周波数利用効率の向上を目的とした無線伝送方式の一つに、2つの変調信号を異なる電力で多重化し、同一周波数帯で伝送する階層分割多重方式(以下、「LDM方式」と称する。)がある。地上デジタル放送においてもLDM方式の利用が検討されており、LDM方式を用いて新たな地上波放送方式を現行の地上波放送を多重するシステムが検討されている(例えば、非特許文献1,2参照)。
LDM方式は2つの変調信号について電力差を付けて同一周波数帯で多重化する方式であり、一般的に電力の高い方をUL(Upper Layer)、低い方をLL(Lower Layer)とし、高階層(UL)と低階層(LL)の階層間の電力比は、LLの平均電力に対するULの平均電力の比を表すIL(Injection Level)によって定義される。
図11は、従来技術における典型的なLDM方式の送信装置10の概略構成を示すブロック図である。図11ではシングルキャリア伝送によるLDM方式の送信装置10の概略構成を例示しているが、マルチキャリアによるOFDM伝送にもLDM方式を適用可能であり、LDM方式の信号伝送自体に係る構成は同様である。図11に示すLDM方式の送信装置10は、UL用の誤り訂正符号化部11及びマッピング部12と、LL用の誤り訂正符号化部13及びマッピング部14と、電力調整部15と、合成部16と、直交変調部17と、を備える。
誤り訂正符号化部11は、LDM方式のULで伝送したい情報であるUL用伝送情報を入力して、UL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)を施し、マッピング部12に出力する。
マッピング部12は、誤り訂正符号化部11から得られる誤り訂正符号化処理後のデータに対してUL用として予め定めた変調方式(QPSK等)でマッピングし、同相成分Iと直交位相成分QのIQ平面で表すことが可能なIQ信号としてUL用のシンボルを有する変調信号を生成して合成部16に出力する。
誤り訂正符号化部13は、LDM方式のLLで伝送したい情報であるLL用伝送情報を入力して、LL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)を施し、マッピング部14に出力する。尚、UL用とLL用の各誤り訂正符号化処理は、それぞれ同一の誤り訂正符号化方式及び符号化率としてもよいし、それぞれ異なる誤り訂正符号化方式及び符号化率としてもよい。
マッピング部14は、誤り訂正符号化部13から得られる誤り訂正符号化処理後のデータに対してLL用として予め定めた変調方式(QPSK等)でマッピングし、IQ信号としてLL用のシンボルを有する変調信号を生成して電力調整部15に出力する。尚、UL用とLL用の各変調方式は、それぞれ同一変調方式としてもよいし、それぞれ異なる変調方式としてもよく、QPSKとする以外にも、π/2シフトBPSK,8PSK,16APSK等とすることができる。
電力調整部15は、予め定められたILの値によって、マッピング部14から得られるLL用のシンボルについて振幅を調整し(即ち、ILに応じた階層間の電力比の調整を行い)、この振幅調整後のLL用のシンボルを合成部16に出力する。尚、ここでは、電力調整部15によって、LL用のシンボルについて振幅の調整を行う構成例を示しているが、ILに応じた階層間の電力比の調整を行うことができればよく、このような電力調整部15は、UL用とLL用のシンボルのいずれか一方又は双方について振幅の調整を行うとしてもよい。
合成部16は、マッピング部12及び電力調整部15からそれぞれ得られるUL用とLL用の各シンボルについて電力加算することにより、LDMシンボルを生成し、直交変調部17に出力する。
直交変調部17は、UL用として予め定めた変調方式に従って、合成部16から得られるLDMシンボルについて同一周波数帯で直交変調した信号をLDM信号として生成し、所定の電力増幅(図示略)を経て送信アンテナ18から受信装置に向けて(地上又は衛星の中継器経由を含む。)に送信する。
ところで、このLDM信号を受信する受信装置において、その受信性能は受信処理におけるULとLLの分離精度が大きく影響することから、様々なULとLLの階層分離手法が検討されている。最も一般的な階層分離手法としては、レプリカ信号の生成と電力減算処理によるSIC(Successive Interference Cancellation)が挙げられる(例えば、非特許文献1参照)。
図12は、従来技術における典型的なSIC型受信装置20Sの概略構成を示すブロック図である。図12に示すSIC型受信装置20Sは、直交復調部22と、UL用のLLR計算部23及び誤り訂正復号部24と、UL再変調によるレプリカ信号生成部25と、減算部26と、LL用のLLR計算部27及び誤り訂正復号部28と、を備える。
直交復調部22は、受信アンテナ21を介して高階層(UL)と低階層(LL)として2つの変調信号が異なる電力で多重化され、同一周波数帯で直交変調して伝送されたLDM信号を受信し、その受信したLDM信号について、平均電力又は最大電力に基づく所定の利得調整(図示略)による電力(振幅)正規化処理を経て入力し、シンボル同期及びキャリア再生を行い、直交復調処理を施してLDMシンボルを抽出し、UL用のLLR計算部23及び減算部26に出力する。
LLR計算部23は、直交復調部22から得られるLDMシンボルについて、UL用のシンボルとみなし、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置を示す基準点(ULをQPSK、LLをQPSKとしたときは、後述する図4に示す16シンボルの基準点)を用いて対数尤度比(LLR:Log-likelihood ratio)を計算し、その対数尤度比(LLR)を示すUL信号を生成し、誤り訂正復号部24に出力する。尚、LLR計算部23は、直交復調部22から得られるLDMシンボルについて、UL用のシンボルとみなし、UL用として予め定めた変調方式に従うシンボル位置を示す基準点(図示は省略するが、ULをQPSKとしたときは、LLの変調方式に関わらず、UL用のQPSKに対応する4シンボルの基準点)を用いて対数尤度比(LLR)を計算し、その対数尤度比(LLR)を示すUL信号を生成するとしてもよい。この場合、特にILが小さいときLLRの精度は落ちるが、一般的な誤り訂正復号処理に係るLLR計算法と同じとなる。
誤り訂正復号部24は、LLR計算部23から得られるUL信号に対して、送信側のUL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、UL用伝送情報を示すUL信号の復号ビットを生成し外部出力するとともに、レプリカ信号生成部25にも出力する。
レプリカ信号生成部25は、誤り訂正復号部24から得られるUL信号の復号ビットに対して、送信側のUL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)を再度施し、更にUL用として予め定めた変調方式に従う直交変調処理を再度施すことによる再変調処理を施すことにより、UL用のシンボルを示すレプリカ信号を生成し、減算部26に出力する。
減算部26は、直交復調部22から得られるLDMシンボルについて、レプリカ信号生成部25による当該レプリカ信号の生成までに係る遅延調整を行った上で、当該LDMシンボルから当該UL用のシンボルを示すレプリカ信号を電力減算することによりLL用のシンボルを取得し、LLR計算部27に出力する。
LLR計算部27は、減算部26から得られるLL用のシンボルについて、LL用として予め定めた変調方式に従うシンボル位置を示す基準点を用いて対数尤度比(LLR)を計算し、その対数尤度比(LLR)を示すLL信号を生成し、誤り訂正復号部28に出力する。
誤り訂正復号部28は、LLR計算部27から得られるLL信号に対して、送信側のLL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、LL用伝送情報を示すLL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
このようなSICによる階層分離手法は、高い分離精度を有し、良好な受信性能を達成可能である。ただし、上述したレプリカ信号の生成及び電力減算処理による受信処理には、LDM方式に依らない一般的な受信装置に比べて、コストが大幅に増大するという課題がある。
そこで、直交復調処理を施して得られるLDMシンボルについて、レプリカ信号の生成及び電力減算処理を省略し、ULとLLを個別に復号(以下、「一括復調」と称する。)する手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
図13は、従来技術における典型的な一括復調型受信装置20Bの概略構成を示すブロック図である。尚、図13において、図12に示すものと同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
図13に示す一括復調型受信装置20Bは、直交復調部22と、UL用のLLR計算部23及び誤り訂正復号部24と、LL用のLLR計算部27B及び誤り訂正復号部28と、を備える。
図13に示す一括復調型受信装置20Bでは、直交復調部22、LLR計算部23、誤り訂正復号部24、及び誤り訂正復号部28は、それぞれ図12に示すものと同様に機能し、その説明は省略するが、図13に示すLLR計算部27Bが、図12に示すLLR計算部27から置き換えられている点で相違している。
即ち、図13に示すLLR計算部27Bは、直交復調部22から得られるLDMシンボルについて、LL用のシンボルとみなし、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置を示す基準点を用いて対数尤度比(LLR)を計算し、その対数尤度比(LLR)を示すLL信号を生成し、誤り訂正復号部28に出力する。
そして、図13に示す誤り訂正復号部28は、LLR計算部27Bから得られるLL信号に対して、送信側のLL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施すものとなっている。
しかし、このような一括復調による階層分離手法は、SICと比較して、受信処理に係るコストを低減可能である一方、雑音耐性が低く受信C/Nの低い環境において高い受信性能を達成することが困難である。
以下、図面を参照して、本発明による各実施例のLDM方式の受信装置20、及びその受信方法について説明する。
〔実施例1の受信装置〕
図1は、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20の概略構成を示すブロック図である。図1に示す本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20は、図11に示すシングルキャリア伝送によるLDM方式の送信装置10から送信されたLDM信号を受信して復調し、当該LDM信号における高階層(UL)と低階層(LL)の階層分離を行って復号する装置であり、直交復調部22と、UL用のLLR計算部23及び誤り訂正復号部24と、基準点判定部25Rと、LL用のLLR計算部27R及び誤り訂正復号部28と、を備える。尚、図1において、図12に示すものと同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。また、図1では、シングルキャリア伝送によるLDM方式の受信装置20の概略構成を例示しているが、マルチキャリアによるOFDM伝送で送信されたLDM信号を受信して復調し、当該LDM信号における高階層(UL)と低階層(LL)の階層分離を行って復号する場合も同様に構成される。
即ち、図1に示す本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20は、図12に示すSIC型受信装置20Sと比較して、直交復調部22、UL用のLLR計算部23及び誤り訂正復号部24、並びに、LL用の誤り訂正復号部28を備える点で同様であるが、SIC型の「UL再変調によるレプリカ信号生成部25、及び減算部26」を備える代わりに「基準点判定部25R」を備え、更に、SIC型の「LL用のLLR計算部27」を備える代わりに、本発明に係る「基準点判定部25R」によって決定された基準点のみを用いてLLR計算を行う「LL用のLLR計算部27R」を備える点で相違している。
以下、より具体的に、図1に示す本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20の構成について説明する。
直交復調部22は、受信アンテナ21を介して高階層(UL)と低階層(LL)として2つの変調信号が異なる電力で多重化され、同一周波数帯で直交変調して伝送されたLDM信号を受信し、その受信したLDM信号について、平均電力又は最大電力に基づく所定の利得調整(図示略)による電力(振幅)正規化処理を経て入力し、シンボル同期及びキャリア再生を行い、直交復調処理を施してLDMシンボルを抽出し、UL用のLLR計算部23及びLL用のLLR計算部27Rに出力する。ここで、受信アンテナ21を介して受信したLDM信号は、図11に示すLDM方式の送信装置10から送信された信号である。
LLR計算部23は、直交復調部22から得られるLDMシンボルについて、UL用のシンボルとみなし、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置又はUL用として予め定めた変調方式に従うシンボル位置を示す基準点を用いて対数尤度比(LLR)を計算し、その対数尤度比(LLR)を示すUL信号を生成し、誤り訂正復号部24に出力する。
誤り訂正復号部24は、LLR計算部23から得られるUL信号に対して、送信側のUL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、UL用伝送情報を示すUL信号の復号ビットを生成し外部出力するとともに、基準点判定部25Rへフィードバック出力する。
基準点判定部25Rは、誤り訂正復号部24から得られるUL信号の復号ビットを基に、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置を示す基準点のうち受信したLDMシンボルにおけるLL用のシンボルが取りうるシンボル位置を示す基準点の絞り込みを行うことにより、UL信号の復号ビットに応じてLL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点を決定して、LLR計算部27Rに出力する。
LLR計算部27Rは、直交復調部22から得られるLDMシンボルについて、UL信号に対応するLL信号を生成するための所定の遅延調整を行った上で、基準点判定部25Rにより決定した基準点のみを用いて、該基準点の決定に係るUL信号に対応する受信したLDMシンボルに対する対数尤度比(LLR)を計算し、この対数尤度比(LLR)を示すLL信号を生成し、誤り訂正復号部28に出力する。
誤り訂正復号部28は、LLR計算部27Rから得られるLL信号に対して、送信側のLL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、LL用伝送情報を示すLL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
このように、図1に示す受信装置20では、ULの復号処理自体は、従来手法のSICと同じであるが、SIC型の「UL再変調によるレプリカ信号生成部25、及び減算部26」を備える代わりに「基準点判定部25R」を備え、「基準点判定部25R」によって決定された基準点のみを用いてLL用のLLR計算を行う「LL用のLLR計算部27R」を備える構成としたので、LLの受信処理に係るコストを大幅に低減することが可能となっている。
〔実施例1の受信処理〕
以下、より具体的な例を挙げながら、図1に示す受信装置20における受信処理を説明する。
まず、図1に示す受信装置20において、受信アンテナ21を介して受信したLDM信号は、図11に示すLDM方式の送信装置10から送信された信号であり、本実施例に係るLDMシンボルを構成するビットは、UL用のシンボルを構成するビットを上位側に、LL用のシンボルを構成するビットを下位側にビット配置したものとして構成されている。
例えば、図2には、LDM信号のシンボル(LDMシンボル)を構成するビットの割り当ての一例として、UL、LLの変調方式をQPSKとし、QPSKシンボルへのビット割り当てをグレイコードマッピングしたときの原点Oを中心とするIQ平面図を示している。この場合、LDMシンボルは、全体で16シンボルとして構成され、この16シンボルに割り当てられるビットは、図2に示す通り(説明の便宜上、16QAMのように図示している)、上位2ビットがUL、下位2ビットがLLとなる。ただし、LDMシンボルにおけるUL及びLLのビット割り当ては、図2に示すものに限定する必要はなく、UL及びLLのビットがLDMシンボル上で識別できるものであればよい。
そこで、代表して、UL、LLの変調方式をQPSKとし、図1に示す直交復調部22が、図2に示すグレイコードマッピングによるLDMシンボルを受信して処理する例を説明する。尚、本発明は、グレイコードマッピングによらず、集合分割法マッピングによる場合も同様である点に留意する。
図3は、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20における受信処理を示すフローチャートである。
まず、受信装置20は、直交復調部22により、受信アンテナ21を介して受信したLDM信号について直交復調処理を施したLDMシンボルを「受信シンボル」として抽出する(ステップS1)。ここで、直交復調部22が出力するLDMシンボルは、受信シンボル♯nとして、後段の処理にとって識別可能にシンボル番号が付されて出力される。また、受信装置20は、LLR計算部23により、直交復調部22から得られるLDMシンボル(即ち、受信シンボル)について、UL用のシンボルとみなし、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置又はUL用として予め定めた変調方式に従うシンボル位置を示す基準点を用いて対数尤度比(LLR)を計算する。
図4は、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20におけるUL用のLLR算出部23の処理を説明するためのIQ平面図である。図4に示す通り、UL及びLLの変調方式としたQPSKと、ILとから決定される16シンボルの基準点が、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置となる。そこで、UL用のLLR算出部23は、LDMシンボルとしての受信シンボル♯1(図4に示す“△”)について対数尤度比(LLR)を計算するときは、受信シンボル♯1と16シンボルの各基準点との間のユークリッド距離から、誤り訂正復号部24で用いる誤り訂正符号ブロック内の各ビットの対数尤度比(LLR)を計算する。
そして、受信装置20は、誤り訂正復号部24により、LLR計算部23から得られる対数尤度比(LLR)で示されるUL信号に対して、送信側のUL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、復号結果としてUL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
また、受信装置20は、誤り訂正復号部24により、復号結果として生成したUL信号の復号ビットを基準点判定部25Rへフィードバック出力する(ステップS2)。ここでは、LDMシンボルとしての受信シンボル♯1について考えるが、実際の処理として、誤り訂正復号部24は、各受信シンボル♯nに対するUL信号の復号結果を逐次、基準点判定部25Rへフィードバックする。好適には、誤り訂正復号部24は、各受信シンボル♯nに対するUL信号の復号結果を逐次、当該UL信号に対応するLDMシンボルを識別可能とする識別情報(例えば、シンボル番号)を付して、基準点判定部25Rへフィードバックする。
続いて、受信装置20は、基準点判定部25Rにより、当該UL信号の復号ビットを基に、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル(本例では16シンボル)位置を示す基準点のうち受信したLDMシンボル(即ち、受信シンボル)におけるLL用のシンボルが取りうるシンボル位置を示す基準点の絞り込みを行うことにより、UL信号の復号ビットに応じてLL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点を決定する(ステップS3)。
例えば、図2に示すLDMシンボルにおけるビット割り当ての例では、第1乃至第4象限のR1~R4領域で区分することができ、上位2ビットがUL、下位2ビットがLLとなっている。そこで、基準点判定部25Rは、ULの復号結果が00の時は第1象限のR1領域内の4シンボルの基準点をLL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点として決定する(ステップS4)。また、基準点判定部25Rは、ULの復号結果が10の時は第2象限R2領域内の4シンボルの基準点をLL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点として決定する(ステップS5)。また、基準点判定部25Rは、ULの復号結果が11の時は第3象限R3領域内の4シンボルの基準点をLL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点として決定する(ステップS6)。また、基準点判定部25Rは、ULの復号結果が01の時は第4象限R4領域内の4シンボルの基準点をLL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点として決定する(ステップS7)。このようにULの復号結果を基準点判定部25Rにフィードバックすることで、LL復号に用いる基準点を絞り込むことが可能となる。
続いて、受信装置20は、LLR計算部27Rにより、直交復調部22から得られるLDMシンボルについて、UL信号に対応するLL信号を生成するための所定の遅延調整を行った上で、基準点判定部25Rにより決定した基準点のみを用いて、該基準点の決定に係るUL信号に対応する受信したLDMシンボルに対する対数尤度比(LLR)を計算する(ステップS8)。
図5は、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20における基準信号判定部25Rと、LL用のLLR算出部27Rの処理を説明するための図である。
図5に示すように、UL用の誤り訂正復号部24からULの復号結果を基準点判定部25Rにフィードバックする。好適には、誤り訂正復号部24は、各受信シンボル♯nに対するUL信号の復号結果を逐次、当該UL信号に対応するLDMシンボルを識別可能とする識別情報(例えば、シンボル番号)を付して、基準点判定部25Rへフィードバックする。そして、基準点判定部25Rは、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル(本例では16シンボル)位置を示す基準点のうち受信したLDMシンボル(即ち、受信シンボル♯1)におけるLL用のシンボルが取りうるシンボル位置を示す基準点の絞り込みを行うことができ、図5に示す例では、ULの復号結果が00の時は第1象限のR1領域内の4シンボルの基準点をLL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点として決定し、好適には当該識別番号(例えば、シンボル番号)とともに、LLR計算部27Rに通知する。
そして、LL用のLLR計算部27Rは、基準点判定部25Rから通知された4シンボルの各基準点(図5に示す例ではR1)と受信シンボル♯1との間のユークリッド距離を計算し、ユークリッド距離を確率に変換することで、LL用の誤り訂正復号部28における誤り訂正符号(LDPC等)ブロック内の各ビットの対数尤度比(LLR)を求め、この対数尤度比(LLR)を示すLL信号を生成し、誤り訂正復号部28に出力する。
ここで、誤り訂正復号部24から、UL信号の復号結果を基準点判定部25R経由でLLR計算部27Rへフィードバックして通知する際に、そのUL信号の復号結果に識別情報(例えば、シンボル番号)を付すのが好適であるとした。この場合、LLR計算部27Rは、UL信号に対応するLL信号を生成するために、当該識別情報を基に可変に、受信したLDMシンボルについて精度よく遅延調整を行うことができる。そして、LLR計算部27Rは、この遅延調整を行った上で、基準点判定部25Rにより決定した基準点のみを用いて、当該UL信号に対応する受信したLDMシンボルに対する対数尤度比(LLR)を計算し、該対数尤度比(LLR)を示すLL信号を生成する。ただし、LLR計算部23及び誤り訂正復号部24のUL信号に係るLLR計算処理や誤り訂正復号処理が固定時間で処理できるように構成した場合では、このような識別情報(例えば、シンボル番号)を省略でき、この場合、LLR計算部27Rは、UL信号に対応するLL信号を生成するための固定時間分の遅延調整を行うとすることができる。
続いて、受信装置20は、誤り訂正復号部28により、LLR計算部27Rから得られるUL信号に対して、送信側のLL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、復号結果としてLL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
上記のように構成された本発明に係る受信装置20では、基準点判定部25RにUL復号結果をフィードバックすることでLL復号用のLLRを算出する基準点を絞り込むことが可能となり、これにより、図12に例示したSIC型よりも受信処理のコストを大幅に低減することが可能となる。更に、本発明に係る受信装置20のように基準点を絞り込むことで、LLの復号性能を向上することが可能となり、図13に例示した一括復調型と比較して、より良好な受信性能を実現することができる。
(シミュレーション)
次に、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20と従来技術(「SIC」及び「一括変調」)とを対比したシミュレーション結果について説明する。
まず、シミュレーション条件として、図11に例示した送信装置10にて、シングルキャリア方式のLDM伝送を想定し、UL及びLLの伝送情報を構成する情報ビットについて、ISDB-S3に準拠したLDPC符号のパリティ検査行列を用いて符号化率3/5、4/5にそれぞれ誤り訂正符号化するものとする。また、誤り訂正符号化後のLDPCブロック(44880ビット)は、UL及びLLのいずれに対してもQPSK変調され(22440シンボル)、UL及びLLの電力をIL=3dBとなるよう調整したものとする。そして、図11に例示した送信装置10から、UL及びLLの各シンボルを合成したLDMシンボルについて直交変調したLDM信号を生成し、白色雑音伝送路を模擬して、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20に送信することを想定する。
図6は、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20と従来技術(「SIC」及び「一括変調」)とを対比して、白色雑音下におけるC/N対BER特性を示す図である。また、図7は、本発明による実施例1のLDM方式の受信装置20と従来技術(「SIC」及び「一括変調」)とを対比して、所要C/Nを示す図である。疑似エラーフリーはビット誤り率(BER)=1E-11とし、その時のC/Nを所要C/Nとする。ULとLLがともに疑似エラーフリーとなるC/Nを所要C/Nと定義するため、雑音耐性の低いLLのBERを評価対象とした。
図6及び図7から、本発明に係る受信装置20の受信性能は、従来手法のSICと比較してほぼ同等な受信性能であり、一括復調と比較して大きく受信性能を向上させることができることが分かる。
図6及び図7の結果を分析するに、一括復調方式では、基準点を絞り込むことができないため、図5に示す16シンボルすべてを基準点として採用し、受信シンボル♯1とすべての基準点からユークリッド距離を計算しLLRを求めることになる。このとき、図5に示すR2領域の基準点(UL=10,LL=01に対応する点)と受信シンボル♯1のユークリッド距離が最も小さいため、一括復調方式においては、受信シンボル♯1に割り当てられたLLのビットが01である確率が高くなり、誤判定による誤り訂正復号の失敗要因となっていると考えられる。
従って、本発明に係る実施例1の受信装置20によれば、階層分割多重(LDM)方式の受信処理として、ULの復号結果からLLの復号に係る基準点を絞り込むことで、SICと同等以上の雑音耐性の高い良好な受信性能を実現でき、尚且つSICよりも受信処理に係るコストを大幅に低減できるようになる。
〔実施例2の受信装置〕
図8は、本発明による実施例2のLDM方式の受信装置20の概略構成を示すブロック図である。図8に示す本発明による実施例2のLDM方式の受信装置20は、図11に示すシングルキャリア伝送によるLDM方式の送信装置10から送信されたLDM信号を受信して復調し、当該LDM信号における高階層(UL)と低階層(LL)の階層分離を行って復号する装置であり、直交復調部22と、UL用のLLR計算部23及び誤り訂正復号部24と、ユークリッド距離蓄積部25Eと、ユークリッド距離選択部26Eを有する基準点判定部25Rと、LL用のLLR計算部27E及び誤り訂正復号部28と、を備える。尚、図8において、図1に示すものと同様な構成要素には、同一の参照番号を付している。また、図1では、シングルキャリア伝送によるLDM方式の受信装置20の概略構成を例示しているが、マルチキャリアによるOFDM伝送で送信されたLDM信号を受信して復調し、当該LDM信号における高階層(UL)と低階層(LL)の階層分離を行って復号する場合も同様に構成される。
即ち、図8に示す本発明による実施例2のLDM方式の受信装置20は、図1に示す実施例1と比較して、直交復調部22、UL用のLLR計算部23及び誤り訂正復号部24、並びに、LL用の誤り訂正復号部28を備える点で同様であるが、「ユークリッド距離蓄積部25E」を備える点、及び図1に示す基準点判定部25Rが「ユークリッド距離選択部26E」を有する点、並びに、図1に示す「LL用のLLR計算部27R」の代わりに、UL復号時点で既算出の各基準点に対するユークリッド距離のうち「ユークリッド距離選択部26E」によって選択された基準点に対するユークリッド距離のみを用いてLLR計算を行う「LL用のLLR計算部27E」を備える点で相違している。
以下、より具体的に、図8に示す本発明による実施例2のLDM方式の受信装置20の構成について説明する。
実施例2に係る直交復調部22は、実施例1と同様に、受信アンテナ21を介して高階層(UL)と低階層(LL)として2つの変調信号が異なる電力で多重化され、同一周波数帯で直交変調して伝送されたLDM信号を受信し、その受信したLDM信号について、平均電力又は最大電力に基づく所定の利得調整(図示略)による電力(振幅)正規化処理を経て入力し、シンボル同期及びキャリア再生を行い、直交復調処理を施してLDMシンボルを抽出し、UL用のLLR計算部23に出力する。
ただし、実施例2に係る直交復調部22は、図1に示す実施例1とは相違して、受信シンボル(受信したLDMシンボル)をLL用のLLR計算部27Eに出力する構成とはなっていない点に留意する。ここで、受信アンテナ21を介して受信したLDM信号は、図11に示すLDM方式の送信装置10から送信された信号である。
実施例2に係るLLR計算部23は、実施例1と同様に、直交復調部22から得られる受信シンボル(受信したLDMシンボル)について、UL用のシンボルとみなし、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置を示す基準点を用いて対数尤度比(LLR)を計算し、その対数尤度比(LLR)を示すUL信号を生成し、誤り訂正復号部24に出力する。尚、実施例2の場合では、LLR計算部23において、実施例1のような「UL用として予め定めた変調方式に従うシンボル位置を示す基準点」を用いて対数尤度比(LLR)を計算してもよいとする構成は想定しておらず、「LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置を示す基準点」を用いて対数尤度比(LLR)を計算する。
ただし、実施例2に係るLLR計算部23は、図1に示す実施例1とは相違して、UL信号とする対数尤度比(LLR)の計算時に用いた各基準点に対するユークリッド距離の情報を、受信シンボル(受信したLDMシンボル)毎にユークリッド距離蓄積部25Eに出力する。
実施例2に係る誤り訂正復号部24は、実施例1と同様に、LLR計算部23から得られるUL信号に対して、送信側のUL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、UL用伝送情報を示すUL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
ただし、実施例2に係る誤り訂正復号部24は、図1に示す実施例1とは相違して、UL信号の復号ビット(復号結果)の情報を、ユークリッド距離選択部26Eを有する基準点判定部25Rに出力する。
ユークリッド距離蓄積部25Eは、UL用のLLR計算部23からLLR計算に用いた受信シンボルの各基準点に対するユークリッド距離(r1~r16)の情報を入力し、所定数分の受信シンボル(受信したLDMシンボル)について、UL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いた受信シンボル毎の各基準点に対するユークリッド距離(r1~r16)の情報を更新しながら一時蓄積する。
実施例2に係る基準点判定部25Rは、実施例1と同様に、受信シンボル毎に、ULの復号ビットを基に、LL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点の絞り込みを行うが、内部に、ユークリッド距離選択部26Eの機能を備える点で、実施例1とは相違している。
ユークリッド距離選択部26Eは、誤り訂正復号部24によってUL信号について復号した受信シンボル(受信したLDMシンボル)に関して、その受信シンボル毎に、ULの復号ビットを基に、ユークリッド距離蓄積部25Eに蓄積した各基準点のユークリッド距離のうちLL復号に用いる基準点のユークリッド距離を選択して読み出し、LL用のLLR計算部27Eに出力する。
LLR計算部27Eは、誤り訂正復号部24におけるUL信号の復号からの一連の動作として、受信シンボル毎に、ユークリッド距離選択部26EによってLL復号用に選択したユークリッド距離のみを用いて、対応する受信シンボル(受信したLDMシンボル)に対する対数尤度比(LLR)を計算し、この対数尤度比(LLR)を示すLL信号を生成し、誤り訂正復号部28に出力する。
誤り訂正復号部28は、LLR計算部27Eから得られるLL信号に対して、送信側のLL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、LL用伝送情報を示すLL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
このように、図8に示す受信装置20では、ULの復号処理自体は、従来手法のSICと同じであるが、SIC型の「UL再変調によるレプリカ信号生成部25、及び減算部26」を備える代わりに「ユークリッド距離蓄積部25E」及び「ユークリッド距離選択部26Eを有する基準点判定部25R」を備え、「ユークリッド距離選択部26E」によって選択されたユークリッド距離のみを用いてLL用の対数尤度比(LLR)の計算を行う「LL用のLLR計算部27E」を備える構成とした。これにより、少なくともユークリッド距離の計算処理が軽減され、LLの受信処理に係るコストを大幅に低減することが可能となっている。
〔実施例2の受信処理〕
以下、より具体的な例を挙げながら、図8に示す受信装置20における受信処理を説明する。
まず、図8に示す受信装置20において、受信アンテナ21を介して受信したLDM信号は、図11に示すLDM方式の送信装置10から送信された信号であり、実施例2に係るLDMシンボルを構成するビットは、実施例1と同様に、UL用のシンボルを構成するビットを上位側に、LL用のシンボルを構成するビットを下位側にビット配置したものとして構成されている。
例えば、図10(a)には、LDM信号のシンボル(LDMシンボル)を構成するビットの割り当ての一例として、UL、LLの変調方式をQPSKとし、QPSKシンボルへのビット割り当てをグレイコードマッピングしたときの原点Oを中心とするIQ平面図を示している。この場合、LDMシンボルは、全体で16シンボルとして構成され、この16シンボルに割り当てられるビットは、図10(a)に示す通り、上位2ビットがUL、下位2ビットがLLとなる。
尚、図10(a)には、実施例2の動作説明の便宜上、LDMシンボルを構成するビットを[a1 a2 a3 a4]として表しており、a1が第1ビット(UL)、a2が第2ビット(UL)、a3が第3ビット(LL)、a4が第4ビット(LL)を示すものとし、r1~r16は、或る受信シンボル(ここでは、受信シンボル#1)から各基準点までのユークリッド距離を表している。ただし、LDMシンボルにおけるUL及びLLのビット割り当ては、図10(a)に示すものに限定する必要はなく、UL及びLLのビットがLDMシンボル上で識別できるものであればよい。
そこで、代表して、UL、LLの変調方式をQPSKとし、図8に示す直交復調部22が、図10(a)に示すグレイコードマッピングによるLDMシンボルを受信して処理する例を説明する。尚、本発明は、グレイコードマッピングによらず、集合分割法マッピングによる場合も同様である点に留意する。
図9は、本発明による実施例2のLDM方式の受信装置20における受信処理を示すフローチャートである。
まず、実施例2に係る受信装置20は、実施例1と同様に、直交復調部22により、受信アンテナ21を介して受信したLDM信号について直交復調処理を施したLDMシンボルを「受信シンボル」として抽出する(ステップS11)。ここで、直交復調部22が出力するLDMシンボルは、受信シンボル♯nとして、後段の処理にとって識別可能にシンボル番号が付されて出力される。また、受信装置20は、LLR計算部23により、直交復調部22から得られるLDMシンボル(即ち、受信シンボル)について、UL用のシンボルとみなし、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置を示す基準点を用いて対数尤度比(LLR)を計算する。
図10(a)に示す通り、UL及びLLの変調方式としたQPSKと、ILとから決定される16シンボルの基準点が、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置となる。そこで、UL用のLLR算出部23は、LDMシンボルとしての受信シンボル♯1(図10(a)に示す“△”)について対数尤度比(LLR)を計算するときは、受信シンボル♯1と16シンボルの各基準点との間のユークリッド距離(r1~r16)から、誤り訂正復号部24で用いる誤り訂正符号ブロック内の各ビットの対数尤度比(LLR)を計算する。
ここで、実施例2に係る受信装置20は、実施例1とは相違して、ユークリッド距離蓄積部25Eを備える。ユークリッド距離蓄積部25Eは、UL用のLLR計算部23から対数尤度比(LLR)の計算に用いた受信シンボルの各基準点に対するユークリッド距離(r1~r16)の情報を入力し、所定数分の受信シンボル(受信したLDMシンボル)について、UL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いた受信シンボル毎の各基準点に対するユークリッド距離(r1~r16)の情報を更新しながら一時蓄積する(ステップS12)。図10(b)には、ユークリッド距離蓄積部25Eにおいて、UL用のLLR計算部23で対数尤度比(LLR)の計算に用いた受信シンボル(例えば、シンボル番号♯1~♯3)毎の各基準点に対するユークリッド距離(添え字で示すシンボル番号♯1~♯3に対応するr1~r16)の情報の蓄積例を示している。尚、図10(b)にはシンボル番号♯1~♯3の3受信シンボル分しか図示していないが、ユークリッド距離蓄積部25Eにおいて、動作原理上、誤り訂正符号の符号長分に相当する受信シンボル分のユークリッド距離(r1~r16)の情報について一時蓄積する構成とする。
そして、実施例2に係る受信装置20は、実施例1と同様に、誤り訂正復号部24により、LLR計算部23から得られる対数尤度比(LLR)で示されるUL信号に対して、送信側のUL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、復号結果としてUL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
ここで、実施例2に係る受信装置20は、実施例1と同様に、基準点判定部25Rによって、受信シンボル毎に、ULの復号ビットを基に、LL復号用の対数尤度比(LLR)の計算に用いる基準点の絞り込みを行うが、実施例1とは相違して、基準点判定部25Rの機能として、ユークリッド距離選択部26Eが設けられている。ユークリッド距離選択部26Eは、誤り訂正復号部24によってUL信号について復号した受信シンボル(受信したLDMシンボル)に関して、その受信シンボル毎に、ULの復号ビットを基に、ユークリッド距離蓄積部25Eに蓄積した各基準点のユークリッド距離のうちLL復号に用いる基準点のユークリッド距離を選択して読み出し、LL用のLLR計算部27Eに出力する(ステップS13)。
続いて、実施例2に係る受信装置20は、実施例1とは相違して、LLR計算部27Eにより、誤り訂正復号部24におけるUL信号の復号からの一連の動作として、受信シンボル毎に、ユークリッド距離選択部26EによってLL復号用に選択したユークリッド距離のみを用いて、対応する受信シンボル(受信したLDMシンボル)に対する対数尤度比(LLR)を計算する(ステップS14)。
つまり、UL用のLLR計算部23では、ユークリッド距離(r1~r16)を確率に置き換えて対数尤度比(LLR)を計算している。例えば、受信シンボル(受信したLDMシンボル)#1を構成するビット列[a1 a2 a3 a4]における第1ビットa1が0である確率P10と、第1ビットa1が1である確率P11は、式(1)及び式(2)のように表すことができ、図10(a)に示す受信シンボル#1の第1ビットa1のLLR(確からしさ)をLLR1_♯1とすると、式(3)のように表すことができる。尚、受信シンボル#1の第2ビットa2のLLR(確からしさ)についても式(1)乃至式(3)の考え方と同様にして得ることができる。尚、式(1)及び式(2)におけるσは、受信C/Nから求まる受信シンボルに付加された白色雑音の分散を表し、σ2は雑音電力を表している。
続いて、実施例2に係る受信装置20は、実施例1と同様に、誤り訂正復号部28により、LLR計算部27Rから得られるUL信号に対して、送信側のLL用として予め定めた誤り訂正符号化処理(LDPC符号等)に対応する復号処理を施し、復号結果としてLL信号の復号ビットを生成し外部出力する。
このように、実施例2におけるUL復号処理は、実施例1と同様に、例えばLDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置を基準点として、受信シンボルと各基準点のユークリッド距離(r1~r16)を計算した後(図10(a)参照)、確率に変換して、LLR計算部23でUL用の対数尤度比(LLR)を計算し、誤り訂正復号部24でUL用の復号ビットを生成する。
ただし、実施例2では、LDMシンボルが取りうる全てのシンボル位置に対応する全ての基準点に対して計算したユークリッド距離(r1~r16)をユークリッド距離蓄積部25Eで蓄積するようにしている。そして、ユークリッド距離選択部26Eでは、図10(b)に示すように、UL復号結果を基に、ユークリッド距離蓄積部25Eから、LL信号としてのビットの確からしさを示すLL用の対数尤度比(LLR)を計算するために必要なユークリッド距離を選択する。LL用のLLR計算部27Eは、この選択されたユークリッド距離のみを用いてLL用の対数尤度比(LLR)を計算し、誤り訂正復号部28でLL用の復号ビットを生成する。
つまり、LL用のLLR計算部27Eでは、UL用のLLR計算部23における対数尤度比(LLR)の計算に用いたユークリッド距離と、UL復号結果を示すUL用の復号ビットの情報を基に、LL用の対数尤度比(LLR)を計算することができる。特に、UL復号結果を基に、UL用の対数尤度比(LLR)を計算するために用いたユークリッド距離(r1~r16)から、LL用の対数尤度比(LLR)を計算するために必要なユークリッド距離を選択することができ、これによりLL用として不要なユークリッド距離を確率計算に使うことを回避できる。即ち、ユークリッド距離蓄積部25Eにおいて、受信シンボルに関して蓄積された全基準点に対するユークリッド距離のうち、UL復号結果からLLの基準点を絞り込むことができるので、再度のユークリッド距離計算をしなくて済むようになる。
より具体的に、その計算負荷の削減について説明するに、従来の「一括復調」の処理では、第3ビットa3が0である確率P'30と、第3ビットa3が1である確率P'31は、式(4)及び式(5)のように表される。尚、式(4)及び式(5)におけるσは、受信C/Nから求まる受信シンボルに付加された白色雑音の分散を表し、σ2は雑音電力を表している。
一方、本実施例では、UL復号結果を基にLL用の対数尤度比(LLR)を計算するために必要なユークリッド距離を選択するため、例えば受信シンボル#1のUL=00(a1=0,a2=0)の場合では、第3ビットa3が0である確率P30と、第3ビットa3が1である確率P31は、式(6)及び式(7)のように表すことができ、受信シンボル#1の第3ビットa3のLLR(確からしさ)をLLR3_♯1とすると、式(8)のように表すことができる。尚、受信シンボル#1の第4ビットa4のLLR(確からしさ)についても式(6)乃至式(8)の考え方と同様にして得ることができる。尚、式(6)及び式(7)におけるσは、受信C/Nから求まる受信シンボルに付加された白色雑音の分散を表し、σ2は雑音電力を表している。
このように、実施例2では、実施例1と比較して、受信シンボルについて、LLR計算部23によるUL用の対数尤度比(LLR)の計算に用いた各基準点に対するユークリッド距離の情報をユークリッド距離蓄積部25Eに蓄積しておくため、LL用の対数尤度比(LLR)の計算に係るユークリッド距離計算を省略することが可能となり、その処理コストを軽減させることができる。
そして、実施例2の受信性能は、実施例1と同等であり(即ち、図6及び図7参照)、少なくともユークリッド距離計算に係る計算量を実施例1よりも削減できる点は有利となる。
従って、本発明に係る実施例2の受信装置20によれば、階層分割多重(LDM)方式の受信処理として、ULの復号結果からLLの復号に係る基準点を絞り込み、更にLLの復号に必要なユークリッド距離の再計算を省略することで、SICと同等以上の雑音耐性の高い良好な受信性能を実現でき、尚且つSICよりも受信処理に係るコストを大幅に低減できるようになる。
上述の実施例については代表的な例を説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、上記の実施例では、UL及びLLの変調方式をQPSKとして図2又は図10(a)に示すLDMシンボルのみを説明し、誤り訂正符号としてLDPC符号とする例のみを説明したが、UL及びLLの変調方式はそれぞれ異なる変調方式としてもよく、QPSKとする以外にも、π/2シフトBPSK,8PSK,16APSK等とすることができ、更にはLDPC符号に限らず種々の誤り訂正符号を採用できる。従って、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。