以下、本発明について詳細に説明する。
<第一実施形態の反射防止フィルム>
図1は、本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルムの断面図である。図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る反射防止フィルム10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された反射防止層としての低屈折率層14と、を有する。反射防止フィルム10は、基材フィルム12、ハードコート層16、低屈折率層14をこの順に有する。好ましくは、基材フィルム12とハードコート層16が、他の層を介さず直接接触しているとよい。また、ハードコート層16と低屈折率層14(あるいは反射防止層を構成する低屈折率層14以外の層)が、他の層を介さずに直接接触しているとよい。
(基材フィルム)
基材フィルム12は、透明性を有していれば、特に限定されるものではない。基材フィルム12としては、透明高分子フィルム、ガラスフィルムなどが挙げられる。透明性とは、可視光波長領域における全光線透過率が50%以上であることをいい、全光線透過率は、より好ましくは85%以上である。上記全光線透過率は、JIS K7361-1(1997)に準拠して測定することができる。基材フィルム12の厚みは、特に限定されるものではないが、取り扱い性に優れるなどの観点から、2~500μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは2~200μmの範囲内である。なお、「フィルム」とは、一般に厚さが0.25mm未満のものをいうが、厚さが0.25mm以上のものであってもロール状に巻くことが可能であれば、厚さが0.25mm以上のものであっても「フィルム」に含まれるものとする。
基材フィルム12の高分子材料としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリエチレンナフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリプロピレン樹脂,ポリエチレン樹脂,ポリシクロオレフィン樹脂,シクロオレフィンコポリマー樹脂などのポリオレフィン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂,ジアセチルセルロース樹脂などのセルロース系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などが挙げられる。基材フィルム12の高分子材料は、これらのうちの1種のみで構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせで構成されていてもよい。これらのうちでは、光学特性や耐久性などの観点から、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂、トリアセチルセルロース樹脂がより好ましい。
基材フィルム12は、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層からなる単層で構成されていてもよいし、上記高分子材料の1種または2種以上を含む層と、この層とは異なる高分子材料の1種または2種以上を含む層など、2層以上の層で構成されていてもよい。
基材フィルム12は、少なくともハードコート層16と接する箇所が、炭素-炭素二重結合、好ましくはエチレン性炭素-炭素二重結合を有する材料より構成されていることが好適である。すると、後に説明するハードコート層16に含まれる多官能2級チオールのチオール基と基材フィルム12の炭素-炭素二重結合の間に結合が形成されることで、基材フィルム12とハードコート層16の間の密着性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性の向上に高い効果を示す。この場合に、基材フィルム12を構成するフィルム材自体に炭素-炭素二重結合が含まれる形態の他、プライマー処理や帯電防止層等の機能層の付与により、フィルム材の表面に被覆層を形成する場合には、その被覆層の構成材料に炭素-炭素二重結合が含まれていてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層16は、反射防止フィルム10の耐擦傷性の向上に寄与する。ハードコート層は、(メタ)アクリレート化合物と、多官能2級チオールと、を含む電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成されている。電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味する。電離放射線としては、紫外線(UV)、X線、γ線等の電磁波、電子線(EB)、α線、イオン線等の荷電粒子線などが挙げられる。これらのうちでは、生産性の観点から、紫外線(UV)が特に好ましい。以下、電離放射線硬化性組成物を、単に、硬化性組成物と称する場合がある。また、本明細書において「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよびメタクリレートの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイルおよびメタクリロイルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリル」は「アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方」をいう。「(メタ)アクリレート化合物」は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、モノマー、オリゴマー、プレポリマーなどが挙げられる。以下、(メタ)アクリレート化合物を単に(メタ)アクリレートと称する場合がある。
(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートであっても、多官能(メタ)アクリレートであってもよい。あるいは、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせで構成されていてもよい。硬化性組成物は、(メタ)アクリレートとして、硬化性の向上等の観点から、多官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうちでは、ウレタン(メタ)アクリレート、特にウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物と、必要に応じてポリオール化合物とを反応させて得られるものが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物、及びこれらのヌレート変性体、アダクト変性体、ビウレット変性体などが挙げられる。水酸基含有(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びこれらのポリオキシアルキレン変性体、ポリラクトン変性体などが挙げられる。ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロプレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビフェノール、ビスフェノール等が挙げられる。ハードコート層16を形成するための硬化性組成物が電離放射線硬化性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレートを含む場合には、ハードコート層16が適度な柔軟性を有するため、反射防止フィルム10の耐屈曲性が高くなり、フォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイ等の繰り返し屈曲されるフレキシブルディスプレイに好適に用いることができる。また、例えば基材フィルム12がポリシクロオレフィンやシクロオレフィンコポリマーなどから形成され、比較的割れやすいものでも、基材フィルム12の割れを抑えやすい。
硬化性組成物を構成する(メタ)アクリレートとしてさらに、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物が含有されることが好ましい。ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。特に、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが硬化性組成物に含有されることが好ましい。さらに、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物は、水酸基価が200mgKOH/g以上、また350mgKOH/g以上であることが好ましい。
ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物は低粘度の多官能(メタ)アクリレートであり、硬化性組成物に含有されることで、硬化性組成物の塗工性が高くなるため、溶剤の量を少なくしても硬化性組成物を基材フィルム12上に塗工することができる。そのため、溶剤の乾燥工程で生じるムラ等の不均一構造を抑制し、外観品質のよい反射防止フィルム10を与えるものとなる。ただし、低粘度の(メタ)アクリレートを用いた場合には、硬化収縮に伴うフィルムのカールが発生しやすくなる場合があるが、上記の水酸基価を有するペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物を用いることで、硬化収縮を小さく抑えることができる。そのため、十分な硬度を確保しながら、反射防止フィルム10のカールを抑制し、さらに塗工ムラを軽減することが可能となる。硬化性組成物におけるペンタエリスリトール(メタ)アクリレート化合物の含有量は、硬化性組成物に含まれる(メタ)アクリレート化合物の固形分100質量%に対し、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であるとよい。すると、硬度および塗工性向上の効果が高く得られる。一方、その含有量は、好ましくは75質量%以下、より好ましくは65質量%以下、さらに好ましくは55質量%であるとよい。すると、カール抑制の効果が高く得られる。
上記のように、硬化性組成物は、(メタ)アクリレート化合物に加え、多官能2級チオールを含んでいる。多官能2級チオールは、2級チオール基(メルカプト基;-SH)を2つ以上分子内に含む化合物である。硬化性組成物が多官能チオールを含有することで、反射防止フィルム10の耐擦傷性が向上する。これは、ハードコート層16において、多官能チオールが(メタ)アクリレート化合物と結合を形成することに加え、ハードコート層16と基材フィルム12のおよび低屈折率層14との間の密着性が向上することによると考えられる。特に、基材フィルム12および低屈折率層14(反射防止層)のうち、少なくともハードコート層16と接する箇所が、炭素-炭素二重結合を有する材料より構成されている場合には、多官能チオールのチオール基が、炭素-炭素二重結合と反応して結合を形成することにより(ラジカル付加反応)、ハードコート層16と基材フィルム12および低屈折率層14(反射防止層)の間の密着性が特に高くなる。
特に、硬化性組成物に含まれる多官能チオールが、2級チオールであることで、1級チオールである場合と比較して、硬化性組成物のゲル化が抑制される。その結果、未硬化の硬化性組成物の貯蔵安定性が高くなる。また、形成されたハードコート層16において、ゲル化生成物に由来するフィッシュアイ欠陥が発生しにくくなり、均一性の高いハードコート層16を有する反射防止フィルム10とすることができる。さらに、2級チオールは、1級チオールよりも臭気が弱く、反射防止フィルム10の製造工程において、排気等に要する設備が簡素で済む。また、多官能チオールは、ハードコート層16の硬度を高める観点から、3官能以上であることが好ましい。特に、材料コストを抑制する観点から、3官能または4官能であるとよい。
ハードコート層16の形成に好適に用いることができる多官能2級チオールとして、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(2-(3-スルファニルブタノイルオキシ)エチル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン等を例示することができる。硬化性組成物は、これらの多官能2級チオールを1種のみ含んでも、2種以上含んでもよい。
ハードコート層16における多官能2級チオールの含有量は、硬化性組成物の固形分全量基準で、好ましくは3質量%、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であるとよい。すると、耐擦傷性向上の効果が高く得られる。一方、その含有量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下であるとよい。すると、ハードコート層16の硬度を確保しやすくなる。
ハードコート層16を形成する硬化性組成物には、電離放射線硬化性樹脂に加え、非電離放射線硬化性樹脂が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。また、ハードコート層16を形成する硬化性組成物には、光重合開始剤が含まれていてもよい。また、必要に応じ、硬化性組成物に添加可能な添加剤などが含まれていてもよい。添加剤としては、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、防汚剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、帯電防止剤、無機粒子、樹脂粒子などが挙げられる。また、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。
非電離放射線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物の固形分全量基準で、0.1質量%以上10質量%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1質量%以上5質量%以下の範囲である。
無機粒子および樹脂粒子は、例えばハードコート層16のブロッキングを防止する、ハードコート層16を高屈折率に調整する、などの目的でハードコート層16に添加される。添加する無機粒子や樹脂粒子により、ハードコート層16に微細な表面凹凸を形成することで、低屈折率層14を形成する前の、基材フィルム12およびハードコート層16からなるハードコートフィルムをロール状に巻き付けた際に、表面と裏面が接着するブロッキングを抑えやすい。ハードコート層16を高屈折率にすることで、低屈折率層14を積層したときに、反射防止機能をより高めることができる。高屈折率とは、測定波長589.3nmにおける屈折率が1.50以上をいい、好ましくは1.55~1.80の範囲内、より好ましくは1.60~1.70の範囲内である。
ハードコート層16を高屈折率に光学調整可能な無機粒子としては、チタン,ジルコニウム,スズ,亜鉛,ケイ素,ニオブ,アルミニウム,クロム,マグネシウム,ゲルマニウム,ガリウム,アンチモン,白金などの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらは、光学調整可能な無機粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、高屈折率と透明性の両立に優れるなどの観点から、チタン酸化物,ジルコニウム酸化物が特に好ましい。また、樹脂粒子としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、セルロースなどの樹脂からなる樹脂粒子が挙げられる。これらは、樹脂粒子として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
ハードコート層16の厚みは、特に限定されるものではないが、十分な硬度を有するなどの観点から、0.5μm以上であることが好ましい。より好ましくは0.75μm以上である。また、基材フィルム12との熱収縮差に起因するカールが抑えられやすいなどの観点から、20μm以下であることが好ましい。より好ましくは10μm以下である。ハードコート層16の厚みは、厚み方向において無機粒子や樹脂粒子に起因する凹凸のない部分における比較的平滑な部分の厚みである。
ハードコート層16の表面凹凸が形成されている表面の算術平均粗さRaは、ブロッキングなどの観点から、0.3~20nmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.5~10nmの範囲内である。
ハードコート層16を形成する硬化性組成物において用いられる溶剤としては、エタノール,イソプロピルアルコール(IPA),n-ブチルアルコール(NBA),エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM),エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG),プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM),ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK),メチルイソブチルケトン(MIBK),シクロヘキサノン,アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン,キシレンなどの芳香族系溶剤、酢酸エチル(EtAc),酢酸プロピル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル(BuAc)などのエステル系溶剤、N-メチルピロリドン,アセトアミド,ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
硬化性組成物の固形分濃度(溶剤以外の成分の濃度)は、塗工性、膜厚などを考慮して適宜定めればよい。例えば、1~90質量%、1.5~80質量%、2~70質量%などとすればよい。
(低屈折率層)
本実施形態に係る反射防止フィルム10において、ハードコート層16の面上には、反射防止層として、低屈折率層14が設けられている。低屈折率層14は、ハードコート層16よりも低い屈折率を有するものであって、ハードコート層16との有意な屈折率差により反射防止効果を発現させる。低屈折率層14の屈折率は、好ましくは1.29~1.45、より好ましくは1.32~1.43の範囲内である。低屈折率層14の屈折率は、測定波長589.3nmにおける屈折率である。低屈折率層14は、その組成を特に限定されるものではないが、無機酸化物粒子18、中空シリカ粒子22、含フッ素化合物、バインダー樹脂を含有するものとすることが好ましい。低屈折率層14としては、特許文献1に記載されているものを好適に適用することができる。
低屈折率層14は、少なくともハードコート層16と接する箇所が、炭素-炭素二重結合、好ましくはエチレン性炭素-炭素二重結合を有する材料より構成されていることが好適である。すると、ハードコート層16に含まれる多官能2級チオールのチオール基と低屈折率層14の炭素-炭素二重結合の間に結合が形成されることで、低屈折率層14とハードコート層16の間の密着性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性の向上に高い効果を示す。例えば、バインダー樹脂として低屈折率層14に含有される(メタ)アクリレートの炭素-炭素二重結合が、この役割を果たしうる。
バインダー樹脂としては、低屈折率層14の耐擦傷性などの観点から、熱硬化性化合物の硬化物や紫外線硬化性化合物の硬化物などが好ましい。また、生産性などの観点から、紫外線硬化性化合物の硬化物がより好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線反応性の反応性基を有するモノマー,オリゴマー,プレポリマーなどが挙げられる。紫外線反応性の反応性基としては、アクリロイル基,メタクリロイル基,アリル基,ビニル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合型の反応性基やオキセタニル基などのカチオン重合型の反応性基などが挙げられる。これらのうちでは、アクリロイル基,メタクリロイル基,オキセタニル基がより好ましく、アクリロイル基,メタクリロイル基が特に好ましい。すなわち、(メタ)アクリレートが特に好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよいし、多官能(メタ)アクリレートで構成されていてもよいし、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせで構成されていてもよい。(メタ)アクリレートとしては、多官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、四官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。より具体的には、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
紫外線硬化性樹脂は、上記する(メタ)アクリレートの1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。紫外線硬化性樹脂は、耐擦傷性の向上の観点から、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、また、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートの含有率を大きくすることが好ましい。
また、多官能(メタ)アクリレートは、二量体を含むことが好ましい。多官能(メタ)アクリレートの二量体は硬化速度に優れ、硬化性組成物の硬化率を容易に上げることができるため、より耐擦傷性を向上させることができる。なかでも、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの二量体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及び、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの二量体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
上記二量体の含有量は、耐擦傷性や透明性、溶剤への溶解性の観点から、多官能(メタ)アクリレートの固形分全量基準で、25~50質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは30~40質量%の範囲である。
無機酸化物粒子18は、低屈折率層14に含まれることで、低屈折率層14の表面に凸部を形成するものである。無機酸化物粒子18によって低屈折率層14の表面に凸部が形成されることで、低屈折率層14は良好な耐擦傷性を有することができる。
無機酸化物粒子18は、中実粒子であってもよいし、中空粒子であってもよい。無機酸化物粒子18は、中実粒子であることが好ましい。中実粒子とは、粒子の内部に実質的に空洞を有していない粒子であり、空洞の割合が中実粒子の体積の5%未満である粒子をいう。中空粒子は、粒子の内部に空洞を有している粒子であり、空洞の割合が中空粒子の体積の5%以上である粒子をいう。無機酸化物粒子18が中実粒子であると、低屈折率層14の耐擦傷性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性が向上する。無機酸化物粒子18が中空粒子であると、低屈折率層14の屈折率を低くして、光の反射を低減することができる。中空粒子において、空洞の割合は、中空粒子の体積の10~80%であることが好ましい。より好ましくは20~60%、さらに好ましくは30~60%である。空洞の割合が10%以上であると、屈折率を低くして光の反射を低減することができる。空洞の割合が80%以下であると、無機酸化物粒子18の分散性の低下を抑えることができる。
無機酸化物粒子18としては、チタン、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウム、カルシウムなどの金属の酸化物からなる金属酸化物粒子が挙げられる。これらは、無機酸化物粒子18として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。これらのうちでは、屈折率が低く透明性に優れる、硬度が高いなどの観点から、シリカ粒子、アルミナ粒子が好ましく、アルミナ粒子が特に好ましい。
無機酸化物粒子18の形状は、特に限定されるものではなく、球状、針状、鱗片状、棒状、繊維状、不定形などであってもよい。これらのうちでは、球状であることが好ましい。
無機酸化物粒子18は、低屈折率層14の表面に凸部を形成し、良好な耐擦傷性を得るために、無機酸化物粒子18の平均粒子径rと低屈折率層14の平均厚みdの差(r-d)が、10nm以上であるとよい。差(r-d)は、より好ましくは15nm以上、さらに好ましくは18nm以上である。一方、形成される凸部の高さを抑えて透明性を維持するなどの観点から、差(r-d)は、300nm以下であるとよい。より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。
無機酸化物粒子18の平均粒子径rは、低屈折率層14の平均厚みdにもよるが、60~400nmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは70~300nmの範囲内、さらに好ましくは90~200nmの範囲内である。無機酸化物粒子18の平均粒子径rは、JIS Z8825に従うレーザー回折・散乱法により得られる体積基準の平均算術値であって、一次粒子径だけではなく、粒子の凝集体である二次粒子径も含む。
低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し0.1質量%以上4.0質量%以下であるとよい。低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し0.1質量%以上であると、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。そして、低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し4.0質量%以下であると、高い透明性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは3.5質量%以下、さらに好ましくは3.2質量%以下である。なお、ここでいう低屈折率層14の固形分とは、低屈折率層14においてバインダー樹脂に固定化されていない、常温において液状の成分を除く成分である。低屈折率層14の固形分としては、無機酸化物粒子18、中空シリカ粒子22、バインダー樹脂、バインダー樹脂に固定化された含フッ素化合物などが含まれる。添加剤としてのオイル成分やバインダー樹脂に固定化されていない界面活性剤などは含まれない。
中空シリカ粒子22は、低屈折率層14の平均厚さよりも平均粒子径の小さい粒子である。中空シリカ粒子22は、低屈折率層14の表面に凸部を形成する無機酸化物粒子18よりも平均粒子径の小さい粒子であるとよい。中空シリカ粒子22は、低屈折率層14の表面凹凸の形成に実質的に寄与しない粒子である。中空シリカ粒子22は、粒子の内部に空洞を有している粒子であり、空洞の割合が体積の5%以上である粒子をいう。中空とは、外殻とその内部の空洞からなるコアシェル構造のものや、多数の空洞を有する多孔質構造のものなどをいう。中空シリカ粒子22は、中空構造であることで、低屈折率層14の屈折率を低くして、光の反射を低減させることができる。中空シリカ粒子22の形状は、特に限定されるものではないが、球状、紡錘状、卵状、平板状、立方体状、不定形などが好ましい。これらのうちでは、球状、平板状、立方体状などが特に好ましい。
中空シリカ粒子22において、空洞の割合は、体積の10~80%であることが好ましい。より好ましくは体積の20~60%、さらに好ましくは体積の30~60%である。空洞の割合が体積の10%以上であると、屈折率を低くして光の反射を低減することができる。空洞の割合が体積の80%以下であると、中空シリカ粒子22の分散性の低下を抑えることができる。
中空シリカ粒子22の平均粒子径は、低屈折率層14の平均厚みにもよるが、5nm以上100nm以下であることが好ましい。より好ましくは20nm以上80nm以下、さらに好ましくは40nm以上70nm以下である。中空シリカ粒子22の平均粒子径がこれら好ましい範囲内であると、低屈折率層14の優れた反射防止効果と透明性を得ることができる。平均粒子径は、JIS Z8825に従うレーザー回折・散乱法により得られる体積基準の平均算術値である。一次粒子径だけではなく、粒子の凝集体である二次粒子径も含む。
中空シリカ粒子22の屈折率は、1.01~1.45の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.15~1.38の範囲内、さらに好ましくは1.15~1.35の範囲内である。この範囲内であると、優れた反射防止効果が得られる。
低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し6.0質量%以上49.9質量%以下であるとよい。低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し6.0質量%であると、優れた反射防止性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。そして、低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し49.9質量%以下であると、耐擦傷性の低下が抑えられる。また、この観点から、低屈折率層14における中空シリカ粒子22の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
そして、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し10質量%以上50質量%以下であるとよい。低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し10質量%以上であると、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。一方、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し50質量%以下であると、低屈折率層14に無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22を十分に保持することができるため、優れた耐擦傷性を得ることができる。また、この観点から、低屈折率層14における無機酸化物粒子18と中空シリカ粒子22の合計量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは48質量%以下、さらに好ましくは46質量%以下、特に好ましくは43質量%以下である。
含フッ素化合物は、防汚剤として機能することができる。また、低屈折率層14の表面の滑り性が向上するため、耐擦傷性の向上に寄与することができる。含フッ素化合物としては、パーフルオロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。このような化合物としては、信越化学工業製「KY-1203」、DIC製「メガファックRS-75」、ダイキン工業製「オプツールDAC-HP」、ネオス製「フタージェント601AD」などが挙げられる。このような含フッ素化合物により、汚れや指紋の付着を抑え、汚れや指紋の除去を容易にすることができる。
低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましい。低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し1.0質量%以上であると、低屈折率層14の表面の滑り性が向上し、耐擦傷性が向上する。また、防汚性が向上する。そして、この観点から、低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは3.0質量%以上である。そして、低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量が低屈折率層14の固形分100質量%に対し15.0質量%以下であると、耐擦傷性の低下が抑えられる。また、この観点から、低屈折率層14における含フッ素化合物の含有量は、低屈折率層14の固形分100質量%に対し、より好ましくは13.0質量%以下、さらに好ましくは10.0質量%以下、特に好ましくは5.0質量%以下である。
低屈折率層14の平均厚みdは、好ましくは60~160nmの範囲内、より好ましくは70~140nmの範囲内、さらに好ましくは80~120nmの範囲内である。この範囲内であると、良好な視感度反射率を得ることができ、光の反射を軽減することができる。低屈折率層14の平均厚みは、厚み方向において無機酸化物粒子18が存在しない部分における比較的平滑な部分の厚みである。
低屈折率層14は、必要に応じて、添加剤などが含まれていてもよい。このような添加剤としては、防汚剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、搖変剤、抗菌剤、難燃剤、スリップ剤、屈折率調整剤などが挙げられる。
低屈折率層14は、無機酸化物粒子18、中空シリカ粒子22、含フッ素化合物、バインダー樹脂を含む組成物を用いて形成することができる。含フッ素化合物およびバインダー樹脂は、紫外線反応性の反応性基を有することが好ましい。紫外線反応性の反応性基としては、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。含フッ素化合物およびバインダー樹脂が紫外線反応性の反応性基を有すると、低屈折率層14の耐擦傷性が向上し、反射防止フィルム10の耐擦傷性が向上する。低屈折率層14の形成用組成物は、バインダー樹脂が紫外線反応性の反応性基を有するもの(紫外線硬化性樹脂)を含む場合、光重合開始剤を含むことが好ましい。低屈折率層14の形成用組成物は、必要に応じ、溶剤が含まれていてもよい。低屈折率層14のバインダー樹脂は、紫外線硬化性樹脂で構成されていてもよいし、非紫外線硬化性樹脂で構成されていてもよいし、紫外線硬化性樹脂と非紫外線硬化性樹脂の組み合わせで構成されていてもよい。
非紫外線硬化性樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
光重合開始剤としては、アルキルフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系、オキシムエステル系などの光重合開始剤が挙げられる。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジルメチル-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、2-(4-メチルベンジル)-2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、1,2-オクタンジオン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-[9-エチルー6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾールー3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。光重合開始剤は、これらの1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。
光重合開始剤の含有量は、低屈折率層14の形成用組成物の固形分全量基準で、0.1~10質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは1~5質量%の範囲である。
低屈折率層14の形成用組成物において用いられる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGM)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルコール系溶剤や、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、アセトンなどのケトン系溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤、N-メチルピロリドン、アセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤などが挙げられる。これらは、溶剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
(反射防止フィルムの製造方法)
反射防止フィルム10は、基材フィルム12の面上にハードコート層16を形成する組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、紫外線等のエネルギー線照射により硬化させて、基材フィルム12の面上にハードコート層16を形成した後、ハードコート層16の面上に低屈折率層14を形成する組成物を塗工し、必要に応じて乾燥後、紫外等のエネルギー線線照射により硬化させて、ハードコート層16の面上に低屈折率層14を形成することにより製造することができる。この際、基材フィルム12とハードコート層16の密着性を向上させるために、基材フィルム12の表面には、塗工前に表面処理が施されてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理などが挙げられる。
ハードコート層16を形成する組成物や低屈折率層14を形成する組成物の塗工には、例えば、リバースグラビアコート法,ダイレクトグラビアコート法,ダイコート法,バーコート法,ワイヤーバーコート法,ロールコート法,スピンコート法,ディップコート法,スプレーコート法,ナイフコート法,キスコート法などの各種コーティング法や、インクジェット法、オフセット印刷,スクリーン印刷,フレキソ印刷などの各種印刷法を用いて行うことができる。
乾燥工程は、塗工液に用いた溶剤等を除去できれば特に限定されるものではないが、50~150℃の温度で10秒~180秒程度行うことが好ましい。特に、乾燥温度は、50~120℃が好ましい。
紫外線照射には、高圧水銀ランプ、無電極(マイクロ波方式)ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、その他任意の紫外線照射装置を用いることができる。紫外線照射は、必要に応じて、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。紫外線照射量は、特に限定されるものではないが、50~800mJ/cm2が好ましく、100~300mJ/cm2がより好ましい。
低屈折率層14の表面における算術平均粗さSaは、良好な指滑り性と耐擦傷性の観点から、好ましくは1.0~20nm、より好ましくは3.0~15nm、さらに好ましくは5.0~10nmである。
反射防止フィルム10におけるヘイズは、良好な視認性などの観点から、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下である。
反射防止フィルム10における視感度反射率は、低いほど好ましく、より好ましくは2.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。
以上の構成の反射防止フィルム10は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された低屈折率層14(反射防止層)と、を有し、ハードコート層16が、(メタ)アクリレート化合物と、多官能2級チオールと、を含む電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成されている。このハードコート層16の寄与により、反射防止フィルム10は、優れた耐擦傷性を備えるものとなる。
<他の形態の反射防止フィルム>
本発明に係る反射防止フィルムは、第一実施形態に係る反射防止フィルム10の構成に限定されるものではない。以下に、本発明に係る反射防止フィルムの他の実施形態について説明する。
(第二実施形態)
図2には、第二実施形態に係る反射防止フィルム20を示している。第二実施形態に係る反射防止フィルム20は、基材フィルム12と、基材フィルム12の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された高屈折率層17と、高屈折率層17の面上に形成された低屈折率層14と、を有する。反射防止フィルム20は、基材フィルム12側から順に、基材フィルム12、ハードコート層16、高屈折率層17、低屈折率層14を有している。この構造においては、低屈折率層14と高屈折率層17が、反射防止層となる。
第二実施形態に係る反射防止フィルム20は、第一実施形態に係る反射防止フィルム10と比較して、ハードコート層16と低屈折率層14の間に高屈折率層17を有している点が相違し、これ以外については第一実施形態に係る反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
高屈折率層17は、ハードコート層16において説明する材料から適宜選択することにより形成することができる。高屈折率層17の屈折率は、好ましくは1.55~1.80の範囲内、より好ましくは1.60~1.70の範囲内である。高屈折率層17の屈折率は、測定波長589.3nmにおける屈折率である。高屈折率層17の屈折率は、バインダー樹脂、無機粒子、樹脂粒子の選択、配合量などにより調整することができる。
高屈折率層17の平均厚みは、屈折率の設定に応じて異なるが、例えば50nm以上200nm以下とすることで、反射防止機能をさらに高めることができる。
上記で説明した第一実施形態に係る反射防止フィルム10においては、ハードコート層16の表面上に形成された低屈折率層14が反射防止層を構成し、ここで説明した第二実施形態に係る反射防止フィルム20においては、ハードコート層16の表面上に、高屈折率層17と低屈折率層14がこの順に積層され、反射防止層を構成しているが、反射防止層は、反射を低減できる層であれば、特にその構成を限定されるものではない。例えば、第二実施形態に係る反射防止フィルム20のハードコート層16と高屈折率層17の間に、中屈折率層をさらに設け、反射防止層を3層構成としてもよい。中屈折率層は、低屈折率層14と高屈折率層17の間の屈折率を有する層であり、中屈折率層を設けることで、反射防止性をさらに高めることができる。さらに、反射防止層の表面には、防汚層を形成してもよい。
反射防止層をどのような構成とする場合でも、反射防止層のうち少なくともハードコート層16と接する箇所が、炭素-炭素二重結合、好ましくはエチレン性炭素-炭素二重結合を有する材料より構成されていることが好適である。すると、ハードコート層16に含まれる多官能2級チオールのチオール基と基材フィルム12の炭素-炭素二重結合の間に結合が形成されることで、反射防止層とハードコート層16の間の密着性が向上し、反射防止フィルムの耐擦傷性の向上に高い効果を示す。例えば、反射防止層のうち、ハードコート層16と接する層が、(メタ)アクリレートを含む電離放射線硬化性材料の硬化物より構成されている場合には、(メタ)アクリレートの炭素-炭素二重結合が、この役割を果たしうる。
(第三実施形態)
図3には、第三実施形態に係る反射防止フィルム30を示している。第三実施形態に係る反射防止フィルム30は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された低屈折率層14と、を有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する。透明粘着層24の面上には、必要に応じて離型フィルム26が配置される。離型フィルム26は、使用前に透明粘着層24の保護層として機能し、使用時には、透明粘着層24から剥がされる。
第三実施形態に係る反射防止フィルム30は、第一実施形態に係る反射防止フィルム10と比較して、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する点が相違し、これ以外については第一実施形態に係る反射防止フィルム10と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
透明粘着層24は、反射防止フィルム30をディスプレイ等の表面に密着性良く貼り付けるためのものである。また、反射防止フィルム30は、透明粘着層24を有することで、ディスプレイ等のガラスの飛散を防止する効果を有する。すなわち、反射防止フィルム30は、飛散防止フィルムとしての機能も有する。
透明粘着層24を形成する粘着剤組成物は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などの公知の粘着性樹脂を含有することができる。中でも、光学的な透明性や耐熱性の観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。粘着剤組成物は、透明粘着層24の凝集力を高めるために、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などが挙げられる。
粘着剤組成物には、必要に応じて、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、可塑剤、シランカップリング剤、界面活性剤、酸化防止剤、充填剤、硬化促進剤、硬化遅延剤などの公知の添加剤が挙げられる。また、生産性などの観点から、有機溶剤を使用して希釈してもよい。
透明粘着層24の厚みは、特に限定されるものではないが、5~100μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは10~50μmの範囲内である。
透明粘着層24は、基材フィルム12の他方の面上に粘着剤組成物を直接塗布して形成する方法、離型フィルム26の面上に粘着剤組成物を塗布して形成した後、基材フィルム12の他方の面上に転写する方法、第一の離型フィルムの面上に粘着剤組成物を塗布して形成した後、第二の離型フィルムを貼り合わせ、いずれか一方の離型フィルムを剥離して基材フィルム12の他方の面上に転写する方法などにより形成することができる。
透明粘着層24は、ガラスの飛散防止効果の観点から、ガラスに対する粘着力が、4N/25mm以上であることが好ましい。より好ましくは6N/25mm以上、さらに好ましくは10N/25mm以上である。
(第四実施形態)
図4には、第四実施形態に係る反射防止フィルム40を示している。第四実施形態に係る反射防止フィルム40は、基材フィルム12と、基材フィルム12の一方の面上に形成されたハードコート層16と、ハードコート層16の面上に形成された低屈折率層14と、低屈折率層14の面上に粘着剤層28を介して配置された保護フィルム32と、を有する。また、基材フィルム12の他方の面上に透明粘着層24を有する。透明粘着層24の面上には、必要に応じて離型フィルム26が配置される。
第四実施形態に係る反射防止フィルム40は、第三実施形態に係る反射防止フィルム30と比較して、低屈折率層14の面上に粘着剤層28を介して保護フィルム32を有する点が相違し、これ以外については第三実施形態に係る反射防止フィルム30と同様であり、同様の構成についてはその説明を省略する。
保護フィルム32は、例えばロールプロセスなどで連続加工したりディスプレイ等に貼り合わされたりするなどの取扱い時において、低屈折率層14の表面に傷が付くのを抑えることができるものである。保護フィルム32は、粘着剤層28を介して低屈折率層14の面に貼り付けられている。保護フィルム32は、加工後などにおいては、粘着剤層28とともに低屈折率層14の面から剥がされる。このため、粘着剤層28は、低屈折率層14と粘着剤層28の間の接着力よりも保護フィルム32と粘着剤層28の間の接着力のほうが強く、低屈折率層14と粘着剤層28の間で界面剥離可能な接着力に調整される。
保護フィルム32を構成する材料は、基材フィルム12を構成する材料として例示したものなどを適宜選択することができる。保護フィルム32の厚みは、特に限定されるものではないが、2~500μmの範囲内、2~200μmの範囲内とすることができる。
粘着剤層28を形成する粘着剤は、特に限定されるものではなく、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤などを好適に用いることができる。特に、アクリル系粘着剤は、透明性や耐熱性に優れるため、好適である。アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリルモノマーの単独重合体もしくは共重合体である。(メタ)アクリルモノマーとしては、アルキル基含有(メタ)アクリルモノマー、カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマー、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーなどが挙げられる。
アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、炭素数2~30のアルキル基を有する(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。炭素数2~30のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環状であってもよい。アルキル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸イソステアリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチルなどが挙げられる。
カルボキシル基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチルなどが挙げられる。カルボキシル基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどが挙げられる。水酸基は、アルキル鎖の末端に位置していてもよいし、アルキル鎖の中間に位置していてもよい。
(メタ)アクリル重合体を形成する(メタ)アクリルモノマーは、上記のいずれか1種であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤などが挙げられる。架橋剤は、これらの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤組成物には、(メタ)アクリル重合体、架橋剤以外に、その他添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、架橋促進剤、架橋遅延剤、粘着性付与樹脂(タッキファイヤー)、帯電防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、剥離助剤、顔料、染料、湿潤剤、増粘剤、紫外線吸収剤、防腐剤、酸化防止剤、金属不活性剤、アルキル化剤、難燃剤などが挙げられる。これらは粘着剤の用途や使用目的に応じて、適宜選択して使用される。
粘着剤層28の厚みは、特に限定されるものではないが、1~10μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは2~7μmの範囲内である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
例えば上記実施形態では、基材フィルム12の表面に表面処理を施してもよい記載をしているが、表面処理に代えて、基材フィルム12の表面に、易接着層を設ける構成であってもよい。
そして、上記保護フィルム32は、図4に示すように、図3に示す第三実施形態の反射防止フィルム30に追加する形で示しているが、図1に示す第一実施形態の反射防止フィルム10や、図2に示す第二実施形態の反射防止フィルム20に追加する形であってもよい。
そして、基材フィルム12の表面には、各層を形成する前に、ガスバリア性向上層、帯電防止層、オリゴマーブロック層などの各種機能層を予め設けてもよい。
帯電防止層は、剥離帯電や摩擦帯電による周囲のゴミ等の付着を軽減する等の目的で設けられる。帯電防止層は、帯電防止剤を含有する帯電防止層形成用組成物からなる層であることが好ましい。
帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩,ピリジウム塩等のカチオン性帯電防止剤、スルホン酸,リン酸,カルボン酸等のアルカリ金属塩等のアニオン性帯電防止剤、アミノ酸系,アミノ酸硫酸エステル系等の両性帯電防止剤、アミノアルコール系,グリセリン系,ポリエチレングリコール系等のノニオン性帯電防止剤、イオン性化合物、ポリアセチレン系,ポリチオフェン系等の導電性ポリマー、金属酸化物粒子やカーボンナノチューブ等の導電性粒子、導電性繊維等が挙げられる。これらの中でも、湿度依存性が少ない、帯電防止層からのブリードアウトを防止する等の観点から、ポリアセチレン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーにドーパントを組み合わせた帯電防止剤、金属粒子、金属酸化物粒子が好ましい。
上記導電性ポリマーからなる帯電防止剤としては、具体的には、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンサルファイド、ポリ(1,6-ヘプタジイン)、ポリビフェニレン(ポリパラフェニレン)、ポリパラフィニレンスルフィド、ポリフェニルアセチレン、ポリ(2,5-チエニレン)、又は、これらの誘導体等の導電性高分子が挙げられ、好ましくは、ポリチオフェン系の導電性有機ポリマー(例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等)が挙げられる。これらは帯電防止剤として1種単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わせて用いられてもよい。
帯電防止剤の含有量は、帯電防止層形成用組成物の固形分全量基準で、1~50質量%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは5~40質量%、さらに好ましくは10~20質量%の範囲である。含有量が1質量%以上であれば、良好な帯電防止性を付与することができ、50質量%以下であれば、全光線透過率が良好な高透明の膜を得ることができる。
帯電防止層は、バインダー樹脂を有していてもよい。バインダー樹脂としては、帯電防止剤と相溶又は混合分散可能であれば、特に限定されず、硬化性樹脂でも、熱可塑性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、又は、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド樹脂、又は、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、又は、ポリフッ化ビニリデン、又は、アクリル樹脂、又は、ポリビニルアルコール等のビニル樹脂、又は、ウレタン樹脂などを挙げることができる。
硬化性樹脂としては、ハードコート層16を形成する際に用いる材料と同様の材料を用いることができる。
帯電防止層の厚みは、帯電を防止する観点から、好ましくは1nm~5μm、より好ましくは10nm~1μm、さらに好ましくは30nm~300nmである。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明する。
<ハードコート層形成用組成物の調製>
表1に記載の配合組成(全固形分中の質量%)となるように各成分を配合し、表1に記載の固形分濃度となるように酢酸エチルを加えて、ハードコート層形成用組成物を調製した。
ハードコート層形成用組成物の構成成分として用いた材料は以下の通りである。
・紫外線硬化性樹脂1-DIC製「ルクシディアESS-620」、ウレタンアクリレート樹脂、溶剤:酢酸エチル、固形分濃度:79質量%
・紫外線硬化性樹脂2-東亞合成製「アロニックスM-933」、ペンタエリスリトールトリアクリレートを主成分とするペンタエリスリトールのアクリレート化反応生成物、水酸基価:250~300mgKOH/g、固形分濃度:100質量%
・多官能2級チオール-昭和電工製「カレンズMT PE1」、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)とペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトブチレート)の混合物、固形分濃度:100質量%
・レベリング剤-ネオス製「フタージェント602A」、フッ素系レベリング剤、溶剤:酢酸エチル、固形分濃度:50質量%
・光重合開始剤-IGM Resins B.V.製「Omnirad127」、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン
<低屈折率層形成用組成物の調製>
全固形分中の質量%で、紫外線硬化性樹脂55質量%、アルミナゾル3.8質量%、含フッ素化合物8質量%、中空シリカ粒子30質量%、光重合開始剤3質量%となるように、各成分を配合し、溶剤(MEK/PGM=1/3)を用いて固形分濃度3質量%に調整することにより、低屈折率層形成用組成物を調製した。
低屈折率層形成用組成物の構成成分として用いた材料は以下の通りである。
・紫外線硬化性樹脂-東亞合成製「アロニックスMT-3041」、多官能アクリレート、固形分濃度:100質量%
・アルミナゾル-トーヨーケム製「リオデュラスKT-110AL」、アルミナ粒子(平均粒子径:110nm)25質量%、感光性モノマー及び樹脂15質量%、溶剤(MEK、シクロヘキサノン、脂肪族系溶剤)
・含フッ素化合物-信越化学工業製「KY-1203」、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート、溶剤:MIBK、固形分濃度:20質量%
・中空シリカ粒子-日揮触媒化成工業製「スルーリア4320」、平均粒子径:60nm、溶剤:MIBK、固形分濃度:20質量%
・光重合開始剤-上記「Omnirad127」
<高屈折率層形成用組成物の調製>
紫外線硬化性樹脂組成物「リオデュラスTYZ65-01」(トーヨーケム製、アクリル系樹脂、酸化ジルコニウム含有(平均粒子径80nm)、光重合開始剤、溶剤(シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル)、固形分濃度35質量%)に、固形分濃度8.5質量%(高屈折率層形成用組成物全体に対する濃度)となるように溶剤(MEK/PGM=1/1)を加え、高屈折率層形成用組成物を調製した。
<ハードコート層の作製>
実施例1~5および比較例1のそれぞれについて、基材フィルム(東レ製「ルミラー#50-U403」、ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み50μm)に、#4のワイヤーバーを用いて、ハードコート層形成用組成物を塗布した。80℃×3分で乾燥後、無電極(マイクロ波式)ランプを用いて光量80mJ/cm2の紫外線を照射してハードコート層を形成した。
<高屈折率層の作製>
実施例5については、ハードコート層の面上に、高屈折率層形成用組成物を、#4のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃×3分で乾燥後、無電極(マイクロ波式)ランプを用いて光量150mJ/cm2の紫外線を照射して高屈折率層を形成した。
<低屈折率層の作製>
実施例1~4および比較例1についてはハードコート層の面上に、実施例5については高屈折率層の面上に、低屈折率層を形成した。この際、低屈折率層形成用組成物を、#4のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃×60秒で乾燥後、窒素雰囲気下、無電極(マイクロ波式)ランプを用いて光量150mJ/cm2の紫外線を照射して低屈折率層を形成した。
以上により、反射防止フィルムを作製した。ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層の各厚みは、フィルメトリクス製「Filmetrics F20 膜厚測定システム」を用い、分光干渉法により測定し、表1に記載したとおりであった。
<評価方法>
(耐擦傷性)
平面摩耗試験機(大栄科学精機製作所製「DAS-400」)を使用し、20mm×20mmの平面摩擦子に固定したスチールウール#0000(日本スチールウール株式会社製)を、反射防止フィルムの低屈折率層表面に載せて往復させた。試験台のストローク長は50mm、試験台往復速度は60往復/分とし、荷重1.0kgで1500回往復動させた。試験後の反射防止フィルムに、長さ10mm以上の傷があるものを、耐擦傷性が低い(×)と評価した。また、長さ10mm未満の傷はあるが長さ10mm以上の傷はないものを、耐擦傷性が高い(〇)と評価した。この程度の傷は、実用上問題とならない。さらに、傷がないものを、耐擦傷性が非常に高い(◎)と評価した。
(鉛筆硬度)
鉛筆硬度試験機(テスター産業製)を使用してJIS K 5600-5-4に規定された方法によって、各試料の表面に対して、鉛筆硬度を測定した。試験荷重は1kgで、鉛筆の硬度を変えながら繰り返し試験を行い、同じ鉛筆でキズやへこみが生じたのが5回中1回以内であったときの最大の硬度を評価値とした。
(視感度反射率)
作製した反射防止フィルムの裏面(低屈折率層とは反対側の面)を#400のサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶし、紫外可視近赤外分光光度計(島津製作所社製「UV-3600」)を用いて、低屈折率層の表面の5°正反射率を測定し、この測定値に比視感度値を乗じて視感度反射率を算出した。
(ヘイズ(Hz)、全光線透過率(Tt))
日本電色工業製「Haze Meter NDH7000」を用い、JIS-K7136の方法で、反射防止フィルム全体のヘイズ(Hz)、全光線透過率(Tt)を測定した。
<評価結果>
下の表1に、実施例1~5および比較例1について、ハードコート層の成分組成および各層の厚みとともに、各評価結果を示す。
ハードコート層を構成する硬化性組成物に多官能2級チオールが含有されていない比較例1では、耐擦傷性の評価結果が悪くなっている。これに対し、いずれもハードコート層を構成する硬化性組成物に多官能2級チオールが含有されている実施例1~5では、高い耐擦傷性が得られている。このことから、ハードコート層を構成する硬化性組成物に多官能2級チオールを含有させることで、反射防止フィルムの耐擦傷性が向上することが分かる。特に、多官能2級チオールの含有量が5質量%を超えている実施例1,3,5では、非常に高い耐擦傷性が得られている。さらに、実施例1~5ではいずれも、H以上の鉛筆硬度、2.0%以下の視感反射率、1.5以下のヘイズ、90%以上の全光線透過率が得られており、これらは反射防止フィルムの性能として十分に高いものである。なお、上記耐擦傷性評価の試験は、特許文献1における試験よりも厳しい条件で行っており、上記比較例1の試料も、特許文献1の基準では十分な耐擦傷性を有するものとみなされる。
以上に示されるとおり、基材フィルムと、基材フィルムの面上に形成されたハードコート層と、ハードコート層の面上に形成された反射防止層と、を有する反射防止フィルムにおいて、ハードコート層を、(メタ)アクリレート化合物と多官能2級チオールとを含む電離放射線硬化性組成物の硬化物より構成することで、ハードコート層の寄与により、優れた耐擦傷性を備える反射防止フィルムとなる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。