以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、自動車のステアリングホイール等に搭載されるエアバッグ装置に好適に組み込まれるディスク型ガス発生器に本発明を適用したものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分に図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の実施形態におけるディスク型ガス発生器100の概略図である。まず、この図1を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器100の構成について説明する。
図1に示すように、ディスク型ガス発生器100は、軸方向の一端および他端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、カップ状部材50、伝火薬59、ガス発生剤61、下側支持部材70、上側支持部材80、クッション材85およびフィルタ90等が収容されてなるものである。また、ハウジングの内部に設けられた収容空間には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤61が主として収容された燃焼室60が位置している。
ハウジングは、下部側シェル10および上部側シェル20を含んでいる。下部側シェル10および上部側シェル20の各々は、たとえば圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。下部側シェル10および上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440[MPa]以上780[MPa]以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が利用される。
下部側シェル10および上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。
下部側シェル10の周壁部12の上端は、上部側シェル20の周壁部22の下端に挿入されることで圧入されている。さらに、下部側シェル10の周壁部12と上部側シェル20の周壁部22とが、それらの当接部またはその近傍において接合されることにより、下部側シェル10と上部側シェル20とが固定されている。ここで、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接やレーザ溶接、摩擦圧接等が好適に利用できる。
これにより、ハウジングの周壁部のうちの底板部11寄りの部分は、下部側シェル10の周壁部12によって構成されており、ハウジングの周壁部のうちの天板部21寄りの部分は、上部側シェル20の周壁部22によって構成されている。また、ハウジングの軸方向の一端および他端は、それぞれ下部側シェル10の底板部11および上部側シェル20の天板部21によって閉塞されている。
下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、保持部30を介して点火器40が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に雌型コネクタ部34を設けるためのスペースとなる部位である。
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視した状態において非点対称形状(たとえばD字状、樽型形状、長円形状等)の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42が挿通される部位である。
点火器40は、火炎を発生させるためのものであり、点火部41と、上述した一対の端子ピン42とを備えている。点火部41は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体とを含んでいる。一対の端子ピン42は、点火薬を着火させるために点火部41に接続されている。
より詳細には、点火部41は、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン42が挿通されてこれを保持する塞栓とを備えており、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン42の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップおよび塞栓は、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合に一般に2[ms]以下である。
点火器40は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように絶縁性の流動性樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31および外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32および連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40の点火部41の下方端寄りの部分の側面および下面と、点火器40の端子ピン42の上方端寄りの部分の表面とにそれぞれ固着している。
これにより、開口部15は、端子ピン42と保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。なお、開口部15は、上述したように平面視非点対称形状に形成されているため、当該開口部15を連結部33で埋め込むことにより、これら開口部15および連結部33は、保持部30が底板部11に対して回転してしまうことを防止する回り止め機構としても機能する。
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。
この雌型コネクタ部34内には、点火器40の端子ピン42の下方端寄りの部分が露出して配置されている。雌型コネクタ部34には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
また、保持部30によって覆われることとなる部分の底板部11の表面の所定位置に予め接着剤層が設けられてなる下部側シェル10を用いて上述した射出成形を行なうこととしてもよい。当該接着剤層は、上記底板部11の所定位置に予め接着剤を塗布してこれを硬化させること等により、その形成が可能である。
このようにすれば、底板部11と保持部30との間に硬化した接着剤層が位置することになるため、樹脂成形部からなる保持部30をより強固に底板部11に固着させることが可能になる。したがって、底板部11に設けられた開口部15を囲うように上記接着剤層を周方向に沿って環状に設けることとすれば、当該部分においてより高いシール性を確保することが可能になる。
ここで、底板部11に予め塗布しておく接着剤としては、硬化後において耐熱性や耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料を原料として含むものが好適に利用され、たとえばシアノアクリレート系樹脂やシリコーン系樹脂を原料として含むものが特に好適に利用される。なお、上述の樹脂材料以外にも、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテレフタラート系樹脂、ポリエチレンテレフタラート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、液晶ポリマー、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム等を原料として含むものが、上述した接着剤として利用可能である。
なお、ここでは、樹脂成形部からなる保持部30を射出成形することで下部側シェル10に対する点火器40の固定を可能にした場合の構成例を例示したが、下部側シェル10に対する点火器40の固定に他の代替手段を用いることも可能である。
底板部11には、突状筒部13、保持部30および点火器40を覆うようにカップ状部材50が組付けられている。カップ状部材50は、底板部11側の端部が開口した有底略円筒状の形状を有しており、伝火薬59が収容される空間をその内部に含んでいる。カップ状部材50は、その内部に設けられた空間が点火器40の点火部41に面することとなるように、ガス発生剤61が収容された燃焼室60内に向けて突出して位置するように配置されている。
カップ状部材50は、頂壁部51と、当該頂壁部51の周縁から底板部11側に向けて延設された筒状の側壁部52と、当該側壁部52の底板部11側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設された延設部53とを有している。
側壁部52は、頂壁部51側に設けられた薄肉部52aと、薄肉部52aから軸方向に沿って頂壁部51と反対側に延設された厚肉部52bと、を備えている。薄肉部52aは、後述する脆弱部55よりは厚肉で厚肉部52bよりは薄肉であり、脆弱部55の破裂(破断)、変形、又は溶融に則って、破裂(破断)、変形、又は溶融する機械的強度を有したものである。
延設部53は、下部側シェル10の底板部11の内表面に沿って延びるように形成されている。具体的には、延設部53は、突状筒部13が設けられた部分およびその近傍における底板部11の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部54を含んでいる。
延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側支持部材70とによって挟み込まれている。このため、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側支持部材70によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。よって、カップ状部材50の固定にかしめ固定や圧入固定を利用せずとも、カップ状部材50が底板部11から脱落することが防止できる。
カップ状部材50は、側壁部52および頂壁部51のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた空間を取り囲んでいる。このカップ状部材50は、点火器40が作動することによって伝火室57内部の伝火薬59が着火された場合に、その内部の空間の圧力上昇や発生した熱の伝導に伴って破裂、変形または溶融するものである。
カップ状部材50の材質としては、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスやステンレス合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。特に、アルミニウムよりも機械的強度が比較的に高い、アルミニウム合金、または、ステンレス鋼、鉄鋼等の鉄系金属材料が好ましい。
なお、カップ状部材50の固定方法としては、上述した下側支持部材70を用いた固定方法に限られず、他の固定方法を利用してもよい。
カップ状部材50の頂壁部51の少なくとも一部には、側壁部52より薄肉の脆弱部55が設けられている。図2に示すように、脆弱部55は、放射状に延びるスリットによって設けられ、カップ状部材50の側壁部52よりも機械的強度が低く構成されている。ここで、脆弱部55が点火器40の点火部41に対向することとなるように配置されている。また、頂壁部51の放射状に延びる脆弱部55以外の部分は、脆弱部55より厚肉で厚肉部52bと同程度の厚みである非脆弱部56が設けられている。
これにより、カップ状部材50の内部の空間は、伝火薬59が燃焼することによって生じる推力によって、脆弱部55を破裂(破断)、変形または溶融した後、この脆弱部55の破裂(破断)、変形、又は溶融に則って、薄肉部52aが破裂(破断)、変形、又は溶融するものであり、脆弱部55および薄肉部52aの機械的強度が比較的低くなっている。一方、非脆弱部56および厚肉部52bは、その厚みが脆弱部55に比して厚く形成されることにより、点火器40の作動に伴う伝火薬59の燃焼によっても、残存するように構成されている。
なお、上述した脆弱部55および薄肉部52aの厚みおよび非脆弱部56および厚肉部52bの厚みは、使用される伝火薬59の種類や充填量等に基づいて適宜調整されるものであるが、その一例を示す。例えば、上記脆弱部55および薄肉部52aの厚みは、カップ状部材を鉄製、ステンレス製、またはアルミニウム合金製とした場合には、0.6mm以下とされ、好ましくは0.5mm以下とされる。一方、非脆弱部56および厚肉部52bの厚みは、カップ状部材を鉄製、ステンレス製、またはアルミニウム合金製とした場合には、脆弱部55および薄肉部52aの厚みよりも大きいことを条件に、0.6mm以上1.5mm以下、好ましくは0.6mm以上1.2mm以下とされる。
なお、上述した脆弱部55は、図2に示したものに限られず、脆弱部55を構成するスリットが放射状に設けられていれば、いくつのスリットからなるものであってもよい。例えば、平面視十字状またはアスタリスク状にスリットが設けられたものであってもよい。
伝火室57に充填された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬59としては、ガス発生剤61を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO3)2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5-アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。
伝火薬59は、粉状のものや、バインダによって所定の形状に成形されたもの等が利用される。バインダによって成形された伝火薬59の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
ハウジングの内部の空間のうち、上述したカップ状部材50が配置された部分を取り巻く空間には、ガス発生剤61が収容された燃焼室60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50は、ハウジングの内部に形成された燃焼室60内に突出して配置されており、このカップ状部材50の頂壁部51の外側表面に面する部分に設けられた空間ならびに側壁部52の外側表面に面する部分に設けられた空間が燃焼室60として構成されている。これにより、カップ状部材50の外側表面には、これに隣接してガス発生剤61が配置されることになる。
また、ガス発生剤61が収容された燃焼室60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内周に沿ってフィルタ90が配置されている。フィルタ90は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されている。
ガス発生剤61は、点火器40の作動時において、伝火薬59によって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤61としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤61が形成される。
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5-アミノテトラゾール等が好適に利用される。
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性金属硝酸塩や塩基性炭酸銅等の塩基性金属炭酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。また、この他にも、バインダとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、デンプン等の多糖誘導体や、二硫化モリブデン、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、アルミナ等の無機バインダも好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤61の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ディスク型ガス発生器100が組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤61の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤61の形状の他にもガス発生剤61の燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
フィルタ90は、たとえばステンレス鋼や鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したものや、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの等が利用できる。網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用できる。
また、フィルタ90として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさや形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさや形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)やステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケルまたはこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
フィルタ90は、燃焼室60にて発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却しかつ残渣が外部に放出されないようにするためには、燃焼室60内にて発生したガスが確実にフィルタ90中を通過するようにすることが必要である。なお、フィルタ90は、ハウジングの周壁部を構成する下部側シェル10の周壁部12および上部側シェル20の周壁部22との間で所定の大きさの間隙部28が形成されることとなるように、当該周壁部12,22から離間して配置されている。
フィルタ90に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22には、複数個のガス噴出口23が設けられている。この複数個のガス噴出口23は、フィルタ90を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
また、上部側シェル20の周壁部22の内周面には、上記複数個のガス噴出口23を閉鎖するようにシール部材としての金属製のシールテープ24が貼り付けられている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が好適に利用でき、当該シールテープ24によって燃焼室60の気密性が確保されている。
燃焼室60のうち、底板部11側に位置する端部近傍には、下側支持部材70が配置されている。下側支持部材70は、環状の形状を有しており、フィルタ90と底板部11との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と底板部11とに実質的に宛がわれて配置されている。これにより、下側支持部材70は、燃焼室60の上記端部近傍において、底板部11とクッション材85との間に位置している。
下側支持部材70は、底板部11の内底面に沿うように底板部11に宛がわれた円環板状の基部71と、フィルタ90の底板部11寄りの内周面に当接する当接部72と、基部71から天板部21側に向けて立設された筒状の立設部73とを有している。当接部72は、基部71の外縁から延設されており、立設部73は、基部71の内縁から延設されている。立設部73は、カップ状部材50の延設部53を介して、下部側シェル10の突状筒部13の外周面と、保持部30の内側被覆部31の外周面とを覆っている。
下側支持部材70は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、点火器40の作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の下端と底板部11との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、下側支持部材70は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
下側支持部材70の基部71の上面には、燃焼室60に収容されたガス発生剤61に接触するように、円環板状のクッション材85が配置されている。クッション材85は、成形体からなるガス発生剤61が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。
ここで、クッション材85は、燃焼室60の底板部11側の部分において底板部11とガス発生剤61との間に位置することになる。このため、クッション材85によって、ガス発生剤61が天板部21側に向けて押圧されることになる。
また、クッション材85は、カップ状部材50の頂壁部51から所定距離まで離された位置に設けられていることになる。このため、点火器40の作動時においては、伝火薬59がクッション材85に吸着することなく、ガス発生剤61へ到達し伝火することが可能になるので、効率よくガス発生剤61を燃焼させることができ、ガス発生器100のガス出力性能を所望するものにすることができる。
また、クッション材85は、燃焼室60の底板部11側に設けられているので、クッション材85が燃焼室60の天板部21側に設けられている場合よりも、カップ状部材50の頂壁部51と天板部21との間に、多くのガス発生剤61を配置させることができる。その結果、点火器40の作動時において、多量のガスを発生させることができる。なお、ガス発生量は、カップ状部材50の頂壁部51と天板部21との間に配置されるガス発生剤61の量に基づいて適宜調整されるものであるが、その一例を示す。例えば、頂壁部51の上部に配置されるガス発生剤61の薬面(ガス発生剤61の最上部の位置)の高さ(天板部21又は上側支持部材80からの距離)が、5mm以上20mm以下であることが好ましい。
燃焼室60のうち、天板部21側に位置する端部には、上側支持部材80が配置されている。上側支持部材80は、略円盤状の形状を有しており、フィルタ90と天板部21との境目部分を覆うように、これらフィルタ90と天板部21とに宛がわれて配置されている。これにより、上側支持部材80は、燃焼室60の上記端部近傍において、天板部21とガス発生剤61との間に位置している。
上側支持部材80は、天板部21に当接する基部81と、当該基部81の周縁から立設された当接部82とを有している。当接部82は、フィルタ90の天板部21側に位置する軸方向端部の内周面に当接している。
上側支持部材80は、フィルタ90をハウジングに固定するための部材であるとともに、点火器40の作動時において、燃焼室60にて発生したガスがフィルタ90の内部を経由することなくフィルタ90の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する流出防止手段としても機能する。そのため、上側支持部材80は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されており、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
次に、図1を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器100の組立作業の要領について説明する。
まず、下部側シェル10においては、樹脂成形部からなる保持部30として射出成形されることによって、点火器40が固定される。そして、内部に伝火薬59が収容されたカップ状部材50の側壁部52を、下部側シェル10の保持部30に圧入することにより固定する。次いで、下側支持部材70をカップ状部材50の延設部53の先端部54に載置させ、フィルタ90を下部側シェル10の内底面に向けて挿入配置する。
そして、下側支持部材70の基部71の上面にクッション材85を配置し、フィルタ90の内側にガス発生剤61を充填し、上側支持部材80をフィルタ90の上端部分に内挿する。この後、ガス噴出口23がシールテープ24によって閉塞された上部側シェル20を下部側シェル10に対してかぶせ、下部側シェル10と上部側シェル20とを溶接する。以上により、図1に示す構造のディスク型ガス発生器100の組み立てが完了する。
ここで、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器100においては、カップ状部材50に開口が設けられていないため、カップ状部材50の内部に設けられた伝火室57に伝火薬59を充填する工程が非常に容易に行える。これは、ディスク型ガス発生器100の作動時において、カップ状部材の一部が、破裂、変形または溶融するようにカップ状部材50自体が機械的強度の低い脆弱な部材にて構成されているためである。すなわち、開口を有するカップ状部材を用いた場合に必要であった、伝火薬59を充填するためにカップ状部材に設けられた開口を閉塞する作業、例えば、アルミテープや閉塞板が不要になるため、製造工程を大幅に簡素化することができる。
図3は、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器100の動作を説明するための概略断面図である。次に、この図3と前述の図1とを参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器100の動作について説明する。
図1を参照して、ディスク型ガス発生器100が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。伝火室57に収容された伝火薬59は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼を開始する。
その際、図3に示すように、点火器40が作動した直後においては、点火部41に装填されていた点火薬が急速に燃焼することによって点火部41のスクイブカップが破裂するとともに、当該点火薬が急速に燃焼することによって生じる熱が、伝火室57に充填された伝火薬59に伝播する。
図3に示すように、上記推力がカップ状部材50の頂壁部51に達することにより、脆弱な部材からなるカップ状部材50の脆弱部55は破裂、変形、又は溶融が生じる。このカップ状部材50の脆弱部55の破裂、変形又は溶融は、点火薬が燃焼することによって生じる熱粒子による伝火薬59の着火よりも遅く発生する。なお、側壁部52には脆弱部55が存在せず、頂壁部51に脆弱部55が存在していることから、頂壁部51の脆弱部55から破裂、変形又は溶融し、頂壁部51の破裂、変形又は溶融まで内圧が上昇することとなる。ここで、カップ状部材50の伝火薬59は、点火薬が燃焼することによって生じる推力を受けてカップ状部材50の内部において飛散し、分散した状態となる。脆弱部55は、図2に示すようにスリットとして設けられ、カップ状部材50の頂壁部51から先に破裂、変形又は溶融し、側壁部52の薄肉部52aにかけて開裂していく。薄肉部52aは、この脆弱部55の破裂(破断)、変形、又は溶融に則って、破裂(破断)、変形、又は溶融し、厚肉部52bとの接続部まで開裂していく。ここで、厚肉部52bは、破裂(破断)、変形、又は溶融しない。
そのため、より短時間のうちにより点火器40から遠い位置にある伝火薬59についても熱粒子によって着火されてその燃焼を開始することになり、結果としてカップ状部材50の内部の空間の圧力上昇ならびに当該空間の温度上昇が大幅に促進されることとなる。その結果、より短時間のうちにカップ状部材50の脆弱部55が破裂、変形又は溶融することになり、伝火薬59が燃焼することによって生じた多量の熱粒子が、燃焼室60へと早期に流れ込むことになる。そして、この熱粒子は、下部側シェル10に設けられているクッション材85の影響を受けず、失活することなく、ガス発生剤61に接触することになる。
このようにして、伝火薬59および伝火薬59によって生じた多量の熱粒子が燃焼室60に流れ込むことにより、燃焼室60に収容されたガス発生剤61が着火されて燃焼し、多量のガスが発生する。燃焼室60にて発生したガスは、フィルタ90の内部を通過し、その際、フィルタ90によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去されて間隙部28に流れ込む。
そして、ガス発生剤61が燃焼することで生じるハウジングの内部の空間の圧力上昇に伴い、上部側シェル20に設けられたガス噴出口23を閉鎖していたシールテープ24が開裂し、当該ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、ディスク型ガス発生器100に隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、当該エアバッグを膨張および展開する。
なお、カップ状部材50が鉄製又はステンレス製である場合は、カップ状部材50がアルミニウム製である場合に比べて強度が高いことから、伝火薬59の燃焼の初期段階では、カップ状部材50の破裂、変形又は溶融は生じない。この時、カップ状部材の脆弱部55の破裂、変形又は溶融が生じる所定時間が経過するまで、カップ状部材50の内圧は上昇する。そして、一定以上の内圧となってから、カップ状部材50の脆弱部55および薄肉部52aが順に破裂、変形又は溶融することになる。そのため、カップ状部材50を鉄製又はステンレス製といった機械的強度の高い鉄系金属材料を使用して、機械的強度を上げることで、カップ状部材50の開裂時において十分に伝火薬59の燃焼を促進させ、カップ状部材50を開裂させることができる。このようなカップ状部材50の機械的強度の向上は、アルミニウム等の強度の低い金属を使用した場合でも、厚みを厚くすることで実現可能である。その場合の厚みとしては、0.4mm以上1.5mm以下が好ましく、0.6mm以上1.2mm以下がより好ましい。
以下、図1を参照して、本実施の形態におけるディスク型ガス発生器100において、伝火薬59による火炎エネルギーの伝達が好適に制御可能となる仕組みについて説明する。
上記構成のディスク型ガス発生器100においては、点火器40が作動することによって伝火室57内部の伝火薬59が着火され、まず初めにカップ状部材50の脆弱部55が破裂、変形又は溶融する。ここで、カップ状部材50は起点となる部分から破裂、変形又は溶融するため、脆弱部55が存在しない側壁部52から破裂、変形又は溶融するおそれがなく、伝火薬59が十分に燃焼してから頂壁部51が破裂、変形又は溶融することとなる。その後、破裂、変形又は溶融した脆弱部55を起点として、脆弱部55に沿って頂壁部51が開裂していく。頂壁部51の開裂後、開裂は側壁部52の薄肉部52aへ到達して、そのまま側壁部52の薄肉部52aを開裂させていく。そして、薄肉部52aと厚肉部52bとの接続部分において当該開裂が止まる。
このようにして、脆弱部55の長手方向に沿った開裂となることから、薄肉部52aと厚肉部52bとの接続部分まで花びら状に開裂することとなる。そのため、カップ状部材50が途中まで開裂して止まることで、時間の経過とともに天板部21側の方向へ向かうに従って拡がり、カップ状部材50の破断の大きさが安定した状態で開口されていくことから、伝火薬59の燃焼によって生じた熱粒子はより天板部21側へ指向性をもって流れ込むことになる。すなわち、燃焼室60内に流入する火炎がカップ状部材50と天板部21との間に絞られることとなる。よって、脆弱部55が破裂、変形又は溶融して、脆弱部55を起点として、頂壁部51の非脆弱部が開裂した開裂の第1段階においては、カップ状部材50に隣接するガス発生剤61のすべてが一度に同時に着火されることがなくなり、ガス発生剤61の燃え広がりが伝火室57と天板部21との間を中心として進行することになる。
そして、カップ状部材50の頂壁部51の破裂、変形又は溶融が進行していくと、次に第2段階として側壁部52の薄肉部52aの開裂が進行していく。ここで、側壁部52の開裂は、頂壁部51に放射状に設けられた脆弱部55が設けられていた長手方向に沿って進行していくこととなり、薄肉部52aにおいては側壁部52の軸方向に下方に向かって開裂が進行していくが、途中まで開裂した後、当該開裂は止まる。そのため、かかる開裂部からも、伝火薬59の燃焼によって生じた熱粒子が燃焼室60内へ流入していくこととなる。その結果、薄肉部52aとフィルタ90との間のガス発生剤61へも燃え広がりが進行し、続いて、厚肉部52bとフィルタ90との間のガス発生剤61へも燃え広がりが進行して行くこととなる。
したがって、カップ状部材50に脆弱部55、非脆弱部56、薄肉部52a、および厚肉部52bを設け、これら脆弱部55、非脆弱部56、薄肉部52a、および厚肉部52bが設けられる位置および大きさ等を適宜調整することにより、ガス発生剤61が急速に燃焼することを防止してその燃焼の進行を意図的に遅延させることができ、ガス出力を所定時間にわたって持続させるなどのガス出力の調整を仕様に応じて最適化することが非常に容易に行えることになる。また、カップ状部材50の破裂、変形または溶融の初期では、伝火薬59の燃焼によって生じた熱粒子が天板部21側へ向かうことから、フィルタ90に加わる衝撃が緩和されてその損傷が未然に防止される効果も得られる。
また、クッション材85が底板部11側に配置されていることで、カップ状部材50の頂壁部51が、破裂、変形又は溶融してから、直ぐに頂壁部51と天板部21の間のガス発生剤61の燃焼が円滑に進行するため、ガス出力の遅延が生じることもなく、ガス発生器内部の内圧も迅速に高まり、さらにガス出力特性のばらつきが生じることも未然に防止できる。
なお、点火器40が作動することで発生する推力の伝播を受けてカップ状部材50の脆弱部55および薄肉部52aが破裂、変形又は溶融するかは、カップ状部材50の機械的強度(厚みや材質、形状等)や点火器40の出力、点火部41とカップ状部材50の脆弱部55との間の距離、伝火室57に充填された伝火薬59の密度等によって決まることになる。
また、カップ状部材50の脆弱部55は、カップ状部材50の側壁部52よりも機械的強度が低いことが好ましい。カップ状部材50の脆弱部55をカップ状部材50の側壁部52よりも脆弱にする手法としては、これらの厚みを調整したり、これらの材質を異ならしめたり、これらの形状を工夫したりすること等が想定される。
このように構成することにより、カップ状部材50の薄肉部52aが破裂、変形または溶融するに先立って脆弱部55を破裂、変形あるいは溶融させることが、比較的容易に実現できることになる。ただし、カップ状部材50の薄肉部52aが破裂、変形または溶融するに先立って脆弱部55を破裂、変形または溶融させることができる場合には、脆弱部55とカップ状部材50の側壁部52の薄肉部52aとが同等程度の機械的強度を有してもよい。
以上において説明したように、上述した本発明の実施形態におけるディスク型ガス発生器100によれば、カップ状部材50の頂壁部51が、破裂、変形又は溶融した後、頂壁部51と天板部21の間のガス発生剤61の燃焼が円滑に進行することで、燃焼室60内のガス発生剤61の燃焼を促進させることが可能になる。その結果として、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を従来に比して短縮化することができる。また、カップ状部材50の破裂の大きさが安定する(破断領域が均一化する)とともに、伝火薬59がクッション材85の影響を受けることなくガス発生剤61へ伝火するので、伝火薬59の充填量を減らしつつ、所望するガス出力性能を発揮することが可能なディスク型ガス発生器100とすることができる。
また、カップ状部材50の脆弱部55および薄肉部52aを追加することにより、部品加工は増加することになるものの、伝火薬59の充填量は大幅に少なくすることができ、点火器40が作動した時点からガス噴出口23を介して外部にガスが噴出され始める時点までの時間を低コストに短縮化させることができる。
また、伝火薬59の充填量が減ることにより、カップ状部材50の容積を従来よりも小さくすることができるので、ディスク型ガス発生器100の容積を最適化することによる軽量化を図ることが可能となる。
また、伝火薬59の充填量が減ることにより、ガス温度が低下することになるので、フィルタ90の冷却能力をその分低下させてもよくなる。その結果として、フィルタ90を軽量化することも可能となる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用および効果は、本発明から生じる最も好適な作用および効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用および効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
上記実施形態では、クッション材85が底板部11側に配置されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。クッション材85は、カップ状部材50から所定距離まで離された位置に設けられていればよく、点火器40の作動時において、伝火薬59がガス発生剤61に伝火しきるまでに失活しない距離まで離された位置に設けられていればよい。例えば、伝火薬59がガス発生剤61に伝火しきるまでにクッション材85に吸着することがない位置、または燃焼室60内において伝火薬59が最後にクッション材85に到達するようなカップ状部材50から遠い位置に設けられていてもよい。
上記実施形態では、カップ状部材50の側壁部52は、薄肉部52aおよび厚肉部52bを備えている場合について説明したが、これに限定されるものではない。カップ状部材50の側壁部52は、カップ状部材50の脆弱部55よりも機械的強度が高く構成されていればよく、例えば、側壁部52の材質と脆弱部55の材質とを異ならせることで、側壁部52の厚みを一定としたものであってもよい。
以下、上記実施形態の変形例について、図4を参照して説明する。なお、上記実施形態の変形例に係るディスク型ガス発生器200は、上記実施形態に係るディスク型ガス発生器100と比較して、カップ状部材の構成のみが相違している。なお、本変形例における符号の下二桁と上記実施形態と符号が一致するものは、特に説明がない限り、同じ部材であるため、その説明を省略する。
図4に示すように、ディスク型ガス発生器200において、カップ状部材250は、頂壁部251と、当該頂壁部251の周縁から底板部211側に向けて延設された筒状の側壁部252と、当該側壁部252の底板部211側の端部である開口端から径方向外側に向けて延設された延設部253とを有している。また、延設部253は、突状筒部213が設けられた部分およびその近傍における底板部211の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部254を含んでいる。また、カップ状部材250の頂壁部251、側壁部252、延設部253、および先端部254の厚みは、一定となっている。なお、カップ状部材250は、点火器240の作動時において、カップ状部材250の少なくとも一部が、破裂、変形または溶融する機械的強度を有したものである。
カップ状部材250の材質としては、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスやステンレス合金等の金属製の部材や、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6やナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。特に、アルミニウムよりも機械的強度が比較的に高い、アルミニウム合金、または、ステンレス鋼、鉄鋼等の鉄系金属材料が好ましい。
このように構成されたディスク型ガス発生器200においては、点火器240の作動時に伝火薬259が燃焼することによって生じる推力を受けて、カップ状部材250の頂壁部251および側壁部252のうちいずれかの少なくとも一部が、破裂、変形、又は溶融が生じることになる。そして、伝火薬259および伝火薬259によって生じた多量の熱粒子が、燃焼室260に流れ込み、クッション材285に吸着することなくガス発生剤261へ到達し伝火することになる。つまり、クッション材285が底板部211側に配置されていることで、頂壁部251と天板部221の間のガス発生剤261の燃焼が円滑に進行するため、ガス出力の遅延が生じることもなく、ガス発生器内部の内圧も迅速に高まり、さらにガス出力特性のばらつきが生じることも未然に防止できる。したがって、ディスク型ガス発生器200によれば、燃焼室260内のガス発生剤261の燃焼を促進させることができ、所望するガス出力性能を発揮することが可能となる。
(検証試験1)
実施例1および実施例2として、上記ディスク型ガス発生器200と同構成のディスク型ガス発生器を製造して、後述する60Lタンク試験を行った。また、同様の60Lタンク試験を、実施例3として、上記ディスク型ガス発生器100と同構成のディスク型ガス発生器を製造して行った。なお、実施例1~3に係るディスク型ガス発生器は、クッション材を燃焼室の底板部側に配置(下配置)したものである。また、実施例1~3に係るディスク型ガス発生器において、カップ状部材の材質をアルミニウム合金製とした。
比較例1として、実施例1に係るディスク型ガス発生器と比較して、クッション材を燃焼室の天板部側に配置(上配置)した点においてのみ構成が相違しているディスク型ガス発生器を製造して、60Lタンク試験を行った。また同様に、比較例2として、実施例2に係るディスク型ガス発生器と比較して、クッション材の配置のみが相違しているディスク型ガス発生器を製造して、60Lタンク試験を行った。なお、図5は、比較例1および比較例2と同構成のディスク型ガス発生器300の概略断面図である。また、比較例1および比較例2に係るカップ状部材の材質をアルミニウム合金製とした。
また、比較例3として、実施例3に係るディスク型ガス発生器と比較して、クッション材を燃焼室の天板部側に配置(上配置)した点においてのみ構成が相違しているディスク型ガス発生器を製造して、60Lタンク試験を行った。なお、図6は、比較例3と同構成のディスク型ガス発生器400の概略断面図である。また、比較例3に係るカップ状部材の材質をアルミニウム合金製とした。
検証試験1において、60Lタンク試験とは、実施例1~3および比較例1~3に係るディスク型ガス発生器を、個別に60L容積の密閉されたタンク内に設置するとともに、これを室温(RT)で動作させてタンク内圧の上昇を点火器が作動した時点から100msまで経時的に計測した試験である。
図7に、検証試験1の結果を示す。なお、図7において、t1はガス出力が検知されるまでの時間、Pt20は点火器が作動した時点から20ms後のタンク内圧、Pt40は点火器が作動した時点から40ms後のタンク内圧、Pmaxはタンク内圧の最大値である。以下の図8および図9においても、同様である。
図7の結果から、実施例1に係るディスク型ガス発生器においては、比較例1に係るディスク型ガス発生器と比べて、t1が同様であったが、Pt20、Pt40、およびPmaxは、いずれも大きくなっており、高いガス出力性能を発揮できることがわかった。また、実施例1よりも伝火薬の薬量を減らした(軽量化を図った)実施例2に係るディスク型ガス発生器においては、比較例2に係るディスク型ガス発生器と比べて、点火器が作動した時点から比較的早い段階において、高いガス出力性能を発揮できることがわかった。また、同様に軽量化を図った実施例3に係るディスク型ガス発生器においても、比較例3に係るディスク型ガス発生器と比べて、点火器が作動した時点から比較的早い段階において、高いガス出力性能を発揮できることがわかった。したがって、クッション材が下配置された実施例1~3に係るディスク型ガス発生器のそれぞれにおいては、クッション材が上配置された比較例1~3と順に比較した場合、ガス出力性能が向上していることがわかった。
また、実施例3に係るディスク型ガス発生器においては、実施例2に係るディスク型ガス発生器と比べて、t1が短く、Pt20およびPt40は、いずれも大きくなっており、伝火薬の薬量を減らしつつも、好ましいガス出力性能を安定して発揮できることがわかった。したがって、本発明の上記ディスク型ガス発生器100と同構成のディスク型ガス発生器においては、軽量化を図るとともに、優れたガス出力性能を安定して発揮できることが確認できた。
(検証試験2)
次に、図6に示すディスク型ガス発生器400と同構成のディスク型ガス発生器を製造して、クッション材の有無によって、後述する60Lタンク試験において、どのような変化があるか検証試験2を行った。
ここで、比較例4に係るディスク型ガス発生器は、クッション材を燃焼室の天板部側に配置(上配置)したものである。また、比較例5に係るディスク型ガス発生器は、クッション材が設けられていないものである。また、比較例4および比較例5に係るカップ状部材の材質をアルミニウム合金製とした。なお、各ディスク型ガス発生器において、クッション材の有無以外のその他の条件は同一とした。
検証試験2において、60Lタンク試験とは、比較例4および比較例5に係るディスク型ガス発生器を、個別に60L容積の密閉されたタンク内に設置するとともに、これを-40℃(LT)で動作させてタンク内圧の上昇を点火器が作動した時点から100msまで経時的に計測した試験である。なお、図8に、検証試験2の結果を示す。
図8の結果から、比較例4に係るディスク型ガス発生器においては、比較例5に係るディスク型ガス発生器と比べて、t1が長く、Pt20、Pt40、およびPmaxは、いずれも小さくなっていることがわかった。したがって、クッション材が上配置された比較例4に係るディスク型ガス発生器においては、比較例5に係るディスク型ガス発生器と比べて、クッション材の影響を受けてガス出力性能が低下していることが確認できた。
(検証試験3)
次に、図1に示すディスク型ガス発生器100と同構成のディスク型ガス発生器を製造して、カップ状部材の上部に配置されるガス発生剤の薬面(ガス発生剤の最上部の位置)の高さ(上側支持部材からの距離)を変化させることによって、後述する60Lタンク試験において、どのような変化があるか検証試験3を行った。
ここで、実施例4に係るディスク型ガス発生器は、ガス発生剤の薬面の高さを3mmとした。また、実施例5に係るディスク型ガス発生器は、ガス発生剤の薬面の高さを5mmとした。また、実施例6に係るディスク型ガス発生器は、ガス発生剤の薬面の高さを7mmとした。なお、ガス発生剤の薬面の高さが高いほど、カップ状部材の頂壁部と天板部との間に配置されるガス発生剤の量が多いことになる。また、実施例4~6に係るカップ状部材の材質をアルミニウム合金製とした。なお、各ディスク型ガス発生器において、ガス発生剤の薬面の高さ以外のその他の条件は同一とした。
検証試験3において、60Lタンク試験とは、実施例4~6に係るディスク型ガス発生器を、個別に60L容積の密閉されたタンク内に設置するとともに、これを-40℃(LT)で動作させてタンク内圧の上昇を点火器が作動した時点から100msまで経時的に計測した試験である。なお、図9に、検証試験3の結果を示す。
図9の結果から、実施例4に係るディスク型ガス発生器よりも実施例5および実施例6に係るディスク型ガス発生器の方が、点火器が作動した時点から比較的早い段階において、高いガス出力性能が得られていることがわかった。したがって、本発明の上記ディスク型ガス発生器100と同構成のディスク型ガス発生器において、ガス発生剤の薬面の高さが5mm以上であれば、好ましいガス出力性能を安定して発揮できることがわかった。
(検証試験4)
次に、図10に示したガス発生器500と同構成のディスク型ガス発生器(実施例7)を製造して、下側支持部材の有無、クッション材の配設位置によって、上述の60Lタンク試験において、どのような変化があるか検証試験4を行った。図11に、検証試験4の結果を示す。また、図11には上記比較例3および実施例3の結果も合わせて示した。
ここで、図10に示したガス発生器500は、上記実施形態の変形例に係るディスク型ガス発生器であって、(1)下側支持部材を有していない点、(2)下部側シェル510側において、円盤リング状のクッション材585の内側がカップ状部材550下部の外壁および先端部554に当接するように、かつ、クッション材585の外側がフィルタ590下部の内壁に当接するように、クッション材585がハウジング510内に配設されている点、で上記実施形態と異なっている。なお、本変形例における符号の下二桁と上記実施形態と符号が一致するものは、特に説明がない限り、同じ部材であるため、その説明を省略する。このガス発生器500によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。また、クッション材585により、ガス発生器500の組立時において、フィルタ590の位置決めをすることができる。さらに、クッション材585により、カップ状部材550の先端部554(鍔になっている部分)を押さえることで、カップ状部材550の開裂前にカップ状部材550が内側被覆部531から抜けてしまうことを防止できる。加えて、クッション材585は、動作時に燃え残るので、フィルタ590下部端と下部側シェル510内壁との間から燃焼残渣が流出することを防止することができる。
なお、図11の結果から、実施例7に係るディスク型ガス発生器は、比較例3に係るディスク型ガス発生器と比べて、点火器が作動した時点から比較的早い段階において、高いガス出力性能を発揮できることがわかる。また、図11の結果から、実施例7に係るディスク型ガス発生器は、下側支持部材を有していないが、当該下側支持部材を有した実施例3に係るディスク型ガス発生器と同様のガス出力性能を発揮できることもわかる。すなわち、本検証試験の結果から、実施例7に係るディスク型ガス発生器は、実施例3と同様の作用効果を奏しながら、実施例3に係るディスク型ガス発生器と比べて、部品点数の削減および軽量化ができることがわかる。