以下に述べる実施の形態では、インクジェットプリンターに搭載されるインクタンクを例示し、図面を参照して説明する。なお、本発明のインクタンクが搭載されるインクジェットプリンターは、オフキャリッジ型に限定されない。なお、インクジェットプリンターを単にプリンターということもある。
以下の各図においては、必要に応じて相互に直交する座標軸としてXYZ軸を付し、各矢印が指す方向を+方向とし、+方向と反対の方向を-方向とする。本発明のインクタンクは、該インクタンクを搭載するプリンターが水平面に設置されたとき、第1の方向は鉛直方向と一致し、第1の方向と直交する第2の方向は水平方向と一致する。上記の場合、具体的には、-Z方向が第1の方向であり、Y軸に沿う方向が第2の方向である。なお、図示の便宜上、各部材の大きさを実際とは異ならせている。
1.第1実施形態
本実施形態に係るインクタンク18が搭載されるプリンター1は、紙などの印刷媒体へインク滴を付着させて印刷を行う印刷装置である。
図1に示すように、プリンター1は略直方体の外装筐体20を有する。外装筐体20の-Y方向を向く面には、操作パネル17とタンクユニット19とが配置される。操作パネル17は、操作部15と表示部16とを有する。操作部15には、プリンター1にて各種操作を行うためのボタンが備わる。表示部16は、プリンター1の各種情報を表示する。表示部16は、例えば、液晶パネルである。操作パネル17と表示部16とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。また、プリンター1は、図示しない制御部を備える。制御部は、プリンター1の稼働を統合的に制御する。
タンクユニット19は、5個のインクタンク18a,18b,18c,18d,18eを内部に収容する。インクタンク18a,18b,18c,18d,18eを総称して、単にインクタンク18ということもある。図示を省略するが、インクタンク18には、プリンター1の印刷に供されるインクが収容される。
プリンター1は、インクタンク18のインク収容量が減少した際に、使用者がインク保管容器からインクをインクタンク18に注ぎ入れて補充することが可能である。なお、インクタンク18は、インクが補充可能であることに限定されず、インクタンク18を交換する形態であってもよい。また、インクタンク18の数は5つに限定されない。
インクタンク18にインク保管容器からインクを補充する際には、外装筐体20上方の画像読取部13、およびタンクユニット19上方のカバー29を各々+Z方向へ跳ね上げる。これにより、インクタンク18の図示しない注入口が+Z方向へ開放されて、インクの補充が可能となる。
インクタンク18には、各々異なる色を呈する5種のインクが収容されてもよく、同じ色を呈するインクが収容されてもよい。また、5種のインクには、クリアインクが含まれてもよく、コート液などの処理液が含まれてもよい。
タンクユニット19の前面99には、インクタンク18の各々と対応する位置に5個の窓部21が設けられる。各窓部21は外装筐体20に設けられた貫通孔である。各窓部21を介して、対応するインクタンク18のインク視認部61を視認することが可能である。
インク視認部61は、インクタンク18の筐体の壁の一部である。インク視認部61を透過して、インクタンク18内の後述するインク収容部が視認される。これにより、インクタンク18に収容されるインクの大まかな量を、使用者が把握することが可能となる。
外装筐体20の内部には、印刷媒体にインクを付着させて印刷を行う印刷部23が収容される。印刷部23は、インク配管24、インクジェットヘッド25、およびキャリッジ26を含む。インク配管24は、インクタンク18に収容された各インクを、インクジェットヘッド25へ個別に供給する複数の配管を含む。なお、図1では図示の便宜上、インク配管24を1本の配管としている。
インクジェットヘッド25は、キャリッジ26の-Z方向に配置される。インクジェットヘッド25には、インク配管24を介してインクタンク18からがインクが供給される。図示を省略するが、インクジェットヘッド25は、内部に駆動手段であるアクチュエーターと、-Z方向に複数のノズル列とを有する。インクジェットヘッド25では、各ノズル列が有する複数のノズルから、アクチュエーターの駆動によって対応するインクがインク滴として吐出される。
インクジェットヘッド25のアクチュエーターとしては、圧電素子、振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子、および加熱によって生じる気泡によってインク滴を吐出させる電気熱変換素子などが挙げられる。
キャリッジ26は、図示しない駆動部によって、X軸に沿う方向に往復移動が可能である。図示を省略するが、プリンター1は、印刷媒体をキャリッジ26に対して-Y方向に搬送する搬送部を備える。そのため、インクジェットヘッド25は、印刷媒体に対して相対的に、X軸に沿う方向への走査と、Y軸に沿う方向への移動とが可能である。インクジェットヘッド25を走査させつつ印刷媒体を搬送させて、インクの色種、インク滴の数や質量、および吐出の時期などを制御することにより、印刷媒体にカラー画像などが印刷される。
図2に示すように、インクタンク18は、注入口111、インク収容部121、検出部60、視認部61,フィルター部113、および供給部115を備える。ここで、図2では、フィルター部113から供給部115へ至るインク流路の図示を省略している。
インクタンク18の筐体は略立方体である。インクタンク18は、X軸に沿う方向に対向する一対の側面129と、Y軸に沿う方向に対向する一対の側面128と、Z軸に沿う方向に対向する上面127および底面126と、を有する。側面129のY軸に沿う長さは、側面128のX軸に沿う長さより長い。プリンター1が水平面に設置されると、-Z方向が鉛直方向と一致し、プリンター1に搭載されるインクタンク18では、上面127および底面126が水平面に沿う。
インクタンク18の材料には、例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、およびポリエステルなどの樹脂を用いる。インクタンク18の材料は、収容するインクによる変質や溶解が生じないことが好ましい。また、インクタンク18は、部分的に樹脂フィルム、ガラス、または金属などの部材で形成されてもよい。なお、検出部60に後述するマイクロトラップアンテナ方式を採用する場合には、インクタンク18の材料には、主として樹脂などの誘電体を採用する。
インク収容部121は、インクタンク18の筐体の内部に設けられる。インク収容部121にはインクが収容される。本実施形態では、インク収容部121を略立方体の空間としているが、インク収容部121の形状はこれに限定されない。インク収容部121は、仕切り、区画、流路、および弁などを有してもよい。
フィルター部113は、インク収容部121の底面126に沿う面に配置される。フィルター部113は、例えば金属メッシュなどを含む。フィルター部113は、インク収容部121と供給部115との間に介在して、インク収容部121に収容されるインクに含まれる異物などを捕捉する。
供給部115は、底面126の+Y方向に配置されて、-Z方向に突出して設けられる。供給部115は、インク収容部121に収容されるインクを、インクタンク18の外部に供給する。インクは、インク収容部121からフィルター部113を経て、供給部115を介して上述したインク配管24に供給される。
検出部60は、プリンター1が水平面に設置された際に、水平面と交差する側面128,129のうち、水平方向すなわちY軸に沿う方向の長さが長い側面129に配置される。これにより、検出部60を配置するスペースを容易に確保することができる。
プリンター1が水平面に設置されたとき、検出部60は、側面129からの透過視にて、第2の方向であるY軸に沿う方向におけるインク収容部121の中央部に配置される。また、上記透過視にて、フィルター部113は、検出部60に対して、第1の方向である-Z方向に配置される。
インク収容部121の中央部とは、-X方向からの側面視にて、インク収容部121のY軸に沿う方向の中央の領域を指す。したがって、「インク収容部121の中央部に配置される」とは、検出部60のY軸に沿う方向のZ軸に沿う中心線が、インク収容部121の側面128よりも、インク収容部121のY軸に沿う方向のZ軸に沿う中心線に近いことをいう。
プリンター1が傾いて設置されると、インクタンク18は、X軸に沿う直線を回転軸とする回転方向への傾斜、Y軸に沿う直線を回転軸とする回転方向への傾斜、およびXY平面にあってX軸およびY軸と交差する直線を回転軸とする回転方向への傾斜のいずれかの姿勢になる。これらの傾斜のうち、回転軸に沿う方向からの透過視にて、傾斜によるインクの液面の偏りが大きくなるのは、X軸に沿う直線を回転軸とする回転方向への傾斜である。すなわち、従来では、X軸に沿う直線を回転軸とする回転方向への傾斜において、検出される液面位置のばらつきが大きくなっていた。そこで、本明細書では、X軸に沿う直線を回転軸とする回転方向への傾斜について述べることとする。
検出部60は、インク収容部121内におけるインクの液面の位置を検出する。検出部60は、受信電極131,133、および後述する送信電極を含む。受信電極131,133は、インクタンク18の-X方向の側面129に配置される。送信電極は、+X方向の側面129に配置される。
受信電極131,133は、インクタンク18の筐体に設けられる。受信電極131,133は、-X方向からの側面視にて、長手方向がY軸に沿う略長方形である。-X方向からの側面視にて、受信電極131が上面127寄りに配置され、受信電極133が底面126寄りに配置される。
受信電極131は、インク収容部121内のインク収容量が十分にある状態を検知する。受信電極133は、上記インク収容量が不足した状態を検知する。なお、Z軸に沿う方向において、受信電極131,133の間にその他の受信電極を配置してもよい。
インク収容部121の上面127には注入口111が設けられる。詳しくは、注入口111は、インクタンク18を搭載するプリンター1が水平面に設置されると、Y軸に沿う方向において、上記中央部よりも一方の端部に寄せて配置される。具体的には、注入口111は、-X方向からの側面視にて、インク収容部121に対して、-Y方向の側面128寄り、且つ+Z方向に配置される。
注入口111は、例えば、管状の部材であって、+Z方向の先端が上面127から突出し、-Z方向の先端がインク収容部121内に連通する。注入口111を介して、インク収容部121にインクが補充される。注入口111が上面127に配置されるため、注入口111からインク収容部121へ、インクを重力によって注ぎ入れることができる。注入口111は、+Z方向の先端にキャップなどを有してもよい。
インクタンク18には視認部61が設けられる。視認部61は、インクタンク18を搭載するプリンター1が水平面に設置されると、水平方向であるY軸に沿う方向において、上記中央部よりも一方の端部に寄せて配置される。具体的には、視認部61は、-Y方向の側面128に配置される。
視認部61は、例えば、樹脂やガラスなどの光透過性を有する部材から成る。視認部61を介して、インク収容部121内のインクの液面が視認される。視認部61は、上記液面が視認されればよく、例えば半透明の樹脂で形成されてもよい。
図3に示すように、送信電極122は、+X方向からの側面視にて略矩形である。送信電極122は、受信電極131,133とX軸に沿う方向に対向して、インクタンク18の筐体に設けられる。送信電極122からはパルス波が送信される。該パルス波は、インクタンク18の筐体およびインク収容部121を介して、受信電極131,133に受信される。受信電極131,133および送信電極122を含む検出部60の詳細については後述する。
図4に示すように、検出部60は、送信電極122、受信電極131,133、および図示しない処理部を備える。検出部60は、インク収容部121内のインクの液面の位置、すなわちインク収容量を検出する。プリンター1にインクタンク18が搭載されると、処理部は、図示しない配線を介してプリンター1の制御部と電気的に接続される。
インク収容量の検出方法としては、例えば、光学方式、フロート方式、マイクロトラップアンテナ方式、および超音波方式などの公知の液面センサーが挙げられる。本実施形態では、液面センサーとしてマイクロトラップアンテナ方式による検出方法を採用するが、これに限定されるものではない。
送信電極122と受信電極131,133とは、インクタンク18を挟んでX軸に沿う方向に対向して配置される。送信電極122および受信電極131,133は、金、銀、銅、アルミニウム、鉄などの金属または合金などの導電性を有する材料を含む。
受信電極131,133は、-X方向からの透過視にて、送信電極122と重なる位置に設けられる。底面126側から+Z方向に向かって、受信電極133、受信電極131の順番に配置される。受信電極131が高さ位置H1に配置され、受信電極133が高さ位置H3に配置される。
送信電極122と受信電極131とは、互いに対向する平行な平板であり、コンデンサー171を形成する。コンデンサー171と同様にして、送信電極122と受信電極133とはコンデンサー173を形成する。
コンデンサー171,173の静電容量は、コンデンサー171,173の電極間に介在する物質の比誘電率によって決まる。空気の比誘電率は略ゼロであり、インクの比誘電率は空気よりも大きい。
送信電極122には、スイッチ回路142を介して交流電源144が電気的に接続される。交流電源144は、送信電極122に送信信号として、パルス波を出力する。該パルス波は、コンデンサー171,173に存在する、インクタンク18内の空気またはインクを介して、受信電極131,133に受信される。
図示しない処理部に対して、受信電極131は配線141を介し、受信電極133は配線143を介し、各々電気的に接続される。処理部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programable Gate Array)などの処理回路と、半導体メモリーなどの記憶回路とを含む。
Z軸に沿う方向において、液面レベルLV1はコンデンサー171の下端から上端までの範囲であり、液面レベルLV3はコンデンサー173の下端から上端までの範囲である。インクタンク18の底面126から+Z方向へ、液面レベルLV3、液面レベルLV1の順に配置される。
液面レベルLV1,LV3のいずれかにインクの液面Lがある場合に、受信電極131,133が受信したパルス波、換言すればコンデンサー171,173の出力電圧に差が生じる。該出力電圧は、対応する範囲において、インクが存在する場合に大きくなり、空気が存在する場合に小さくなり、インクおよび空気が存在する場合に中ほどの値となる。これらの場合の出力電圧は、予め3つの閾値として設定される。すなわち、コンデンサー171,173の出力電圧を、処理部において3つの閾値と比較することにより、液面Lの位置が特定される。これにより、インクタンク18におけるインク収容量を検出することができる。
検出部60は、プリンター1の制御部と電気的に接続される。検出部60は、検出結果であるインク収容部121内のインク収容量を、制御部に送信する。制御部は、インク収容量に応じて、プリンター1の各種動作を制御する。各種動作としては、インクジェットヘッド25から吐出されるインク滴の数や質量、インクジェットヘッド25に係わるメンテナンスの条件などが挙げられる。
また、制御部は、上述した表示部16やプリンター1を操作する情報機器にインク収容量を表示させてもよい。制御部は、インクが不足でありインクの補充が必要であることや、インクが十分に有ることなどを、表示部16などを介して使用者に報知してもよい。なお、検出部60の処理部の機能をプリンター1の制御部に担わせてもよい。
本実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
プリンター1が傾いた状態にあっても、検出されるインクの液面位置のばらつきを低減することができる。詳しくは、プリンター1が傾いた姿勢で設置されると、インクタンク18も傾き、インク収容部121内のインクの液面Lが傾斜する。例えば、-X方向からの側面視にて、プリンター1の+Y方向が高く、-Y方向が低く設置された場合に、インク収容部121の-Y方向の端で液面Lが高く、+Y方向の端で液面Lが低くなる。また、プリンター1が上記と逆に設置されると、インク収容部121の-Y方向の端で液面Lが低く、+Y方向の端で液面Lが高くなる。このように、インク収容部121の端では、搭載されるプリンター1の傾きによって液面Lに偏りが生じる。
これに対して、インク収容部121の中央部では、プリンター1が傾いても、液面Lが変化し難い。そのため、インク収容部121の中央部に配置される検出部60では、検出する液面位置にばらつきが生じ難くなる。これにより、プリンター1の設置姿勢に対して、検出される液面位置のばらつきを低減するインクタンク18を提供することができる。
フィルター部113と検出部60とがZ軸に沿って配置されることから、互いの距離が短縮される。そのため、フィルター部113と検出部60とが離れて配置される場合に比べて、フィルター部113がインクの液面Lから露出するインク残量僅少の状態を精度よく検出することができる。
視認部61を備えることから、インク収容部121内のインクの液面位置を、視認によって把握することができる。また、インクの液面Lを視認部61にて視認しながらインク収容部121にインクを補充する際に、インクの入れ過ぎを抑えることができる。
詳しくは、プリンター1が上述した姿勢で設置されると、インク収容部121内のインクの液面Lが傾斜する。このとき、視認部61と注入口111とが共にインク収容部121の-Y方向の端部に配置されるため、視認部61にて視認されるインクの液面位置と、インク収容部121に補充可能なインク量とには、相関関係が生じる。そのため、視認される液面位置に応じて補充するインクの量を加減することで、過度なインクの補充が回避される。これにより、インクの入れ過ぎを抑えて、インクタンク18からのインクの溢出を防ぐことができる。
2.第2実施形態
本実施形態に係るインクタンクは、第1実施形態のインクタンク18と同様に、プリンター1に搭載される。
図5に示すように、本実施形態に係るインクタンク28は、注入口211、インク収容部121、検出部60、視認部61,フィルター部113、および供給部115を備える。インクタンク28の筐体は略立方体である。ここで、図5では、フィルター部113から供給部115へ至るインク流路の図示を省略している。
インクタンク28は、第1実施形態のインクタンク18に対して、注入口211の配置を変更している。以下の説明では、第1実施形態と同一の構成部位には同一の符号を使用して、重複する説明は省略する。
インク収容部121の上面127には注入口211が設けられる。詳しくは、注入口211は、検出部60の+Z方向に配置される。換言すれば、注入口211は、インクタンク28を搭載するプリンター1が水平面に設置されたとき、検出部60に対して、第1の方向である鉛直方向と反対の方向に配置される。
注入口211は、例えば、管状の部材であって、+Z方向の先端が上面127から突出し、-Z方向の先端がインク収容部121内に連通する。注入口211を介して、インク収容部121にインクが補充される。注入口211が上面127に配置されるため、注入口211からインク収容部121へ、インクを重力によって注ぎ入れることができる。注入口211は、+Z方向の先端にキャップなどを有してもよい。
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果を得ることができる。
検出されたインク収容量に従って、使用者がインク収容部121にインクを補充する際に、インクの入れ過ぎを抑えることができる。詳しくは、プリンター1が傾いた姿勢で設置されると、インクタンク28も傾き、インク収容部121内のインクの液面Lが傾斜する。このとき、インク収容部121のY軸に沿う方向の中央部では、インクの液面位置は変化し難く、検出部60が検出する液面位置にばらつきが生じ難くなる。
そして、注入口211がインク収容部121の上記中央部の+Z方向に配置されるため、検出されたインク収容量と、インク収容部121に補充可能なインク量とには、相関関係が生じる。そのため、インク収容量に応じて補充するインクの量を加減することで、過度なインクの補充が回避される。これにより、インクの入れ過ぎを抑えて、インクタンク28からのインクの溢出を防ぐことができる。
3.実施例
実施例にて上記実施形態の効果をより具体的に説明する。実施例として、第1実施形態のインクタンク18および第2実施形態のインクタンク28を例示する。比較例として、インクタンク38,48,58,68,78を例示する。
図6に示すように、インクタンク18では、インク収容部121のY軸に沿う方向の中央部に検出部60が配置される。検出部60の-Z方向にフィルター部113が配置される。インク収容部121の-Y方向かつ+Z方向に注入口111が配置される。インクタンク18の筐体の-Y方向に視認部61が配置される。
図7に示すように、インクタンク28では、インク収容部121のY軸に沿う方向の中央部に検出部60が配置される。検出部60の-Z方向にフィルター部113が配置される。検出部60の+Z方向に注入口211が配置される。インクタンク28の筐体の-Y方向に視認部61が配置される。
図8に示すように、インクタンク38では、インク収容部121の-Y方向の端部に検出部60が配置される。検出部60の-Z方向にフィルター部113が配置される。検出部60の+Z方向に注入口111が配置される。インクタンク38の筐体の-Y方向に視認部61が配置される。
図9に示すように、インクタンク48では、インク収容部121の-Y方向の端部に検出部60が配置される。検出部60の-Z方向にフィルター部113が配置される。インク収容部121において、Y軸に沿う方向の中央部の+Z方向に注入口211が配置される。インクタンク48の筐体の-Y方向に視認部61が配置される。
図10に示すように、インクタンク58では、インク収容部121の-Y方向の端部に検出部60が配置される。インク収容部121の+Y方向の端部かつ-Z方向にフィルター部113が配置される。検出部60の+Z方向に注入口111が配置される。インクタンク58の筐体の-Y方向に視認部61が配置される。
図11に示すように、インクタンク68では、インク収容部121の-Y方向の端部に検出部60が配置される。検出部60の-Z方向にフィルター部113が配置される。インク収容部121の+Y方向かつ+Z方向に注入口111が配置される。インクタンク68の筐体の-Y方向に視認部61が配置される。
図12に示すように、インクタンク78では、インク収容部121の+Y方向の端部に検出部60が配置される。検出部60の-Z方向にフィルター部113が配置される。インク収容部121の-Y方向かつ+Z方向に注入口111が配置される。インクタンク78の筐体の-Y方向に視認部61が配置される。すなわち、-X方向からの透過視にて、インク収容部121のY軸に沿う方向において、+Y方向の端部に検出部60およびフィルター部113が配置され、-Y方向の端部に注入口111および視認部61が配置される。
ここで、図6から図12では、プリンター1が水平面に設置されたとき、インク収容部121にて、インクが十分に有ると検出されるのが領域bであり、インクが無いと検出されるのが領域cである。領域aは、インクが十分に有ると検出部60にて検出された状態から、さらにインクを注ぎ足すことが可能な範囲である。プリンター1が水平面に設置された場合に、領域a,b,cは、インクタンク18からインクタンク78までで各々同等である。なお、図6から図12では、上述した構成以外の構成を省略している。
以下、インクタンク18からインクタンク78について、上述したX軸に沿う直線を回転軸とする回転方向への傾斜による影響を説明する。なお、以降参照する図のうち、図番末尾にAを付した図は、上記回転方向が反時計回りであって、-X方向からの側面視にて-Y方向の端が持ち上がった傾斜における状態を示している。また、図番末尾にBを付した図は、上記回転方向が時計回りであって、-X方向からの側面視にて+Y方向の端が持ち上がった傾斜における状態を示している。
さらに、以降参照する図では、図6から図12で図示した構成のうちの一部を省略すると共に、XYZ軸にその他の座標軸としてG軸を追加している。G軸では、矢印が指す方向が鉛直方向と一致する。また、以下の説明では、特に断りがない限り、各インクタンクを-X方向から透過視した状態を述べることとする。
3.1.検出部およびフィルター部の配置
検出部60およびフィルター部113の配置に対する傾斜の影響について述べる。
インク収容部121のインク収容量が減少すると、検出部60にてインク無しが検出される。このとき、検出部60の鉛直方向にはインクがまだ残っている。これが上述したインク無し検出時に残るインクの領域cである。なお、該領域を以降、単にインク無し検出領域cという。
プリンター1は、検出部60にてインク無しが検出されると、制御部のソフト的な制御によって、インク無し検出領域cのインクを使用する。具体的には、制御部は、インクジェットヘッド25にて吐出されたインク滴の量、およびインクジェットヘッド25のクリーニングなどで消費されたインク量のデータから、インク収容部121のインク収容量を推測してプリンター1の稼働を続ける。
インク無し検出領域cのインクが使用され続けると、インク収容量が僅少となる。仮に、さらにインクが使用され続けると、フィルター部113が空気中に露出する。フィルター部113が空気中に露出すると、インクジェットヘッド25に空気が流入して不具合の要因となる。そのため、制御部は、フィルター部113が空気中に露出しないように、余裕を残してインク収容部121のインクの使用を停止させる。
そこで、使用されずに残るインクの余裕分を低減すると共に、フィルター部113の空気中への露出を防ぐには、プリンター1の傾きによるインク無し検出時のインク収容量のばらつきを抑える必要があった。以下の説明では、フィルター部113が空気中に露出する直前の残インク領域をフィルター露出前領域eとする。
図13Aおよび図13Bに示すように、インクタンク18,28では、検出部60とフィルター部113とが共にインク収容部121のY軸に沿う方向の中央部に配置される。そのため、インク無し検出領域c1のインク収容量と、インク無し検出領域c2のインク収容量と、の差が小さくなる。すなわち、インク無し検出時のインク収容量の検出ばらつきが減少する。また、フィルター露出前領域e1のインク収容量と、フィルター露出前領域e2のインク収容量と、の差も小さくなる。
図14Aおよび図14Bに示すように、インクタンク38,48,68では、検出部60とフィルター部113とが共にインク収容部121の一方の端部に配置される。そのため、インク無し検出領域c3のインク収容量と、インク無し検出領域c4のインク収容量との差が大きくなり、インク無し検出時のインク収容量の検出ばらつきが増加する。また、フィルター露出前領域e3のインク収容量と、フィルター露出前領域e4のインク収容量と、の差も大きくなる。
以上から、検出部60およびフィルター部113をY軸に沿う方向の中央部に配置することにより、インク無し検出時のインク収容量の検出精度が向上する。また、フィルター露出前領域e1,e2のインク収容量の差が小さくなるため、インク収容部121に余裕分として残すインクを削減することができる。
3.2.検出部に対するフィルター部の配置
検出部60に対するフィルター部113の配置における傾斜の影響について述べる。
図15Aおよび図15Bに示すように、インクタンク58では、インク収容部121のY軸に沿う方向において、検出部60は一方の端部に配置され、フィルター部113は他方の端部に配置される。検出部60とフィルター部113とが離れて配置されるため、インクタンク58の傾斜によっては、フィルター露出前領域e6のインク収容量よりも、インク無し検出領域c4のインク収容量が小さくなる可能性がある。すなわち、インク無し検出よりも早くフィルター部113が露出するおそれがある。
図14Aおよび図14Bに示すように、インクタンク38,48,68では、検出部60およびフィルター部113が上記一方の端部に配置されるため、インク無し検出よりも早くフィルター部113が露出するおそれは小さくなる。また、上述したインクタンク18,28では、上記のおそれはさらに小さくなる。
以上から、検出部60に対して-Z方向にフィルター部113が配置されることにより、フィルター部113の空気中への露出を抑制することができる。
3.3.検出部の配置
検出部60の配置における傾斜の影響について述べる。ここで、検出部60により、インク収容部121にインクが十分に有ると検出される領域の下限の液面レベルをLbとする。
図13Aおよび図13Bに示すように、インクタンク18,28では、検出部60は、インク収容部121のY軸に沿う方向の中央部に配置される。そのため、液面Lb1と液面Lb2との差が小さくなる。すなわち、インク収容部121に十分なインク収容量がある際に、液面位置の検出のばらつきが減少する。
図14Aおよび図14Bに示すように、インクタンク38,48,68では、検出部60がインク収容部121のY軸に沿う方向の端部に配置されるため、液面Lb3と液面Lb4との差が大きくなる。すなわち、インク収容部121に十分なインク収容量がある際に、液面位置の検出のばらつきが増大する。
以上から、インク収容部121のY軸に沿う方向の中央部に検出部60が配置されることにより、インク収容部121に十分なインク収容量がある際に、インク収容量の検出精度を向上させることができる。
3.4.検出部に対する注入口の配置
検出部60に対する注入口111,211の配置における傾斜の影響について述べる。
インクの液面位置が液面レベルLbにあっても、インク収容部121の+Z方向には空間があり、さらにインクを注ぎ足すことが可能である。このとき、プリンター1の傾きによって注ぎ足しが可能なインク量に大きな差があると、インクを過剰に注ぎ足してインクを溢出させてしまうおそれがあった。
図16Aおよび図16Bに示すように、インクタンク28において、液面Lb1から注入口211の-Z方向の先端までを領域k1とし、液面Lb2から注入口211の-Z方向の先端までを領域k2とする。すなわち、領域k1,k2を超えない範囲であれば、インクを注ぎ足してもインクの溢出は生じない。
インクタンク28では、インク収容部121において、Y軸に沿う方向の中央部に検出部60が配置され、検出部60の+Z方向に注入口211が配置される。そのため、領域k1と領域k2との差が小さくなる。すなわち、インク収容部121へ、液面Lb1,Lb2を超えてインクを注ぎ足す際に、インクの溢出の発生が抑制される。
図17Aおよび図17Bに示すように、インクタンク18において、液面Lb1から注入口111の-Z方向の先端までを領域k3とし、液面Lb2から注入口111の-Z方向の先端までを領域k4とする。領域k3,k4を超えない範囲であれば、インクを注ぎ足してもインクの溢出は生じない。
インクタンク18では、インク収容部121において、Y軸に沿う方向の中央部に検出部60が配置され、-Y方向の端部の+Z方向に注入口111が配置される。領域k4は、領域k3よりも小さく、領域k3と領域k4との差が大きくなる。すなわち、インク収容部121へ、液面Lb1,Lb2を超えてインクを注ぎ足す際に、インクの溢出が発生し易くなる。
以上から、インク収容部121のY軸に沿う方向の中央部に検出部60が配置され、検出部60の+Z方向に注入口211が配置されることにより、インクを注ぎ足す際に、インクの溢出の発生を抑えることができる。
3.5.検出部および視認部の配置
検出部60および視認部61の配置に対する傾斜の影響について述べる。
インク収容部121のインク収容量が減少すると、検出部60にてインク無しが検出される。このとき、検出部60の鉛直方向である、インク無し検出領域cにはインクがまだ残っている。制御部は、表示部16やプリンター1を操作する情報機器を介して、インク収容部121のインク収容量が不足気味であることを使用者に報知する。
使用者は、上記報知を受けて視認部61からインク収容量を目視で確認する場合がある。この際、プリンター1の傾きによって、視認されるインク収容量にばらつきがあると、使用者を混乱させる場合があった。
図18Aおよび図18Bに示すように、インクタンク38,48,68において、インク無し検出領域c3に対応する視認される液面高さをs1とし、インク無し検出領域c4に対応する視認される液面高さをs2とする。
図18Aと図18Bとでは、互いに傾斜方向が異なるが、検出部60および視認部61が、共にY軸に沿う方向の端部に配置されるため、液面高さs1と液面高さs2との差は然程大きくない。したがって、視認する液面の高さにより使用者が混乱する可能性は低くなる。
図19Aおよび図19Bに示すように、インクタンク78において、インク無し検出領域c5に対応する視認される液面高さをs0とし、インク無し検出領域c6に対応する視認される液面高さをs3とする。
液面高さs0は無く、使用者はインク収容量が皆無であると認識する可能性がある。これに対して、液面高さs3は視認部61の中ほどまでに及ぶほど高く、使用者はインク収容量が報知内容に反して十分にあると誤認する可能性がある。これは、検出部60と視認部61とが、Y軸に沿う方向において、互いに異なる端部に配置されることに由来する。
図20Aおよび図20Bに示すように、インクタンク18,28において、インク無し検出領域c1に対応する視認される液面高さをs4とし、インク無し検出領域c2に対応する視認される液面高さをs5とする。
液面高さs4は低く、使用者はインク収容量が僅少であると認識する可能性がある。これに対して、液面高さs5は高く、使用者はインク収容量がまだ有ると認識する可能性がある。液面高さs4と液面高さs5の差とは、上述した液面高さs0と液面高さs3との差よりは小さいが、上述した液面高さs1と液面高さs2との差よりは大きい。これは、Y軸に沿う方向において、検出部60が中央部に配置され、視認部61が-Y方向の端部に配置されることに由来する。
以上から、インク収容部121のY軸に沿う方向の-Y方向の端部に、検出部60および視認部61が配置されることにより、インク無し状態が報知された際に、視認部61にて視認されるインク収容量のばらつきを低減することができる。
3.6.検出部、視認部、および注入口の配置
検出部60、視認部61、および注入口111,211の配置に対する傾斜の影響について述べる。
インク収容部121にインク収容量が十分に有ると検出されても、視認部61を介してインク収容量を視認しながらインクを注ぎ足すことが可能である。このとき、プリンター1の傾きによって視認されるインク収容量に大きな差があると、インクを過剰に注ぎ足してインクを溢出させてしまうおそれがあった。
図21Aおよび図21Bに示すように、インクタンク38,58において、領域b3にインクを注ぎ足すことが可能な領域をk5とし、領域b4にインクを注ぎ足すことが可能な領域をk6とする。また、領域b3,k5に対応する視認される液面高さをs6とし、領域b4,k6に対応する視認される液面高さをs7とする。
インクタンク38,58では、インク収容部121のY軸に沿う方向において、-Y方向の端部に注入口111、検出部60、および視認部61が配置される。そのため、液面高さs6と液面高さs7との差が小さくなる。すなわち、インク収容部121の領域k5,k6へインクを注ぎ足す際に、インクの溢出の発生が抑制される。
図22Aおよび図22Bに示すように、インクタンク48において、領域b3にインクを注ぎ足すことが可能な領域をk7とし、領域b4にインクを注ぎ足すことが可能な領域をk8とする。また、領域b3,k7に対応する視認される液面高さをs8とし、領域b4,k8に対応する視認される液面高さをs9とする。
インクタンク48では、インク収容部121のY軸に沿う方向において、中央部に注入口211が配置され、-Y方向の端部に検出部60および視認部61が配置される。そのため、液面高さs8と液面高さs9との差が大きくなる。すなわち、インク収容部121の領域k7へインクを注ぎ足す際に、インクの溢出が発生する場合がある。
図23Aおよび図23Bに示すように、インクタンク68において、領域b3にはインクを注ぎ足すことは困難であり、領域b4にインクを注ぎ足すことが可能な領域をk9とする。また、領域b3に対応する視認される液面高さをs10とし、領域b4,k9に対応する視認される液面高さをs11とする。
インクタンク68では、インク収容部121のY軸に沿う方向において、+Y方向の端部に注入口111が配置され、-Y方向の端部に検出部60および視認部61が配置される。そのため、液面高さs10と液面高さs11との差は、液面高さs6と液面高さs7との差より大きくなる。すなわち、インクタンク38,58と比べて、インク収容部121へ満杯にインクを注ぎ足す際に、インクの溢出が発生する場合がある。
以上から、インク収容部121のY軸に沿う方向の-Y方向に端部に、注入口111、検出部60、および視認部61が配置されることにより、インクを注ぎ足す際に、インクの溢出の発生を抑制することができる。