JP7746772B2 - 飲料及び飲料の安定剤 - Google Patents
飲料及び飲料の安定剤Info
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Description
一方で、乳などに含まれるタンパク質は、油の周囲に吸着するため、タンパク質含有量が多いと油を安定化させることができる。しかし、タンパク質含有量が多いとタンパク質特有のコクや乳由来の風味が強く、あっさりとした飲み口にならないという欠点がある。
高脂質かつ低タンパク質の飲料が望まれるが、低タンパク質では脂質の安定化が難しいことが課題となる。
特に、脂質の中に結晶性が高い硬化植物油由来の飽和脂肪酸を多量に含む場合、ホット販売を想定した60℃保管や真夏の常温保管を想定した35℃保管でも安定な飲料とすることが非常に困難である。
本発明は、このような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
成分A:HLBが5以上12以下のショ糖脂肪酸エステル
成分B:HLBが12より大きい乳化剤
成分C:カゼインナトリウム
成分D:微結晶セルロース
本発明の飲料は、脂質含有量が1.5質量%以上であり、HLBが5以上12以下のショ糖脂肪酸エステルを650ppm以上含有することを特徴とする。
本発明の飲料の脂質含有量は1.5質量%以上であり、脂質含有量が上記下限以上であることにより、高脂質であり、マイルドで飲み口に優れ、コーヒー飲料にあってはコーヒー感が強く、風味のよいものとなる。この観点から、本発明の飲料の脂質含有量は1.8質量%以上であることが好ましく、より好ましくは2.1質量%以上であり、さらに好ましくは2.4質量%以上である。一方、本発明で用いるショ糖脂肪酸エステルによる安定化効果を十分に得る観点から、本発明の飲料の脂質含有量は、4.0質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の飲料の脂質含有量を上記下限以上とするためには、脂質として、油脂を配合することが好ましい。
本発明では、飲料の安定剤としてHLB5~12のショ糖脂肪酸エステルを必須の乳化剤として用いる。このショ糖脂肪酸エステルのHLBが5未満であっても12を超えても高脂質・低タンパク質の本発明の飲料の安定化効果を十分に得ることができない。
HLB5~12のショ糖脂肪酸エステルのHLBは、飲料の安定化効果の観点から、HLB7~12の範囲であることが好ましく、9~12の範囲であることがより好ましい。
HLB5~12のショ糖脂肪酸エステルの含有量が650ppm以上であることで、ショ糖脂肪酸エステルによる安定化効果を十分に得ることができる。飲料の安定化効果の観点から、HLB5~12のショ糖脂肪酸エステルの含有量は800ppm以上であることが好ましく、1100ppm以上であることがより好ましい。一方で、HLB5~12のショ糖脂肪酸エステルの含有量が多過ぎると飲料の風味を損なうことから、本発明の飲料のHLB5~12のショ糖脂肪酸エステル含有量は、4000ppm以下であることが好ましく、3500ppm以下であることがより好ましく、2600ppm以下であることがさらに好ましく、2000ppm以下であることが特に好ましく、1500ppm以下であることが最も好ましい。
本発明の飲料は、上記のHLB5~12のショ糖脂肪酸エステルと共に、HLBが12より大きい乳化剤を含むことが、より一層の飲料の安定化効果および静菌効果の観点から好ましい。
飲料の安定化の観点から、HLBが12より大きい乳化剤のHLBは、特に13~17であることが好ましく、15~16であることがより好ましい。
本発明の飲料は、デカグリセリン脂肪酸エステル、オクタポリグリセリン脂肪酸エステル、テトラグリセリン脂肪酸エステル、ペンタグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリ脂肪酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステルを含有していてもよいが、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する場合、その含有量が多過ぎると飲料の風味を損なうことから好ましくない。
よって、本発明の飲料のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は400ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが特に好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含まないことが最も好ましい。
本発明の飲料は、有機酸モノグリセリドを含んでいてもよく、有機酸モノグリセリドを含有することでより一層優れた安定化効果を得ることができる。
本発明の飲料は、高脂質・低タンパク質とするために、後述の乳成分やカゼインナトリウム等のタンパク質含有成分を含む場合、タンパク質含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.8質量%以下である。タンパク質含有量が少ないことにより、タンパク質特有のコクや乳由来の風味が低減され、飲み口が良好となる。反面、タンパク質が少ないことで飲料の安定性が低下するが、本発明では、HLB5~12のショ糖脂肪酸エステルを所定の割合で用いることで、安定性を高めることができる。
一方で、タンパク質含有量が少なすぎると乳由来の風味がなくなり、コーヒーの風味が強くなりすぎて飲み口が悪くなるために、本発明の飲料のタンパク質含有量の下限は通常0.1質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以上である。
本発明の飲料は、通常牛乳成分あるいは植物性ミルク成分を含む。
植物性ミルク成分として用いられる豆乳は、大豆原料として黄大豆、青大豆、黒大豆などを限定なく使用することができる。大豆から豆乳を製造する方法としては、公知の方法を用いることができ、一般に大豆を水、熱湯等に一定時間浸漬した後、磨砕し、おからを除去することで得ることができる。
本発明の飲料は、特にコーヒー成分を含有するコーヒー飲料または乳飲料であることが好ましい。
コーヒー成分としては、通常、コーヒー抽出液が用いられる。コーヒー抽出液を製造するためのコーヒー豆としては任意のものを用いることができ、例えばアラビカ種のブラジル、コロンビア、ペルー、キリマンジャロ等や、ロブスタ種のインドネシア、ウガンダ等があり、これらを単独で、または複数種混合して用いることができる。コーヒー豆の焙煎条件、粉砕条件、抽出条件なども任意に選択することができる。
本発明の飲料は、長期保管時の安定性等の観点からカゼインナトリウム、増粘多糖類、微結晶セルロース、サポニン等の添加剤の1種又は2種以上を含むものであってもよい。
有機酸およびその塩、重曹、リン酸塩等のpH調整剤
砂糖、グラニュー糖、果糖、ブドウ糖、マルトース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、トレハロース、ラクトース、マンノオリゴ糖、マルトオリゴ糖等の単糖やオリゴ糖
エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、イノシトール等の糖アルコール
スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ネオテーム、ステビア抽出物などの各種甘味料
レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、コーヒーフレーバー、紅茶フレーバー、バター香料、クリーム香料、ミルク香料等の香料
β-カロテン、アスタキサンチン、リコピン、パプリカ色素などのカロテノイド、クロロフィル等の色素、食塩、などの風味付け素材
カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウムなどのミネラル素材
ビタミンやコエンザイムQ10、アミノ酸、ペプチド、DHA、EPA等のような栄養素材
ビタミンC、ビタミンCナトリウム、ビタミンE、ローズマリー抽出物、茶抽出物、ヤマモモ抽出物などの酸化防止剤
カラシ抽出物、リゾチーム等の日持向上剤、ナイシン、ソルビン酸およびその塩などの保存料
リキュール、ウォッカ、焼酎などの酒類
本発明の飲料としては、例えば、乳飲料、スープ飲料、コーヒー飲料、ココア飲料、茶飲料(紅茶、緑茶、中国茶など)、豆類・穀物飲料、酸性飲料、粉末飲料、粉末スープ等が挙げられる。中でも、乳飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、中国茶飲料、豆類・穀物飲料が好ましく、乳飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、中国茶飲料、豆類・穀物飲料がより好ましく、乳飲料、コーヒー飲料が特に好ましく、コーヒー飲料が最も好ましい。
本発明の飲料は、例えば以下のように製造される。
乳化処理を複数回行うとは、乳化機に被処理物を導入して所定の条件下で乳化処理した後、乳化処理物を取り出す操作を複数回行うことをさす。ここで、複数回の乳化処理に用いる乳化機は同一のものであってもよく、異なるものであってもよい。
この予備乳化は、通常30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、通常100℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下で、通常0.005~20時間、好ましくは0.01~10時間行われる。
本発明の飲料は、高脂質・低タンパク質であっても安定性に優れるため、このようにして製造された容器詰め飲料は、ホット販売を想定した60℃保管や真夏の常温保管を想定した35℃保管でも長期に亘り、良好な乳化状態と風味、飲み口を安定に維持することができる。
本発明の安定剤は、脂質含有量が1.5質量%以上で、タンパク質含有量が2質量%以下のミルクコーヒー飲料の安定剤であって、下記成分A~Dを含むことを特徴とする。
成分A:HLBが5以上12以下のショ糖脂肪酸エステル
成分B:HLBが12より大きい乳化剤
成分C:カゼインナトリウム
成分D:微結晶セルロース
また、上記成分Bは、本発明の飲料に含まれるHLBが12より大きい乳化剤として前述したものと同義であり、好ましいものも同様である。
また、本発明のミルクコーヒー飲料の安定剤は、成分A~Dのすべてが予め混合されて一剤化されたものであってもよく、成分A~Dのうちの一部と残部とが別々に提供されるものであってもよい。
また、成分A~Dがすべて別々に提供されるものであってもよい。
成分A:15~60質量%
成分B:15~60質量%
成分C:15~60質量%
成分D:5~30質量%
の割合で含むことが好ましい。
また、これらが固形分濃度5~50質量%の水乳化液の形態とされていてもよい。
以下の実施例及び比較例で飲料の調製に用いた原料は次の通りである。
P-1670:三菱ケミカル社製ショ糖パルミチン酸エステル「リョートーシュガーエステルP-1670」(HLB:16)
S-1170:三菱ケミカル社製ショ糖ステアリン酸エステル「リョートーシュガーエステルS-1170」(HLB:11)
B-30:理研ビタミン社製コハク酸ステアリン酸モノグリセリド「ポエムB-30」
MW-210:三菱ケミカル社製κ-カラギーナン「ソアギーナMW-210」
ML310:三菱ケミカル社製λ-カラギーナン「ソアギーナML310」
MV512:三菱ケミカル社製ι-カラギーナン「ソアギーナMV512」
XG400:三菱ケミカル社製キサンタンガム「ソアキサンXG400」
牛乳:雪印メグミルク社製「メグミルク牛乳」
脂肪粉乳:よつ葉乳業社製「よつ葉北海道脱脂粉乳」
植物油脂乳化物:脂質として硬化ヤシ油を45質量%含有するO/Wエマルション
微結晶セルロース:旭化成ケミカル社製「セオラスSC-900S」
カゼインナトリウム:タツアジャパン社製「Tatua100」
重曹:富士フィルム和光純薬社製
グラニュー糖:日新製糖社製
コーヒー豆:コロンビアEX L=20.5 アライドコーヒーロースターズ社製
コーヒー豆に10倍量の熱水を加えて抽出したコーヒー抽出液に、予め熱水で溶解した重曹を加えてpH調整後、表1に記載する成分を、表1に記載する含有量となるように加えて混合、溶解させ、さらに水を加え全量を100質量%とした。本液を65℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて20MPaの圧力で均質化後、缶容器に充填、密封し、121℃、30分間のレトルト殺菌を行い、缶入りミルクコーヒーを調製した。殺菌後の飲料のpHは6.6~6.8であった。
<35℃、4週間後安定性>
油粒:各缶入りミルクコーヒーを35℃で4週間保管し、その後、3℃で1晩静置した。翌日、缶を開けて内容液をカップに移した際の油粒の発生状況を目視観察し、下記基準で評価した。
1:油粒が多量に存在する。
2:油粒が存在し、品質上やや問題となる。
3:油粒がわずかに存在するが、品質上問題のないレベルである。
4:油粒が全くなく良好な状態である。
沈殿:上記油粒の評価において、内容液をカップに移した後の缶底を目視観察し、下記基準で評価した。
1:沈殿物が多量にある。
2:沈殿物があり、品質上やや問題となる。
3:沈殿物がわずかに存在するが、品質上問題のないレベルである。
4:沈殿物が全くなく良好である。
油粒:各缶入りミルクコーヒーを60℃で4週間保管し、その後、3℃で1晩静置した。翌日、缶を開けて内容液をカップに移した際の油粒の発生状況を目視観察し、下記基準で評価した。
1:油粒が多量に存在する。
2:油粒が存在し、品質上やや問題となる。
3:油粒がわずかに存在するが、品質上問題のないレベルである。
4:油粒が全くなく良好な状態である。
沈殿:上記油粒の評価において、内容液をカップに移した後の缶底を目視観察し、下記基準で評価した。
1:沈殿物が多量にある。
2:沈殿物があり、品質上やや問題となる。
3:沈殿物がわずかに存在するが、品質上問題のないレベルである。
4:沈殿物が全くなく良好である。
これに対して、HLB5~12のショ糖脂肪酸エステルの含有量が600ppmで少ない比較例1では、いずれの温度でも安定性に劣る。
実施例2~5より、更にカゼインナトリウムを含むことで安定性が改善されることが分かる。
また、実施例2~5より、更に微結晶セルロースを含むことで安定性が改善されることが分かる。
更に、実施例3~5より、更に増粘多糖類を含むことで安定性が改善されることが分かる。
Claims (6)
- 脂質含有量が1.8質量%以上であり、HLBが5以上12以下のショ糖脂肪酸エステルを650ppm以上含有し、更に、
微結晶セルロースを含有し、
HLBが12より大きい乳化剤を400ppm以上含有し、
有機酸モノグリセリドを100~350ppm含有し、
タンパク質含有量が0.1質量%以上、2質量%以下である、乳飲料。 - コーヒー成分を含有する請求項1に記載の乳飲料。
- ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が400ppm以下である請求項1又は2に記載の乳飲料。
- 前記脂質として植物油並びに植物油を分別、硬化、又はエステル交換した油脂から選択される少なくとも1種を含有する請求項1~3のいずれか1項に記載の乳飲料。
- 前記脂質が、硬化ヤシ油及び/又は硬化パーム核油である請求項4に記載の乳飲料。
- 下記成分A~Dを含む、脂質含有量が1.8質量%以上で、タンパク質含有量が2質量%以下で、有機酸モノグリセリドの含有量が100~350ppmのミルクコーヒー飲料の安定剤。
成分A:HLBが5以上12以下のショ糖脂肪酸エステル15~60質量%
成分B:HLBが12より大きい乳化剤15~60質量%
成分C:カゼインナトリウム15~60質量%
成分D:微結晶セルロース5~30質量%
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