JP7760845B2 - ハイドロタルサイト及びそれを含む硫化水素吸収剤、硫化物型全固体電池外装材、硫化物型全固体電池 - Google Patents
ハイドロタルサイト及びそれを含む硫化水素吸収剤、硫化物型全固体電池外装材、硫化物型全固体電池Info
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Description
全固体電池に用いられる電解質は、Li10GeP2S12等の硫化物系材料と、Li7La3Zr2O12等の酸化物系材料とがある。このうち硫化物系固体電解質は水と反応して有害な硫化水素が発生することが課題となっており、硫化物系固体電解質を用いる場合は電池への水分接触を防止するために電池がラミネートで封止される。また、万一破損等により水分と接触してしまった場合に、水分および硫化水素を吸着するための吸収層を備えることが提案されており、ゼオライト等の吸湿剤と特定の金属含有成分である硫化水素吸着剤を含む吸収層とバリア層を有する硫化物系全固体電池用ラミネートシートが提案されている(特許文献1参照)。また、硫化水素吸着材としてアルミナ、シリカアルミナ、シリカゲル等を用いたシートをパッケージに内包することが提案されている(特許文献2参照)。
また、硫化水素の吸着能や吸湿能を有する材料としてハイドロタルサイトが知られており、ハイドロタルサイトを含む硫化水素の吸着剤や吸湿剤が提案されている(特許文献3~6参照)。
硫化水素の吸着剤や吸湿剤としてハイドロタルサイトを用いることが提案されているが、硫化水素の吸着と吸湿の両方を行う材料として十分な性能を有するものではない。
XRD測定における2Θ=11.6±0.1°範囲における最も大きいピークのピーク強度IAと、2Θ=13.0±0.1°範囲における最も大きいピークのピーク強度IBとの比(IA/IB)が2未満であることを特徴とするハイドロタルサイトである。
Y≧-7.9(b/c)+10.0
を満たすことが好ましい。
本発明のハイドロタルサイトは、亜鉛元素とマグネシウム元素とを含むハイドロタルサイトであって、該ハイドロタルサイトは、亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)が0.1以上、1.0以下である。このようなモル比のハイドロタルサイトは硫化水素の吸着能に優れる。またこのようなモル比であることは吸湿能に優れたハイドロタルサイトとなるために必要な要件でもある。亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)は、0.1以上、1.0以下であればよいが、0.1以上、0.50以下であることが好ましい。このような範囲であることで、ハイドロタルサイトがより硫化水素の吸着能に優れたものとなる。また、Zn成分がZnOとして分離し難くなる点から、モル比(Zn/Mg)は0.1以上、0.45以下であることがより好ましい。亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比は、更に好ましくは、0.12以上、0.40以下であり、特に好ましくは、0.14以上、0.35以下である。
ハイドロタルサイトの亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比は、ICP発光分光法による元素分析により実施例に記載の方法で得ることができる。
亜鉛元素とマグネシウム元素とを含むハイドロタルサイトは、XRD測定において2Θ=11.6±0.1°範囲にピークを有し、ハイドロタルサイトを乾燥して得られる乾燥ハイドロタルサイトは2Θ=11.6±0.1°範囲にピークを有さず、2Θ=13.0±0.1°範囲にピークを有する。これらの範囲における最も大きいピークのピーク強度IAとIBとの比(IA/IB)が2未満であるハイドロタルサイトは吸湿能に優れる。
ピーク強度IAとIBとの比(IA/IB)は2未満であればよいが、1.5未満であることが好ましい。より好ましくは、1.0未満であり、更に好ましくは、0.5未満である。
ZnOの含有率が5質量%より多い場合、XRD測定でZnOの存在を確認することができる。ZnOに帰属されるピークは、2Θ=31.78°、34.27°、36.22°、47.43°、56.61°、62.64°、66.39°、67.87°、69.08°、72.21°、76.89°の位置に現れるピークである。
Y≧-7.9(b/c)+10.0
を満たすことが好ましい。
ハイドロタルサイトを加熱して昇温してゆくとハイドロタルサイトに含まれる水分等が脱離して重量が減少してゆく。温度域によって脱離する成分が異なり、50℃~140℃では表面吸着水の脱離が、140℃~250℃では層間水の脱離が起こる。250℃~350℃ではハイドロタルサイトの分解に起因する炭酸根の脱離が起こり、350℃以上の温度では結晶水の脱離が起こる。
本発明者はこの重量減少のうち、140℃~250℃の層間水の脱離による重量減少率b%と250℃~350℃の炭酸根の脱離による重量減少率c%に着目し、多数のサンプルを用いて検討したところ、ハイドロタルサイトのb/c比と、そのハイドロタルサイトを40℃、相対湿度70%の雰囲気下に12時間放置した後の、放置前の重量に対する重量増加分で表される吸湿率Y%との間に、Y=-7.9(b/c)+13.0の相関関係があること、及び、全てのサンプルにおいて、吸湿率Yが-7.9(b/c)+10.0より大きくなることを見出した。
本発明のハイドロタルサイトにおいても、このような関係を満たすことが好ましい。
また、亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比が0.1以上、1.0以下であって硫化水素の吸着能に優れ、かつ、-7.9(b/c)+10.0が8.0以上であるハイドロタルサイトは硫化水素の吸着能と吸湿性の両方に優れたハイドロタルサイトであるといえる。このようなハイドロタルサイト、すなわち、
亜鉛元素とマグネシウム元素とを含むハイドロタルサイトであって、該ハイドロタルサイトは、亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)が0.1以上、1.0以下であって、かつ、
TG-DTA測定での140℃~250℃における重量減少率をb%、250℃~350℃における重量減少率をc%としたときに、-7.9(b/c)+10.0が8.0以上であるハイドロタルサイトもまた、本発明の1つである。
なお、本発明において、ハイドロタルサイトのTG-DTA測定における各温度域での重量減少率は、全て測定前のハイドロタルサイトの重量に対する各温度域での重量減少の割合を意味する。
(1)亜鉛元素とマグネシウム元素とを含むハイドロタルサイトであって、該ハイドロタルサイトは、亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)が0.1以上、1.0以下であり、かつ、XRD測定における2Θ=11.6±0.1°範囲における最も大きいピークのピーク強度IAと、2Θ=13.0±0.1°範囲における最も大きいピークのピーク強度IBとの比(IA/IB)が2未満であるハイドロタルサイトと、
(2)亜鉛元素とマグネシウム元素とを含むハイドロタルサイトであって、該ハイドロタルサイトは、亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)が0.1以上、1.0以下であって、かつ、TG-DTA測定での140℃~250℃における重量減少率をb%、250℃~350℃における重量減少率をc%としたときに、-7.9(b/c)+10.0が8.0以上であるハイドロタルサイト
の2つが含まれる。前者を第一の本発明のハイドロタルサイト、後者を第二の本発明のハイドロタルサイトともいう。
以下において、「本発明のハイドロタルサイト」は、第一、第二の両方の本発明のハイドロタルサイトを含む。
(M1)1-x(M2)x(OH)2(CO3 2-)x/2・mH2O (1)
(式中、M1は、MgおよびZnを表し、Zn/Mgのモル比が0.1以上、1.0以下である。更にMgの一部がMg以外のアルカリ土類金属元素に置換されていてもよい。M2は、Alを表し、Alの一部がFeに置換されていても良い。xは0.2≦x≦0.4の条件を満たす数である。mは、0以上の数である。)
アルカリ土類金属元素としては、Ca、Sr、Ba等が挙げられる。
本発明のハイドロタルサイトは、亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)が0.1以上、1.0以下であるハイドロタルサイトの一部又は全部を焼成する工程と、焼成したハイドロタルサイトを冷却する工程とを含む製造方法で得ることができる。
また焼成時間は、2~24時間であることが好ましい。より好ましくは、2~15時間であり、更に好ましくは、4~8時間である。
焼成工程は、大気下で行うことができる。
不活性ガスとしては、乾燥空気、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
減圧下で行う場合、100Pa以下であることが好ましく、より好ましくは、10Pa以下であり、更に好ましくは、1Pa以下である。
また上記製造方法は、上記焼成工程と冷却工程とを含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。
また亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)が0.1以上、1.0以下であるハイドロタルサイトは、市販品を用いてもよい。
本発明のハイドロタルサイトは、硫化水素の吸着能に優れることから、硫化水素吸収剤として好適に用いることができる。このような本発明のハイドロタルサイトを含む硫化水素吸収剤もまた、本発明の1つである。
更に本発明のハイドロタルサイトは、硫化水素の吸着能に加え、吸湿性にも優れるため、水分を原因として硫化水素が発生する硫化物系固体電解質を用いた全固体電池の外装材に用いると、硫化水素とともに硫化水素発生の原因となる水分も吸収することができ、安全性が高まるため好適である。このような、本発明の硫化水素吸収剤を含む硫化物型全固体電池外装材、及び、本発明の硫化水素吸収剤や硫化物型全固体電池外装材を含む硫化物型全固体電池もまた、本発明の1つである。
原料ハイドロタルサイトとしてMg3.5Zn0.5Al2(OH)12(CO3)・3H2O(堺化学工業社製、STABIACE HT-7)を用い、これを250℃で2時間大気下で焼成し、焼成後、200℃まで大気中で冷却した後、気圧1Paの減圧雰囲気下で室温まで冷却し、ハイドロタルサイト1を得た。
なお、表1中の原料ハイドロタルサイトは以下のとおりである。
P-93:ハイドロタルサイト(Mg:Zn:Alのモル比=3:1:2、協和化学社製)
HT-P:ハイドロタルサイト(Mg:Zn:Alのモル比=4.5:0:2、堺化学工業社製)
011261:ハイドロタルサイト(Mg:Zn:Alのモル比=2:4:2)であり、以下の方法で合成した
<011261の合成>
-工程(I)-
硫酸亜鉛7水和物64.39gと、硫酸マグネシウム7水和物27.60gと354g/Lの硫酸アルミニウム水溶液54.2mL(Al2(SO4)3 として19.2g)を混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えた金属塩混合水溶液を得た。別途、720g/Lの水酸化ナトリウム水溶液46.7mLと、炭酸ナトリウム26.7gとを混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えたアルカリ混合水溶液を得た。1Lの丸底フラスコにイオン交換水50mLを入れ、撹拌下において、これら水溶液を加えた。このときのスラリーのpHは9であった。その後、50℃で15分間撹拌することにより、スラリーを得た。
-工程(II)-
上記工程(I)により得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキに水を加え撹拌して、乾燥粉として110g/Lのスラリーとした後、噴霧乾燥装置(アトマイザー方式、大川原化工機社製、BDP-22型)にて、ディスク回転数16000rpm、出口乾燥温度105℃の条件で乾燥することにより、ハイドロタルサイト前駆体の粉末を得た。
- 工程(III)-
上記工程(II)により得られた粉末のうち1gを、口内径27mm、高さ15mmのガラスシャーレに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH-113)に入れ、室温から85℃ 、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて22時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。このようにしてハイドロタルサイト型粒子を含む粉末( 011261 ) を得た。
得られたハイドロタルサイト型粒子を含む粉末の組成(亜鉛、マグネシウム、アルミニウムの各元素のモル比)及び亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比は以下のようにしてICP発光分光法による元素分析で確認した。
<ICP発光分光法による元素分析>
分光器(SII社製、ICP SPS3100)を使用し、スカンジウム(Sc)を内標準元素とする内標準法(検量線法)により測定した。測定波長は279.55nm(Mg)、213.86nm(Zn)、396.15nm(Al)、361.49nm(Sc)を用いた。
Mg、Zn、Alの含有量(重量%)は、それぞれ検量線法により算出した。
Mg、Znの含有量を用い、下記計算式によりモル比(Zn/Mg)を算出した。
(Zn/Mg)=(Zn含有量/65.38)/(Mg含有量/24.305)
<XRD測定>
XRDの測定はRINT-TTRIII(リガク社製)を用い、X線源はCuKα、平行ビーム法にて行った。X線出力は50kV、300mAとし,測定は10°から80°の2Θ範囲について、スキャンステップが0.02°、係数時間が0.4秒の条件で実施した。
得られたXRDパターンについてBG処理後、以下を読み取り、IA/IBを算出した。
IA:2Θ=11.6°(±0.1)の最強線の強度
IB:2Θ=13.0°(±0.1)の最強線の強度
<吸湿率測定>
サンプルをビーカーに加え、40℃、Rh70%に設定した恒温恒湿装置(エスペック製 LH-113)内に12時間放置した。
吸湿試験後の重量から、初期重量に対する重量増加率(%)を算出し、これを吸湿率(%)とした。
<硫化水素吸着率>
試料試験として、5Lサンプリングバッグ(ジーエルサイエンス株式会社、スマートバッグPA AA-5、以下、バッグと称す)の一隅をカットし、試料1gを入れたプラスチックシャーレ(直径5cm)を挿入後、カット部分を塞いだ。バッグ内を真空ポンプで脱気したのち、積算流量計(コフロック株式会社、ACM-1)を通じ、バッグ内に空気3Lを注入した。また、ブランク試験として、空のバッグ内に空気3Lを注入した。所定の初発濃度(硫化水素;4.0ppm)になるように、バッグ内にシリンジで臭気物質ガスを注入後、密閉した。2時間後のバッグ内の臭気物質のガス濃度を、ガス検知管(株式会社ガステック、硫化水素検知管No.4LT(0.1ppm~4.0ppm))を用い、測定した。なお、試験はすべて20℃の実験室内にて行った。
試験は2回行い、各試験で得られた臭気物質のガス濃度および減少率の平均値をとった。
減少率は以下のように計算した。
減少率(%)=(ブランク試験のガス濃度-試料試験のガス濃度)/ブランク試験のガス濃度×100
<TG-DTA測定>
TG-DTAの測定は、STA7300(日立ハイテク社製)を用いた。測定は窒素雰囲気下(流量200mL/min)、10℃/minの昇温速度で行った。実施例1で原料ハイドロタルサイトとして用いたHT-7のDTA挙動から、以下のように定義し、b、c領域における測定前のハイドロタルサイトの重量に対する重量減少率(%)を評価した。
a:(50℃-140℃):表面吸着水の脱離
b:(140℃-250℃):層間水の脱離
c:(250℃-350℃):CO3根の脱離
d:(350℃-):結晶水の脱離
このことから、ハイドロタルサイトについてTG-DTA測定によりb/cを求めることで、そのハイドロタルサイトが最低どれだけの吸湿能を有するかを見積もることができることが確認された。吸湿率が8%以上であれば良好な吸湿能を有するといえるため、-7.9(b/c)+10.0の値が8以上であれば、良好な吸湿能を有するハイドロタルサイトであるといえる。
Claims (5)
- 亜鉛元素とマグネシウム元素とを含むハイドロタルサイトであって、
該ハイドロタルサイトは、亜鉛元素とマグネシウム元素とのモル比(Zn/Mg)が0.1以上、1.0以下であり、かつ、
XRD測定における2Θ=11.6±0.1°範囲における最も大きいピークのピーク強度IAと、2Θ=13.0±0.1°範囲における最も大きいピークのピーク強度IBとの比(IA/IB)が1.4以下であることを特徴とするハイドロタルサイト。 - 前記ハイドロタルサイトは、TG-DTA測定での140℃~250℃における重量減少率をb%、250℃~350℃における重量減少率をc%とし、
40℃、相対湿度70%の雰囲気下に12時間放置した後の、放置前の重量に対する重量増加分で表される吸湿率をY%としたときに、
Y≧-7.9(b/c)+10.0
を満たすことを特徴とする請求項1に記載のハイドロタルサイト。 - 請求項1又は2に記載のハイドロタルサイトを含むことを特徴とする硫化水素吸収剤。
- 請求項3に記載の硫化水素吸収剤を含むことを特徴とする硫化物型全固体電池外装材。
- 請求項3に記載の硫化水素吸収剤又は請求項4に記載の硫化物型全固体電池外装材を含むことを特徴とする硫化物型全固体電池。
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