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JP7744640B2 - クロメ水抽出物含有食品組成物、その製造方法及びその抽出方法 - Google Patents
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JP7744640B2 - クロメ水抽出物含有食品組成物、その製造方法及びその抽出方法 - Google Patents

クロメ水抽出物含有食品組成物、その製造方法及びその抽出方法

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Description

カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)は、レッソニア科カジメ属の褐藻の1種であり、日本近海では本州太平洋岸の中南部から九州、瀬戸内海、日本海岸にかけて分布しており、海外では、韓国の済州島等にて分布することが確認されている。成体での大きさは、通常20~50cmである。
形態が類似する種としては、カジメやアラメが知られているが、カジメは葉部にシワが入らない点、アラメは茎上部で二叉に分かれる点で、クロメと区別される。
クロメは、主に冬季に収穫される藻体が食用されており、大分県の佐賀関などの一地域においては特産品として、刻んだ生クロメのほか、調味料(醤油、ソース等)や加工食品に利用されている。クロメは、アミノ酸やミネラル分が豊富であり、健康効果も期待される。
しかしながら、日本全体でみると、他の海産物の収穫に付随して得られたクロメは廃棄されており、活用が充分なされている食材とは言い難い。このような状況に対して、クロメの食用としての価値の高さから養殖技術の開発が進められている(非特許文献1、2)。
西垣友和ら著、「若狭湾西部海域における褐藻クロメの分布特性および季節的消長」京都府農林水産技術センター海洋センター研究報告、第37号、2015、P.1-6 西垣友和ら著、「京都府蒲入地先における養殖クロメの生長と形態」京都府立海洋センター研究報告、第28号、2006、P.16-20 上野浩晶ら著、「新たに登場する抗肥満薬の動向と展望」日本内科学会雑誌、第103巻、第3号、2014、P.753-759
上述の通り、クロメは廃棄されることが多い海藻であり、食品等において未だ充分な活用はなされておらず、クロメの健康効果についても、詳細な検討や研究報告が殆ど無い。
そこで、本発明は、クロメの健康効果を明らかにし、食品等において利用可能な組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者等が鋭意検討した結果、クロメの水抽出物には、顕著なリパーゼ活性阻害を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げる組成物を提供する。
[1]
カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)の水抽出物を有効量含有する、リパーゼ活性阻害用組成物。
[2]
カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)の水抽出物を有効量含有する、脂質吸収抑制用、便の滑り向上用、又は整腸用組成物。
[3]
前記カジメ属クロメが、クロメの乾燥物である、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]
前記カジメ属クロメの抽出部位が、葉体、及び/又は、茎である、[1]~[3]のいずれか1に記載の組成物。
[5]
前記カジメ属クロメの生育期間が、1年~6年である、[1]~[4]のいずれか1に記載の組成物。
[6]
前記抽出物を得るための抽出温度が、50~80℃である、[1]~[5]のいずれか1に記載の組成物。
[7]
前記抽出物を得るための抽出時間が、1~5時間である、[1]~[6]のいずれか1に記載の組成物。
[8]
医薬品、医薬部外品、化粧品、又は、飲食品である、[1]~[7]のいずれか1に記載の組成物。
[9]
1日摂取量が、乾燥固形分換算にて、500mg以上である、[1]~[8]のいずれか1に記載の組成物。
また、本発明は、下記に掲げる製造方法を提供する。
[10]
以下の工程:
(1)カジメ属クロメを、50~80℃の熱水により、1~5時間抽出する工程を含む、カジメ属クロメの水抽出物又は加工品の製造方法。
[11]
脂質吸収抑制作用が高められてなるカジメ属クロメの水抽出物又は加工品である、[10]に記載の方法。
また、本発明は、下記に掲げるカジメ属クロメの加工品を提供する。
[12]
カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)の水抽出物を有効量含有し、
該抽出物を得るための抽出温度が、50~80℃であり、
該抽出物を得るための抽出時間が、1~5時間である、
カジメ属クロメの加工品。
本発明によれば、食品等において利用可能なクロメの水抽出物による、リパーゼ活性阻害用、脂質吸収抑制用、便の滑り向上用、又は整腸用の組成物を提供することが可能となる。
図1は、試験例2における、各温度・抽出時間から得られたクロメの水抽出物(被験試料)のリパーゼ活性阻害試験の結果を示すグラフである。
[リパーゼ活性阻害用組成物]
本発明において、リパーゼ活性阻害用組成物は、カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)の水抽出物を有効量含有する。
クロメは、レッソニア科カジメ属の褐藻の1種である。本発明において、適用可能なクロメの部位は、本発明の効果を奏する限りにおいて限定はされないが、例えば、葉体、茎(中芯)、及び、芽株からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられ、葉体、及び/又は、茎が好ましい。
クロメは、日本近海では本州太平洋岸の中南部から九州、瀬戸内海、日本海岸に広く分布しており、海外では、韓国の済州島等にて分布することが確認されている。一般に海藻は、海流の強さ、水温、海底の高さ等により、海藻の生育や栄養成分の量が異なってくる。クロメの産地は、本発明の効果を奏する限りにおいて限定はされないが、例えば、鳥取県産、大分県産、熊本県産、愛媛県産、愛知県産等が挙げられ、鳥取県産、大分県産、又は、熊本県産が好ましく、鳥取県産、又は、大分県産がより好ましく、鳥取県産が特に好ましい。ここで、各都道府県産というのは、県が管理する海域(港湾区域、漁港区域、一般海域)又は海岸(海岸保全区域、一般公共海岸区域)のいずれかで収穫できるものを言う。限定はされないが、本願発明の効果を顕著に奏する観点から、クロメの採取時期は、鳥取県産クロメの場合、例えば、2月~8月が好ましく、4月~6月がより好ましい。
クロメは多年草であるが、その生育期間は、本発明の効果を奏する限りにおいて限定されない。クロメの生育期間は、例えば、1年~6年が好ましく、1年~5年がより好ましく、1年~4年が更に好ましく、1年~3年が特に好ましく、1年~2年が最も好ましい。クロメの生育期間が1年目のものは、形態が笹の葉状であり、2年目以降は、茎の上部に羽状にのびた葉状部を有する点から、生育期間が1年目~2年目等のクロメを判別することが可能である。
クロメの水抽出物は、本発明の効果を奏する限り、常法により水を用いて抽出することで調製され、抽出液であってもよく、その乾燥物であってもよい。
限定はされないが、例えば、クロメを生の状態、乾燥物、又は、粉砕物を、水に浸漬させ、至適な温度条件、及び、時間条件により浸漬抽出することで、クロメの水抽出物を調製することが可能である。限定はされないが、後述の実施例(試験例6)では、クロメの乾燥物を用いることで、より高い本願発明の効果を奏することが確認されている。クロメの乾燥物を得る方法は、特に限定されず、公知の方法が利用でき、例えば、天日干しを行うことや、公知の乾燥機によりクロメの乾燥物を得ること等が挙げられる。天日干しを行う場合は、天候や季節、時間帯等によって条件は異なり、適宜調整され得るが、少なくとも6時間以上、12時間以上、24時間(1日)以上等、天日干しを行うことが挙げられる。乾燥機を用いる場合は、その乾燥条件は特に限定されないが、凍結乾燥、加熱乾燥等が挙げられる。加熱乾燥を行う場合の加熱温度は、例えば、30~50℃が好ましく、35~40℃がより好ましい。加熱乾燥を行う場合の加熱時間は、例えば、1~24時間が好ましく、1~10時間がより好ましく、1~5時間が更に好ましい。
別の実施形態においては、例えば、クロメを圧搾し、搾汁を得て、圧搾により分離された圧搾粕を水に浸漬させ、至適な温度条件、及び、時間条件により浸漬抽出し、搾汁と抽出物を得たうえで、それぞれを混合してクロメの水抽出物として用いてもよい。
上記浸漬抽出における温度条件は、本発明の効果を奏する限りにおいて限定はされないが、例えば、常温であってもよく、加熱してもよい。加熱により浸漬抽出を行う場合、抽出温度は、例えば、30~120℃が好ましく、40~110℃がより好ましく、50~90℃が更に好ましく、50~80℃が更により好ましく、60~80℃が更により好ましく、60~75℃が更により好ましく、65~75℃が更により好ましく、65~70℃(例えば約70℃)が最も好ましい。
上記浸漬抽出における時間条件は、本発明の効果を奏する限りにおいて限定はされないが、抽出時間は、例えば、10分~24時間が好ましく、30分~10時間がより好ましく、1時間~5時間(例えば1時間~3時間)が更に好ましく、2時間~4時間(例えば2.5時間~3.5時間、3時間)が特に好ましい。
[用途]
本発明のリパーゼ活性阻害用組成物は、生体内で脂質分解酵素(リパーゼ)の活性を阻害する効果を少なくとも有する。リパーゼ活性阻害効果は、後述の実施例に記載の方法により評価することが可能である。
本発明のリパーゼ活性阻害用組成物は、生体内で脂質分解酵素(リパーゼ)の活性を阻害する効果を発揮することにより、脂質吸収抑制用、内臓脂肪蓄積抑制用、肥満改善用等に用いられる他、整腸用、腸内細菌業改善用、腸内環境改善用等にも好適に用いることができる。
また、本発明は、脂質分解が抑制され、体外への脂質排出を促進できることから、便における脂質量を増加させ、排便を促す効果や排便時の便の滑りを向上させるためにも好適に用いることができる。このことは、リパーゼ活性阻害の作用機序を持つ医薬製剤がトリグリセリドの吸収抑制により抗肥満薬として用いられており、排便回数の増加、油性便の増加を伴うといった報告からも明らかである(非特許文献3)。
また、本発明は、脂質分解が抑制され、体外への脂質排出を促進できることから、脂性肌の改善にも好適に用いることができる。
本発明の組成物は、限定はされないが、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品、飼料、又は、ペットフードとして調製、加工することが可能である。
例えば、飲食品として調製する場合、脂質吸収抑制、内臓脂肪蓄積抑制、肥満改善、整腸、腸内細菌業改善、腸内環境改善、便の滑り向上等を機能性として表示した飲食品、すなわち、健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品等として用いることができる。
健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品は、具体的には、固形製剤(錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル錠など)や液剤(シロップ剤、懸濁剤)、流動食等の各種製剤形態として使用することができる。製剤形態の食品は、公知の医薬製剤と同様に製造することができ、有効成分と、食品として許容できる担体、例えば適当な賦形剤等とを混合した後、慣用の手段を用いて製造することができる。
例えば、錠剤であれば、粉末状の活性成分と製薬上許容される担体成分(賦形剤など)とを混合して圧縮成形することにより調製でき、キャンディー(飴)などの製菓錠剤は型に注入する方法で調製してもよい。錠剤は、糖衣コーティングやフィルムコーティングを施してもよい。さらに、錠剤は単層錠であってもよく、二層錠などの積層錠であってもよい。
顆粒剤などの粉粒剤は、種々の造粒法(押出造粒法、粉砕造粒法、乾式圧密造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、高速攪拌造粒法など)により調製してもよく、錠剤は、上記造粒法、打錠法(湿式打錠法、直接打錠法)などを適当に組み合わせて調製できる。
カプセル剤は、慣用の方法により、カプセル(軟質又は硬質カプセル)内に粉粒剤(粉剤、顆粒剤など)又は液剤等を充填することにより調製できる。
液剤は、各成分を担体成分である水性媒体(精製水、エタノール含有精製水など)に溶解又は分散させ、必要により濾過又は滅菌処理し、所定の容器に充填し、滅菌処理することにより調製できる。
軟カプセル剤は表面が滑らかで飲み込みやすく、使用者に好まれる。一般的な軟カプセル剤の製造方法として、平板式、ロータリー方式、シームレス方式が例示される。
ロータリー方式(打ち抜き法)の製造は、シート状カプセル皮膜が、流動する充填内容物を挟み込み、回転する円筒型の金型の穴に沿ってカプセル形状に形成する。一方で、シームレス方式(滴下法)の製造は、同心円の多重ノズルからカプセル皮膜組成物と内容物が同時に吐出され、継ぎ目の無いカプセル形状に形成される。
軟カプセル剤の皮膜の基剤は、特に限定はされないが、デンプン、プルラン、セルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、コハク化ゼラチン等を用いることができ、デンプン、ゼラチン、コハク化ゼラチンが好ましく、ゼラチン、コハク化ゼラチンが更に好ましい。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の固形製剤の好ましい剤形は、カプセル剤又は錠剤であり、軟質カプセル(軟カプセル剤、ソフトカプセル)であることがより好ましい。
また、スープ類、ジュース類、果汁飲料、牛乳、乳飲料、乳清飲料、乳酸菌飲料、茶飲料、アルコール飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、清涼飲料水、水飲料、ココア飲料、ゼリー状飲料、スポーツ飲料、ダイエット飲料等の液状飲料、プリン、ヨーグルトなどの半固形食品、麺類、菓子類、スプレッド類等として、本発明の組成物を製造することができる。
スープ類としては、例えば、味噌汁、クロメ汁、クロメ茶漬け等が挙げられる。限定はされないが、クロメの藻体(藻体の乾燥品であってもよい)を水に浸し、1~5時間、50~80℃の条件にて加熱処理することで、クロメ内の有用成分を抽出し、この抽出液を含んだスープ類の具材を製造することが可能となる。また、クロメの藻体の乾燥品、又はその粉砕物を出汁として用い、お吸い物を始め、種々の和食等に利用することも可能である。クロメの藻体の乾燥品、又はその粉砕物を、醤油等へ添加し調味料として利用することも可能である。上記の条件の範囲内にて加熱処理を行うことにより、リパーゼ活性阻害効果に有効な成分を溶出させ、当該成分を効率的に摂取することが期待される。
また、煮物類として、本発明の組成物を製造することができる。煮物類とは、クロメを原料(材料)の一つとして、水、出汁等と共に煮て、しお、酒、砂糖、みりん等の調味料で味付けを行った料理をいう。煮物類としては、例えば、クロメ佃煮、クロメ煮込み、クロメ含め煮、クロメ煮しめ、クロメ煮付け、煮浸し等が挙げられる。これらの煮物類の中でも、長時間の加熱処理を行うことの観点から、クロメの佃煮、煮込み、含め煮、又は、煮しめが好ましく、クロメの佃煮、又は、煮しめがより好ましい。
限定はされないが、クロメの藻体(藻体の乾燥品であってもよい)を水に浸し、出汁や調味料と共に、1~5時間、50~80℃などの前述の条件にて加熱処理することで、クロメ内の有用成分を抽出し、この抽出液を含んだ煮物類を製造することが可能となる。上記の条件の範囲内にて加熱処理を行うことにより、リパーゼ活性阻害効果に有効な成分を溶出させ、当該成分を効率的に摂取することが期待される。なお、煮しめや煮込み等において、水気(汁気)が無くなるまで煮詰めることがあるが、上記の条件の範囲内にて加熱処理を行うことで、一旦、リパーゼ活性阻害効果に有効な成分を溶出させ、煮詰める段階や、煮詰め後の温度を下げる段階にて、上記有効成分がクロメや他の具材に染み込むことで、当該成分の効率的な摂取に繋がる。
上記のスープ類や煮物類は、惣菜用や中食用の加工品として販売することも可能である。従来のクロメを用いた加工品では、調理時間短縮や生産効率の観点から、強火(90~100℃等)、短時間(10分以内等)の条件にて調理がされてきた。本発明においては、従来の調理条件では用いられない弱火、長時間の条件にて調理する程、顕著にリパーゼ活性阻害効果、健康機能を高めたカジメ属クロメの加工品を調理することが可能となる。
本発明の組成物を飲食品として調製する場合は、種々の食品添加物を配合してもよい。食品添加物としては、例えば、酸化防止剤、色素、香料、調味料、甘味料、酸味料、pH調整剤、品質安定剤、保存剤等が挙げられる。
本発明の組成物を健康食品、機能性表示食品、病者用食品及び特定保健用食品として調製する場合は、他の脂肪吸収抑制成分を配合してもよい。例えば、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、EPA、DHA、没食子酸、ターミナリアベリリカ由来没食子酸、セイタカミロバラン果実由来没食子酸、グロビン由来バリン-バリン-チロシン-プロリン、アフリカマンゴノキ由来エラグ酸、イヌリン、ギムネマ酸等が挙げられるがこれに限定されない。
本発明の組成物を医薬品、医薬部外品として調製する場合は、有効成分となり得る、クロメの水抽出物と、好ましくは薬学的に許容される担体を含む製剤として調製することができる。薬学的に許容される担体とは、一般的に、前記有効成分とは反応しない、不活性の、無毒の、固体若しくは液体の、増量剤、希釈剤又はカプセル化材料等をいい、例えば、水、エタノール、ポリオール類、適切なそれらの混合物、植物性油等の溶媒又は分散媒体等が挙げられる。
医薬品、医薬部外品は、経口により、非経口により、例えば、口腔内に、消化管内に、又は鼻腔内に投与される。経口投与製剤としては、固形製剤(錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、チュアブル錠など)や、液剤(シロップ剤、懸濁剤、吸入剤)等が挙げられる。非経口投与製剤としては、点滴剤、点鼻剤及び注射剤等が挙げられる。
医薬品、医薬部外品は、さらに医薬分野において慣用されている添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤には、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、抗酸化剤、着色剤、矯味剤等があり、必要に応じて適宜使用できる。長時間作用できるように徐放化するため、既知の遅延剤等でコーティングすることもできる。医薬品、医薬部外品は、さらに必要に応じてその他の添加剤や薬剤、例えば制酸剤、胃粘膜保護剤を加えてもよい。
医薬品、医薬部外品は、口腔用組成物、内服組成物などの形態で適用することができる。また医薬品、医薬部外品を治療的に使用してもよいし、非治療的に使用してもよい。
また、医薬品、医薬部外品、化粧品等の形態で用いる場合、皮膚における微生物が産生するリパーゼ等により皮脂類から脂肪酸が生成し、生じた脂肪酸が好中球を活性化し、活性化された好中球が活性酸素を放出して、肌荒れの一因となり得る。クロメの水抽出物を外用剤等の剤形で配合することにより、ニキビ等の肌荒れに対して効果的なリパーゼ活性阻害用組成物を提供し得る。
クロメの水抽出物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、摂取又は投与経路、摂取又は投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。クロメの水抽出物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、乾燥固形分換算にて、500mg/日以上が好ましく、800mg/日以上がより好ましく、1000mg/日以上が更に好ましく、1500mg/日以上が特に好ましく、2000mg/日以上が最も好ましい。
クロメの水抽出物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、45g/日以下が好ましく、40g/日以下がより好ましく、35g/日以下が更に好ましく、30g/日以下が特に好ましく、25g/日以下が最も好ましい。
クロメの水抽出物の成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、例えば、500mg~45g/日が好ましく、800mg~40g/日がより好ましく、1000mg~35g/日が更に好ましく、1500mg~30g/日が特に好ましく、2000mg~25g/日が最も好ましい。
クロメの水抽出物の含有量は、上記の摂取量又は投与量となる量とすることができる。なお、成人1日あたりの経口による摂取量又は投与量は、剤形に合わせて、例えばカプセル剤であれば、1~6カプセル、1~4カプセル、1~3カプセル、又は1~2カプセルに分けて服用してもよい。
本発明の組成物は、1日1回~数回に分け、通常、1日1~6回、1日1~3回、1日1~2回又は任意の期間及び間隔で摂取若しくは投与され得る。
[カジメ属クロメの水抽出物又は加工品の製造方法]
本発明において、カジメ属クロメの水抽出物又は加工品の製造方法は、(1)カジメ属クロメを、50~80℃の熱水により、1~5時間抽出する工程を含む。
上記工程としては、リパーゼ活性阻害用組成物に記載の温度条件、時間条件等の記載に準じて、適宜設定することが可能である。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例において示すエキスの量は、特に明示がない限り、乾燥固形分換算量である。
[試験例1:クロメの水抽出物の抽出条件の検討]
カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)の藻体(鳥取県産、収穫時期:4月、部位:葉体及び茎、生育年数:2~5年)から5gずつの小片を作成し、様々な温度と、1時間又は3時間の抽出時間とを組み合わせて被験試料としての水抽出物を調製し、抽出物量及び粘性を指標とした抽出条件を検討した。抽出物量に関する結果を表1に示す。
表1に示す通り、クロメの水抽出物において、温度依存的、抽出時間依存的な結果が得られ、高温になるにつれて抽出物の量は増加し、また、各抽出温度でも抽出時間が長い方が得られる抽出物の量は多くなることが確認された。
また、粘性に関する結果を表2に示す。粘性の評価は、30mLの各被験試料をフィルターろ過(メッシュサイズ:3μm、ADVANTEC社製)した場合に、ろ過完了まで15分以上時間が必要であり、目詰まりするたびにフィルターを交換して3枚以上使用したものを「粘性あり:×」と評価した。
表2に示す通り、50℃(1時間処理、及び、3時間処理)、60℃(1時間処理、及び、3時間処理)、70℃(1時間処理)のクロメの水抽出物には粘性があり、フィルター濾過による操作には時間を要した。他方、70℃、3時間の条件より高温側条件でのクロメの水抽出物では、フィルター濾過時の明らかな粘性が認められず、比較的簡便に調製することができた。抽出物の調製や原料としての利便性の観点から、70℃(3時間処理)より高温側の条件が望ましいことが確認された。
[試験例2:抽出条件によるリパーゼ活性阻害効果の検討]
各抽出温度・抽出時間から得られたクロメの水抽出物(被験試料)を用いて、リパーゼ活性阻害試験を行った。リパーゼ活性阻害試験には、4-メチルウンベリフェロンのオレイン酸エステル(4-MUO)を基質として用いた。0.05mlの4-MUO溶液(10-4mM)に、0.1mlの被験試料を加え混合した後に、3U/mLの膵リパーゼ溶液0.05mlを添加し、20分間、37度で反応させた後に、0.1mlの塩酸を加え、反応を停止させた。反応溶液とクエン酸溶液を混合させた溶液における、反応によって生じた4-メチルウンベリフェロンの蛍光(励起波長320nm、蛍光波長450nm)を蛍光マイクロプレートリーダーにて測定した。活性値は被験試料無添加の値を100%として各被験試料の活性値(IC50)を算出した。活性値が低いほどリパーゼ阻害作用が強いことを示している。結果を図1に示す。図1中、破線は1時間の抽出時間での結果を示し、実線は3時間の抽出時間での結果を示している。
図1に示す通り、70℃、3時間で調製したクロメの水抽出物が最も顕著なリパーゼ活性阻害を示した。また興味深いことに、70℃から低温側、高温側に温度条件をシフトさせるにつれて、リパーゼ活性阻害の程度が弱くなることがわかった。
低温側の粘性溶液と高温側の溶液では溶液中に存在する成分は異なることが予想されるが、結果として似た結果が得られた。このことから、70℃における抽出条件は各クロメ成分の割合がバランスよく抽出されていることが示唆された。調製方法の簡便さとリパーゼ活性阻害評価の結果から、70℃、3時間抽出が最適であると判断した。また、50℃~80℃、1~3時間抽出においても、他の抽出温度と比較して高い阻害効果が見られたことから、クロメの水抽出物の大量調製を行う際の抽出条件は、この範囲内で管理することが適切であることが確認された。
[試験例3:オルリスタットとのリパーゼ活性阻害効果の比較による、クロメの水抽出物の1日投与量の検討]
オルリスタットと、クロメの水抽出物とを用い、試験例2と同様の方法によりリパーゼ活性阻害試験を行った。オルリスタットは、オルリスタットは、リパーゼ阻害により脂質吸収抑制作用を有することが知られている成分である。
クロメの水抽出物としては、70℃、3時間で調製したクロメの水抽出物を用いた。リパーゼ活性阻害試験(IC50)の両成分における比較結果を表3に示す。
表3に示す通り、IC50値を比較すると、オルリスタットがクロメの水抽出物の268.3倍であった。
オルリスタットとの有効量については、「J.Zhiら、Retrospective population-based analysis of the dose-response (fecal fat excretion) relationship of orlistat in normal and obese volunteers Clin Pharmacol Ther. 1994 Jul;56(1):82-5.」のTable IIにおいて、ED50の95%信頼区間が、30.2~166.0(mg/day)であることが示されている。
上記論文に記載のオルリスタットの有効量と、表3の結果とに基づき、クロメの水抽出物の有効量(ED50)を換算すると、表4に記載の通り、8g/day~45g/dayであることが確認された。この数値範囲は、医薬品であるオルリスタットと同程度の効果を期待する場合であるので、食品として用いる場合には、1日摂取量は、500mg以上であれば適切な健康効果が期待される。
[試験例4 採取時期によるリパーゼ活性の検討]
鳥取県の海岸域で2020年の4月末に採取したクロメの藻体を水で軽く洗い、37℃の条件で乾燥機(メーカー:ETTAS(アズワン) 型番:OFW-450B)にて1日乾燥した。乾燥後、0.5g秤量し、フードプロセッサーで細かく粉砕した。粉砕後のクロメに35mL蒸留水を加え、恒温槽で70℃、3時間静置して抽出を行った。抽出後、ガラスフィルターを用いて水流アスピレーターで吸引ろ過を行い、抽出液から海藻残渣を除去した。その後、抽出液は3μm、0.45μmフィルターを用い、吸引ろ過した。フィルターろ過した抽出液を液体窒素で凍らせた後、3日間凍結乾燥した。その後、試験例2と同様の方法で、各被験試料の活性値(IC50)を算出した。
表5に示す通り、4月末に採取されたクロメを原料に用いた場合、顕著なリパーゼ活性阻害効果が示された。なお、結果は示していないが、3月までに採取されたクロメを原料に用いた場合もリパーゼ活性阻害効果が確認されたが、4月末に採取されたクロメを原料に用いた場合は、より高い効果であることが認められた。
[試験例5 生育期間によるリパーゼ活性の検討]
鳥取県の海岸域で採取したクロメのうち、生育期間が1年~2年程度であるものの藻体を、水で軽く洗い、その後水気を切り、フードプロセッサーで細かく粉砕した。粉砕後のクロメ5gに35mL蒸留水を加え、恒温槽で70℃、3時間静置して抽出を行った。抽出後、ガラスフィルターを用いて水流アスピレーターで吸引ろ過を行い、抽出液から海藻残渣を除去した。その後、抽出液は3μm、0.45μmフィルターを用い、吸引ろ過した。ろ過後の抽出液を液体窒素で凍らせた後、3日間凍結乾燥した。その後、試験例2と同様の方法で、各被験試料の活性値(IC50)を算出した。
表6に示す通り、生育期間が1年~2年程度であるクロメを原料に用いた場合、より高いリパーゼ活性阻害効果が示された。
[試験例6 採取後の乾燥によるリパーゼ活性の検討]
鳥取県の海岸域で採取したクロメを、水で軽く洗い、その後、屋外にて天日干しを行い、1日乾燥させた。乾燥後、クロメの乾燥物を0.5g秤量し、フードプロセッサーで細かく粉砕した。粉砕後のクロメに蒸留水を35mL加え、恒温槽で70℃、3時間静置して抽出を行った。水抽出後、ガラスフィルターを用いて水流アスピレーターで吸引ろ過を行い、抽出液から海藻残渣を除去した。その後、抽出液は3μm、0.45μmフィルターを用い、吸引ろ過を行った。ろ過後の抽出液を液体窒素で凍らせた後、3日間凍結乾燥した。その後、試験例2と同様の方法で、各被験試料の活性値(IC50)を算出した。
表7に示す通り、抽出工程を行う前にクロメを乾燥させ、クロメの乾燥物を原料に用いた場合、より高いリパーゼ活性阻害効果が示された。
[試験例7 エタノール抽出物とのリパーゼ活性の比較検討]
水抽出物の調製としては、鳥取県の海岸域で採取したクロメの藻体を水で軽く洗い、37℃の条件で乾燥機乾燥機(メーカー:ETTAS(アズワン) 型番:OFW-450B)にて1日乾燥した。乾燥後、クロメの乾燥物を0.5g秤量し、フードプロセッサーで粉砕した。粉砕後のクロメに蒸留水を35mL加え、恒温槽で70℃、3時間静置して抽出を行った。抽出後、ガラスフィルターを用いて水流アスピレーターで吸引ろ過を行い、抽出液から海藻残渣を除去した。その後、3μm、0.45μmフィルターの順に抽出液をろ過した。フィルターろ過した抽出液を液体窒素で凍らせた後、3日間凍結乾燥することによって凍結乾燥粉末を調製した。その後、試験例2と同様の方法で、被験試料の活性値(IC50)を算出した。
エタノール抽出物の調製としては、鳥取県の海岸域で採取したクロメの藻体を水で軽く洗って水分をとり、約5g秤量した。その後、-30℃にて凍結し、凍結乾燥機(メーカー:EYELA 型番:FDU-2110、他の凍結乾燥処理でも同様)を用いて3日間乾燥した。乾燥後、クロメの乾燥物を0.5g秤量し、フードプロセッサーで粉砕した。粉砕後のクロメにエタノールを35mL加え、恒温槽で70℃、3時間静置して抽出を行った。なお、エタノール抽出後に凍結乾燥処理によって得られる被験試料は水抽出の条件より少ないため、(0.5g/35mL)×4セット調製した。抽出後、ガラスフィルターを用いて水流アスピレーターで吸引ろ過を行い、抽出液から海藻残渣を取り除いた。このとき、4セット分を全て合わせて抽出液全量は120mLとなった。その後、抽出液はロータリーエバポレーターを用いて濃縮・有機溶媒除去を行った。6倍濃縮されたところで(120mL→20mL)、計50-60mLの蒸留水を数回に分けて加え、エタノール臭が認められなくなるまで濃縮・有機溶媒除去を行った。最後に抽出液を、液体窒素で凍らせた後、3日間凍結乾燥し、37.8mgの凍結乾燥粉末を得た。その後、試験例2と同様の方法で、被験試料の活性値(IC50)を算出した。
なお、エタノールによる抽出収率が水よりもかなり低いため、水又はエタノールによる抽出前の乾燥させたクロメの重量を基準としてIC50を算出した。
表8に示す通り、クロメを原料とする場合、抽出収率及びリパーゼ活性阻害効果の観点から、水抽出物が好ましいことが認められた。

Claims (8)

  1. カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)水抽出物を含有する食品組成物であって、
    該カジメ属クロメが、加熱温度が30~50℃で加熱時間が1~24時間である加熱乾燥物、および/または天日乾燥時間が少なくとも6時間以上である天日干し乾燥物であり、
    抽出物を得るための抽出温度が、70~80℃であり、
    抽出物を得るための抽出時間が、2~4時間である、食品組成物。
  2. 前記カジメ属クロメの抽出部位が、葉体、及び/又は、茎である、請求項1に記載の食品組成物。
  3. 前記カジメ属クロメの生育期間が、1年~6年である、請求項1又は2に記載の食品組成物。
  4. 前記食品組成物が用いられる食品が煮物類である、請求項1に記載の食品組成物
  5. 以下の工程:
    (1)加熱温度が30~50℃で加熱時間が1~24時間である加熱乾燥物および/または天日乾燥時間が少なくとも6時間以上である天日干し乾燥物であるカジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)を、70~80℃の熱水により、2~4時間抽出する工程を含む、
    カジメ属クロメの水抽出物を含有する食品組成物の製造方法。
  6. 前記食品組成物が用いられる食品が煮物類である、
    請求項5に記載の食品組成物の製造方法
  7. カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)の水抽出物の抽出方法であって、
    以下の工程:
    (1)カジメ属クロメ(学名:Ecklonia kurome)を、加熱温度が30~50℃で加熱時間が1~24時間で加熱乾燥する、および/または天日乾燥時間が少なくとも6時間以上である天日干しすることによってカジメ属クロメの乾燥物を得る工程、及び
    (2)該カジメ属クロメの乾燥物を、70~80℃の熱水により、2~4時間抽出する工程を含む、抽出方法。
  8. 前記水抽出が煮物類に用いられる、請求項7に記載の抽出方法
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