以下では、図1を参照して、第一実施形態に係る除菌システム20が設けられるホテル1の構成について説明する。
ホテル1は、利用者(客室10を利用する者)が宿泊するための宿泊施設である。ホテル1は、複数階建ての建物により構成される。ホテル1には、複数の客室10が設けられる。なお、図1(a)では、ホテル1の2階の客室10を記載し、他の階の客室10の記載を省略している。
客室10は、寝室11、通路12及びユニットバス部13を具備する。寝室11には、ベッド11a及びテーブル11b等が設けられる。ユニットバス部13は、寝室11及び通路12に対して区画される。ユニットバス部13には、浴室換気扇13aが設けられる。浴室換気扇13aは、24時間動作して、客室10内の空気をホテル1外へ排出している。当該客室10に廊下等を介して外気が導入されることで、客室10は1日中換気される。浴室換気扇13aは、風量を段階的に調整可能に構成される。より詳細には、浴室換気扇13aは、風量の少ない段階から順番に、「24時間換気」、「弱」及び「強」に調整可能に構成される。浴室換気扇13aは、通常(24時間換気を行う場合に)風量が「24時間換気」の状態で動作する。また、浴室換気扇13aは、利用者等の操作により風量が「弱」又は「強」の状態で動作することができる。なお、客室10は、必ずしも浴室換気扇13aで24時間換気を行う必要はなく、例えば24時間換気専用の換気扇で24時間換気を行ってもよい。
上述の如く構成される客室10は、利用者が入れ替わり使用する空間となっている。当該客室10では、利用者がチェックアウトしてから次の利用者がチェックインするまでの間(以下、「入れ替え期間」と称する)に、清掃員により入れ替え準備作業が行われる。入れ替え準備作業は、次の利用者が客室10を利用可能となるように客室10の環境を整える作業を指す。入れ替え準備作業には、客室10の清掃作業が含まれる。
除菌システム20は、入れ替え期間にホテル1の客室10を除菌するためのものである。より詳細には、除菌システム20は、入れ替え準備作業が完了してから入れ替え期間が経過するまでに客室10を除菌する。図1(b)に示すように、除菌システム20は、オゾン発生装置21及び制御部22を具備する。
オゾン発生装置21は、気体状の除菌成分を発生させるためのものである。本明細書における除菌成分は、細菌を死滅させたりウイルスを不活化可能なものを指す。また、気体状とは、空気の流れに沿って移動可能な状態を指す。オゾン発生装置21は、除菌成分としてオゾンを発生させることができる。オゾン発生装置21は、寝室11の天井に設置され、発生させたオゾンを客室10へ放出することができる。オゾン発生装置21は、各客室10にそれぞれ設けられる。
制御部22は、各客室10の除菌を行うための機器(第一実施形態では、浴室換気扇13a及びオゾン発生装置21)を制御するためのものである。制御部22は、CPU等の演算処理装置、並びにRAMやROM等の記憶装置等を具備する。また、制御部22は、除菌システム20を動作させるための種々のプログラム等を前記記憶装置に格納している。制御部22は、清掃員および、または管理者が所有する端末(不図示)と通信可能に構成され、当該端末から客室10のチェックアウトの時間(予定時間)を取得することができる。制御部22は、各客室10の浴室換気扇13a及びオゾン発生装置21へ信号を送信可能に構成される。
制御部22は、浴室換気扇13aに信号を送信することで、浴室換気扇13aの動作(運転)の開始及び停止の切り替えと、風量の調整と、を行うことができる。また、制御部22は、オゾン発生装置21に信号を送信することで、オゾン発生装置21の動作(運転)の開始及び停止の切り替えと、オゾン発生量の調整と、を行うことができる。制御部22は、オゾン発生量を調整することで、客室10のオゾン濃度を任意に調整することができる。制御部22は、オゾン発生装置21を動作させて客室10内にオゾンを放出させることで、客室10内の病原体を不活化し(細菌を殺したりウイルスを分解したりして病原体の感染力を失わせ)、客室10を除菌することができる。
以下では、除菌システム20(制御部22)による客室10の除菌の概要について説明する。
除菌システム20による客室10の除菌は、清掃員からの指示を契機に行われる。より詳細には、清掃員および、または管理者は、入れ替え準備作業を完了させると、端末を操作して制御部22へ客室10のチェックインの時間を入力する。制御部22は、入力されたチェックインの時間までに客室10の除菌が完了するように、オゾン発生装置21等を制御する。より詳細には、制御部22は、客室10の除菌が完了するまでの間に、CT値(Concentration-Time Value)、及び客室10のオゾン濃度が所定の条件を満たすようにオゾン発生装置21等を制御する。
具体的には、CT値は、オゾン濃度(ppm)と暴露時間(min)との積である。なお、暴露時間とは、オゾンに対象物がさらされている時間を指す。CT値を求めることで、病原体をどの程度不活化できたのかを把握することができる。例えば、CT値が60である場合に所定の病原体を90%以上不活化できたと判断することができる。このようなCT値と病原体を不活化できる割合との関係は、実験等によって病原体ごとに適宜求められている。
制御部22は、不活化すべき病原体についての前記関係に基づいて、CT値の目標値(例えば、60)を予め設定している。制御部22は、客室10の除菌が完了するまでにCT値が目標値に達するように(所定の条件を満たすように)、オゾン発生装置21等を制御する。
また、オゾンは、濃度によっては人体に有害となる場合がある。このような人体への影響等を考慮し、オゾン濃度について作業環境基準(維持されることが望ましい基準)が定められている。具体的には、作業環境基準として0.1ppmが定められている。制御部22は、客室10の除菌を行う場合、当該客室10のオゾン濃度を作業環境基準以下まで(所定の条件を満たすように)低下させる。具体的には、制御部22は、オゾン濃度を0.05ppm以下まで低下させる。以下では、オゾンによる除菌を完了する際のオゾン濃度(0.05ppm)を「完了時オゾン濃度」と称する。
このように、制御部22は、客室10の除菌を行う場合に、CT値を目標値に到達させ、かつ客室10のオゾン濃度を完了時オゾン濃度以下まで低下させる。これにより、制御部22は、病原体を不活化させると共に、利用者が客室10に入室可能な状態にする。図2に示すように、制御部22は、客室10の除菌を行うための処理として、複数の運転パターンP10を実行可能に構成される。
以下では、図2から図4を参照し、運転パターンP10について説明する。
運転パターンP10は、浴室換気扇13a及びオゾン発生装置21を予め決められたとおりに制御する処理を指す。運転パターンP10には、急速パターンP11、急速排気パターンP12、標準パターンP13及び標準排気パターンP14が含まれる。なお、図3及び図4は、11時40分に急速パターンP11等の実行を開始した場合における、客室10のオゾン濃度と時間との関係をシミュレーションした結果である。
図2及び図3(a)に示す急速パターンP11は、比較的(後述する標準パターンP13等よりも)短時間でオゾンによる除菌を完了させるパターンである。急速パターンP11では、客室10のオゾン濃度を比較的高い濃度まで上昇させることで、短時間でCT値を目標値へ到達させる。具体的には、急速パターンP11を実行する場合、制御部22は、オゾン発生装置21の動作を開始させ(図3(a)では、11時40分)、客室10へオゾンを放出させてオゾン濃度を上昇させる。制御部22は、オゾンの放出を所定時間継続し、所定の濃度まで客室10のオゾン濃度を上昇させる。具体的には、制御部22は、オゾン濃度が作業環境基準(0.1ppm)を大きく超えないように、約1ppmまで上昇させる。以下では、客室10へオゾンを放出させる時間を「不活化時間」と称する。また、急速パターンP11及び後述する急速排気パターンP12で不活化時間中に上昇させるオゾン濃度(目標とする濃度)を「第一目標濃度」と称する。
制御部22は、客室10のオゾン濃度を第一目標濃度まで上昇させるとオゾン発生装置21を停止させ(図3(a)では、12時50分)、客室10のオゾン濃度を低下させる。制御部22は、客室10のオゾン濃度を完了時オゾン濃度以下まで低下させると(図3(a)では、14時10分)、急速パターンP11を終了する。以下では、オゾン発生装置21を停止させてからオゾン濃度を完了時オゾン濃度以下まで低下させる時間を「待機時間」と称する。また、不活化時間及び待機時間の合計(運転パターンP10を開始してから終了するまでの時間)を「トータル時間」と称する。
急速パターンP11では、待機時間中にCT値が目標値に達し、かつ客室10のオゾン濃度が完了時オゾン濃度以下となるように、不活化時間及び待機時間が事前に設定されている。具体的には、以下の数式1を用いて急速パターンP11のシミュレーションを行うことで、不活化時間等が設定されている。
なお、上記数式1のCは、客室10のオゾン濃度[ppm]である。C0は、初期オゾン濃度[ppm]である。Rは、気積[m3]である。nは、換気回数[回/hour]である。tは、タイムステップ[hour]である。Mは、オゾン発生量[mg/hour]である。Tは、半減期[hour]である。
上記数式1を用いて急速パターンP11をシミュレーションする場合には、気積Rに客室10の容積を代入する。また、換気回数nに客室10の24時間換気における換気回数を代入する。また、オゾン発生量Mにオゾン発生装置21で発生させるオゾンの量を代入する。また、半減期Tに客室10におけるオゾンの半減期の値を代入する。
上記数式1では、客室10における24時間換気の影響を考慮して、オゾン濃度を算出している。具体的には、上述の如く、客室10では、浴室換気扇13aで1日中換気が行われている。このため、客室10にオゾンを放出させた場合、一部のオゾンが浴室換気扇13aに吸引されて客室10外へ排出されると共に客室10内へ外気が導入され、客室10のオゾン濃度が低下することとなる。上記数式1では、外気のオゾン濃度を0ppmと仮定し、当該24時間換気の影響(タイムステップtで定めた期間中におけるオゾン濃度の低下度合い)を、「C0*R/R+nRt」で算出している。
また、上記数式1では、「M/R*2.14」によりオゾン濃度の理論値(オゾン発生装置21の動作により上昇するオゾン濃度の理論値)を求めている。当該オゾン濃度の理論値と24時間換気の影響(C0*R/R+nRt)とを合算することで、浴室換気扇13aを動作させながらオゾンを放出させた場合のオゾン濃度を求めている。当該合算結果には、オゾンが自然減少する(不活性化する)ことの影響が反映されていない。
そこで、上記数式1では、「(1/2)t/T」で上記合算結果を乗算することにより、24時間換気及び自然減少の影響を考慮した客室10のオゾン濃度を求めている。
図3(a)は、上記数式1を用いて急速パターンP11のシミュレーションを行って、急速パターンP11の不活化時間及び待機時間を求めた結果を示すものである。図3(a)では、11時40分にオゾン発生装置21の動作を開始させ、12時50分に客室10のオゾン濃度が第一目標濃度(約1ppm)まで上昇している(「不活化時間」参照)。また、図3(a)では、このタイミングでオゾン発生装置21の動作を停止させ、14時10分にオゾン濃度が完了時オゾン濃度(0.05ppm)以下まで低下している(「待機時間」参照)。図3(a)では、このような11時40分から14時10分までの範囲におけるグラフの面積(CT値)が目標値を超えている。
図2及び図3(a)に示すように、急速パターンP11では、上述のようなシミュレーション結果に基づいて、不活化時間(図3(a)では11時40分~12時50分)が「70分」に設定される。また、待機時間(図3(a)では12時50分~14時10分)が「80分」に設定される。こうして急速パターンP11のトータル時間は「150分」となる。
図2及び図3(b)に示す急速排気パターンP12は、急速パターンP11よりも短時間でオゾンによる除菌を行うパターンである。急速排気パターンP12は、待機時間中に浴室換気扇13aを「24時間換気」よりも多い風量(「強」)で動作させる点が急速パターンP11とは異なっている。
図3(b)は、上記数式1を用いて急速排気パターンP12のシミュレーションを行って、急速排気パターンP12の不活化時間及び待機時間を求めた結果を示すものである。急速排気パターンP12では、待機時間中に風量が「強」の浴室換気扇13aにオゾンが吸引されて客室10外への排出が促され、急速パターンP11よりも短時間でオゾン濃度が完了時オゾン濃度以下となる。このため、図2及び図3に示すように、急速排気パターンP12の待機時間は、急速パターンP11よりも短い「40分」に設定される。急速排気パターンP12の不活化時間は、急速パターンP11と同じ「70分」に設定される。こうして急速排気パターンP12のトータル時間は「110分」となる。なお、上記数式1で急速排気パターンP12をシミュレーションする場合、待機時間中のオゾン濃度を算出する際に、換気回数nに浴室換気扇13aの風量が「強」である場合の換気回数を代入する。
図2及び図4(a)に示す標準パターンP13は、急速パターンP11及び急速排気パターンP12よりも低いオゾン濃度で除菌を行うパターンである。標準パターンP13を行う場合、制御部22は、客室10にオゾンを放出させて客室10のオゾン濃度を第一目標濃度(急速パターンP11等で上昇させる濃度)よりも低い濃度まで上昇させる。そして、制御部22は、オゾンの発生量を適宜調整し、当該オゾン濃度を所定時間維持する(図4(a)に示す不活化時間参照)。
制御部22は、オゾン濃度を所定時間維持した後でオゾン発生装置21の動作を停止させ、客室10のオゾン濃度を完了時オゾン濃度以下にする(図4(a)に示す待機時間参照)。標準パターンP13では、不活化時間中にオゾン濃度を維持することで、CT値が目標値に達するようにしている。当該標準パターンP13によると、人体への影響が急速パターンP11よりも小さいオゾン濃度で客室10の除菌を行うことができる。以下では、標準パターンP13及び後述する標準排気パターンP14で不活化時間中に維持するオゾン濃度(目標とする濃度)を「第二目標濃度」と称する。
第二目標濃度は、作業環境基準(0.05ppm)及び第一目標濃度(約1ppm)に基づいて設定される。具体的には、作業環境基準及び第一目標濃度の中間程度の0.5ppmに設定される。
図4(a)は、上記数式1を用いて標準パターンP13のシミュレーションを行って、標準パターンP13の不活化時間及び待機時間を求めた結果を示すものである。標準パターンP13では、客室10のオゾン濃度が第一目標濃度よりも低い第二目標濃度で維持される。このため、図2及び図4(a)に示すように、標準パターンP13の不活化時間は、急速パターンP11及び急速排気パターンP12よりも長い「130分」に設定される。また、待機時間は、急速パターンP11及び急速排気パターンP12よりも短い「50分」に設定される。こうして標準パターンP13のトータル時間は「180分」となる。なお、上記数式1で標準パターンP13をシミュレーションする場合、オゾン濃度を維持するタイミングで、オゾン発生量Mに、第二目標濃度を維持するのに必要な値を適宜代入する。
図2及び図4(b)に示す標準排気パターンP14は、標準パターンP13よりも短時間でオゾンによる除菌を行うパターンである。標準排気パターンP14は、待機時間中に浴室換気扇13aを「24時間換気」よりも多い風量(「強」)で動作させる点が標準パターンP13とは異なっている。
図4(b)は、上記数式1を用いて標準排気パターンP14のシミュレーションを行って、標準排気パターンP14の不活化時間及び待機時間を求めた結果を示すものである。標準排気パターンP14では、待機時間中の浴室換気扇13aの風量が多くなる。このため、図2及び図4に示すように、標準排気パターンP14の待機時間は、標準パターンP13よりも短い「30分」に設定される。また、不活化時間は、標準パターンP13と同じ「130分」に設定される。こうして標準排気パターンP14のトータル時間は「160分」となる。なお、上記数式1で標準排気パターンP14をシミュレーションする場合、待機時間中のオゾン濃度を算出する際に、換気回数nに浴室換気扇13aの風量が「強」である場合の換気回数を代入する。
制御部22は、上述の如く構成される運転パターンP10に関して、優先順位を予め設定している。優先順位は、運転パターンP10の実行の優先度合いを示す指標である。優先順位は、上位のもの(高いもの)ほど優先的に実行される。制御部22は、オゾンによる人体への影響及びエネルギー消費量に基づいて優先順位を設定している。また、制御部22は、人体への影響及びエネルギー消費量のうち、人体への影響を優先的に考慮して優先順位を設定している。
具体的には、標準パターンP13及び標準排気パターンP14は、急速パターンP11及び急速排気パターンP12よりも低い第二目標濃度で除菌するため、万が一客室10へ人が入ったとしてもオゾンによる人体への影響を小さくすることができる。また、標準パターンP13は、浴室換気扇13aの風量が標準排気パターンP14よりも少ないため、標準排気パターンP14よりもエネルギー消費量を少なくなる。制御部22は、このような運転パターンP10の中で人体への影響が小さく、かつエネルギー消費量が少ない標準パターンP13の優先順位に「1」を設定する。また、制御部22は、人体への影響が小さい標準排気パターンP14の優先順位に「2」を設定する。
また、制御部22は、急速パターンP11及び急速排気パターンP12のうち、浴室換気扇13aの風量(エネルギー消費量)が少ない急速パターンP11の優先順位に「3」を設定する。また、制御部22は、残りの急速排気パターンP12の優先順位に「4」を設定する。
以下では、除菌システム20の動作について説明する。
除菌システム20は、入れ替え準備作業(清掃作業)を終えた清掃員および、または管理者からのチェックインの時間の入力を契機に動作する。制御部22は、チェックインの時間が入力されると、当該入力結果及び現在の時間に基づいてチェックインまでの残り時間(入れ替え期間が終了するまでの残り期間)を算出する。そして、制御部22は、残り時間及び優先順位に基づいて、図2に示す運転パターンP10の中から実行する一の運転パターンを決定する。
例えば、残り時間が「160分」であった場合、制御部22は、当該残り時間中に除菌を完了可能であると共に優先順位が最も高い運転パターンを実行する。具体的には、トータル時間が160分以下となる運転パターンP10の中で優先順位が最も高い標準排気パターンP14を実行する。
また、例えば、残り時間が「180分」以上であった場合、制御部22は、優先順位が最上位の標準パターンP13を実行する。
なお、仮に残り時間中に実行可能な運転パターンP10がない場合(残り時間が最速で除菌可能な急速排気パターンP12のトータル時間よりも短い場合)、制御部22は、作業環境基準以下のオゾン濃度で常時オゾン発生装置21を動作させる。
また、仮に浴室換気扇13aの仕様等によって浴室換気扇13aの動作を制御できない(急速排気パターンP12及び標準排気パターンP14を実行できない)場合、制御部22は、残り時間及び優先順位に基づいて、標準パターンP13及び急速パターンP11の中から実行する運転パターンを決定する。例えば、残り時間が「180分」以上であった場合、制御部22は、標準パターンP13を実行する。また、残り時間が「150分」以上「180分」未満であった場合、制御部22は、急速パターンP11を実行する。なお、残り時間が「150分」未満であった場合、作業環境基準以下のオゾン濃度で常時オゾン発生装置21を動作させる。
このように、除菌システム20では、チェックインの時間を制御部22へ入力すれば、当該チェックインの時間までに除菌が完了するように、オゾン発生装置21を動作させることができる。これにより、チェックアウト及びチェックインの時間が客室10や日によって異なる客室10の除菌を、簡単に(シンプルな操作で)行うことができる。これによって、客室10の除菌を簡単に行うことができる。また、オゾンにより客室10の消臭も行うことができる。
また、制御部22は、優先順位に応じた一の運転パターンを実行することで、オゾンによる人体への影響及びエネルギー消費量に応じた適切な運転パターンで客室10を除菌することができる。
また、制御部22は、上記数式1を用いたシミュレーションにより、CT値が目標値に達し、かつ客室10のオゾン濃度が完了時オゾン濃度以下となるような不活化時間及び待機時間を求めている。これにより、不活化時間及び待機時間を簡単に(実験せずに)得ることができる。
以上の如く、第一実施形態に係る除菌システム20は、ホテル1の客室10(建物において利用者が入れ替わり使用する空間)の入れ替え期間に当該客室10の除菌を行う除菌システム20であって、前記客室10に気体状の除菌成分(オゾン)を放出可能なオゾン発生装置21(除菌装置)を含む、当該客室10の除菌を行うための除菌手段(オゾン発生装置21及び浴室換気扇13a)と、前記入れ替え期間が終了するまでの残り期間に前記客室10の除菌が完了するように、かつ、所定の基準(人体への影響及びエネルギー消費量)に基づく優先順位に従って、予め設定された前記除菌手段の複数の運転パターンP10のうち一の運転パターンを決定する制御部22(制御手段)と、を具備するものである。
このように構成することにより、所定の基準に応じて客室10を適切に除菌することができる。また、客室10の除菌を簡単に行うことができる。
また、決定した前記運転パターンには、前記オゾン発生装置21の運転により前記除菌成分が前記客室10内に放出される第一の期間(不活化時間)と、前記オゾン発生装置21の運転の停止により、前記第一の期間に放出された前記除菌成分が前記客室10から排出又は不活性化するまでの第二の期間(待機時間)と、が前記残り期間に含まれるように、前記オゾン発生装置21の運転のタイミングが設定されているものである。
このように構成することにより、除菌成分で病原体を不活化させると共に残り期間中に客室10における除菌成分の濃度を低下させ、オゾン発生装置21の運転の最適化を図ることができる。
また、複数の前記運転パターンP10には、前記第一の期間において、前記除菌成分による前記客室10の目標成分濃度が所定の環境基準(作業環境基準)に基づく第一の濃度(第二目標濃度)に設定された第一の運転パターン(標準パターンP13及び標準排気パターンP14)と、前記目標成分濃度が前記第一の濃度よりも高い第二の濃度(第一目標濃度)に設定された第二の運転パターン(急速パターンP11及び急速排気パターンP12)と、が含まれ、前記第一の運転パターンは、前記第二の運転パターンよりも前記優先順位が高く設定されているものである(図2)。
このように構成することにより、客室10における除菌成分の濃度が低い状態で除菌を行う第一の運転パターンを優先的に実行し、客室10の除菌と、除菌成分が比較的高い成分濃度となるのを抑制することとの両立を図ることができる。
なお、第一実施形態に係るホテル1は、本発明に係る建物の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る客室10は、本発明に係る利用者が入れ替わり使用する空間の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係るオゾン発生装置21は、本発明に係る除菌装置の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係るオゾン発生装置21及び浴室換気扇13aは、本発明に係る除菌手段の実施の一形態である。
また、第一実施形態に係る制御部22は、本発明に係る制御手段の実施の一形態である。
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、除菌システム20は、ホテル1に適用されるものとしたが、これに限定されるものではなく、旅館等のホテル1以外の宿泊施設に適用されてもよい。また、除菌システム20は、宿泊施設以外の他の建物に適用されてもよい。また、除菌システム20は、利用者が入れ替わり使用する空間の除菌を行うものであればよく、客室10以外の空間(例えば、会議室や宴会場等)を除菌するものであってもよい。
また、客室10の除菌をオゾンにより行うものとしたが、除菌成分は、病原体を不活化可能なものであれば、特に限定されるものではない。除菌成分は、例えば、イオンや次亜塩素酸等であってもよい。なお、除菌成分は、除菌作用が高いもの、例えば、第一実施形態のようなオゾン等であることが望ましい。これによれば、客室10の除菌を短時間で行うことができる。
また、オゾン発生装置21は、客室10に常時設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、除菌作業を行う際に持ち運び式のオゾン発生装置を客室10に設置するものであってもよい。
また、オゾン発生装置21が設置される場所は、寝室11に限定されるものではなく、例えば通路12やユニットバス部13に設置されていてもよい。
また、運転パターンP10の数は、特に限定されるものではなく、客室10の容積等に応じて適宜の数の運転パターンP10が設定されていてもよい。
また、運転パターンP10における不活化時間及び待機時間の値は、特に限定されるものではなく、例えば、客室10の容積やオゾン発生装置21の仕様等によって適宜変更してもよい。
また、運転パターンP10では、待機時間中にCT値を目標値に到達させたが、CT値を目標値に到達させるタイミングは、トータル時間における任意のタイミングとすることができる。例えば、不活化時間が終了するタイミングでCT値を目標値に到達させてもよい。
また、不活化時間及び待機時間は、前記数式1によるシミュレーション結果に基づいて設定されたが、これに限定されるものではなく、実験の結果等に基づいて設定されていてもよい。
また、制御部22は、オゾンによる人体への影響をエネルギー消費量よりも優先的に考慮して優先順位を設定したが、優先順位をどのように設定するのかは特に限定されるものではない。例えば、浴室換気扇13aの風量を「強」に変更しない急速パターンP11及び標準パターンP13が、浴室換気扇13aの風量を「強」に変更する急速排気パターンP12及び標準排気パターンP14よりも上位となるように、優先順位を設定してもよい。
このように、前記除菌手段には、前記客室10に放出された前記除菌成分(オゾン)の排出を促す浴室換気扇13a(換気扇)が含まれ、複数の前記運転パターンP10には、前記第一の期間及び前記第二の期間の少なくとも一方(第一実施形態では、第二の期間)において、前記浴室換気扇13aを第一の風量(「強」)で運転させる第三の運転パターン(急速排気パターンP12及び標準排気パターンP14)と、前記浴室換気扇13aを前記第一の風量よりも少ない第二の風量(「24時間換気」)で運転させる第四の運転パターン(急速パターンP11及び標準パターンP13)と、が含まれ、前記第四の運転パターンは、前記第三の運転パターンよりも前記優先順位が高く設定されているものである。
このように構成することにより、エネルギー消費量が少ない第二の運転パターンを優先的に実行し、客室10の除菌と、省エネ効果との両立を図ることができる。
また、制御部22は、チェックインの時間が入力されることで運転パターンを決定したが、これに限定されるものではなく、他の情報の入力を契機に運転パターンを決定してもよい。例えば、制御部22は、清掃員および、または管理者の端末から清掃作業の終了を通知する情報が入力されたことを契機に運転パターンを決定してもよい。この場合、制御部22は、ホテル1に設けられたサーバ等からチェックインの時間を取得し、当該取得結果に基づいて運転パターンを決定することができる。このような構成により、清掃員および、または管理者が客室10のチェックインの時間を確認する手間を省くことができ、客室10の除菌をより簡単な操作で行うことができる。
次に、図5から図10を参照し、第二実施形態に係る除菌システム120について説明する。
第二実施形態に係る除菌システム120は、作業予定S(図10参照)を作成する点と、2度除菌パターンP25(図7参照)を実行可能な点とで第一実施形態に係る除菌システム20と大きく相違する。なお、作業予定Sは、入れ替え期間中に客室10で行う作業(入れ替え準備作業及び除菌作業)の予定を客室10ごとに示す情報である。以下では、当該相違点について説明する。
まず、作業予定Sの作成に関する構成について説明する。図5に示す第二実施形態に係る除菌システム120の制御部122は、ホテル1の管理システム130と信号を送受信可能に構成される。
管理システム130は、ホテル1の情報を管理するものである。管理システム130は、例えば、所定のサーバに構築される。管理システム130には、ホテル1のフロントに設けられた端末等から種々の情報が入力される。例えば、各客室10のチェックイン及びチェックアウトの時間や利用者に関する情報(例えば、客室10に宿泊予定の利用者の数や年齢や住所等)や清掃作業を行う清掃員の勤務予定時間等が入力される。
管理システム130は、チェックインの時間等の入力結果に基づいて各客室10の入れ替え期間に関する情報を作成することができる。入れ替え期間に関する情報は、入れ替え期間を客室10ごとに判断可能な情報を指す。図8は、当該情報の一例を示すものである。図8に示す時間情報には、利用者が客室10を利用中である(チェックアウト前である)か否か、次の利用者が客室10を利用予定(チェックイン予定)であるか否かと、時間帯と、客室10の識別情報(図8では部屋番号)と、を互いに関連付けた時間情報が含まれる。
制御部122は、上述の如く構成される管理システム130から、作業予定Sを作成するために必要な情報を受信することができる。具体的には、制御部122は、図8に示す時間情報、利用者に関する情報(利用者の数や年齢や住所等)及び清掃員の勤務予定時間を受信することができる。制御部122は、勤務予定時間の受信結果に基づいて、同一の時間帯に清掃作業を実行可能な最大の客室数(以下「最大清掃数」と称する)を算出することができる。また、制御部122は、利用者に関する情報の受信結果に基づいて、各客室10で感染症に感染する可能性(感染リスク)を評価することができる。また、制御部122は、後述するように、図8に示す時間情報に清掃時間(入れ替え準備作業を行う時間帯)、除菌時間(オゾンで客室10を除菌する時間帯)及び実行する運転パターンP20を割り当てることで図10に示す作業予定Sを作成することができる。また、制御部122は、作成した作業予定Sを所定の表示装置に表示させることで、作業予定Sをホテル1の関係者に提示することができる。
次に、2度除菌パターンP25について説明する。図6に示すように、第二実施形態の運転パターンP20には、第一実施形態に係る運転パターンP10(急速パターンP11等)に加えて、2度除菌パターンP25が含まれる。
図6及び図7に示す2度除菌パターンP25は、清掃作業の前後で客室10の除菌を行う(合計2回行う)パターンである。なお、図7は、上記数式1を用いて2度除菌パターンP25のシミュレーションを行った結果を示すものである。制御部122は、2度除菌パターンP25を実行する場合に、急速排気パターンP12(図3(b)参照)を用いて客室10を2回除菌する。より詳細には、制御部122は、1回目の除菌(急速排気パターンP12)を行い(図7では、11時00分~12時50分)、所定の時間が経過するまで待機する(図7では、12時50分~13時10分)。そして、制御部122は、2回目の除菌を行う(図5では、13時10分~15時)。このように、2度除菌パターンP25には、2つの不活化時間及び2つの待機時間が含まれる(2回繰り返される)こととなる。
2度除菌パターンP25では、待機中(1回目の除菌と2回目の除菌との間)、客室10のオゾン濃度が完了時オゾン濃度以下となる。このため、2度除菌パターンP25では、待機中に客室10の清掃作業を行うことができる(図7に示す「清掃時間」参照)。制御部122は、待機する時間の長さを任意に設定することができる。こうして2度除菌パターンP25のトータル時間は、2つの不活化時間及び2つの待機時間に清掃作業(待機する時間)を合算した時間となる。
制御部122は、2度除菌パターンP25を含む運転パターンP20に関して、清掃員に対する感染症への感染リスク、オゾンによる人体への影響及びエネルギー消費量に基づいて優先順位を設定している。また、制御部122は、感染リスク、人体への影響及びエネルギー消費量のうち、感染リスクを最も優先的に考慮して優先順位を設定している。
具体的には、2度除菌パターンP25は、清掃作業の前後で客室10の除菌がそれぞれ行われる。このため、2度除菌パターンP25は、清掃作業後に除菌を行う急速パターンP11、急速排気パターンP12、標準パターンP13及び標準排気パターンP14よりも清掃員の感染リスクを低減させることができる。このように、2度除菌パターンP25は、運転パターンP20の中で感染リスクを最も低減可能なパターンとなっている。制御部122は、当該2度除菌パターンP25の優先順位に最上位の「1」を設定する。
また、制御部122は、残りの急速パターンP11、急速排気パターンP12、標準パターンP13及び標準排気パターンP14について、第一実施形態と同様に、人体への影響及びエネルギー消費量に基づいて優先順位を設定する。具体的には、制御部122は、標準パターンP13の優先順位に「2」を設定する。また、制御部122は、標準排気パターンP14の優先順位に「3」を設定する。また、制御部122は、急速パターンP11の優先順位に「4」を設定する。また、制御部122は、急速排気パターンP12の優先順位に「5」を設定する。
以下では、制御部122による作業予定Sの作成処理について説明する。
作業予定Sの作成処理は、事前に(利用者がチェックアウトする前に)行われる。制御部122は、作成処理を開始すると、管理システム130から作業予定Sの作成に必要な情報(図8に示す時間情報、利用者に関する情報及び清掃員の勤務予定時間)を受信する。制御部122は、最大清掃数を時間帯ごとに算出する。また、制御部122は、図8に示す時間情報に基づいて、入れ替え期間(チェックアウトからチェックインまでの時間)を客室10ごとに算出する。
そして、制御部122は、算出した入れ替え期間内に清掃作業が完了するように各客室10に清掃時間を割り当てる。この際制御部122は、客室10の除菌を考慮して清掃時間を割り当てる。その後、制御部122は、優先順位が上位の運転パターンを割り当てると共に、当該運転パターンに応じた除菌時間を割り当てる。以下、清掃時間、除菌時間及び運転パターンの割り当てについて説明する。
以下では、清掃時間の割り当てについて説明する。なお、以下では、清掃員の負担等を考慮して、例外を除いて2時間の清掃時間を割り当てるものとする。また、例外的に2時間よりも短い1時間の清掃時間(清掃員に過度に負担をかけず、かつ清掃作業を予定通りに完了可能な時間)を割り当てるものとする。
まず、清掃時間を割り当てる流れについて説明する。制御部122は、客室10の入れ替え期間に応じて清掃時間を暫定的に割り当てる。そして制御部122は、入れ替え期間内に清掃が完了するように、最大清掃数に基づいて清掃時間を調整する。こうして制御部122は、清掃時間の割り当てを完了する。以下、清掃作業を割り当てる流れを具体的に説明する。
制御部122は、清掃時間を暫定的に割り当てる場合に、客室10の入れ替え期間が6時間以上であるか否かを判定する。制御部122は、客室10の入れ替え期間が6時間以上である場合に、優先順位が最上位の2度除菌パターンP25で客室10を除菌できるように清掃時間を暫定的に割り当てる。具体的には、優先順位が最上位の2度除菌パターンP25では、1回の除菌に110分の時間を要する。このため、図8に示す時間情報に2時間の清掃時間を割り当てる場合、制御部122は、入れ替え期間が6時間以上の客室10に対してチェックアウトの時間から2時間後に清掃時間を割り当てる(図9に示す201号室参照)。これにより、清掃時間の前後に2時間の空き時間を確保して、優先順位が最上位の2度除菌パターンP25で客室10を除菌できるように、清掃時間を割り当てることができる。
一方、制御部122は、客室10の入れ替え期間が6時間未満である場合に、優先順位が2位以下の標準パターンP13等で客室10を除菌できるように清掃時間を暫定的に割り当てる。具体的には、入れ替え期間が6時間未満である場合、2時間の清掃時間を割り当てると当該清掃時間の前後に2時間の空き時間を確保できないため、2度除菌パターンP25を実行不要となる。このため、制御部122は、客室10の入れ替え期間が6時間未満である場合に、チェックアウトの直後に2時間の掃除時間を割り当てる。こうして制御部122は、清掃時間の終了からチェックインの時間までの時間を極力長くして、優先順位が上位の運転パターン(標準パターンP13等)で客室10を除菌できるように清掃時間を割り当てる。
なお、入れ替え期間が3時間の客室10に2時間の清掃時間を割り当てた場合には、清掃時間後の空き時間が1時間となり、運転パターンP20の中でトータル時間が最も短い急速排気パターンP12(110分)を割り当て不能となり、ひいては運転パターンを割り当て不能となってしまう。そこで、制御部122は、入れ替え期間が3時間の客室10に例外として1時間の清掃時間(清掃時間の下限値)を割り当てて、清掃時間後の空き時間を2時間確保する。こうして制御部122は、入れ替え期間が3時間の客室10でも運転パターンを割り当て可能となるように、清掃時間を暫定的に割り当てる。なお、入れ替え期間が2時間以下である場合、1時間の清掃時間を割り当てても運転パターンを割り当て不能となる。このため、制御部122は、入れ替え期間が2時間以下である場合に入れ替え期間の全てに(最大で2時間の)清掃時間を割り当てる。また、この場合、制御部122は、作業環境基準以下のオゾン濃度で常時オゾン発生装置21を動作させる。
制御部122は、このようにして暫定的に清掃時間を割り当てた後で、当該清掃時間を調整する。具体的には、制御部122は、清掃時間を割り当てた客室10の数と最大清掃数とを時間帯ごとに比較し、当該客室10の数が最大清掃数を超えた場合に清掃時間を調整する。この際、制御部122は、所定の基準に基づいて、最大清掃数を超えて清掃時間が割り当てられた客室10の中から清掃時間を調整する一部の客室10を決定する。そして制御部122は、決定した客室10の清掃時間が最大清清掃数を超えた時間帯と重複しないように清掃時間を調整する。
例えば、制御部122は、客室10の数が最大清掃数を超えた場合に、客室10における清掃員の感染リスクを評価し、当該評価結果(所定の基準)に基づいて2度除菌パターンP25を実行可能な客室10の中で感染リスクが低い客室10の清掃時間をずらす。
具体的には、チェックアウトした利用者数が少ない客室10では、利用者数が多い客室10よりもウイルスが持ち込まれた確率(感染リスク)が低くなる。また、感染症が拡大していない地域からの利用者がチェックアウトした客室10では、感染症が拡大している地域からの利用者がチェックアウトした客室10よりも、ウイルスが持ち込まれた確率が低くなる。制御部122は、利用者に関する情報から上述のような感染リスクを評価し、当該感染リスクが低く、かつ2度除菌パターンP25を実行可能な(入れ替え期間が6時間以上の)客室10の清掃時間をずらす。こうして制御部122は、図9に示すように、感染リスクが高い客室10で2度除菌パターンP25を実行可能な状態を維持すると共に、客室10の数が最大清掃数を超えないように(入れ替え期間内に清掃作業が完了するように)清掃時間を調整し、清掃時間の割り当てを完了する。
次に、除菌時間及び運転パターンの割り当てについて説明する。制御部122は、清掃時間の割り当てを完了すると、入れ替え期間のうち、当該清掃時間以外の時間(空き時間)で実行可能であると共に、優先順位が最も上位の運転パターンを実行可能となるように、各客室10に除菌時間及び運転パターンを割り当てる。具体的には、制御部122は、除菌時間の前後に2時間以上の空き時間がある場合、優先順位が最上位の2度除菌パターンP25を割り当てると共に清掃時間の前後に2時間の除菌時間を割り当てる。一方、制御部122は、清掃時間の前後に2時間以上の空き時間がない場合、清掃時間後の空き時間に応じて優先順位が2位以下の運転パターンを割り当てると共に、当該運転パターンのトータル時間に応じた除菌時間を割り当てる。
制御部122は、このようにして清掃時間及び除菌時間等を割り当てて、図10に示す作業予定Sを作成する。当該作業予定Sは、所定の表示装置に表示される。
このように、制御部122は、チェックアウトよりも前の段階で清掃時間、除菌時間及び運転パターンを設定する(割り当てる)ことで、入れ替え期間中に各客室10の清掃及び除菌を完了可能な情報(作業予定S)を提示することができる。これにより、各客室10の清掃及び除菌を適切に行うことができる。
また、割り当てた除菌時間に応じて最適な運転パターンP20(除菌時間中に除菌が完了し、かつ優先順位が最も高い一の運転パターン)で客室10を除菌することができる。
以上の如く、第二実施形態の複数の前記運転パターンP20には、所定の期間をあけて前記第一の期間(不活化時間)及び前記第二の期間(待機時間)を2回繰り返す第七の運転パターン(2度除菌パターンP25)が含まれ、前記第七の運転パターンは、その他の運転パターン(急速パターンP11、急速排気パターンP12、標準パターンP13及び標準排気パターンP14)よりも前記優先順位が高く設定されているものである(図6)。
このように構成することにより、第七の運転パターン(2度除菌パターンP25)を優先的に実行し、除菌後の客室10で清掃員に入れ替え準備作業(清掃作業)を行わせ易くすることができる。
また、前記空間は、ホテル1(宿泊施設)の各客室10であり、前記制御部122は、少なくとも前記優先順位に関する情報及び前記各客室10の前記入れ替え期間に関する情報(図8に示す時間情報)を含む、所定の割り当て情報に基づいて、前記各客室10に複数の前記運転パターンP20のうち一の運転パターンを割り当てるものである。
このように構成することにより、各客室10に、それぞれの入れ替え期間に合うように、一の運転パターンを適宜割り当てることができる。
また、前記割り当て情報には、前記入れ替え期間に行われる作業者(清掃員)による入れ替え準備作業を同一時間帯に実行可能な客室数に関する情報(最大清掃数)が含まれるものである。
このように構成することにより、作業者に入れ替え準備作業を考慮して、各客室10に一の運転パターンP20を割り当てることができる。
なお、第二実施形態に係るホテル1は、本発明に係る宿泊施設の実施の一形態である。
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、制御部122は、清掃時間等を割り当ててから除菌時間及び運転パターンを割り当てたが、清掃時間等を割り当てる順番は特に限定されるものではない。
また、清掃時間及び除菌時間を割り当てる機器は、制御部122であったが、これに限定されるものではなく、制御部122以外の機器(例えば、管理システム130等)であってもよい。
次に、図11を参照し、第三実施形態に係る除菌システム220について説明する。なお、図11(a)に示す矢印は、オゾンの流れを模式的に示すものである。
図11(a)に示すように、ユニットバス部13は、寝室11及び通路12に対して区画されている。このため、寝室11のオゾン発生装置21からオゾンを放出させても、ユニットバス部13にオゾンが十分にいきわたらずに、オゾン濃度にムラが生じる可能性がある。
第三実施形態に係る除菌システム220は、不活化時間(オゾン発生装置21を動作させる時間)に浴室換気扇13aを24時間換気よりも多い風量で動作させる浴室除菌パターンP36を実行させてオゾン濃度のムラを抑制する点で、第一実施形態に係る除菌システム20と大きく相違する。以下では、当該相違点について説明する。
まず、浴室換気扇13aについて説明する。上述の如く、浴室換気扇13aは、風量を段階的に(「24時間換気」、「弱」及び「強」に)調整可能に構成される。浴室換気扇13aは、制御部222からの信号に基づいて風量を変更することができる。
次に、図11(b)に示す浴室除菌パターンP36について説明する。なお、図11(b)は、後述する数式2を用いて浴室除菌パターンP36をシミュレーションした結果である。
浴室除菌パターンP36は、ユニットバス部13におけるCT値が目標値に達するように、浴室換気扇13a等を制御するものである。制御部222は、浴室除菌パターンP36を実行する場合(図11(b)では、11時40分)、オゾン発生装置21を動作させると共に浴室換気扇13aを「24時間換気」よりも風量が多い「弱」で動作させ、寝室11へ放出させたオゾンをユニットバス部13へ引き込む(図11(a)に破線で示す矢印参照)。これによって制御部222は、ユニットバス部13のオゾン濃度を上昇させる(図11(b)では、13時20分)。制御部222は、オゾンの放出及び引き込みを所定時間継続し、所定の濃度(約0.7ppm)までユニットバス部13のオゾン濃度を上昇させる(図11(b)に示す「不活化時間」参照)。これによって制御部222は、ユニットバス部13における濃度のムラを抑制し、ユニットバス部13へオゾンをいきわたらせる。
制御部222は、ユニットバス部13のオゾン濃度を所定の濃度まで上昇させると、オゾン発生装置21の動作を停止させる。一方、制御部222は、浴室換気扇13aの風量「24時間換気」に戻さず、継続して「弱」で動作させる。こうして、制御部222は、不活化時間及び中和期間にわたって浴室換気扇13aを「弱」で動作させ続け、ユニットバス部13へオゾンを引き込み続ける。制御部222は、寝室11及びユニットバス部13のオゾン濃度を完了時オゾン濃度以下まで低下させると(図11(b)では、14時30分)、浴室除菌パターンP36を終了する。
浴室除菌パターンP36では、ユニットバス部13におけるCT値を目標値に達し、かつ寝室11及びユニットバス部13のオゾン濃度が完了時オゾン濃度以下となるように、不活化時間及び待機時間が事前に設定されている。具体的には、以下の数式2を用いて浴室除菌パターンP36のシミュレーションを行うことで、不活化時間等が設定されている。
なお、上記数式2のC´2は、ユニットバス部13のオゾン濃度[ppm]である。C2は、ユニットバス部13の初期のオゾン濃度[ppm]である。R2は、ユニットバス部13の気積[m3]である。C1は、寝室11のオゾン濃度[ppm]である。R1は、寝室11の気積[m3]である。その他の変数(換気回数n、タイムステップt及び半減期T)は、上記数式1と同様である。
上記数式2を用いて浴室除菌パターンP36をシミュレーションする場合には、換気回数nに浴室換気扇13aの風量が「弱」の場合における換気回数が代入される。また、半減期Tには、ユニットバス部13におけるオゾンの半減期の値が代入される。
上記数式2では、浴室換気扇13aの動作(オゾンの引き込み)により増加するユニットバス部13のオゾンの量を「(C1-C2)*nR1t」で算出し、既にユニットバス部13に存在しているオゾンの量(C2*R2)と合算する。そして、当該合算結果をユニットバス部13の気積R2で除算することで、浴室換気扇13aを「弱」の風量で動作させながらオゾンを放出させた場合のユニットバス部13のオゾン濃度を求めている。当該オゾン濃度の算出結果には、オゾンが自然減少することの影響が反映されていない。
そこで、上記数式2では、「(1/2)t/T」で上記オゾン濃度の算出結果を乗算することにより、自然減少の影響を考慮したユニットバス部13のオゾン濃度を求めている。
図11(b)は、上記数式2を用いて浴室除菌パターンP36のシミュレーションを行って、不活化時間及び待機時間を求めた結果を示すものである。図11(b)では、11時40分にオゾン発生装置21及び浴室換気扇13a(風量「弱」)の動作を開始させ、13時20分にユニットバス部13のオゾン濃度が約0.7ppm(第二目標濃度(0.5ppm)よりも高い濃度)まで上昇している(「不活化時間」参照)。また、図11(b)では、このタイミングでオゾン発生装置21の動作を停止させ、14時30分にオゾン濃度が完了時オゾン濃度(0.05ppm)以下まで低下している(「待機時間」参照)。図11(b)では、このような11時40分から14時30分までの範囲における破線のグラフの面積(CT値)が目標値を超えている。
制御部222は、浴室除菌パターンP36を実行することで、ユニットバス部13におけるCT値を目標値に到達させてユニットバス部13の除菌を適切に行うことができる。また、1台のオゾン発生装置21で、当該オゾン発生装置21が設置されていないユニットバス部13の除菌を効率的に行うことができる。
以上の如く、第三実施形態の前記空間は、ホテル1(宿泊施設)の客室10であり、前記浴室換気扇13a(換気扇)は、前記客室10内のユニットバス部13に設けられ、前記オゾン発生装置21は、前記客室10内の前記ユニットバス部13とは異なる空間(寝室11)に前記除菌成分を放出可能に設けられ、前記第三の運転パターンには、前記第一の期間(不活化時間)及び前記第二の期間(待機時間)にわたって前記第一の風量で前記浴室換気扇13aを運転させる第六の運転パターン(浴室除菌パターンP36)が含まれるものである。
このように構成することにより、ユニットバス部13へ他の空間(寝室11)からオゾンを引き込んで、除菌成分を客室10全体に速やかにいきわたらせることができる。
以上、本発明の第三実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、浴室除菌パターンP36では、不活化時間にオゾン発生装置21及び浴室換気扇13aを同じタイミングで動作させたが、オゾン発生装置21及び浴室換気扇13aの動作タイミングは互いに異なるものであってもよい。例えば、浴室換気扇13aをオゾン発生装置21よりも遅らせて風量を変更してもよい。これにより、オゾン濃度が高濃度になった寝室11からユニットバス部13へオゾンを効率よく引き込むことができる。
また、浴室除菌パターンP36では、浴室換気扇13aを「弱」の風量で動作させたが、浴室換気扇13aの風量は適宜変更可能である。例えば、CT値が目標値に達した後で浴室換気扇13aの風量を「弱」から「強」に変更してもよい。これにより、待機時間を短縮することができる。
また、不活化時間中に浴室換気扇13aを動作させる制御は、図11に示す浴室除菌パターンP36に限定されるものではない。例えば、制御部222は、不活化時間中に浴室換気扇13aを動作させると共にユニットバス部13のオゾン濃度を第二目標濃度(0.5ppm)に維持してもよい。これにより、人体への影響が小さいオゾン濃度でユニットバス部13の除菌を行うことができる。
また、制御部222は、不活化時間中に浴室換気扇13aを動作させる運転パターンを複数設定し、当該運転パターンに優先順位を設定してもよい。