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JP7765330B2 - 水系インク組成物 - Google Patents
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JP7765330B2 - 水系インク組成物 - Google Patents

水系インク組成物

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JP7765330B2
JP7765330B2 JP2022053090A JP2022053090A JP7765330B2 JP 7765330 B2 JP7765330 B2 JP 7765330B2 JP 2022053090 A JP2022053090 A JP 2022053090A JP 2022053090 A JP2022053090 A JP 2022053090A JP 7765330 B2 JP7765330 B2 JP 7765330B2
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Description

本発明は水系インク組成物に関する。
各種のカラー印刷方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる印刷方法は、インクの小滴を発生させ、これを紙等の印刷メディアに付着させ印刷を行うものである。近年では産業用途としての需要が高まり、様々な印刷メディアに対して印刷ができるインクが求められている。
印刷メディアの中でも、インク非吸収性メディア、及び、インク難吸収性メディア(以下、「インク非・難吸収メディア」ということがある。)に対しては、メディア上での濡れ広がりが良好なインクが要望されている。メディア上での濡れ広がりがよいと、同じ量のインク滴を使用したときに着色できる面積が広くなる(換言すると、インクのドット径が大きくなる)ため、インクの消費量を抑えることができるためである。しかし、インク非・難吸収メディアは、インクの吸収性が悪いメディアである。このため、インクがメディア中にしみ込みにくく、インク吸収性メディアと比較して、インクの濡れ広がりが悪いことから、一般的にインクのドット径が小さくなる。この理由から、その改善が要望されている。
さらに、印刷画質に関しては、粒状性ができるだけ少ないことが要求される。水不溶性の着色剤を含有するインクは、インク自体が不均一な状態(溶液の状態ではなく、分散液の状態)にある。そのような不均一な状態のインクで印刷メディアにベタ印刷を行うと、印刷画像に濃淡の「粒」が散在しているように見え、均一な画像に見えないことがある。そのような印刷画像は「粒状性が認められる」と評価され、印刷品質を著しく悪化させる要因の1つである。このため、粒状性ができるだけ少ない印刷画像が得られるインクが、強く要望されている。
また、カラー印刷を行うときは、複数の色からなるインクセットが使用される。そのようなインクセットを使用してカラー印刷を行う際、第1の色のインクの着弾位置と、第2の色のインクの着弾位置とが印刷メディア上で隣り合うことによって、第1の色と、第2の色との色間において、にじみが発生する場合のあることが知られている。この「色間のにじみ」は、印刷品質を著しく悪化させる要因の1つである。そのため、この色間のにじみの解消が求められ、これを解決するためのインクセットも提案されている。さらに、粒状性に関しても、印刷品質向上のためには単色のみならず、二次色以上の粒状性低減が要望されている。
特開2016-044188号公報 特開2014-139004号公報 国際公開2011/136000号
また、印刷が継続して行われる際、インク組成物の色の種類により、それぞれのインク組成物の消費量は異なってくる。このため、消費量の多いインク組成物は、インク組成物が無くなれば、新しいインク組成物に置き換えられていく。一方、消費量の少ないインク組成物は、最初に使用していたインク組成物が無くなるまで、そのまま継続して使用される。その結果、新しいインク組成物と、古いインク組成物とが併用されることになる。消費量の多いインク組成物と、消費量の少ないインク組成物とでは、使用されるまでの保存期間に数カ月~1年程度の差が生じることがある。保存期間が異なるインク組成物を併用して印刷したときに、各インク組成物自体の保存安定性(吐出性、平均粒子径、粘度、pH等の様々な物性値)には大きな変化がないにもかかわらず、色間のにじみが悪化して、印刷画質が低下することがあり、上記要望に加え、この点についての解決も強く要望されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、インク非・難吸収メディアに対して極めて良好な濡れ性を示しつつ、二次色以上の印刷部分においても粒状性が低減され、さらには色間にじみが保存期間に係らず悪化しない印刷画像の提供を可能にする水系インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の1)~5)に記載の発明により、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下の1)~5)に関する。
1)
水、顔料、下記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤、及び、炭素数3以上の直鎖モノアルコール、を含む水系インク組成物。
(式(1)中、aは1以上32未満の整数であり、x及びyは各々独立して1~4の整数であり、m及びnは各々独立して1~50の整数であり、o及びpは各々独立して0~40の整数であり、m+nは2~100であり、o+pは0~80であり、R及びRは各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルエーテル基、及び(メタ)アクリル基からなる群より選択される。)
2)
前記炭素数3以上の直鎖モノアルコールが、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、からなる群から選択されるいずれか少なくとも一種を含む、1)に記載の水系インク組成物。
3)
前記炭素数3以上の直鎖モノアルコールの添加量が、前記水系インク組成物の総量に対して0.1%~3%であり、かつ、前記水系インク組成物中に含まれる前記顔料の総量に対して1.5%~40%である、1)又は2)に記載の水系インク組成物。
4)
前記式(1)中、aが1以上18未満の整数である、1)~3)のいずれか一項に記載の水系インク組成物。
5)
1)~4)のいずれか一項に記載の水系インク組成物を少なくとも含むインクセット。
上記水系インク組成物は、水、顔料、上記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤、及び、炭素数3以上の直鎖モノアルコール、を含む。本明細書において、上記水系インク組成物を、インク組成物、あるいは、インク、と略記する場合がある。
[水]
上記インクは、水を含有する水系のインクである。インクが含有する水としては、金属イオン等の不純物の含有量が少ない水、すなわち、イオン交換水、蒸留水等が好ましい。そのような水は、公知の方法により調製することができる。
[顔料]
上記インクは、顔料を含む。顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、及び体質顔料等が挙げられる。これらの顔料は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。上記インクが黒色のインクである場合、インクに含有させるカーボンブラックとしては、例えば、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRavenシリーズ;キャボット社製のMonarchシリーズ、Regalシリーズ、及びMogulシリーズ;オリオンエンジニアドカーボンズ社製のHIBLACKシリーズ、ColorBlackシリーズ、Printexシリーズ、SPECIALBLACKシリーズ、及びNeroxシリーズ;三菱化学株式会社製のMAシリーズ、MCFシリーズ、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、及びNo.2300等が挙げられる。
上記有機顔料として、例えば、アゾ、ジスアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンソラキノン、及びキノフタロン等の各種の顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、180、185、193、199、202、213等のイエロー;C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、272等のレッド;C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80等のブルー;C.I.Pigment Violet 19、23、29、37、38、50等のバイオレット;C.I.Pigment Orange 13、16、68、69、71、73等のオレンジ;C.I.Pigment Green7、36、54等のグリーン;C.I.Pigment Black 1等のブラックの各色の有機顔料が挙げられる。
上記体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、及びホワイトカーボン等が挙げられる。体質顔料は、他の顔料と併用されることが好ましい。
上記インクの総量に対する、上記顔料の総含有量は、通常1~20%、好ましくは1.5~10%、より好ましくは2~8%である。ここで、本願の明細書及び特許請求の範囲において、特に断りのない限り「%」及び「部」は質量基準で記載する。
また、上記顔料の平均粒径は、通常50nm~250nm、好ましくは60nm~200nmである。本願の明細書及び特許請求の範囲において平均粒径は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(D50)を指す。
[式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤]
上記インクは、上記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤を含む。本明細書において、上記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤を、式(1)で表される界面活性剤と略記する場合がある。
上記式(1)で表される界面活性剤において、aは1以上32未満の整数であり、好ましくは1以上25未満、より好ましくは1以上18未満である。x及びyは各々独立して1~4の整数であり、好ましくは1~3である。m及びnは各々独立して1~50の整数であり、好ましくは2~40、より好ましくは4~20、さらに好ましくは5~12である。o及びpは各々独立して0~40の整数であり、好ましくは0~20、より好ましくは0~10、さらに好ましくは0~5である。m+nは2~100であり、好ましくは4~80、より好ましくは8~40、さらに好ましくは10~25である。o+pは0~80であり、好ましくは0~40、より好ましくは0~20、さらに好ましくは0~10である。R及びRは各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルキルエーテル基、及び(メタ)アクリル基からなる群より選択され、好ましくはヒドロキシ基、メチルエーテル基、エチルエーテル基である。
上記式(1)で表される界面活性剤として、aが1以上25未満、xが1~4、yが1~4、oが0~10、pが0~10、Rが水素原子、ヒドロキシ基、メチルエーテル基、エチルエーテル基、プロピルエーテル基、n-ブチルエーテル基、からなる群から選択されるいずれか基、Rが水素原子、ヒドロキシ基、メチルエーテル基、エチルエーテル基、プロピルエーテル基、n-ブチルエーテル基、からなる群から選択されるいずれか基、の組み合わせであることが好ましく、aが1~18、xが1~3、yが1~3、oが0~5、pが0~5、Rがヒドロキシ基、メチルエーテル基、エチルエーテル基、からなる群から選択されるいずれか基、Rがヒドロキシ基、メチルエーテル基、エチルエーテル基、からなる群から選択されるいずれか基、の組み合わせであることがさらに好ましい。
上記式(1)で表される界面活性剤の、上記インク中の含有量は、通常0.01~3%、好ましくは0.05~2%、より好ましくは0.1~1%である。
上記式(1)で表される界面活性剤の、市販品の具体例としては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のSilwet CoatOSil 2812、Silwet CoatOSil 2816、Silwet CoatOSil 3500、及びSilwet CoatOSil 3505、ビックケミー社製のBYK-331、BYK-333、BYK-UV3500、BYK-LPG20726、エボニックデグサ社製のTegoglide410、Tegoglide432、Tegoglide435、Tegoglide440、及びTegoglide450等が挙げられる。
上記式(1)で表される界面活性剤は、例えば、アリル基を片末端に有するポリエチレングリコールと両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサンを材料とし、白金触媒を用いたヒドロシリル化反応により、合成することができる。
[炭素数3以上の直鎖モノアルコール]
上記インクは、炭素数3以上の直鎖モノアルコールを含む。炭素数3以上の直鎖モノアルコールとしては、具体的には、1-プロパノール、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、1-ドデカノール等が挙げられ、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノール、からなる群から選択されるいずれか少なくとも一種を含むことが好ましい。上記インクが上記炭素数3以上の直鎖モノアルコールを含むことにより、インク非・難吸収メディアに対して良好な濡れ性を備えることが可能となる。
上記炭素数3以上の直鎖モノアルコールの、上記インク中における添加量は、インク総量に対して0.1%~3%、好ましくは0.2%~2%でる。
また、上記炭素数3以上の直鎖モノアルコールの、上記インク中における上記炭素数3以上の直鎖モノアルコールの添加量は、上記インク中に含まれる上記顔料の総量に対して0.5%~50%、好ましくは1.5%~40%、より好ましくは2%~30%である。上記インク中における上記炭素数3以上の直鎖モノアルコールの添加量を上記設定とすることにより、インク非・難吸収メディアに対し良好な濡れ性を確保しつつ、インクの保存安定性を担保することができる。
さらに、上記炭素数3以上の直鎖モノアルコールの添加量が、上記インクの総量に対して0.1%~3%であり、かつ、上記インク中に含まれる上記顔料の総量に対して1.5%~40%である、ことがより好ましい。
上記インクは、顔料をインク組成物中に分散するために、分散剤を使用することが好ましい。分散剤は特に制限されず、公知の分散剤を使用できる。分散剤としては、一般に樹脂等の高分子分散剤が用いられる。そのような樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマール酸、フマール酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スルホン化ビニルナフタレンのα,β-不飽和モノマー等のイオン性モノマー、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリルニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、N-ブトキシメチルアクリルアミド等から誘導されたポリマー等が挙げられる。
上記分散剤としての樹脂としては、例えば、スチレン及びその誘導体;ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β-エチレン性不飽和性カルボン酸の脂肪族アルコールエステル;アクリル酸及びその誘導体;マイレン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;ファール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びそれらの誘導体等よりなる群の単量体から選択される、少なくとも2つの単量体(好ましくは、このうち少なくとも1つが親水性の単量体)から構成される共重合体が挙げられる。そのような共重合体としては、例えば、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体等が挙げられる。
これらの中ではスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましく;スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体がより好ましく;(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体がさらに好ましく;メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体が特に好ましい。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において「(メタ)アクリル酸」の用語は、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の両方を含む意味で用いる。「(メタ)アクリレート」も同様に、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
上記共重合体の種類としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体、及び/又はそれらの塩等が挙げられる。
分散剤としての樹脂は合成することも、市販品として入手することもできる。市販品の具体例としては、例えば、ジョンクリル62、67、68、678、及び687(BASF社製)等のスチレン-アクリル系共重合体;モビニールS-100A(ジャパンコーティングレジン社製の変性酢酸ビニル共重合体);並びにジュリマーAT-210(東亜合成社製のポリアクリル酸エステル共重合体)等が挙げられる。合成により得られる共重合体としては、国際公開第2013/115071号に開示されたA-Bブロックポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤の酸価は通常70~200mgKOH/g、好ましくは80~150mgKOH/g、より好ましくは100~120mgKOH/gである。分散剤の質量平均分子量は通常10000~60000、好ましくは10000~40000、より好ましくは15000~30000、さらに好ましくは20000~25000である。分散剤のPDI(質量平均分子量/数平均分子量)は1.29~1.49程度である。上記のような範囲とすることにより、インク組成物の分散性及び保存安定性を良好にできる。
ブロック共重合体を用いて調製された顔料分散物を水に分散させるために用いられる中和剤としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミン化合物及びアルカノールアミン化合物等が挙げられる。アンモニア及びアルカリ金属の水酸化物が好ましく、アンモニアが特に好ましい。中和剤の使用量は特に制限されない。その目安としては、分散剤の酸価の理論等量で中和したときを100%中和度として、通常30~300%中和度、より好ましくは50~150%中和度である。
上記分散剤としての樹脂は、顔料と混合した状態、又は、顔料の表面の一部、若しくは全てを分散剤としての樹脂で被覆した状態のいずれでも使用することができる。また、これらの両方の状態を併用することもできる。
インク組成物は、顔料と分散剤としての樹脂を含有する分散液を調製した後、他の成分と混合して調製するのが好ましい。分散液の調製方法は、公知の方法を使用することができる。その一例としては、転相乳化法が挙げられる。すなわち、2-ブタノン等の有機溶剤に分散剤としての樹脂を溶解し、中和剤の水溶液を加えて乳化液を調製する。得られた乳化液に顔料を加えて分散処理を行う。このようにして得られた液から有機溶剤と一部の水を減圧留去することにより、目的とする分散液を得ることができる。
上記分散処理は、例えば、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いて行うことができる。一例として、サンドミルを用いるときは、粒子径が0.01mm~1mm程度のビーズを使用し、ビーズの充填率を適宜設定して分散処理を行うことができる。得られた分散液に対して、ろ過及び/又は遠心分離等の操作をすることができる。この操作により、分散液が含有する粒子の粒子径の大きさを揃えることができる。
分散液の調製中に泡立ちが生じる場合は、公知のシリコン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量加えることができる。
上記の分散液の調製方法は界面活性剤を用いた分散にも適用できる。分散剤として好ましい界面活性剤の例としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルキルジカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩類、高級アルキルスルホン酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、スルホ琥珀酸エステル塩、ナフテン酸塩、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤;脂肪酸アミン塩、第四アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウムなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンナフチルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。なお、上記した界面活性剤はインク組成物に添加されることで、分散剤としてのみならず、界面活性剤としての機能をも果たす。
分散剤の添加量は、分散安定性を確保する観点から、顔料の総量に対して5%~120%、好ましくは10%~100%、より好ましくは20%~80%である。
分散液の調製方法としては、上記以外にも、酸析法、界面重合法、in-situ重合法、液中硬化被膜法、コアセルベーション(相分離)法、液中乾燥法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、及びスプレードライング法等が挙げられる。これらの中では酸析法、及び界面重合法が好ましい。
分散液中における顔料分散体の平均粒径(D50)は通常300nm以下、好ましくは30~280nm、より好ましくは40~270nm、さらに好ましくは50~250nmである。また、D90は通常400nm以下、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下である。下限は100nmが好ましい。D10は通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは30nm以上、上限は100nmである。分散液中における顔料の粒径が以上のような範囲であることにより、インク保存安定性を担保しつつ、インクジェットヘッドノズルを詰まらせること無く安定してインクを吐出するという効果がある。
ここで、平均粒径(D50)は、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における小粒径側からの積算粒径の分布が50%となる粒径であり、D10は小粒径側からの積算粒径の分布が10%となる粒径であり、D90は小粒径側からの積算粒径の分布が90%となる粒径をいう。
上記インクは、上記成分以外として、さらにインク調製剤を含んでいても良い。インク調製剤としては、例えば、バインダー、炭素数3以上の直鎖モノアルコール以外の有機溶剤、粘度調整剤、上記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。インクの総質量に対して、上記した、バインダー、有機溶剤、及び粘度調整剤、を除く「他のインク調製剤」の総含有量は通常0~30%、好ましくは0.1~20%、より好ましくは0.5~10%程度である。
上記バインダーは、ワックス及び(メタ)アクリル酸系ポリマーから選択される少なくとも1種類であることが好ましい。バインダーをインク組成物に含有させることにより、印刷画像の耐擦過性を向上することができる。バインダーはエマルションの状態で含有されることが好ましく、中でも水系エマルションがより好ましい。
上記バインダーは粒子状であっても良く、上記バインダーが粒子状の場合、そのバインダーの平均粒径は、インクジェットヘッドの目詰まりを防止するために10nm~1μmが好ましく、20nm~500nmがより好ましい。
上記インクが上記バインダーを含む場合、インクの総量に対する上記バインダーの含有量は、固形分換算値として通常0.1~14%、好ましくは0.5~12%、より好ましくは1~10%である。インクの総量に対する上記バインダーの含有量を、固形分換算値として通常0.1~14%とすることにより、印刷画像の耐擦過性をより良好にすることができる。
上記ワックスとしては、例えば、天然ワックス及び合成ワックスを用いることができる。天然ワックスとしては、石油系ワックスであるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等;褐炭系ワックスであるモンタンワックス等;植物系ワックスであるカルナバワックス、キャンデリアワックス等;動植物系ワックスである蜜蝋、ラノリン等のワックスを、水性媒体中に分散させたエマルジョン等が挙げられる。
合成ワックスとしてはポリアルキレンワックス(好ましくはポリC2-C4アルキレンワックス)、酸化ポリアルキレンワックス(好ましくは酸化ポリC2-C4アルキレンワックス)、及びパラフィンワックスが挙げられる。上記の中ではポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス及びパラフィンワックスから選択される1種類以上のワックスが好ましく、酸化ポリエチレンワックスがより好ましい。
上記ワックスの市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のCERAFLOUR 925、929、950、991;AQUACER 498、515、526、531、537、539、552、1547;AQUAMAT 208、263、272;MINERPOL 221等;三井化学社製の三井ハイワックス NL100、NL200、NL500、4202E、1105A、2203A、NP550、NP055、NP505等;三洋化学社製のKUE-100、11、東邦化学株式会社製HYTEC E-6500、9015、6400等が挙げられる。これらの中ではAQUACER 515、531、537、539、1547が好ましく、AQUACER 515、531、537、1547がより好ましい。
バインダーとして使用する(メタ)アクリル酸系ポリマーは、C1-C4アルキルメタクリレート、C6-C10アルキルアクリレート、メタクリル酸、及びアリルメタクリレートの4種類のモノマーから構成される(メタ)アクリル酸系ポリマーであることが好ましい。
C1-C4アルキルメタクリレートとしてはアルキル部分が直鎖又は分岐鎖が好ましく、直鎖がより好ましい。C1-C4アルキルメタクリレートは、C1-C3アルキルメタクリレートが好ましく、C1-C2アルキルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートがさらに好ましい。
C6-C10アルキルアクリレートとしてはアルキル部分が直鎖又は分岐鎖が好ましく、分岐鎖がより好ましい。C6-C10アルキルアクリレートは、C7-C9アルキルアクリレートが好ましく、C8アルキルアクリレートがより好ましく、2-エチルヘキシルアクリレートがさらに好ましい。
(メタ)アクリル酸系ポリマーにおけるC1-C4アルキルメタクリレート、C6-C10アルキルアクリレート、メタクリル酸、及びアリルメタクリレートの4種類のモノマーの含有量は、それぞれ質量基準で通常40~60%、38~58%、1~10%、及び1~5%の割合で含まれ、好ましくは45~55%、52~42%、2~4%、及び1~3%の割合で含まれる。これらのモノマー含有量の範囲で、合計100%とするのが好ましい。(メタ)アクリル酸系ポリマーの酸価(単位はmgKOH/g)は、通常0~35、好ましくは0~30、より好ましくは0~25である。(メタ)アクリル酸系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、通常-20~30℃、好ましくは-15~25℃、より好ましくは-10~20℃である。
上記インクは、メディアへの浸透性やインクの粘度、乾燥性、消泡性などを調整するために、さらに炭素数3以上の直鎖モノアルコール以外の有機溶剤を含んでいてもよい。炭素数3以上の直鎖モノアルコール以外の有機溶剤としては、上記炭素数3以上の直鎖モノアルコールと異なるものであれば特に制限されないが、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド又はN,N-ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン又はN-メチルピロリジン-2-オン等のラクタム;1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン又は1,3-ジメチルヘキサヒドロピリミド-2-オン等の環式尿素類;アセトン、2-メチル-2-ヒドロキシペンタン-4-オン、エチレンカーボネート等のケトン、ケトアルコール又はカーボネート;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール又はジチオジグリコール等のC2-C6アルキレン単位を有するオリゴ又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール;グリセリン、ジグリセリン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、トリメチロールプロパン等のC3-C9ポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル(好ましくはC3-C10のモノ、ジ若しくはトリエチレングリコールエーテル、及びC4-C13のモノ、ジ若しくはトリプロピレングリコールエーテルよりなる群から選択されるグリコールエーテル);1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール等の、C3-C9アルカンジオール;γ-ブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等;等が挙げられる。
上記インクの総量中における、上記有機溶剤の総量は、0.1~40%であることが好ましく、0.2~30%であることがより好ましく、0.5~20%であることがさらに好ましく、2~15%であることが特に好ましい。
上記インクは、粘度調整剤を含んでいても良い。特に、産業用インクジェットプリンタは、搭載するプリンタヘッド(インクを吐出するヘッド)の仕様に基づき、通常は、吐出できるインクの粘度範囲が決まっている。このため、インクに粘度調整剤を加え、その粘度を適正な範囲に調整することができる。粘度調整剤としては、インクの粘度を調整できる物質であれば特に制限されず、公知の物質を使用することができる。その具体例としては、上記に上げた有機溶剤以外では、糖類や親水性樹脂等が挙げられる。
上記インクが含んでいても良い、上記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤としては、上記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤以外のものであれば、特に限定はないが、例えば、アニオン、カチオン、両性、及びフッ素系の、各界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルアミノ酸又はその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、及びジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては2-ビニルピリジン誘導体及びポリ4-ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、及びイミダゾリン誘導体等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。
末端変性型ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤のインク組成物中の含有量は、0.1~2.0%であることが好ましい。
上記防腐剤としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、及び無機塩系等の化合物が挙げられる。防腐剤の市販品の具体例としては、アーチケミカル社製のプロクセル GXL(S)、及びXL-2(S)等が挙げられる。
上記防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン-1-オキシド、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、及び1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン並びにこれらの塩等が挙げられる。
上記pH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びN-メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム及び酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;並びにリン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
上記キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、及びウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
上記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
上記水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えば、スルホ化されたベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ-ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、及びトリアジン系化合物が挙げられる。
上記酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。上記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及び複素環類等が挙げられる。
上記インクのpHは、通常7~11、好ましくは8~10である。インクの表面張力は通常10~50mN/m、好ましくは20~40mN/mである。インクの粘度は通常2~30mPa・s、好ましくは3~20mPa・sである。インクのpH及び表面張力は、pH調整剤、界面活性剤、及び有機溶剤等を使用することにより調整できる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系、シリカ鉱物油系、オレフィン系、アセチレン系等の界面活性剤が挙げられる。市販の消泡剤としては、例えば、いずれも信越化学工業株式会社製のサーフィノールDF37、DF58、DF110D、DF220、MD-20、オレフィンSK-14等が挙げられる。
上記インクは、各種の印刷において使用することができる。例えば、筆記具、各種の印刷、情報印刷、捺染等に好適であり、インクジェット印刷に用いることが特に好ましい。
上記インクを調製する場合、公知の製造方法を使用することができる。その一例としては、例えば、顔料と分散剤とから調製した水性の分散液に、水、各種の有機溶剤、及び必要に応じてインク調製剤を加えて混合することにより、インクを調製する方法が挙げられる。
上記インクは、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルターなどを用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
また、上記インクは、インクを精密濾過することが好ましい。精密濾過をするときは、メンブランフィルター及び/又はガラス濾紙等を用いることができる。精密濾過を行うときのフィルター等の孔径は通常0.5μm~20μm、好ましくは0.5μm~10μmである。
上記インクを少なくとも含むインクセットも本願発明に含まれる。
上記インクセットとしては、例えば、上記インクを2種以上含むインクセット、上記インクを1種あるいは2種以上と、上記インク以外の他のインクを1種あるいは2種以上とを、含むインクセット等が挙げられる。上記インク以外の他のインクとは、上記インクと構成が異なるものであれば特に限定は無いが、上記インクと色相が異なることが好ましい。
上記インク及び上記インクセットは、インクジェット方式の印刷で用いることが好ましい。
インクジェット方式としては、公知の方式が使用できる。インクジェット方式の具体例としては、例えば、電荷制御方式、ドロップオンデマンド(圧力パルス)方式、音響インクジェット方式、及びサーマルインクジェット方式等が挙げられる。また、インクジェット方式には、インク中の着色剤の含有量が少ないインクを小さい体積で多数射出して画質を改良する方式、実質的に同じ色相で、インク中の着色剤の濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式、及び、無色透明のインクを用いることにより、着色剤の定着性を向上させる方式等も含まれる。
(印刷メディア)
印刷メディアは、上記インク、あるいは、上記インクセットが含むインクが付着できる物質を指す。印刷メディアの一例としては、例えば、紙、フィルム等、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。
印刷メディアは、インク受容層を有するものと、有さないものとに大別することができる。上記インクセットは、いずれの印刷メディアにも適用することができるが、インク受容層を有さない印刷メディアに好適に用いることができる。
インク受容層を有する印刷メディアは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙等と呼ばれる。その代表的な市販品の例としては、キヤノン社製のプロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、光沢ゴールド及びマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製の写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、及びフォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード株式会社製のアドバンスフォト用紙(光沢);並びに富士フィルム株式会社製の画彩写真仕上げPro等が挙げられる。
インク受容層を有さない印刷メディアとしては、グラビア印刷、及びオフセット印刷等の用途に用いられるコート紙、及びアート紙等の各種の用紙;並びにラベル印刷用途に用いられるキャストコート紙等が挙げられる。インク受容層を有さない印刷メディアを用いるときは、着色剤の定着性等を向上させる目的で、印刷メディアに対して表面改質処理を施すことも好ましく行われる。表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理及びフレーム処理等の、公知の方法が挙げられる。
上記した全ての事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいものとの組み合わせ、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
また、特に断りのない限り上記した全ての成分等は、そのうちの1種類を単独で使用することができるし、2種類以上を併用することもできる。
本願発明のインクは、保存安定性、再分散性、各種擦過性、発色性、彩度に優れ、また、本願発明のインクで記録された画像は、ドット径、粒状性、光沢性、色相、ドット形状(例えばコーヒーステイン現象の抑制)、発色性、耐水性、耐光性、耐熱性、耐酸化ガス(例えば耐オゾンガス)性等の各種堅牢性に優れる。また、画像形成の際の塗工ムラが少なく、画像形成性にも優れる。また、本願発明のインクを含むインクセットで記録された画像は、色間にじみの抑制、色間にじみの安定性、二次色以上の印刷部分における粒状性、二次色以上の印刷部分におけるベタ均一性に優れる。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。実施例において、各種の液が含有する顔料の含有量(固形分)の測定が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製、MS-70を用いて、乾燥重量法により、顔料のみの換算値として算出した。
[顔料分散液(Dp1)の調製例1]
国際公開第2013/115071号の合成例3を追試することにより、ブロック共重合体(ブロック共重合体A)を得た。得られたブロック共重合体A(4.8部)を、2-ブタノン20部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に、水酸化ナトリウム(0.35部)を水(58.8部)に溶解させた液を加え、1時間攪拌して液を得た。この液にC.I.Pigment Blue 15:4(以下、「PB15:4」という。16部)を加え、1500rpmの条件下で15時間、サンドグラインダー中で分散処理を行って液を得た。得られた液に水(100部)を滴下した後、この液を濾過することにより、濾液を得た。得られた濾液から、エバポレータで2-ブタノン及び水の一部を減圧留去することにより、顔料含有量が12.0%、粒径がD10/D50/D90=70nm/120nm/220nmのシアン分散液を得た。得られた分散液を、「Dp1」とする。
[顔料分散液(Dp2)の調製例2]
Dp1のPB15:4をC.I.Pigment Yellow 74(以下、「PY74」という。16部)に変更した以外は調製例1と同様にして、顔料の含有量が12.0%、粒径がD10/D50/D90=65nm/140nm/230nmのイエロー分散液を得た。得られた分散液を、「Dp2」とする。
[実施例1~16及び比較例1~6:インク組成物の調製例]
分散液Dp1およびDp2を、下記表1、2に記載の各成分と混合した後、3μmのメンブランフィルター(アドバンテック社製セルロース混合エステルタイプメンブレンフィルター)で濾過することにより、評価試験用の各インク組成物C1~11及びY1~11を得た。インク組成物の総質量に対する顔料の含有量は、いずれのインクも固形分として5%になるように調整した。表1に記載のインク組成物C1~11は、いずれもシアンインクである。また、表2に記載のインク組成物Y1~11は、いずれもイエローインクである。
表1、2中の成分の詳細は以下のとおりである。
(分散液)
Dp1:調製例1で得た分散液1
Dp2:調製例1で得た分散液2
(有機溶剤)
PG:プロピレングリコール
1,2-HD:1,2-ヘキサンジオール
(末端変性型ポリシロキサン界面活性剤)
TG450:TEGO Glide 450
BYK20726:BYL-LPG-20726
(側鎖変性型ポリシロキサン界面活性剤)
BYK-349
(アルコール)
C4OH:1-ブタノール
C6OH:1-ヘキサノール
C7OH:1-ヘプタノール
C8OH:1-オクタノール
1,2-OD:1,2―オクタンジオール
(ワックス)
Aquacer515
(精製水)
イオン交換水をメルク社のMillQ水製造装置を用いてさらに精製した超純水
1.単色の印刷品質評価
1-1.試験片1の作成
実施例1~16及び比較例1~6のインク及び比較例インクについて、それぞれ濃度が5%刻みの0%~100%のステップチャートを印刷した。印刷は、京セラ株式会社製のインクジェットヘッドであるKJ4Bを2ヘッド備えた印刷冶具を用い、周波数10kHz、マルチドロップ(5pL、12pL)の条件で、王子製紙社製の「OKトップコート+」を印刷メディアとして行った。得られた印刷画像を100℃設定のIRヒーター下で3秒間、乾燥することにより、試験片1を得た。
1-2.濡れ性の評価
実施例1~16及び比較例1~6のインク及び比較例インクについて、試験片1の濃度5%部分(5pL)のドット径を測定した。測定には、QEA社製の印刷画像評価装置PIAS-IIを用いた。結果を表1、2に示す。なお、表1、2中のハイフンはそれぞれ、ドット形状がくずれたためにドット径の計測が不能であったことを表している。
[評価基準]
◎:ドット径が52μm以上
〇:ドット径が48μm以上52μm未満
△:ドット径が45μm以上48μm未満
×:ドット径が45μm未満
―:ドット形状不良による計測不可
1-3.粒状性評価
実施例1~8及び比較例1~3のシアンインク及び比較例シアンインクについて、試験片1の濃度80%の粒状性(graininess)を、タイルサイズが42.3μmの設定で小数点以下2桁目まで測定し、下記4段階の評価基準で評価した。粒状性の数値は小さい方が、粒状性が少ないことを意味し、印刷品質が優れる。測定には、QEA社製の印刷画像評価装置PIAS-IIを用いた。結果を表1に示す。
[評価基準]
◎:2.0未満
〇:2.0以上2.5未満
△:2.5以上3.0未満
×:3.0以上
表1、2に示すドット径の結果から、本発明の水系インク組成物は濡れ性が良好であることが示された。ポリシロキサン界面活性剤を含有しない比較例2及び5は濡れ性が過剰であり、ドット形状がくずれたために計測が不能であった。
表1及び2に示す単色における粒状性の結果から、本発明の水系インク組成物は単色の粒状性が抑えられ、優れた印刷品質が得られることが示された。
[実施例17~21及び比較例7~9]
表1、2に示すC4~11及びY4~11を、下記表3のように組み合わせて、実施例17~21及び比較例7~9のインクセット及び比較例インクセットとした。
2.二次色の粒状性
2-1.試験片2の作成
実施例17~21及び比較例7~9のインクセットについて、二次色の濃度が5%刻みの0%~100%のステップチャートを印刷した。印刷に用いた装置、条件、及び印刷メディアは、試験片1と同様にした。得られた印刷画像を100℃設定のIRヒーター下で3秒間、乾燥することにより、試験片2を得た。
2-2.二次色の粒状性評価
試験片2で得られた濃度80%部分の粒状性を、単色の粒状性評価と同様に評価を行った。評価結果を表3に示す。
[評価基準]
◎:2.0未満
〇:2.0以上2.5未満
△:2.5以上3.0未満
×:3.0以上
[実施例22~26及び比較例10]
上記表3に示すインクセット及び比較例インクセットのうち、実施例17~21及び比較例8について、60℃の恒温槽で1週間保管することで、下記表4に示す加速試験後のインクセット及び比較例インクセットである実施例22~26及び比較例10を得た。小文字のc及びyは加速試験後のインク組成物であることを意味し、例えば、C4とc4のインク組成は同じである。
3.色間にじみの安定性評価
3-1.試験片3の作製
実施例17~21及び比較例8のインクセットについて、各々の第1のインク組成物の濃度100%、線幅1.0mmの細線1本(第1の画像)の上に、第2のインク組成物の濃度100%、線幅10mmの太線(第2の画像)を第1の画像に対して直角に交差するように印刷し、印刷画像を得た。印刷に用いた装置、条件、及び印刷メディアは、試験片1と同様にした。得られた印刷画像を100℃設定のIRヒーター下で3秒間、乾燥することにより、試験片3を得た。
3-2.試験片4の作製
実施例22~26及び比較例10のインクセットについて、試験片3と同様の画像を印刷した。印刷に用いた装置、条件、及び印刷メディアは、試験片1と同様にした。得られた印刷画像を100℃設定のIRヒーター下で3秒間、乾燥することにより、試験片4を得た。
3-3.色間にじみの安定性測定
試験片3及び4に関して、第2の画の下に形成された第1の画像の線幅を測定した。試験片4の線幅に対する試験片3の線幅の比を算出することで色間にじみの安定性を評価した。評価基準は以下の3段階で、線幅の変化は小さい方が色間にじみの性能が優れる。評価結果を下記表5に示す。
[評価基準]
〇:線幅の変化が5%未満
△:線幅の変化が5%以上10%未満
×:線幅の変化が10%以上
表3及び表5から明らかのように、本願の水系インク組成物は、二次色の粒状性が良化し、かつ、色間にじみも安定化できることが示された。
本発明は、インク非・難吸収メディアに対して極めて良好な濡れ性を示しつつ、二次色以上の印刷部分においても粒状性が低減され、さらには色間にじみが保存期間に係らず悪化しない水系インク組成物を提供することができる。本発明の水系インク組成物は、各種の印刷、特にインクジェット印刷の用途に極めて有用である。

Claims (4)

  1. 水、顔料、下記式(1)で表される末端変性型ポリシロキサン界面活性剤、及び、1-ブタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、1-ノナノールからなる群から選択されるいずれか少なくとも一種を含む炭素数3以上の直鎖モノアルコール、を含む水系インク組成物。
    (式(1)中、aは1以上32未満の整数であり、x及びyは各々独立して1~4の整数であり、m及びnは各々独立して1~50の整数であり、o及びpは各々独立して0~40の整数であり、m+nは2~100であり、o+pは0~80であり、R及びRは各々独立して、水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルキル基、及び(メタ)アクリル基からなる群より選択される。)
  2. 前記炭素数3以上の直鎖モノアルコールの添加量が、前記水系インク組成物の総量に対して0.1%~3%であり、かつ、前記水系インク組成物に含まれる前記顔料の総量に対して1.5%~40%である、請求項1に記載の水系インク組成物。
  3. 前記式(1)中、aが1以上18未満の整数である、請求項1又は2に記載の水系インク組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の水系インク組成物を少なくとも含むインクセット。
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