以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、本開示に係る制御装置を備えるSBWシステムの概要の例を示す構成図である。運転者が操作するハンドルを有する操舵機構を構成する反力装置30、転舵輪を転舵する転舵機構を構成する転舵装置40、及び両装置の制御を行う制御装置50を備える。
SBWシステムには、一般的な電動パワーステアリング装置が備える、コラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2と機械的に結合されるインターミディエイトシャフトがなく、運転者によるハンドル1の操作を電気信号によって、具体的には、反力装置30から出力される操舵角θhを電気信号として伝える。
反力装置30は、反力用モータ31及び反力用モータ31の回転速度を減速する減速機構32を備える。反力装置30は、転舵輪5L,5Rから伝わる車両の運動状態を操舵反力として運転者に伝達する。反力用モータ31は、減速機構32を介して、操舵反力をハンドル1に付与する。
反力装置30は、舵角センサ33及びトルクセンサ34を更に備えている。舵角センサ33は、ハンドル1の操舵角θhを検出する。トルクセンサ34は、ハンドル1の操舵トルクThを検出する。以下、舵角センサ33によって検出される操舵角θhを、「実操舵角θh_act」とも称し、トルクセンサ34によって検出される操舵トルクThを、「実操舵トルクTh_act」とも称する。
本開示において、コラム軸2には、操舵可能な限界となる操舵終端を物理的に設定するストッパ(回転制限機構)35が設けられている。すなわち、操舵角θhの大きさ(絶対値)は、ストッパ35によって制限される。
転舵装置40は、転舵用モータ41、転舵用モータ41の回転速度を減速する減速機構42、及び転舵用モータ41の回転運動を直線運動に変換するピニオンラック機構44を備える。転舵装置40は、操舵角θhに応じて転舵用モータ41を駆動し、その駆動力を、減速機構42を介してピニオンラック機構44に付与し、タイロッド3a,3bを経て、転舵輪5L,5Rを転舵する。ピニオンラック機構44の近傍には角度センサ43が配置されており、転舵輪5L,5Rの転舵角θtを検出する。転舵輪5L,5Rの転舵角θtに代えて、例えば、転舵用モータ41のモータ角、あるいは、ラックの位置等を検出し、当該検出値を用いる態様であっても良い。以下、角度センサ43によって検出される転舵角θtを、「実転舵角θt_act」とも称する。
本開示において、実操舵角θh_act及び実転舵角θt_actを総称して、単に、車両の「舵角」とも称する。
制御装置50は、反力装置30及び転舵装置40を協調制御するために、両装置から出力される操舵角θhや転舵角θt等の情報に加え、車速センサ10で検出される車速Vs等を基に、反力用モータ31を駆動制御するための電圧制御指令値Vref1及び転舵用モータ41を駆動制御するための電圧制御指令値Vref2を生成する。
制御装置50には、バッテリ12から電力が供給されると共に、イグニションキー11を経てイグニションキー信号が入力される。また、制御装置50には、車両の各種情報を授受するCAN(Controller Area Network)20が接続されており、車速VsはCAN20から受信することも可能である。更に、制御装置50には、CAN20以外の通信、アナログ/ディジタル信号、電波等を授受する非CAN21も接続可能である。
具体的に、制御装置50は、例えば、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)である。ECUは、主としてCPU(MCU、MPU等も含む)で構成される。図2は、ECUのハードウェア構成を示す模式図である。図2に示すように、実施形態に係る車両用操向システムの制御装置50は、制御用コンピュータ(Electronic Control Unit、以下、「ECU」とも称する)110を含む。
ECU110は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)104等を備え、これらがバス105に接続されている。CPU101は、ROM102に格納された制御プログラムを実行する。反力装置30及び転舵装置40は、主としてECU110が実行する制御プログラムにより協調制御される。なお、制御装置50は、1つのECUで構成される態様であっても良いし、反力装置30を制御する反力制御用ECUと転舵装置40を制御する転舵制御用ECUとを含む構成であっても良い。
ROM102は、制御プログラム及び制御プログラムを実施する際に使用する制御データを記憶するためのメモリとして使用される。また、RAM103は、制御プログラムを動作させるためのワークメモリとして使用される。
EEPROM104は、電源遮断後においても記憶内容を保持可能な不揮発性メモリであり、CPU101が制御プログラムを実行するために使用する制御データ等が格納される。EEPROM104に格納された各種データは、ECU110に電源が投入された後にRAM103に展開された制御プログラム上で使用され、所定のタイミングでEEPROM104に上書きされる。なお、ここでは、不揮発性メモリとしてEEPROMを使用することとしたが、本発明はこれに限られるものではなく、FLASH-ROM(登録商標)、SDRAM等の他の不揮発性メモリを使用することにしてもよい。
図3は、本開示に係る制御装置の制御ブロック構成の一例を示す図である。図3において、反力装置30は、反力用モータ31及び上述した構成に加え、PWM(パルス幅変調)制御部37、インバータ38、及びモータ電流検出器39を含む。また、転舵装置40は、転舵用モータ41及び上述した構成に加え、PWM制御部47、インバータ48、及びモータ電流検出器49を含む。制御装置50は、反力装置30の制御を行う反力制御系60、及び、転舵装置40の制御を行う転舵制御系70の各制御ブロックを実現する。反力制御系60と転舵制御系70とが協調して、反力装置30及び転舵装置40を制御する。なお、制御装置50が反力制御用ECUと転舵制御用ECUとを含む構成である場合、反力制御系60を反力制御用ECUにより実現し、転舵制御系70を転舵制御用ECUにより実現する態様であっても良い。この場合、以下の説明における反力制御系60を反力制御用ECUと読み替え、転舵制御系70を転舵制御用ECUと読み替えれば良い。
反力制御系60における各制御ブロックは、ECU110において実行される反力制御プログラムによって実現される。また、転舵制御系70における各制御ブロックは、ECU110において実行される転舵制御プログラムによって実現される。なお、制御装置50の各制御ブロックの一部又は全部をハードウェアで実現しても良い。また、制御装置50がPWM制御部37、インバータ38、モータ電流検出器39、PWM制御部47、インバータ48、及びモータ電流検出器49を具備した態様であっても良い。
図3に示すように、制御装置50は、各制御ブロックとして、操舵トルク目標値生成部200、路面反力感応トルク補償値生成部220、操舵トルク制御部400、電流制御部500、転舵角目標値生成部600、転舵角制御部700、及び電流制御部800を備えている。操舵トルク目標値生成部200、路面反力感応トルク補償値生成部220、操舵トルク制御部400、及び電流制御部500は、反力制御系60を構成する制御ブロックである。転舵角目標値生成部600、転舵角制御部700、及び電流制御部800は、転舵制御系70を構成する制御ブロックである。
反力制御系60は、トルクセンサ34によって検出される実操舵トルクTh_actが反力装置30の操舵トルクの目標値である操舵トルク目標値Th_refに追従するような制御を行う。
操舵トルク目標値生成部200は、操舵トルク目標値Th_refを生成する。
操舵トルク制御部400は、反力用モータ31を駆動するための反力モータ電流指令値Ih_refを生成する。操舵トルク制御部400では、操舵トルク目標値Th_refと実操舵トルクTh_actとの偏差Th_errがゼロに近づくような電流指令値を生成し、当該電流指令値の上下限値を出力制限部により出力制限して、反力モータ電流指令値Ih_refを演算する。
電流制御部500は、反力用モータ31の電流制御を行う。電流制御部500は、操舵トルク制御部400から出力される反力モータ電流指令値Ih_refとモータ電流検出器39で検出される反力用モータ31の実電流値(モータ電流値)Ih_actとの偏差Ih_errがゼロに近づくような電圧制御指令値Vh_refを演算する。
反力装置30では、電圧制御指令値Vh_refに基づいて、PWM制御部37及びインバータ38を介して反力用モータ31が駆動制御される。
転舵制御系70は、角度センサ43によって検出される実転舵角θt_actが転舵角目標値θt_refに追従するような制御を行う。
転舵角目標値生成部600は、操舵角θhに基づき転舵角目標値θt_refを生成する。
転舵角制御部700は、転舵用モータ41を駆動するための第2転舵モータ電流指令値It_refを生成する。具体的に、転舵角制御部700では、転舵角目標値θt_refと実転舵角θt_actとの偏差θt_errがゼロに近づくような、転舵用モータ41に供給する電流の制御目標値である第1転舵モータ電流指令値Iref_aを生成し、当該第1転舵モータ電流指令値Iref_aに対し、摩擦補償部による摩擦補償制御を行って、第2転舵モータ電流指令値It_refを演算する。以下、転舵角制御部700に摩擦補償部を設けた例について説明するが、摩擦補償部を具備しない構成であっても良い。なお、摩擦補償部を具備しない構成では、PID制御後の第1転舵モータ電流指令値Iref_aが第2転舵モータ電流指令値It_refとして生成される。
電流制御部800は、転舵用モータ41の電流制御を行う。電流制御部800は、転舵角制御部700から出力される第2転舵モータ電流指令値It_refとモータ電流検出器49で検出される転舵用モータ41の実電流値(モータ電流値)It_actとの偏差It_errがゼロに近づくような電圧制御指令値Vt_refを演算する。
転舵装置40では、電圧制御指令値Vt_refに基づいて、PWM制御部47及びインバータ48を介して転舵用モータ41が駆動制御される。
本実施形態において、操舵トルク制御部400、電流制御部500、転舵角目標値生成部600、転舵角制御部700、及び電流制御部800は、それぞれ反力制御系60又は転舵制御系70における各制御を実現可能な構成であれば良く、これら各制御ブロックの構成により限定されない。以下、本実施形態に係る操舵トルク目標値生成部200の構成について、図4を参照して説明する。
図4は、実施形態1に係る操舵トルク目標値生成部の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態に係る操舵トルク目標値生成部200は、主要な構成要素として、操舵反力トルク値生成部210、路面反力感応トルク補償値生成部220、ゲイン比率生成部230、ダンピングトルク値生成部240、及びヒステリシス補償部250を備える。
まず、操舵反力トルク値生成部210について、図5、図6A及び図6Bを参照して説明する。図5は、操舵反力トルク値生成部の構成例を示すブロック図である。
本開示において、図5に示す符号抽出部213は、実操舵角θh_actの符号を抽出する。具体的には、例えば、実操舵角θh_aの値を、実操舵角θh_aの絶対値で除算する。これにより、符号抽出部213は、実操舵角θh_actの符号が「+」の場合には「1」を出力し、実操舵角θh_actの符号が「-」の場合には「-1」を出力する。具体的に、符号抽出部213は、例えば実操舵角θh_actの符号関数Sgn(θh)を生成する。
図6Aは、基本マップの特性例を示す線図である。操舵反力トルクマップ部211には、絶対値演算部212において絶対値処理された操舵角|θh|及び車速Vsが入力される。操舵反力トルク値生成部210は、図6Aに示す基本マップを用いて、車速Vsをパラメータとするトルク値Tref_a0を生成する。トルク値Tref_a0は、操舵角|θh|及び車速Vsに応じた基本的な操舵反力を生成するために使用される。
トルク値Tref_a0は、操舵角|θh|に応じて増減する角度感応型の特性を有している。より具体的に、トルク値Tref_a0は、図6Aに示すように、操舵角|θh|が増加するに従い増加する。また、トルク値Tref_a0は、車速Vsに応じて増減する車速感応型の特性を有している。より具体的に、トルク値Tref_a0は、図6Aに示すように、車速Vsが増加するに従い増加する。つまり、図6Aに示す基本マップによって導出されるトルク値Tref_a0によって得られる反力は、運転者によるハンドル1の操作量(操舵角θh)が大きいほど大きくなり、また車両の速度(車速Vs)が速いほど大きくなる。なお、図6Aに示す基本マップでは車速感応型の特性を有する態様としているが、これに限定されない。
図6Bは、トルク値Tref_aの特性例を示す線図である。操舵反力トルクマップ部211から出力されるトルク値Tref_a0に対し、符号抽出部213から出力される符号関数Sgn(θh)を、乗算部293にて乗じることで、図6Bに示すトルク値Tref_a(第1トルク値)が得られる。なお、符号抽出部213を有さない構成とし、図6Bに示されるように、正負の操舵角θhに応じた基本マップを用いてトルク値Tref_a(第1トルク値)を得る態様としても良い。
次に、ダンピングトルク値生成部240について、図7、図8A及び図8Bを参照して説明する。図7は、ダンピングトルク値生成部の構成例を示すブロック図である。
ダンピングトルク値生成部240は、ダンピングゲインマップ部241、微分部242、及び乗算部243を含む。図8Aは、ダンピングゲインマップの特性例を示す図である。ダンピングゲインマップ部241には、車速Vsが入力される。ダンピングゲインマップ部241は、図8Aに示すダンピングゲインマップを用いて、ダンピングゲインDGを生成する。
ダンピングゲインDGは、図8Aに示すように、車速Vsに応じて増減する車速感応型の特性を有している。ダンピングトルク値生成部240は、微分部242において操舵角θhを微分して算出したハンドル1の角速度(以下、「舵角速度ωh」とも称する)に対し、乗算部243においてダンピングゲインマップ部241から出力されたダンパゲインDGを乗算し、トルク値Tref_bとして出力する。
ダンピングトルク値生成部240から出力されたトルク値Tref_bが操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に加算されることにより、舵角速度ωhに比例した操舵反力の補償が可能となる。
図8Bは、トルク値Tref_a+Tref_bの特性例を示す概念図である。図8Bにおいて、実線は、舵角速度ωhが正値(ωh>0)である場合のトルク値Tref_a+Tref_bを示し、破線は、舵角速度ωhが負値(ωh<0)である場合のトルク値Tref_a+Tref_bを示している。また、図8Bにおいて、一点鎖線は、トルク値Tref_a(第1トルク値)を示している。
図9は、本開示における操舵方向を説明するための領域図である。図9において、横軸は操舵角θhを示し、縦軸は舵角速度ωhを示している。
図9に示す領域A((θh,ωh)=(+,+))では、ハンドル1が右方向に切られた状態で(θh>0)、さらに右方向に切り増されている(ωh>0)ことを示している。図9に示す領域B((θh,ωh)=(+,-))では、ハンドル1が右方向に切られた状態で(θh>0)、左方向に切り戻されている(ωh<0)ことを示している。図9に示す領域C((θh,ωh)=(-,-))では、ハンドル1が左方向に切られた状態で(θh<0)、さらに左方向に切り増されている(ωh<0)ことを示している。図9に示す領域D((θh,ωh)=(-,+))では、ハンドル1が左方向に切られた状態で(θh<0)、右方向に切り戻されている(ωh>0)ことを示している。また、図9において、操舵角θh軸上(ωh=0)では、ハンドル1が切り増しも切り戻しも行われていない((θh,ωh)=(θh,0))ことを示し、舵角速度ωh軸上(θh=0)では、ハンドル1がセンター位置にある((θh,ωh)=(0,ωh))ことを示している。
ダンピングトルク値生成部240から出力されるトルク値Tref_bは、舵角速度ωh>0の領域A,Dでは正値、舵角速度ωh<0の領域B,Cでは負値となる。これにより、舵角速度ωh>0である場合、すなわち、ハンドル1が右方向に切られた状態で(θh>0)、さらに右方向に切り増されている領域A、又は、ハンドル1が左方向に切られた状態で(θh<0)、右方向に切り戻されている領域Dでは、図8Bに実線で示すように、Tref_aに対して|Tref_b|が加算された値となる。また、舵角速度ωh<0である場合、すなわち、ハンドル1が右方向に切られた状態で(θh>0)、左方向に切り戻されている領域B、又は、ハンドル1が左方向に切られた状態で(θh<0)、さらに左方向に切り増されている領域Cでは、図8Bに破線で示すように、Tref_aから|Tref_b|が減算された値となる。
図8Bに示すように、トルク値Tref_a+Tref_bは、操舵角θhの大きさが大きくなり、操舵角θhがストッパ(回転制限機構)35によって制限される操舵終端に近づくほど、操舵角θの変化に対するトルク上昇の増加分が小さくなる。換言すれば、トルク値Tref_a+Tref_bは、操舵角θhの増加に伴い、徐々に変化率が小さくなる特性を有している。
次に、ヒステリシス補償部250について、図10、図11及び図12を参照して説明する。図10は、ヒステリシス補償部の構成例を示すブロック図である。
ヒステリシス補償値演算部251には、実操舵角θh_act及び当該実操舵角θh_actを微分部252によって微分して算出した実操舵速度ωh_actが入力される。ヒステリシス補償値演算部251は、実操舵角θh_act及び実操舵速度ωh_actに基づき、トルク補償値Tref_cを演算する。以下、ヒステリシス補償値演算部251におけるトルク補償値Tref_cの演算手法について説明する。
図11は、ヒステリシス補償部の出力特性の一例を示す線図である。図11において、横軸は実操舵角θh_actを示し、縦軸はトルク補償値Tref_cを示している。また、図11において、実線は右操舵時におけるトルク補償値Tref_cを示し、破線は左操舵時におけるトルク補償値Tref_cを示している。図11に示すように、ヒステリシス補償値演算部251において演算されるトルク補償値Tref_cは、左転舵時と左転舵時とで異なる値となるヒステリシス特性を有している。図11に示すL1は、ハンドル1のセンター位置(原点(0,0))から右操舵した際の軌跡を示し、L2は、座標A(x1,y1)において右操舵から左操舵へ切り替えが発生した場合の軌跡を示し、L3は、座標B(x2,y2)において右操舵から左操舵へ切り替えが発生した場合の軌跡を示している。
ヒステリシス補償値演算部251は、実操舵角θh_act及び実操舵速度ωh_actに基づき、下記(1)式及び(2)式を用いてトルク補償値Tref_cを算出する。具体的には、実操舵速度ωh_actの符号ωh_act(sgn)が正値(「+」)である場合には、下記(1)式を用いてトルク補償値Tref_cを算出し、実操舵速度ωh_actの符号ωh_act(sgn)が負値(「-」)である場合には、下記(2)式を用いてトルク補償値Tref_cを算出する。なお、下記(1)式及び(2)式において、xは実操舵速度ωh_act、yRは右操舵時のトルク補償値Tref_c、yLは左操舵時のトルク補償値Tref_cとする。また、係数aは1よりも大きい値であり、係数cは0よりも大きい値である。係数Ahysは、ヒステリシス特性の出力幅(トルク補償値Tref_cの幅)を示し、係数cは、ヒステリシス特性の丸みを表す係数である。
yR=Ahys{1-a-c(x-b)}・・・(1)
yL=-Ahys{1-ac(x-b’)}・・・(2)
すなわち、ヒステリシス補償値演算部251は、右操舵時(ωh_act(sgn)=「+」)には、上記(1)式を用いてトルク補償値Tref_c(yR)を算出し、左操舵時(ωh_act(sgn)=「-」)には、上記(2)式を用いてトルク補償値Tref_c(yL)を算出する。
右操舵から左操舵への切り替えが発生した場合(ωh_act(sgn)=「+」→「-」)、あるいは、左操舵から右操舵へ切り替えが発生した場合(ωh_act(sgn)=「-」→「+」)、ヒステリシス補償値演算部251は、実操舵角θh_act及びトルク補償値Tref_cの前回値を引き継ぎ、操舵切り替え後に適用する上記(1)式又は(2)式に対し、下記(3)式又は(4)式に示す係数b又はb’を代入する。これにより、操舵切り替え前後の連続性が保たれる。具体的には、右操舵から左操舵への切り替えが発生した場合(ωh_act(sgn)=「+」→「-」)、ヒステリシス補償値演算部251は、実操舵角θh_act及びトルク補償値Tref_cの前回値(図11に示す座標A(x1,y1))を上記(2)式に適用し、下記(4)式に示す係数b’を代入してトルク補償値Tref_cを算出する。また、左操舵から右操舵へ切り替えが発生した場合(ωh_act(sgn)=「-」→「+」)、ヒステリシス補償値演算部251は、実操舵角θh_act及びトルク補償値Tref_cの前回値(図11に示す座標B(x2,y2))を上記(1)式に適用し、下記(3)式に示す係数bを代入してトルク補償値Tref_cを算出する。
b=x1+(1/c)loga{1-(y1/Ahys)}・・・(3)
b’=x1-(1/c)loga{1-(y1/Ahys)}・・・(4)
上記(3)式及び(4)式は、上記(1)式及び(2)式において、xにx1を代入し、yR及びyLにy1を代入することにより導出することができる。
係数aとして、例えば、ネイピア数eを用いた場合、上記(1)式、(2)式、(3)式、(4)式は、それぞれ下記(5)式、(6)式、(7)式、(8)式で表せる。
yR=Ahys[1-exp{-c(x-b)}]・・・(5)
yL=-Ahys[{1-exp{c(x-b’)}]・・・(6)
b=x1+(1/c)loge{1-(y1/Ahys)}・・・(7)
b’=x1-(1/c)loge{1-(y1/Ahys)}・・・(8)
SBWシステムでは、上述したように、コラム軸2と機械的に結合されるインターミディエイトシャフトを具備していない。すなわち、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離されている。このため、例えば、凍結路面や、雨天時のハイドロプレーニング現象等によって路面の摩擦抵抗が著しく減少した低μ路を走行する際のオーバーステア状態やアンダーステア状態を、操舵反力として反力装置30に伝達する必要がある。
本開示では、図4に示すように、操舵トルク目標値生成部200の構成部として、転舵角制御部700によって生成される第1転舵モータ電流指令値Iref_aに応じた路面反力トルクを推定し、推定した路面反力トルクに応じたトルク値(第2トルク値)を操舵トルク目標値Th_refに適用する態様としている。これにより、ハンドル1に路面反力トルクの推定値に応じた操舵反力を付与することができる。以下、ハンドル1に路面反力トルクの推定値に応じた操舵反力を付与可能な構成及び動作について、詳細に説明する。
なお、転舵角制御部700が摩擦補償部を具備しない態様では、以下の説明における第1転舵モータ電流指令値Iref_aに代えて、第2転舵モータ電流指令値It_refに応じた路面反力トルクを推定する態様とすれば良い。
図12は、実施形態1に係る路面反力感応トルク補償値生成部の構成例を示すブロック図である。図12に示す構成例において、路面反力感応トルク補償値生成部220は、主要な構成要素として、路面反力トルク推定部221及び路面反力感応トルクマップ部222を備える。
ここでは、まず、路面反力トルク推定部221における路面反力トルク推定値Tsat_estの推定手法について、図13及び図14を参照して説明する。
図12は、路面から転舵用モータまでの間に発生するトルクの様子を示すイメージ図である。
運転者がハンドルを操舵することによって転舵角目標値θt_refが生成され、その転舵角目標値θt_refに従い、転舵用モータ41が転舵輪5L,5Rを転舵させる転舵モータトルクTmを発生する。その結果、転舵輪5L,5Rが転舵され、路面反力トルクTSATが発生する。その際、転舵用モータ41(のロータ)、減速機構等によりピニオン軸に作用する慣性(ピニオン軸換算慣性)Jによって抵抗となるトルクが生じる。更に、転舵用モータ41の回転速度により、ダンパ項(ダンパ係数DM)として表現される物理的なトルク(粘性トルク)が発生する。これらの力の釣り合いから、下記(9)式に示す運動方程式が得られる。
J×αM+DM×ωM=Tm-TSAT・・・(9)
上記(9)式において、ωMはピニオン軸換算(ピニオン軸に対する値に変換)されたモータ角速度であり、αMはピニオン軸換算されたモータ角加速度である。そして、上記(9)式を路面反力トルクTSATについて解くと、下記(10)式が得られる。
TSAT=Tm-J×αM-DM×ωM・・・(10)
上記(10)式からわかるように、ピニオン軸換算慣性J及びダンパ係数DMを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ωM、モータ角加速度αM、及び転舵モータトルクTmより路面反力トルクTSATを算出することができる。なお、ピニオン軸換算慣性Jは、簡易的にモータ慣性と減速比の関係式を用いてピニオン軸に換算した値でも良い。
路面反力トルク推定部221には、転舵角制御部700によって生成された第1転舵モータ電流指令値Iref_a及び実転舵角θt_actが入力される。路面反力トルク推定部221は、上記(10)式の路面反力トルクTSATを路面反力トルク推定値Tsat_estに置き換えて、路面反力トルク推定値Tsat_estを算出する。
図14は、路面反力トルク推定部の構成例を示すブロック図である。路面反力トルク推定部221は、換算部311、角速度演算部312、角加速度演算部313、ブロック315、ブロック317、及び減算部318を備える。
換算部311には、第1転舵モータ電流指令値Iref_aが入力される。換算部311は、予め定められたギア比及びトルク定数を乗算することにより、ピニオン軸換算された転舵モータトルクTmを算出する。
角速度演算部312には、実転舵角θt_actが入力される。角速度演算部312は、実転舵角θt_actを転舵用モータ41の角度に変換し、この転舵用モータ41の角度に対して微分演算処理を行い、さらに、ギア比による除算により、ピニオン軸換算されたモータ角速度ωMを算出する。
角加速度演算部313には、モータ角速度ωMが入力される。角加速度演算部313は、モータ角速度ωMを微分し、ピニオン軸換算されたモータ角加速度αMを算出する。
そして、上記転舵モータトルクTm、モータ角速度ωM、及びモータ角加速度αMを用いて、図14に示す構成により、上記(10)式に基づき路面反力トルク推定値Tsat_estが算出される。
ブロック315には、角速度演算部312から出力されたモータ角速度ωMが入力される。ブロック315は、入力データにダンパ係数DMを乗算して出力する。
ブロック317には、角加速度演算部313から出力されたモータ角加速度αMが入力される。ブロック317は、入力データにピニオン軸換算慣性Jを乗算して出力する。
減算部318は、換算部311から出力される転舵モータトルクTmからブロック317の出力とブロック315の出力とを減算する。
上記構成により、上記(10)式を実現することができる。すなわち、図14に示す路面反力トルク推定部221の構成により、路面反力トルク推定値Tsat_estが算出される。
なお、転舵用モータ41の角度を検出する態様では、角速度演算部312は、検出された転舵用モータ41の角度に対して微分演算処理を行い、さらに、ギア比による除算により、ピニオン軸換算されたモータ角速度ωMを算出する。また、コラム角が直接検出可能な場合は、実転舵角θt_act又は転舵用モータ41の角度の代わりにコラム角を角度情報として使用しても良い。この場合、ピニオン軸換算は不要となる。また、実転舵角θt_act又は転舵用モータ41の角度ではなく、転舵角速度又は転舵モータ角速度をピニオン軸換算した信号をモータ角速度ωMとして入力し、転舵用モータ41の角度に対する微分処理を省略しても良い。さらに、路面反力トルク推定値Tsat_estは、上記以外の方法で算出しても良いし、路面反力トルク推定値Tsat_estに相当する推定値を使用しても良い。以下、上記の方法とは異なる路面反力トルク推定値Tsat_estの算出手法について説明する。
上記の方法とは異なる路面反力トルク推定値Tsat_estの算出手法において、路面反力トルク推定部221には、転舵角制御部700によって生成された第1転舵モータ電流指令値Iref_aが入力される。また、路面反力トルク推定部221には、下記(11)式に示す伝達関数Gfilが設定されている。伝達関数Gfilは、例えば、制御装置50を構成するECUのROMに記憶されている。
Gfil=N(s)/D(s)=(Ds+E)/(As2+Bs+C)・・・(11)
上記(11)式における一次関数N(s)=Ds+E、及び、二次関数D(s)=As2+Bs+CにおけるA,B,C,D,Eは、以下に示すシミュレーションにより設定される係数である。
なお、本開示では、伝達関数Gfilとして、分子一次、分母二次の伝達関数を仮定しているが、分子分母の次数について、実路面反力トルクTsat_actと路面反力トルク推定値Tsat_estとの間の誤差の許容量や、ECUの負荷などに応じて、適宜変更することができる。
例えば、分子分母の次数を増やした場合、後述する実験により求める第1転舵モータ電流指令値)Iref_aと実路面反力トルクTsat_actとの関係と、伝達関数Gfilの伝達特性を良好に一致させることができるため、実測値に近い路面反力トルク推定値Tsat_estを推定することができる。
一方で、分子分母の次数を減らした場合、ECUの負荷を低減することができる。
路面反力トルクTSATと第1転舵モータ電流指令値Iref_aとの間で、下記(12)式に示す関係式が成り立つと仮定する。下記(12)式で示される路面反力トルクTSATを、本開示における路面反力トルク推定値Tsat_estとする。
換言すると、伝達関数Gfilは、実験により求めた第1転舵モータ電流指令値Iref_aと実路面反力トルクTsat_actとの関係を模擬することで、第1転舵モータ電流指令値Iref_aから路面反力トルク推定値Tsat_estを算出する。
TSAT=Gfil×Iref_a=Tsat_est・・・(12)
一方、転舵機構に作用する実路面反力トルクTsat_actは、タイロッドに加わる軸力から算出できる。図15は、転舵機構に作用する実路面反力トルクの算出手法を説明するための概念図である。
実路面反力トルクTsat_actは、タイロッド3a,3bに加わる軸力FL,FRと、車種ごとに決まるアーム6a,6bの長さLとを用いて、下記(13)式により算出できる。
Tsat_act=FL×L-FR×L・・・(13)
本開示において、実路面反力トルクTsat_actは、予め実車を用いた実験により測定した軸力FL,FRを用いた上記(13)式を用いて算出する。軸力FL,FRは、例えば、タイロッド3a,3bに力覚センサを取り付けることで測定することができる。
図16は、伝達関数Gfilを導出するためのシミュレーションを実行する構成を示す概念図である。
図16に示す処理装置には、第1転舵モータ電流指令値Iref_a、軸力軸力FL,FRが入力される。処理装置において、上記(12)式で示される路面反力トルク推定値Tsat_estが、上記(13)式で算出される実路面反力トルクTsat_actと近似するような伝達関数Gfilを導出する。図16に示される処理装置としては、例えば、周波数特性分析装置(サーボアナライザ)を含み構成される態様が例示される。
具体的に、処理装置は、スイープ法を用いたカーブフィットを実行して、上記(11)式で示される伝達関数Gfilの各係数A,B,C,D,Eを導出する。カーブフィット手法の一例としては、例えば、最小二乗近似法を用いることができる。なお、カーブフィット手法は最小二乗近似法に限定されない。
路面反力トルク推定部221は、転舵角制御部700によって生成された第1転舵モータ電流指令値Iref_aに対し、上述のようにして導出した伝達関数Gfilを用いてフィルタ処理を行い、上記(12)式で示される路面反力トルク推定値Tsat_estを算出する。これにより、実際の車両の走行時における実路面反力トルクTsat_actの挙動に応じた路面反力トルク推定値Tsat_estが得られる。
なお、路面反力トルク推定部221において路面反力トルク推定値Tsat_estを算出する際に用いる伝達関数は、上記(11)に示す態様に限定されない。具体的には、例えば、関数N(s)や関数D(s)の次数によって本開示が限定されるものではない。
図12に戻り、符号抽出部224は、上述した算出手法により得た路面反力トルク推定値Tsat_estの符号を抽出する。具体的には、例えば、路面反力トルク推定値Tsat_estの値を、路面反力トルク推定値Tsat_estの絶対値で除算する。これにより、符号抽出部224は、路面反力トルク推定値Tsat_estの符号が「+」の場合には「1」を出力し、路面反力トルク推定値Tsat_estの符号が「-」の場合には「-1」を出力する。具体的に、符号抽出部224は、例えば路面反力トルク推定値Tsat_estの符号関数Sgn(Tsat_est)を生成する。
図17は、路面反力感応トルクマップの特性例を示す線図である。路面反力感応トルクマップ部222には、絶対値演算部223において絶対値処理された路面反力トルク推定値|Tsat_est|及び車速Vsが入力される。路面反力感応トルクマップ部222は、図17に示す路面反力感応トルクマップを用いて、車速Vsをパラメータとするトルク値Tref_d0を生成する。
トルク値Tref_d0は、図17に示すように、路面反力トルク推定値|Tsat_est|に応じて増減するトルク感応型の特性を有している。
より具体的に、トルク値Tref_d0は、路面反力トルク推定値|Tsat_est|の増加に伴って増加し、路面反力トルク推定値|Tsat_est|の増加に伴って増加率が減少する。
また、トルク値Tref_d0は、車速Vsに応じて増減する車速感応型の特性を有している。より具体的に、トルク値Tref_d0は、図17に示すように、車速Vsの増加に伴って増加する。
つまり、図17に示す路面反力感応トルクマップによって導出されるトルク値Tref_d0によって得られる反力は、路面反力トルク推定値|Tsat_est|が大きいほど大きくなり、また車両の速度(車速Vs)が速いほど大きくなる。なお、図17に示す路面反力感応トルクマップでは車速感応型の特性を有する態様としたが、これに限定されない。
路面反力感応トルク補償値生成部220は、路面反力感応トルクマップ部222の出力値であるトルク値Tref_d0に対し、乗算部225にて路面反力トルク推定値Tsat_estの符号関数Sgn(Tsat_est)を乗算して符号変換したトルク値Tref_d(第2トルク値)を出力する。
図18は、符号変換後の第2トルク値の特性例を概念的に示す線図である。図18に示すように、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されるトルク値Tref_d(第2トルク値)は、路面から作用する反力(セルフアライニングトルク)の推定値である路面反力トルク推定値Tsat_estに応じて増減する。この路面反力トルク推定値Tsat_estに応じて増減するトルク値Tref_d(第2トルク値)を操舵トルク目標値Th_refに適用することにより、路面反力トルク推定値Tsat_estに応じた操舵反力を得ることができる。
なお、路面反力感応トルクマップの特性は、上述した図17又は図18に示す態様に限定されない。また、例えば、図17又は図18に示したマップの態様ではなく、所定の伝達関数によって特性が定義される態様であっても良い。
ここで、路面反力トルク推定値Tsat_estは、路面の状況に加え、車速や舵角等の車両の状態によって変化する。このため、車両の状態によっては路面の状況を十分に反映できず、路面の状況や車両の状態に応じた操舵感が得られない可能性がある。
以下、路面の状況や車両の状態に応じた操舵感を付与可能な実施形態1に係る構成及び動作について、図4、図19A、図19B、及び図19Cを参照して説明する。図19Aは、実施形態1に係るゲイン比率生成部におけるゲイン比率設定例の第1例を概念的に示す線図である。図19Bは、実施形態1に係るゲイン比率生成部におけるゲイン比率設定例の第2例を概念的に示す線図である。図19Cは、実施形態1に係るゲイン比率生成部におけるゲイン比率設定例の第3例を概念的に示す線図である。
本実施形態では、車速Vsをパラメータとして、第1ゲインGa及び第2ゲインGbを生成する。図4に示すように、実施形態1に係る操舵トルク目標値生成部200のゲイン比率生成部230には、車速Vsが入力される。ゲイン比率生成部230は、車速Vsに応じて増減する第1ゲインGa、及び、当該第1ゲインGaとの和が1となる第2ゲインGbを生成する。第1ゲインGaは、乗算部261によりトルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じられる。第2ゲインGbは、乗算部262によりトルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じられる。
ゲイン比率生成部230は、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaを単調減少させる。これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbは、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において単調増加する。第1車速Vs_Aは、例えば5[km/h]とされる。第2車速Vs_Bは、例えば30[km/h]とされる。第1車速Vs_A及び第2車速Vs_Bの各値により本開示が限定されるものではない。
図19Aでは、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxよりも大きい例を示している。この場合、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minよりも大きい。
図19Bでは、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxよりも小さい例を示している。この場合、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minよりも小さい。
図19Cでは、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxと等しい例を示している。この場合、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minと等しい。
第1ゲインGaの最大値Ga_max、第1ゲインGaの最小値Ga_min、第2ゲインGbの最大値Gb_max、及び第2ゲインGbの最小値Gb_minの各値及び大小関係は、本開示に係る制御装置50が搭載される車両の運動性能や車両諸元等に応じて適宜設定すれば良い。
操舵トルク目標値生成部200は、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対し第1ゲインGaを乗じた(乗算部261)トルク値Ga×Tref_a、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対し第2ゲインGbを乗じた(乗算部262)Gb×Tref_d、ダンピングトルク値生成部240から出力されたトルク値Tref_b、及び、ヒステリシス補償部250から出力されたトルク補償値Tref_cを加算し(加算部271,272,273)、操舵トルク目標値Th_refとして出力する。
実施形態1では、車速Vsに応じた比率で、ハンドル1に路面反力トルク推定値Tsat_estに応じた操舵反力を付与することができる。具体的に、操舵トルク目標値生成部200は、車速Vsが相対的に小さい領域では、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対して相対的に大きい第1ゲインGaを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成し、車速Vsが相対的に大きい領域では、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対して相対的に大きい第2ゲインGbを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成する。車速Vsが比較的小さい低速領域では、タイヤの弾性変形に起因する反力トルクの成分が路面反力トルクの主要な成分であり、路面状態に起因する反力トルク成分が路面反力トルクに占める割合は少ない。すなわち、低速領域で路面反力感応トルク生成部220の出力を相対的に大きくした場合、路面状態を得づらいにも関わらず、重い操舵トルクが付与されることになるため、運転者の操舵感が悪化する。よって、車速Vsが比較的小さい低速領域では、相対的に大きい第1ゲインGaと相対的に小さい第ゲインGbを用いることで、路面の状況及び車速Vsを反映した操舵感を得ることができる。
なお、実施形態1に係るゲイン比率生成部230におけるゲイン比率設定例は一例であって、上述した図19A、図19B、図19Cに示す態様に限定されない。例えば、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaが車速Vsの増加に伴って徐々に減少し、これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbが車速Vsの増加に伴って徐々に増加する態様であっても良い。また、例えば、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaが車速Vsの減少に伴って徐々に増加し、これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbが車速Vsの減少に伴って徐々に減少する態様であっても良い。
(実施形態2)
以下、路面の状況や車両の状態に応じた操舵感を付与可能な実施形態2に係る構成及び動作について、図20及び図21を参照して説明する。図20は、実施形態2に係る操舵トルク目標値生成部の構成例を示すブロック図である。図21は、実施形態2に係るゲイン比率生成部におけるゲイン比率設定例の一例を概念的に示す線図である。
本実施形態では、実操舵角θh_actをパラメータとして、第1ゲインGa及び第2ゲインGbを生成する。図20に示すように、実施形態2に係る操舵トルク目標値生成部200aのゲイン比率生成部230aには、実操舵角θh_actが入力される。ゲイン比率生成部230aは、実操舵角θh_actに応じて増減する第1ゲインGa、及び、当該第1ゲインGaとの和が1となる第2ゲインGbを生成する。第1ゲインGaは、乗算部261によりトルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じられる。第2ゲインGbは、乗算部262によりトルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じられる。
ゲイン比率生成部230aは、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaを単調減少させる。これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbは、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において単調増加する。第1操舵角θh_Aは、例えば3[deg]とされる。第2操舵角θh_Bは、例えば20[deg]とされる。第1操舵角θh_A及び第2操舵角θh_Bの各値により本開示が限定されるものではない。
図21では、第1操舵角θh_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxよりも大きい例を示している。この場合、第1操舵角θh_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minよりも大きい。
なお、第1操舵角θh_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxよりも小さく、第1操舵角θh_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minよりも小さい態様であっても良い。
また、第1操舵角θh_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxと等しく、第1操舵角θh_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minと等しい態様であっても良い。
第1ゲインGaの最大値Ga_max、第1ゲインGaの最小値Ga_min、第2ゲインGbの最大値Gb_max、及び第2ゲインGbの最小値Gb_minの各値及び大小関係は、本開示に係る制御装置50が搭載される車両の運動性能や車両諸元等に応じて適宜設定すれば良い。
操舵トルク目標値生成部200aは、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対し第1ゲインGaを乗じた(乗算部261)トルク値Ga×Tref_a、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対し第2ゲインGbを乗じた(乗算部262)Gb×Tref_d、ダンピングトルク値生成部240から出力されたトルク値Tref_b、及び、ヒステリシス補償部250から出力されたトルク補償値Tref_cを加算し(加算部271,272,273)、操舵トルク目標値Th_refとして出力する。
実施形態2では、実操舵角θh_actに応じた比率で、ハンドル1に路面反力トルク推定値Tsat_estに応じた操舵反力を付与することができる。具体的に、操舵トルク目標値生成部200aは、実操舵角θh_actが相対的に小さい領域では、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対して相対的に大きい第1ゲインGaを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成し、実操舵角θh_actが相対的に大きい領域では、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対して相対的に大きい第2ゲインGbを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成する。これにより、路面の状況及び実操舵角θh_actを反映した操舵感を得ることができる。
なお、実施形態2に係るゲイン比率生成部230aにおけるゲイン比率設定例は一例であって、上述した図21に示す態様に限定されない。例えば、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaが実操舵角θh_actの増加に伴って徐々に減少し、これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbが実操舵角θh_actの増加に伴って徐々に増加する態様であっても良い。また、例えば、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaが実操舵角θh_actの減少に伴って徐々に増加し、これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbが実操舵角θh_actの減少に伴って徐々に減少する態様であっても良い。
(実施形態3)
以下、路面の状況や車両の状態に応じた操舵感を付与可能な実施形態3に係る構成及び動作について、図22及び図23を参照して説明する。図22は、実施形態3に係る操舵トルク目標値生成部の構成例を示すブロック図である。図23は、実施形態3に係るゲイン比率生成部におけるゲイン比率設定例の一例を概念的に示す線図である。
本実施形態では、実転舵角θt_actをパラメータとして、第1ゲインGa及び第2ゲインGbを生成する。図22に示すように、実施形態3に係る操舵トルク目標値生成部200bのゲイン比率生成部230bには、実転舵角θt_actが入力される。ゲイン比率生成部230bは、実転舵角θt_actに応じて増減する第1ゲインGa、及び、当該第1ゲインGaとの和が1となる第2ゲインGbを生成する。第1ゲインGaは、乗算部261によりトルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じられる。第2ゲインGbは、乗算部262によりトルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じられる。
ゲイン比率生成部230bは、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaを単調減少させる。これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbは、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において単調増加する。第1転舵角θt_Aは、例えば3[deg]とされる。第2転舵角θt_Bは、例えば20[deg]とされる。第1転舵角θt_A及び第2転舵角θt_Bの各値により本開示が限定されるものではない。
図23では、第1転舵角θt_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxよりも大きい例を示している。この場合、第1転舵角θt_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minよりも大きい。
なお、第1転舵角θt_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxよりも小さく、第1転舵角θt_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minよりも小さい態様であっても良い。
また、第1転舵角θt_A以下の範囲における第1ゲインGaの最大値Ga_maxは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第2ゲインGbの最大値Gb_maxと等しく、第1転舵角θt_A以下の範囲における第2ゲインGbの最小値Gb_minは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第1ゲインGaの最小値Ga_minと等しい態様であっても良い。
第1ゲインGaの最大値Ga_max、第1ゲインGaの最小値Ga_min、第2ゲインGbの最大値Gb_max、及び第2ゲインGbの最小値Gb_minの各値及び大小関係は、本開示に係る制御装置50が搭載される車両の運動性能や車両諸元等に応じて適宜設定すれば良い。
操舵トルク目標値生成部200bは、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対し第1ゲインGaを乗じた(乗算部261)トルク値Ga×Tref_a、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対し第2ゲインGbを乗じた(乗算部262)Gb×Tref_d、ダンピングトルク値生成部240から出力されたトルク値Tref_b、及び、ヒステリシス補償部250から出力されたトルク補償値Tref_cを加算し(加算部271,272,273)、操舵トルク目標値Th_refとして出力する。
実施形態3では、実転舵角θt_actに応じた比率で、ハンドル1に路面反力トルク推定値Tsat_estに応じた操舵反力を付与することができる。具体的に、操舵トルク目標値生成部200bは、実転舵角θt_actが相対的に小さい領域では、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対して相対的に大きい第1ゲインGaを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成し、実転舵角θt_actが相対的に大きい領域では、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対して相対的に大きい第2ゲインGbを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成する。これにより、路面の状況及び実転舵角θt_actを反映した操舵感を得ることができる。
なお、実施形態3に係るゲイン比率生成部230bにおけるゲイン比率設定例は一例であって、上述した図23に示す態様に限定されない。例えば、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaが実転舵角θt_actの増加に伴って徐々に減少し、これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbが実転舵角θt_actの増加に伴って徐々に増加する態様であっても良い。また、例えば、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において、トルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じる第1ゲインGaが実転舵角θt_actの減少に伴って徐々に増加し、これに伴い、トルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じる第2ゲインGbが実転舵角θt_actの減少に伴って徐々に減少する態様であっても良い。
(実施形態4)
以下、路面の状況や車両の状態に応じた操舵感を付与可能な実施形態4に係る構成及び動作について、図24、図25、図26A、及び図26Bを参照して説明する。図24は、実施形態4に係る操舵トルク目標値生成部の構成例を示すブロック図である。図25は、実施形態4に係るゲイン比率生成部の構成例を示すブロック図である。図26A及び図26Bは、実施形態4に係るゲイン比率生成部におけるゲイン比率設定例の一例を概念的に示す線図である。
本実施形態では、車速Vs及び実操舵角θh_actをパラメータとして、第1ゲインGa及び第2ゲインGbを生成する。図24に示すように、実施形態4に係る操舵トルク目標値生成部200cのゲイン比率生成部230cには、車速Vs及び実操舵角θh_actが入力される。また、ゲイン比率生成部230cは、図25に示すように、第1ゲイン比率生成部230、第2ゲイン比率生成部230a、及びゲイン比率算出部231を備えている。
ゲイン比率生成部230cの第1ゲイン比率生成部230は、実施形態1に係るゲイン比率生成部230と実質的に同一の構成部である。第1ゲイン比率生成部230は、車速Vsに応じて増減する第1ゲインGa1、及び、当該第1ゲインGa1との和が1となる第2ゲインGb1を生成する。
第1ゲイン比率生成部230は、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において第1ゲインGa1を単調減少させる。これに伴い、第2ゲインGb1は、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において単調増加する。第1車速Vs_Aは、例えば5[km/h]とされる。第2車速Vs_Bは、例えば30[km/h]とされる。第1車速Vs_A及び第2車速Vs_Bの各値により本開示が限定されるものではない。
図26Aでは、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGa1の最大値Ga1_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGb1の最大値Gb1_maxよりも大きい例を示している。この場合、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGb1の最小値Gb1_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGa1の最小値Ga1_minよりも大きい。
なお、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGa1の最大値Ga1_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGb1の最大値Gb1_maxよりも小さく、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGb1の最小値Gb1_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGa1の最小値Ga1_minよりも小さい態様であっても良い。
また、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGa1の最大値Ga1_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGb1の最大値Gb1_maxと等しく、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGb1の最小値Gb1_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGa1の最小値Ga1_minと等しい態様であっても良い。
第1ゲインGaの最大値Ga_max、第1ゲインGaの最小値Ga_min、第2ゲインGbの最大値Gb_max、及び第2ゲインGbの最小値Gb_minの各値及び大小関係は、本開示に係る制御装置50が搭載される車両の運動性能や車両諸元等に応じて適宜設定すれば良い。
ゲイン比率生成部230cの第2ゲイン比率生成部230aは、実施形態2に係るゲイン比率生成部230aと実質的に同一の構成部である。第2ゲイン比率生成部230aは、実転舵角θt_actに応じて増減する第1ゲインGa2、及び、当該第1ゲインGa2との和が1となる第2ゲインGb2を生成する。
第2ゲイン比率生成部230aは、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において第1ゲインGa2を単調減少させる。これに伴い、第2ゲインGb2は、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において単調増加する。第1操舵角θh_Aは、例えば3[deg]とされる。第2操舵角θh_Bは、例えば20[deg]とされる。第1操舵角θh_A及び第2操舵角θh_Bの各値により本開示が限定されるものではない。
図26Bでは、第1操舵角θh_A以下の範囲における第1ゲインGa2の最大値Ga2_maxは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第2ゲインGb2の最大値Gb2_maxよりも大きい例を示している。この場合、第1操舵角θh_A以下の範囲における第2ゲインGb2の最小値Gb2_minは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第1ゲインGa2の最小値Ga2_minよりも大きい。
なお、第1操舵角θh_A以下の範囲における第1ゲインGa2の最大値Ga2_maxは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第2ゲインGb2の最大値Gb2_maxよりも小さく、第1操舵角θh_A以下の範囲における第2ゲインGb2の最小値Gb2_minは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第1ゲインGa2の最小値Ga2_minよりも小さい態様であっても良い。
また、第1操舵角θh_A以下の範囲における第1ゲインGa2の最大値Ga2_maxは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第2ゲインGb2の最大値Gb2_maxと等しく、第1操舵角θh_A以下の範囲における第2ゲインGb2の最小値Gb2_minは、第2操舵角θh_B以上の範囲における第1ゲインGa2の最小値Ga2_minと等しい態様であっても良い。
ゲイン比率算出部231は、第1ゲイン比率生成部230から出力される第1ゲインGa1及び第2ゲインGb1、並びに、第2ゲイン比率生成部230aから出力される第1ゲインGa2及び第2ゲインGb2が入力される。ゲイン比率算出部231は、下記(14)式を用いて第1ゲインGaを算出し、下記(15)式を用いて第2ゲインGbを算出する。
Ga=(Ga1×Ga2)/{(Ga1×Ga2)+(Gb1×Gb2)}
・・・(14)
Gb=(Gb1×Gb2)/{(Ga1×Ga2)+(Gb1×Gb2)}
・・・(15)
第1ゲインGaは、乗算部261によりトルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じられる。第2ゲインGbは、乗算部262によりトルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じられる。
操舵トルク目標値生成部200cは、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対し第1ゲインGaを乗じた(乗算部261)トルク値Ga×Tref_a、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対し第2ゲインGbを乗じた(乗算部262)Gb×Tref_d、ダンピングトルク値生成部240から出力されたトルク値Tref_b、及び、ヒステリシス補償部250から出力されたトルク補償値Tref_cを加算し(加算部271,272,273)、操舵トルク目標値Th_refとして出力する。
実施形態4では、車速Vs及び実操舵角θh_actの双方に応じた比率で、ハンドル1に路面反力トルク推定値Tsat_estに応じた操舵反力を付与することができる。具体的に、操舵トルク目標値生成部200cは、車速Vs又は実操舵角θh_actが相対的に小さい領域では、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対して相対的に大きい第1ゲインGaを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成し、車速Vs又は実操舵角θh_actが相対的に大きい領域では、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対して相対的に大きい第2ゲインGbを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成する。これにより、路面の状況、及び、車速Vs並びに実操舵角θh_actを反映した操舵感を得ることができる。
なお、実施形態4に係る第1ゲイン比率生成部230におけるゲイン比率設定例は一例であって、上述した図26Aに示す態様に限定されない。例えば、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において第1ゲインGa1が車速Vsの増加に伴って徐々に減少し、これに伴い、第2ゲインGb1が車速Vsの増加に伴って徐々に増加する態様であっても良い。また、例えば、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において、第1ゲインGa1が車速Vsの減少に伴って徐々に増加し、これに伴い、第2ゲインGb1が車速Vsの減少に伴って徐々に減少する態様であっても良い。
また、実施形態4に係る第2ゲイン比率生成部230aにおけるゲイン比率設定例は一例であって、上述した図26Bに示す態様に限定されない。例えば、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において、第1ゲインGa2が実操舵角θh_actの増加に伴って徐々に減少し、これに伴い、第2ゲインGb2が実操舵角θh_actの増加に伴って徐々に増加する態様であっても良い。また、例えば、第1操舵角θh_A以上第2操舵角θh_B以下の範囲内において、第1ゲインGa2が実操舵角θh_actの減少に伴って徐々に増加し、これに伴い、第2ゲインGb2が実操舵角θh_actの減少に伴って徐々に減少する態様であっても良い。
(実施形態5)
以下、路面の状況や車両の状態に応じた操舵感を付与可能な実施形態5に係る構成及び動作について、図27、図28、図29A、及び図29Bを参照して説明する。図27は、実施形態5に係る操舵トルク目標値生成部の構成例を示すブロック図である。図28は、実施形態5に係るゲイン比率生成部の構成例を示すブロック図である。図29A及び図29Bは、実施形態5に係るゲイン比率生成部におけるゲイン比率設定例の一例を概念的に示す線図である。
本実施形態では、車速Vs及び実転舵角θt_actをパラメータとして、第1ゲインGa及び第2ゲインGbを生成する。図27に示すように、実施形態5に係る操舵トルク目標値生成部200dのゲイン比率生成部230dには、車速Vs及び実転舵角θt_actが入力される。また、ゲイン比率生成部230dは、図25に示すように、第1ゲイン比率生成部230、第2ゲイン比率生成部230b、及びゲイン比率算出部231を備えている。
ゲイン比率生成部230dの第1ゲイン比率生成部230は、実施形態1に係るゲイン比率生成部230と実質的に同一の構成部である。第1ゲイン比率生成部230は、車速Vsに応じて増減する第1ゲインGa1、及び、当該第1ゲインGa1との和が1となる第2ゲインGb1を生成する。
第1ゲイン比率生成部230は、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において第1ゲインGa1を単調減少させる。これに伴い、第2ゲインGb1は、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において単調増加する。第1車速Vs_Aは、例えば5[km/h]とされる。第2車速Vs_Bは、例えば30[km/h]とされる。第1車速Vs_A及び第2車速Vs_Bの各値により本開示が限定されるものではない。
図29Aでは、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGa1の最大値Ga1_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGb1の最大値Gb1_maxよりも大きい例を示している。この場合、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGb1の最小値Gb1_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGa1の最小値Ga1_minよりも大きい。
なお、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGa1の最大値Ga1_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGb1の最大値Gb1_maxよりも小さく、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGb1の最小値Gb1_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGa1の最小値Ga1_minよりも小さい態様であっても良い。
また、第1車速Vs_A以下の範囲における第1ゲインGa1の最大値Ga1_maxは、第2車速Vs_B以上の範囲における第2ゲインGb1の最大値Gb1_maxと等しく、第1車速Vs_A以下の範囲における第2ゲインGb1の最小値Gb1_minは、第2車速Vs_B以上の範囲における第1ゲインGa1の最小値Ga1_minと等しい態様であっても良い。
第1ゲインGaの最大値Ga_max、第1ゲインGaの最小値Ga_min、第2ゲインGbの最大値Gb_max、及び第2ゲインGbの最小値Gb_minの各値及び大小関係は、本開示に係る制御装置50が搭載される車両の運動性能や車両諸元等に応じて適宜設定すれば良い。
ゲイン比率生成部230cの第2ゲイン比率生成部230bは、実施形態3に係るゲイン比率生成部230bと実質的に同一の構成部である。第2ゲイン比率生成部230bは、実転舵角θt_actに応じて増減する第1ゲインGa2、及び、当該第1ゲインGa2との和が1となる第2ゲインGb2を生成する。
第2ゲイン比率生成部230bは、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において第1ゲインGa2を単調減少させる。これに伴い、第2ゲインGb2は、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において単調増加する。第1転舵角θt_Aは、例えば3[deg]とされる。第2転舵角θt_Bは、例えば20[deg]とされる。第1転舵角θt_A及び第2転舵角θt_Bの各値により本開示が限定されるものではない。
図29Bでは、第1転舵角θt_A以下の範囲における第1ゲインGa2の最大値Ga2_maxは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第2ゲインGb2の最大値Gb2_maxよりも大きい例を示している。この場合、第1転舵角θt_A以下の範囲における第2ゲインGb2の最小値Gb2_minは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第1ゲインGa2の最小値Ga2_minよりも大きい。
なお、第1転舵角θt_A以下の範囲における第1ゲインGa2の最大値Ga2_maxは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第2ゲインGb2の最大値Gb2_maxよりも小さく、第1転舵角θt_A以下の範囲における第2ゲインGb2の最小値Gb2_minは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第1ゲインGa2の最小値Ga2_minよりも小さい態様であっても良い。
また、第1転舵角θt_A以下の範囲における第1ゲインGa2の最大値Ga2_maxは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第2ゲインGb2の最大値Gb2_maxと等しく、第1転舵角θt_A以下の範囲における第2ゲインGb2の最小値Gb2_minは、第2転舵角θt_B以上の範囲における第1ゲインGa2の最小値Ga2_minと等しい態様であっても良い。
ゲイン比率算出部231は、実施形態4において説明した(14)式及び(15)式を用いて、第1ゲインGa及び第2ゲインGbを算出する。
第1ゲインGaは、乗算部261によりトルク値Tref_a(第1トルク値)に乗じられる。第2ゲインGbは、乗算部262によりトルク値Tref_d(第2トルク値)に乗じられる。
操舵トルク目標値生成部200dは、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対し第1ゲインGaを乗じた(乗算部261)トルク値Ga×Tref_a、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対し第2ゲインGbを乗じた(乗算部262)Gb×Tref_d、ダンピングトルク値生成部240から出力されたトルク値Tref_b、及び、ヒステリシス補償部250から出力されたトルク補償値Tref_cを加算し(加算部271,272,273)、操舵トルク目標値Th_refとして出力する。
実施形態5では、車速Vs及び実転舵角θt_actの双方に応じた比率で、ハンドル1に路面反力トルク推定値Tsat_estに応じた操舵反力を付与することができる。具体的に、操舵トルク目標値生成部200dは、車速Vs又は実転舵角θt_actが相対的に小さい領域では、操舵反力トルク値生成部210から出力されたトルク値Tref_a(第1トルク値)に対して相対的に大きい第1ゲインGaを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成し、車速Vs又は実転舵角θt_actが相対的に大きい領域では、路面反力感応トルク補償値生成部220から出力されたトルク値Tref_d(第2トルク値)に対して相対的に大きい第2ゲインGbを乗じて操舵トルク目標値Th_refを生成する。これにより、路面の状況、及び、車速Vs並びに実転舵角θt_actを反映した操舵感を得ることができる。
なお、実施形態5に係る第1ゲイン比率生成部230におけるゲイン比率設定例は一例であって、上述した図29Aに示す態様に限定されない。例えば、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において第1ゲインGa1が車速Vsの増加に伴って徐々に減少し、これに伴い、第2ゲインGb1が車速Vsの増加に伴って徐々に増加する態様であっても良い。また、例えば、第1車速Vs_A以上第2車速Vs_B以下の範囲内において、第1ゲインGa1が車速Vsの減少に伴って徐々に増加し、これに伴い、第2ゲインGb1が車速Vsの減少に伴って徐々に減少する態様であっても良い。
また、実施形態5に係る第2ゲイン比率生成部230bにおけるゲイン比率設定例は一例であって、上述した図29Bに示す態様に限定されない。例えば、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において、第1ゲインGa2が実転舵角θt_actの増加に伴って徐々に減少し、これに伴い、第2ゲインGb2が実転舵角θt_actの増加に伴って徐々に増加する態様であっても良い。また、例えば、第1転舵角θt_A以上第2転舵角θt_B以下の範囲内において、第1ゲインGa2が実転舵角θt_actの減少に伴って徐々に増加し、これに伴い、第2ゲインGb2が実転舵角θt_actの減少に伴って徐々に減少する態様であっても良い。
(実施形態6)
本実施形態では、第1ゲインGa及び第2ゲインGbの実施形態4とは異なる設定手法について説明する。図30は、実施形態6に係る操舵トルク目標値生成部の構成例を示すブロック図である。図31は、実施形態6に係るゲイン比率生成手法の一例を示す3Dマップである。
実施形態6に係る操舵トルク目標値生成部200eのゲイン比率生成部230eは、図31に示すゲイン比率設定マップを有している。ゲイン比率生成部230eは、図31に示すゲイン比率マップを用いて、車速Vs及び実操舵角θh_actをパラメータとする第2ゲインGbを生成する。また、ゲイン比率生成部230eは、下記(16)式を用いて第1ゲインGaを算出する。
Ga=1-Gb・・・(16)
なお、図31に示す例では、ゲイン比率生成部230eは、図31に示すゲイン比率マップを用いて第2ゲインGbを生成し、上記(16)式を用いて第1ゲインGaを算出する例を示したが、ゲイン比率生成部230eは、車速Vs及び実操舵角θh_actをパラメータとする第1ゲインGaを生成するためのゲイン比率マップを有し、上記(16)式を変形した下記(17)式を用いて第2ゲインGbを算出する態様であっても良い。
Gb=1-Ga・・・(17)
また、本実施形態では、実施形態4と同様に、車速Vs及び実操舵角θh_actをパラメータとして第1ゲインGa及び第2ゲインGbを生成する例について説明したが、車速Vs及び実転舵角θt_actをパラメータとする第2ゲインGb又は第1ゲインGaを生成するためのゲイン比率マップを有し、実施形態5と同様に、車速Vs及び実転舵角θt_actをパラメータとして第1ゲインGa及び第2ゲインGbを生成する態様とすることも可能である。
(実施形態7)
本実施形態では、転舵角制御部700について説明する。図32は、転舵角制御部の構成例を示すブロック図である。図32に示すように、転舵角制御部700は、フィードフォワード補償部710、PID制御部730、安定化補償部740、出力制限部760、摩擦補償部770、及び加算部720,750を備える。
フィードフォワード補償部710は、転舵角目標値θt_refに対する実転舵角θt_actの追従性向上のためのフィルタ(FFフィルタ)で構成される。フィードフォワード補償部710は、転舵角目標値θt_refに対してフィルタ処理を行う。具体的には、例えば1次遅れ又は2次遅れの伝達関数を有するLPFを使用し、そのLPFによるフィルタ処理により生じる時間遅れが転舵角目標値θt_refに対する実転舵角θt_actの追従遅れと同等となるようにLPFを設計する。
PID制御部730は、加算部720の演算結果である転舵角目標値θt_refと実転舵角θt_actとの偏差θt_errがゼロに近づくようにPID制御を行う。
安定化補償部740は、制御の安定化のために必要な伝達特性を有するフィルタ(安定化フィルタ)で構成される。安定化補償部740は、PID制御部730の出力値に対してフィルタ処理を行う。
出力制限部760は、加算部750の演算結果である電流指令値Iref_cに対して出力制限処理を行い、第2転舵モータ電流指令値It_refを出力する。出力制限部760は、電流指令値Iref_cに対する上限値及び下限値が予め設定されている。出力制限部760は、電流指令値Iref_cの上下限値を制限して、転舵モータ電流指令値It_refを出力する。
なお、上述したフィードフォワード補償部710及び安定化補償部740は、必ずしも必要な構成部ではなく、例えば、フィードフォワード補償部710及び安定化補償部740の何れか一方あるいは双方を具備しない態様であっても良い。
摩擦補償部770は、転舵角目標値θt_refに基づき、転舵機構における摩擦によって生じる転舵角目標値θt_refに対する実転舵角θt_actの追従遅れを補償するための第2電流補償値Iref_bを算出する。以下、摩擦補償部770の具体的な構成及び動作について、詳細に説明する。
図33は、摩擦補償部の構成例を示すブロック図である。図33に示すように、摩擦補償部770は、主要な構成要素として、電流補償値演算部771、及び電流感応ゲイン生成部773を備えている。
電流補償値演算部771には、転舵角目標値θt_ref及び当該転舵角目標値θt_refを微分部772によって微分して算出した転舵速度目標値ωt_refが入力される。電流補償値演算部771は、転舵角目標値θt_ref及び転舵速度目標値ωt_refに基づき、第1電流補償値Iref_b0を演算する。
以下、電流補償値演算部771における第1電流補償値Iref_b0の演算手法について説明する。
図34は、電流補償値演算部における第1電流補償値の特性例を示す線図である。図34において、横軸は転舵角目標値θt_refを示し、縦軸は第1電流補償値Iref_b0を示している。また、図34において、実線は右転舵時における第1電流補償値Iref_b0を示し、破線は左転舵時における第1電流補償値Iref_b0を示している。図34に示すように、電流補償値演算部771において演算される第1電流補償値Iref_b0は、左転舵時と左転舵時とで異なる値となるヒステリシス特性を有している。図34に示すL1は、転舵輪5L,5Rのセンター位置(原点(0,0))から右転舵した際の軌跡を示し、L2は、座標A(x1,y1)において右転舵から左転舵へ切り替えが発生した場合の軌跡を示し、L3は、座標B(x2,y2)において右転舵から左転舵へ切り替えが発生した場合の軌跡を示している。
電流補償値演算部771は、転舵角目標値θt_ref及び転舵速度目標値ωt_refに基づき、下記(18)式及び(19)式を用いて第1電流補償値Iref_b0を算出する。具体的には、転舵速度目標値ωt_refの符号ωt_ref(sgn)が正値(「+」)である場合には、下記(18)式を用いて第1電流補償値Iref_b0を算出し、転舵速度目標値ωt_refの符号ωt_ref(sgn)が負値(「-」)である場合には、下記(19)式を用いて第1電流補償値Iref_b0を算出する。なお、下記(18)式及び(19)式において、xは転舵速度目標値ωt_ref、yRは右転舵時の第1電流補償値Iref_b0、yLは左転舵時の第1電流補償値Iref_b0とする。また、係数aは1よりも大きい値であり、係数cは0よりも大きい値である。係数Ahysは、ヒステリシス特性の出力幅(第1電流補償値Iref_b0の幅)を示し、係数cは、ヒステリシス特性の丸みを表す係数である。
yR=Ahys{1-a-c(x-b)}・・・(18)
yL=-Ahys{1-ac(x-b’)}・・・(19)
すなわち、電流補償値演算部771は、右転舵時(ωt_ref(sgn)=「+」)には、上記(18)式を用いて第1電流補償値Iref_b0(yR)を算出し、左転舵時(ωt_ref(sgn)=「-」)には、上記(19)式を用いて第1電流補償値Iref_b0(yL)を算出する。
右転舵から左転舵への切り替えが発生した場合(ωt_ref(sgn)=「+」→「-」)、あるいは、左転舵から右転舵へ切り替えが発生した場合(ωt_ref(sgn)=「-」→「+」)、電流補償値演算部771は、転舵角目標値θt_ref及び第1電流補償値Iref_b0の前回値を引き継ぎ、転舵切り替え後に適用する上記(18)式又は(19)式に対し、下記(20)式又は(21)式に示す係数b又はb’を代入する。これにより、転舵切り替え前後の連続性が保たれる。具体的には、右転舵から左転舵への切り替えが発生した場合(ωt_ref(sgn)=「+」→「-」)、電流補償値演算部771は、転舵角目標値θt_ref及び第1電流補償値Iref_b0の前回値(図34に示す座標A(x1,y1))を上記(19)式に適用し、下記(21)式に示す係数b’を代入して第1電流補償値Iref_b0を算出する。また、左転舵から右転舵へ切り替えが発生した場合(ωt_ref(sgn)=「-」→「+」)、電流補償値演算部771は、転舵角目標値θt_ref及び第1電流補償値Iref_b0の前回値(図34に示す座標B(x2,y2))を上記(18)式に適用し、下記(20)式に示す係数bを代入して第1電流補償値Iref_b0を算出する。
b=x1+(1/c)loga{1-(y1/Ahys)}・・・(20)
b’=x1-(1/c)loga{1-(y1/Ahys)}・・・(21)
上記(20)式及び(21)式は、上記(18)式及び(19)式において、xにx1を代入し、yR及びyLにy1を代入することにより導出することができる。
係数aとして、例えば、ネイピア数eを用いた場合、上記(18)式、(19)式、(20)式、(21)式は、それぞれ下記(22)式、(23)式、(24)式、(25)式で表せる。
yR=Ahys[1-exp{-c(x-b)}]・・・(22)
yL=-Ahys[{1-exp{c(x-b’)}]・・・(23)
b=x1+(1/c)loge{1-(y1/Ahys)}・・・(24)
b’=x1-(1/c)loge{1-(y1/Ahys)}・・・(25)
図33に戻り、前回値保持部774には、転舵角制御部700の前回出力値It_ref’が保持される。具体的に、前回出力値It_ref’は、前回処理における第2転舵モータ電流指令値It_refである。前回値保持部774は、例えば、制御装置50を構成するECUのRAMで構成される。
本開示において、絶対値演算部775は、前回値保持部774から出力される転舵角制御部700の前回出力値It_ref’の絶対値処理を行う。
電流感応ゲイン生成部773には、絶対値演算部775において絶対値処理された転舵角制御部700の前回出力値|It_ref’|が入力される。電流感応ゲイン生成部773は、転舵角制御部700の前回出力値|It_ref’|に応じたゲインGiを生成する。
電流感応ゲイン生成部773は、転舵角制御部700の前回出力値|It_ref’|に応じたゲインGiが設定された電流感応ゲインマップを有している。電流感応ゲインマップは、例えば、制御装置50を構成するECUのROMに記憶されている。図35Aは、電流感応ゲインマップの第1例を示す線図である。図35Bは、電流感応ゲインマップの第2例を示す線図である。
図35Aに示す電流感応ゲインマップの第1例では、転舵角制御部700の前回出力値|It_ref’|に応じてゲインGiが増減する電流値感応型の特性を有している。より具体的に、ゲインGiは、図35Aに示すように、転舵角制御部700の前回出力値|It_ref’|が増加するに従い単調増加する。
図36は、摩擦補償部の出力特性の一例を示す線図である。図36において、横軸は転舵角目標値θt_refを示し、縦軸は第2電流補償値Iref_bを示している。
転舵機構において生じる摩擦力は、転舵用モータ41と減速機構42との間に介在するギアトルクによる摩擦が含まれている。なお、ギアトルクとは、減速機の機械要素に生じる摩擦力に起因するトルクを指す。たとえば、ウォーム減速機の場合、ウォームギアとウォームホイールとの間の噛み合い部に生じる摩擦力により引き起こされる摩擦トルクが、ギアトルクと定義されうる。このギアトルクによる摩擦力は、モータ電流に対して単調増加する。
本開示において、摩擦補償部770は、電流補償値演算部771から出力される第1電流補償値Iref_b0に対し、電流感応ゲイン生成部773によって生成されたゲインGiを乗じ(乗算部776)、第2電流補償値Iref_bを算出する。これにより、図36に示すように、ヒステリシス特性の出力幅(第2電流補償値Iref_bの幅)が第2転舵モータ電流指令値It_refに応じて増減する特性が得られ、ギアトルクに起因する摩擦力に応じた摩擦補償制御を実現することができる。
具体的に、相対的に第2転舵モータ電流指令値It_refが大きい場合には、ギアトルクが相対的に大きくなり、ギアトルクに起因する摩擦力が強く働く。このような状況下では、電流補償値演算部771から出力される第1電流補償値Iref_b0に対して、ゲインGi_Mよりも相対的に大きいゲインGi_Hを乗じることで、破線で示すように、ヒステリシス特性の出力幅(第2電流補償値Iref_bの幅)を大きくすることができる。
また、相対的に第2転舵モータ電流指令値It_refが小さい場合には、ギアトルクが相対的に小さくなり、ギアトルクに起因する摩擦力が小さくなる。このような状況下では、電流補償値演算部771から出力される第1電流補償値Iref_b0に対して、ゲインGi_Mよりも相対的に小さいゲインGi_Lを乗じることで、一点鎖線で示すように、ヒステリシス特性の出力幅(第2電流補償値Iref_bの幅)を小さくすることができる。
なお、電流感応ゲインマップの態様は、図35Aに示す第1例の態様に限定されない。例えば、図35Bに示す第2例のように、第2転舵モータ電流指令値It_ref(転舵角制御部700の前回出力値|It_ref’|)に依らず、電流補償値演算部771から出力される第1電流補償値Iref_b0に対して一定のゲインGi=k(例えば、k=1)を乗じて、第2電流補償値Iref_bを算出する態様であっても良い。
摩擦補償部770から出力された第2電流補償値Iref_bは、図32に示す加算部750にて安定化補償部740から出力される第1転舵モータ電流指令値Iref_aと加算され、加算後の電流指令値Iref_cに対し出力制限部760により出力制限された第2転舵モータ電流指令値It_refが出力される。
図37は、変形例に係る摩擦補償部の構成例を示すブロック図である。図33に示す摩擦補償部770aの構成例では、電流補償値演算部771から出力される第1電流補償値Iref_b0に対し、電流感応ゲイン生成部773によって生成されたゲインGiを乗じる態様としたが、図37に示す変形例において、電流補償値演算部771aは、第2転舵モータ電流指令値It_ref(転舵角制御部700の前回出力値|It_ref’|)と、上記(6)式から(13)式における係数Ahysとが関連付けられたテーブル(データ)が保持され、図36に示すように、ヒステリシス特性の出力幅(第2電流補償値Iref_bの幅)が第2転舵モータ電流指令値It_refに応じて増減する特性を得る構成であっても良い。当該データは、電流感応ゲインマップと同様に、例えば、制御装置50を構成するECUのROMに記憶しておくことができる。これにより、図33に示す構成と同様に、ギアトルクに起因する摩擦力に応じた摩擦補償制御を実現することができる。
なお、転舵角目標値θt_refを微分して転舵速度目標値ωt_refを得る態様に限定されず、例えば、転舵用モータ41のモータ角速度を用いて、転舵方向が切り替わったことを判定する態様であっても良い。また、電流補償値演算部771及び電流感応ゲイン生成部773の前段にフィルタを備えた構成であっても良いし、電流感応ゲイン生成部773の後段にフィルタを備えた構成であっても良い。さらに、摩擦補償部770の後段に、上述した出力制限部760と同様に、第2電流補償値Iref_bに対して出力制限処理を行うリミッタを具備した構成であっても良い。
図38A及び図38Bは、摩擦補償部による摩擦補償制御の具体例を説明する第1概念図である。図38A及び図38Bにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は転舵角を示している。図38A及び図38Bに示す破線は転舵角目標値θt_refを示し、実線は実転舵角θt_actを示している。図38Aは、摩擦補償部770による摩擦補償制御を行っていない場合の時間応答を例示している。図38Bは、摩擦補償部770による摩擦補償制御を行った場合の時間応答を例示している。
図38A及び図38Bに示す例では、転舵輪5L,5Rのセンター位置から比較的速い所定周波数で左右に転舵した場合の時間応答を示している。摩擦補償部770による摩擦補償制御を行っていない場合、図38Aに示すように、破線で囲う転舵方向の切り替え時において実転舵角θt_actに歪みが生じている。この場合、運転者のハンドル操作の切り増しから切り戻しへの操舵方向の切り替え、あるいは切り戻しから切り増しへの切り替えにおいて、ハンドル1の操作(操舵)と転舵輪5L,5Rの転舵との間に乖離が生じ、運転者に違和感を与える可能性がある。これに対し、摩擦補償部770による摩擦補償制御を行った場合、図38Bに示すように、破線で囲う転舵方向の切り替え時において実転舵角θt_actに歪みが生じることが抑制される。
より詳細に説明すると、転舵方向の切り替え時において、転舵角目標値θt_refが切り替わると、転舵速度目標値ωt_refは略ゼロとなるが、第1電流補償値Iref_b0は、転舵角目標値θt_refに応じて定められるため、摩擦補償部770は、転舵速度目標値ωt_refは略ゼロの場合であっても、所定の摩擦補償制御を行うことができる。
これにより、運転者のハンドル操作の切り増しから切り戻しへの操舵方向の切り替え、あるいは切り戻しから切り増しへの切り替えにおいて、運転者に与える違和感を軽減することができる。
図39A及び図39Bは、摩擦補償部による摩擦補償制御の具体例を説明する第2概念図である。図39A及び図39Bにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は転舵角を示している。図39A及び図39Bに示す破線は転舵角目標値θt_refを示し、実線は実転舵角θt_actを示している。図39Aは、実施形態に係る摩擦補償制御の比較例として、転舵速度目標値ωt_refに応じた摩擦補償制御を行った場合の時間応答を例示している。図39Bは、摩擦補償部770による摩擦補償制御を行った場合の時間応答を例示している。
図39A及び図39Bに示す例では、図38A及び図38Bよりも微小に左右に転舵した場合の時間応答を示している。比較例に係る転舵速度目標値ωt_refに応じた摩擦補償制御を行った場合、図39Aに示すように、微小に左右に転舵した場合に、破線で囲う転舵方向の切り替え時において実転舵角θt_actに歪みが生じている。これに対し、摩擦補償部770による摩擦補償制御を行った場合、図39Bに示すように、微小に左右に転舵した場合においても、破線で囲う転舵方向の切り替え時において実転舵角θt_actに歪みが生じることが抑制される。
より詳細に説明すると、ハンドルをゆっくりかつ微小かつゆっくりと操作した場合、転舵方向の切り替え時において、図38A及び図38Bの例と同様に、転舵角目標値θt_refが切り替わると、転舵速度目標値ωt_refは略ゼロとなる。ここで、図38A及び図38Bの例とは異なり、転舵角目標値θt_refもゼロに近い値を取るため、電流補償値演算部771から出力される第1電流補償値Iref_b0もまた小さい値が出力されるが、電流感応ゲイン生成部773により算出されたゲインGiを、第1電流補償値Iref_b0に乗ずることで、第2電流補償値Iref_bが小さくなりすぎることを防止することができる。
これにより、運転者によるハンドル操作が微小であるような状況下においても、運転者のハンドル操作の切り増しから切り戻しへの操舵方向の切り替え、あるいは切り戻しから切り増しへの切り替えにおいて、運転者に与える違和感を軽減することができる。
上述したように、転舵角制御部700は、摩擦補償部770を具備し、転舵角目標値θt_refに基づき、転舵機構における摩擦によって生じる転舵角目標値θt_refに対する実転舵角θt_actの追従遅れを補償するための第2電流補償値Iref_bを算出する構成とすることで、運転者のハンドル操作速度に依らず、効果的かつ適切に摩擦補償制御を行うことができる。
また、上述したように、第2電流補償値Iref_bを第2転舵モータ電流指令値It_refに応じて増減する特性とすることで、ギアトルクに起因する摩擦力に応じた摩擦補償制御を実現することができる。
本開示において、路面反力感応トルク補償値生成部220は、摩擦補償部770から出力される第2電流補償値Iref_bを加算する前の第1転舵モータ電流指令値Iref_aに応じた路面反力トルク推定値Tsat_estを算出することにより、実際の車両の走行時における実路面反力トルクTsat_actの挙動に応じた路面反力トルク推定値Tsat_estが得られ、当該路面反力トルク推定値Tsat_estに応じた操舵反力を付与することができる。
また、本開示において、第1車速Vs_Aから第2車速Vs_Bまでの区間における第1ゲインGaと第2ゲインのGbの増減は、図19等に示すように、車速に対して線形に変化させてもよいし、一部の区間を非線形に変化させてもよい。
なお、上述した実施形態で使用した図は、本開示に関して定性的な説明を行うための概念図であり、これらに限定されるものではない。また、上述の実施形態は本開示の好適な実施の一例ではあるが、これに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。