《第1の実施形態》
以下、第1の実施形態に係る歩行型作業機100について、図に基づいて説明する。本第1の実施形態の歩行型作業機100は、例えば歩行型耕うん機(歩行型トラクター)であり、発動機から動力を得て自動走行し、自動走行中に耕うん作業を行うものである。なお、歩行型作業機100は、例えば歩行型除雪機又は歩行型田植機など、歩行型耕うん機以外の場合でもよい。また、本第1の実施形態の歩行型作業機100は、2つの車輪を有する1軸2輪型の歩行型作業機であるが、この場合に限られず、例えば4つの車輪を有する2軸4輪型の歩行型作業機やクローラ型の歩行型作業機等の場合でもよい。
図1から図3には、歩行型作業機100の構成が概略的に示されている。図1から図3では、歩行型作業機100の前進方向を+X方向、後進方向を-X方向、X軸に水平面内で直交する方向(左右方向)をY軸方向、鉛直方向をZ軸方向とする。図1は、歩行型作業機100を+Y方向から見た状態を示し、図2は、歩行型作業機100を+Z方向から見た状態を示し、図3は、歩行型作業機100を斜め上方から見た状態を示している。
歩行型作業機100は、図1に示すように、車体10と、車体10の前進方向後方(-X側)に設けられた作業部11と、車体10に設けられ、Y軸方向に延びる駆動軸としての車軸12と、車軸12の両端部に設けられた車輪13と、車体10に設けられた発動機14と、車体10に設けられた変速レバー15と、車体10の-X側に設けられ、作業者が把持するハンドル杆30と、を備える。発動機14は、車輪13や、作業部11が有する耕うん爪16を回転させる駆動部である。なお、車体10は、発動機14のほか、燃料タンクやマフラーなど、車輪13及び耕うん爪16を回転駆動させるために必要な装置も保持する。
作業部11は、耕うん爪16を有するロータリ耕うん装置である。耕うん爪16は、発動機14からの動力を得て回転する。作業部11は、作業者がハンドル杆30を上下させることで、車輪13を中心に昇降する。作業者は、耕うん作業時は作業部11を下方に降下させて、耕うん爪16を土中に貫入させた状態で使用する。なお、歩行型作業機100においては、安全のため、後進時は耕うん爪16が動作しないようになっている。あるいは、耕うん爪16が動作しているときは、歩行型作業機100は後進できないようになっている。
車輪13は、発動機14からクラッチ(不図示)を介して、発動機14と車輪13の間に設けられた車軸12に供給される動力により回転する。車輪13は、車体10を走行させる走行部である。また、クラッチは、発動機14と車輪13の間に設けられ、発動機14から車輪13に動力を伝達したり遮断したりすることを機械的に行う。
変速レバー15は、車輪13の回転方向や速度を切替える切替部であり、ハンドル杆30の近傍に設けられている。作業者は、表示板17に設けられた溝部18(図4(a)及び図4(b)参照)に沿って変速レバー15を操作することで動作モードを変更することができ、歩行型作業機100を前進又は後進させることができる。
ハンドル杆30は、図2及び図3に示すように、車体10に一端が固定され、車体10の前進方向後方に延びる前部分30aと、前部分30aの他端に取り付けられ、作業者が把持する後部分30bと、を有する。後部分30bは、前部分30aに対して鉛直下向きに回動可能(Y軸回りに回動可能)な状態で前部分30aに取り付けられている。
ハンドル杆30には、クラッチ杆31、ガススプリング32、及びロック切替機構33が設けられている。なお、不図示ではあるが、ハンドル杆30には、エンジンスイッチも設けられている。
クラッチ杆31は、ハンドル杆30の後部分30bの上側に配置され、作業者がハンドル杆30の後部分30bと共に把持できるようになっている。クラッチ杆31は、ハンドル杆30の後部分30bの下側に設けられた回転軸を中心に回動可能となって、ハンドル杆30の後部分30bに取り付けられている。クラッチ杆31は、クラッチワイヤ35を介してクラッチに接続されている。クラッチ杆31にはクラッチワイヤ35のインナーワイヤ35a(アウターケーブル35bに被覆されているインナー部分)が接続されている。また、クラッチ杆31には接続ワイヤ52のインナーワイヤ52aも接続されている。インナーワイヤ35a及びインナーワイヤ52aは、ハンドル杆30の後部分30bの下側に設けられたクラッチ杆31の回転軸とはハンドル杆30の後部分30bを挟んで反対側に位置してクラッチ杆31に接続されている。また、クラッチワイヤ35のアウターケーブル35bの端部は、作業者がクラッチ杆31を放した場合及び後述するようにハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動した場合に、アウターケーブル35bの端部からインナーワイヤ35aのクラッチ杆31への取付位置までの距離が小さくなるような位置に取り付けられている。接続ワイヤ52についても同様である。例えば、クラッチワイヤ35のアウターケーブル35bの端部及び接続ワイヤ52のアウターケーブル52bの端部は、ハンドル杆30の前部分30aの下側に取り付けられている。作業者がハンドル杆30の後部分30bと共にクラッチ杆31を握ると、クラッチワイヤ35のインナーワイヤ35aが引っ張られてクラッチが接続され、発動機14から車軸12へ動力が伝達される(伝達状態となる)。一方、作業者がクラッチ杆31から手を放すと、クラッチワイヤ35のインナーワイヤ35aが弛んでクラッチが切断され、発動機14から車軸12への動力の伝達が遮断される(遮断状態となる)。このように、作業者は、クラッチ杆31を操作することによって歩行型作業機100の走行を制御することができる。
ガススプリング32は、圧縮ガスの反力を使用したばねであり、その一端には、ガススプリング32が伸縮できない状態(ロック状態)と、伸縮が可能な状態(ロック解除状態)と、を切り替えるロック操作部34(図7(a)、図7(b)参照)が設けられている。図7(a)は、ロック状態にあるガススプリング32を示し、図7(b)は、ロック解除状態にあるガススプリング32を示している。
図3のように、ガススプリング32は、一端がハンドル杆30の後部分30bに設けられた固定部材37に接続されている。固定部材37は、ハンドル杆30の後部分30bの長手方向(Y軸方向)に対して垂直な方向(XZ面内方向)で斜め下側に向かって延出しており、延出している側であって後部分30bが前部分30a対して回動する回動軸よりも下側に位置する端部近傍に、ガススプリング32の一端が揺動可能に接続されている。また、ガススプリング32の他端は、ハンドル杆30の前部分30aに設けられた固定部材36に接続されている。固定部材36は、Y軸方向を長手方向とする板状部材であり、長手方向の中央部にガススプリング32の他端が揺動可能に接続されている。
図15(a)及び図15(b)には、第1の実施形態におけるガススプリング32の断面図が示されている。図15(a)は、ガススプリング32がロック状態にあるときの断面図であり、図15(b)は、ロック解除状態にあるときの断面図である。図15(a)及び図15(b)に示すように、ガススプリング32は、シリンダ70の内部がフリーピストン71によって窒素ガス等の圧縮ガスが充満した空間72とオイルが充満した空間73とに分けられている。オイルが充満した空間73には、ピストンロッド74に接続されたピストン75が設けられている。ピストン75には、オリフィス孔76と、オリフィス孔76をオイルが流れること及び流れないことの切り替えを行うバルブ77と、が設けられている。バルブ77は、ピストンロッド74の内部にピストンロッド74に対して移動可能に設けられたプッシュロッド78に接続されている。空間72内の圧縮ガスの圧力により、ピストン75はピストンロッド74側に向かって付勢されている。また、プッシュロッド78に外部からの力が加わっていない状態では、空間72内の圧縮ガスの圧力により、バルブ77がピストン75に接触した状態(図15(a)の状態)が維持される。
図7(a)及び図7(b)のように、ロック操作部34は、ガススプリング32のピストンロッド74の端部に取り付けられたフランジ部39aと、フランジ部39aに設けられた回転軸39bを軸心として揺動可能にフランジ部39aに取り付けられたアーム39cと、アーム39cよりもピストンロッド74側に位置してフランジ部39aに取り付けられた固定部39dと、を含む。アーム39cにはロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが接続されている。ロックワイヤ50のアウターケーブル50bの端部は固定部39dに取り付けられている。アーム39cには、プッシュロッド78(不図示)の端部が接触した状態となっており、プッシュロッド78が図15(a)の状態にあるときには、アーム39cを、回転軸39bを中心とした反時計回り方向に付勢する。これにより、インナーワイヤ50aが引っ張られない限り、アーム39cは、図7(a)に示すような状態(図7(b)に対し、回転軸39bを中心として反時計回りに回動した状態)に維持される。この状態では、バルブ77がピストン75に設けられたオリフィス孔76を閉鎖しているため、オイルはオリフィス孔76を流れることができず、ピストン75は動くことができない。よって、図7(a)の状態では、ガススプリング32はロック状態となる。一方、図7(b)の状態のようにアーム39cがロックワイヤ50のインナーワイヤ50aにより引っ張られて回転軸39bを中心とした時計回り方向に回動すると、図15(b)のようにプッシュロッド78がピストンロッド74に対して空間72側に押し込まれるので、プッシュロッド78の端部に設けられたバルブ77はオリフィス孔76から離れる方向に移動する。これにより、オイルはオリフィス孔76を流れることができ、ピストン75は動くことが可能となる。よって、図7(b)の状態では、ガススプリング32はロック解除状態となる。
ガススプリング32がロック状態(伸縮できない状態)にあるときには、ハンドル杆30の後部分30bの回動が阻止される。これに対し、ガススプリング32がロック解除状態(伸縮可能な状態)にあるときには、ハンドル杆30の後部分30bに所定値以上の外力が加わったときに、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動することが許容されるとともに、回動に抗する所定の力が後部分30bに付与される。すなわち、ガススプリング32が収縮する際の抗力が、ハンドル杆30の後部分30bの回動に抗する力となる。ガススプリング32が収縮する際にオイルはオリフィス孔76を通過するが、オイルがオリフィス孔76を通過するときの抵抗によって、ガススプリング32が収縮する際の抗力が生じることとなる。
図2及び図3に示すロック切替機構33は、作業者による変速レバー15の操作及びクラッチ杆31の操作に応じて、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aを引っ張らない又は少し引っ張った状態(図5(a)、図5(b)、図6(a)参照)と、インナーワイヤ50aを大きく引っ張った状態(図6(b)参照)と、の間で変更する機構である。ロック切替機構33が図5(a)、図5(b)、図6(a)のようにインナーワイヤ50aを引っ張らない又は少し引っ張った状態では、ロック操作部34が図7(a)の状態(ロック状態)に維持される。一方、ロック切替機構33は、図6(b)のようにインナーワイヤ50aを大きく引っ張った状態となることで、ロック操作部34は図7(b)の状態(ロック解除状態)となる。ロック切替機構33の詳細については後述する。
図4(a)及び図4(b)には、変速レバー15近傍が示されている。図4(a)は、変速レバー15がN(ニュートラル)の位置にある状態を示し、図4(b)は、R(リバース)の位置にある状態を示している。図4(a)及び図4(b)に示すように、表示板17は、変速レバー15の下端部近傍(車体10上)に設けられている。変速レバー15は、表示板17に設けられた溝部18に沿って移動可能となっている。作業者は、変速レバー15の位置をN(ニュートラル)の位置にすることで、車輪13を回転させないモードにすることができ、R(リバース)の位置にすることで、車体10を後進させるモードにすることができる。R(リバース)の位置は溝部18の一方の端部に配置されている。変速レバー15の位置をL(ロー)の位置にすることで、車体10を低速で前進させるモードにすることができ、H(ハイ)の位置にすることで、車体10を高速で前進させるモードにすることができる。なお、図4(a)及び図4(b)に示すモード以外のモードがあってもよい。
変速レバー15の近傍には、変速レバー15がR(リバース)とL(ロー)の間のN(ニュートラル)の位置からR(リバース)の位置に移動することに伴って動く移動部材53が設けられている。移動部材53は、変速レバー15がR(リバース)とL(ロー)の間のN(ニュートラル)の位置からR(リバース)の位置に移動するときに移動部材53の一部分53aが押されることで動く。移動部材53には接続ワイヤ51のインナーワイヤ51aの端部が接続されている。接続ワイヤ51のアウターケーブル51bの端部は変速レバー15に対してR(リバース)とは反対側で表示板17に固定された固定部17aに取り付けられている。変速レバー15がR(リバース)とL(ロー)の間のニュートラル(N)の位置からR(リバース)の位置に移動して移動部材53が動くことにより接続ワイヤ51のインナーワイヤ51aが引っ張られる。詳細は後述するが、変速レバー15がR(リバース)とL(ロー)の間のN(ニュートラル)の位置に戻ることで、移動部材53も元の位置に戻る。図4(a)の状態では、移動部材53の一部分53aが表示板17に固定されたストッパ17bに当接しているため、移動部材53は、変速レバー15がR(リバース)とL(ロー)の間のN(ニュートラル)の位置からL(ロー)、L(ロー)とH(ハイ)の間のニュートラル(N)、又はH(ハイ)の位置に移動しても動かない。以下において、変速レバー15がN(ニュートラル)の位置にあるとは、R(リバース)とL(ロー)の間のN(ニュートラル)の位置にあることをいう。
図5(a)及び図5(b)には、変速レバー15がR(リバース)以外に設定されているときのロック切替機構33が示されている。図6(a)及び図6(b)には、変速レバー15がR(リバース)に設定されているときのロック切替機構33が示されている。ロック切替機構33には、接続ワイヤ51のアウターケーブル51bの端部と、接続ワイヤ52のアウターケーブル52bの端部と、ロックワイヤ50のアウターケーブル50bの端部と、が取り付けられている。接続ワイヤ51のアウターケーブル51bの他方の端部は図4(a)及び図4(b)のように表示板17に固定された固定部17aに取り付けられている。接続ワイヤ52のアウターケーブル52bの他方の端部は図2のようにハンドル杆30の前部分30aに取り付けられている。ロックワイヤ50のアウターケーブル50bの他方の端部は図7(a)及び図7(b)のようにロック操作部34の固定部39dに取り付けられている。ロック切替機構33は、接続ワイヤ51と接続ワイヤ52の状態に応じてロックワイヤ50のインナーワイヤ50aの引っ張られ具合が異なるようにする。図6(b)のように、ロック切替機構33によってロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが大きく引っ張られることで、ロック操作部34のアーム39cがプッシュロッド78を押してバルブ77が開いた状態になり、ガススプリング32のロックが解除される。以下に、ロック切替機構33について詳しく説明する。
図5(a)は、変速レバー15がR(リバース)以外の位置(例えばN(ニュートラル)の位置)にあり且つクラッチ杆31が作業者によって握られていない状態を示している。図5(b)は、変速レバー15がR(リバース)以外の位置(例えばL(ロー)又はH(ハイ)の位置)にあり且つクラッチ杆31が作業者によって握られた状態を示している。図6(a)は、変速レバー15がR(リバース)の位置にあり且つクラッチ杆31が作業者によって握られていない状態を示している。図6(b)は、変速レバー15がR(リバース)の位置にあり且つクラッチ杆31が作業者によって握られた状態を示している。
ロック切替機構33は、図5(a)に示すように、板状部材40と、板状部材40上に設けられた回動部材41、42と、ねじりコイルばね43、44と、を有する。また、板状部材40には、接続ワイヤ51、52のアウターケーブル51b、52bの端部が取り付けられている。板状部材40は、上方から見て略矩形状の形状を有し、四つの辺40a、40b、40c、40dを有する。辺40aと辺40bが対向し、辺40cと辺40dが対向する。接続ワイヤ51のアウターケーブル51bは辺40c側から板状部材40上に延び、アウターケーブル51bの端部は辺40aと辺40cの間の角部近傍で板状部材40に取り付けられている。接続ワイヤ52のアウターケーブル52bは辺40d側から板状部材40上に延び、アウターケーブル52bの端部は辺40bと辺40dの間の角部近傍で板状部材40に取り付けられている。回動部材41は、回動部材42と板状部材40の辺40cとの間に設けられ、回動部材42は、回動部材41と板状部材40の辺40dとの間に設けられている。回動部材41は、板状部材40に設けられた軸45を中心として回動可能となっている。回動部材42は、板状部材40に設けられた軸46を中心として回動可能となっている。軸45は辺40b近傍に位置し、軸46は辺40a近傍に位置する。
回動部材41と回動部材42の間にはストッパとして機能する柱状部48が設けられている。ロックワイヤ50のアウターケーブル50bは板状部材40の辺40c側から板状部材40上に延び、アウターケーブル50bの端部は辺40cに沿った方向において軸45と接続ワイヤ51のアウターケーブル51bの端部が板状部材40上に取り付けられた箇所との間の中央近傍で回動部材41に固定されている。ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aの端は、辺40dに沿った方向において軸46と接続ワイヤ52のアウターケーブル52bの端部が板状部材40上に取り付けられた箇所との間の中央近傍で回動部材42に設けられた切り欠き47に引っ掛けられている。このような構成とすることで、図6(b)の状態になったときに、接続ワイヤ52のインナーワイヤ52aと接続ワイヤ51のインナーワイヤ51aとでロックワイヤ50のインナーワイヤ50aを略半分ずつ引っ張るようになる。
一端が移動部材53に接続(図4(a)、図4(b)参照)された接続ワイヤ51のインナーワイヤ51aの他端は、回動部材41の軸45とは反対側の箇所に引っ掛けられている。図4(b)に示すように、作業者が変速レバー15をR(リバース)の位置に移動すると移動部材53が動き、インナーワイヤ51aの一端が引っ張られることで、インナーワイヤ51aの他端は回動部材41を引っ張る。これにより、図6(a)及び図6(b)に示すように、回動部材41は軸45を中心に時計回りに回動する。一方、作業者が、図4(b)の状態から変速レバー15をN(ニュートラル)の位置に戻すと、軸45を中心に回動部材41を回動させて柱状部48に押し付ける力を回動部材41に与えているねじりコイルばね43の付勢力によって、図5(a)及び図5(b)に示すように、回動部材41は元の位置に戻る。これにより、回動部材41がインナーワイヤ51aの他端を引っ張るため、移動部材53も図4(a)に示す元の位置に戻るようになる。
一端がクラッチ杆31に接続(図2参照)された接続ワイヤ52のインナーワイヤ52aの他端は、回動部材42の軸46とは反対側に設けられた切り欠き49に引っ掛けられている。作業者がハンドル杆30の後部分30bと共にクラッチ杆31を握ることでインナーワイヤ52aの一端が引っ張られ、インナーワイヤ52aの他端は回動部材42を引っ張る。これにより、図5(b)及び図6(b)に示すように、回動部材42は軸46を中心に時計回りに回動する。一方、作業者がクラッチ杆31を放すと、軸46を中心に回動部材42を回動させて柱状部48に押し付ける力を回動部材42に与えているねじりコイルばね44の付勢力によって、図5(a)及び図6(a)に示すように、回動部材42は元の位置に戻る。
図5(b)に示すように、回動部材41が回動せずに、回動部材42のみが時計回りに回動した場合、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aはわずかに引っ張られる。同様に、図6(a)に示すように、回動部材41が時計回りに回動し、回動部材42が回動しない場合、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aはわずかに引っ張られる。その一方で、図6(b)に示すように、回動部材41及び回動部材42が時計回りに回動した場合、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが図5(b)及び図6(a)の場合よりも大きく引っ張られる。インナーワイヤ50aの一端はロック操作部34のアーム39cに接続されていることから(図7(a)及び図7(b)参照)、インナーワイヤ50aが大きく引っ張られることでロック操作部34のアーム39cが引っ張られる。
ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aがロック操作部34のアーム39cを大きく引っ張ることで、ロック操作部34は、図7(a)の状態から図7(b)の状態に遷移し、ガススプリング32のロックを解除する状態となる。このように、ガススプリング32は、作業者が変速レバー15をR(リバース)の位置に移動し且つクラッチ杆31を握ることに連動して、ピストン75の移動が制限されるロック状態からピストン75の移動が可能となるロック解除状態に切り替わる。なお、図5(b)及び図6(a)のようにインナーワイヤ50aがわずかに引っ張られる場合には、ガススプリング32のロックは解除されない。
図8には、クラッチ杆31が握られる前の状態のハンドル杆30が示されている。図9には、変速レバー15がR(リバース)以外に入れられ且つクラッチ杆31が握られた状態のハンドル杆30が示されている。図10には、変速レバー15がR(リバース)に入れられ且つクラッチ杆31が握られた状態のハンドル杆30が示されている。図11には、歩行型作業機100の後進時に作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれた状態のハンドル杆30が示されている。
図8に示すように、クラッチ杆31が作業者に握られる前は、クラッチ杆31に接続するクラッチワイヤ35のインナーワイヤ35a及び接続ワイヤ52のインナーワイヤ52aは弛んだ状態にある。インナーワイヤ35aが弛んでいることで、クラッチは切断された状態になっている。インナーワイヤ52aが弛んでいることで、図5(a)及び図6(a)に示したように、変速レバー15の位置に関わらず、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aは引っ張られないか又はわずかに引っ張られる程度であるため、ガススプリング32はロックされた状態となる。
図9に示すように、変速レバー15がR(リバース)以外に入れられ且つクラッチ杆31が握られたときは、クラッチワイヤ35のインナーワイヤ35aがクラッチ杆31に引っ張られてクラッチが接続された状態になるため、歩行型作業機100は例えば前進する。変速レバー15がR(リバース)の位置ではないので、図5(b)に示したように、接続ワイヤ52のインナーワイヤ52aが引っ張られることによりロックワイヤ50のインナーワイヤ50aはわずかに引っ張られるが、ロック操作部34はロック解除の位置まで達しないため、ガススプリング32はロック状態のままとなる。
図10に示すように、変速レバー15がR(リバース)に入れられ且つクラッチ杆31が握られたときは、クラッチワイヤ35のインナーワイヤ35aがクラッチ杆31により引っ張られてクラッチが接続された状態になるため、歩行型作業機100は後進する。変速レバー15がR(リバース)に入れられ且つクラッチ杆31が握られているため、図6(b)に示したように、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが大きく引っ張られ、ロック操作部34のアーム39cがガススプリング32のロックを解除する位置に遷移する。
歩行型作業機100が後進したときに、作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれると、図11に示すように、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して鉛直下向き(Y軸回り)に回動する。この際、ガススプリング32は、変位に対して略一定の抗力が生じるため、ハンドル杆30の後部分30bの回動を許容しつつ、回動に抗する所定の大きさの力を後部分30bに加える。したがって、ハンドル杆30の後部分30bは、ガススプリング32が設けられていない場合と比べて、ゆっくりと回動するようになる。
ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動することで、クラッチワイヤ35のインナーワイヤ35aはクラッチ杆31により引っ張られた状態から引っ張られる前の状態に戻る。このため、クラッチが切断されて、発動機14から車軸12への動力の伝達が遮断される。これにより、車輪13の回転が停止して、歩行型作業機100は停止する。また、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動することで、接続ワイヤ52のインナーワイヤ52aもクラッチ杆31により引っ張られた状態から引っ張られる前の状態に戻る。このため、ロック切替機構33は、図6(b)の状態から図6(a)の状態へと遷移する。図6(a)の状態になることで、ロック操作部34のアーム39cは図7(b)の状態から図7(a)の状態へと遷移してガススプリング32をロック状態にする位置に移動する。このとき、インナーワイヤ35aの張り具合が弱くなることでクラッチが切断されて動力が遮断され、車輪13が停止した後に、ガススプリング32がロック状態となることが好ましい。このように、インナーワイヤ35aの張り具合が弱くなることで車輪13が停止した後にガススプリング32がロック状態になることで、ハンドル杆30の後部分30bが固定された状態になるため、作業者はハンドル杆30の後部分30bを押して歩行型作業機100を移動させたり、ハンドル杆30の後部分30bを頼りにして挟まれた状態から脱出したりすることが可能となる。
また、本第1の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bが回動することで、発動機14が有する点火プラグへの給電を停止する構成となっている。このことについて、図12(a)及び図12(b)を用いて説明する。図12(a)及び図12(b)には、図2の領域Aが拡大されて示されている。図12(a)は、ハンドル杆30の後部分30bが回動する前の状態を示し、図12(b)は、回動した後の状態を示している。
図12(a)及び図12(b)に示すように、ハンドル杆30の前部分30aにはスイッチ38が取り付けられている。スイッチ38は、スイッチング部38aを有しており、スイッチング部38aが押されていない状態から押された状態に遷移すると、点火プラグへの給電を停止する機能を有する。すなわち、スイッチ38は、発動機14の点火プラグへの給電を停止するキルスイッチである。ハンドル杆30の後部分30bのスイッチ38近傍には、接触部材54が固定されている。接触部材54は、図10のようにハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動していない状態では、図12(a)に示すように、スイッチング部38aには接触しない。一方、図11のように、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動した状態では、接触部材54は、図12(b)に示すように、スイッチング部38aを押す。このように、ハンドル杆30後部分30bが前部分30aに対して回動し、スイッチング部38aが接触部材54によって押されることで、発動機14は停止する。これによっても、車輪13の回転が停止し、歩行型作業機100は停止する。
本第1の実施形態に係る歩行型作業機100による効果について図13を用いて説明する。図13は、歩行型作業機100の後進時に作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれ始めてから作業者に掛かる負荷(荷重)の推移を示すグラフである。図13の横軸は時間で、縦軸は作業者に掛かる負荷(荷重)である。本第1の実施形態に係る歩行型作業機100の負荷(荷重)の推移を実線で示し、ハンドル杆が折れ曲がらない比較の形態に係る歩行型作業機の負荷(荷重)の推移を破線で示している。時間軸のAは、挟まれ発生時刻を示している。時間軸のB~Eは、本第1の実施形態に係る歩行型作業機100における、B:ハンドル杆30の後部分30bの回動開始時刻、C:スイッチ38の作動時刻、D:クラッチの切断時刻、E:ハンドル杆30の後部分30bの回動終了時刻を示している。
図13に示すように、ハンドル杆が折れ曲がらない比較の形態に係る歩行型作業機では、作業者が背後の障害物とハンドル杆との間に挟まれ始めた時刻から僅かな時間(約1秒)で、作業者に最大負荷(荷重)が掛かる。これに対し、本第1の実施形態に係る歩行型作業機100では、ハンドル杆30に所定以上の負荷が発生した際(時刻B)に、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動すると共にガススプリング32が回動に抗する力を後部分30bに付与するため、ガススプリング32の抗力に応じた略一定の負荷(荷重)が作業者に掛かる。したがって、ハンドル杆が折れ曲がらない比較の形態に係る歩行型作業機に比べ、本第1の実施形態に係る歩行型作業機100は、後進時に挟まれた状態での作業者に掛かる負荷(荷重)が低減される。作業者に掛かる負荷(荷重)が低く維持された状態で、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して、スイッチ38(キルスイッチ)の作動及びクラッチワイヤ35が弛むことによるクラッチの切断が実行されるため、歩行型作業機100が停止する。
本第1の実施形態によれば、ハンドル杆30は、車体10に一端が固定され、車体10の前進方向後方(-X側)に延びる前部分30a(第1部分)と、前部分30aの他端に設けられ、作業者が把持する後部分30b(第2部分)と、を有し、後部分30bは前部分30aに対して回動可能となっている。そして、ハンドル杆30の後部分30bの回動を許容しつつ回動に抗する力を後部分30bに付与するガススプリング32(規制部)と、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して、発動機14による車輪13(走行部)の回転を停止させるクラッチワイヤ35及びスイッチ38(停止部)と、が設けられている。ガススプリング32が設けられていることで、歩行型作業機100の後進時に作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれた場合でも、作業者にはガススプリング32が収縮する際の抗力に応じた負荷が掛かるようになり、作業者のハンドル杆30に対する操作性を残しつつ作業者に掛かる負荷(荷重)を低減することができる。そして、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して発動機14による車輪13の回転が停止するため、作業者に掛かる負荷(荷重)が低減された状態で歩行型作業機100を停止させることができる。
また、本第1の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bは前部分30aに対して鉛直下向き(Y軸回り)に回動する。作業者が背後の障害物とハンドル杆30の後部分30bとの間に挟まれた場合、ハンドル杆30は、作業者の体に当たって水平方向に力を加えながら車軸12を中心に鉛直上向きに押し上がるように回動しようとする。この場合に、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して鉛直下向きに回動することで、ハンドル杆30が鉛直上向きに押し上がるように回動することを抑制できる。よって、ハンドル杆30に加わる外力による後部分30bの回動が作業者の身体によって阻害されることを抑制できる。
また、本第1の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bの回動を阻止するためのロック操作部34が設けられている。ロック操作部34は、車体10の後進時にハンドル杆30の後部分30bの回動の阻止を解除する。これにより、車体10の前進時にハンドル杆30の後部分30bが意図せず回動してしまうことを抑制でき、ハンドル杆30の操作性を確保することができる。
また、本第1の実施形態では、ロック操作部34は、車体10が後進するように作業者が変速レバー15(第1切替部)を操作しかつ発動機14から車軸12に動力が伝わる伝達状態になるように作業者がクラッチ杆31(第2切替部)を操作することに連動して、ハンドル杆30の後部分30bの回動の阻止を解除する。変速レバー15がR(リバース)の位置に操作され且つクラッチ杆31が握られることで車体10は後進を開始することから、変速レバー15及びクラッチ杆31の操作に連動してハンドル杆30の後部分30bの回動の阻止を解除することで、車体10の後進時にハンドル杆30の後部分30bを更に確実に回動可能な状態とすることができる。
また、本第1の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bの回動を許容しつつ回動に抗する力を後部分30bに付与する規制部がガススプリング32である。これにより、図13に示すように、歩行型作業機100の後進時に背後の障害物とハンドル杆30との間に作業者が挟まれた場合において、ガススプリング32の収縮の際の抗力に応じた一定の負荷(荷重)が作業者に掛かるようになる。よって、作業者に掛かる負荷(荷重)がある一定値を超えない状態が持続され易くなり、その時間を利用して発動機14による車輪13の回転を停止させることができる。
なお、上記第1の実施形態では、ハンドル杆30の回動に抗する力を付与する規制部がガススプリング32である場合を例に示したが、ショックアブソーバーなど、その他の場合でもよい。規制部がショックアブソーバーである場合でも、ガススプリング32と同様にピストンが変位しても通常のばねに比べて略一定の抗力が生じやすいことから、作業者が背後の障害物とハンドル杆30とに挟まれたときに、作業者に掛かる負荷(荷重)が低減され且つある一定値を超えない状態が持続され易くなる。
また、本第1の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して発動機14による車輪13の回転を停止させる停止部の1つは、スイッチ38(キルスイッチ)であり、発動機14が有する点火プラグへの給電を停止する。スイッチ38(キルスイッチ)の操作は、機械的な動作だけで実現でき、追加の電気制御回路などを用いなくて済むため、歩行型作業機100に新たにバッテリ及び電池を搭載しなくても、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して車輪13の回転を停止させることができる。
また、本第1の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して発動機14による車輪13の回転を停止させる停止部の1つは、クラッチ杆31に繋がれたクラッチワイヤ35であり、発動機14と車軸12との間のクラッチを切断する。これは、機械的な動作だけで実現でき、追加の電気制御回路などを用いなくて済むため、歩行型作業機100に新たにバッテリ及び電池を搭載しなくても、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して車輪13の回転を停止させることができる。
また、本第1の実施形態では、作業者がクラッチ杆31を握ってクラッチを接続する操作を行っている場合であっても、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動してクラッチを切断する。上述したように、作業者が背後の障害物とハンドル杆30の後部分30bとの間に挟まれた場合、ハンドル杆30は、作業者の体に当たって水平方向に力を加えながら車軸12を中心に鉛直上向きに押し上がるように回動しようとする。このような場合では、ハンドル杆30によって胸腹部近傍が押されることでクラッチ杆31を放す余裕がないことが生じ得る。しかしながら、作業者がクラッチ杆31を握ってクラッチが接続状態になっている場合であってもハンドル杆30の後部分30bの回動に連動してクラッチを切断することで、クラッチ杆31を放す余裕がない場合でも、車輪13の回転を停止させることができる。また、作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれた場合、上述したように、ハンドル杆30が作業者の胸腹部付近を突き上げるため、作業者がハンドル杆30から手を放してもクラッチ杆31が下がった状態を維持し続けることがある。このような場合であっても、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して車輪13の回転を停止させることができる。
また、本第1の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して、発動機14が有する点火プラグへの給電を停止すること及び発動機14と車軸12との間のクラッチを切断すること、の両方が行われる。これにより、作業者が後方の障害物とハンドル杆30との間に挟まれた場合において、車輪13の回転をより確実に停止させることができる。
なお、上記第1の実施形態において、ハンドル杆30の後部分30bの回動に連動して、発動機14が有する点火プラグへの給電を停止すること及び発動機14と車軸12との間のクラッチを切断すること、のいずれか一方が行われる場合でもよい。
なお、上記第1の実施形態において、作業者が後方の障害物とハンドル杆30との間に挟まれ、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動することで車輪13が停止したときに、ガススプリング32はロック状態に遷移せずにロック解除状態のままとなっていてもよい。この場合、ハンドル杆30の後部分30bが動くことから、障害物とハンドル杆30との間に挟まれている作業者はハンドル杆30の後部分30bを動かして脱出することが可能となる。
なお、上記第1の実施形態において、図5(a)~図6(b)に示したロック切替機構33の構造は一例であり、特許請求の範囲に記載の機能を実現することができれば、その他の構造をしていてもよい。
《第2の実施形態》
図14には、第2の実施形態に係る歩行型作業機200を斜め上方から見た状態が示されている。歩行型作業機200は、図14に示すように、車体10の-X側に設けられたハンドル杆60を有する。ハンドル杆60は、車体10に一端が固定され、車体10の前進方向後方に延びる前部分60aと、前部分60aの他端に取り付けられ、作業者が把持する後部分60bと、を有する。後部分60bは、前部分60aに対して鉛直下向き(Y軸回り)に回動可能となっている。後部分60bは、作業者が握るグリップが左右に分かれたコの字型の2ハンドル構造をしている。左右のグリップのうちの一方にクラッチ杆61が設けられている。また、領域Aには、第1の実施形態の図12(a)及び図12(b)に示したスイッチ38が設けられている。その他の構成は第1の実施形態の歩行型作業機100と同じであるため説明を省略する。
本第2の実施形態においても、ハンドル杆60は、車体10に一端が固定され、車体10の前進方向後方(-X側)に延びる前部分60a(第1部分)と、前部分60aの他端に設けられ、作業者が把持する後部分60b(第2部分)と、を有し、後部分60bは前部分60aに対して回動可能となっている。そして、歩行型作業機200には、ハンドル杆60の後部分60bの回動を許容しつつ回動に抗する力を後部分60bに付与するガススプリング32(規制部)と、ハンドル杆60の後部分60bの回動に連動して、発動機14による車輪13の回転を停止させるクラッチワイヤ35及びスイッチ38(停止部)と、が設けられている。これにより、歩行型作業機200の後進時に作業者が背後の障害物とハンドル杆60との間に挟まれた場合でも、作業者にはガススプリング32が収縮する際の抗力に応じた負荷が掛かるようになり、作業者のハンドル杆30に対する操作性を残しつつ作業者に掛かる負荷(荷重)を低減することができる。
《第3の実施形態》
図16には、第3の実施形態に係る歩行型作業機300を+Z方向から見た状態が示されている。図17(a)及び図17(b)は、第3の実施形態における表示板17近傍を拡大した図である。図17(a)は、変速レバー15がN(ニュートラル)の位置にある状態を示し、図17(b)は、R(リバース)の位置にある状態を示している。歩行型作業機300は、図16から図17(b)に示すように、ロック切替機構33が設けられてなく、これに伴い、接続ワイヤ51、52も設けられていない。ロックワイヤ50のアウターケーブル50bの一方の端部は、第1の実施形態と同じく、図7(a)及び図7(b)のように、ロック操作部34の固定部39dに取り付けられている。インナーワイヤ50aの一方の端部も、第1の実施形態と同じく、図7(a)及び図7(b)のように、ロック操作部34のアーム39cに接続されている。一方、ロックワイヤ50のアウターケーブル50bの他方の端部は、第1の実施形態とは異なり、変速レバー15の下端部近傍に設けられた表示板17に固定された固定部17aに、変速レバー15に対してR(リバース)とは反対側に位置して取り付けられている。インナーワイヤ50aの他方の端部は、第1の実施形態と異なり、変速レバー15の近傍に設けられた移動部材53に接続されている。その他の構成は第1の実施形態の歩行型作業機100と同じであるため説明を省略する。
変速レバー15がN(ニュートラル)の位置からR(リバース)の位置に移動すると、移動部材53の一部分53aが変速レバー15に押されることで動く。これにより、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが移動部材53によって大きく引っ張られる。インナーワイヤ50aが移動部材53により大きく引っ張られることでロック操作部34のアーム39cが引っ張られ、ロック操作部34は、図7(a)の状態から図7(b)の状態に遷移する。これにより、ガススプリング32はロックが解除された状態となる。
このように、本第3の実施形態によれば、ロック操作部34は、車体10が後進するように作業者が変速レバー15(第1切替部)を操作することに連動して、ハンドル杆30の後部分30bの回動の阻止を解除する。変速レバー15がR(リバース)の位置に操作されることで歩行型作業機100は後進可能な状態となることから、変速レバー15の操作に連動してハンドル杆30の後部分30bの回動の阻止を解除することで、車体10の後進時にハンドル杆30の後部分30bをより確実に回動可能な状態とすることができる。
《第4の実施形態》
上記第1の実施形態から第3の実施形態では、図15(a)及び図15(b)のように、ガススプリング32自体にロック機能が備わる場合について示したが、本第4の実施形態では、ロック機能が備わらないガススプリング32aを用いる場合について説明する。ガススプリング32a及びロック操作部34a以外は、上記第1の実施形態と同じであるため、ガススプリング32aおよびロック操作部34aを中心に説明する。
ガススプリング32aは、図15(a)及び図15(b)に示したガススプリング32と比べて、バルブ77及びプッシュロッド78が設けられていない点で異なる。したがって、オリフィス孔76を介してオイルの流通が常時可能となっている。
図18には、第4の実施形態の歩行型作業機において、クラッチ杆31が握られる前の状態のハンドル杆30が示されている。図19(a)は、図18の領域Aの拡大図、図19(b)は、図19(a)におけるリンク機構90近傍をA方向から見た拡大図である。図18に示すように、ロック操作部34aは、リンク機構80とリンク機構90を含む。
図19(a)に示すように、リンク機構80は、リンク81とリンク82とリンク83を含む。リンク81は、一端がジョイント84によってガススプリング32aのピストンロッド74の先端部に回動可能に結合されている。リンク82は、一端がジョイント85によってガススプリング32aのシリンダ70の先端部に回動可能に結合されている。リンク83は、一端に突起部87を備える。突起部87は、ハンドル杆30の前部分30aに固定されたレール部88の案内溝89に挿入されている。リンク81の他端とリンク82の他端とリンク83の他端とはジョイント86によって互いに回動可能に結合されている。ガススプリング32aが伸びた状態においては、ガススプリング32aが収縮したときにジョイント86がリンク83側に移動するように、リンク81とリンク82はリンク83側にくの字に折れ曲がっていることが好ましい。リンク81とリンク82がくの字に折れ曲がるようにするために、リンク81とリンク82の長さの合計がピストンロッド74の長さより長くなるようにしてもよいし、リンク83の突起部87が案内溝89の下側端部に当接したときにジョイント86の位置がリンク81とリンク82がくの字に折れ曲がるような位置になるようにしてもよい。
リンク機構90は、リンク91とリンク92とリンク93を含む。リンク91は、L字型形状をしていて、L字の角部分がジョイント94によってレール部88に回動可能に結合されている。リンク91の一端に回動可能に結合されたジョイント95にロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが接続されている。リンク91の他端は、リンク92の一端にジョイント96によって互いに回動可能に結合されている。リンク92の他端は、リンク93の一端にジョイント97によって互いに回動可能に結合されている。リンク93の他端は、ジョイント98によってレール部88に回動可能に結合されている。リンク93には、リンク83の突起部87がレール部88の案内溝89を移動することを阻止するための突起状の阻止部99が設けられている。
図19(b)に示すように、リンク91とリンク92とリンク93はそれぞれレール部88を挟むように一対となって設けられている。ジョイント95は一対のリンク91の先端部に回動可能に結合されていて、このジョイント95にロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが接続されている。
作業者によりクラッチ杆31が握られる前においては、接続ワイヤ52のインナーワイヤ52aはクラッチ杆31に引っ張られていないことから、図5(a)及び図6(a)に示したように、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aは引っ張られないか又はわずかに引っ張られる程度である。この場合、図19(a)に示すように、リンク93の阻止部99は、リンク83の突起部87がレール部88の案内溝89を移動することを阻止する位置にある。このため、リンク81とリンク82とリンク83は動くことができず、ガススプリング32aは収縮することができないロック状態となる。
図20には、第4の実施形態の歩行型作業機において、変速レバー15がR(リバース)に入れられ且つクラッチ杆31が握られた状態のハンドル杆30が示されている。図21は、図20の領域Aの拡大図である。図20及び図21に示すように、変速レバー15がR(リバース)に入れられ且つクラッチ杆31が握られることで、図6(b)に示したように、ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが大きく引っ張られる。これにより、ロック操作部34aはガススプリング32aのロックを解除するように動作する。以下に、ロック操作部34aの動作を詳細に説明する。
ロックワイヤ50のインナーワイヤ50aが大きく引っ張られることで、図21に示すように、リンク91はジョイント94を中心に反時計回りに回動し、リンク91の一端はロックワイヤ50に近づき、他端はリンク92の一端を持ち上げるように動く。これにより、リンク92はジョイント96を中心に反時計回りに回動し、リンク92の他端はリンク93の一端を持ち上げるように動く。これにより、リンク93はジョイント98を中心として時計回りに回動する。その結果、リンク93に設けられた阻止部99は、レール部88の案内溝89から離れた位置に移動する。これにより、リンク83の突起部87は案内溝89を移動することが可能となる。よって、リンク81とリンク82とリンク83は互いに連動して動くことが可能となり、ガススプリング32aは収縮することが可能なロック解除状態となる。
図22には、第4の実施形態の歩行型作業機において、後進時に作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれた状態のハンドル杆30が示されている。図23は、図22の領域Aの拡大図である。図22及び図23に示すように、作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれると、ガススプリング32aがロック解除状態で収縮可能となっているため、ハンドル杆30の後部分30bは前部分30aに対して鉛直下向き(Y軸回り)に回動する。すなわち、リンク81、82がリンク83を押し上げるようにジョイント84、85を中心に回動し、リンク83の突起部87が案内溝89に沿って移動することで、ガススプリング32aは収縮するようになり、ハンドル杆30の後部分30bは前部分30aに対して鉛直下向き(Y軸回り)に回動する。したがって、ガススプリング32aは、ハンドル杆30の後部分30bの回動を許容しつつ、回動に抗する所定の力を後部分30bに加えるようになる。よって、ハンドル杆30の後部分30bはゆっくりと回動するようになる。
本第4の実施形態においても、上記第1の実施形態と同じく、ハンドル杆30の後部分30bの回動を許容しつつ回動に抗する力を後部分30bに付与するガススプリング32aが設けられている。このため、歩行型作業機の後進時に作業者が背後の障害物とハンドル杆30との間に挟まれた場合でも、作業者にはガススプリング32aが収縮する際の抗力に応じた負荷が掛かるようになり、作業者のハンドル杆30に対する操作性を残しつつ作業者に掛かる負荷(荷重)を低減することができる。
また、本第4の実施形態では、ハンドル杆30の後部分30bの回動を阻止するために、リンク機構80とリンク機構90を含むロック操作部34aが設けられている。このようなロック操作部34aが設けられることで、ガススプリング32a自体にロック機能がない場合でも、ガススプリング32aの収縮を抑制するロック状態にすることができる。
[ロック操作部の変形例]
変形例に係るロック操作部34bは、ガススプリング32aがロック解除状態になった場合でも、ガススプリング32aに予め設定されている初期反力より大きな荷重が加わるまでガススプリング32aの収縮が始まらないようにするボールプランジャー62を設けた点でロック操作部34aと異なっている。以下において、ロック操作部34aと異なる点を中心に説明する。
図24(a)及び図24(b)は、クラッチ杆31が握られる前の状態の変形例に係るロック操作部34bを示す図である。図24(b)は、図24(a)におけるボールプランジャー62を通る断面を示している。なお、図24(b)では、参考として案内溝89を点線で図示している(以下の同様な図においても同じ)。図24(a)及び図24(b)に示すように、ロック操作部34bに備わるボールプランジャー62は、本体部63に内蔵されたコイルばね64と、コイルばね64により付勢されたボール65と、を備える。リンク83には、ボール65の直径と同程度の幅を有しかつボール65の直径よりも浅い深さを有する窪み66aと、窪み66aと同程度の深さでありかつ窪み66aよりもリンク83が案内溝89に沿って動く方向に長い窪み66bと、が設けられている。クラッチ杆31が握られる前の状態においては、ボールプランジャー62のボール65は、窪み66aに嵌め込まれかつコイルばね64により窪み66aに向かって付勢されている。
図25(a)及び図25(b)は、変速レバー15がR(リバース)に入れられ且つクラッチ杆31が握られた状態の変形例に係るロック操作部34bを示す図である。図25(b)は、図25(a)におけるボールプランジャー62を通る断面を示している。図25(a)及び図25(b)に示すように、変速レバー15がR(リバース)に入れられ且つクラッチ杆31が握られることで、リンク93の阻止部99がレール部88の案内溝89から離れてリンク83の突起部87が案内溝89に沿って移動可能となる。この場合でも、リンク83を案内溝89に沿ってスライドさせる力が、ボールプランジャー62のボール65を窪み66aから追い出す力以上にならないと、リンク83は動かない。すなわち、図22に示したような、ハンドル杆30の後部分30bが前部分30aに対して回動をし始めるには、ボールプランジャー62のボール65が窪み66aから抜け出る力以上の荷重がハンドル杆30の後部分30bに加わる必要がある。ボール65を窪み66aから出すために必要な荷重は、コイルばね64の付勢力及び/又は窪み66aの深さを調整することで、ガススプリング32aの初期反力よりも大きくなるようにする。
図26(a)及び図26(b)は、ボールプランジャー62のボール65が窪み66aから抜け出た直後の変形例に係るロック操作部34bを示す図であり、図27(a)及び図27(b)は、窪み66aから抜け出て少し経過した後の変形例に係るロック操作部34bを示す図である。図26(b)は、図26(a)におけるボールプランジャー62を通る断面を示し、図27(b)は、図27(a)におけるボールプランジャー62を通る断面を示している。図26(a)から図27(b)に示すように、ハンドル杆30の後部分30bにボールプランジャー62のボール65が窪み66aから抜け出るような荷重が加わることで、ボール65は窪み66aから抜け出る。その結果、図23に示したように、リンク81とリンク82とリンク83が互いに連動して動いてガススプリング32aは収縮し始める。図27(b)のように、ボール65は、窪み66aから抜け出た後に窪み66bに入る。これにより、コイルばね64がボール65を押し付ける力が弱まるため、ボール65の動きがスムースになる。なお、窪み66bは設けられていない場合でもよい。
図28(a)及び図28(b)は、ガススプリング32aが大きく収縮した状態の変形例に係るロック操作部34bを示す図である。図28(b)は、図28(a)におけるボールプランジャー62を通る断面を示している。図28(a)及び図28(b)に示すように、ボールプランジャー62のボール65が窪み66aから抜け出ることで、ガススプリング32aは抗力を伴いながら収縮し、これにより、リンク83の突起部87はレール部88の案内溝89に沿って動く。
変形例のロック操作部34bによれば、ガススプリング32aが収縮を開始するのに必要な荷重をボールプランジャー62によって調整することができる。例えば、ボールプランジャー62を調整することで、歩行型作業機の後進時において、ガススプリング32aの初期反力より大きな荷重がハンドル杆30の後部分30bに加わった場合に、ボールプランジャー62が窪み66aから抜け出るようにすることができる。これにより、ガススプリング32aは収縮し始めるようになり、ハンドル杆30の後部分30bの回動の阻止が解除されるようになる。
例えば、ボールプランジャー62が設けられていない場合では、ガススプリング32aの初期反力より大きな荷重が加わったときにガススプリング32aは収縮を開始する。この場合、ガススプリング32aの初期反力は、作業者が背後の障害物とハンドル杆30の後部分30bとの間に挟まれても負傷し難くかつ後進時のハンドル杆30の操作性を犠牲にしないような大きさに設定される。しかしながら、この場合では、ガススプリング32aの初期反力がある程度大きくなる。ガススプリング32aの収縮中の反力は初期反力よりも大きくなることから、背後の障害物とハンドル杆30の後部分30bとの間に挟まれた作業者への負荷が大きくなる恐れがある。これに対し、ボールプランジャー62を設けることで、ガススプリング32aが収縮を開始する荷重をボールプランジャー62により調整することができるため、ガススプリング32aの初期反力を自由に設定することができる。よって、ガススプリング32aの初期反力を低めに設定して、ガススプリング32aの収縮中の反力が高くなることを抑制することで、作業者に掛かる負荷が大きくなることを抑制できる。また、ボールプランジャー62を適切に調整することで、ガススプリング32aの初期反力を低めに設定しても、ハンドル杆30の操作性が悪くなることを抑制できる。
なお、上記第1の実施形態から第3の実施形態の場合においても、ガススプリング32に予め設定されている初期反力より大きな荷重が加わるまでガススプリング32の収縮が始まらないようにするボールプランジャーを設けることができる。例えば、図12に示す接触部材54と同様な部材をハンドル杆30の前部分30aと後部分30bの両方に近接して設け、前部分30a又は後部分30bのいずれか一方に設けた部材にボールプランジャーを設けかつボールプランジャーを他方に設けた部材に押し付け、他方の部材には窪みを設ける構成とすることができる。
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。