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JP7743791B2 - 食肉又は食肉様加工食品の製造方法 - Google Patents
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JP7743791B2 - 食肉又は食肉様加工食品の製造方法 - Google Patents

食肉又は食肉様加工食品の製造方法

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Description

本発明は、食肉又は食肉様加工食品の製造方法に関する。本発明はさらに、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品の歩留まりを向上させる方法および食肉又は食肉様加工食品に関する。
食肉加工食品の中には、低温での喫食形態が想定される製品など、液体油脂(植物油脂)を配合するものがある。例えば、特許文献1には、肉類を含む基礎配合の混合物に、植物油脂を含む添加剤を添加して製造されたペットフードが記載されている。
また近年では、植物等由来の人工肉(代替肉、疑似肉、ベジミートとも称される。)を含む食肉様加工食品の市場が拡大している。斯かる食肉様加工食品では、通常、油脂として植物油脂を配合する。例えば、特許文献2には、植物性たん白及び澱粉を含む組織化植物性たん白に、植物油脂を含む結着剤を加え、混合、加熱凝固させて得た食肉様加工食品が記載されている。
特開2014-138564号公報 特開2011-72264号公報
しかしながら、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品においては、焼成等の加熱時に植物油脂が流出し、歩留まりが低下したり、パサつきが発生したりすることが課題であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、歩留まりが良好であり、ジューシー感の向上した、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、食肉又は食肉様加工食品の製造に際し、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を配合することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1] 植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、食肉又は食肉様加工食品の製造方法。
[2] 植物油脂にリパーゼを添加して5分間以上経過した後に、混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、[1]に記載の方法。
[3] 食肉又は食肉様加工食品の原料の合計を100重量部としたとき、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を10重量部以上配合する、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 植物油脂が、菜種油、オリーブ油、コーン油、大豆油、ごま油、コメ油、グレープシード油、パーム油、ココナッツ油からなる群より選択される1種以上である、[1]~[3]の何れかに記載の方法。
[5] 植物油脂中の構成脂肪酸の合計を100重量%としたとき、一価不飽和脂肪酸が30重量%以上である、[1]~[4]の何れかに記載の方法。
[6] 食肉又は食肉様加工食品が、ハンバーグ若しくはハンバーグ様加工食品、ミートボール若しくはミートボール様加工食品、パテ若しくはパテ様加工食品、ハム若しくはハム様加工食品、ソーセージ若しくはソーセージ様加工食品、ギョーザ若しくはギョーザ様加工食品、又は、シューマイ若しくはシューマイ様加工食品である、[1]~[5]の何れかに記載の方法。
[7] 植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品の歩留まりを向上させる方法。
[8] 植物油脂にリパーゼを添加して5分間以上経過した後に、混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、[7]に記載の方法。
[9] 植物油脂が、菜種油、オリーブ油、コーン油、大豆油、ごま油、コメ油、グレープシード油、パーム油、ココナッツ油からなる群より選択される1種以上である、[7]又は[8]に記載の方法。
[10] 植物油脂中の構成脂肪酸の合計を100重量%としたとき、一価不飽和脂肪酸が30重量%以上である、[7]~[9]の何れかに記載の方法。
[11] 食肉又は食肉様加工食品が、ハンバーグ若しくはハンバーグ様加工食品、ミートボール若しくはミートボール様加工食品、パテ若しくはパテ様加工食品、ハム若しくはハム様加工食品、ソーセージ若しくはソーセージ様加工食品、ギョーザ若しくはギョーザ様加工食品、又は、シューマイ若しくはシューマイ様加工食品である、[7]~[10]の何れかに記載の方法。
[12] 植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を配合してなる、食肉又は食肉様加工食品。
本発明によれば、歩留まりが良好であり、ジューシー感の向上した、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品を提供することができる。
<用語の説明>
本明細書において、「食肉又は食肉様加工食品」とは、食肉加工食品と食肉様加工食品の双方を意味する。
本明細書において、「食肉加工食品」とは、牛、豚、馬、羊、山羊、兎等の家畜の食肉、鶏、合鴨、鴨、七面鳥、家鴨、鶉、ホロホロチョウ、ガチョウ等の家禽の食肉、猪、鹿等の狩猟により得られる野生動物の食肉、鯨、イルカ、トド等の海洋哺乳類の食肉等を加工して調製される食品をいう。なお、「食肉」とは、食用とされる肉を意味する。
本発明において、「食肉様加工食品」とは、豆類(例えば、大豆、エンドウ豆、ソラ豆、ヒヨコ豆、アーモンド、落花生、ルピン豆)や麦類(例えば、小麦、大麦、ライ麦)、米類、種子類(ひまわり、かぼちゃ、キヌア、チア、麻)、トウモロコシ、キノコ類、芋類をはじめとする植物由来のタンパク質原料を加工して調製される食品であって、食肉加工食品を模した食品をいい、代替肉、疑似肉、ベジミートなどとも言われる。食肉様加工食品中のタンパク質原料に占める植物由来のタンパク質原料の割合は全部であってもよく、一部であってもよい。すなわち食肉様加工食品は、植物由来のタンパク質原料を含む限り、さらに食肉を含んでいてもよい。なお、食肉の含有料が0重量%のものを、特にミートレスの食肉様加工食品と称する。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[食肉又は食肉様加工食品の製造方法]
本発明の食肉又は食肉様加工食品の製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」ともいう。)は、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合することを特徴とする。
先述のとおり、食肉又は食肉様加工食品において、喫食形態や動物性原料忌避等の理由から植物油脂を配合する場合があるが、斯かる食肉又は食肉様加工食品においては、焼成等の加熱時に植物油脂が流出して歩留まりが低下したり、パサつきが発生するなど品質の低下も生じたりすることを見出した。これに対し、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する本発明の製造方法によれば、加熱時に植物油脂を良好に保持することができ、歩留まりが良好であり、ジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現するに至ったものである。このように、本発明は、植物油脂を配合した食肉又は食肉様加工食品を製造するにあたって、歩留まり及び品質の向上に著しく寄与するものである。
植物油脂は、植物の種子、果実等から得られる油脂であり、植物油、植物脂ともいわれる。本発明において、植物油脂としては、製造する食肉又は食肉様加工食品の具体的な仕様に応じて任意の植物油脂を用いてよく、その種類は特に限定されない。植物油脂としては、例えば、菜種油、オリーブ油、コーン油、大豆油、ごま油、コメ油、グレープシード油、あまに油、えごま油、ひまわり油、サフラワー油(紅花油)、落花生油、アーモンド油、パーム油、パーム核油、ココナッツ油、やし油、綿実油、つばき油、ひまし油等が挙げられる。植物油脂は、一種単独で用いてよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
歩留まりが良好でありジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現し得る観点から、植物油脂の構成脂肪酸の合計を100重量%としたとき、一価不飽和脂肪酸の割合は、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上、25重量%以上又は30重量%以上である。特に一価不飽和脂肪酸の割合が30重量%以上であると、加熱処理時の油脂の流出を顕著に抑制することができ、歩留まり及び品質に一際優れる食肉又は食肉様加工食品を製造することができる。一価不飽和脂肪酸の割合は、さらに好ましくは35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上又は50重量%以上である。
一価不飽和脂肪酸の割合の上限は、特に限定されないが、歩留まり及び品質に一際優れる食肉又は食肉様加工食品を製造し得る観点から、好ましくは85重量%以下、より好ましくは80重量%以下、75重量%以下又は70重量%以下である。
歩留まり及び品質に一際優れる食肉又は食肉様加工食品を製造し得る観点から、一価不飽和脂肪酸の合計を100重量%としたとき、オレイン酸の割合は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上又は90重量%以上である。
各種植物油脂の構成脂肪酸組成は、例えば、米国農務省(USDA)が公開している食品成分データベース(USDA Food Composition Databases)を参照することができる。
リパーゼは、脂質を構成するエステル結合を加水分解する性質を有する酵素であり、例えば、トリアシルグリセロール リパーゼ(triacylglycerol lipase)、トリアシルグリセリド リパーゼ(triacylglyceride lipase)等を包含する。
リパーゼとしては、微生物由来のリパーゼ、植物由来のリパーゼ、動物由来のリパーゼ等、種々の起源のものが知られている。本発明においては、本発明の効果を奏する限りその起源は特に制限されず、いかなる起源のリパーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。中でも、微生物由来のリパーゼを好適に用いることができ、例えば、アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌、ペニシリウム(Penicillium)属真菌、カンジダ(Candida)属真菌、アスペルギルス(Aspergillus)属真菌由来のリパーゼ等が挙げられる。
本発明においては、リパーゼQLM(アルカリゲネス(Alcaligenes)属細菌由来、名糖産業株式会社製)、リパーゼR(ペニシリウム ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)由来、天野エンザイム株式会社製)、リパーゼA(アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)由来、天野エンザイム株式会社製)、リパーゼAY(カンジダ(Candida)属真菌由来、天野エンザイム株式会社製)等、各社より提供されている市販のリパーゼを用いることができる。
本発明の製造方法において、リパーゼの添加量は、リパーゼの種類等にもよるが、植物油脂1gあたり、酵素活性を基準として、通常0.1U(ユニット)以上であり、好ましくは0.2U以上、0.3U以上、0.5U以上又は1U以上である。特にリパーゼの添加量が、植物油脂1gあたり、酵素活性を基準として、0.5U以上であると、加熱処理時の油脂の流出を顕著に抑制することができ、歩留まり及び品質に一際優れる食肉又は食肉様加工食品を製造することができる。該添加量の上限は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、植物油脂1gあたり、通常500U以下であり、好ましくは400U以下、300U以下、200U以下又は100U以下である。
なお、リパーゼの酵素活性は、例えば、基質とするオリーブ油の乳化液にリパーゼを一定時間作用させ、遊離した脂肪酸の量をアルカリで定量することにより、酵素活性を算出することができる。本明細書では、37℃にて、1分間に1μmolの脂肪酸を遊離する酵素量を、1Uと定義した。
リパーゼは、上記の量を一度に植物油脂に添加してよく、上記の量となるように少量ずつ植物油脂に添加してもよい。その際、植物油脂とリパーゼを良好に混合できる観点から、植物油脂の攪拌下にリパーゼを添加してもよい。
植物油脂にリパーゼを添加する際の条件は、植物油脂の種類やリパーゼの種類に応じてその好適範囲は異なるが、温度は、通常0℃以上、好ましくは2℃以上、3℃以上、4℃以上又は5℃以上である。該温度の上限は、通常60℃以下、好ましくは50℃以下、40℃以下、30℃以下又は20℃以下である。また、pHは、通常3~11の範囲であり、好ましくは4~9の範囲である。
本発明の製造方法では、植物油脂にリパーゼを添加した混合物を予め調製しておき、該混合物を食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する。これにより、歩留まりが良好でありジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現し得る。この点、食肉又は食肉様加工食品の原料に植物油脂を配合した後に、そこにリパーゼを添加しても所期の効果は得られないことを確認している。歩留まりが良好でありジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現し得る観点から、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物は、一定時間経過した後に、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合することが好適である。リパーゼを植物油脂に添加後、通常1分間以上、好ましくは5分間以上、より好ましくは10分間以上、20分間以上又は30分間以上経過した後に食肉又は食肉様加工食品の原料に配合してよい。したがって一実施形態において、植物油脂にリパーゼを添加して5分間以上経過した後に、該混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する。
リパーゼの添加後、原料に配合するまでの時間の上限は、特に限定されないが、通常120時間以下、好ましくは72時間以下、より好ましくは24時間以下、12時間以下又は6時間以下である。
植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物は、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合するまでの間、攪拌してもよく、静置してもよく、攪拌と静置を繰り返し実施してもよい。食肉又は食肉様加工食品の原料に配合するまでの間、該混合物は、上記の好適な温度、pHの条件に維持することが好適である。
一実施形態において、本発明の製造方法は、
(A)植物油脂にリパーゼを添加する工程、及び
(B)工程(A)で得た混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に添加する工程
を含む。工程(A)におけるpHや温度等の条件、工程(A)と工程(B)の時間的な間隔については先述のとおりである。
本発明において、食肉又は食肉様加工食品の原料(以下、単に「原料」ともいう。)とは、食肉、植物由来のタンパク質原料をはじめ、食肉又は食肉様加工食品の製造に用いられる他の食品素材を包含する概念として用いる。なお、斯かる意味においては、植物油脂やリパーゼも他の食品素材に含まれ得るが、本発明において仕込み時の量比等を論じるにあたっては、便宜上、他の食品素材(ひいては食肉又は食肉様加工食品の原料)に、用いた植物油脂とリパーゼは包含させない。
食肉や植物由来のタンパク質原料は、製造する食肉又は食肉様加工食品の仕様に応じて、塊状のまま、または細切、粉砕等を行って用いてよい。
他の食品素材としては、例えば、牛脂、豚脂等の動物油脂;乾燥卵白、グルテン粉等の他タンパク質原料;パン、小麦粉、コメ、オートミール、コーンミール、春雨等のデンプン質素材;メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム等の増粘剤;リン酸塩(リン酸一ナトリウム、リン酸二カリウム等)、重合リン酸塩(ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等)等の結着剤;亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸等の保存料;L-アスコルビン酸ナトリウム、カテキン等の酸化防止剤;フマル酸等のpH調整剤;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、サポニン、レシチン、カゼインナトリウム等の乳化剤;食塩、しょうゆ、うま味調味料(L-グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム等)等の調味料;ビーフフレーバー、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、コショウ、セージ等の香味料;カラメル色素、アナトー色素、コチニール色素等の着色料;ビタミン類(L-アスコルビン酸、エルゴカルシフェロール、β-カロテン等)、ミネラル類(亜鉛塩類、塩化カルシウム、塩化第二鉄等)、アミノ酸(L-アスパラギン酸ナトリウム、DL-アラニン、L-アルギニン、L-イソロイシン等)等の栄養強化剤等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
原料の合計を100重量部としたとき、原料中の食肉及び植物由来のタンパク質原料の合計の含有量は、通常20重量部以上、好ましくは25重量部以上又は30重量部以上である。該含有量の上限は、製造する食肉又は食肉様加工食品の仕様に応じて適宜決定してよいが、通常90重量部以下、好ましくは85重量部以下又は80重量部以下である。
食肉様加工食品を製造する場合、原料中の食肉及び植物由来のタンパク質原料の合計を100重量部としたとき、植物由来のタンパク質原料の含有量は、好ましくは70重量部以上、より好ましくは80重量部以上、85重量部以上、90重量部以上、95重量部以上、98重量部以上又は99重量部以上であり、100重量部であってもよい。
本発明の製造方法において、食肉又は食肉様加工食品の原料の合計を100重量部としたとき、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物の配合量は、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上又は20重量部以上である。先述のとおり、植物油脂を配合した食肉又は食肉様加工食品においては、焼成等の加熱時に植物油脂が流出して歩留まりが低下する課題があった。斯かる歩留まりの低下は、植物油脂の配合量が高いほど顕著となる傾向にある。これに対し、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を原料に配合する本発明の製造方法によれば、植物油脂の配合量が高い場合であっても、加熱時の歩留まり低下を有利に抑制することができる。したがって本発明の製造方法においては、加熱時の歩留まりの低下を抑えつつ上記配合量をより高くすることが可能である。例えば、食肉又は食肉様加工食品の原料の合計を100重量部としたとき、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物の配合量は、25重量部以上又は30重量部以上にまで高くしてもよい。該配合量の上限は、通常100重量部以下、好ましくは80重量部以下、60重量部以下又は50重量部以下である。
本発明において、ジューシー感に一層優れた食肉又は食肉様加工食品を実現するため、さらにトランスグルタミナーゼを添加してもよい。トランスグルタミナーゼをさらに添加する場合、リパーゼと共に植物油脂に添加してもよく、リパーゼや植物油脂とは別途、食肉又は食肉様加工食品の原料に添加してもよい。
トランスグルタミナーゼは、タンパク質上のグルタミンのアミノ基と第1級アミンを縮合させ、アミン上の置換基をグルタミンに転移させて、アンモニアが生成する反応を触媒する転移酵素であり、通常は第1級アミンとしてタンパク質上のリシンのアミノ基が用いられ、架橋酵素として作用する。従って、トランスグルタミナーゼを作用させると、食肉や植物由来のタンパク質原料等に含まれるタンパク質が架橋される。
トランスグルタミナーゼとしては、微生物より得られるカルシウム非依存性のものが好ましく用いられる。微生物由来のカルシウム非依存性トランスグルタミナーゼとしては、ストレプトマイセス属に属する放線菌により産生されるトランスグルタミナーゼが挙げられ、特許第2572716号公報に記載された方法等に従って得ることができるが、味の素株式会社から提供されている「アクティバTG-K」、「アクティバTG-S」等、市販の製品を用いることもできる。
トランスグルタミナーゼを添加する場合、その添加量は、食肉および植物由来のタンパク質原料の総含有量1gあたり0.0001U(ユニット)以上であることが好ましく、0.1U以上であることがより好ましい。
なお、トランスグルタミナーゼの酵素活性については、例えば、ベンジルオキシカルボニル-L-グルタミニルグリシンとヒドロキシルアミンを基質として反応を行わせ、生成したヒドロキサム酸の鉄錯体を、トリクロロ酢酸存在下で形成させた後、525nmの吸光度を測定して、ヒドロキサム酸の生成量を検量線より求めることにより、算出することができる。本明細書では、37℃、pH6.0で1分間に1μmolのヒドロキサム酸を生成する酵素量を、1Uと定義した(特開昭64-27471号公報参照)。
なお、食肉又は食肉様加工食品に過度の弾力が付与されると、食感が損なわれることがあるため、トランスグルタミナーゼの添加量は、食肉および植物由来のタンパク質原料の総含有量1gあたり100U以下であることが好ましく、10U以下であることがより好ましい。
トランスグルタミナーゼを添加する場合、トランスグルタミナーゼによる架橋反応を促進すべく、食肉および植物由来のタンパク質原料の存在下、通常0℃~50℃、好ましくは5℃~50℃、より好ましくは30℃~50℃の温度条件に、通常1分間~120時間、好ましくは1分間~72時間、より好ましくは1分間~24時間付すことが好適である。
本発明の製造方法は、食肉又は食肉様加工食品を製造するにあたって通常実施される公知の加工処理をさらに含んでもよい。例えば、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を原料に配合した後、得られた混合物を成形したり、ケーシング等に充填したりしてよい。また、漬け込み(塩漬け、味噌漬け、醤油漬け等)、加熱(焼成、乾燥、水煮、燻煙、蒸し煮等)、発酵等の通常の加工処理を実施してもよい。
植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を原料に配合する本発明の製造方法によれば、先述のとおり、加熱時の植物油脂の流出を抑制することができ、歩留まりが良好であり、ジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現することができる。したがって好適な一実施形態において、本発明の製造方法は、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を原料に配合した後、得られた混合物を加熱する工程を含む。
加熱加工後の冷却の方法は特に限定されず、室温にて放冷してもよく、流水にて冷却してもよく、冷蔵庫内で2℃~10℃程度に冷却してもよく、あるいは、冷凍庫内で-20℃以下に急速冷凍してもよい。
植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を原料に配合する本発明の製造方法によれば、喫食に際して加熱する際の植物油脂の流出も抑制することができ、歩留まりが良好であり、ジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現することができる。
本発明の製造方法によれば、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品を広く製造でき、該食肉又は食肉様加工食品の種類は特に限定されない。先述のとおり、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を原料に配合する本発明の製造方法によれば、加熱時の植物油脂の流出を抑制することができ、歩留まりが良好であり、ジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現できる。したがって本発明の効果をより享受し得る観点から、その製造工程や喫食に至るまでの過程で加熱を経る、中でも複数回の加熱を経る食品が特に好適であり、例えば、ハンバーグ及びハンバーグ様加工食品、ミートボール及びミートボール様加工食品、パテ及びパテ様加工食品、ハム及びハム様加工食品、ソーセージ及びソーセージ様加工食品、ギョーザ及びギョーザ様加工食品、並びに、シューマイ及びシューマイ様加工食品が好適である。したがって好適な一実施形態において、食肉又は食肉様加工食品は、ハンバーグ若しくはハンバーグ様加工食品、ミートボール若しくはミートボール様加工食品、パテもしくはパテ様加工食品、ハム若しくはハム様加工食品、ソーセージ若しくはソーセージ様加工食品、ギョーザ若しくはギョーザ様加工食品、又は、シューマイ若しくはシューマイ様加工食品である。
本発明の好ましい実施態様として、パテの製造方法を以下に示す。
植物由来のタンパク質原料に、パテの具体的仕様に応じて、動物油脂、他タンパク質原料、デンプン質素材、増粘剤、結着剤、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、乳化剤、調味料、香味料、着色料、栄養強化剤等の他の食品素材を添加してミキサーにて混合する。他の食品素材は、植物由来のタンパク質原料に一度に添加し混合してよく、又は、増粘剤や結着剤を含むつなぎ区分、調味料や香味料を含む調味料区分、他タンパク質原料を含む他タンパク区分などのように各区分に分けた上で、区分毎に添加し混合してもよい。そこに、予め調製しておいた、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を添加してミキサーにて混合する。なお、他の食品素材を区分毎に添加し混合する場合、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物は、全ての区分を混合した後に添加してもよく、一部の区分を混合した後に添加してもよい。一部の区分を混合した後に添加する場合、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物の添加後、さらに残りの区分を添加し混合すればよい。次いで、得られた混合物を成形し、蒸し煮、焼成等の加熱処理を行い、冷却する。
なお、植物由来のタンパク質原料に代えて/加えて食肉を配合してもよい。
[植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品の歩留まりを向上させる方法]
本発明は、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品の歩留まりを向上させる方法も提供する。
本発明の植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品の歩留まりを向上させる方法(以下、単に「本発明の歩留まり向上方法」ともいう。)は、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合することを特徴とする。
植物油脂やリパーゼ、植物油脂へのリパーゼの添加方法、得られた混合物を原料に配合するまでの好適時間等の条件、並びに、食肉又は食肉様加工食品の原料やその配合量比、食肉又は食肉様加工食品に関しては、上記の[食肉又は食肉様加工食品の製造方法]欄にて説明したとおりである。例えば、良好な歩留まりを実現する観点から、植物油脂にリパーゼを添加して5分間以上経過した後に、該混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合することが好適である。また、一際高い歩留まりを実現する観点から、植物油脂の構成脂肪酸の合計を100重量%としたとき、一価不飽和脂肪酸が30重量%以上であることが特に好適である。歩留まり向上との本発明の効果をより享受し得る観点から、食肉又は食肉様加工食品は、その製造工程や喫食に至るまでの過程で加熱を経る、中でも複数回の加熱を経る食品が特に好適であり、例えば、ハンバーグ及びハンバーグ様加工食品、ミートボール及びミートボール様加工食品、パテ及びパテ様加工食品が好適である。
本発明の歩留まり向上方法によれば、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品を製造するにあたって、加熱時の植物油脂の流出に伴う重量減少を抑制し、歩留まりを向上させることができる。リパーゼを添加することなく植物油脂をそのまま原料に配合する場合の歩留まりをY0(%)としたとき、本発明の歩留まり向上方法により達成される歩留まりY(%)は、好ましくはY0+0.5(%)以上、より好ましくはY0+1.0(%)以上又はY0+1.5(%)以上である。本発明の歩留まり向上方法によれば、加熱時の歩留まり低下が顕著となる傾向にある植物油脂を高含量にて含有する食肉又は食肉様加工食品を製造する場合であっても、上記のとおり%オーダーで歩留まりを向上させることができる。他原料に対する植物油脂の配合量比をはじめ、他の特徴は、上記の[食肉又は食肉様加工食品の製造方法]欄にて説明したとおりである。
先述のとおり、加熱時の植物油脂の流出を抑制することにより、パサつきの発生が減じられ、ジューシー感の向上した食肉又は食肉様加工食品を実現できる。したがって、本発明の歩留まり向上方法は、「植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品のジューシー感を向上させる方法」と読み替えてもよい。
[食肉又は食肉様加工食品]
本発明は、食肉又は食肉様加工食品も提供する。
本発明の食肉又は食肉様加工食品は、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を配合してなることを特徴とする。これにより本発明の食肉又は食肉様加工食品は、歩留まりが良好であり、ジューシー感等の品質に優れる。
植物油脂やリパーゼ、食肉又は食肉様加工食品の原料やその配合量比に関しては、上記の[食肉又は食肉様加工食品の製造方法]欄にて説明したとおりである。
本発明の効果をより享受し得る観点から、食肉又は食肉様加工食品は、その製造工程や喫食に至るまでの過程で加熱を経る、中でも複数回の加熱を経る食品が特に好適であり、例えば、ハンバーグ及びハンバーグ様加工食品、ミートボール及びミートボール様加工食品、パテ及びパテ様加工食品が好適である。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
[実施例1~7](植物油脂の種類に関する検討)
(1)植物油脂にリパーゼを添加した混合物の調製
植物油脂として、菜種油、オリーブ油、コーン油、大豆油、ごま油、コメ油、グレープシード油を準備した。ステンレスビーカーに各植物油脂を入れ、そこにリパーゼを添加した。リパーゼの添加量は、植物油脂1gあたり0.6Uとした。4℃で1分間混合し、混合物を得た。該混合物は、4℃で1時間静置した後、下記(2)の工程に供した。
(2)食肉様加工食品の製造
(a)水にカラメル色素を溶解し、そこに粒状エンドウ豆タンパク質と粉状エンドウ豆タンパク質を添加して、ホバートミキサーで3分間混合した(各成分の配合量は表1中「A」の植物由来タンパク区分に示す)。別途、熱湯にメチルセルロースを分散させ、氷水と混合し溶解させた(各成分の配合量は表1中「B」のつなぎ区分に示す。)。上記で得た植物由来タンパク区分とつなぎ区分を、ホバートミキサーで2分間混合し、そこに表1中「C」の調味料区分と「D」の他タンパク区分を添加し、ホバートミキサーで5分間混合した。
(b)上記(a)で得た食肉様加工食品の原料に、上記(1)で得た混合物を加え、ホバートミキサーで2分間混合した。表1に示すとおり、食肉様加工食品の原料「a」乃至「d」の合計75重量部に対し、上記(1)で得た混合物25重量部を配合した。
(c)上記(b)で得た混合物を約50g/個に成形した。得られた成形物の重量M1(g)を測定した。
(d)上記(c)で得た成形物を真空包装し、蒸し器で85℃30分間加熱した。包装から取り出し、蒸し後の成形物の重量M2(g)を測定した。
(e)蒸し後の成形物を、油を引いたホットプレートで180℃にて片面1分ずつ焼成した。焼成後の成形物の重量M3(g)を測定した。
(f)焼成後の成形物を、-30℃で急速凍結し、真空包装して、食肉様加工食品を製造した。
(g)電子レンジ600Wで2分間加熱した後、包装から取り出し、食肉様加工食品の重量M4(g)を測定した。
(3)歩留まりの評価
歩留まりは、測定した重量M1、M2及びM3を用いて、以下のとおり算出した。なお、各実施例につき3個の食肉様加工食品を製造し、歩留まりの算出にあたっては、それらの平均値を求めた。
・蒸し後歩留まり(%)=100×M2/M1
・焼成後歩留まり(%)=100×M3/M2
・製品歩留まり(%)=100×M3/M1
(4)品質の評価
上記で得た食肉様加工食品を電子レンジ600Wで2分間加熱した後、包装から取り出し、4名のパネラーにより品質(食感および風味)を評価した。下記評価基準に基づきスコア付けし、平均値を求めた。なお、下記評価基準において、「対照」とは、リパーゼ無添加の植物油脂を配合した態様であり、実施例1、2、3、4、5、6及び7の対照はそれぞれ比較例1、2、3、4、5、6及び7である。
<評価基準>
・食感(ジューシー感)
対照に比べて非常にある;5点
対照に比べてある;4点
対照と同等;3点
対照と比べてない;2点
対照と比べて非常にない;1点
・風味
対照に比べて非常によい;5点
対照に比べてよい;4点
対照と同等;3点
対照と比べて異風味がある;2点
対照と比べて非常に異風味がある;1点
[比較例1~7]
各植物油脂をそのまま使用した(リパーゼを添加せずに使用した)以外は、実施例1~7と同様にして、食肉様加工食品を製造し、歩留まりと品質の評価に供した。
なお、実施例1~7および比較例1~7において用いた原材料については、以下のとおりである(後述の実施例8~10及び比較例8についても同様)。
・各植物油脂は、一般的な食品用の製品を用いた。
・リパーゼは、市販の、微生物由来のトリアシルグリセリド リパーゼを用いた。
・粒状エンドウ豆タンパク質はRoquette社製NUTRALYS T65Mを、粉状エンドウ豆タンパク質はRoquette社製NUTRALYS S85Fを用いた。
・カラメル色素、食塩、乾燥卵白、グルテン粉及びカゼインナトリウムは、一般的な食品用の製品を用いた。
・香味料は、食品添加物として市販されている、ビーフフレーバー、オニオンパウダー、ガーリックパウダー、ブラックペッパーを混合して用いた。
植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を配合してなる実施例1~7の食肉様加工食品は、植物油脂をそのまま(リパーゼを添加することなく)配合した比較例1~7の食肉様加工食品に比し、蒸し後歩留まり及び焼成後歩留まりが共に向上し、製品歩留まりは%オーダーで向上することが確認された。加えて、実施例1~7の食肉様加工食品は、比較例1~7の食肉様加工食品に比しジューシー感に富む食感をもたらすと共に、比較例1~7とほぼ同等かより優れる風味をもたらすことも確認された。
とりわけ、実施例1、3、5及び6に関しては、製品歩留まりが1.5%超も向上することが確認されている。
[実施例8~10](リパーゼ添加量の検討1)
(1)植物油脂にリパーゼを添加した混合物の調製
植物油脂として、菜種油を準備した。ステンレスビーカーに菜種油を入れ、そこにリパーゼを添加した。リパーゼの添加量は、植物油脂1gあたり1.2U(実施例8)、2.4U(実施例9)、7.2U(実施例10)とした。4℃で1分間混合し、混合物を得た。該混合物は、4℃で1時間静置した後、下記(2)の工程に供した。
(2)食肉様加工食品の製造及び評価
各成分の配合量を表3に示す値に変更した以外は、実施例1~7と同様の手順で食肉様加工食品を製造し、実施例1~7と同様に歩留まりと品質を評価した。
[比較例8]
菜種油をそのまま使用した(リパーゼを添加せずに使用した)以外は、実施例8~10と同様にして、食肉様加工食品を製造し、歩留まりと品質の評価に供した。
植物油脂(菜種油)にリパーゼを添加して得た混合物を配合してなる実施例8、9及び10の食肉様加工食品は何れも、植物油脂をそのまま(リパーゼを添加することなく)配合した比較例8の食肉様加工食品に比し、焼成後歩留まりが1.5%超も向上することが確認された。また、実施例8、9及び10の対比により、植物油脂に予め添加するリパーゼの量は、植物油脂1gあたり、酵素活性を基準として、1.2Uにて十分な効果を発現することが把握される。
加えて、実施例8、9及び10の食肉様加工食品は、比較例8の食肉様加工食品に比しジューシー感に富む食感をもたらすと共に、比較例8とほぼ同等かより優れる風味をもたらすことも確認された。
[実施例11~16](植物油脂とリパーゼを混合する際の温度と時間の検討)
(1)植物油脂にリパーゼを添加した混合物の調製
植物油脂として、菜種油を準備した。ステンレスビーカーに菜種油を入れ、そこにリパーゼを添加した。リパーゼの添加量は、植物油脂1gあたり1.2Uとした。実施例11~13では、5℃で1分間混合して混合物を得、次いで5℃で5分間(実施例11)、30分間(実施例12)又は60分間(実施例13)静置した後、下記(2)の工程に供した。実施例14~16では、25℃で1分間混合して混合物を得た後、25℃で5分間(実施例14)、30分間(実施例15)又は60分間(実施例16)静置した後、下記(2)の工程に供した。
(2)食肉様加工食品の製造及び評価
各成分の配合量を表3に示す値に変更した以外は、実施例1~7と同様の手順で食肉様加工食品を製造し、実施例1~7と同様に歩留まりと品質を評価した。
[比較例9、10]
5℃の菜種油(比較例9)又は25℃の菜種油(比較例10)をそのまま使用した(リパーゼを添加せずに使用した)以外は、実施例11~13、14~16と同様にして、食肉様加工食品を製造し、歩留まりと品質の評価に供した。
[参考例1、2]
5℃の菜種油(参考例1)又は25℃の菜種油(参考例2)と、該菜種油1gあたり1.2Uのリパーゼとを、予め混合することなく同時に食肉様加工食品の原料に添加した以外は、実施例11~13、14~16と同様にして、食肉様加工食品を製造し、歩留まりと品質の評価に供した。
植物油脂(菜種油)にリパーゼを添加して得た混合物を配合してなる実施例11~16の食肉様加工食品は何れも、植物油脂をそのまま(リパーゼを添加することなく)配合した比較例9、10の食肉様加工食品や、植物油脂とリパーゼを予め混合することなく同時に食肉様加工食品の原料に添加した参考例1、2の食肉様加工食品に比し、焼成後歩留まりが向上することが確認された。また、実施例11~16の対比により、植物油脂とリパーゼを混合する際の温度は5℃にて、また、植物油脂とリパーゼを混合する際の時間は5分間にて、十分な効果を発現することが確認された。
加えて、実施例11~16の食肉様加工食品は、比較例9、10の食肉様加工食品に比しジューシー感に富む食感をもたらすと共に、より優れる風味をもたらすことも確認された。
[実施例17~22](リパーゼ添加量の検討2)
(1)植物油脂にリパーゼを添加した混合物の調製
植物油脂として、菜種油を準備した。ステンレスビーカーに菜種油を入れ、そこにリパーゼを添加した。リパーゼの添加量は、植物油脂1gあたり0.1U(実施例17)、0.2U(実施例18)、0.4U(実施例19)、0.6U(実施例20)、1.2U(実施例21)、3.6U(実施例22)とした。5℃で1分間混合して混合物を得、次いで5℃で60分間静置した後、下記(2)の工程に供した。
(2)食肉様加工食品の製造及び評価
各成分の配合量を表3に示す値に変更した以外は、実施例1~7と同様の手順で食肉様加工食品を製造し、実施例1~7と同様に歩留まりと品質を評価した。
[比較例11]
菜種油を5℃で60分間静置した後そのまま使用した(リパーゼを添加せずに使用した)以外は、実施例17~22と同様にして、食肉様加工食品を製造し、歩留まりと品質の評価に供した。
植物油脂(菜種油)にリパーゼを添加して得た混合物を配合してなる実施例17~22の食肉様加工食品は何れも、植物油脂をそのまま(リパーゼを添加することなく)配合した比較例11の食肉様加工食品に比し、ジューシー感に富む食感をもたらすと共に、より優れる風味をもたらすことが確認された。ジューシー感の向上した食肉様加工食品をもたらすにあたり、植物油脂に予め添加するリパーゼの量は、植物油脂1gあたり、酵素活性を基準として、0.1Uにて効果を発現することが把握される。特にリパーゼの量が0.5U以上であると、ジューシー感に富む食肉様加工食品をもたらすことができると共に、焼成後歩留まりを十分に向上させることができることも確認された。
[実施例23](乳化剤添加系との比較)
(1)植物油脂にリパーゼを添加した混合物の調製
植物油脂として、菜種油を準備した。ステンレスビーカーに菜種油を入れ、そこにリパーゼを添加した。リパーゼの添加量は、植物油脂1gあたり1.2Uとした。5℃で1分間混合して混合物を得、次いで5℃で60分間静置した後、下記(2)の工程に供した。
(2)食肉様加工食品の製造及び評価
各成分の配合量を表3に示す値に変更した以外は、実施例1~7と同様の手順で食肉様加工食品を製造し、実施例1~7と同様に歩留まりと品質を評価した。
[比較例12~14]
比較例12では、菜種油を5℃で60分間静置した後そのまま使用した(リパーゼや乳化剤を添加せずに使用した)。比較例13及び14では、乳化剤を植物油脂(菜種油)1gあたり28mg添加した。詳細には、比較例13ではレシチン(太陽化学社製 サンレシチン)、比較例14ではグリセリン脂肪エステル(太陽化学社製 サンソフト)を用い、5℃で1分間混合して混合物を得、次いで5℃で60分間静置した後に使用した。それ以外は、実施例23と同様にして、食肉様加工食品を製造し、歩留まりと品質の評価に供した。
植物油脂(菜種油)にリパーゼを添加して得た混合物を配合してなる実施例23の食肉様加工食品は、植物油脂をそのまま(リパーゼを添加することなく)配合した比較例12の食肉様加工食品や、リパーゼに代えて乳化剤を使用した比較例13、14の食肉様加工食品に比し、焼成後歩留まりを向上させることができると共に、ジューシー感に富む食感をもたらし、より優れる風味をもたらすことが確認された。

Claims (10)

  1. 植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、食肉又は食肉様加工食品の製造方法であって、
    食肉又は食肉様加工食品の原料の合計を100重量部としたとき、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を10重量部以上配合する、食肉又は食肉様加工食品の製造方法
  2. 植物油脂にリパーゼを添加して5分間以上経過した後に、混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、請求項1に記載の方法。
  3. 植物油脂が、菜種油、オリーブ油、コーン油、大豆油、ごま油、コメ油、グレープシード油、パーム油、ココナッツ油からなる群より選択される1種以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 植物油脂中の構成脂肪酸の合計を100重量%としたとき、一価不飽和脂肪酸が30重量%以上である、請求項1~の何れか1項に記載の方法。
  5. 食肉又は食肉様加工食品が、ハンバーグ若しくはハンバーグ様加工食品、ミートボール若しくはミートボール様加工食品、パテ若しくはパテ様加工食品、ハム若しくはハム様加工食品、ソーセージ若しくはソーセージ様加工食品、ギョーザ若しくはギョーザ様加工食品、又は、シューマイ若しくはシューマイ様加工食品である、請求項1~の何れか1項に記載の方法。
  6. 植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、植物油脂を含有する食肉又は食肉様加工食品の歩留まりを向上させる方法であって、
    食肉又は食肉様加工食品の原料の合計を100重量部としたとき、植物油脂にリパーゼを添加して得た混合物を10重量部以上配合する、方法
  7. 植物油脂にリパーゼを添加して5分間以上経過した後に、混合物を、食肉又は食肉様加工食品の原料に配合する、請求項に記載の方法。
  8. 植物油脂が、菜種油、オリーブ油、コーン油、大豆油、ごま油、コメ油、グレープシード油、パーム油、ココナッツ油からなる群より選択される1種以上である、請求項又はに記載の方法。
  9. 植物油脂中の構成脂肪酸の合計を100重量%としたとき、一価不飽和脂肪酸が30重量%以上である、請求項の何れか1項に記載の方法。
  10. 食肉又は食肉様加工食品が、ハンバーグ若しくはハンバーグ様加工食品、ミートボール若しくはミートボール様加工食品、パテ若しくはパテ様加工食品、ハム若しくはハム様加工食品、ソーセージ若しくはソーセージ様加工食品、ギョーザ若しくはギョーザ様加工食品、又は、シューマイ若しくはシューマイ様加工食品である、請求項の何れか1項に記載の方法。
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香川芳子 監修,七訂 食品成分表 2016 資料編,女子栄養大学出版部,2016年04月01日,pp. 308-309

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