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JP7737076B2 - ガラスセラミック誘電体材料、焼結体、焼結体の製造方法及び高周波用回路部材 - Google Patents
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JP7737076B2 - ガラスセラミック誘電体材料、焼結体、焼結体の製造方法及び高周波用回路部材 - Google Patents

ガラスセラミック誘電体材料、焼結体、焼結体の製造方法及び高周波用回路部材

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本発明は、20GHz以上の高周波領域において、信号処理に有利な低い誘電正接と高い機械的強度を有する焼結体の前駆体であるガラスセラミック誘電体材料、焼結体及び高周波用回路部材に関する。
アルミナセラミックは、配線基板や回路部品として広く使用されている。アルミナセラミックは、比誘電率が10と高いため、信号処理の速度が遅いという欠点がある。また、導体材料に高融点のタングステンを使用しなければならないため、導体損失が高くなるという欠点もある。
その欠点を補うために、ガラス粉末とセラミック粉末からなるガラスセラミック誘電体材料が開発されており、その焼結体が誘電体層として使用されている。例えば、主結晶としてディオプサイドが析出するガラス粉末を用いたガラスセラミック誘電体材料の焼結体は、0.1GHzで比誘電率が7.3~7.8であり、アルミナセラミック材料のそれよりも低い。また1000℃以下の温度で焼成し得るため、導体損失の低いAg、Cu等の低融点の金属材料との同時焼成が可能であり、これらを内層導体として使用し得るという長所がある(特許文献1参照)。
特開平10―120436号
ところで、近年、5Gに代表される移動体通信機器、WiFi等のローカルネットワーク通信分野において、利用される周波数帯域が20GHz以上と高くなってきており、このような高周波領域において、セラミック誘電体材料の更なる低誘電正接化が強く求められるようになってきている。
電磁波の電子回路での伝送損失は、回路基板の誘電率の平方根、誘電正接、電磁波の周波数の積に比例する。上記特許文献で開示されているガラスセラミック誘電体材料は、10.1GHzでは高い誘電特性を示すが、20GHz以上の高周波領域における誘電正接が十分に低くないため、伝送損失が大きくなるという問題があった。
また、曲げ強度が約200MPaと低く、高周波回路基板として使用するには強度不足であるという問題があった。
本発明の目的は、20GHz以上での高周波領域において、低い誘電正接と高い曲げ強度を有する焼結体の前駆体であるガラスセラミック誘電体材料、焼結体及び高周波用回路部材を提供することである。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は、少なくとも外層、内層、外層の順に積層された積層構造を有し、前記外層はそれぞれ厚さ0.1~5μmのアルミナからなり、且つ前記内層は、ガラス組成として、質量%で、SiO 50~60%、CaO 20~30%、MgO 15~21%を含有する結晶性ガラス粉末を含むことを特徴とする。
なお、本発明において「結晶性ガラス粉末」とは、熱処理するとガラスマトリクス中から結晶を析出する性質を有する非晶質のガラス粉末を意味する。「熱処理」とは、800~1000℃で10分以上の熱処理をいう。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は、前記内層がグリーンシート圧着体又は印刷積層体であることが好ましい。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は、前記内層が実質的にセラミック粉末を含まないことが好ましい。「実質的にセラミック粉末を含まない」とは、内層中のセラミック粉末の含有量が0.1質量%未満であることを意味する。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は、前記内層に金属導体を含むことが好ましい。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は、前記金属導体が銀または銀合金であることが好ましい。
本発明の焼結体は、前記の積層ガラスセラミック誘電体材料を焼結させた焼結体であって、内層のガラスマトリクスから、主結晶としてディオプサイド系結晶が析出することが好ましい。なお、「ディオプサイド系結晶」とは、ディオプサイド結晶(diopside、CaMg(Si))及びディオプサイド固溶体結晶を指す。
本発明の焼結体は、少なくとも外層、内層、外層の順に積層された積層構造を有し、前記外層はそれぞれ厚さ0.1~5μmのアルミナからなり、且つ前記内層は、質量%で、SiO 50~60%、CaO 20~30%、MgO 15~21%を含有し、且つディオプサイド系結晶が析出していることを特徴とする。
本発明の焼結体は、三点曲げ強度が250MPa以上であることが好ましい。なお、「三点曲げ強度」は、JIS R1601に基づいて評価した値を指す。
本発明の焼結体は、測定温度25℃、28GHzでの誘電正接が0.0009以下であることが好ましい。
本発明の焼結体は、測定温度25℃、28GHzでの比誘電率が8.0以下であることが好ましい。
なお、「誘電正接」と「比誘電率」は、ファインセラミックス基板のマイクロ波誘電特性の測定方法(JIS R1641)に基づいて、測定温度25℃、周波数28GHzで測定した値を指す。
本発明の焼結体は、熱膨張係数が8~10ppm/℃であることが好ましい。なお、「熱膨張係数」は、30~380℃の温度範囲において、熱機械分析装置にて測定した値を指す。
本発明の焼結体の製造方法は、前記の積層ガラスセラミック誘電体材料を焼成することが好ましい。
本発明の焼結体の製造方法は、1000℃以下の温度で焼成することが好ましい。
本発明の高周波回路部材は、誘電体層を有する高周波用回路部材であって、誘電体層が上記の焼結体であることが好ましい。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は、1000℃以下の低温で焼成可能であり、銀、銀合金又は銅等の低融点の金属材料を内層導体として使用することができる。さらに、20GHz以上の高周波領域において低い誘電正接を有し、曲げ強度が250MPa以上と高い。よって、本発明のガラスセラミック誘電体材料は、樹脂製マザーボードに実装する高周波用回路部材として好適である。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は、外層、内層、外層の順に積層された積層体であり、内層が結晶性ガラス粉末を含有し、外層がアルミナからなる積層体である。
まず、内層について説明する。
内層を構成するガラス粉末は、ガラス組成として、質量%で、SiO 50~60%、CaO 20~30%、MgO 15~21%を含有することが好ましい。各成分の含有範囲を上記のように限定した理由を以下に述べる。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表記は、質量%を指している。
SiOは、ディオプサイド系結晶の構成成分であり、ガラスのネットワークフォーマーとなる成分である。SiOの含有量は50~60%であり、53~57%、特に54~56%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、ガラス化が困難になる。一方、SiOの含有量が多すぎると、溶融温度が高くなる傾向にあり、またディオプサイド系結晶が析出しにくくなる。
CaOは、ディオプサイド系結晶の構成成分であり、結晶性ガラス粉末の軟化点を低下させる成分である。CaOの含有量は20~30%であり、23~29%、特に25~27%であることが好ましい。CaOの含有量が少なすぎると、軟化点が高くなり過ぎる。また、結晶化度が低下して誘電正接が高くなり易くなる。一方、CaOの含有量が多すぎると、ガラス化が困難になる。また、誘電正接が高くなり易くなる。
MgOは、ディオプサイド系結晶の構成成分であり、結晶性ガラス粉末の軟化点を低下させる成分である。MgOの含有量は15~21%であり、特に17~20%であることが好ましい。MgOの含有量が少なすぎると、軟化点が高くなり過ぎる。また、誘電正接が高くなり易くなる。一方、MgOの含有量が多すぎると、ガラス化が困難になる。また、結晶化度が低下して誘電正接が高くなり易くなる。
上記成分以外にも、誘電特性を損なわない範囲でAl、B、ZnO等の成分をそれぞれ3%まで添加してもよい。
なお、アルカリ金属酸化物(LiO、NaO、KO)は、焼成温度を低下させる成分であるが、誘電正接を高める成分である。よって、LiO+NaO+KOの含有量は2%未満であり、1%未満、0.5%未満、特に0.1%未満であることが好ましい。なお、LiOの含有量は、0.5%未満、特に0.1%未満であることが好ましい。NaOの含有量は、0.5%未満、特に0.1%未満であることが好ましい。KOの含有量は、0.5%未満、特に0.1%未満であることが好ましい。ここで、「LiO+NaO+KO」とは、LiO、NaO及びKOの合量を意味する。
内層はグリーンシート圧着体又は印刷積層体であることが好ましい。
内層にセラミック粉末を含有させると、誘電特性及び/又は強度を向上させることができるが、焼結体の緻密化が阻害される虞がある。そのため、本願発明の内層は実質的にセラミック粉末を含まないことが好ましい。
本発明の積層ガラスセラミック誘電体材料は1000℃以下で焼成可能であるため、内層に融点の低い金属導体が導入可能である。前記金属導体としては、導体損失の少ない銀又は銀合金であることが好ましい。
また、焼成すると、内層に含まれる結晶性ガラス粉末から主結晶としてディオプサイド系結晶が析出することが好ましい。ディオプサイド系結晶を内層中に析出させることにより、比誘電率及び誘電正接を低下させ易くなる。
内層の厚さは0.1~3.0mmであることが好ましい。
次いで、外層について説明する。
外層はアルミナからなる。アルミナは高強度であり、且つ熱膨張係数が7~7.7ppm/℃と高膨張な内層に近い値を有するため、本発明のガラスセラミック誘電体材料の機械的強度を高めるのに好適である。
また、外層は、内層の表面にそれぞれ厚さ0.1~5μm、特に0.3~4μmで形成されることが好ましい。外層が薄すぎると、機械的強度が低下し易くなる。一方、外層が厚すぎると、外層が剥離する虞がある。
次に、本発明の焼結体の特性について以下に述べる。
本発明の焼結体において、三点曲げ強度は、250MPa以上、特に260MPa以上であることが好ましい。三点曲げ強度が低すぎると、焼結体に亀裂等が発生し易くなる。なお、三点曲げ強度の下限は特に限定されないが、現実的には100MPa以上である。
本発明の焼結体において、25℃、28GHzで誘電正接は0.0009以下、特に0.0008以下であることが好ましい。誘電正接が高すぎると、伝送信号の損失が大きくなり易い。なお、誘電正接の下限は特に限定されないが、現実的には0.0001以上である。
本発明の焼結体において、25℃、28GHzでの比誘電率は8.0以下、特に7.5以下であることが好ましい。比誘電率が高すぎると、信号処理の速度が遅くなり易い。なお、比誘電率の下限は特に限定されないが、現実的には5.0以上である。
本発明の焼結体において、熱膨張係数は8~10ppm/℃、特に8.5~9ppm/℃であることが好ましい。焼結体の熱膨張係数が低過ぎると、樹脂のマザーボードに半田付けした後、ヒートサイクルをかける場合に、熱膨張差によって歪が生じ易くなる。一方、熱膨張係数が高すぎると、耐熱衝撃性が低下する。なお、「熱膨張係数」は、30~380℃の温度範囲において、熱機械分析装置にて測定したものである。
さらに、本発明の焼結体の製造方法を以下に述べる。
まず、上記の結晶性ガラス粉末に、所定量の結合剤、可塑剤及び溶剤を添加してスラリーを調製する。結合剤としては例えばポリビニルブチラール樹脂、メタアクリル酸樹脂等、可塑剤としては例えばフタル酸ジブチル等、溶剤としては例えばトルエン、メチルエチルケトン等が好適である。
次いで上記の結晶性ガラス粉末のスラリーを、ドクターブレード法によってグリーンシートに成型した後、乾燥させ、所定寸法に切断してから、機械的加工を施してバイアホールを形成し、例えば、銀導体や電極となる低抵抗金属材料をバイアホール及びグリーンシート表面に印刷する。次いでこのようなグリーンシートを複数枚積層し積層グリーンシートを得る。
さらに上記の積層グリーンシートをアルミナスラリーでディップコートして均一なアルミナ層を形成した後に焼成することで焼結体を得ることができる。なお、アルミナ層は積層グリーンシートを焼成した後にアルミナペーストを表面に印刷し、再度焼成することによって形成してもよい。また、アルミナ層の厚さはペースト粘度の調整により変更することができる。
このようにして作製された焼結体は、内部や表面に導体や電極を備えることもできる。なお、導体損失の低い銀、銅等の低融点の金属材料を使用する観点から、焼成温度は1000℃以下、特に800~950℃の温度であることが望ましい。
本発明の高周波用回路部材は、配線でコイルを形成したり、上記のようにして作製した焼結体表面上にSi系やGaAs系の半導体素子のチップを接続したりすることで作製することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1は、本発明の実施例(試料No.1~4)と比較例(試料No.5、6)を示している。
各試料は、次のようにして作製した。まず、表中に示すガラス組成となるように、各種酸化物のガラス原料を調合し、均一に混合した後、白金坩堝に入れて1500~1580℃で3時間溶融し、水冷ローラーによって溶融ガラスを薄板状に成形した。次いで、得られたガラスフィルムを粗砕した後、アルコールを加えてボールミルにより湿式粉砕し、平均粒径が1.5~3μmとなるように分級してガラス粉末を得た。
次に、上記のガラス粉末に、結合剤としてポリビニルブチラールを15質量%、可塑剤としてブチルベンジルフタレートを4質量%、及び溶剤としてトルエンを30質量%添加してスラリーを調整した。次いで、上記のスラリーをドクターブレード法によって150μmのグリーンシートに成形し、乾燥させ、所定寸法に切断した後、前記グリーンシートを4枚積層し、熱圧着によって一体化した。更に、アルミナスラリーでディップコートして表面に均一なアルミナ層を形成した積層グリーンシートを、900℃で1時間焼成することによってガラスセラミックを得た。
このようにして得られた各試料について、焼成温度、銀同時焼成の可否、析出結晶、三点曲げ強度、誘電正接及び比誘電率及び熱膨張係数を評価した。その結果を表1に示す。
焼成温度は、種々の温度で焼成した焼結体にインクを塗布した後に拭き取り、インクが残らない(すなわち緻密に焼結した)最低の温度を表記したものである。
銀同時焼成の可否は、焼成前のグリーンシートに銀導体を印刷し、同時焼成して銀配線に変色や断線がないかを目視で検査した。
析出結晶は、粉末X線回折装置(株式会社リガク RINT2100)によって同定した。
三点曲げ強度はJIS R1601に従って評価した。。
誘電正接及び比誘電率は、グリーンシート成型したものを表中に示す焼成温度で焼結した後、25mm×50mm×0.1mmの大きさに加工して、測定試料とした上で、ファインセラミックス基板のマイクロ波誘電特性の測定方法(JIS R1641)に基づいて、測定温度25℃、周波数28GHzで測定したものである。
熱膨張係数は、30~380℃の温度範囲において、熱機械分析装置にて測定したものである。
表1から明らかなように、実施例である試料No.1~4は、アルミナ層の厚さが0.5~3μmであるため、三点曲げ強度が260~270MPaと高かった。また、誘電正接は0.0003~0.0007と小さかった。一方、試料No.5は、SiOが49%と低く、MgOが26%と高いためガラス化しなかった。試料No.6は、ガラス表面にアルミナ層が形成されていないため、曲げ強度が190MPaと低かった。

Claims (14)

  1. 少なくとも外層、内層、外層の順に積層された積層構造を有し、前記外層はそれぞれ厚さ0.1~5μmのアルミナからなり、且つ前記内層は、ガラス組成として、質量%で、SiO 50~60%、CaO 20~30%、MgO 15~21%を含有する結晶性ガラス粉末を含むことを特徴とする積層ガラスセラミック誘電体材料。
  2. 前記内層がグリーンシート圧着体又は印刷積層体であることを特徴とする請求項1に記載の積層ガラスセラミック誘電体材料。
  3. 前記内層が実質的にセラミック粉末を含まないことを特徴とする請求項1又は2に記載の積層ガラスセラミック誘電体材料。
  4. 前記内層に金属導体を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層ガラスセラミック誘電体材料。
  5. 前記金属導体が銀または銀合金であることを特徴とする請求項4に記載の積層ガラスセラミック誘電体材料。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の積層ガラスセラミック誘電体材料を焼結させた焼結体であって、内層のガラスマトリクスから、主結晶としてディオプサイド系結晶が析出することを特徴とする焼結体。
  7. 少なくとも外層、内層、外層の順に積層された積層構造を有し、前記外層はそれぞれ厚さ0.1~5μmのアルミナからなり、且つ前記内層は、質量%で、SiO 50~60%、CaO 20~30%、MgO 15~21%を含有し、且つディオプサイド系結晶が析出していることを特徴とする積層ガラスセラミック焼結体。
  8. 三点曲げ強度が250MPa以上であることを特徴とする請求項6又は7に記載の焼結体。
  9. 測定温度25℃、周波数28GHzにおける誘電正接が0.0009以下であることを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載の焼結体。
  10. 測定温度25℃、周波数28GHzにおける比誘電率が8.0以下であることを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載の焼結体。
  11. 前記内層の熱膨張係数が8~10ppm/℃であることを特徴とする請求項6~10のいずれかに記載の焼結体。
  12. 請求項1~5の何れかに記載の積層ガラスセラミック誘電体材料を焼成することを特徴とする焼結体の製造方法。
  13. 1000℃以下の温度で焼成することを特徴とする請求項12に記載の焼結体の製造方法。
  14. 誘電体層を有する高周波用回路部材であって、誘電体層が請求項6~11の何れかに記載の焼結体であることを特徴とする高周波用回路部材。
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