工業規格) G 3192:2014 熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差(以下では、単にJIS G 3192と言う)により規定されるH形鋼である。
梁用H形鋼212は、一対の梁用フランジ216及び梁用ウェブ217を有する。一対の梁用フランジ216は、上下方向に対向するように配置されている。一対の梁用フランジ216のうち、上方に配置された梁用フランジ216が上フランジ216Aであり、下方に配置された梁用フランジ216が下フランジ216Bである。
各梁用フランジ216は、裏当て金213が梁用フランジ216の下方に取り付けられた状態で、溶接部218により柱本体202の柱用フランジ206に接合されている。梁用ウェブ217とシアプレート204とは、高力ボルト等の締結部材219により互いに接続されている。なお、梁用ウェブ217は、シアプレート204と締結部材219による接続に加え、溶接により接続される場合もある。また、梁用ウェブ217は、柱用フランジ206に直接溶接により接合される場合もある。
柱梁接合構造200において、柱201と梁211とは、接合部222で互いに接続されている。接合部222は、いわゆるプレノースリッジ(Pre-Northridge)接合部である。
ここで、柱用ウェブ207における、上下方向において梁211の範囲内の部分を、接合部パネル207aと規定する。
柱梁接合構造200のノースリッジ地震による破壊形式には、図21に示すように、線LA,LB,LC,LDで表される亀裂に対応するType AからType Dがある。
Type A,Bは、柱用フランジ206を、柱用フランジ206の主面と平行に引き裂く方向(後述する図1におけるS方向(板厚方向S))の破壊靭性に依存する。Type Cでは、亀裂を表す線LCは、梁用フランジ216を貫通するように進展している。
Type Dは、柱用フランジ206を材軸方向(長手方向)に分断する方向(L方向)の破壊靭性に依存する。
図22に示すように、Type Dはさらに、接合部パネル207aのせん断変形に起因する柱用フランジ206の局所的な曲げ変形によって誘起される。なお、図22に示す柱梁接合構造200Aでは、柱201に一対の梁211が接合されている。柱201の柱用フランジ206における範囲R1の部分、及び梁211の梁用フランジ216における範囲R2の部分には、それぞれ局所的なキンク(捩れ。kink)変形が生じている。これら範囲R1,R2の部分が、局所的な曲げ変形が生じている部分である。
このように、Type Cを除き、いずれも、下フランジ216Bの裏当て金213と柱201との間に形成されたスリットで、亀裂が発生、進展したことを示している。
欧米の現在の耐震構造に用いられる柱梁接合構造は、ノースリッジ地震における、柱梁接合構造200の接合部222での破壊形式を踏まえて、多数回の繰返し変形に耐えうるように、接合部の詳細構造(detail)が決められている。
具体的な詳細構造として、図23に示すように、柱梁接合構造200Bは、下記の(1)~(3)の対策を講じることが義務付けられている。
(1)柱201を、スチフナ203により補強する。
(2)柱201の接合部パネル207aを、柱用ウェブ207を厚くするようにダブラープレート(第2補強板)225により補強する。
(3)梁211Aの端部を現場で溶接した後に、梁211Aの下フランジ216Bに取り付く裏当て金213を除去し、補強溶接する。
すなわち、梁211Aは、梁211の各構成において、下フランジ216B周辺に裏当て金213を有さない。ダブラープレート225は、柱201に備えられ、接合部パネル207aに接合される。
柱201と梁211Aとの接合部222Aは、いわゆるポストノースリッジ(Post-Northridge)接合部である。接合部222Aは、Type AからType Dの破壊を防止するための接合部である。
(1)及び(2)の対策により、柱用フランジ206及び接合部パネル207aの塑性変形を抑制している。(3)の対策における裏当て金213の除去には、例えばアークガウジング工法が用いられる。補強溶接は、裏当て金213を除去した部分で、除去した部分の下方から上向きに行われる。補強溶接により、破壊の起点となるスリットを無くしている。
これらの対策は、柱用フランジ206にS方向及びL方向の破壊靭性が比較的低い鋼材を用いる場合において、早期の脆性破壊を防止するには有効な対策である。
中島正愛、"兵庫県南部地震と米国ノースリッジ地震における鉄骨造建物柱はり接合部破断現象とその比較"、[online]、平成8年4月、京都大学防災研究所年報、第39号、B-1、[令和4年8月3日検索]、インターネット<http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/nenpo/no39/39b1/a39b1p02.pdf>
しかしながら、柱梁接合構造200Bの接合部222Aでは、地震外力によるエネルギーを全て梁211Aの塑性変形によって吸収するため、梁211Aの局部座屈によって接合部222Aの終局性能が制限されていた。また、スチフナやダブラ―プレートによる補強や裏当て金の除去は、工場製作や現場施工の負荷が大きく、建築鉄骨の生産性を落とす要因になっている。
一方で、柱梁接合構造が用いられる建築物の構造安定性を確保することが望まれている。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、柱梁接合構造が用いられる建築物の構造安定性を確保するとともに、エネルギー吸収性能が高い接合部を有する柱梁接合構造を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、柱用H形鋼、角形鋼管、又は溶接組立箱形断面で構成された柱本体を有する柱と、梁用H形鋼を有し、前記梁用H形鋼の一対の梁用フランジが、前記柱本体が有する被接合板に溶接部を介してそれぞれ直接接合された梁と、を備え、前記被接合板は、前記柱用H形鋼の柱用フランジ、又は前記角形鋼管及び前記溶接組立箱形断面の平板部であり、前記柱本体の中心軸線と、前記梁用H形鋼の中心軸線とが交差する位置を、交差位置と規定したときに、前記交差位置における、前記梁の全塑性耐力に対する前記柱の全塑性耐力の比が、1.5以上3.0以下であり、前記交差位置における、前記柱用H形鋼で構成された前記柱本体の柱用ウェブ、又は前記角形鋼管及び前記溶接組立箱形断面で構成された前記柱本体における前記梁の長手方向に沿って延びる前記平板部である接合部パネル、における、上下方向において前記梁せいの範囲内の部分の全塑性耐力に対する前記梁の全塑性耐力の比が、1.05以上1.5以下であり、前記柱と前記梁との接合部にエネルギーが作用したときに、前記接合部パネルが降伏し、降伏による前記接合部パネルの耐力上昇に続いて、前記梁が降伏し、前記梁及び前記接合部パネルの両方で、前記エネルギーを吸収する、柱梁接合構造である。
この発明では、発明者等は鋭意検討の結果、柱梁接合構造における柱と梁との接合部におけるエネルギー吸収性能を高めるには、梁だけでなく、接合部パネルで、柱梁接合構造に作用するエネルギーを吸収させることが必要であることを見出した。特に、柱用フランジの破断が生じない限り塑性化後の安定的な耐力上昇が望める接合部パネルが先に降伏し、降伏による接合部パネルの耐力上昇に続いて、梁が降伏するように構成されていることが好ましい。つまり、接合部パネルの全塑性耐力に対する梁の全塑性耐力の比である梁パネル耐力比は、接合部パネルが先に降伏するには、1.05以上であればよい。
また、接合部パネルは、繰り返しの塑性変形によるひずみ硬化により、耐力が全塑性耐力の1.5倍程度まで上昇することが期待できる。つまり、梁パネル耐力比を1.5以下にすることで、接合部パネルが先行降伏した後の耐力上昇過程において、接合部パネルだけでなく梁も塑性化させることができ、梁及び接合部パネルの両方で柱梁接合構造に作用するエネルギーを吸収させることができる。従って、柱と梁との接合部におけるエネルギー吸収性能を高めることができる。
一方で、柱梁接合構造が用いられる建築物の構造安定性を確保するには、柱の降伏による、建築物が備える層の崩壊を防ぐ必要がある。そのためには、柱は梁に対して十分に強くする必要がある。梁の塑性化後の耐力上昇を鑑みると、梁の全塑性耐力に対する柱の全塑性耐力の比である柱梁耐力比は、1.5以上が好ましい。柱が過剰な性能となり経済的に不合理とならないようにするには、柱梁耐力比は2.5~3.0程度以下に抑えるのが好ましい。
以上のように、梁パネル耐力比を1.05以上1.5以下とし、柱梁耐力比を1.5以上3.0以下とすることにより、柱梁接合構造が用いられる建築物の構造安定性を確保し、エネルギー吸収性能が高い接合部を有する柱梁接合構造を提供することができる。
(2)本発明の態様2は、前記一対の梁用フランジのうち下方に配置された下フランジ及び前記被接合板のそれぞれに前記溶接部を介して接合された裏当て金を備え、前記裏当て金は、前記下フランジの下方に取り付けられ、前記裏当て金の上面には、前記被接合板に近づくに従い漸次、下方に向かう斜面が形成され、前記溶接部は前記斜面内にも形成されている、(1)に記載の柱梁接合構造であってもよい。
この発明では、裏当て金と溶接部との接続面における被接合板に接合される部分は、被接合板に対して直交せずに傾斜している。このため、例えば、梁に作用する曲げモーメント等の荷重により、被接合板と裏当て金との境界に生じるスリットの先端へのひずみ集中を緩和することができ、スリットの先端から溶接部や被接合板(被接合板の母材)に向かう亀裂の進展を抑制することができる。
(3)本発明の態様3は、-20℃における、前記被接合板の板厚方向のシャルピー吸収エネルギーvE-20(S)が、35J以上である、(1)又は(2)に記載の柱梁接合構造であってもよい。
この発明では、-20℃における、被接合板の板厚方向の靭性が、一般的な被接合板と比べると一定以上高くなる。一般的に、被接合板の温度が高くなるのに従い被接合板の靭性が高くなる。被接合板が実際に使用される温度では靭性がさらに高くなるため、梁が有する梁用H形鋼の一対の梁用フランジに、被接合板が溶接部を介して直接接合された場合であっても、被接合板が板厚方向に破断するのを抑制することができる。
(4)本発明の態様4は、0℃における、前記被接合板の板厚方向のシャルピー吸収エネルギーvE0(S)が、47J以上である、(1)から(3)のいずれか一に記載の柱梁接合構造であってもよい。
この発明では、0℃における、被接合板の板厚方向の靭性が、一定以上高くなる。一般的に、被接合板の温度が高くなるのに従い被接合板の靭性が高くなる。被接合板が実際に使用される温度では靭性がさらに高くなるため、梁が有する梁用H形鋼の一対の梁用フランジに、被接合板が溶接部を介して直接接合された場合であっても、被接合板が板厚方向に破断するのを抑制することができる。
(5)本発明の態様5は、上下方向において前記一対の梁用フランジと同じ位置に配置され、前記柱本体に接合される第1補強板を有さない、(1)から(4)のいずれか一に記載の柱梁接合構造であってもよい。
この発明では、柱において、柱本体に接合される第1補強板を有さないため、柱の施工を比較的容易に行うことができる。
(6)本発明の態様6は、前記柱用ウェブ又は前記平板部を厚くするように前記柱用ウェブ又は前記平板部に接合される第2補強板を有さない、(1)から(5)のいずれか一に記載の柱梁接合構造であってもよい。
この発明では、柱において、柱用ウェブ又は平板部に接合される第2補強板を有さないため、柱の施工を比較的容易に行うことができる。
本発明の柱梁接合構造では、柱梁接合構造が用いられる建築物の構造安定性を確保し、エネルギー吸収性能が高い接合部を有する柱梁接合構造を提供することができる。
本発明の一実施形態の柱梁接合構造の要部の斜視図である。 図1中のA1部拡大図である。 シャルピー試験片の形状を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は(A)中の切断線A3-A3の断面図である。 圧延鋼材からシャルピー試験片を採取する際の試験片及びノッチの向きを説明する図である。 柱用フランジから板厚方向のシャルピー試験片を採取する手順を示す図である。 ノッチが形成される平面がロール方向に直交するシャルピー試験片を用いた、JIS Z 2242による試験結果を示す図である。 ノッチが形成される平面が板厚方向に直交するシャルピー試験片を用いた、JIS Z 2242による試験結果を示す図である。 柱梁接合構造が用いられる建築物を説明する正面図である。 柱梁接合構造用の試験装置の概要を説明する正面図である。 サンプル1に作用させる載荷履歴1を説明する図である。 サンプル2に作用させる載荷履歴2を説明する図である。 米国緊急事態管理庁の実験結果を表す図である。 Shinの文献の実験結果を表す図である。 サンプル1の実験結果を表す図である。 実施例及び従来の接合部を比較した結果を表す図である。 実施例の実験結果を表す写真である。 実施例の柱梁接合構造及び既往の研究における、耐力比及び最大層間変形角を比較する図である。 本発明の一実施形態の柱梁接合構造の第1変形例における、要部の斜視図である。 本発明の一実施形態の柱梁接合構造の第2変形例における、要部の斜視図である。 ノースリッジ地震以前に用いられていた柱梁接合構造の要部の正面図である。 同柱梁接合構造の破壊形式を説明する要部の拡大図である。 柱梁接合構造の接合部パネルがせん断変形している状態を示す側面図である。 ノースリッジ地震より後で従来用いられている柱梁接合構造の要部の斜視図である。
以下、本発明に係る柱梁接合構造の一実施形態を、図1から図19を参照しながら説明する。
〔1.建築物の構成〕
〔1-1.柱梁接合構造の構成〕
図1に示すように、本実施形態の柱梁接合構造1は、建築物2に用いられる。柱梁接合構造1は、柱11と、一対の梁211Bと、を備える。なお、柱梁接合構造1が備える梁211Bの数は限定されず、1本でもよいし、3本以上でもよい。
柱11は、柱用H形鋼(H形鋼)で構成された柱本体12を有する。柱本体12は、上下方向(又は第1方向)に沿って延びている。柱本体12は、一対の柱用フランジ(被接合板)16と、柱用ウェブ17と、を有する。一対の柱用フランジ16及びウェブ17は、圧延鋼材で形成されていることが好ましい。
一対の柱用フランジ16は、互いの板厚方向Sに対向するように配置されている。柱用ウェブ17は、一対の柱用フランジ16の間に配置されている。柱用ウェブ17は、一対の柱用フランジ16の幅方向の中心に、それぞれ接合されている。
例えば、柱本体12は、高靭性鋼材で形成されている。柱本体12の化学組成では、S含有量が比較的低いことが好ましい。一般的に、Sは、鋼材中のMnと結合して、不純物として鋼材に含有される元素である。Sは、MnSを形成し、鋼材を脆化させる作用を有する。柱本体12が含有するS含有量が比較的低いことにより、柱本体12の靭性を比較的高くすることができる。
この例では、柱11は、図23等に示したような、スチフナ203及びダブラープレート225を有さない。なお、柱11は、スチフナ203及びダブラープレート225の少なくとも一方を有してもよい。
図1及び図2に示すように、梁211Bは、梁211(この例では水平方向である、第2方向に延びる)の各構成における、一対の裏当て金213に代えて、一対の裏当て金21を有する。
図2に示すように、この例では、各梁用フランジ216における柱用フランジ16側の端部には、柱用フランジ16に近づくに従い漸次、下方に向かう斜面216aが形成されている。
この例では、第1方向と第2方向は互いに実質的に直交している。
裏当て金21は、直方体状である。各裏当て金21は、各梁用フランジ216(下フランジ216B)の下方に取り付けられている。より詳しくは、各裏当て金21は、各梁用フランジ216の下方から各梁用フランジ216と柱用フランジ16に隅肉溶接や仮付溶接等により取り付けられている。なお、上フランジ216Aには、裏当て金21は用いられなくてもよいし、裏当て金213を用いてもよい。
裏当て金21の上面における柱用フランジ16側の端部には、柱用フランジ16に近づくに従い漸次、下方に向かう斜面21aが形成されている。すなわち、裏当て金21は、面取りされている。斜面21aは、梁用フランジ216の斜面216aに連なっている。溶接部218は、梁用フランジ216の斜面216a内(斜面216a上)、及び裏当て金21の斜面21a内(斜面21a上)にそれぞれ配置されている。裏当て金21は、梁用フランジ216(下フランジ216B)及び柱用フランジ16のそれぞれに、溶接部218を介して接合されている。
このように、各梁用フランジ216は、柱本体12の柱用フランジ16のそれぞれに、溶接部218を介して直接接合されている。
柱用フランジ16と裏当て金21との間には、溶接部218が配置され難く、スリット21bが形成されやすい。
ここで、図1に示すように、柱用ウェブ17における、上下方向において梁211Bの範囲内の部分を、接合部パネル17aと規定する。柱本体12の中心軸線O1と、梁211B(梁用H形鋼)の中心軸線O2とが交差する位置を、交差位置P1と規定する。
柱梁接合構造1において、柱11と一対の梁211Bとは、接合部23で互いに接続されている。交差位置P1は、接合部23の節点である。
なお、柱本体12は柱用H形鋼で構成されるとしたが、柱本体は、角形鋼管、溶接組立箱形断面(溶接組立箱形断面柱)で構成されてもよい。
〔1-2.柱用フランジの材料についての検討〕
図1に示すように、例えば、一対の梁211Bに、曲げモーメントである荷重F1が作用すると、被接合板である柱用フランジ16に板厚方向Sに力が作用する。発明者等は、柱用フランジ16に、板厚方向Sの靭性が高い材料を用いることにより、荷重F1が作用したときに接合部パネル17aがせん断変形し、それに伴い柱用フランジ16が曲げ変形を生じつつも板厚方向Sの荷重に抵抗し、荷重F1によるエネルギーを吸収すると考えた。
なお、板厚方向Sの靭性が低い柱用フランジに板厚方向Sに力が作用すると、柱用フランジに、球根状剥離(Divot fracture)が生じる虞がある。
部材の靭性を測定する方法として、JIS Z 2242:2018 金属材料のシャルピー衝撃試験方法の規定(以下では、単にJIS Z 2242と言う)が知られている。JIS Z 2242では、図3に示すシャルピー試験片150を用いて試験が行われる。シャルピー試験片150の軸線方向の長さは、55mmである。シャルピー試験片150における、軸線方向に直交する断面形状は、10mm×10mmの矩形状である。シャルピー試験片150において、軸線方向の中心の外面には、ノッチ151が形成されている。ノッチ151は、軸線方向に直交する平面S1上に形成される。ノッチ151は、深さ2mmのVノッチである。ノッチ151は、シャルピー試験片150におけるこの深さ方向に、部分的に形成されている。
ノッチ151は、軸線方向に直交する方向に延び、シャルピー試験片150の全幅にわたって形成されている。
図4を用いて、柱用フランジ16等の圧延鋼材155からシャルピー試験片150を採取する際の試験片及びノッチの向きについて説明する。なお、図4では、シャルピー試験片150を、後述するノッチ151の形状も含めて模式的に示している。
圧延鋼材155は、圧延機で、鋼を、板厚方向(Thickness Direction)Sに薄くしながら、ロール方向(Rolled Direction)Lに延ばして製造される。ここで、板厚方向S及びロール方向Lにそれぞれ直交する方向を、幅方向(Width Direction)Tという。ロール方向L及び幅方向Tは、それぞれ板厚直交方向(板厚方向Sに直交する方向)である。 例えば、ノッチ151が形成される平面S1が板厚方向Sに直交し、ノッチ151の深さ方向が幅方向Tに平行なシャルピー試験片150を、「S-T」又は「シャルピー試験片150ST」と表記する。
JIS Z 2242では、ノッチ151が形成される平面S1が、ロール方向L又は幅方向Tに直交するシャルピー試験片150LS,150LT,150TS,150TLが用いられる。板厚方向Sに直交するシャルピー試験片150ST,150SLを用いたシャルピー衝撃試験は、用いるシャルピー試験片150の採取手順以外は、JIS Z 2242の手順で行われる。
図5に、柱用フランジ16からシャルピー試験片150SLを採取する手順を示す。ここで、柱用フランジ16の板厚を、t1(mm)と規定する。柱用フランジ16の板厚方向Sを向く面であって、後述する延長棒(extending bar)156が接合される面を、面16aと言う。シャルピー試験片150SLのノッチ151と面16aとの板厚方向Sの距離を、t2(mm)と規定する。
柱用フランジ16の面16aに、円柱状の延長棒156を、摩擦圧接接合により接合する。摩擦圧接接合により接合するのは、柱用フランジ16と延長棒156との接合部に形成される熱影響部(HAZ:Heat-Affected Zone)を、極力狭い範囲に抑えるためである。これにより、シャルピー試験片150のノッチ151に熱影響が生じない形で、シャルピー試験片150を製作することができる。
このとき、延長棒156の軸線方向が、板厚方向Sに沿うように配置する。例えば、延長棒156の長さは120mmであり、延長棒156の径は30mmである。延長棒156を形成する材料は、柱用フランジ16を形成する材料と同一であることが好ましい。 摩擦圧接接合は、延長棒156の全断面が柱用フランジ16の面16aに接合されるように実施する。
例えば、板厚t1が40mm以下の場合には、距離t2は(t1/4)とする。板厚t1が40mmを超える場合には、距離t2は10mmとする。柱用フランジ16と延長棒156との接合部には、熱影響部が、狭い範囲ではあるが形成されるため、板厚t1に応じて、距離t2を前記のように設定することが好ましい。
例えば、柱用フランジ16の板厚t1は、19mm以上である。
一般的に、JIS Z 2242で測定されるシャルピー吸収エネルギーが大きくなるほど、靭性が高くなる。
図6に、ノッチ151が形成される平面S1がロール方向Lに直交するシャルピー試験片150LTを用いた、JIS Z 2242による試験結果を示す。図6において、横軸はシャルピー試験片150LTの温度(℃)を表し、縦軸はシャルピー吸収エネルギー(J)を表す。以下では、ノッチ151が形成される平面S1がロール方向Lに直交するシャルピー試験片150LS,150LT,150TS,150TLによるシャルピー吸収エネルギーを、ロール方向Lのシャルピー吸収エネルギーvE(L,T)と言う。
なお、板厚直交方向がロール方向Lであるとしたが、板厚直交方向は幅方向Tでもよい。
白丸印は、柱用フランジ16に用いる高靭性鋼材による結果を表す。実線による線L1は、白丸印が表す結果を近似した曲線を表す。白三角印は、比較となる従来から柱用フランジ16に使用されている一般的な鋼材(以下では、従来鋼材と言う)による結果を表す。点線による線L2は、白三角印が表す結果を近似した曲線を表す。
線L3は、Eurocodes及びAISC(American Institute of Steel Construction:米国鋼構造協会)に基づく必要性能を表す。必要性能は、-21℃から-20℃において、シャルピー吸収エネルギーが27J以上となることである。
高靭性鋼材及び従来鋼材のいずれにおいても、温度が高くなるのに従い、シャルピー吸収エネルギーが大きくなった。温度によらず、高靭性鋼材のシャルピー吸収エネルギーは、従来鋼材のシャルピー吸収エネルギー以上となった。
-60℃から80℃において、高靭性鋼材及び従来鋼材のいずれのシャルピー吸収エネルギーも、Eurocodes及びAISCに基づく必要性能を満たした。
ここで、測定した、高靭性鋼材のJIS Z 2242に基づく、-20℃における、ロール方向Lのシャルピー吸収エネルギーvE-20(L,T)を、図6中に、点P-20(L,T)として示す。高靭性鋼材のJIS Z 2242に基づく、0℃における、ロール方向Lのシャルピー吸収エネルギーvE0(L,T)を、図6中に、点P0(L,T)として示す。
図7に、ノッチ151が形成される平面S1が板厚方向Sに直交するシャルピー試験片150SLを用いた、JIS Z 2242による試験結果を示す。軸、凡例、及び線L1,L2の意味は、図6と同一である。シャルピー試験片150SLの場合には、Eurocodes及びAISCに必要性能は規定されていない。
以下では、ノッチ151が形成される平面S1が板厚方向Sに直交するシャルピー試験片150ST,150SLによるシャルピー吸収エネルギーを、板厚方向Sのシャルピー吸収エネルギーvE(S)と言う。
シャルピー試験片150SLの場合でも、シャルピー試験片150LTと同様の傾向が視られた。さらに、シャルピー試験片150SLの場合には、高靭性鋼材のシャルピー吸収エネルギーと従来鋼材のシャルピー吸収エネルギーとの差が大きくなった。
ここで、測定した、高靭性鋼材のJIS Z 2242に基づく、-20℃における、板厚方向Sのシャルピー吸収エネルギーvE-20(S)を、図7中に、点P-20(S)として示す。高靭性鋼材のJIS Z 2242に基づく、0℃における、板厚方向Sのシャルピー吸収エネルギーvE0(S)を、図7中に、点P0(S)として示す。
シャルピー吸収エネルギーvE-20(S)は、35J以上であることが好ましい。シャルピー吸収エネルギーvE-20(S)は、47J以上であることがより好ましい。 シャルピー吸収エネルギーvE0(S)は、47J以上であることが好ましい。シャルピー吸収エネルギーvE0(S)は、70J以上であることがより好ましい。
-20℃における、シャルピー吸収エネルギーvE-20(L,T)及びシャルピー吸収エネルギーvE-20(S)が、(6)式を満たすことが好ましい。
vE-20(S)≧0.5×vE-20(L,T) ・・(6)
すなわち、-20℃における、シャルピー吸収エネルギーvE-20(S)に対応する柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性が、シャルピー吸収エネルギーvE-20(L,T)に対応する柱用フランジ16のロール方向Lの靭性に対して一定の割合以上になることが好ましい。
また、0℃における、シャルピー吸収エネルギーvE0(L,T)及びシャルピー吸収エネルギーvE0(S)が、(7)式を満たすことが好ましい。
vE0(S)≧0.5×vE0(L,T) ・・(7)
すなわち、0℃における、シャルピー吸収エネルギーvE0(S)に対応する柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性が、シャルピー吸収エネルギーvE0(L,T)に対応する柱用フランジ16のロール方向Lの靭性に対して一定の割合以上になることが好ましい。
このように柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性が柱用フランジ16のロール方向Lの靭性に対して一定の割合以上となることで、方向による柱用フランジ16の靭性の差が少なくなり、安定的な亀裂の進展を誘発することで延性的な破壊性状となり、よりエネルギー吸収性能が高い接合部となる。
なお、部材の靭性を測定する方法としては、JIS Z 2242と同様の結果が得られる他の基準として例えば、ISO 148-1:2016 Metallic Materials-Charpy pendulum impact test Part1:Test method、ASTM E23-18 Standard Test Methods for Notched Bar Impact Testing of Metallic Materials、BS EN ISO 148-1:2016 Metallic Materials-Charpy pendulum impact test Part1:Test method、DIN EN ISO 148-1:2016 Metallic Materials-Charpy pendulum impact test Part1:Test method等を用いてもよい。
更に、-20℃における、シャルピー吸収エネルギーvE-20(L,T)及びシャルピー吸収エネルギーvE-20(S)が、(6’)式を満たすことが好ましい。
vE-20(L,T)≧vE-20(S) ・・(6’)
すなわち、-20℃における、シャルピー吸収エネルギーvE-20(L,T)に対応する柱用フランジ16のロール方向Lの靭性が、シャルピー吸収エネルギーvE-20(S)に対応する柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性に対して同等以上になることが好ましい。
また、0℃における、シャルピー吸収エネルギーvE0(L,T)及びシャルピー吸収エネルギーvE0(S)が、(7’)式を満たすことが好ましい。
vE0(L,T)≧vE0(S) ・・(7’)
すなわち、0℃における、シャルピー吸収エネルギーvE0(L,T)に対応する柱用フランジ16のロール方向Lの靭性が、シャルピー吸収エネルギーvE0(S)に対応する柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性に対して同等以上になることが好ましい。
このように柱用フランジ16のロール方向Lの靭性が柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性に対して同等以上となることで、板厚方向の破壊を抑制することで亀裂が板厚貫通方向に進展する場合についても亀裂の進展が安定的となり延性的な破壊性状となり、よりエネルギー吸収性能が高い接合部となる。
〔1-3.柱梁接合構造の各構成の全塑性耐力等についての規定〕
一般的に、柱梁接合構造の設計では、柱、梁等の全塑性耐力を計算する際に、交差位置を基準にしている。なお、全塑性耐力は、梁等のように、部材が所定の基準方向に延びる形状である場合に、その部材に何らかの外力が作用したことにより、その部材の基準方向に直交する断面において、断面内の全てが塑性状態になったときの、その外力のことを意味する。
ここで、交差位置P1における、梁211Bの全塑性耐力Mpbに対する柱11の全塑性耐力Mpcの比を、柱梁耐力比(Mpc/Mpb)と規定する。交差位置P1における、接合部パネル17aの全塑性耐力Mppに対する梁211Bの全塑性耐力Mpbの比を、梁パネル耐力比(Mpb/Mpp)と規定する。
以下の〔4.〕では、本発明の課題である、建築物2の構造安定性を確保し、エネルギー吸収性能が高い接合部23を有する柱梁接合構造1を提供するための、柱梁耐力比及び梁パネル耐力比の範囲についての検討を行う。
〔1-4.全塑性耐力の計算方法〕
図8に示す柱梁接合構造3が用いられる建築物4を用いて、全塑性耐力の計算方法の一例を説明する。柱梁接合構造3は、1本の柱11と、6本の梁211Bと、を備える。この例では、6本の梁211Bのせいが互いに等しく、上下方向に隣り合う梁211B間の距離(柱11のせい)が互いに等しいと仮定する。
6本の梁211Bにおける柱11に接合されていない側の端部は、第2柱51にそれぞれ接合されている。
ここで、一対の第2柱51が並べられた方向を、左右方向と言う。柱11の中心軸線O1又は第2柱51の中心軸線O3と、梁211Bの中心軸線O2とが交差する位置を、節点と言う。
柱梁接合構造3の諸元の記号を、以下のように規定する。なお、各記号の単位としては、後述する表1に示す単位等が用いられる。
l ,l :接合部23に対する左側、右側の梁211Bの節点間の距離
l’,l’:接合部23に対する左側、右側の梁211Bの内法長さ
h ,h :接合部23に対する上方、下方の柱11の節点間の距離
h’,h’:接合部23に対する上方、下方の柱11の内法長さ
bLbR:接合部23に対する左側、右側の梁211Bの塑性断面係数
cTcB:接合部23に対する上方、下方の柱11の塑性断面係数
bLF,bRF:接合部23に対する左側、右側の梁211Bの材料強度の基準強度
cTF,cBF:接合部23に対する上方、下方の柱11の材料強度の基準強度
F:接合部パネル17aの材料強度の基準強度
H:梁211Bのせい
H:柱11のせい
:梁用フランジ216の厚さ
:柱用フランジ16の厚さ
:ウェブ17の厚さ(柱本体が角形鋼管又は溶接組立箱形断面で構成される場合には、角形鋼管又は溶接組立箱形断面の平板部(図18の平板部33B参照)の厚さ)
:一対の梁用フランジ216の板厚中心間の距離(=H-
:一対の柱用フランジ16の板厚中心間の距離(=H-
ここで、接合部パネルの有効体積Vは、(11)式及び(12)式により得られる。
このとき、梁211Bの全塑性耐力Mpbは、(15)式により得られる。柱の全塑性耐力Mpcは、(16)式により得られる。接合部パネルの全塑性耐力Mppは、(17)式により得られる。
例えば、接合部23の上方及び下方の階高(距離h,hに該当)を、4500mmと仮定する。梁211Bの節点間の距離l,lを、9000mmと仮定する。
表1に示すケース1からケース5に対して、梁パネル耐力比及び柱梁耐力比を求めた。
例えば、ケース1には、柱用H形鋼で構成された柱本体が用いられる。柱本体の断面寸法は、H-458×427×40×50(せい×幅×ウェブの厚さ×フランジの厚さで、単位はmm)で、基準強度cTF,cBFは235N/mmとした。
ケース1では、梁パネル耐力比が1.411となり、柱梁耐力比が2.983となった。
〔1-5.建築物の他の構成〕
建築物2は、図示しない床スラブ等を備えている。床スラブは、柱梁接合構造1の梁211B等により、床スラブの下方から支持されている。建築物2は、床スラブ等により上下方向に仕切られた複数の層(階)を有してもよい。
例えば、建築物2は、床スラブ上に、机や書類棚等の設備を置いて使用される。
〔2.高靭性鋼材の製造方法〕
高靭性鋼材の化学成分は、S含有量に関して0.011質量%以下である。なお、S含有量は、燃焼-赤外線吸収法を用いて測定することができる。高靭性鋼材の他の元素の化学成分は、適宜設定されればよい。
化学組成の一例としては、C:0.05~0.20%(質量%)、Si:0.05~0.60%、Mn:0.50~2.00%、P:0.035%以下、S:0.011%以下を含む化学組成が挙げられる。
高靭性鋼材は、上述の化学組成を有する鋳造スラブを1050~1350℃に加熱し、仕上圧延を600~950℃で行うことにより得ることができる。
また、仕上圧延に引き続いて、加速冷却を行い、100℃以上600℃以下で加速冷却を停止することが好ましい。
〔3.柱梁接合構造の耐力比の検討実験〕
図9に示す実験装置160に柱梁接合構造1を取付けて、実験を行った。以下では、柱梁接合構造1が備える一対の梁211Bのうち、一方を梁211BAと言い、他方を梁211BBと言う場合がある。なお、柱梁接合構造1は、実際の建物における配置から横倒しした状態で設置されており、柱と梁の構面が水平面にくるように設置されている。
実験装置160は、反力壁接続治具161と、梁用ジャッキ162A,162Bと、柱用ジャッキ163と、横補剛治具164と、軸力フレーム165と、パンタグラフ治具166A,166Bと、反力治具167と、を備える。
反力壁接続治具161は、実験場の反力壁に取り付けられている。反力壁接続治具161には、梁用ジャッキ162A,162B、及び軸力フレーム165が固定されている。柱用ジャッキ163は、軸力フレーム165の反力壁接続治具161が接合されている端部とは反対側の端部に固定されている。
梁用ジャッキ162Aは、梁211BAにおける柱本体12に接合されている端部とは反対側の端部を、上方及び下方に交互に移動させる。梁用ジャッキ162Bは、梁211BBにおける柱本体12に接合されている端部とは反対側の端部を、下方及び上方に交互に移動させる。
柱用ジャッキ163は、柱本体12の下端部を移動させる。
横補剛治具164とパンタグラフ治具166A,166Bは、実験場の反力床に取り付けられ、試験体の柱本体12及び梁211Bが構面外に変形するのを抑制する。
反力治具167の両端は、それぞれ柱本体12の下端部と反力壁接続治具161に接合されている。反力治具167は、梁用ジャッキ162A,162Bにより生じる反力を伝達する。
柱梁接合構造1の諸元は、表2のようである。
表2に示すように、柱本体12の断面寸法は、H-498×432×45×70とした。柱本体12の長さは、4550mmとした。柱本体12の降伏強度は、379N/mmとし、引張強度は546N/mmとした。
柱本体12は図6及び図7に示す高靭性鋼材であり、化学組成は、質量%で、C:0.16%、Si:0.30%、Mn:1.40%、P:0.017%、S:0.004%を含有している。高靭性鋼材のS含有量は、一般的な鋼材と比べると比較的低い。
表2に示すように、梁用H形鋼212の断面寸法は、H-650×300×16×25とした。梁用H形鋼212の長さ(梁用ジャッキ162Aと梁用ジャッキ162Bの距離)は、8000mmとした。梁用H形鋼212の降伏強度は、380N/mmとし、引張強度は513N/mmとした。
このとき、柱梁耐力比は2.34であり、梁パネル耐力比は1.43であった。
柱梁接合構造1は、スチフナ及びダブラープレートを有しておらず、裏当て金は斜面を有するものを梁用フランジ216の上フランジ216Aと下フランジ216Bともに残置している。
実験装置160は、梁用ジャッキ162Aにより梁211BAの端部を上方に移動させると同時に、梁用ジャッキ162Bにより梁211BBの端部を下方に移動させる、第1移動状態にする。また、実験装置160は、梁用ジャッキ162Aにより梁211BAの端部を下方に移動させると同時に、梁用ジャッキ162Bにより梁211BBの端部を上方に移動させる、第2移動状態にする。実験装置160は、第1移動状態及び第2移動状態を1サイクルとして、交互に繰り返すことにより、柱梁接合構造1が逆対称曲げとなる荷重を作用させる。
構成が柱梁接合構造1として互いに同一である、サンプル1及び2を用意した。サンプル1に対しては、図10に示す載荷履歴1で荷重を作用させ、サンプル2に対しては、図11に示す載荷履歴2で荷重を作用させた。
図10及び図11において、横軸はサイクル(載荷サイクル)を表し、縦軸は柱梁接合構造1の層間変形角(rad)を表す。
載荷履歴1は、米国設計規準ANSI/AISC341-16で定められる耐震構造接合部の性能確認実験の標準載荷履歴で用いられた載荷履歴である。AISCは、米国の鋼構造に関する基準を制定する団体であり、鋼構造耐震設計規定等を発行している。載荷履歴2は、耐震構造検討プロジェクトSACで用いられた載荷履歴である。SACは、ノースリッジ地震で発生した鋼構造の溶接接合部破壊の対策検討を目的に組織されたプロジェクトである。
サンプル1及び2のいずれにおいても、柱用ジャッキ163により、柱本体12に、降伏軸力の20%という、一定の圧縮軸力(5000kN)を作用させた。柱本体12に一定の圧縮軸力を作用させつつ、一対の梁211Bに複数サイクルの荷重を作用させた。
ここで、既往の研究おける接合部の実験結果を、図12及び図13に示す。図12、図13、及び後述する図14において、横軸は層間変形角(rad)を表し、縦軸は荷重である層せん断力(kN)を表す。
図12は、米国緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency。以下では、単にFEMAと言う)の1997年の実験結果を表す。この実験で用いられた接合部は、プレノースリッジ接合部である。
図13は、Shinの文献(以下では、単にShinとも言う。〔7.〕参照)による実験結果を表す。この実験で用いられた接合部は、ポストノースリッジ接合部である。
図14は、本試験のサンプル1(実施例)による結果を表す。
図12から図14の横軸の範囲は互いに同一であり、図12から図14の縦軸の範囲は互いに同一である。縦軸の層せん断力は、試験体の断面寸法等に応じて変わるため、直接比較することはできない。一方で、横軸の層間変形角は、柱梁接合構造の変形性能を表す。層間変形角が大きな領域まで層せん断力を保持している場合の方が、高い変形性能を有していることを意味する。図14の層間変形角は最大で0.08radと、図12及び図13の最大層間変形角を大きく上回り、高い変形性能を有していることが分かった。
また、図12から図14において、実験結果の曲線で囲まれた領域は柱梁接合構造で吸収されたエネルギーを表し、各載荷サイクルにおける吸収エネルギーの累積が柱梁接合構造のエネルギー吸収性能となる。図14は、図12及び図13に比べてより多くのサイクルにおいて層せん断力を保持しているため、累積の吸収エネルギーが極めて大きい。このため、図14に示す柱梁接合構造1の接合部23は、FEMA及びShinの接合部よりもエネルギー吸収性能が高いことが分かった。
図15に、実施例の柱梁接合構造1、及びFEMA等の従来の接合部を比較した結果を示す。図15中には、従来の接合部として、Chi & Uangの文献(以下では、単にChi & Uangとも言う。〔7.〕参照)、Riclesの文献(以下では、単にRiclesとも言う。〔7.〕参照)、及びRahiminia & Nambaの文献(以下では、単にRahiminia & Nambaとも言う。〔7.〕参照)の結果も示した。
各接合部に対して、接合部の区分、スチフナ、ダブラープレート、裏当て金の有無を示した。裏当て金の欄における「残置」とは、裏当て金を残置して裏当て金が有ることを意味する。裏当て金の欄における「除去」とは、裏当て金を除去して裏当て金が無いことを意味する。
例えば、実施例の柱梁接合構造1は、スチフナ及びダブラープレートを有さず、裏当て金を有する。
図15の上部には、各接合部に対する変形性能として、層間変形角(rad)を示す。 図15中には、米国設計規準AISC341-18の必要性能(0.04)を実線による線L5で表す。
米国設計規準AISC341-18では、載荷手順1による荷重を想定している。米国設計規準AISC341-18では、層間変形角が0.04radになったときに、全塑性耐力の80%以上の耐力が残存することを、耐震構造用の接合部の必要性能として定めている。
図15中に、実施例の柱梁接合構造1等の試験結果を示す。
接合部パネル降伏の欄において、「する」は、試験中に接合部パネルが降伏することを意味し、「しない」は、試験中に接合部パネルが降伏しないことを意味する。製作・施工性の欄において、「×」(bad)は製作・施工性が悪いことを意味し、「○」(good)は製作・施工性が良いことを意味する。耐震性能の欄において、「×」は耐震性能が悪いことを意味し、「○」は耐震性能が良いことを意味し、「◎」(very good)は耐震性能が非常に良いことを意味する。
例えば、実施例の柱梁接合構造1では、試験中に、接合部パネルが降伏した。柱梁接合構造1の製作・施工性は、スチフナ及びダブラープレートを有さないため良く、耐震性能は、非常に良かった。
実施例の柱梁接合構造1の接合部23は、線L5で表される米国設計規準AISC341-18の必要性能を大幅に超過している。サンプル1及び2は、ほぼ同様の破壊形式を示した。 これにより、実施例の柱梁接合構造1の接合部23が、今回の試験条件において、耐震構造の接合部の必要性能を安定して上回ることを示した。
なお、実施例の柱梁接合構造1の接合部23の終局状態は、非特許文献1のType Dに類似する。すなわち、柱用フランジ16の表面に発生したき裂が、板厚方向に貫通する破壊形態を示した。
しかし、図16に示すように、き裂LFの発生進展は上フランジ216A側に生じており、斜面21aが形成された裏当て金213が、下フランジ216Bが起点となる破壊を防止する手段として有効に機能していたことを示している。
なお、図16に示すように、予め、柱梁接合構造1の表面に白色の漆喰が塗布されている。柱梁接合構造1において、塑性化した部分は漆喰が剥がれて、柱本体12等の地の黒色が見えている。すなわち、柱11と梁211Bがキンク変形するだけでなく、接合部パネル17aと、梁211Bの端の梁用フランジ216及び梁用ウェブ217が塑性化して、エネルギーを吸収していることが分かった。
また、現在、設計で想定する規模を超える極大地震による倒壊に対する余裕度(リダンダンシー)や、地震後の残存性能の評価(補修の可否判定)の研究が進んでいる。この中で、実施例の柱梁接合構造1の接合部23の性能は、これらの視点で高い優位性を持つことが分かった。
〔4.耐力比の検討〕
実施例の柱梁接合構造1、Shinの文献、Rahiminia & Nambaの文献、及びRiclesの文献により得られた柱梁耐力比、梁パネル耐力比、及び最大層間変形角を、図17に示す。 Shinの文献、Rahiminia & Nambaの文献、及びRiclesの文献は、既往の研究による文献である。
実施例及び既往の研究におけるスチフナの有無等は、表3に示す。
なお、スラブが有る場合には、スラブは、梁によりスラブの下方から支持される。
例えば、Shinの文献のUT01では、スチフナを有するが、ダブラープレートは無い。裏当て金は無く、スラブは無い。
〔5.本実施形態の効果〕
以上説明したように、発明者等は鋭意検討の結果、柱梁接合構造1における柱11と梁211Bとの接合部23におけるエネルギー吸収性能を高めるには、梁211Bだけでなく接合部パネル17aにおいても、柱梁接合構造1に作用するエネルギーを吸収させることが必要であることを見出した。特に、柱用フランジ16の破断が生じない限り塑性化後の安定的な耐力上昇が望める接合部パネル17aが先に降伏し、降伏による接合部パネル17aの耐力上昇に続いて、梁211Bが降伏するように構成されていることが好ましい。つまり、接合部パネル17aの全塑性耐力Mppに対する梁211Bの全塑性耐力Mpbの比である梁パネル耐力比は、接合部パネル17aが先に降伏するには、1.05以上であればよい。
また、接合部パネル17aは繰り返しの塑性変形によるひずみ硬化により、耐力が全塑性耐力の1.5倍程度まで上昇することが期待できる。つまり、梁パネル耐力比を1.5以下にすることで、接合部パネル17aが先行降伏した後の耐力上昇過程において、接合部パネル17aだけでなく梁211Bも塑性化させることができ、梁211B及び接合部パネル17aの両方で柱梁接合構造1に作用するエネルギーを吸収させることができる。従って、柱11と梁211Bとの接合部23におけるエネルギー吸収性能を高めることができる。
一方で、柱梁接合構造1が用いられる建築物2の構造安定性を確保するには、柱11の降伏による層の崩壊を防ぐ必要がある。そのためには、柱11は梁211Bに対して十分に強くする必要がある。梁211Bの塑性化後の耐力上昇を鑑みると、梁211Bの全塑性耐力に対する柱11の全塑性耐力の比である柱梁耐力比は、1.5以上が好ましい。柱11が過剰な性能となり経済的に不合理とならないようにするには、柱梁耐力比は2.5~3.0程度以下に抑えるのが好ましい。
これに対して、図17に示す既往の研究では、接合部パネルが先行して降伏する、梁パネル耐力比が1.05以上のケースは少ない。これは、従来の鋼材及び接合ディテールでは、接合部パネルが先行して降伏することを避けてきたためと考えられる。
既往の研究では、梁パネル耐力比が1.05以上の場合は、柱梁耐力比が1.5以下の小さいケースが主であり、接合部パネルが先行して降伏する既往研究は、柱の耐力が比較的小さい場合を想定したものであることが分かる。
柱梁耐力比が1.5を超えるような大きい場合には、柱用フランジの板厚が厚く、柱用フランジの局所的な曲げ変形(キンク)の影響が顕著となり、早期の破断が問題となり得る。これに対し、柱梁耐力比が小さい場合は、柱用フランジの板厚が比較的薄いため、接合部パネルが降伏する時の柱用フランジの局所的な曲げ変形の影響が小さく、破断の問題が生じにくい。これらの理由から、既往の研究では梁パネル耐力比が1.05以上1.5以下の範囲(図17に示す範囲R6)かつ柱梁耐力比が1.5以上3.0以下の範囲(図17に示す範囲R7)となる耐力バランスの柱梁接合構造は避けられてきたと考えられる。
梁パネル耐力比を1.05以上1.5以下とし、柱梁耐力比を1.5以上3.0以下とすることにより、柱梁接合構造1が用いられる建築物2の構造安定性を確保し、エネルギー吸収性能が高い接合部23を有する柱梁接合構造1を提供することができる。
柱梁接合構造1の柱11がスチフナ203及びダブラープレート225を有さない場合には、柱11の製作及び施工が容易になる。
表1においては、ケース1は柱11にH形鋼を用いた柱梁接合構造であり、ケース2は柱11に溶接組立箱形断面を用いた柱梁接合構造であるが、どちらも梁パネル耐力比及び柱梁耐力比の範囲を満たし、実施例となる。
ケース3は、梁パネル耐力比の範囲を満たさずに、比較例となる。ケース4は、柱梁耐力比の範囲を満たさずに、比較例となる。ケース5は、梁パネル耐力比及び柱梁耐力比の範囲を満たさずに、比較例となる。
裏当て金21には、斜面21aが形成されている。従って、裏当て金21と溶接部218との接続面における柱用フランジ16に接合される部分は、柱用フランジ16に対して直交せずに傾斜している。このため、例えば、梁211Bに作用する曲げモーメント等の荷重により、柱用フランジ16と裏当て金21との境界に生じるスリット21bの先端へのひずみ集中を緩和することができ、スリット21bの先端から溶接部218や柱用フランジ16に向かう亀裂の進展を抑制することができる。
JIS Z 2242に基づく、-20℃における、柱用フランジ16の板厚方向Sのシャルピー吸収エネルギーvE-20(S)が、35J以上である場合がある。この場合には、-20℃における、柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性が、一定以上高くなる。一般的に、柱用フランジの温度が高くなるのに従い柱用フランジの靭性が高くなる。柱用フランジ16が実際に使用される温度では靭性がさらに高くなるため、梁211Bが有する梁用H形鋼212の一対の梁用フランジ216に、柱用フランジ16が溶接部218を介して直接接合された場合であっても、柱用フランジ16が板厚方向Sに破断するのを抑制することができる。
シャルピー吸収エネルギーvE-20(S),vE-20(L,T)が、(6)式を満たす場合がある。この場合には、-20℃における、シャルピー吸収エネルギーvE-20(S)に対応する柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性が、シャルピー吸収エネルギーvE-20(L,T)に対応する柱用フランジ16のロール方向Lの靭性に対して一定の割合以上になる。このため、方向による柱用フランジ16の靭性の差が少なくなり、安定的な亀裂の進展を誘発することで延性的な破壊性状となり、よりエネルギー吸収性能が高い接合部となる。
JIS Z 2242に基づく、0℃における、柱用フランジ16の板厚方向Sのシャルピー吸収エネルギーvE0(S)が、47J以上である場合がある。この場合には、0℃における、柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性が、一定以上高くなる。一般的に、柱用フランジの温度が高くなるのに従い柱用フランジの靭性が高くなる。柱用フランジ16が実際に使用される温度では靭性がさらに高くなるため、梁211Bが有する梁用H形鋼212の一対の梁用フランジ216に、柱用フランジ16が溶接部218を介して直接接合された場合であっても、柱用フランジ16が板厚方向Sに破断するのを抑制することができる。
シャルピー吸収エネルギーvE0(S),vE0(L,T)が、(7)式を満たす場合がある。この場合には、0℃における、シャルピー吸収エネルギーvE0(S)に対応する柱用フランジ16の板厚方向Sの靭性が、シャルピー吸収エネルギーvE0(L,T)に対応する柱用フランジ16のロール方向Lの靭性に対して一定の割合以上になる。このため、方向による柱用フランジ16の靭性の差が少なくなり、安定的な亀裂の進展を誘発することで延性的な破壊性状となり、よりエネルギー吸収性能が高い接合部となる。
柱11は、スチフナ203を有さない場合がある。この場合には、柱11の加工を比較的容易に行うことができる。
柱11は、ダブラープレート225を有さない場合がある。この場合には、柱11の加工を比較的容易に行うことができる。
〔6.その他〕
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、柱梁接合構造1は、裏当て金21,213を取り除く等して、裏当て金21,213を備えなくてもよい。例えば、裏当て金21を取り除いて裏当て金21を備えない場合には、例えば、図2において、裏当て金21を備えない形状になり、溶接部218等の形状は図2に示す形状と変わらない。
図18に示す第1変形例の柱梁接合構造1Aのように、柱31の柱本体32は、溶接組立箱形断面で構成されてもよい。図18では、柱本体32の一部を破断して示している。この例では、柱本体32は、一対の平板部(被接合板)33A及び一対の平板部33Bを互いに溶接して構成されている。一対の平板部33Aは、互いに対向するように配置されている。一対の平板部33Bは、互いに対向するように配置されている。各平板部33Bは、一対の平板部33Aの端部にそれぞれ接合されている。
梁用H形鋼212の一対の梁用フランジ216は、各平板部33Aに溶接部218を介してそれぞれ直接接合されている。一対の平板部33Bは、梁211Bの長手方向に沿って延びている。
接合部パネル33Baは、一対の平板部33Bにおける、上下方向において梁211Bの範囲内の部分である。柱梁接合構造1Aにおいて、柱31と一対の梁211Bとは、接合部35で互いに接続されている。この接合部パネル33Baに対して、本実施形態と同様に梁パネル耐力比が規定される。
第1変形例の柱梁接合構造1Aは、スチフナ203及びダブラープレート225の少なくとも一方を有してもよい。
第1変形例の柱梁接合構造1Aの場合でも、柱梁耐力比は、1.5以上3.0以下である。接合部パネル33Baに基づいた梁パネル耐力比は、1.05以上1.5以下である。
図19に示す第2変形例の柱梁接合構造1Bのように、柱41の柱本体42は、鋼板を折り曲げて溶接することにより製造された角形鋼管で構成されてもよい。図19では、柱本体42の一部を破断して示している。
柱用H形鋼及び梁用H形鋼は、JIS G 3192により規定されるH形鋼に限定されず、軸線方向に直交する断面がH形の鋼材でもよい。
〔7.文献一覧〕
Shin : Shin, S. 2017, “Experimental and analytical investigation of panel zone behavior in steel moment frames”, PhD Thesis, Department of Civil, Architectural and Environmental Engineering, University of Texas at Austin, TX, USA.
Chi & Uang : Chi, B., and C.-M. Uang. 2002, “Cyclic response and design recommendations of reduced beam section moment connections with deep columns”, Journal of Structural Engineering, 128 (4): 464-473, American Society of Civil Engineers.
Ricles : Ricles, J. M., C. Mao, L.-W. Lu, and J. W. Fisher. 2000, Development and evaluation of improved details for ductile welded unreinforced flange connections, SAC Background Document, Report No. SAC/BD-00/24, SAC Joint Venture, Sacramento, CA, USA.
Rahiminia & Namba : Rahiminia, F., and H. Namba, 2013, “Joint panel in steel moment connections, part 1: experimental tests results”, Journal of Constructional Steel Research, 89: 272-283.
柱梁接合構造は、柱梁接合構造が用いられる建築物の構造安定性を確保するとともに、エネルギー吸収性能が高い接合部を有する柱梁接合構造に適用できる。よって、産業上の利用可能性は大きい。
1,1A,1B 柱梁接合構造
11,31,41 柱
12,32,42 柱本体
16 柱用フランジ(被接合板)
17 柱用ウェブ
21 裏当て金
21a 斜面
33A 平板部(被接合板)
211B 梁
212 梁用H形鋼
203 スチフナ(第1補強板)
216 梁用フランジ
216B 下フランジ
218 溶接部
225 ダブラープレート(第2補強板)
O1,O2 中心軸線
P1 交差位置
S 板厚方向

Claims (6)

  1. 柱用H形鋼、角形鋼管、又は溶接組立箱形断面で構成された柱本体を有する柱と、
    梁用H形鋼を有し、前記梁用H形鋼の一対の梁用フランジが、前記柱本体が有する被接合板に溶接部を介してそれぞれ直接接合された梁と、
    を備え、
    前記被接合板は、前記柱用H形鋼の柱用フランジ、又は前記角形鋼管及び前記溶接組立箱形断面の平板部であり、
    前記柱本体の中心軸線と、前記梁用H形鋼の中心軸線とが交差する位置を、交差位置と規定したときに、
    前記交差位置における、前記梁の全塑性耐力に対する前記柱の全塑性耐力の比が、1.5以上3.0以下であり、
    前記交差位置における、前記柱用H形鋼で構成された前記柱本体の柱用ウェブ、又は前記角形鋼管及び前記溶接組立箱形断面で構成された前記柱本体における前記梁の長手方向に沿って延びる前記平板部である接合部パネル、における、上下方向において前記梁せいの範囲内の部分の全塑性耐力に対する前記梁の全塑性耐力の比が、1.05以上1.5以下であり、
    前記柱と前記梁との接合部にエネルギーが作用したときに、前記接合部パネルが降伏し、降伏による前記接合部パネルの耐力上昇に続いて、前記梁が降伏し、前記梁及び前記接合部パネルの両方で、前記エネルギーを吸収する、柱梁接合構造。
  2. 前記一対の梁用フランジのうち下方に配置された下フランジ及び前記被接合板のそれぞれに前記溶接部を介して接合された裏当て金を備え、
    前記裏当て金は、前記下フランジの下方に取り付けられ、
    前記裏当て金の上面には、前記被接合板に近づくに従い漸次、下方に向かう斜面が形成され、
    前記溶接部は前記斜面内にも形成されている、請求項1に記載の柱梁接合構造。
  3. -20℃における、前記被接合板の板厚方向のシャルピー吸収エネルギーvE-20(S)が、35J以上である、請求項1又は2に記載の柱梁接合構造。
  4. 0℃における、前記被接合板の板厚方向のシャルピー吸収エネルギーvE0(S)が、47J以上である、請求項1又は2に記載の柱梁接合構造。
  5. 上下方向において前記一対の梁用フランジと同じ位置に配置され、前記柱本体に接合される第1補強板を有さない、請求項1又は2に記載の柱梁接合構造。
  6. 前記柱用ウェブ又は前記平板部を厚くするように前記柱用ウェブ又は前記平板部に接合される第2補強板を有さない、請求項1又は2に記載の柱梁接合構造。
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