JP7748726B2 - チオレドキシン相互作用タンパク質発現抑制剤 - Google Patents
チオレドキシン相互作用タンパク質発現抑制剤Info
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Description
本発明は、チオレドキシン相互作用タンパク質発現抑制剤に関する。
チオレドキシン相互作用タンパク質(thioredoxin interacting protein)(以下、「TXNIP」と称することもある)は、抗酸化作用を持つチオレドキシンに結合してその作用を阻害する。ヒトでは、TXNIPは加齢と共に増加し、酸化ストレスに対する耐性が低下する(Oberacker T et al. FEBS Letters 592:2297-2307, 2018)。そして、酸化ストレスは多くの疾患に関連している。具体例としては、鎌状赤血球症、アテローム性動脈硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、心不全、心筋梗塞、統合失調症、双極性障害、脆弱X症候群、慢性疲労症候群などがある。
ショウジョウバエでは、TXNIPを欠損させることで寿命が延びる(Oberacker T et al. FEBS Letters 592:2297-2307, 2018)。
また、TXNIPは、がん及び糖尿病の病態に深く関与している。たとえば、糖尿病では、高血糖で誘導されたTXNIPがNLRP3を活性化して、炎症反応を引き起こす(Zhou R et al. Nature Immunology 11:136-141, 2010)。TXNIPは膵臓ベータ細胞を傷害する。TXNIPをノックダウンするとベータ細胞の傷害が減少し、糖尿病の進行を抑制する。
すなわち、TXNIPを減少させることは、糖尿病を含め、酸化ストレスに係わる各種疾患の治療につながる。このようなTXNIPを減少させることについて特許文献1及び非特許文献1において報告されている。
特許文献1では、酸化ストレスに対する耐性の改善という有益な作用を有する状態を治療に応用するための、(a) チオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)の生物活性、又は(b) TXNIPをコードする遺伝子の発現を低減又は抑制することが可能な化合物について報告されている。そして、そのような化合物としては、TXNIPをコードする遺伝子の発現を低減又は抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチド又はshRNAなどが挙げられている。
非特許文献1では、降圧剤のベラパミル(verapamil)が、TXNIPレベルを低下させ、1型糖尿病を初発した成人患者でインスリン治療の効果を高めることが報告されている。
また、本発明者らは、特許文献2において、F原子を含むクルクミン誘導体がアミロイドβ蛋白に対して高い結合特異性を有しアルツハイマー病の画像診断薬の有効成分として有用であることを報告している。
Nature Medicine 24:1108-1112, 2018
本発明は、従来とは異なる物質を新規の有効成分とし、優れたTXNIPの発現抑制作用を有するTXNIP発現抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、前述する特許文献2に記載のクルクミン誘導体が、TXNIPの発現を、mRNAレベルでもタンパク質レベルでも強く抑制するという知見を得た。しかしながら、クルクミンには、TXNIPの発現抑制作用は認められなかった。また、特許文献2に記載のクルクミン誘導体のフッ素原子を水素原子に置換した化合物についても同様にTXNIPの発現抑制作用は認められなかった。
本発明は、これら知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、次のTXNIP発現抑制剤を提供するものである。
項1.式(I):
項2.前記A1が水素原子である、項1に記載のTXNIP発現抑制剤。
項3.前記A2がR3-(CH2)m-である、項1又は2に記載のTXNIP発現抑制剤。
項4.前記R3がカルボキシである、項3に記載のTXNIP発現抑制剤。
また、本発明は以下も提供する。
項5.TXNIPの発現を抑制する方法であって、上記式(I)で表されるクルクミン誘導体又はその塩を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
項6.TXNIP発現抑制剤の製造における上記式(I)で表されるクルクミン誘導体又はその塩の使用。
項7.前記A1が水素原子である、項5に記載の方法、又は項6に記載の使用。
項8.前記A2がR3-(CH2)m-である、項5若しくは7に記載の方法、又は項6若しくは7に記載の使用。
項9.前記R3がカルボキシである、項5、7若しくは8に記載の方法、又は項6、7若しくは8に記載の使用。
項5.TXNIPの発現を抑制する方法であって、上記式(I)で表されるクルクミン誘導体又はその塩を、それを必要とする哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
項6.TXNIP発現抑制剤の製造における上記式(I)で表されるクルクミン誘導体又はその塩の使用。
項7.前記A1が水素原子である、項5に記載の方法、又は項6に記載の使用。
項8.前記A2がR3-(CH2)m-である、項5若しくは7に記載の方法、又は項6若しくは7に記載の使用。
項9.前記R3がカルボキシである、項5、7若しくは8に記載の方法、又は項6、7若しくは8に記載の使用。
上記式(I)で表されるクルクミン誘導体又はその塩は、優れたTXNIPの発現抑制作用を有するので、TXNIP発現抑制剤の有効成分として有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書において「含有する(comprise)」とは、「本質的にからなる(essentially consist of)」という意味と、「のみからなる(consist of)」という意味をも包含する。
本発明のチオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)発現抑制剤は、式(I):
A2、R4及びR5のアルキルは、直鎖又は分枝鎖状のC1-6アルキルであればよく、直鎖又は分枝鎖状のC1-3アルキルが好ましい。当該アルキルの規定は、式(I)のクルクミン誘導体におけるアルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ及びヒドロキシアルコキシを構成するアルキルにも適用される。
C1-6アルキルの具体例としてはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、及びヘキシルが挙げられる。
C1-3アルキルの具体例としてはメチル、エチル、n-プロピル、及びイソプロピルが挙げられる。
式(I)のクルクミン誘導体は、脳に対する副作用を予防するために、血液脳関門を通過しないことが望ましく、そのような特性を有するためにはA2がR3-(CH2)m-であり、R3がカルボキシであることが好ましい。
A1は水素原子であることが好ましく、すなわち、1,6-ヘプタジエンの4位の位置の置換基がA2のみであることが好ましい。
式(I)のクルクミン誘導体又はその塩が不斉炭素を含む場合は、常法に従い分離した光学異性体、及びラセミ体の両方が本発明のクルクミン誘導体に含まれる。
式(I)のクルクミン誘導体は塩であってもよく、そのような塩としては、医薬上許容される塩であればよく、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;トリエタノールアミン塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機アミン塩などが挙げられる。また、これらの塩の中で結晶水を持つものもある。
A1が水素原子である式(I)のクルクミン誘導体は、公知の方法(例えば、国際公開公報2010/098502号に記載の方法)に従い製造することができる。
また、A1がメチルである式(I)のクルクミン誘導体又はその塩は、以下に記載の方法により製造することができる。
式(IA)の化合物は、式(II)の化合物を加水分解することにより製造することができる。
本反応の溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;含水テトラヒドロフラン、含水ジオキサンなどのエーテル類;含水ジメチルホルムアミド、含水ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;含水ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本反応を促進するために鉱酸を添加することが望ましく、その鉱酸としては塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などを挙げることができる。鉱酸は、式(II)の化合物に対して3~10倍モル、望ましくは4~6倍モルの量で使用することができる。
本反応は、通常0~150℃、望ましくは30~100℃で行うことができ、その反応時間は通常、1~150時間程度である。
(II)の化合物は、式(III)の化合物にヨウ化メチルを反応させることにより製造することができる。
本反応の溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、リグロインなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、2-ブタノンなどのケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本反応を促進するためには塩基を添加することが望ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、N,N-ジメチルアニリンなどの有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物などを挙げることができる。塩基は、式(III)の化合物に対して3~20倍モル、望ましくは5~10倍モルの量で使用することができる。
本反応は通常0~70℃で行うことができ、反応時間は1~48時間程度である。
また、ヨウ化メチルは、式(III)の化合物に対して2~20倍モル使用するのが望ましい。
式(III)の化合物は、式(IV)の化合物と式(V)の化合物とを縮合させることにより製造することができる。ただし、式(IV)の化合物は式(V)の化合物に対して2倍モル反応させる必要がある。なお、式(V)の化合物は、公知の方法により製造できる。
反応を効率的に進めるために、溶媒中でホウ素化合物と塩基の存在下で反応を行うのが望ましい。本反応に使用することができるホウ素化合物としては、ホウ酸、三酸化二ホウ素、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリ-n-ブチル、ホウ酸トリ-tert-ブチル、あるいは三酸化二ホウ素と各種ホウ酸エステルの混合物などを挙げることができる。ホウ酸化合物は、式(IV)の化合物に対して0.5~6倍モル使用するのが望ましい。
塩基としては、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-プロピルアミン、n-ヘキシルアミン、シクロへキシルアミンなどの一級アミン類;モルホリン、ピぺリジン、1,2,3,4-テトラヒドロキノリンなどの二級アミン類などを挙げることができる。塩基は、式(V)の化合物に対して1倍モル使用するのが望ましい。
また、溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロインなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;ヘキサメチルホスホルトリアミドなどのリン酸アミド類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
反応温度は、通常0~150℃、望ましくは0~100℃で行うことができ、反応時間は通常0.5~24時間程度である。
また、上記反応では、反応後、生成した式(III)の化合物のホウ素錯体を分解するために酸で反応液を処理する必要がある。その際使用する酸としては、塩酸、硫酸などの鉱酸あるいは酢酸、プロピオン酸などの有機酸を挙げることができる。
式(IV)の化合物は、式(VI)の化合物にクロロジメチルエーテルを反応させることにより製造することができる。なお、式(VI)の化合物は、公知の方法により製造できる。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロインなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、2-ブタノンなどのケトン類;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの酸アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本反応を促進するためには塩基を添加することが望ましく、その塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピぺリジン、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセン、N,N-ジメチルアニリンなどの有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などを挙げることができる。塩基は、式(VI)の化合物に対して1~3倍モル、望ましくは1.4~1.8倍モルの量で使用することができる。
本反応は、通常0~50℃で行うことができ、反応時間は通常1~48時間程度である。
上記した製法及びそれに付随した方法で得られる前記式(I)のクルクミン誘導体は、公知の手段、例えば、濃縮、減圧濃縮、蒸留、分留、転溶、溶媒抽出、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなどにより単離、精製することができる。
式(I)のクルクミン誘導体がフリー体で得られる場合、通常の方法で塩を形成させることができる。
式(I)のクルクミン誘導体の具体例を以下の第1表に示す。
式(I)のクルクミン誘導体の多くは疎水性の化合物であり、水に対する溶解度は低い。生体に投与する化合物としては水溶解度が高いことが望ましく、式(I)のクルクミン誘導体の内、塩を持つものがより望ましい。
式(I)のクルクミン誘導体又はその塩は、mRNAレベルでもタンパク質レベルでも優れたTXNIPの発現抑制作用を有しているので、TXNIP発現抑制剤の有効成分として使用することができる。
なお、TXNIP遺伝子の塩基配列は、NCBIのweb siteにRefSeq Accession No. NM_006472(ヒト)、NM_001313972(ヒト)などとして登録されおり、アミノ酸配列は、RefSeq Accession No. NP_006463(ヒト)、NP_001300901(ヒト)などとして登録されている。
また、TXNIPの発現抑制とは、TXNIP遺伝子の発現を低減させることを意味し、TXNIP遺伝子からの転写産物の生成量の減少、TXNIP遺伝子からの翻訳産物の生成量の減少等によって確認することができる。
TXNIPの発現を抑制することにより、酸化ストレスに対する耐性が向上する。酸化ストレスに係わる疾患としては、糖尿病、アテローム性動脈硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、動脈硬化症、脳卒中、心不全、心筋梗塞、統合失調症、双極性障害、鎌状赤血球症、脆弱X症候群、慢性疲労症候群、がん(例えば、胃癌、大腸癌(直腸癌、結腸癌)、小腸癌、肝臓癌、膵臓癌、肺癌、咽頭癌、食道癌、腎癌、胆のう及び胆管癌、頭頸部癌、膀胱癌、前立腺癌、乳癌、子宮癌(子宮頸癌、子宮体癌)、卵巣癌、脳腫瘍、胸腺腫、白血病、悪性リンパ腫等)などが挙げられるので、本発明のTXNIP発現抑制剤は、これらの治療及び予防に利用可能である。
式(I)のクルクミン誘導体は、基本骨格が食品成分であるクルクミンであるため、安全性は高い。
本発明のTXNIP発現抑制剤は、医薬組成物、食品組成物などとして利用することができる。
本発明の医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物に対して投与される。本発明の医薬組成物の投与は、局所的であってもよく、全身的であってもよい。投与方法には特に制限はなく、経口的又は非経口的に投与される。非経口的投与経路としては、皮下、腹腔内、静脈、動脈又は脊髄液への注射又は点滴、経皮的投与等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、ヒトへの投与に適した医薬上許容される形態であって、生理学的に許容し得る添加剤を含む。かかる医薬組成物は、適宜、医薬として許容し得る希釈剤、緩衝剤、可溶化剤(例えば、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、あるいはTween (商標)、プルロニック(商標)、クレモフォール(商標)、リン脂質などの界面活性剤)、無痛化剤等を添加してもよく、更に必要に応じて、医薬として許容し得る溶剤、安定化剤又は酸化防止剤(例えばアスコルビン酸等)のような成分を含んでもよい。本発明の医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他の条件、及び疾患の程度により適宜選択される。
本発明の医薬組成物における式(I)のクルクミン誘導体又はその塩の含量は、0.01~100質量%、好ましくは0.1~100質量%の範囲から適宜選択することが可能である。
本発明の食品組成物には、動物(ヒトを含む)が摂取できるあらゆる食品組成物が含まれる。本発明の食品組成物には、必要に応じて、アミノ酸、核酸、ミネラル類、ビタミン類、フラボノイド類、キノン類、ポリフェノール類、結合剤、清涼剤、甘味料、必須脂肪酸、崩壊剤、滑沢剤、香料、安定化剤、着色料、防腐剤、界面活性剤、徐放調整剤、溶解剤、湿潤剤等を配合することができる。
本発明の食品組成物の種類は、特に限定されず、例えば、飲料類(コーヒー、ジュース、茶飲料のような清涼飲料、乳飲料、炭酸飲料、日本酒、洋酒、果実酒のような酒等);スプレッド類(カスタードクリーム等);ペースト類(フルーツペースト等);洋菓子類(チョコレート、ドーナツ、パイ、シュークリーム、ガム、ゼリー、キャンデー、クッキー、ケーキ、プリン等);和菓子類(大福、餅、饅頭、カステラ、あんみつ、羊羹等);氷菓類(アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等);食品類(カレー、牛丼、雑炊、味噌汁、スープ、ミートソース、パスタ、漬物、ジャム、ローヤルゼリー等);乳製品;発酵食品(ヨーグルト、ローヤルゼリー等);調味料類(ドレッシング、ふりかけ、旨味調味料、スープの素等)などが挙げられる。
また、本発明の食品組成物は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、又は機能性表示食品としても使用できる。サプリメントとして使用する際の投与単位形態については特に限定されず適宜選択でき、例えば錠剤、顆粒剤、液剤、カプセル剤、散剤等が挙げられる。
本発明の食品組成物における式(I)のクルクミン誘導体又はその塩の含量は、食品組成物全量中0.01~100質量%、好ましくは0.1~100質量%の範囲から適宜選択することが可能である。
本発明の食品組成物の摂取量は、摂取者の体重、年齢、性別、症状などの種々の条件に応じて適宜設定することができる。
次に本発明に係わる合成例及び試験例を記載するが、本発明はこれらに限定されるわけではない。なお、以下の合成例におけるNMRスペクトルはJEOL RESONANCE ECZ-400Sを用いて測定を行った。
[合成例1]1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-トリフルオロメトキシ)フェニル-4-カルボキシプロピル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン(化合物2)の合成
国際公開公報2010/098502号の記載を参考に合成を行った1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-トリフルオロメトキシ)フェニル-4-メトキシカルボニルプロピル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン90 mg (0.156 mmol)を0.1M-水酸化ナトリウム水溶液4.7 mL (0.468 mmol)に加え、室温で2時間攪拌した。反応液に1M-塩酸を加えてpH2に調整した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製すると融点160-161℃の1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-トリフルオロメトキシ)フェニル-4-カルボキシプロピル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン35 mg (40.0%)が得られた。
19FNMR(d6DMSO):δ -58.34 (s), -58.47 (s), 1HNMR (d6DMSO):δ1.49 (0.7H, m), δ1.63 (1.3H, m), δ1.84 (0.7H, m), δ2.24 (0.7H, m), δ2.33 (0.5H, m), δ2.49 (0.7H, m), δ2.5-2.7 (1.5H), δ4.58 (0.3H, t, J=7.0Hz), δ6.95 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.04 (0.7H, d, J=9.0Hz), δ7.06 (1.3H, d, J=9.0Hz), δ7.28 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.61 (0.7H, dd, J=2.0Hz, 9.0Hz), δ7.63 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.64 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.65 (0.7H, br.s), δ7.75 (1.3H, dd, J=2.0Hz, 9.0Hz), δ7.78 (1.3H, br.s), δ17.80 (0.7H, s).
国際公開公報2010/098502号の記載を参考に合成を行った1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-トリフルオロメトキシ)フェニル-4-メトキシカルボニルプロピル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン90 mg (0.156 mmol)を0.1M-水酸化ナトリウム水溶液4.7 mL (0.468 mmol)に加え、室温で2時間攪拌した。反応液に1M-塩酸を加えてpH2に調整した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製すると融点160-161℃の1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-トリフルオロメトキシ)フェニル-4-カルボキシプロピル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン35 mg (40.0%)が得られた。
19FNMR(d6DMSO):δ -58.34 (s), -58.47 (s), 1HNMR (d6DMSO):δ1.49 (0.7H, m), δ1.63 (1.3H, m), δ1.84 (0.7H, m), δ2.24 (0.7H, m), δ2.33 (0.5H, m), δ2.49 (0.7H, m), δ2.5-2.7 (1.5H), δ4.58 (0.3H, t, J=7.0Hz), δ6.95 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.04 (0.7H, d, J=9.0Hz), δ7.06 (1.3H, d, J=9.0Hz), δ7.28 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.61 (0.7H, dd, J=2.0Hz, 9.0Hz), δ7.63 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.64 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.65 (0.7H, br.s), δ7.75 (1.3H, dd, J=2.0Hz, 9.0Hz), δ7.78 (1.3H, br.s), δ17.80 (0.7H, s).
[合成例2]1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メトキシ)フェニル-4-カルボキシエチル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン(化合物3)の合成
(1)4-アセチル-5-オキソヘキサン酸メチル186 mg (1.0 mmol)(Sigma-Aldrich)と三酸化二ホウ素56 mg (0.8 mmol)(ナカライテスク株式会社)の酢酸エチル(2 mL)溶液を60℃で30分間加熱した後、バニリン304 mg (2.0 mmol)(ナカライテスク株式会社)とホウ酸トリ-n-ブチル0.54 mL (2.0 mmol)(東京化成工業株式会社)とを加え、同じ温度でさらに30分間加熱を続けた。ついで、n-ブチルアミン0.1 mL (1.0 mmol)(ナカライテスク株式会社)を加えて、同じ温度で4時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、1M-塩酸(2 mL)を加えて、15分間激しく攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗し、ついで飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製して得られた物質に少量のジクロロメタンを加えて室温に放置すると、融点124-125℃の1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メトキシ)フェニル-4-メトキシカルボニルエチル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン208 mg (45.8%)が得られた。
1HNMR (d6DMSO):δ2.07 (1.3H, m), δ2.31 (1.3H, m), δ2.48 (0.7H, m), δ2.98 (0.7H, m), δ3.54 (1H, s), δ3.59 (2H, s), δ3.80 (4H, s), δ3.85 (2H, s), δ4.58 (0.6H, m), δ6.80 (1.3H, d, J=8.0Hz), δ6.83 (0.7H, d, J=8.0Hz), δ6.91 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.13 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.16 (1.3H, dd, J=8.0Hz, 2.0Hz), δ7.23 (0.7H, dd, J=8.0Hz, 2.0Hz), δ7.32 (1.3H, d, J=2.0Hz), δ7.35 (0.7H, d, J=2.0Hz), δ7.60 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.61 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ18.03 (0.4H, s).
(1)4-アセチル-5-オキソヘキサン酸メチル186 mg (1.0 mmol)(Sigma-Aldrich)と三酸化二ホウ素56 mg (0.8 mmol)(ナカライテスク株式会社)の酢酸エチル(2 mL)溶液を60℃で30分間加熱した後、バニリン304 mg (2.0 mmol)(ナカライテスク株式会社)とホウ酸トリ-n-ブチル0.54 mL (2.0 mmol)(東京化成工業株式会社)とを加え、同じ温度でさらに30分間加熱を続けた。ついで、n-ブチルアミン0.1 mL (1.0 mmol)(ナカライテスク株式会社)を加えて、同じ温度で4時間加熱した。反応液を室温まで冷却した後、1M-塩酸(2 mL)を加えて、15分間激しく攪拌した。反応液を酢酸エチルで抽出し、抽出液を水洗し、ついで飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル:ヘキサン=1:1)により精製して得られた物質に少量のジクロロメタンを加えて室温に放置すると、融点124-125℃の1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メトキシ)フェニル-4-メトキシカルボニルエチル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン208 mg (45.8%)が得られた。
1HNMR (d6DMSO):δ2.07 (1.3H, m), δ2.31 (1.3H, m), δ2.48 (0.7H, m), δ2.98 (0.7H, m), δ3.54 (1H, s), δ3.59 (2H, s), δ3.80 (4H, s), δ3.85 (2H, s), δ4.58 (0.6H, m), δ6.80 (1.3H, d, J=8.0Hz), δ6.83 (0.7H, d, J=8.0Hz), δ6.91 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.13 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.16 (1.3H, dd, J=8.0Hz, 2.0Hz), δ7.23 (0.7H, dd, J=8.0Hz, 2.0Hz), δ7.32 (1.3H, d, J=2.0Hz), δ7.35 (0.7H, d, J=2.0Hz), δ7.60 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.61 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ18.03 (0.4H, s).
(2)前記工程(1)で得られた1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メトキシ)フェニル-4-メトキシカルボニルエチル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン182 mg (0.4 mmol)を0.1M-水酸化ナトリウム水溶液12 mL (1.2 mmol)に加え、室温で1時間攪拌した。反応液に1M-塩酸を加えてpH2に調整した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水及び飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)により精製すると、融点150-151℃の1,7-ビス(4’-ヒドロキシ-3’-メトキシ)フェニル-4-カルボキシエチル-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン126 mg (71.5%)が得られた。
1HNMR (d6DMSO):δ2.04 (1.3H, m), δ2.22 (1.3H, m), δ2.40 (0.7H, m), δ2.93 (0.7H, m), δ3.79 (4H, s), δ3.83 (2H, s), δ4.56 (0.6H, m), δ6.79 (0.7H, d, J=8.0Hz), δ6.81 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ6.90 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.1-7.25 (3.3H), δ7.31 (1.3H, d, J=2.0Hz), δ7.33 (0.7H, d, J=2.0Hz), δ7.59 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.60 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ18.00 (0.4H, s).
1HNMR (d6DMSO):δ2.04 (1.3H, m), δ2.22 (1.3H, m), δ2.40 (0.7H, m), δ2.93 (0.7H, m), δ3.79 (4H, s), δ3.83 (2H, s), δ4.56 (0.6H, m), δ6.79 (0.7H, d, J=8.0Hz), δ6.81 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ6.90 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ7.1-7.25 (3.3H), δ7.31 (1.3H, d, J=2.0Hz), δ7.33 (0.7H, d, J=2.0Hz), δ7.59 (0.7H, d, J=15.6Hz), δ7.60 (1.3H, d, J=15.6Hz), δ18.00 (0.4H, s).
なお、以下の試験例で使用している化合物1は、国際公開公報2010/098502号の合成例2の記載に従い合成を行った。化合物1は以下の構造を有している。
[試験例1]化合物1及び3のTXNIP発現抑制作用の解析
12ウェルプレートのDMEM/F-12 (FBS 10%)培地中に2×105 cells/wellの量でARPE-19細胞を播種した。そして、24時間接着させた。その後、細胞をクルクミン、化合物1若しくは化合物3(1μM又は5μM)を含む又は含まない培地で24時間処理した。処理後、RNA又はタンパク質分析のために細胞を抽出した。そして、リアルタイムPCRを用いてTXNIP mRNA量を解析し、また、ウェスタンブロッティングを用いてTXNIPタンパク質量を解析した。
12ウェルプレートのDMEM/F-12 (FBS 10%)培地中に2×105 cells/wellの量でARPE-19細胞を播種した。そして、24時間接着させた。その後、細胞をクルクミン、化合物1若しくは化合物3(1μM又は5μM)を含む又は含まない培地で24時間処理した。処理後、RNA又はタンパク質分析のために細胞を抽出した。そして、リアルタイムPCRを用いてTXNIP mRNA量を解析し、また、ウェスタンブロッティングを用いてTXNIPタンパク質量を解析した。
得られた結果を図1及び2に示す。TXNIP mRNA量(図1)は、化合物1を1μM及び5μMの濃度で処理した細胞では未処置細胞に比べ有意に低下したが、クルクミン及び化合物3を1μM及び5μMの濃度で処理した細胞では未処置細胞との差は認められなかった。TXNIPタンパク質量(図2)も同様に、化合物1を1μM及び5μMの濃度で処理した細胞では未処置細胞に比べ有意に低下したが、クルクミン及び化合物3を1μM及び5μMの濃度で処理した細胞では未処置細胞との差は認められなかった。以上の結果から、化合物1はTXNIPの発現抑制作用を有することが示唆された。
[試験例2]化合物1及び2のTXNIP発現抑制作用の解析
12ウェルプレートのDMEM/F-12 (FBS 10%)培地中に2×105 cells/wellの量でARPE-19細胞を播種した。そして、24時間接着させた。その後、細胞をクルクミン、化合物1若しくは化合物2(0.5μM、1μM又は3μM)を含む又は含まない培地で24時間処理した。処理後、RNA又はタンパク質分析のために細胞を抽出した。そして、リアルタイムPCRを用いてTXNIP mRNA量を解析し、また、ウェスタンブロッティングを用いてTXNIPタンパク質量を解析した。
12ウェルプレートのDMEM/F-12 (FBS 10%)培地中に2×105 cells/wellの量でARPE-19細胞を播種した。そして、24時間接着させた。その後、細胞をクルクミン、化合物1若しくは化合物2(0.5μM、1μM又は3μM)を含む又は含まない培地で24時間処理した。処理後、RNA又はタンパク質分析のために細胞を抽出した。そして、リアルタイムPCRを用いてTXNIP mRNA量を解析し、また、ウェスタンブロッティングを用いてTXNIPタンパク質量を解析した。
得られた結果を図3及び4に示す。図3において、化合物1及び化合物2を0.5μM、1μM又は3μMの濃度で処理した細胞ではTXNIP mRNA量の濃度依存的な低下が認められたが、クルクミンで処理した細胞では未処置細胞との差は認められなかった。TXNIPタンパク質量(図4)も同様に、化合物1及び化合物2で処理した細胞ではTXNIPタンパク質量の濃度依存的な低下が認められたが、クルクミンで処理した細胞では未処置細胞との差は認められなかった。以上の結果から、化合物1だけでなく化合物2もTXNIPの発現抑制作用を有することが示唆された。
Claims (4)
- 式(I):
(式中、R1はそれぞれ独立にフッ素原子、CH2F-、CHF2-、CF3-、CH2FO-、CHF2O-又はCF3O-であり、R2はそれぞれ独立に水素原子又はフッ素原子であり、A1は水素原子又はメチルであり、A2はアルキル、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル又はR3-(CH2)m-であり、R3はヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシアルコキシ、ヒドロキシアルコキシ又はCONR4R5であり、R4及びR5はそれぞれ独立に水素原子又はアルキルであり、mは1~5の整数である)で表されるクルクミン誘導体又はその塩を含有する、チオレドキシン相互作用タンパク質(TXNIP)発現抑制剤。 - 前記A1が水素原子である、請求項1に記載のTXNIP発現抑制剤。
- 前記A2がR3-(CH2)m-である、請求項1又は2に記載のTXNIP発現抑制剤。
- 前記R3がカルボキシである、請求項3に記載のTXNIP発現抑制剤。
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| Yoo Kim, et al.,"Dietary curcumin enhances insulin clearance in diet-induced obese mice via regulation of hepatic PI3K-AKT axis and IDE, and preservation of islet integrity",Nutrition & Metabolism,2019年,Vol.16,Article.48 |
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