JP7750187B2 - ハット形鋼矢板の製造方法及びハット形鋼矢板の製造設備 - Google Patents
ハット形鋼矢板の製造方法及びハット形鋼矢板の製造設備Info
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[2]ウェブ部、フランジ部、腕部及び継手部を有するハット形鋼矢板の熱間圧延において、圧延実績から予測される、圧延対象材の仕上圧延後の前記継手部と前記フランジ部との温度差ΔTに基づいて、仕上圧延時における前記圧延対象材に対する冷媒の噴射位置を前記フランジ部乃至前記継手部の間で制御することを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
[3]前記噴射位置の制御は、冷媒を噴射する噴射装置について、前記圧延対象材の全幅方向に沿って移動すること、及び前記冷媒の噴射方向を変えることのうちの少なくともひとつの方法により行われることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
[4]前記噴射位置の制御は、冷媒を噴射する噴射装置を、前記フランジ部から前記継手部にかけて複数設置し、複数の噴射装置から何れか1または2以上の噴射装置が選択されることにより行われることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
[5]ウェブ部、フランジ部、腕部及び継手部を有するハット形鋼矢板を熱間圧延により該ハット形鋼矢板の形状に造形する熱間圧延機と、該熱間圧延により得られたハット形鋼矢板を幅方向に切断する鋸断装置とを有するハット形鋼矢板の製造設備において、
前記熱間圧延時の仕上圧延機に付帯するガイド内に前記継手部およびフランジ部の冷却が選択可能な冷却装置を備え、
圧延実績から、圧延対象材の仕上圧延後の長手方向端部の全幅と長手方向端部以外の位置における全幅との差である全幅差ΔWを予測する演算装置を備え、
予測した全幅差ΔWに基づき、仕上圧延時における前記圧延対象材に対する冷媒の噴射位置を前記フランジ部乃至前記継手部の間で制御する手段を備えたことを特徴とするハット形鋼矢板の製造設備。
[6]ウェブ部、フランジ部、腕部及び継手部を有するハット形鋼矢板を熱間圧延により該ハット形鋼矢板の形状に造形する熱間圧延機と、該熱間圧延により得られたハット形鋼矢板を幅方向に切断する鋸断装置とを有するハット形鋼矢板の製造設備において、
前記熱間圧延時の仕上圧延機に付帯するガイド内に前記継手部およびフランジ部の冷却が選択可能な冷却装置を備え、
圧延実績から、圧延対象材の仕上圧延後の前記継手部と前記フランジ部との温度差ΔTを予測する演算装置を備え、
予測した温度差ΔTに基づき、仕上圧延時における前記圧延対象材に対する冷媒の噴射位置を前記フランジ部乃至前記継手部の間で制御する手段を備えたことを特徴とするハット形鋼矢板の製造設備。
図1にハット形鋼矢板の断面形状を示す。ハット形鋼矢板1は、全幅方向中央にウェブ部11があり、その両側に左右で一対となるフランジ部12、さらにその両側に左右で一対となる腕部13、及び、左右で一対となりその断面形状が左右でほぼ点対称である継手部14を有する。また、フランジ部12と腕部13との接合部は肘部15とも呼ぶ。
次に、ハット形鋼矢板を製造する製造設備2として基本的な構成である圧延ラインLの概略について説明する。図2はハット形鋼矢板の圧延設備の配列図である。図2において、圧延ラインLの圧延進行方向、つまり、被圧延材の搬送方向は矢印で示す方向である。加熱炉3で加熱された素材である鋼スラブ等は、熱間圧延機として、粗圧延機4、中間圧延機5および仕上圧延機6で順次圧延される。
また、粗圧延機4、中間圧延機5及び仕上圧延機6による熱間圧延をそれぞれ、粗圧延、中間圧延、仕上圧延ともいい、これらの熱間圧延を総称して造形圧延ともいう。仕上圧延機6にはガイドが付帯しており、このガイド内に、図5A、B、C等を参照しながら後述する噴射装置21が設置される。
図3(a)に粗圧延におけるロール孔型の例を示す。この例では、素材として矩形断面のスラブを用いて、まずBox孔型でスラブの幅圧下を行い、次いでK8孔型でスラブをハット形の形状へ曲げる成型圧延を行う。そして次にK7孔型で所定の厚みまで減厚する圧延を行い、粗圧延後の素材、すなわち粗形鋼片を造形する。
図3(b)は中間圧延機5a(図2再参照)における孔型の例であり、上下で1組のロールに2つの孔型、K6孔型とK3孔型が刻設されている。また、図3では示していないもう一方の中間圧延機5b(図2再参照)にも2つの孔型、K5孔型とK4孔型が刻設されている。
中間圧延を終えた素材は仕上圧延機へ搬送され、仕上圧延が行われる。図3(c)は仕上圧延における孔型の例である。この例では、仕上圧延の1パス目にK2孔型で最終的な厚みを仕上げる圧延を行い、逆方向の圧延となる2パス目にK1孔型で爪曲げ成型を行う。3パス目はK1孔型を通す正方向の圧延であるが、圧下や爪曲げを行わないダミー圧延としている。
図4はハット形鋼矢板1の端部に生じる変形の模式図である。図4(a)は左右の継手部14が長手端部で外側に曲がるように広がっている、いわゆる「ラッパ変形」を示している。図4(b)は、逆に左右の継手部14が長手端部で内側に狭まるように曲がっている「逆ラッパ変形」を示している。また、場合によっては、左右の継手部14の一方が「ラッパ変形」、他方が「逆ラッパ変形」という形状に変形する場合もある。
ΔWの符号が正のときラッパ変形、負のとき逆ラッパ変形である。
図5Aは、前記K1孔型の前面に設置された前面ガイド20と、前面ガイド20内に設置された冷却装置を示す模式図の一例であり、圧延方向から見た正面図である。前面ガイド20は、ハット形鋼矢板のウェブ部11、フランジ部12、及び腕部13を案内する上ガイド20aと下ガイド20bとを有する。上ガイド20a内には、冷却装置を構成する装置として、冷媒を噴射する噴射装置21a、21bが配置される。この噴射装置21a、21bは、冷却ヘッダー22a、22bと冷却ノズル23a、23bとで構成される。
図6に本発明に従う、冷却装置(噴射装置21a、21b)、温度計8、およびそれらの制御や形状計9の制御を行う演算装置25を加えた設備構成の一例を示す。この例では、仕上圧延の最終孔型であるK1カリバーの前後面に冷却装置が設置されている。仕上圧延機の下流側には、K1孔型で最終成形圧延が行われた、材料であるハット形鋼矢板の全幅方向の温度分布を測定する、温度計8が設置されている。またその下流側には鋸断装置7と形状計9が設置されている(図2再参照)。
(1)継手部乃至フランジ部の冷却を選択するための噴射装置21a、21bの位置変更
(2)バルブ24の開閉選択による使用する噴射装置の変更
(3)各噴射装置へ供給する冷媒の流量を調整するバルブ24の開度調整もしくは冷却ポンプ27による冷媒の供給圧力調整
(4)圧延ロールを駆動する主機モータ26とテーブルローラ28の回転数調整によるハット形鋼矢板の冷却時の搬送速度の調整
などがあげられる。
温度計8により測定した全幅方向の温度分布に基づいて、フランジ部乃至継手部の冷却条件を決める方法としては、以下の例がある。
図7はハット形鋼矢板の1シリーズである45H(ウェブ部の厚さが15mmで、図1に示した有効高さHが368mm)について、温度計8で測定した仕上圧延後の幅方向の温度分布を示す例である。この温度分布から継手部の代表温度Tgとフランジ部の代表温度Tfを求め、その温度差ΔT(=Tg-Tf)を求める。
ここで、継手部とフランジ部との温度差ΔTにより全幅差ΔWが変化するメカニズムについて、定性的に説明する。仕上圧延時に継手部の温度がフランジ部の温度よりも高い場合、常温まで冷却された時の長手方向の熱収縮量は、フランジ部よりも継手部で大きくなる。実際には継手部とフランジ部は腕部を介して互いに接合しており、変形に影響を及ぼしあうため、継手部の温度がフランジ部の温度よりも高くなっていくと、結果としては長手端部の継手部が幅方向に広がる方向に曲がる、いわゆる「ラッパ変形」の傾向が強くなる。逆に、継手部の温度がフランジ部の温度よりも低くなっていくと、長手端部の継手部が幅方向に狭まる方向に曲がる「逆ラッパ変形」の傾向となる。なお、ここで説明した傾向は定性的なものであり、全幅偏差が抑制できる適正な温度差については、ハット形鋼矢板の仕上圧延条件や、鋼種によって違ってくる。
上述のとおり、ΔTが適切となるように、継手部乃至フランジ部の冷却位置を選択して、冷却することができる。また、選択した位置について、その冷媒の流量を調整することもできる。
温度実測の代わりに、仕上圧延後に所定の長さに鋸断されたハット形鋼矢板製品の、長手端部の全幅Wと端部から所定の長手方向位置での全幅W’を形状計9により実測し、これに基づき、仕上圧延でのフランジ部~継手部の冷却条件を変更することもできる。
図2、図3、図5Bおよび図6に示したハット形鋼矢板の圧延製造ラインと製造設備にて、基準の全幅が936mm、ウェブ部の厚さが15mm、有効高さが368mmとなるハット形鋼矢板45Hの製造を実施した。冷却装置は図5Bのハット形鋼矢板の全幅方向に対して一方の片側に示したように、継手部を冷却する噴射装置21c、フランジ部と腕部との接合部である肘部を冷却する噴射装置21d、フランジ部を冷却する噴射装置21eと、それらのバルブ24c、24d、24eを有する。なお、本実施例での冷却を行う冷媒は水である。また、仕上圧延後の温度分布を測定する温度計8としては、一次元ラインスキャンタイプの温度計を使用した。
図2、図3、図5Aおよび図6に示したハット形鋼矢板の圧延製造ラインと製造設備にて、基準の全幅が938mm、ウェブ部の厚さが17mm、有効高さが370mmとなるハット形鋼矢板50Hの製造を実施した。冷却装置は図5Aのハット形鋼矢板の全幅方向に対して一方の片側に示したように、冷却ヘッダー22aと冷却ノズル23aおよびバルブ24aからなる噴射装置が左右方向に移動するものである。なお、本実施例での冷却を行う冷媒は水である。なお、製品端部の全幅形状を測定する形状計9は、製品の長手方向端部と、端部から1m位置での全幅を左右からノギスのように挟み込み測定するタイプのものである。
式(2)において、αは制御を行う際の感度係数であり、ここではその値を0.5とした。また、K=0.057である。
11 ウェブ部
12 フランジ部
13 腕部
14 継手部
15 肘部
2 ハット形鋼矢板の製造設備
3 加熱炉
4 粗圧延機(熱間圧延機)
5 中間圧延機(熱間圧延機)
6 仕上圧延機(熱間圧延機)
7 鋸断装置
8 温度計
9 形状計
20 K1孔型の前面ガイド
20a 上ガイド
20b 下ガイド
21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k、21l、21m、21n 噴射装置(冷却ヘッダー22と冷却ノズル23で構成)
22a 冷却ヘッダー(スライド式)
22b 冷却ヘッダー(スイング式)
23a 冷却ノズル(スライド式)
23b 冷却ノズル(スイング式)
24a バルブ(スライド式用)
24b バルブ(スイング式用)
24c バルブ(継手部用)
24d バルブ(肘部用)
24e バルブ(フランジ部用)
24f バルブ(継手部用)
24g バルブ(肘部用)
24h バルブ(フランジ部用)
25 演算装置
26 圧延機の主機モータ
27 冷媒を供給するポンプ
28 テーブルローラ
41 粗圧延機の上ロール
42 粗圧延機の下ロール
51 中間圧延機の上ロール
52 中間圧延機の下ロール
61 仕上圧延機の上ロール
62 仕上圧延機の下ロール
W 端部の全幅
W’ 端部から1m位置の全幅
ΔW 全幅差=W-W’
Tf フランジ部の代表温度
Tg 継手部の代表温度
ΔT 温度差=Tg-Tf
P 噴射装置の左右移動量
K 図10でのデータの傾き(全幅差/移動量)
H 有効高さ
Claims (6)
- ウェブ部、フランジ部、腕部及び継手部を有するハット形鋼矢板の熱間圧延において、圧延実績から予測される、圧延対象材の仕上圧延後の長手方向端部の全幅と長手方向端部以外の予め設定される位置における全幅との差である全幅差ΔWに基づいて、仕上圧延時における前記圧延対象材に対する冷媒の噴射位置を前記フランジ部乃至前記継手部の間で制御することを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
- ウェブ部、フランジ部、腕部及び継手部を有するハット形鋼矢板の熱間圧延において、圧延実績から予測される、圧延対象材の仕上圧延後の前記継手部と前記フランジ部との温度差ΔTに基づいて、仕上圧延時における前記圧延対象材に対する冷媒の噴射位置を前記フランジ部乃至前記継手部の間で制御することを特徴とするハット形鋼矢板の製造方法。
- 前記噴射位置の制御は、冷媒を噴射する噴射装置について、前記圧延対象材の全幅方向に沿って移動すること、及び前記冷媒の噴射方向を変えることのうちの少なくともひとつの方法により行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
- 前記噴射位置の制御は、冷媒を噴射する噴射装置を、前記フランジ部から前記継手部にかけて複数設置し、複数の噴射装置から何れか1または2以上の噴射装置が選択されることにより行われることを特徴とする請求項1又は2に記載のハット形鋼矢板の製造方法。
- ウェブ部、フランジ部、腕部及び継手部を有するハット形鋼矢板を熱間圧延により該ハット形鋼矢板の形状に造形する熱間圧延機と、該熱間圧延により得られたハット形鋼矢板を幅方向に切断する鋸断装置とを有するハット形鋼矢板の製造設備において、
前記熱間圧延時の仕上圧延機に付帯するガイド内に前記継手部およびフランジ部の冷却が選択可能な冷却装置を備え、
圧延実績から、圧延対象材の仕上圧延後の長手方向端部の全幅と端部から長手方向端部以外の予め設定される位置における全幅との差である全幅差ΔWを予測する演算装置を備え、
予測した全幅差ΔWに基づき、仕上圧延時における前記圧延対象材に対する冷媒の噴射位置を前記フランジ部乃至前記継手部の間で制御する手段を備えたことを特徴とするハット形鋼矢板の製造設備。 - ウェブ部、フランジ部、腕部及び継手部を有するハット形鋼矢板を熱間圧延により該ハット形鋼矢板の形状に造形する熱間圧延機と、該熱間圧延により得られたハット形鋼矢板を幅方向に切断する鋸断装置とを有するハット形鋼矢板の製造設備において、
前記熱間圧延時の仕上圧延機に付帯するガイド内に前記継手部およびフランジ部の冷却が選択可能な冷却装置を備え、
圧延実績から、圧延対象材の仕上圧延後の前記継手部と前記フランジ部との温度差ΔTを予測する演算装置を備え、
予測した温度差ΔTに基づき、仕上圧延時における前記圧延対象材に対する冷媒の噴射位置を前記フランジ部乃至前記継手部の間で制御する手段を備えたことを特徴とするハット形鋼矢板の製造設備。
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