以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係る特装車1の全体構成を示す側面図、図2はその平面図、図3は荷箱を起立させた状態の側面図である。図1~図3に例示する特装車1は、走行部であるトラックシャシ2と、走行部に搭載される架装装置の一例であるダンプ装置3とを備えるダンプトラックである。以下の説明において、前後、左右、上下の各方向は、トラックシャシ2の運転席に座った運転手から見た前後、左右、上下の各方向を表すものとする。なお、図2では、説明のために、ダンプ装置3を取り除いた状態を示している。
トラックシャシ2は、運転席が設けられるキャブ20と、キャブ20を支持するシャシフレーム21とを備える。シャシフレーム21は、前後方向に延びる左右一対のメインフレーム(縦根太)21A,21Aと、左右一対のメインフレーム21A,21Aを連結する複数のクロスメンバ(横根太)21B,…,21Bとにより構成される(図2を参照)。トラックシャシ2の前輪22F及び後輪22R,22Rは不図示の懸架装置を介してメインフレーム21A,21Aに回転可能に取り付けられる。トラックシャシ2は、エンジン70(原動機)と、このエンジン70にクラッチを介して連結される変速機とを備えており、駆動輪(例えば前輪22F)の駆動系にエンジン70の駆動力を変速機を介して伝達することによって、走行するように構成されている。
ダンプ装置3は、シャシフレーム21上に固定されるサブフレーム30と、サブフレーム30によって支持され、土砂などの荷が積載される荷箱4とを備える。荷箱4は、サブフレーム30の後端部にて左右方向に延びるヒンジ軸31の回りに回動可能に支持されている。荷箱4は、上方が開放された箱体であり、矩形状の底部40を囲むように配置されたフロントパネル41、左右一対のサイドパネル42、及びリアパネル(後アオリ)43を備える。リアパネル43は開閉可能に構成されている。
ダンプ装置3は、荷箱4を傾斜させるためのホイスト機構5を備える。ホイスト機構5は、例えば、リフトアーム51、油圧シリンダ52、テンションリンク53を備える。ホイスト機構5の油圧シリンダ52を伸長させると、荷箱4は、その前部が持ち上げられ、傾斜角度が大きくなる方向に回動する。傾斜角度が大きくなる方向への荷箱4の回動を、本実施の形態では荷箱4の上昇ともいう。一方、ホイスト機構5の油圧シリンダ52を短縮させると、荷箱4は、その前部が下げられ、傾斜角度が小さくなる方向に回動する。傾斜角度が小さくなる方向への荷箱4の回動を、本実施の形態では荷箱4の下降ともいう。
油圧シリンダ52を伸縮させる油圧機構は、油圧ポンプ61、作動油タンク62、制御弁63などを備える。油圧供給源である油圧ポンプ61は、PTO71(Power Take-Off)を介して伝達されるエンジン70の動力によって駆動されることにより、油圧配管64を通じて作動油タンク62内の作動油を汲み上げ、吐出口に接続された主管65を通じて油圧シリンダ52に作動油(圧油)を供給する。なお、エンジン70の動力伝達の断接は、キャブ20内に設けられるPTOスイッチ72により切り替えられる。
油圧ポンプ61から吐出される作動油の供給方向は、手動式の操作レバー67によって操作される制御弁63により切り替えられる。例えば、操作レバー67の操作により制御弁63が中立位置にあると、油圧ポンプ61から油圧シリンダ52に作動油は供給されず、荷箱4の傾動動作は行われない。操作レバー67が上昇位置に操作されると、制御弁63が切り替えられ、油圧ポンプ61から油圧シリンダ52に作動油(圧油)が供給される。油圧シリンダ52は、作動油が供給されることによって伸長し、荷箱4を上昇させる。一方、操作レバー67が下降位置に操作されると、制御弁63が切り替えられ、油圧シリンダ52に供給された作動油は作動油タンク62に還流する。これに伴い、油圧シリンダ52は短縮し、荷箱4を下降させる。
油圧機構には、油圧シリンダ52に作用する油圧の大きさを計測するための圧力計81が設けられている。また、特装車1には、トラックシャシ2の傾斜(ピッチ及びロール)を計測するための傾斜計82と、荷箱4の傾斜(ピッチ及びロール)を計測するための傾斜計83が設けられている。
圧力計81は、油圧シリンダ52のシリンダ圧(油圧)を時系列的に計測し、計測したシリンダ圧に係る計測データを出力する。傾斜計82は、シャシフレーム21の適宜箇所(例えば前後方向及び左右方向の中央付近)に取り付けられる。傾斜計82は、重力方向(鉛直方向)を基準としたトラックシャシ2の前後方向の傾斜(ピッチ)及び左右方向の傾斜(ロール)を時系列的に計測し、計測した傾斜に係る計測データを出力する。傾斜計83は、荷箱4の適宜箇所に取り付けられ、重力方向(鉛直方向)を基準とした荷箱4の前後方向(ピッチ)及び左右方向の傾斜(ロール)を時系列的に計測し、計測した傾斜に係る計測データを出力する。傾斜計83の計測値と傾斜計82の計測値との差分をとることによって、トラックシャシ2に対する荷箱4のダンプ角度が算出される。
特装車1は、圧力計81及び傾斜計82により得られるデータに基づき、積載物の重量(積載重量)を推定する推定装置100を備える。本実施の形態において、積載重量は、荷箱4に積載されている積載物の重量を表し、特装車1に乗車している乗員、特装車1に積まれている燃料、特装車1を構成する走行部及び架装装置などの重量は入らないものとする。なお、荷を積んでいないときの走行部や架装装置の重量は既知であるとする。推定装置100の内部構成、及び推定装置100が実行する処理の内容については後に詳述することとするが、本実施の形態では、圧力計81より得られる油圧の大きさに関するデータ(第1データ)、傾斜計82より得られる傾斜角に関するデータ(第2データ)、及び積載重量を含むデータ間の関係を利用して、特装車1の積載重量を推定する。推定装置100は、例えばキャブ20の内部に設けられる。代替的に、推定装置100はシャシフレーム21に取り付けられてもよい。
本実施の形態では、特装車1の一例としてダンプ装置3を備えたダンプトラックについて説明するが、特装車1は、ダンプトラックに限らず、ダンプ排出式吸引車やダンプ排出式塵芥収集車など、油圧シリンダを有するダンプ装置を備えた任意の特装車であってもよい。
以下、本実施の形態に係る積載重量推定システムの構成について説明する。
図4は積載重量推定システムの構成を説明するブロック図である。積載重量表示システムは、時間経過に伴う油圧低下分を補正した油圧のデータに基づき、特装車1の積載重量を推定する推定装置100と、推定装置100が推定した積載重量に関する情報を報知するための表示装置120とを備える。
推定装置100は、専用又は汎用のコンピュータであり、制御部101、記憶部102、操作部103、入力部104、出力部105、及び通信部106を備える。
制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。制御部101が備えるROMには、推定装置100が備えるハードウェア各部の動作を制御する制御プログラム等が記憶される。制御部101内のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムや後述する記憶部102に記憶された各種コンピュータプログラムを実行し、ハードウェア各部の動作を制御することによって、本実施の形態における推定装置100としての機能を実現する。制御部101が備えるRAMには、演算の実行中に利用されるデータ等が一時的に記憶される。
制御部101は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を搭載するものであってもよい。
記憶部102は、ハードディスク、フラッシュメモリなどを用いた記憶装置を備える。記憶部102には、制御部101によって実行されるコンピュータプログラム、外部から取得した各種データ、推定装置100の内部にて生成した各種データ等が記憶される。
記憶部102に記憶されるコンピュータプログラムは、圧力計81より得られる油圧の大きさに関するデータを校正し、校正後のデータに基づき、特装車1の積載重量を推定するための推定プログラムPG1などを含む。
記憶部102に記憶されるコンピュータプログラムは、例えば、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体RM1により提供される。記録媒体RM1は、例えば、CD-ROM、USBメモリ、SD(Secure Digital)カードなどの可搬型メモリである。制御部101は、図に示していない読取装置を用いて、記録媒体RM1から各種プログラムを読み取り、読み取った各種プログラムを記憶部102に記憶させる。また、記憶部102に記憶されるコンピュータプログラムは、通信により提供されてもよい。この場合、制御部101は、所定のサーバから必要なコンピュータプログラムをダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムを記憶部102に記憶させる。
また、記憶部102は、圧力計81より得られる油圧の大きさを校正する際に用いる校正用データCD1を記憶する。校正用データCD1は、具体的には油圧の大きさに対するオフセット値である。本実施の形態では、圧力計81より得られる油圧の大きさからオフセット値を減算することにより、積載重量のゼロ点調整を行う。
また、記憶部102は、校正後の油圧の大きさに関するデータ(第1データ)、傾斜計82より得られるトラックシャシ2の傾斜角に関するデータ(第2データ)、及び積載重量を含むデータ間の関係を規定する関係テーブルTB1を備える。傾斜計82より得られるトラックシャシ2の傾斜角に関するデータ(第2データ)は、車両全体、すなわち特装車1の傾斜角のデータとして考えることができる。関係テーブルTB1の構成については後に詳述する。なお、関係テーブルTB1において規定する第1データは、油圧値のデータであってもよく、油圧値を所定の関係式に従って積載重量に換算した換算重量のデータであってもよい。換算に用いる関係式は、特装車1や油圧シリンダ52の種類に応じて用意されるとよい。
操作部103は、スイッチやボタンなどにより構成されており、各種の操作を受付ける。制御部101は、操作部103を通じて受付けた操作に基づき、適宜の処理を実行する。なお、本実施の形態では、推定装置100が操作部103を備える構成としたが、操作部103は必須ではなく、外部に接続された機器や通信部106を介して操作を受付ける構成であってもよい。
入力部104は、各種センサを接続するためのインタフェースを備え、圧力計81、傾斜計82,83などのセンサが接続される。入力部104には、これらのセンサが有線によって接続されてもよく、無線によって接続されてもよい。入力部104には、圧力計81より出力される油圧シリンダ52のシリンダ圧に係る計測データ、傾斜計82より出力される特装車1の傾斜に係る計測データ、傾斜計83より出力される荷箱4の傾斜に係る計測データ等が適宜入力される。
出力部105は、液晶モニタなどの表示装置120を接続するための出力インタフェースを備える。表示装置120は、例えばキャブ20の運転席近傍に設けられる。代替的に、表示装置120は、フロントパネル41の後面側に設けられてもよい。出力部105が備える出力インタフェースは、アナログ形式の映像信号を出力する出力インタフェースであってもよく、DVI(Digital Visual Interface)やHDMI(High-Definition Multimedia Interface、登録商標)などのデジタル形式の映像信号を出力する出力インタフェースであってもよい。出力部105は、例えば、積載重量の推定結果を表示装置120に表示させるべく、表示データを表示装置120へ出力する。
本実施の形態では、推定装置100の外部に表示装置120を接続する構成としたが、推定装置100が表示装置120を搭載するものであってもよい。
通信部106は、外部機器との間で各種のデータを送受信する通信インタフェースを備える。推定装置100が通信部106を介して通信する相手先の一例は、特装車1に搭載される各種ECU(Electronic Controller Unit)やPLC(Programmable Logic Controller)である。この場合、通信部106は、特装車1に搭載される各種ECUやPLCと通信するために、例えばRS-485に準拠した通信ポートを備えてもよく、CAN(Controller Area Network)などの車内通信用の通信規格に準拠した通信インタフェースを備えてもよい。推定装置100が通信部106を介して通信する相手先の他の例は、特装車1の外部に設置されるサーバ装置やユーザが所持する携帯端末などである。この場合、通信部106は、外部のサーバ装置などと通信するために、WiFi(登録商標)、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信の通信規格に準じた通信インタフェースを備えてもよい。
推定装置100は、荷箱4への積み込み作業が実施されている間、圧力計81より油圧の大きさに関するデータを随時取得し、取得したデータに基づき積載重量をリアルタイムに推定する。しかしながら、経年変化や温度変化などに起因して積載重量のゼロ点に変動が生じた場合、正確な積載重量を求めることはできない。
そこで、本実施の形態に係る推定装置100は、積載重量を推定する際に積載重量のゼロ点調整を自動的に行う。図5は実施の形態1における積載重量の推定手順を説明するフローチャートである。推定装置100の制御部101は、記憶部102から推定プログラムPG1を読み出して実行することにより、以下の処理を実行する。
制御部101は、現時点が計量モードであるか否かを判断する(ステップS101)。例えば、制御部101は、計量スイッチ89がオンされているか否かを判断し、計量スイッチ89がオンされていると判断した場合、現時点が計量モードであると判断すればよい。現時点が計量モードでないと判断した場合(S101:NO)、制御部101は、計量モードとなるまで待機する。
現時点が計量モードであると判断した場合(S101:YES)、制御部101は、圧力計81より時系列的に出力される油圧の大きさに関するデータ、及び傾斜計82より時系列的に出力される特装車1の傾斜角に関するデータ等を、入力部104を通じて取得する(ステップS102)。
次いで、制御部101は、取得したデータに基づき、特装車1が停車安定状態であるか否かを判断する(ステップS103)。制御部101は、特装車1のピッチ角度、ロール角度、ダンプ角度、及び油圧値の時間変動の大小に基づいて、停車安定状態であるか否かを判断することができる。例えば、特装車1のピッチ角度をθp,特装車1のロール角度をθr,ダンプ角度をθd,圧力計81によって測定される油圧シリンダ52の油圧値をP1としたとき、|Δθp|,|Δθr|,|Δθd|がそれぞれ0.1度未満であり、かつ、|ΔP1|が0.05MPa未満である場合、特装車1が停車安定状態であると判断すればよい。ここで、Δθp,Δθr,Δθd,ΔP1は、設定された期間内でのピッチ角度、ロール角度、ダンプ角度、油圧値の変化を表す。ダンプ角度θdは、荷箱4の傾斜角度(傾斜計83のピッチ方向の計測値)からトラックシャシ2の傾斜角度(傾斜計82のピッチ方向の計測値)を差し引くことにより算出される角度である。判断に用いる角度や油圧値の時間変動に対する閾値は、車種などに応じて適宜設定される。
ステップS103で停車安定状態と判断した場合(S103:YES)、制御部101は、荷箱4が手動又は自動によって所定角度範囲に調整されたかどうかを判断する(ステップS104)。例えば、ダンプ角度θdが0.5度超1.5度未満であるか否かを判断する。ダンプ角度θdが0.5度超1.5度未満の場合、荷箱4が走行状態(倒伏状態)から計量に適したダンプ角度まで傾動されたことになる。ダンプ角度が所定角度範囲であると判断された場合(S104:YES)、ステップS105に進む。
次いで、制御部101は、特装車1のピッチ角度、ロール角度、及び油圧値が設定範囲に入っているか否かに基づいて、更新範囲内であるか否かを判断する(ステップS105)。例えば、|θp|が0.8度未満、|θr|が2度未満、かつ、|P1-P0|が0.5MPa未満である場合、更新範囲内であると判断することができる。ここで、P0は、油圧値P1に対するオフセット値であって記憶部102に記憶されている校正用データCD1を表す。判断に用いる角度や油圧値に対する閾値は、これを超えると特装車1の姿勢がオフセット値P0の更新に不向きになったり、既に積載物が積載されてオフセット値P0の更新に不向きになったりしていると判断可能な値であって、車種などに応じて適宜設定される。更新範囲内であれば、特装車1の姿勢がほぼ水平状態を維持し、荷箱4に積載物が積載されていない状態となる。
ステップS105で更新範囲内と判断した場合(S105:YES)、制御部101は、オフセット値P0を更新する(ステップS106)。制御部101は、荷箱4が所定のダンプ角度であって荷箱4に積載物が積載されていない状態での油圧の大きさ(実測値)P1と、前タイミングで算出されたオフセット値P0とに基づき、現タイミングで適用すべきオフセット値P0’を算出する。例えば、制御部101は、f1×P0+f2×P1を算出することにより、現タイミングで適用すべきオフセット値P0’を算出する。ここで、f1,f2は重み係数であり、例えば、f1=0.995,f2=0.005といったように足して1となるように設定される。これらの重み係数f1,f2は、ノイズにより瞬間的に極端に変化した油圧値の影響を軽減するために設定されている。制御部101は、記憶部102に記憶されている校正用データCD1(前タイミングで算出されたオフセット値P0)を、新たに算出したオフセット値P0’で書き換えることにより、オフセット値を更新する。ステップS106でオフセット値が更新されると、ステップS107へ進む。
ステップS106でオフセット値が更新されると、制御部101は、記憶部102に記憶されている校正用データCD1を参照して、計測された油圧の大きさを校正する(ステップS107)。具体的には、制御部101は、ステップS102で取得されると共にステップS105の更新範囲内となった油圧の大きさP1から、校正用データCD1として記憶されたオフセット値P0’を減算することにより、校正後の油圧の大きさP2’を算出する。つまり、P2’=P1-P0’となる。圧力計81の油圧値P1を積載重量の推定に直接使用するのではなく、P1とP0’の差分をとった校正後の油圧値P2’を積載重量の推定に使用することによって、気温の変化等に対する影響を低減するようにしている。
一方、ステップS103で特装車1が停車安定状態でないと判断した場合(S103:NO)、ステップS104でダンプ角度θdが所定角度範囲でないと判断した場合(S104:NO)、ステップS105で更新範囲でないと判断した場合(S105:NO)のいずれかの場合、オフセット値は更新されず、ステップS107以降の処理が実行される。記憶部102に記憶されている校正用データCD1としては、前タイミングで算出されたオフセット値P0のままとなっている。この場合には、制御部101は、ステップS102で取得される油圧の大きさP1から、前タイミングで算出されたオフセット値P0を減算することにより、校正後の油圧の大きさP2を算出する。すなわち、P2=P1-P0となる。つまり、オフセット値の更新は、特装車1が更新するにふさわしい状態のときだけ自動で行われることになる。
次いで、制御部101は、校正後の油圧の大きさに基づき、荷箱4における積載重量を推定する(ステップS108)。積載重量の推定手法については後に詳述する。
制御部101は、推定した積載重量を報知する(ステップS109)。このとき、制御部101は、推定した積載重量の情報を出力部105より出力し、表示装置120に表示させる。図6は積載重量の表示例を示す模式図である。図6では、積載重量の推定値、積載率、及び推定日時の情報を文字情報として表示装置120に表示させた例を示している。ここで、積載重量の推定値は、関係テーブルTB1を参照して推定した積載重量の値である。積載率は、上限値に対する積載重量(推定値)の割合として算出される値である。推定日時は、積載重量を推定した日時であり、例えば制御部101の内蔵クロックから得られる情報である。制御部101は、関係テーブルTB1を参照して推定した積載重量の推定値、上限値に対する割合として算出される積載率、内蔵クロックから得られる日時の情報に基づき、表示画面のデータを生成し、生成した表示画面のデータを表示装置120へ出力することにより、図6に示すような画面を表示装置120に表示させることができる。
次いで、制御部101は、積載作業が終了したか否かを判断する(ステップS110)。例えば、制御部101は、計量スイッチ89がオフされたか否かを判断し、計量スイッチ89がオフされたと判断した場合、積載作業が終了したと判断する(S110:YES)。一方、制御部101は、積載作業が終了していないと判断した場合(S110:NO)、ステップS102に処理を戻す。積載作業が終了されたと判断されるまで、ステップS102からステップS110の処理が繰り返される。
次に、積載重量の推定手法について説明する。
本実施の形態に係る推定装置100は、校正後の油圧値に基づき、荷箱4における積載重量を推定する。推定手法は、油圧の大きさに関するデータを用いる任意の手法を採用することが可能である。以下では、その一例として、油圧の大きさに関するデータ(以下、第1データ)、特装車1の傾斜角に関するデータ(以下、第2データ)、及び荷箱4における積載重量を含むデータ間の関係を記憶する関係テーブルTB1を用いて、積載重量を推定する手法について説明する。
図7は実施の形態1における関係テーブルTB1の構成例を示す概念図である。関係テーブルTB1は、油圧値より得られる換算重量(i_weight)、特装車1の傾斜角(Pitch, Roll)、及び積載重量(a_weight)を関連付けて記憶する。ここで、換算重量及び傾斜角は入力値であり、それぞれ第1データ(油圧の大きさに関するデータ)及び第2データ(傾斜角に関するデータ)を表す。一方、積載重量は、入力値が与えられた場合の出力値であり、荷箱4における積載重量の推定値を表す。なお、図7の関係テーブルTB1に示した第1データは、校正後の油圧値を所定の関係式に従って積載重量に換算した換算重量のデータであるが、校正後の油圧値自体のデータであってもよい。換算に用いる関係式は、特装車1や油圧シリンダ52の種類に応じて用意されるとよい。
実施の形態1では、関係テーブルTB1は、換算重量(i_weight)の値として、3.0~12.9トンの範囲の値を0.1トン刻みで記憶し、ピッチ角(Pitch)の値として、-8~8度の範囲の値を1度刻みで記憶し、ロール角(Roll)の値として、0~4度の範囲の値を1度刻みで記憶している。なお、ロール角に関しては、ほぼ左右対称の特性となるため、絶対値を用いることができる。ただし、左右対称の特性とならない場合もあるので、その場合には、左右それぞれのロール角の値に対してピッチ角や換算重量の値を設定するようにしてもよい。
上述した入力値及び出力値(推定値)は、実際のメモリ内部ではアドレスマップに変換されて格納されている。制御部101は、入力値(i_weight, Pitch, Roll)が与えられた場合、アドレスを指定して関係テーブルTB1から積載重量の値(a_weight)を読み出す。制御部101は、関係テーブルTB1から読み出した値を基に、荷箱4における積載重量を推定する。
図8は入力値が与えられた場合の積載重量の算出方法を説明する説明図である。入力値として、換算重量:8.55トン、ピッチ角:5.5度、ロール角:2.5度が与えられた場合を例にとり、積載重量の算出方法について説明する。換算重量、ピッチ角、及びロール角をそれぞれ座標軸にとった3次元空間を想定した場合、関係テーブルTB1に記憶されている換算重量(i_weight)及び傾斜角(Pitch, Roll)を指定したとき(アドレスを指定したとき)に定まる点は、上記3次元空間内の格子点を表す。
上述の入力値を表す点(図中の星印で示される点)は、何れの格子点にも一致しておらず、図8に示す8つの格子点LP1~LP8を頂点とする直方体の内部に含まれている。この場合、制御部101は、入力値を表す点を囲む8つの格子点LP1~LP8(アドレス)を指定し、各格子点LP1~LP8(アドレス)に関連付けて記憶されている積載重量(a_weight)の値を関係テーブルTB1から読み出す。例えば、格子点LP1(換算重量:8.5トン、ピッチ角:5度、ロール角:2度)に対応するアドレスを指定した場合、積載重量(a_weight)として、8.9トンという値を読み出すことができる。他の格子点LP2~LP8に対応するアドレスを指定した場合についても同様である。
制御部101は、まず、格子点LP1~LP8から読み出した値に元に、i_weight方向の区間値を算出する。例えば、制御部101は、LP1-LP2の区間値として、(9.0-8.9)×(8.55-8.5)/0.1+8.9=8.95を算出し、LP3-LP4の区間値として、(9.1-9.0)×(8.55-8.5)/0.1+9.0=9.05を算出する。制御部101は、LP5-LP6の区間値、及びLP7-LP8の区間値についても同様にすることができる。
制御部101は、次に、算出したi_weight方向の区間値を元に、Pitch方向の区間値を算出する。例えば、制御部101は、LP1,LP2-LP3,LP4の区間値として、(9.05-8.95)×(5.5-5)/1+8.95=9.00を算出し、LP5,LP6-LP7,LP8の区間値として、(9.05-8.95)×(5.5-5)/1+8.95=9.00を算出する。
制御部101は、最後に、算出したPitch方向の区間値を元に、Roll方向の区間値を算出する。例えば、制御部101は、L1,L2,L3,L4-L5,L6,L7,L8の区間値として、(9.00-8.00)×(2.5-2)/1+9.00=9.00を算出する。
以上の演算により、制御部101は、入力値として、換算重量:8.55トン、ピッチ角:5.5度、ロール角:2.5度が与えられた場合の積載重量の推定値として、9.00トンという推定値を得る。
なお、本実施の形態では、i_weight方向、Pitch方向、Roll方向の区間値をこの順に算出する手順としたが、区間値を算出する順序は上記に限定されるものではなく、適宜設定され得る。
以上のように、本実施の形態では、時間経過に伴う油圧低下分を補正した上で、油圧に関するデータに基づいて積載重量を推定するので、積載作業などで時間が経過した場合であっても、より正確に積載重量を推定することができる。
なお、本実施の形態では、油圧の大きさに関するデータ(換算重量のデータ)、特装車1の傾斜角に関するデータ、及び積載重量の関係を規定した関係テーブルTB1を用いて積載重量を推定する構成としたが、関係テーブルTB1には、油圧の大きさに関するデータ(油圧値若しくは換算重量のデータ)と、積載重量との関係のみが規定されていてもよい。また、関係テーブルTB1を用いて積載重量を推定する構成に代えて、油圧値を含むデータと、積載重量との関係を規定する関数や学習モデルを利用して積載重量を推定する構成としてもよい。
また、図7に示す関係テーブルTB1では、積載重量の全範囲(図7の例では3~13トン)にわたって0.1トン刻みでデータを用意したが、特装車1の最大積載重量付近でデータが密となり、それ以外の範囲でデータが疎となるように、データの粒度を設定してもよい。例えば、最大積載重量が10トンである場合、9.00~10.99トンの範囲の分解能を0.01トンとし、それ以外の範囲の分解能を0.1トンとしてもよい。
以上のように、本実施の形態では、積載重量を推定する前のタイミングで油圧の大きさに関するデータを校正するので、経年変化や温度変化などに起因して積載重量のゼロ点に変動が生じた場合であっても、正確に積載重量を推定することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、荷箱4を上昇させた後に停止させた状態と、荷箱4を下降させた後に停止させた状態とを区別して、積載重量を推定する構成について説明する。
本願発明者らは、トラックシャシ2のピッチ角と油圧値との関係を詳細に調べたところ、荷箱4を上昇させた後に停止させた場合の油圧値と、荷箱4を下降させた後に停止させた場合の油圧値との間に差異が生じることを見出した。そこで、実施の形態2における積載重量推定システムでは、荷箱4を上昇後に停止させた状態と、荷箱4を下降後に停止させた状態とを区別し、両者で異なる関係テーブルを用いて積載重量の推定を行う。
図9は実施の形態2における積載重量推定システムの構成を説明するブロック図である。推定装置100は、制御部101、記憶部102、操作部103、入力部104、出力部105、及び通信部106を備える。これらハードウェア各部の構成は実施の形態1において説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
記憶部102は、上昇停止用の関係テーブルTB10と、下降停止用の関係テーブルTB20とを備える。上昇停止用の関係テーブルTB10は、荷箱4が上昇後に停止した状態にて取得した換算重量(i_weight)及び傾斜角(Pitch, Roll)のデータと、積載重量との関係を規定するテーブルである。下降停止用の関係テーブルTB20は、荷箱4が下降後に停止した状態にて取得した換算重量(i_weight)及び傾斜角(Pitch, Roll)のデータと、積載重量との関係を規定するテーブルである。関係テーブルTB10,TB20は、全範囲で分解能が一定のテーブルであってもよく、最大積載重量付近の範囲で分解能を向上させたテーブルであってもよい。
図10は実施の形態2における積載重量の推定手順を説明するフローチャートである。推定装置100の制御部101は、入力部104を通じて入力される信号を監視することにより、計量スイッチ89がオンされたか否かを判断する(ステップS201)。オンされていない場合(S201:NO)、制御部101は、計量スイッチ89がオンされるまで待機する。
計量スイッチ89がオンされた場合(S201:YES)、制御部101は積載重量の推定処理を開始する。推定処理を開始する際、ダンプ角度を所定角度に調整するようユーザに指示を与えてもよい。所定角度は、例えば0.5度より大きく、1.5度より小さい範囲の角度である。制御部101は、表示装置120に文字情報などを表示することにより指示を与えてもよく、図に示していないスピーカより音声を出力することにより指示を与えてもよい。実施の形態2において、ダンプ角度は操作レバー67を用いて手動により調整される。
制御部101は、入力部104を通じて、傾斜計82,83にて時系列的に計測される傾斜角度の計測データを順次取得し、取得した計測データに基づき、現在のダンプ角度を検出する(ステップS202)。制御部101は、傾斜計83の計測値として得られる荷箱4の傾斜角度から傾斜計82の計測値として得られるトラックシャシ2の傾斜角度を差し引くことにより、ダンプ角度を求めることができる。制御部101は、検出したダンプ角度を時系列的に記憶部102に記憶させる。
制御部101は、ステップS202で検出したダンプ角度が最小角度θ1より大きいか否かを判断する(ステップS203)。最小角度θ1は、荷箱4の積載重量を計測するのに適した角度範囲の最小値として設定される値である。最小角度θ1の一例は0.5度である。
現在のダンプ角度が最小角度θ1以下であると判断した場合(S203:NO)、制御部101は、ユーザに対して荷箱4の上昇を指示する(ステップS204)。制御部101は、荷箱4を上昇させるべき旨の文字情報を表示装置120に表示させることにより、ユーザへの指示を行う。代替的に、制御部101は、荷箱4を上昇させるべき旨の音声を図に示していないスピーカから出力させることにより、ユーザへの指示を行ってもよい。指示を受けたユーザは、操作レバー67を操作して、荷箱4を適宜の角度だけ上昇させ停止させる。制御部101は、ユーザへの指示を行った後、処理をステップS202へ戻す。
現在のダンプ角度が最小角度θ1より大きいと判断した場合(S203:YES)、制御部101は、現在のダンプ角度が最大角度θ2より小さいか否かを判断する(ステップS205)。最大角度θ2は、荷箱4の積載重量を計測するのに適した角度範囲の最大値として設定される値である。最大角度θ2の一例は1.5度である。
現在のダンプ角度が最大角度θ2以上であると判断した場合(S205:NO)、制御部101は、ユーザに対して荷箱4の下降を指示する(ステップS206)。制御部101は、例えば、荷箱4を下降させるべき旨の文字情報を表示装置120に表示させてユーザへの指示を行う。代替的に、制御部101は、荷箱4を下降させるべき旨の音声を図に示していないスピーカから出力させてユーザへの指示を行ってもよい。指示を受けたユーザは、操作レバー67を操作して、荷箱4を適宜の角度だけ下降させ停止させる。制御部101は、ユーザへの指示を行った後、処理をステップS202へ戻す。
現在のダンプ角度が最大角度θ2より小さいと判断した場合(S205:YES)、制御部101は、内蔵タイマの出力を参照して、ダンプ角度が設定された角度範囲に入ってから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS207)。所定時間が経過していない場合(S207:NO)、制御部101は、所定時間が経過するまで待機する。
所定時間が経過したと判断した場合(S207:YES)、制御部101は、所定時間が経過するまでの間、荷箱4が停止状態であったか否かを判断する(ステップS208)。制御部101は、記憶部102に記憶させたダンプ角度の履歴データから変化の有無を判断することにより、荷箱4が停止状態であったか否かを判断することができる。停止状態でなかった場合(S208:NO)、制御部101は、処理をステップS202へ戻す。
所定時間が経過するまでの間、荷箱4が停止状態であった場合(S208:YES)、制御部101は、荷箱4は上昇後に停止したか否かを判断する(ステップS209)。制御部101は、記憶部102に記憶させたダンプ角度の履歴データから、荷箱4が上昇後に停止したか否かを判断することができる。
制御部101は、荷箱4が上昇後に停止したと判断した場合(S209:YES)、積載重量の推定の際に参照するテーブルとして、上昇停止用の関係テーブルTB10を選択する(ステップS210)。一方、制御部101は、荷箱4が下降後に停止したと判断した場合(S209:NO)、積載重量の際に参照するテーブルとして、下降停止用の関係テーブルTB20を選択する(ステップS211)。
次いで、制御部101は、積載重量の計量準備ができた旨をユーザに報知する(ステップS212)。制御部101は、例えば、積載重量の計量準備ができた旨の文字情報を表示装置120に表示させる。代替的に、制御部101は、積載重量の計量準備ができた旨の音声を図に示していないスピーカから出力させてもよい。
計量準備が完了した後、制御部101は、圧力計81より時系列的に出力される油圧の大きさに関するデータ、及び傾斜計82より時系列的に出力される特装車1の傾斜角に関するデータ等を、入力部104を通じて取得する(ステップS213)。
制御部101は、取得したデータに基づき、油圧校正処理を実行する(ステップS214)。具体的には、制御部101は、図5に示すフローチャートのステップS103からS107までの処理を実行すればよい。すなわち、制御部101は、特装車1が停車安定状態であり、かつ、ダンプ角度が所定角度範囲にあり、かつ、取得したデータが更新範囲内である間、オフセット値を順次更新する。積載作業が開始された場合には、油圧値が更新範囲から外れるので、その時点で記憶されているオフセット値に基づき、油圧の大きさを校正すればよい。
次いで、制御部101は、関係テーブルTB1を参照することにより、荷箱4における積載重量を推定する(ステップS215)。制御部101は、校正後の油圧値から換算重量のデータを取得し、取得した換算重量のデータ(第1データ)と特装車1の傾斜角のデータ(第2データ)とを入力値として、関係テーブルTB1から出力値を読み出すことにより、積載重量を推定することができる。
制御部101は、推定した積載重量を報知する(ステップS216)。このとき、制御部101は、推定した積載重量の情報を出力部105より出力し、表示装置120に表示させる。
実施の形態2では、荷箱4を上昇後に停止させた状態と、荷箱4を下降後に停止させた状態とを区別し、両者で異なる関係テーブルを用いて積載重量の推定を行うので、両者で共通のテーブルを用いて推定する場合と比較して、推定精度の低下を抑えることができる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、上昇停止動作を自動的に行う構成について説明する。
図11は実施の形態3における積載重量推定システムの構成を説明するブロック図である。実施の形態3に係る積載重量推定システムは、推定装置100と、推定装置100に接続される昇降制御装置200とを備える。推定装置100は、実施の形態2において説明したものと同様であり、制御部101、記憶部102、操作部103、入力部104、出力部105、及び通信部106を備える。なお、実施の形態3では、上昇停止用の関係テーブルTB10のみを用いるので、下降停止用の関係テーブルTB20は記憶部102に記憶されていなくてもよい。
昇降制御装置200は、入力部201、制御部202、及び出力部203を備えており、特装車1が備える油圧機構の動作を制御することにより、荷箱4の昇降を制御する。入力部201は入力インタフェースを備える。入力部201には、推定装置100から出力される情報、操作レバー67の操作情報、PTOスイッチ72の操作情報などが入力される。入力部201に入力された情報は制御部202に出力される。
制御部202は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)により構成される。制御部202は、プログラムされたロジックに従って、入力部201を通じて入力された情報に基づき荷箱4を昇降制御するための制御信号を生成する。制御部202は、生成した制御信号を出力部203より制御弁63へ出力する。出力部203は、出力インタフェースを備えており、制御弁63や推定装置100などが接続されている。なお、実施の形態3における制御弁63は、電気的に制御可能な電磁制御弁として構成されているものとする。
本実施の形態では、積載重量推定システムが推定装置100と昇降制御装置200とを別体として備える構成としたが、両者が一体の構成であってもよい。
図12は実施の形態3における積載重量の推定手順を説明するフローチャートである。推定装置100の制御部101は、入力部104を通じて入力される信号を監視することにより、計量スイッチ89がオンされたか否かを判断する(ステップS301)。オンされていない場合(S301:NO)、制御部101は、計量スイッチ89がオンされるまで待機する。
計量スイッチ89がオンされた場合(S301:YES)、制御部101は、PTOスイッチ72がオンであるか否かを判断する(ステップS302)。PTOスイッチ72がオンでない場合(S302:NO)、制御部101は、ユーザに対してPTOスイッチ72をオンするように指示し(ステップS303)、エンジン70の動力伝達先を油圧ポンプ61に切り替えさせる。ユーザへの指示は、表示装置120に文字情報を表示することにより行ってもよく、図に示していないスピーカより音声として出力することにより行ってもよい。
PTOスイッチ72がオンである場合(S302:YES)、制御部101は、ダンプ角度を調整する旨をユーザに報知する(ステップS304)。制御部101は、例えば、ダンプ角度を調整する旨の文字情報を表示装置120に表示させる。代替的に、制御部101は、ダンプ角度を調整する旨の音声を図に示していないスピーカから出力させてもよい。
次いで、制御部101は、荷箱4の上昇を昇降制御装置200に指示する(ステップS305)。具体的には、制御部101は、荷箱4の上昇を指示する制御信号を生成し、生成した制御信号を出力部105より昇降制御装置200へ出力することにより、昇降制御装置200への指示を行う。昇降制御装置200の制御部202は、推定装置100からの指示に応じて、荷箱4を上昇させるための制御信号を制御弁63へ出力することにより、荷箱4を上昇させる。
制御部101は、入力部104を通じて、傾斜計82,83にて時系列的に計測される傾斜角度の計測データを順次取得し、取得した計測データに基づき、現在のダンプ角度を検出する(ステップS306)。
制御部101は、ステップS306で検出したダンプ角度が最小角度θ1より大きいか否かを判断する(ステップS307)。最小角度θ1は、荷箱4の積載重量を計測するのに適した角度範囲の最小値として設定される値である。最小角度θ1の一例は0.5度である。
現在のダンプ角度が最小角度θ1以下であると判断した場合(S307:NO)、制御部101は、処理をステップS305へ戻し、荷箱4の上昇制御を継続させる。
現在のダンプ角度が最小角度θ1より大きいと判断した場合(S307:YES)、制御部101は、現在のダンプ角度が最大角度θ2より小さいか否かを判断する(ステップS308)。最大角度θ2は、荷箱4の積載重量を計測するのに適した角度範囲の最大値として設定される値である。最大角度θ2の一例は1.5度である。
現在のダンプ角度が最大角度θ2以上であると判断した場合(S308:NO)、制御部101は、荷箱4の傾斜角度が積載重量を計測するのに適した角度範囲から外れているため、エラーを報知し(ステップS309)、本フローチャートによる処理を終了する。エラーを報知した後、制御部101は、荷箱4の下降を昇降制御装置200に指示してもよい。
現在のダンプ角度が最大角度θ2より小さいと判断した場合(S308:YES)、制御部101は、荷箱4の上昇後の停止を指示する(ステップS310)。具体的には、制御部101は、荷箱4の停止を指示する制御信号を生成し、生成した制御信号を出力部105より昇降制御装置200へ出力することにより、昇降制御装置200への指示を行う。昇降制御装置200の制御部202は、推定装置100からの指示に応じて、荷箱4を停止させるための制御信号を制御弁63へ出力することにより、荷箱4を停止させる。
次いで、制御部101は、積載重量の推定の際に参照するテーブルとして、上昇停止用の関係テーブルTB10を設定し(ステップS311)、積載重量の計量の準備ができた旨をユーザに報知する(ステップS312)。制御部101は、例えば、積載重量の計量の準備ができた旨の文字情報を表示装置120に表示させる。代替的に、制御部101は、積載重量の計量の準備ができた旨の音声情報を図に示していないスピーカから出力させてもよい。
計量準備が完了した後、制御部101は、圧力計81より時系列的に出力される油圧の大きさに関するデータ、及び傾斜計82より時系列的に出力される特装車1の傾斜角に関するデータ等を、入力部104を通じて取得する(ステップS313)。
制御部101は、取得したデータに基づき、油圧校正処理を実行する(ステップS314)。具体的には、制御部101は、図5に示すフローチャートのステップS103からS107までの処理を実行すればよい。すなわち、制御部101は、特装車1が停車安定状態であり、かつ、ダンプ角度が所定角度範囲にあり、かつ、取得したデータが更新範囲内である間、オフセット値を順次更新する。積載作業が開始された場合には、油圧値が更新範囲から外れるので、その時点で記憶されているオフセット値に基づき、油圧の大きさを校正すればよい。
次いで、制御部101は、関係テーブルTB1を参照することにより、荷箱4における積載重量を推定する(ステップS315)。制御部101は、校正後の油圧値から換算重量のデータを取得し、取得した換算重量のデータ(第1データ)と特装車1の傾斜角のデータ(第2データ)とを入力値として、関係テーブルTB1から出力値を読み出すことにより、積載重量を推定することができる。
制御部101は、推定した積載重量を報知する(ステップS316)。このとき、制御部101は、推定した積載重量の情報を出力部105より出力し、表示装置120に表示させる。
制御部101は、積載重量を推定し、ユーザに報知した後、荷箱4を下降させる指示を昇降制御装置200に与えてもよい。昇降制御装置200の制御部202は、推定装置100からの指示に応じて、荷箱4を下降させるための制御信号を制御弁63へ出力することにより、荷箱4を下降させればよい。
積載重量を手動計測する場合、ダンプ角度を所定角度(例えば1.0度)に合わせる必要があるため、ユーザに操作の煩わしさを感じさせる場合がある。これに対し、本実施の形態では、計量スイッチ89の操作によって自動的に積載重量を計測することができるので、操作の煩わしさを軽減できる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、荷箱4を上昇させた後に停止させた場合と、荷箱4を下降させた後に停止させた場合とで共通の関係テーブルTB30を用いて積載重量を推定する構成について説明する。
図13は実施の形態4における積載重量推定システムの構成を説明するブロック図である。推定装置100は、制御部101、記憶部102、操作部103、入力部104、出力部105、及び通信部106を備える。これらハードウェア各部の構成は実施の形態1において説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
記憶部102は、荷箱4を上昇させた後に停止させた場合と、荷箱4を下降させた後に停止させた場合とで共通の関係テーブルTB30を備える。関係テーブルTB30の構成は、実施の形態1で説明した関係テーブルTB1と同様であり、換算重量(i_weight)及び傾斜角(Pitch, Roll)のデータと、積載重量との関係を規定する。関係テーブルTB30は、全範囲で分解能が一定のテーブルであってもよく、最大積載重量付近の範囲で分解能を向上させたテーブルであってもよい。
実施の形態4では、制御部101は、関係テーブルTB30を用いて積載重量を推定する前処理として、荷箱4を上昇させた後に停止させた場合には、上昇停止用の関係式(第1関係式)を用いて校正後の油圧値を換算重量に変換し、荷箱4を下降させた後に停止させた場合には、下降停止用の関係式(第2関係式)を用いて校正後の油圧値を換算重量に変換する。これらの関係式は、計測条件が同一であれば、上昇停止後の油圧値(校正後)から変換した換算重量と、下降停止後の油圧値(校正後)から変換した換算重量とが同一の値を示すように、各関係式の関数形が事前に定められているものとする。各関係式は記憶部102に記憶される。制御部101は、上昇停止後の油圧値を取得した場合、油圧校正処理を行った後に上昇停止用の関係式を記憶部102から読み出して油圧値を換算重量に変換し、下降停止後の油圧値を取得した場合、油圧校正処理を行った後に下降停止用の関係式を記憶部102から読み出して油圧値を換算重量に変換する。これにより、上昇停止か下降停止かに関わらず、一意に換算重量を計算することができる。制御部101は、換算重量を基に関係テーブルTB30を参照して、積載重量を推定する。
図14は実施の形態4における積載重量の推定手順を説明するフローチャートである。推定装置100の制御部101は、図10に示すフローチャートのS201~S208と同様の手順を実行し(ステップS401~S408)、計量準備を完了させ後に、積載重量の計量の準備ができた旨をユーザに報知する(ステップS409)。計量準備の完了後、積載作業が実行される。制御部101は、圧力計81の計測結果に基づく第1データ(油圧値)と、傾斜計82の計測結果に基づく第2データ(特装車1の傾斜角)とを随時取得する(ステップS410)。
制御部101は、取得したデータに基づき、油圧校正処理を実行する(ステップS411)。具体的には、制御部101は、図5に示すフローチャートのステップS103からS107までの処理を実行すればよい。すなわち、制御部101は、特装車1が停車安定状態であり、かつ、ダンプ角度が所定角度範囲にあり、かつ、取得したデータが更新範囲内である間、オフセット値を順次更新する。積載作業が開始された場合には、油圧値が更新範囲から外れるので、その時点で記憶されているオフセット値に基づき、油圧の大きさを校正すればよい。
油圧校正処理を実行した後、制御部101は、S401からS408の間で荷箱4は上昇後に停止したか否かを判断する(ステップS412)。制御部101は、荷箱4が上昇後に停止したと判断した場合(S412:YES)、上昇停止用の関係式を記憶部102から読み出して、校正後の油圧値を換算重量に変換する(ステップS413)。一方、制御部101は、荷箱4が下降後に停止したと判断した場合(S412:NO)、下降停止用の関係式を記憶部102から読み出して、校正後の油圧値を換算重量に変換する(ステップS414)。
制御部101は、ステップS413又はステップS414で変換した換算重量を基に、関係テーブルTB30を参照することにより、荷箱4における積載重量を推定する(ステップS415)。関係テーブルTB30を用いた積載重量の推定方法は、実施の形態1と同様である。
次いで、制御部101は、推定した積載重量を報知する(ステップS416)。このとき、制御部101は、推定した積載重量の情報を出力部105より出力し、表示装置120に表示させる。制御部101は、積載重量の情報を文字情報として表示装置120に表示させてもよく、グラフ表示やメータ表示などの模式的な表示方法を用いてもよい。また、制御部101は、推定した積載重量の情報を図に示していないスピーカから音声として出力させる構成としてもよい。これらの一連の処理が終了した後、ユーザは、操作レバー67を操作して、荷箱4をダンプ角度が0度となるまで下降させる。その後、計量スイッチ89がオフされることにより、計量が終了する。
以上のように、実施の形態4では、上昇停止用の関係式と、下降停止用の関係式とを併用し、上昇停止時の油圧値と下降停止時の油圧値の差異を解消した換算重量を計算する。このため、換算重量から積載重量を推定するために2種類の関係テーブル(上昇停止用の関係テーブル及び下降停止用の関係テーブル)を用意する必要がなくなり、記憶部102の記憶容量が比較的少ない推定装置100であっても積載重量の推定が可能となる。
(実施の形態5)
実施の形態5では、上昇停止後に計測され、校正された油圧値と、下降停止後に計測され、校正された油圧値との関係(第3関係式)を把握しておき、上昇停止後の油圧値及び下降停止後の油圧値の何れか一方を第3関係式を用いて補正する構成について説明する。
実施の形態5における推定装置100の構成は、実施の形態5において説明したものと同様である。すなわち、実施の形態5における推定装置100は、荷箱4を上昇させた後に停止させた状態と、荷箱4を下降させた後に停止させた状態とで共通の関係テーブルTB30を備える。
実施の形態5では、荷箱4の上昇停止後に計測され、校正された油圧値と、荷箱4の下降停止後に計測され、校正された油圧値との関係を事前に把握しているものとする。例えば、計測条件が同じである場合、荷箱4の上昇停止後に計測され、校正された油圧値PV1と、荷箱4の下降停止後に計測され、校正された油圧値PV2との間には、PV1=PV2+ΔPVなる関係があるものとする。ΔPVはPV1とPV2との差圧であり、実施の形態5では既知であるとする。この関係を示す関係式(第3関係式)は記憶部102に記憶される。
制御部101は、上昇停止後に計測され、校正された油圧値PV1を取得した場合、取得した油圧値PV1を所定の関係式に従って換算重量に変換し、変換後の換算重量を基に関係テーブルTB30を参照して積載重量を推定する。一方、制御部101は、下降停止後に計測され、校正された油圧値PV2を取得した場合、記憶部102に記憶されている第3関係式に従って油圧値PV2を補正する。すなわち、制御部101は、取得した油圧値PV2に差分ΔPVを加算する補正を行う。制御部101は、補正後の油圧値(=PV2+ΔPV)を前述の所定の関係式に従って換算重量に変換した後、関係テーブルTB30を参照して積載重量を推定する。
図15は実施の形態5における積載重量の推定手順を説明するフローチャートである。推定装置100の制御部101は、図10に示すフローチャートのS201~S208と同様の手順を実行し(ステップS501~S508)、計量準備を完了させ後に、積載重量の計量の準備ができた旨をユーザに報知する(ステップS509)。計量準備の完了後、積載作業が実行される。制御部101は、圧力計81の計測結果に基づく第1データ(油圧値)と、傾斜計82の計測結果に基づく第2データ(特装車1の傾斜角)とを随時取得する(ステップS510)。
制御部101は、取得したデータに基づき、油圧校正処理を実行する(ステップS511)。具体的には、制御部101は、図5に示すフローチャートのステップS103からS107までの処理を実行すればよい。すなわち、制御部101は、特装車1が停車安定状態であり、かつ、ダンプ角度が所定角度範囲にあり、かつ、取得したデータが更新範囲内である間、オフセット値を順次更新する。積載作業が開始された場合には、油圧値が更新範囲から外れるので、その時点で記憶されているオフセット値に基づき、油圧の大きさを校正すればよい。
油圧校正処理を実行した後、制御部101は、S501からS508の間で荷箱4は上昇後に停止したか否かを判断する(ステップS512)。制御部101は、荷箱4が上昇後に停止したと判断した場合(S512:YES)、所定の関係式に従って、上昇停止後の油圧値P1を換算重量に変換する(ステップS514)。一方、制御部101は、荷箱4が下降後に停止したと判断した場合(S512:NO)、下降停止後の油圧値P2に差圧ΔPVを加算する(ステップS513)。その後、制御部101は、ステップS514に進み、差圧が加算された油圧値(=PV2+ΔPV)を所定の関係式に従って換算重量に変換する(ステップS514)。
制御部101は、ステップS514で変換した換算重量を基に、関係テーブルTB30を参照することにより、荷箱4における積載重量を推定する(ステップS515)。関係テーブルTB30を用いた積載重量の推定方法は、実施の形態1と同様である。
次いで、制御部101は、推定した積載重量を報知する(ステップS516)。このとき、制御部101は、推定した積載重量の情報を出力部105より出力し、表示装置120に表示させる。制御部101は、積載重量の情報を文字情報として表示装置120に表示させてもよく、グラフ表示やメータ表示などの模式的な表示方法を用いてもよい。また、制御部101は、推定した積載重量の情報を図に示していないスピーカから音声として出力させる構成としてもよい。これらの一連の処理が終了した後、ユーザは、操作レバー67を操作して、荷箱4をダンプ角度が0度となるまで下降させる。その後、計量スイッチ89がオフされることにより、計量が終了する。
以上のように、実施の形態5では、上昇停止後に計測され、校正された油圧値と、下降停止後に計測され、校正された油圧値との関係を把握しているので、例えば、下降停止後に計測され、校正された油圧値を、同じ条件で計測され、校正された上昇停止後の油圧値と同等の油圧値に補正することができる。このため、油圧値(換算重量)から積載重量を推定するために2種類の関係テーブル(上昇停止用の関係テーブル及び下降停止用の関係テーブル)を用意する必要がなくなり、記憶部102の記憶容量が比較的少ない推定装置100であっても積載重量の推定が可能となる。
なお、本実施の形態では、下降停止後に得られた校正後の油圧値に対して差圧を加算する構成としたが、上昇停止後に得られた校正後の油圧値から差圧を減算する構成としてもよい。また、差圧の加算(又は減算)に限らず、任意の関係式を用いて、何れか一方の油圧値を補正してもよい。
(実施の形態6)
実施の形態6では、関係テーブルTB1の作成方法について説明する。
実施の形態6では、外部のサーバ装置500において関係テーブルTB1を作成する構成について説明する。図16は実施の形態6におけるサーバ装置500の構成を説明するブロック図である。サーバ装置500は、専用又は汎用のコンピュータであり、制御部501、記憶部502、通信部503、操作部504、及び表示部505を備える。
制御部501は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。制御部501が備えるROMには、サーバ装置500が備えるハードウェア各部の動作を制御する制御プログラム等が記憶される。制御部501内のCPUは、ROMに記憶された制御プログラムや後述する記憶部502に記憶された各種コンピュータプログラムを実行し、ハードウェア各部の動作を制御することによって、本実施の形態におけるサーバ装置500としての機能を実現する。制御部501が備えるRAMには、演算の実行中に利用されるデータ等が一時的に記憶される。
制御部501は、CPU、ROM、及びRAMを備える構成としたが、代替的に、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、量子プロセッサ、揮発性又は不揮発性のメモリ等を備える1又は複数の演算回路又は制御回路であってもよい。また、制御部501は、日時情報を出力するクロック、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
記憶部502は、ハードディスク、フラッシュメモリなどを用いた記憶装置を備える。記憶部502には、制御部501によって実行されるコンピュータプログラム、外部から取得した各種データ、サーバ装置500の内部にて生成した各種データ等が記憶される。
記憶部502に記憶されるコンピュータプログラムは、学習モデルLM1を生成するための学習プログラムPG2を含む。ここで、学習モデルLM1は、第1データ(換算重量を含む油圧の大きさに関するデータ)及び第2データ(特装車1の傾斜に関するデータ)を入力した場合、積載重量に関するデータを出力するよう構成される。学習モデルLM1の構成は後に詳述する。
これらのコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムを読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体RM2により提供されてもよい。記録媒体RM2は、例えば、CD-ROM、USBメモリ、SDカードなどの可搬型メモリである。制御部501は、図に示していない読取装置を用いて、記録媒体RM2から各種プログラムを読み取り、読み取った各種プログラムを記憶部502に記憶させる。代替的に、コンピュータプログラムは、通信により提供されてもよい。
通信部503は、インターネット網などの通信ネットワークに接続するための通信インタフェースを備える。通信部503が備えるインタフェースは、例えば、WiFi(登録商標)、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の無線通信規格に準じた通信インタフェースである。通信部503は、外部へ通知すべき各種情報を送信すると共に、外部から自装置宛に送信される各種情報を受信する。
操作部504は、キーボードやマウスなどの入力デバイスを備えており、各種情報の入力を受付ける。制御部501は、操作部504から入力される情報に基づき適宜の制御を行い、必要に応じて入力された情報を記憶部502に記憶させる。
表示部505は、液晶表示パネル、有機EL表示パネル等の表示デバイスを備えており、制御部501から出力される制御信号に基づいて、管理者等に通知すべき情報を表示する。
図17は学習モデルLM1の構成例を説明する模式図である。本実施の形態における学習モデルLM1は、例えばサポートベクタ回帰モデルであり、各種データが入力される入力層と、入力層に入力されたデータに基づき所定の演算を行うカーネルを含む中間層と、中間層からの出力を結合し、演算結果を出力する出力層とを備える。
学習モデルLM1の入力層、中間層、及び出力層には、1つまたは複数のノードが存在し、各層のノードは前後の層に存在するノードと一方向に結合荷重で結合されている。なお、カーネルトリックを用いて非線形に拡張したサポートベクタマシンでは、中間層から出力層への結合荷重が学習により適応的に決定される。一方、入力層から中間層への結合荷重は固定であり、訓練データから機械的に求められる。
学習モデルLM1の入力層には第1データ(換算重量を含む油圧の大きさに関するデータ)及び第2データ(特装車1の傾斜に関するデータ)が入力される。入力層に入力されたデータは、訓練データを用いて決定された結合荷重により重み付けされて中間層へ出力される。中間層は、入力層から入力されたデータに基づきカーネルを用いた演算を実行する。中間層の各カーネルにおいて演算されたデータは、学習によって決定された結合荷重により重み付けされて出力層へ出力される。出力層は、中間層から入力されたデータを結合することにより、積載重量に関する演算結果を出力する。
ここで、出力層が出力する演算結果は、積載重量の推定値であってもよく、ある積載重量に該当する確率であってもよい。後者の場合、出力層は、複数のノードにより構成され、第1ノードからは積載重量が1トンである確率、第2ノードからは積載重量が2トンである確率、…、第Nノード(Nは2以上の整数)からは積載重量がNトンである確率といったように、ある積載重量である確率を出力すればよい。
サーバ装置500は、学習モデルLM1を生成するために訓練データを用意する。図18は訓練データの概念図である。訓練データは、積載重量を固定して計測した特装車1の傾斜角(ピッチ角及びロール角)と、計測された油圧シリンダ52の油圧値(シリンダ圧)に基づいた換算重量とを含む。図18の例では、特装車1の荷箱4に3トン(実測値)の積載物を積載して様々な状況で計測した傾斜角と計測された油圧値に基づく換算重量、特装車1の荷箱4に4トン(実測値)の積載物を積載して様々な状況で計測した傾斜角と計測された油圧値に基づく換算重量、特装車1の荷箱4に5トン(実測値)の積載物を積載して様々な状況で計測した傾斜角と計測された油圧値に基づく換算重量等が訓練データに含まれている。
上述した実測値に代えて、若しくは、上述した実測値と共に、CAE(Computer-Aided Engineering)解析の解析結果を訓練データに用いてもよい。
図19は学習モデルLM1の第1の生成方法を説明するフローチャートである。サーバ装置500の制御部501は、記憶部502から学習プログラムPG2を読み出して実行することにより、以下の処理を実行する。
制御部501は、訓練データから一組のデータを選択する(ステップS601)。訓練データは、同じ時間に計測された一連の計測データと、これらの計測データが得られたときの積載重量の値とを含む。
次いで、制御部501は、選択した訓練データを学習モデルLM1へ入力し(ステップS602)、学習モデルLM1による演算を実行する(ステップS603)。すなわち、制御部501は、学習モデルLM1の入力層を構成するノードに、油圧値に基づく換算重量、傾斜角などの計測データを入力し、中間層のカーネルを用いた演算を実行し、演算結果を出力層から出力する処理を行う。なお、学習が開始される前の初期段階には、学習モデルLM1を記述する定義情報には初期値が与えられる。
次いで、制御部501は、ステップS603で得られた演算結果を評価し(ステップS604)、学習が完了したか否かを判断する(ステップS605)。具体的には、制御部501は、ステップS603で得られる演算結果と訓練データとに基づく誤差関数(目的関数、損失関数、コスト関数ともいう)を用いて、演算結果を評価することができる。制御部501は、例えば、最急降下法などの勾配降下法により誤差関数を最適化(最小化又は最大化)する課程で、誤差関数が閾値以下(又は閾値以上)となった場合、学習が完了したと判断してもよい。なお、過学習の問題を避けるために、交差検定、早期打ち切りなどの手法を取り入れ、適切なタイミングにて学習を終了させてもよい。
学習が完了してないと判断した場合(S605:NO)、制御部501は、学習モデルLM1のノード間における結合荷重を更新して(ステップS606)、処理をステップS601へ戻し、別の訓練データを用いた学習を継続する。制御部501は、学習モデルLM1の出力層から入力層に向かって、ノード間の結合荷重を順次更新する誤差逆伝搬法を用いて、ノード間の結合荷重を更新することができる。
学習が完了したと判断した場合(S605:YES)、制御部501は、学習済みの学習モデルLM1として記憶部502に記憶させ(ステップS607)、本フローチャートによる処理を終了する。
訓練データとして、CAE解析による訓練データと、実測値による訓練データを利用可能な場合、これらの訓練データを用いて、学習モデルLM1を生成してもよい。
図20は学習モデルLM1の第2の生成方法を説明するフローチャートである。サーバ装置500の記憶部502には、CAE解析による訓練データと、実測値による訓練データとが記憶されているものとする。
制御部501は、記憶部502からCAE解析による訓練データ(CAEデータ)を取得し(ステップS621)、CAEデータを用いて学習を行う(ステップS622)。学習手順は、図19に示すフローチャートの手順と同様であり、CAE解析による訓練データから一組のデータを選択し、学習対象のモデルに入力して演算を行い、演算結果と訓練データとに基づく誤差関数を用いて、演算結果を評価することにより学習を進めればよい。制御部501は、CAEデータを用いた学習により初期モデルを生成する。
次いで、制御部501は、記憶部502から実データを取得し(ステップS623)、実データを用いて追加学習を行う(ステップS624)。制御部501は、ステップS622の学習により生成された初期モデルに対して追加学習を行うことにより、学習モデルLM1を生成することができる。学習手順は、図19に示すフローチャートの手順と同様であり、実測値による訓練データから一組のデータを選択し、学習対象のモデル(初期モデル)に入力して演算を行い、演算結果と訓練データとに基づく誤差関数を用いて、演算結果を評価することにより学習を進めればよい。
以上により、制御部501は、第1データ(換算重量を含む油圧の大きさに関するデータ)及び第2データ(特装車1の傾斜に関するデータ)を入力した場合、積載重量に関するデータを出力するよう構成された学習モデルLM1を生成することができる。
制御部501は、生成した学習モデルLM1を用いて、関係テーブルTB1を作成することができる。すなわち、制御部501は、所望の分解能で第1データ及び第2データを学習モデルLM1に入力し、学習モデルLM1による演算を実行することにより、推定される積載重量の値を取得することができる。このとき入力した第1データ及び第2データ、並びに、学習モデルLM1から出力される積載重量の値をテーブルとして格納していくことにより、関係テーブルTB1を作成することができる。また、同様の手順により、最大積載重量付近の分解能を向上させた関係テーブル(不図示)、上昇停止用の関係テーブルTB10、下降停止用の関係テーブルTB20を作成することができる。
サーバ装置500において作成された関係テーブルTB1(TB10,TB20)は、特装車1の推定装置100に提供される。推定装置100に提供された関係テーブルTB1(TB10,TB20)は、記憶部102に格納され、積載重量を推定する際に参照される。
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、本実施の形態では、特装車1として、積載重量を推定する推定装置100と、推定装置100が推定した積載重量に関する情報を報知する表示装置120と、ダンプ装置3とを備えるダンプトラックを例に挙げて説明したが、本発明はダンプトラックに限らず、油圧シリンダを有するダンプ装置を備えた種々の特装車に適用可能である。例えば、ダンプ排出式吸引車やダンプ排出式塵芥収集車、荷役アームを備えたコンテナ脱着車等の特装車に適用できる。