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JP7745401B2 - 耐火被覆材吹付装置 - Google Patents
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JP7745401B2 - 耐火被覆材吹付装置 - Google Patents

耐火被覆材吹付装置

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Description

本発明は、耐火被覆材吹付装置に係り、特に、H型鋼からなる梁に対して耐火被覆材を吹き付ける耐火被覆材吹付装置に関する。
鉄骨造の建物の躯体である柱や梁に対して、火災による損傷を防止するために、いわゆる耐火被覆作業が行われている。耐火被覆作業とは、柱や梁の表面に対して、耐火被覆材であるロックウールを吹き付けることによって躯体を被覆する作業をいう。
特許文献1には、耐火被覆材であるロックウールと、結合剤であるセメントスラリーを混合して吹付可能なノズルを備えた耐火被覆材吹付システムが開示されている。
また近年、耐火被覆作業を行う作業現場で大量に飛散する耐火被覆材から作業員を保護する目的で、耐火被覆作業を自動化することが可能な耐火被覆材吹付ロボットの開発が行われている。
図9は、H型鋼からなる梁Bに対して耐火被覆材Fを吹き付ける吹付ロボット100を示している。図9に示すように、吹付ロボット100は、耐火被覆材(ロックウール)を噴射する噴射ノズル101と、噴射ノズル101に対してロックウール及びセメントスラリーを供給する供給ホース102と、噴射ノズル101を保持するとともに、噴射ノズル101の位置制御及び角度制御を行うロボットアーム103と、ロボットアーム103を梁の延長方向に摺動させる横行装置104と、を有している。ロボットアーム103及び横行装置104は、噴射ノズル101が、梁Bに対して予め設定された経路及び角度で移動するように制御される。
特開2021-004525号公報
吹付ロボット100によって、飛散するロックウールから作業員を保護することができるとともに、吹付作業効率の向上を図ることができる。しかしながら、耐火性を確保するためには、耐火被覆材Fを梁Bの全体に対して所定の被覆厚以上の厚さで確実に被覆する必要があり、吹付ロボット100による吹付作業に関して、品質向上の余地が残っていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、H型鋼からなる梁に対して適切な量の耐火被覆材を自動的に吹き付けることができ、吹付作業の効率化と品質の向上を図ることが可能な耐火被覆材吹付装置を提供することにある。
前記課題は、本発明の耐火被覆材吹付装置によれば、H型鋼からなる梁に前記耐火被覆材を吹き付ける耐火被覆材吹付装置であって、前記耐火被覆材を吹付方向に向けて噴射する吹付口を有する噴射装置と、前記吹付口を保持するとともに、前記吹付口の位置及び前記吹付方向を変更可能な保持装置と、前記梁を含む躯体の三次元データに基づいて前記噴射装置及び前記保持装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記梁の被吹付面と前記吹付方向とのなす角度が90度より小さくなるほど前記吹付口の位置変更速度が小さくなるように前記保持装置を制御し、前記被吹付面と前記吹付方向とのなす角度が、前記吹付対象点と前記吹付口との間の距離と、前記梁の高さ寸法と、前記吹付口の外形寸法と、に基づいて、前記梁の支持物に前記吹付口が当接しない範囲で最大吹付角度となるように、前記保持装置を制御することにより解決される。
上記構成によれば、躯体の三次元データに基づいて、自動的に吹付作業を行うように噴射装置と保持装置が制御される。これにより、吹付作業の効率化が実現される。
また、制御装置は、被吹付面と吹付方向とのなす角度が小さくなるほど吹付口の位置変更速度が小さくなるように保持装置を制御する。これにより、被吹付面と吹付方向のなす角度が小さいことによって被吹付面に対する耐火被覆材の付着性が低下してしまう場合であっても、噴射装置の位置変更速度を小さくすることにより、被吹付面に適切な量の耐火被覆材を付着させることができ、吹付作業の品質の向上を図ることが可能となる。
また、前記制御装置は、前記吹付口が前記梁の上フランジの上面よりも下方に位置し、前記被吹付面上の吹付対象点と前記吹付口との間の距離が一定の距離となるように前記保持装置を制御すると好適である。
上記構成によれば、梁が支持する天井等に吹付口が当接して損傷してしまうことがない。また、吹付口から噴射される耐火被覆材を、結合剤と適切に混合した状態で被吹付面に対して付着させることができる。すなわち、吹付対象点と吹付口との間の距離が小さすぎると、耐火被覆材と結合剤との混合状態が不十分となるとともに、被吹付面に対する耐火被覆材の吹付状態にムラが生じる。一方、吹付対象点と吹付口との間の距離が大きすぎると、耐火被覆材が吹付対象点以外の場所に拡散してしまい、耐火被覆材を必要以上に消費してしまう。そこで、吹付対象点と吹付口との間の距離を適切な距離(例えば、400mm~600mm)に保持するように保持装置を制御することにより、吹付作業の品質の安定化と耐火被覆材の浪費防止を図ることが可能となる。
また、前記梁は、鉛直面を有するウェブと、前記ウェブの下端で前記ウェブと連結する下フランジと、を備え、前記制御装置は、前記下フランジの上面と前記吹付方向とのなす角度が90度より小さくなるほど前記吹付口の位置変更速度が小さくなるように前記保持装置を制御すると好適である。
上記構成によれば、天井を支持する梁の下フランジの上面に対して、自動的に吹付作業を行うことができるとともに、吹付作業の品質の向上を図ることが可能となる。
また、前記制御装置は、前記ウェブに対して前記吹付口の位置変更速度が一定の標準速度となるように前記保持装置を制御する第一の吹付制御部と、前記下フランジの上面に対して前記吹付口の位置変更速度が前記標準速度に対して所定の減速係数を乗算した速度となるように前記保持装置を制御する第二の吹付制御部と、を有すると好適である。
上記構成によれば、標準的な位置変更速度に対して所定の減速係数を乗算するという単純な演算を行うことによって、梁に対する吹付作業の品質の向上を図ることが可能となる。
本発明に係る耐火被覆材吹付装置によれば、H型鋼からなる梁に対して適切な量の耐火被覆材を自動的に吹き付けることができ、吹付作業の効率化と品質の向上を図ることが可能となる。
本実施形態に係る吹付装置の全体構成を示す図である。 耐火被覆材の吹付対象である梁の外観を示す斜視図である。 制御装置の機能構成を示す図である。 ウェブに対する吹付口の位置及び吹付方向を説明するための側面図である。 ウェブに対する吹付口の位置変更制御を説明するための斜視図である。 下フランジの上面に対する吹付口の位置及び吹付方向を説明するための側面図である。 下フランジの上面に対する吹付口の位置変更制御を説明するための斜視図である。 減速係数テーブルの一例を示す図である。 下フランジの上面に対して標準速度で吹き付けた場合の付着状態を示す図である。 下フランジの上面に対して減速速度で吹き付けた場合の付着状態を示す図である。 上フランジの下面に対する吹付口の位置及び吹付方向を説明するための側面図である。 上フランジの下面に対する吹付口の位置変更制御を説明するための斜視図である。 吹付制御処理の流れを示す図である。 従来の耐火被覆材吹付装置を説明するための図である。
以下、図1乃至図8を参照しながら、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る吹付装置1について説明する。本実施形態に係る吹付装置1は、耐火被覆材であるロックウールを、予め設定された経路及び角度で梁に対して自動的に吹き付けることによって、吹付作業の自動化と効率化を図るために用いられる。また、本実施形態における吹付装置1は、梁に対する吹付作業の品質向上を図るために用いられる。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
<<吹付装置1の全体構成>>
図1は、吹付装置1の全体構成を示す図である。吹付装置1は、噴射装置10と、ロボットアーム20と、昇降装置30と、走行装置40と、制御装置50と、から主に構成されている。吹付装置1は、噴射装置10の先端の吹付口11から、耐火被覆材Fを噴射する。このとき吹付口11は、ロボットアーム20によって保持された状態で、昇降装置30及び走行装置40によって予め定められた経路で移動する。これにより、吹付装置1による耐火被覆材Fの自動吹付作業が行われる。
耐火被覆材Fは、ロックウールとセメントスラリーから構成されている。ロックウールとは、高炉スラグ、又は玄武岩などの鉱物原料を溶融し繊維状にした人造の鉱物繊維である。結合剤であるセメントスラリーは、セメントとスラリーの混合剤である。ロックウールとセメントスラリーを同時に建物の躯体に対して吹き付けることによって躯体の耐火性、断熱性、及び吸音性を向上させることができる。
噴射装置10は、吹付口11と、ホース12と、タンク13と、ポンプ14と、を有しており、タンク13に収容された耐火被覆材Fを、ポンプ14によってホース12を介して吹付口11から噴射することができる。
図1においてタンク13及びポンプ14は、走行装置40に搭載されて移動可能に示されているが、タンク13及びポンプ14を走行装置40に搭載せずに離れた位置に設置し、ホース12を延長することによって吹付口11に耐火被覆材Fを供給してもよい。
吹付口11の中央には、ロックウールを噴射するロックウール吹付口が配設され、その外周には、セメントスラリーを噴射する複数のセメントスラリー吹付口が配設されている。ロックウール吹付口とセメントスラリー吹付口とを同心円状に配置し、ロックウールとセメントスラリーを同時に噴射することにより、躯体に対する耐火被覆材Fの付着性を高めることができる。ここで、耐火被覆材Fを躯体に対して適切に付着させるためには、躯体の被吹付面に対する吹付口11の距離、吹付角度、及び吹付速度を適切な状態に制御する必要があり、これについては後述する。
ロボットアーム20は、吹付口保持部21と,上アーム22と、下アーム23と、可動機構24とを有している。吹付口保持部21は、吹付口11を適切な位置及び吹付方向で保持するための保持部材である。上アーム22及び下アーム23は、可動機構24を介して吹付口保持部21と連結するアーム部材である。可動機構24は、第一可動機構24A、及び第二可動機構24Bからなり、吹付口保持部21によって保持された吹付口11の位置及び吹付方向を変更することができる。すなわち、ロボットアーム20によって、吹付口11の位置及び吹付方向を柔軟に変更することができ、これにより広範なエリアに及ぶ被吹付面に対して耐火被覆材Fを吹き付けることが可能となる。
図1において、ロボットアーム20は、上アーム22と、下アーム23と、可動機構24を有していることとして説明したが、吹付口11の位置及び吹付方向を柔軟に変更することができればよく、公知の多関節アーム等の可動式保持装置を採用することができる。
ロボットアーム20は、保持装置に相当する。
昇降装置30は、伸縮可能なパンタグラフ構造を有し、収縮することによってロボットアーム20を降下させるとともに、伸長することによってロボットアーム20を上昇させることができる。昇降装置30によって、噴射装置10及びロボットアーム20を昇降させることができ、これにより高い場所に位置する躯体に対する自動吹付作業が可能となる。
走行装置40は、車輪41と、動力源と、動力源によって生成された回転運動を車輪41に伝える伝達機構と、進行方向を変更可能な方向制御機構とを有し、予め設定された経路に沿って走行することができる。走行装置40によって、吹付口11を建物内の広範なエリアに移動させて吹付作業を行うことが可能となる。
制御装置50は、プロセッサ51、記憶装置52、及び通信装置53などから構成され、吹付装置1全体の制御を司る。すなわち、制御装置50は、噴射装置10のポンプ14を制御して予め定められた一定量の耐火被覆材Fが吹付口11から噴射するように制御する。また制御装置50は、ロボットアーム20、昇降装置30及び走行装置40を制御して、吹付口11を後述する梁Bの被吹付面に対して適切な位置及び吹付方向となるように制御する。換言すると、制御装置50は、記憶装置52に予め記憶された躯体の三次元データに基づいて、吹付口11の位置(経路)、吹付方向、及び噴射タイミングを制御する。
制御装置50のプロセッサ51は、記憶装置52に格納されたプログラムをロードして順次実行することにより、図3を参照して後述するウェブ吹付制御部54、下フランジ上面吹付制御部55、上フランジ下面吹付制御部56、及び設定入力部57、として機能する。
通信装置53は、吹付装置1の設定パラメータを外部から入力可能な通信インターフェースである。
<<吹付対象の梁Bについて>>
図2は、耐火被覆材Fの吹付対象であって、H型鋼からなる梁Bを示している。図2に示すように、梁Bは、鉛直面を有するウェブB1と、ウェブB1の上端でウェブB1と連結する上フランジB2と、上フランジB2と対向し、ウェブB1の下端でウェブB1と連結する下フランジB3を有し、水平方向に延びている。
ウェブB1は、鉛直面である側面B1aを有し、上フランジB2の下面B2bにおいて上フランジB2と連結し、下フランジB3の上面B3aにおいて下フランジB3と連結する。
梁Bは、上フランジB2の上面B2aにおいて天井Cと当接した状態で天井Cを支持している。
以下では、吹付装置1が、ウェブB1の側面B1a、下フランジB3の上面B3a、及び上フランジB2の下面B2bに対して耐火被覆材Fを吹き付ける場合について説明し、下フランジB3の下面B3bに対する吹付作業については説明を省略する。
<<吹付装置1の吹付方法と制御装置50の機能構成について>>
次に、吹付装置1が、梁Bに対して耐火被覆材Fを吹き付ける場合の吹付方法について、制御装置50の機能構成とともに説明する。
図3は、制御装置50の機能構成を示している。図3に示すように、制御装置50は、ウェブ吹付制御部54と、下フランジ上面吹付制御部55と、上フランジ下面吹付制御部56と、設定入力部57と、を有し、図8を参照して後述する吹付制御処理を実行する。
最初に、ウェブ吹付制御部54について説明する。ウェブ吹付制御部54は、ロボットアーム20、昇降装置30、及び走行装置40を制御することによって噴射装置10の吹付口11をウェブB1の側面B1aに対して適切な位置及び吹付方向となるように制御して、吹付口11から耐火被覆材Fを噴射させる。
図4Aは、ウェブB1の側面B1aに対して吹付口11から耐火被覆材Fを吹き付けている状態を示している。図4Aに示すように、ウェブB1に対して耐火被覆材Fを吹き付ける場合、被吹付面である側面B1aと吹付口11との間の距離が一定の距離(L1)となる状態で吹き付けが行われる。ここでL1は、吹付口11から噴射されるロックウールとセメントスラリーとが、適切に混合した状態で被吹付面に付着する距離であって、例えば500mmである。
仮に被吹付面と吹付口11との距離がL1より小さいと、ロックウールとセメントスラリーとが十分に混合しない状態で被吹付面に到達する。この場合、被吹付面に対する耐火被覆材Fの付着性が低下するとともに、耐火被覆材Fが被吹付面に均一に付着せずに、ムラが発生する虞がある。一方、被吹付面と吹付口11との距離がL1より大きい場合には、耐火被覆材Fの付着密度が低くなることにより吹付品質が低下する。したがって、被吹付面と噴射装置10の吹付口11との間の距離がL1となるようにロボットアーム20を制御すると好適である。
そしてウェブ吹付制御部54は、被吹付面である側面B1aと吹付方向とのなす角が最も大きい角度(すなわち90度)となるようにロボットアーム20を制御する。これにより、被吹付面に対する耐火被覆材Fの付着性が最も高い状態で吹き付けを行うことが可能となり、吹付品質を安定化させることができる。
図4Bは、吹付口11がウェブB1の側面B1aに対して移動する方向及び速度を示している。図4Bに示すように、ウェブ吹付制御部54は、梁Bが延びる水平方向に対して、吹付口11が予め定められた所定の速度(標準速度Vs)で移動するようにロボットアーム20を制御する。標準速度Vsとは、吹付口11から一定量の耐火被覆材Fを噴射した場合に、被吹付面である側面B1aに対して適切な量の耐火被覆材Fを付着させることが可能であって、予め実験によって求められた速度である。本実施形態において、Vs=0.56m/secである。
ウェブ吹付制御部54は、第一の吹付制御部に相当する。
次に、下フランジ上面吹付制御部55について説明する。下フランジ上面吹付制御部55は、ロボットアーム20、昇降装置30、及び走行装置40を制御することによって吹付口11を下フランジB3の上面B3aに対して適切な位置及び吹付方向となるように制御して、耐火被覆材Fを噴射させる。
図5Aは、下フランジB3の上面B3aに対して吹付口11から耐火被覆材Fを吹き付けている状態を示している。図5Aに示すように、下フランジB3の上面B3aに対して耐火被覆材Fを吹き付ける場合、被吹付面である下フランジB3の上面B3a上の吹付対象点と吹付口11との間の距離が上述したL1となるように制御される。ここで吹付対象点は、例えば下フランジB3の先端部と、ウェブB1との連結部との間の中間点とすることができる。
そして下フランジ上面吹付制御部55は、被吹付面である上面B3aと吹付方向とのなす角度が最大吹付角A1となるようにロボットアーム20を制御する。最大吹付角A1は、吹付口11が天井Cに当接しない角度(すなわち、吹付口11が上フランジB2の上面B2aより下方に位置する角度)であって、かつ被吹付面と吹付方向とのなす角度が最大となる角度である。最大吹付角A1は、梁せい(梁Bの高さ寸法H)と、吹付口11の外形寸法と、吹付対象点と吹付口11との間の距離L1とに基づいて幾何学的に算出することができる。ただし、最大吹付角A1は、厳密に噴射装置10が天井Cに対して当接しない限界の角度に限定するものではなく、吹付口11と天井Cとの間に所定のクリアランスを確保することができる所定の角度を含んだ角度である。
仮に最大吹付角A1より小さい角度で下フランジB3の上面B3aに対して吹き付けを行うと、下フランジB3の上面B3aに対する耐火被覆材Fの付着性が低下し、吹付品質が低下する。換言すると、最大吹付角A1で耐火被覆材Fの吹付を行うことにより、下フランジB3の上面B3aに対する耐火被覆材Fの付着性の低下を抑制させることができ、安定した吹付品質を確保することが可能となる。
図5Bは、吹付口11が下フランジB3の上面B3aに対して移動する方向及び速度を示している。図5Bに示すように、下フランジ上面吹付制御部55は、梁Bが延びる水平方向に対して、吹付口11が上述した標準速度Vsに対して予め実験によって得られた減速係数Kを乗じた速度で移動するようにロボットアーム20を制御する。減速係数Kは、被吹付面である上面B3aと吹付方向とのなす角度が小さくなるほど小さくなるように設定されている。すなわち、下フランジ上面吹付制御部55は、被吹付面と吹付方向とのなす角度が小さくなるほど吹付口11の水平方向の位置変更速度が小さくなるようにロボットアーム20を制御する。
図5Cは、梁せいHと、最大吹付角A1と、減速係数Kの関係を定めた減速係数テーブルの一例を示している。図5Cの減速係数テーブルでは、設定Aから設定Dの4段階で、梁せいHが小さくなるほど、最大吹付角A1が小さくなり、減速係数Kが小さくなる(吹付口11の水平方向の位置変更速度が小さくなる)ことが示されている。詳細に説明すると、設定Aは、梁せいが450mmより大きい場合であって、被吹付面と吹付方向とのなす角度は15度より大きい。このとき、減速係数Kは1.0であって、下フランジ上面吹付制御部55は、吹付口11が標準速度Vsで移動するようにロボットアーム20を制御する。
設定Bは、梁せいが350mmより大きく450mm以下の場合であって、最大吹付角A1は10度より大きく15度以下となる。このとき、減速係数Kは0.85であって、下フランジ上面吹付制御部55は、吹付口11が標準速度Vsの0.85倍で移動するようにロボットアーム20を制御する。
設定Cは、梁せいが200mmより大きく350mm以下の場合であって、最大吹付角A1は5度より大きく10度以下となる。このとき減速係数Kは0.75であって、下フランジ上面吹付制御部55は、吹付口11が標準速度Vsの0.75倍で移動するようにロボットアーム20を制御する。
最後に設定Dは、梁せいが200mm以下の場合であって、最大吹付角A1は5度以下となる。このとき減速係数Kは0.6であって、下フランジ上面吹付制御部55は、吹付口11が標準速度Vsの0.6倍の速度で移動するようにロボットアーム20を制御する。
なお、図5Cは、吹付対象点と吹付口11との間の距離がL1の場合における減衰係数テーブルを示しているが、吹付対象点と吹付口11との間の距離に応じて複数の減衰係数テーブルを備えていてもよい。下フランジ上面吹付制御部55は、吹付対象点と吹付口11との間の距離と梁せいとに基づく最大吹付度で吹き付けを行うようにロボットアーム20を制御する。
図6A及び図6Bは、下フランジB3の上面B3aに対する耐火被覆材Fの付着状況を示している。
図6Aは、標準速度Vsで吹付口11が移動するようにロボットアーム20を制御した場合における耐火被覆材Fの付着状態を示している。図6Aに示すように、吹付口11が標準速度Vsで位置変更するようにロボットアーム20を制御した場合、下フランジB3の上面B3aにおける耐火被覆材Fの付着量は、ウェブB1の側面B1a、及び上フランジB2の下面B2bにおける付着量よりも少ない。すなわち、被吹付面に対する耐火被覆材Fの付着性の低下が認められる。
一方、図6Bは、標準速度Vsに対して減速係数Kを乗じた速度で吹付口11が移動するようにロボットアーム20を制御した場合における耐火被覆材Fの付着状態を示している。図6Bに示すように、吹付口11を減速された速度で位置変更するようにロボットアーム20を制御した場合、下フランジB3の上面B3aに対して十分な量の耐火被覆材Fを付着させることができる。
このように、被吹付面に対する吹付口11の位置変更速度を低下させることで、被吹付面に対する耐火被覆材Fの付着性が低下する場合であっても、十分な量の耐火被覆材Fを付着させることができ、吹付作業の品質の向上を図ることが可能となる。
なお、図5Cでは、減速係数Kが設定Aから設定Dの4段階で規定されている場合を示しているが、これに限定されない。すなわち、5段階以上の減速係数Kが設定されてもよい。
下フランジ上面吹付制御部55は、第二の吹付制御部に相当する。
図3に戻って、上フランジ下面吹付制御部56について説明する。上フランジ下面吹付制御部56は、ロボットアーム20、昇降装置30、及び走行装置40を制御することによって、吹付口11を上フランジB2の下面B2bに対して適切な位置及び吹付方向となるように制御して、耐火被覆材Fを噴射させる。
図7Aは、上フランジB2の下面B2bに対して吹付口11から耐火被覆材Fを吹き付けている状態を示している。図7Aに示すように、上フランジB2の下面B2bに対して耐火被覆材Fを吹き付ける場合、被吹付面である下面B2b上の吹付対象点と吹付口11との間の距離が上述したL1となるようにロボットアーム20が制御される。ここで吹付対象点は、例えば上フランジB2の先端部と、ウェブB1との連結部との間の中間点とすることができる。
そして上フランジ下面吹付制御部56は、被吹付面である下面B2bに対する吹付方向が所定の傾斜角度A2となるようにロボットアーム20を制御する。ここでA2は、被吹付面に対して耐火被覆材Fを十分に付着させることができる角度であって、例えば20度から70度の間の角度である。
仮にA2が小さすぎると、上フランジB2の下面B2bに対して十分な量の耐火被覆材Fが到達しなくなるため、耐火被覆材Fの付着性が低下する。一方、A2が大きすぎると、耐火被覆材Fが上フランジB2の下面B2bに付着する前に下フランジB3の下面B3bに付着することとなり、吹付口11から噴射された耐火被覆材Fが上フランジB2の下面B2bに到達しない。したがって上フランジB2の下面B2bに対する耐火被覆材Fの付着量が低下する。
図7Bは、吹付口11が上フランジB2の下面B2bに対して移動する方向及び速度を示している。図7Bに示すように、上フランジ下面吹付制御部56は、梁Bが延びる水平方向に対して、吹付口11が上述した標準速度Vsで移動するようにロボットアーム20を制御する。これにより、被吹付面である下面B2bに対して適切な量の耐火被覆材Fを付着させることができる。
上フランジ下面吹付制御部56は、第一の吹付制御部に相当する。
図3に戻り、設定入力部57は、制御装置50に対する設定パラメータの入力を受け付ける。ここで設定パラメータには、上述した最大吹付角A1、又は減速係数Kを含んでいてもよい。また、梁Bに対して耐火被覆材Fの吹き付けを行う開始位置や終了位置に関する情報を含んでいてもよい。
設定入力部57は、通信装置53を介して設定パラメータの入力を受け付けることができる。また設定入力部57は、操作部(不図示)を介して設定パラメータの入力を受け付けることとしてもよい。設定入力部57が受け付けた設定パラメータは、記憶装置52に記憶される。記憶装置52に記憶された設定パラメータは、上述したウェブ吹付制御部54、下フランジ上面吹付制御部55、及び上フランジ下面吹付制御部56によって参照される。
<<吹付制御処理の流れについて>>
次に、吹付制御処理の流れについて説明する。
図8は、制御装置50によって実行される吹付制御処理の流れを示している。なお、吹付制御処理の実行に先立って、設定パラメータが設定入力部57を介して入力されて、記憶装置52に記憶されていることとして説明する。
図8に示すように、制御装置50のプロセッサ51は、記憶装置52から躯体の三次元データと設定パラメータを読み込む(ステップS10)。三次元データは、BIM(Building Information Modeling)データである。すなわち三次元データは、建物の躯体を構成する建材の寸法形状に関するデータを含んでいる。プロセッサ51は、三次元データに基づいて、梁Bに対して耐火被覆材Fを吹き付ける経路、順序及び吹付口11の移動速度等を決定する。
また制御装置50は、設定パラメータに基づいて吹付開始位置及び吹付終了位置を決定することとしてもよい。そうすることで、制御装置50は、走行装置40を制御することによって、吹付装置1を自動的に吹付開始位置に移動させて自動吹付作業を開始することができる。
次にプロセッサ51は、下フランジB3の上面B3aに対して耐火被覆材Fを吹き付けるように、噴射装置10、ロボットアーム20、昇降装置30、及び走行装置40を制御する(ステップS20)。上述したように、プロセッサ51は、標準速度Vsに対して所定の減速係数Kを乗じた速度で吹付口11が水平方向に移動するようにロボットアーム20を制御して、下フランジB3の上面B3aに対して耐火被覆材Fを噴射する。なお、水平方向に複数回往復しながら耐火被覆材Fを下フランジB3の上面B3aに対して吹き付けてもよい。
続いてプロセッサ51は、ウェブB1に対して耐火被覆材Fを吹き付けるように、噴射装置10、ロボットアーム20,昇降装置30、及び走行装置40を制御する(ステップS30)。上述したように、プロセッサ51は、標準速度Vsで吹付口11が水平方向に移動するようにロボットアーム20を制御して、ウェブB1の側面B1aに対して耐火被覆材Fを噴射する。なお、水平方向に複数回往復しながら耐火被覆材FをウェブB1の側面B1aに対して吹き付けてもよい。
そしてプロセッサ51は、上フランジB2の下面B2bに対して耐火被覆材Fを吹き付けるように、噴射装置10、ロボットアーム20、昇降装置30、及び走行装置40を制御して(ステップS40)、吹付制御処理を終了する。上述したように、プロセッサ51は、標準速度Vsで吹付口11が水平方向に移動するようにロボットアーム20を制御して、上フランジB2の下面B2bに対して耐火被覆材Fを噴射する。なお、水平方向に複数回往復しながら耐火被覆材Fを上フランジB2の下面B2bに対して吹き付けてもよい。
このように、制御装置50は、下フランジB3、ウェブB1、上フランジB2の順に耐火被覆材Fの吹付制御を行う。換言すると、制御装置50は、吹付作業の開始時において、吹付口11が、天井Cに当接しない範囲(すなわち、吹付口11が上フランジB2の上面B2aより下方に位置する範囲)で、最も高い位置にあるようにロボットアーム20及び昇降装置30を制御する。そして、下フランジB3の上面B3aに対する吹付制御の終了後にウェブB1、上フランジB2の下面B2b順に吹付制御を行うため、吹付口11の位置が次第に下方に下がるようにロボットアーム20及び昇降装置30を制御する。これにより、吹付作業の開始時において、吹付口11が天井Cに当接していないことを確認すれば、以降の吹付作業中に吹付口11が天井Cに当接していないことに注意を払う必要がない。つまり作業者の負担を軽減することが可能となる。
以上のように、制御装置50が噴射装置10、ロボットアーム20、昇降装置30、及び走行装置40を制御することによって、梁Bに対して耐火被覆材Fを吹き付ける自動吹付作業が実行され、吹付作業の効率化と品質向上の両立を図ることが可能となる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、耐火被覆材Fの吹付対象は建物の躯体であればよく、梁Bに限らず、柱であってもよい。
また、上述した実施形態において、下フランジ上面吹付制御部55は、減速係数テーブルを参照して吹付口11の位置変更速度を決定することとして説明したが、減速係数テーブルを参照することなく、所定の演算によって位置変更速度求めることとしてもよい。
1 吹付装置(耐火被覆材吹付装置)
10 噴射装置
11 吹付口
12 ホース
13 タンク
14 ポンプ
20 ロボットアーム(保持装置)
21 吹付口保持部
22 上アーム
23 下アーム
24 可動機構
24A 第一可動機構
24B 第二可動機構
30 昇降装置
40 走行装置
41 車輪
50 制御装置
51 プロセッサ
52 記憶装置
53 通信装置
54 ウェブ吹付制御部
55 下フランジ上面吹付制御部
56 上フランジ下面吹付制御部
57 設定入力部
100 吹付ロボット
101 噴射ノズル
102 供給ホース
103 ロボットアーム
104 横行装置
B 梁
B1 ウェブ
B1a 側面
B2 上フランジ
B2a 上面
B2b 下面
B3 下フランジ
B3a 上面
B3b 下面
C 天井
F 耐火被覆材

Claims (4)

  1. H型鋼からなる梁に耐火被覆材を吹き付ける耐火被覆材吹付装置であって、
    前記耐火被覆材を吹付方向に向けて噴射する吹付口を有する噴射装置と、
    前記吹付口を保持するとともに、前記吹付口の位置及び前記吹付方向を変更可能な保持装置と、
    前記梁を含む躯体の三次元データに基づいて前記噴射装置及び前記保持装置を制御する制御装置と、を有し、
    前記制御装置は、前記梁の被吹付面と前記吹付方向とのなす角度が90度より小さくなるほど前記吹付口の位置変更速度が小さくなるように前記保持装置を制御し、
    前記被吹付面と前記吹付方向とのなす角度が、吹付対象点と前記吹付口との間の距離と、前記梁の高さ寸法と、前記吹付口の外形寸法と、に基づいて、前記梁の支持物に前記吹付口が当接しない範囲で最大吹付角度となるように、前記保持装置を制御することを特徴とする耐火被覆材吹付装置。
  2. 前記制御装置は、前記吹付口が前記梁の上フランジの上面よりも下方に位置し、前記被吹付面上の前記吹付対象点と前記吹付口との間の距離が一定の距離となるように前記保持装置を制御することを特徴とする請求項1に記載の耐火被覆材吹付装置。
  3. 前記梁は、鉛直面を有するウェブと、前記ウェブの下端で前記ウェブと連結する下フランジと、を備え、
    前記制御装置は、前記下フランジの上面と前記吹付方向とのなす角度が90度より小さくなるほど前記吹付口の位置変更速度が小さくなるように前記保持装置を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐火被覆材吹付装置。
  4. 前記制御装置は、
    前記ウェブに対して前記吹付口の位置変更速度が一定の標準速度となるように前記保持装置を制御する第一の吹付制御部と、
    前記下フランジの上面に対して前記吹付口の位置変更速度が前記標準速度に対して所定の減速係数を乗算した速度となるように前記保持装置を制御する第二の吹付制御部と、を有することを特徴とする請求項に記載の耐火被覆材吹付装置。
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