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JP7768057B2 - 転舵装置 - Google Patents
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JP7768057B2 - 転舵装置 - Google Patents

転舵装置

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Description

本発明は、転舵装置に関する。
従来、車両状態に適した旋回動作を実現しようとする転舵装置が知られている。
例えば特許文献1に開示された車両用ステアリングシステムは、左右の前輪について、低速時にはアッカーマンジオメトリに従い、高速時にはパラレルジオメトリに従った転舵状態となるように、旋回内輪と旋回外輪との転舵量比を車速に基づいて変更する。
特開2021-169248号公報
特許文献1の車両用ステアリングシステムでは、左右の後輪は転舵せず、車両の旋回中心の設定可能領域は左右の後輪の中心を通る後輪軸上に限られる。この従来技術に対し、左右前輪に加えて左右後輪も独立して転舵可能な四輪独立転舵車両では、旋回中心を設定可能な領域がより広い範囲に拡張される。そして、拡張された領域に旋回中心を設定して各車輪を転舵させることで、従来の非独立転舵車両では実現不可能であった、特に市街地走行に適した旋回動作が可能となる。そのような独立転舵車両に独特の転舵理論は従来知られていない。
本発明は上述の点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、三輪以上の独立転舵車両において、所望の車両動作モードを実現可能な転舵装置を提供することにある。
本発明の転舵装置は、一つ以上の前輪と一つ以上の後輪とを含む、互いに機械的に拘束されない三つ以上の車輪(91-94)が独立して転舵可能な車両(100)において、各車輪の転舵角を制御する。この転舵装置は、車両動作決定部(65)と、旋回中心座標決定部(66)と、一つ以上の転舵角算出部(67、671-674)と、複数の転舵アクチュエータ(71-74)と、を備える。
車両動作決定部は、車両が進みながら旋回する進行旋回モード、車両が進まずに旋回する非進行旋回モード、車両が前後軸に対し横方向に移動する横移動モード、を含む車両動作モードを車両状態に基づいて決定する。車両状態には、例えば車速や各車輪の実転舵角が含まれる。旋回中心座標決定部は、車両動作決定部により決定された車両動作モードに基づいて車両の旋回中心(C)の座標を決定する。転舵角算出部は、旋回中心座標決定部により決定された旋回中心の座標に基づいて各車輪の転舵角指令値を算出する。転舵アクチュエータは、各車輪に対応して設けられ、転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪を転舵させる。
前輪の中心を通り車両前後軸(Y0)に直交する軸を前輪軸(X12)と定義し、後輪の中心を通り車両前後軸に直交する軸を後輪軸(X34)と定義する。車両動作決定部が進行旋回モードを指令した場合、旋回中心座標決定部は、旋回内側かつ前輪軸と後輪軸との間の車両外部に一つの旋回中心の座標を決定する。車両動作決定部が非進行旋回モードを指令した場合、旋回中心座標決定部は、車両内部に一つの旋回中心の座標を決定する。
車両動作決定部が前進からの横移動モードを指令した場合、旋回中心座標決定部は、後輪軸よりも後方において車両の左右方向に離れた二つの旋回中心の座標を決定する。車両動作決定部が後進からの横移動モードを指令した場合、旋回中心座標決定部は、前輪軸よりも前方において車両の左右方向に離れた二つの旋回中心の座標を決定する。
本発明では、進行旋回モード、非進行旋回モード、横移動モード等の車両動作モードにおける旋回中心の座標を、従来の設定可能領域より広い拡張領域に設定することで、特に市街地走行に適した自由度の高い車両動作を実現することができる。好ましくは、転舵角算出部は、各車輪の転舵方向が旋回中心と各車輪の中心とを結ぶ直線に直交するように各車輪の転舵角を算出する。
第1実施形態による転舵装置のブロック図。 転舵モジュールの具体的な形態例を示す図。 パラレルジオメトリに従った旋回動作を示す図。 アッカーマンジオメトリに従った旋回動作を示す図。 (a)パラレルジオメトリ、(b)アッカーマンジオメトリに対応するリンク機構を示す模式図。 進行旋回モードの車両動作(小回りUターン)を示す図。 進行旋回モードの車両動作(狭路クランク走行)を示す図。 進行旋回モードでの旋回中心設定領域を示す図。 非進行旋回モードの車両動作(超信地旋回)を示す図。 非進行旋回モード(超信地旋回)での旋回中心設定領域を示す図。 非進行旋回モードの車両動作(信地旋回)を示す図。 非進行旋回モード(信地旋回)での旋回中心設定領域を示す図。 前進からの横移動モードの車両動作を示す図。 前進からの横移動モード(斜め移動時)での旋回中心設定領域を示す図。 前進からの横移動モード(真横移動時)での旋回中心設定領域を示す図。 後進からの横移動モードの車両動作を示す図。 後進からの横移動モード(斜め移動時)での旋回中心設定領域を示す図。 後進からの横移動モード(真横移動時)での旋回中心設定領域を示す図。 停止からの横移動モードの車両動作を示す図。 各車両動作モードの旋回中心設定領域(拡張領域)をまとめた図。 車両動作モード切替判定処理のフローチャート。 重心を原点とする座標を用いた転舵角の算出式を説明する図。 左旋回時における旋回中心座標の決定を説明する図。 右旋回時における旋回中心座標の決定を説明する図。 進行旋回モードでの旋回中心座標を決定する実施例1の図。 進行旋回モードでの旋回中心座標を決定する実施例2の図。 進行旋回モードでの旋回中心座標を決定する実施例3の図。 進行旋回モードでの旋回中心座標を決定する実施例4の図。 非進行旋回モードでの旋回中心座標を決定する実施例1の図。 非進行旋回モード(超信地旋回)での旋回中心座標を示す参考図。 非進行旋回モードでの旋回中心座標を決定する実施例2の図。 非進行旋回モードでの旋回中心座標を決定する実施例3の図。 横移動モードでの旋回中心座標を決定する実施例1の図。 横移動モードでの旋回中心座標を決定する実施例2の図。 横移動モードでの旋回中心座標を決定する実施例3の図。 第2実施形態による転舵装置のブロック図。
本発明による転舵装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。第1、第2実施形態を包括して「本実施形態」という。本実施形態の転舵装置は、互いに機械的に拘束されない四つの車輪が独立して転舵可能な車両において、各車輪の転舵角を制御する。
(第1実施形態)
図1、図2を参照し、第1実施形態の転舵装置801の構成について説明する。図1に示す独立転舵車両100では、四つの車輪91-94は互いに機械的に拘束されておらず、独立して転舵可能である。左前輪91に「FL」、右前輪92に「FR」、左後輪93に「RL」、右後輪94に「RR」と記す。
各車輪91-94に対応して、転舵角算出部671-674と転舵アクチュエータ71-74とが一体に構成された転舵モジュール81-84が設けられている。転舵アクチュエータ71-74は、典型的にはモータで構成される。各要素の符号の末尾の数字「1」-「4」は、対応する車輪91-94を表す。例えば、転舵角算出部671と転舵アクチュエータ71とが一体に構成された転舵モジュール81は、左前輪91に対応する。
転舵装置801は、車両動作指令装置601、及び、各車輪91-94に対応する四つの転舵モジュール81-84を含む。車両動作指令装置601は、車両動作決定部65及び旋回中心座標決定部66を備える。車両動作決定部65は、車速、及び、各車輪91-94の実転舵角を含む車両状態の情報に基づいて、後述する車両動作モードを決定する。図示を省略するが、車速は、例えば車速センサにより検出される。各車輪91-94の実転舵角は、例えば転舵アクチュエータの回転角検出値を換算して推定される。転舵角は、中立位置を基準として、例えば左側が正、右側が負となるように定義される。
旋回中心座標決定部66は、車両動作決定部65により決定された車両動作モードに基づいて車両の旋回中心の座標を決定する。転舵角算出部671-674は、旋回中心座標決定部66により決定された旋回中心の座標に基づいて、対応する車輪91-94の転舵角指令値を算出する。転舵アクチュエータ71-74は、転舵角算出部671-674が算出した転舵角指令値に従って各車輪91-94を転舵させる。
図2に転舵モジュール81-84の具体的な形態例を示す。第1実施形態では、各車輪91-94に対応する転舵角算出部671-674と転舵アクチュエータ71-74とが一体に設けられた「機電一体式」の構成が採用される。車輪毎に転舵角算出部671-674が算出した転舵角指令値に従って転舵アクチュエータ71-74が動作する。転舵角算出部671-674が分散して設けられることで、全車輪91-94の転舵角算出機能が一度に失陥するリスクが回避される。
各車輪91-94が互いに機械的に拘束されない独立転舵車両100に対し、従来の一般的な車両は、左右の前輪、及び、左右の後輪がそれぞれラックバーで連結された「非独立転舵車両」である。本実施形態による転舵理論を説明する前に、図3~図5を参照し、従来のラックバー付き車両における転舵理論として、パラレルジオメトリ及びアッカーマンジオメトリに従った旋回動作について説明する。以下、主に左旋回動作を例として説明する。
図3、図4に示すように、非独立転舵車両109では、左右の前輪91、92はラックバー95で連結され、左右の後輪93、94はラックバー96で連結されている。左右の前輪91、92を連結する機構を図5(a)、(b)に示す。タイロッド97及びナックル98のリンク機構により、左右の前輪91、92は所定の可能範囲内で転舵可能である。一方、左右の後輪93、94は転舵しないため、旋回中心Cは後輪軸X34上に設定される。
図5(a)に示すように、パラレルジオメトリのリンク機構では、タイロッド97とナックル98との位置関係が固定されている。図3に示すように、パラレルジオメトリに従った旋回動作では、左前輪91と右前輪92とが平行に転舵する。すなわち、左前輪91の転舵角θ1と右前輪92の転舵角θ2とは等しい。車両重心Gは、旋回中心Cに対して旋回半径Rの円弧を描いて移動する。左前輪91及び右前輪92は、タイヤが横滑りしながら旋回する。また、左前輪91と左前輪93との内輪差Δi、及び、右前輪91と右後輪93との外輪差Δoが発生する。
図5(b)に示すように、アッカーマンジオメトリのリンク機構では、タイロッド97とナックル98との位置関係がフレキシブルに設けられている。図4に示すように、アッカーマンジオメトリに従った旋回動作では、左前輪91の転舵方向が旋回中心Cと左前輪91の中心とを結ぶ直線N1に直交し、右前輪92の転舵方向が旋回中心Cと右前輪92の中心とを結ぶ直線N2に直交する。
真上からの視方向において、左右前輪91、92の幅方向の中心を通り転舵方向に沿った直線を「車輪幅中心線S1、S2」と表す。アッカーマンジオメトリに従った旋回動作では、左右前輪91、92の車輪幅中心線S1、S2は、旋回中心Cを中心とする旋回円の接線となる。言い替えれば、旋回中心Cと各前輪91、92の中心とを結ぶ直線N1、N2は、車輪幅中心線S1、S2の法線となる。
旋回内側の前輪91は旋回半径riの円弧を描き、旋回外側の前輪92は旋回半径roの円弧を描き、横滑りすることなく旋回する。旋回内側の前輪91の転舵角θ1は、旋回外側の前輪92の転舵角θ2よりも大きくなる。また、旋回中心Cが車両から離れるほど転舵角θ1、θ2は小さくなり、旋回中心Cが車両に近づくほど転舵角θ1、θ2は大きくなる。車両に最も近い限界位置に旋回中心Ceが設定されたとき、転舵角θ1、θ2が最大となる。このように、限界位置の外側の後輪軸X34上が旋回中心設定領域となる。
パラレルジオメトリでは、高速域においてタイヤの力を有効に使用できるため安定した旋回が可能となる。しかし、低~中速域においてタイヤの横滑りが大きくスムーズな旋回が困難である。一方、アッカーマンジオメトリでは、高速域においてタイヤの力を有効に使用できず、安定した旋回が困難である。しかし、低~中速域においてタイヤの横滑りが小さくスムーズな旋回が可能となる。よって、低~中速域での市街地走行にはアッカーマンジオメトリが有効である。
ただし、後輪93、94が転舵しない前提では、旋回中心設定領域は後輪軸X34上の限界位置よりも外側の領域に制限される。また、内輪差Δi及び外輪差Δoが発生する。そのため、実現したい車両動作に対してアッカーマンジオメトリのメリットを十分に活かすことができない場合がある。そこで本実施形態では、独立転舵車両100により所望の車両動作モードを好適に実現するため、アッカーマン理論を拡張した転舵理論を構築することを目的とする。
本実施形態の車両動作決定部65は、車両状態に基づいて、大きく次の三つの車両動作モードを決定する。[1]車両が進みながら旋回する「進行旋回モード」、[2]車両が進まずに旋回する「非進行旋回モード」、[3]車両が前後軸に対し横方向に移動する「横移動モード」。
続いて図6~図19を参照し、各車両動作モード、及びその旋回中心設定領域について説明する。図8等において、前輪91、92の中心を通り車両前後軸Y0に直交する軸を前輪軸X12と定義し、後輪93、94の中心を通り車両前後軸Y0に直交する軸を後輪軸X34と定義する。前輪軸X12と後輪軸X34との距離はホイールベースLである。また、重心Gを通り車両前後軸Y0に直交する軸を重心軸X0と表す。車両前後方向の重量分布が均一であると仮定すると、重心軸X0は前輪軸X12と後輪軸X34との真ん中に位置する。
また、車両左右方向の同じ側における前輪及び後輪の中心を通る軸を前後輪軸と定義する。左前輪91及び左後輪93の中心を通る軸を左前後輪軸Y13と表し、右前輪92及び右後輪94の中心を通る軸を右前後輪軸Y24と表す。左前後輪軸Y13と右前後輪軸Y24との距離はトレッド幅Dである。左前後輪軸Y13と右前後輪軸Y24とは車両前後軸Y0に対して対称であり、左前後輪軸Y13と車両前後軸Y0との距離、及び、右前後輪軸Y24と車両前後軸Y0との距離は、いずれも(D/2)で表される。車両重心Gは、車両前後軸Y0上に位置する。
車両前後方向において前輪軸X12と後輪軸X34との間であり、車両左右方向において左前後輪軸Y13と右前後輪軸Y24との間である領域を「車両内部」という。車両内部以外の領域を「車両外部」という。この定義によれば、エンジン室の前部やトランクの後部は、厳密には車体内部であるが車両外部となる。ただし、現実には境界領域を柔軟に考え、「車両外部」と「車体外部」とを同義に解釈してもよい。
[1]進行旋回モード
図6~図8を参照する。進行旋回モードの車両動作例として、図6に小回りUターン、図7に狭路クランク走行を示す。小回りUターンの場合、車両100は前進しながら連続して同方向(例えば左方向)に旋回する。狭路クランク走行の場合、車両100は前進しながら、例えば左旋回から右旋回に移行する。
図8に進行旋回モードでの旋回中心設定領域を示す。車両動作決定部65が進行旋回モードを指令した場合、旋回中心座標決定部66は、旋回内側かつ前輪軸X12と後輪軸34との間の車両外部に一つの旋回中心Cの座標を決定する。旋回中心Cが決まると、車両重心Gの旋回半径Rが決まる。進行旋回モードの旋回半径Rはトレッド幅Dの(1/2)以上となる。すなわち、「R≧(D/2)」の関係が成り立つ。
さらに転舵角算出部671-674は、アッカーマン理論に基づき、各車輪91-94の転舵方向が旋回中心Cと各車輪91-94の中心とを結ぶ直線N1-N4に直交するように各車輪91-94の転舵角を算出する。具体的な転舵角算出式は、図22を参照して後述する。
図4に示す、非独立転舵車両109でのアッカーマンジオメトリに従った旋回動作の旋回中心を「従来の旋回中心Co」と定義する。上述の通り、従来の旋回中心Coは後輪軸X34上に設定される。従来の旋回中心Coから、破線ハッチングの旋回中心設定領域に旋回中心Cを移動する操作は「アッカーマン理論の拡張」を意味する。そこで、本実施形態の旋回中心設定領域を「拡張領域」ともいう。
図8に示すように、左旋回の場合の拡張領域は車両左側に定義される。一方、右旋回の場合の拡張領域は車両右側に定義される。狭路クランク走行の前半には、旋回内側に相当する車両左側の拡張領域に旋回中心Cが設定される。狭路クランク走行の後半には、旋回内側に相当する車両右側の拡張領域に旋回中心Cが設定される。
図8に示す例では、拡張領域のうち重心軸X0上に旋回中心Cが設定される。この場合、左前輪91と左後輪93、右前輪92と右後輪94は、それぞれ同一円弧上を旋回するため、内輪差Δi及び外輪差Δoがゼロになる。一方、重心軸X0上以外に旋回中心Cが設定された場合、内輪差Δi及び外輪差Δoは任意の値に設定可能である。
[2]非進行旋回モード
図9~図12を参照する。非進行旋回モードの車両動作例として、図9に超信地旋回、図11に信地旋回を示す。超信地旋回の場合、車両100は、停止状態からその場で旋回する。例えば前方が行き止まりのとき、超信地旋回により180°旋回し、バック走行することなく引き返すことが可能である。信地旋回の場合、車両100は、停止状態から一つの車輪を支点として他の車輪を駆動させ、転向する。例えば前方正面に障害物があるとき、信地旋回旋回により斜め方向に転向して前進することが可能である。
図10、図12に非進行旋回モードでの旋回中心設定領域(拡張領域)を示す。車両動作決定部65が非進行旋回モードを指令した場合、旋回中心座標決定部66は、車両内部に一つの旋回中心Cの座標を決定する。非進行旋回モードの旋回半径Rはトレッド幅Dの(1/2)未満となる。すなわち、「R<(D/2)」の関係が成り立つ。進行旋回モードと同様に、転舵角算出部671-674は、アッカーマン理論に基づき、各車輪91-94の転舵方向が旋回中心Cと各車輪91-94の中心とを結ぶ直線N1-N4に直交するように各車輪91-94の転舵角を算出する。
図10に示すように、超信地旋回の場合、旋回中心Cは車両重心Gに一致し、旋回半径Rは「R=0」となる。四つの車輪91-94は、同一の円上を旋回する。
図12に示すように、信地旋回の場合、旋回中心Cは、いずれかの車輪の中心に一致する。例えば左後輪93を旋回中心Cに設定した場合、左前輪91の転舵方向は、左前後輪軸Y13上の直線N1に直交するため、真横を向く。すなわち転舵角が90°となる。右後輪94の転舵方向は、後輪軸X34上の直線N4に直交するため、正面を向く。すなわち転舵角が0°となる。
[3A]前進からの横移動モード
図13~図15を参照する。図13に、前進からの横移動モードの車両動作例を示す。道路左側に駐車している他車両201と他車両202との間のスペースに自車両100が縦列駐車する状況を想定する。前進してきた自車両100は、進行方向に真っ直ぐ向いたまま、<I>斜め移動し、さらに<II>真横移動して目標位置に到達する。
図14、図15に前進からの横移動モードでの旋回中心設定領域(拡張領域)を示す。横移動モードでは、四つの車輪91-94の車輪幅中心線S1-S4に直交する直線が一点で交わるように旋回中心Cを設定することができない。つまり、横移動モードは、従来の非独立転舵車両109の旋回の概念を超えた車両動作であり、一つの旋回中心Coを前提とする転舵理論に対して更なる理論の拡張が必要となる。
そこで、車両動作決定部65が前進からの横移動モードを指令した場合、旋回中心座標決定部66は、後輪軸X34よりも後方において車両100の左右方向に離れた二つの旋回中心C1、C2の座標を決定する。第1旋回中心C1は旋回内側の前後輪91、93に対する旋回中心である。第2旋回中心C2は旋回外側の前後輪92、94に対する旋回中心である。従来の旋回中心Coと単純に比較する意味がないため、図14、図15には、従来の旋回中心Co、及び、本実施形態の旋回中心Cへの破線矢印の図示を省略する。
図14に示すように、前進からの斜め移動時、第1、第2旋回中心C1、C2は、車両100の左後方に設定される。車両100が左斜め前方に移動するに従って、第1、第2旋回中心C1、C2は、車両100の真後に近づく。また、各車輪91-94の転舵角は徐々に90°に近づく。車両100は斜め移動しながら目標位置に漸近する。
図15に示すように、各車輪91-94の転舵角が90°に達すると、真横移動に移行する。旋回中心座標決定部66は、旋回内側の前後輪軸Y13上に第1旋回中心C1の座標を決定し、旋回外側の前後輪軸Y24上に第2旋回中心C2の座標を決定する。左前輪91及び左後輪93の車輪幅中心線S1、S3は、左前後輪軸Y13上の直線N1、N3に直交する。右前輪92及び右後輪94の車輪幅中心線S2、S4は、右前後輪軸Y24上の直線N2、N4に直交する。車両100は真横に移動して目標位置に到達する。
[3B]後進からの横移動モード
図16~図18を参照する。図16~図18は前進からの横移動モードに係る図13~図15を前後反転させたものであるため、基本的に上述の説明に準ずる。図16に、後進からの横移動モードの車両動作例を示す。後進してきた自車両100は、進行方向に真っ直ぐ向いたまま、<I>斜め移動し、さらに<II>真横移動して目標位置に到達する。
図17、図18に後進からの横移動モードでの旋回中心設定領域(拡張領域)を示す。車両動作決定部65が後進からの横移動モードを指令した場合、旋回中心座標決定部66は、前輪軸X12よりも前方において車両100の左右方向に離れた二つの旋回中心C1、C2の座標を決定する。第1旋回中心C1は旋回内側の前後輪91、93に対する旋回中心である。第2旋回中心C2は旋回外側の前後輪92、94に対する旋回中心である。
図17に示すように、後進からの斜め移動時、第1、第2旋回中心C1、C2は、車両100の左前方に設定される。車両100が左斜め後方に移動するに従って、第1、第2旋回中心C1、C2は、車両100の真前に近づく。また、各車輪91-94の転舵角は徐々に-90°に近づく。
図18に示すように、各車輪91-94の転舵角が-90°に達すると、真横移動に移行する。旋回中心座標決定部66は、旋回内側の前後輪軸Y13上に第1旋回中心C1の座標を決定し、旋回外側の前後輪軸Y24上に第2旋回中心C2の座標を決定する。
[3C]停止からの横移動モード
図19に、停止からの横移動モードの車両動作例を示す。[3A]、[3B]と同じ縦列駐車の状況において、駐車スペースの真横位置まで前進又は後進して一旦停止した後、全車輪91-94の転舵角を±90°にして真横に移動する状況を想定する。この車両動作は、[3A]、[3B]の<I>斜め移動の段階が無く、<II>真横移動だけが行われることに等しい。したがって、図15及び図18に参照される真横移動時と同様に、旋回中心座標決定部66は、旋回内側の前後輪軸Y13上に第1旋回中心C1の座標を決定し、旋回外側の前後輪軸Y24上に第2旋回中心C2の座標を決定する。
図20は、各車両動作モードでの旋回中心設定領域(拡張領域)をまとめた図である。図4を参照して上述した通り、従来の旋回中心Coは、後輪軸X34上における限界位置の外側のみに設定可能である。そのため、アッカーマンジオメトリのメリットが活かされる車両動作の範囲が限定される。
それに対し本実施形態では、旋回内側かつ前輪軸X12と後輪軸X34との間の車両外部の領域が進行旋回モードでの拡張領域[1]となる。また、車両内部の領域が非進行旋回モードでの拡張領域[2]となる。さらに、後輪軸X34よりも後方の領域が前進又は停止からの横移動モードでの拡張領域[3A・3C]となり、前輪軸X12よりも前方の領域が後進又は停止からの横移動モードでの拡張領域[3B・3C]となる。したがって、実現したい車両動作に応じて旋回中心Cを設定可能な自由度が高くなる。
図21のフローチャートを参照し、車両動作決定部65による車両動作モード切替処理について説明する。車両動作決定部65は、現在の車両状態に応じて、進行旋回モード、非進行旋回モード、横移動モードの間で車両動作モードを適切に切替可能であるか否か判断し、切替可能な場合、切替許可フラグをオンする。車両動作モードが切り替えられると、旋回中心座標決定部66は、新たな拡張領域において旋回中心の座標を決定する。
一方、車両動作決定部65が車両動作モードを適切に切替可能でないと判断した場合、切替許可フラグがオンされず、現在の車両動作モードが維持される。旋回中心座標決定部66は、現在の拡張領域の中で旋回中心の座標を自由に動かすことが可能である。以下のフローチャートの説明で記号「S」はステップを意味する。
S1で車両動作決定部65は、現在の車速、及び、各車輪91-94の実転舵角を取得する。また車両動作決定部65は、四輪の実転舵角のうち例えば平均値、又は、絶対値が最大の値を評価値として算出する。
S2では、車速が車速閾値(例えば数km/hr)より小さいか判断される。極低速時又は停止時にはS2でYESと判断され、S3に移行する。S3では、車速が0、すなわち停止しているか判断される。停止時にはS3でYESと判断され、S5に移行する。低速(数km/hr以上)~中高速時にはS2でNOと判断される。
停止しておらず動いているとき、S3でNOと判断され、S4で実転舵角の絶対値が転舵角閾値より小さいか判断される。例えば直進から旋回動作を開始するとき、S4でYESと判断され、S6に移行する。旋回動作から直進に戻るとき、車輪が真っ直ぐの位置に戻っていなければS4でNOと判断される。
S5で車両動作決定部65は、[1]進行旋回モード、[2]非進行旋回モード、[3C]停止からの横移動モード、への切替許可フラグをオンする。これにより旋回中心座標決定部66は、拡張領域[1]、[2]、[3C]に旋回中心Cの座標を決定することが可能となる。
S6で車両動作決定部65は、[1]進行旋回モード、[3A]前進からの横移動モード、[3B]後進からの横移動モード、への切替許可フラグをオンする。これにより旋回中心座標決定部66は、拡張領域[1]、[3A]、[3B]に旋回中心Cの座標を決定することが可能となる。
S2又はS4でNOの場合、切替許可フラグがオンされずにS1の前に戻ってルーチンが繰り返される。つまり、停止するか、又は、極低速かつ略直進状態となるまで、現在の車両動作モードが維持される。
次に図22を参照し、旋回中心座標決定部66による旋回中心Cの座標の決定について説明する。座標の原点をどこに設定するかについては複数の考え方がある。例えば旋回中心Cを原点に設定してもよいが、旋回中心Cから見た各車輪91-94の座標が時々刻々変化するため、常に転舵角を補正する必要があり、膨大な計算量が必要となる。
そこで好ましくは、旋回中心座標決定部66は、車両100の重心Gを原点として旋回中心Cの座標を決定する。重心Gから見た各車輪91-94の座標は、トレッド幅及びホイールベースを用いて定義される。旋回中心Cの座標を変数として設定することで、各車輪91-94の転舵角をシンプルな算出式で記述できる。また、全ての拡張領域で使用可能である。
図22に示すように、車両重心Gを原点(0,0)とし、重心軸X0をx軸、車両前後軸Y0をy軸とするxy座標を定義する。x軸について重心Gの右方を正、左方を負とし、y軸について重心Gの前方を正、後方を負とする。旋回中心Cの座標を(X,Y)と表す。左旋回の場合、「X<0」であり、右旋回の場合、「X>0」である。
前輪91、92のトレッド幅をDf、後輪93、94のトレッド幅をDrと表す。また、ホイールベースLのうち、重心軸X0から前輪軸X12までの距離を前輪軸距離Lf、重心軸X0から後輪軸X34までの距離を後輪軸距離Lrと定義する。Df、Dr、Lf、Lrの値は車両特性として記憶されている。
転舵角算出部671-674は、各車輪91-94の転舵方向が旋回中心Cと各車輪91-94の中心とを結ぶ直線N1-N4に直交するように、式(0.1)-(0.4)により、各車輪91-94の転舵角δFL、δFR、δRL、δRRのタンジェント値を算出する。転舵角は、中立位置から反時計回り方向を正、中立位置から時計回り方向を負として表される。図22中の下付文字「FL、FR、RL、RR」を明細書中では通常文字で記載する。
tanδFL=(Y-Lf)/{X+(Df/2)}・・・(0.1)
tanδFR=(Y-Lf)/{X-(Df/2)}・・・(0.2)
tanδRL=(Y+Lr)/{X+(Dr/2)}・・・(0.3)
tanδRR=(Y+Lr)/{X-(Dr/2)}・・・(0.4)
[旋回内側前後輪の転舵角に基づく旋回中心座標の決定]
上述した第1実施形態の車両動作指令装置601の基本的な構成では、旋回中心座標決定部66により決定された旋回中心Cの座標に基づいて、転舵角算出部671-674が各車輪91-94の転舵角δFL、δFR、δRL、δRRの指令値を算出する。全ての車輪91-94が±90°の範囲にわたって転舵可能な場合、旋回中心Cの座標は制約なく決定可能である。
しかし、独立転舵車両の転舵モジュールは、車両の用途等に応じて様々な形態のものが使用され、転舵モジュールの構造によっては最大転舵角が90°未満となる場合がある。以下の明細書中で「最大転舵角」とは、符号に関わらず、絶対値が最大となる転舵角をいう。例えば「最大転舵角90°」とは、右方向への転舵角-90°から左方向への転舵角90°までの範囲を転舵可能であることを意味する。
例えば車輪の内側に転舵モータが付設された集約式構造の転舵モジュールは、最大転舵角が45°程度の「小転舵モジュール」である。ラックバー式の転舵モジュールは、最大転舵角が70°程度の「中転舵モジュール」である。図2に示すように、車輪の上方に設けられた転舵モータの回転がアームを介して車輪に伝達されるアーム式の転舵モジュールは最大転舵角が90°以上の「大転舵モジュール」である。
小転舵モジュールや中転舵モジュールの車両に車両動作指令装置601の基本的な構成を適用した場合、車両動作モードに基づいて旋回中心Cの座標を決定してから各車輪の転舵角指令値を算出しても、その転舵角が機械的に実現不可能な場合があり得る。或いは、機械的な最大転舵角以下の範囲でも、その時点での転舵アクチュエータの異常や電流制限等により一時的に最大転舵角が制限されることも想定される。そして、特にアッカーマンジオメトリに従った旋回時において車両動作の限界を決めるネックとなるのは、旋回内側車輪の最大転舵角である。
転舵角指令値を算出した結果、実現不可の場合に旋回中心Cの座標を再度決定し直すという制御構成も考えられる。しかし、旋回内側車輪が実現可能な転舵角が予め決まっている場合、旋回中心座標決定部66は、旋回内側車輪の転舵角に基づいて旋回中心Cの座標を決定する方が効率がよい。なお、旋回中心座標決定部66が旋回中心Cの座標を決定した後、旋回外側車輪の転舵角については、基本構成の通り、転舵角算出部671-674が転舵角指令値を算出する。
そこで、次に図23、図24を参照し、好ましい実施形態により旋回中心Cの座標を決定する制御構成について説明する。図23は左旋回時、図24は右旋回時における旋回中心Cの座標の算出を説明する図である。この制御構成は、二つの前輪91、92と二つの後輪93、94とを含む四輪車両100に適用され、四輪車両100がアッカーマンジオメトリに従った旋回動作をすることを前提とする。
各前輪91、92及び各後輪のうち旋回中心Cに近い側の車輪を「旋回内側前輪」及び「旋回内側後輪」と定義する。図23に太線枠で示すように、左旋回では左前輪91及び左後輪93が旋回内側前後輪となる。図24に太線枠で示すように、右旋回では右前輪92及び右後輪94が旋回内側前後輪となる。旋回内側前輪の転舵角をδFI、旋回内側後輪の転舵角をδRIと表す。図23、図24中の下付文字「FI、RI」を明細書中では通常文字で記載する。
旋回中心座標決定部66による旋回中心Cの座標の決定以前に旋回内側前輪の転舵角δFI及び旋回内側後輪の転舵角δRIが決定されているとする。その場合、旋回中心座標決定部66は、旋回内側前輪の転舵角δFI、旋回内側後輪の転舵角δRI、前輪軸距離Lf、後輪軸距離Lr、前輪のトレッド幅Df及び後輪のトレッド幅Drに基づいて、車両の旋回中心Cの座標を決定する。
旋回中心座標決定部66は、図22と同様のxy座標を用い、図22と同様に転舵角の正負を定義する。また、旋回内側前輪の転舵角δFI及び旋回内側後輪の転舵角δRIについて、「δFI≠δRI、-90°<δFI<90°、-90°<δRI<90°」の関係が成り立つことを前提とする。この前提は、以下の式(1)-(4)において分母が0となることやタンジェント値が無限大に発散することを避けるために必要となる。
各車両動作モードにおける実施例について後述するが、以下の数式は、進行旋回モード及び非進行旋回モードにおける旋回中心Cの座標、並びに、横移動モードにおける旋回内側前輪及び旋回内側後輪に対する第1旋回中心C1の座標の算出に共通に適用される。
左旋回時の旋回中心C又は第1旋回中心C1の座標(XL,YL)は、以下の式(1)、(2)により算出される。図23中のXL、YLの下付文字「L」を明細書中では通常文字で記載する。
右旋回時の旋回中心C又は第1旋回中心C1の座標(XR,YR)は、以下の式(3)、(4)により算出される。図24中のXR、YRの下付文字「R」を明細書中では通常文字で記載する。
式(1)は、図22の式(0.1)、(0.3)からYを消去して得られる。式(1)を式(0.1)に代入して整理すると式(2)が得られる。式(3)は、図22の式(0.2)、(0.4)からYを消去して得られる。式(3)を式(0.2)に代入して整理すると式(4)が得られる。
ここで、上記の式(1)-(4)は、図22~図24に用いられる重心Gを原点とするxy座標や転舵角の正負の定義を前提として得られた式である。この式に限らず、別の座標や転舵角の正負の定義を前提とし、旋回内側前後輪の転舵角δFI、δRI、前輪軸距離Lf、後輪軸距離Lr、前輪のトレッド幅Df及び後輪のトレッド幅Drをパラメータとする式により、旋回中心C又は第1旋回中心C1の座標を算出してもよい。
図25~図35(図30を除く)を参照し、各車両動作モードにおいて旋回内側前後輪の転舵角δFI、δRIに基づいて旋回中心Cの座標を決定する実施例を示す。これらの実施例は左旋回の場合であり、式(1)、(2)により旋回中心Cの座標(XL、YL)が算出される。左旋回では、「XL<0」となる。
計算を単純にするため、車両100の前輪トレッド幅Dfと後輪トレッド幅Drとが等しいものとし、図32以外では前輪及び後輪軸のトレッド幅D(=Df=Dr)を1とする。また、前輪軸距離Lf及び後輪軸距離Lrを0.5とする。すなわち、ホイールベースL(=Lf+Lr)が1であり、重心Gを中心として四つの車輪91-94の中心が正方形の頂点に配置されているものとする。「1」や「0.5」は長さ(メートル)次元の単位長さを示す値である。例えば「1」が1.5mとか2mとかの長さに相当する。
車両100が備える転舵モジュール81-84として、[a]小転舵モジュール(最大転舵角45°相当)、[b]中転舵モジュール(最大転舵角70°相当)、[c]大転舵モジュール(最大転舵角90°以上相当)、の3パターンを想定する。ただし大転舵モジュールについて、以下の実施例では最大転舵角が90°未満の範囲で扱うものとする。例えば「90°未満」とは、現実的な最小分解能に応じて、89.5°以下に相当する場合もあり、89.9°以下に相当する場合もある。この実施例では、1°単位で「90°未満」を「89°以下」として扱う。
[1]進行旋回モード
図25~図28を参照する。図25~図27に示す実施例1~3は小転舵モジュールを想定したものである。図25に示す実施例1では、旋回内側前輪91の転舵角δFIが45°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが-45°に決定されており、旋回中心Cの座標は、XL=-1.0、YL=0と算出される。前後輪逆位相、すなわち、旋回内側前輪91の転舵角δFIと旋回内側後輪93の転舵角δRIとが符号が逆で絶対値が等しい(-δFI=δRI)場合、旋回中心Cの座標は重心軸X0上に設定される。
図26に示す実施例2では、旋回内側前輪91の転舵角δFIが45°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが0°に決定されており、旋回中心Cの座標は、XL=-1.5、YL=-0.5と算出される。つまり、後輪93を真っ直ぐ向けたまま前輪91のみを転舵する場合、旋回中心Cの座標は後輪軸X34上に設定される。この実施例は、四輪独立転舵車両に限らず、左右前輪91、92のみが独立転舵する車両にも適用可能である。
図27に示す実施例3では、旋回内側前輪91の転舵角δFIが0°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが-45°に決定されており、旋回中心Cの座標は、XL=-1.5、YL=0.5と算出される。つまり、前輪91を真っ直ぐ向けたまま後輪93のみを転舵する場合、旋回中心Cの座標は前輪軸X12上に設定される。この実施例は、四輪独立転舵車両に限らず、左右後輪93、94のみが独立転舵する車両にも適用可能である。
図28に、中転舵モジュールを想定した前後輪逆位相での実施例4を示す。旋回内側前輪91の転舵角δFIが70°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが-70°に決定されている場合、旋回中心Cの座標は、XL≒-0.68、YL=0と算出される。以下、計算値の端数は有効数字2桁で表す。さらに大転舵モジュールでの前後輪逆位相の場合、前輪転舵角δFIが90°、後輪転舵角δRIが-90°に近づくにつれ、旋回中心Cの座標は、重心軸X0上で「XL=-0.5」、つまり左前後輪軸Y13上の点に漸近する。
[2]非進行旋回モード
図29~図32を参照する。上述の通り、非進行旋回モードでは、各前輪91、92及び各後輪93、94のうち旋回中心Cに近い側の車輪が旋回内側前輪及び旋回内側後輪と定義される。「XL<0」であり、旋回中心Cの座標が車両前後軸Y0よりも左側にある場合、左方向への信地旋回が可能となる。言い換えれば、算出されたXLが0又は正の値であるとき、その車両仕様で旋回内側前後輪の転舵角δFI、δRIがその値では、非進行旋回モードが実現不可能であると判断される。
図29に示す実施例1は中転舵モジュールを想定したものである。旋回内側前輪91の転舵角δFIが-70°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが70°に決定されており、旋回中心Cの座標は、XL≒-0.32、YL=0と算出される。前後輪逆位相(δFI=-δRI)の場合、旋回中心Cの座標は重心軸X0上において、左前後輪軸Y13と車両前後軸Y0との間(-0.5<XL<0)に設定される。
図30は、旋回内側前輪91の転舵角δFIが-45°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが45°の小転舵モジュールにおいて、旋回中心Cが重心Gに一致する超信地旋回を示す参考図である。旋回中心Cが重心Gに一致したとき、旋回中心Cから左前後輪91、93までの距離と右前後輪92、94までの距離とが等しく、左旋回及び右旋回とがいずれも可能な特別の状況となる。このとき「旋回内側前後輪」が定義されないため、旋回中心座標決定部66は式(1)~(4)を適用せず、特別なケースとして旋回中心Cの座標を決定する。
それに対し、図31に示す実施例2は、小転舵モジュールに対して旋回内側前輪91の最大転舵角を50°まで拡張した改変転舵モジュールの使用を想定する。旋回内側前輪91の転舵角δFIが-50°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが45°のとき、旋回中心Cの座標は重心Gよりわずかに左後輪93側に寄る。そのため、左前後輪91、93が「旋回内側前後輪」として定義され、式(1)、(2)を用いて、旋回中心Cの座標は、XL≒-0.044、YL≒-0.044と算出される。このとき、超信地旋回に近い信地旋回が実現される。
また、図32に示す実施例3では、この例のみトレッド幅D(=Df=Dr)が1.5に設定されている。このようにトレッド幅DがホイールベースLより長いロングトレッド車両では、旋回内側前輪91の転舵角δFIが-45°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが45°のとき、旋回中心Cの座標は重心Gより左側に寄る。そのため、左前後輪91、93が「旋回内側前後輪」として定義され、式(1)、(2)を用いて、旋回中心Cの座標は、XL=-0.25、YL=0と算出される。このときも超信地旋回に近い信地旋回が実現される。
[3]横移動モード
図33~図35を参照する。各車輪91-94の転舵角が90°となる真横移動(図15)を除外し、前進からの斜め移動(図14、図17)を対象とする。斜め移動における旋回内側前輪91の転舵角δFIと旋回内側後輪軸93の転舵角δRIとは1°の差があるものとする。前進からの左方向への斜め移動の場合、「δFI>1、δRI=δFI-1>0」が条件となる。なお、後進からの左方向への斜め移動の場合、「δFI=δRI+1<0、δRI<-1」が条件となる。
横移動モードでは左右方向に離れた二つの旋回中心C1、C2が存在するが、左旋回の場合、旋回内側の左前後輪91、93に対する第1旋回中心C1の座標が式(1)、(2)を用いて算出される。計算値の端数は有効数字2桁で表す。旋回外側の右前後輪92、94に対する第2旋回中心C2は、第1旋回中心C1をトレッド幅Dだけ右にオフセットして算出される。なお、右旋回の場合、旋回内側の右前後輪92、94に対する第1旋回中心C1の座標が式(3)、(4)を用いて算出され、旋回外側の左前後輪91、93に対する第2旋回中心C2は、第1旋回中心C1をトレッド幅Dだけ左にオフセットして算出される。
図33に示す実施例1は小転舵モジュールを想定したものである。旋回内側前輪91の転舵角δFIが45°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが44°に決定されており、旋回中心Cの座標は、XL≒-30、YL≒-29と算出される。つまり、旋回中心Cは車両100からかなり遠方に設定される。旋回内側前輪91の転舵角δFIと旋回内側後輪93の転舵角δRIとの差が大きくなるほど、旋回中心Cは車両100に近づく。
図34に示す実施例2は中転舵モジュールを想定したものである。旋回内側前輪91の転舵角δFIが70°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが69°に決定されており、旋回中心Cの座標は、XL≒-7.5、YL≒-19と算出される。
図35に示す実施例3は大転舵モジュールを想定したものである。旋回内側前輪91の転舵角δFIが89°、旋回内側後輪93の転舵角δRIが88°に決定されており、旋回中心Cの座標は、XL≒-0.54、YL≒-1.5と算出される。なお、旋回内側前輪91の転舵角δFIが90°に限りなく近づくと、XL=-0.5に漸近する。
以上のように、進行旋回モードにおける旋回中心Cの座標、非進行旋回モードにおける旋回中心Cの座標、及び、横移動モードにおける第1旋回中心C1の座標が、いずれも左旋回時の場合、式(1)、(2)により算出されることが検証された。同様に右旋回の場合、旋回中心C又は第1旋回中心C1の座標が式(3)、(4)により算出される。これにより、旋回内側前後輪の最大転舵角等に応じて旋回中心C又は第1旋回中心C1の座標を算出することができ、要求された車両動作モードの実行可否を予め判断することも可能となる。
(第2実施形態)
図36を参照し、第2実施形態の転舵装置802の構成について説明する。第2実施形態では、車両動作指令装置602の内部に一つの転舵角算出部67が配置された「機電別体式」の構成が採用される。転舵角算出部67は、旋回中心座標決定部66により決定された旋回中心の座標に基づいて全ての車輪91-94の転舵角指令値を一括して算出し、各転舵アクチュエータ71-74に通信する。転舵角算出部67が算出した転舵角指令値に従って各車輪の転舵アクチュエータ71-74が動作する。
第2実施形態の構成でも第1実施形態と同様の作用効果が得られる。また、一つの転舵角算出部67で各車輪の転舵角を効率的に算出可能である。
(その他の実施形態)
(a)本発明の転舵装置は、四輪車両に限らず、一つの前輪と二つの後輪、又は、二つの前輪と一つの後輪からなる三輪車両にも適用可能である。進行旋回モードの旋回中心設定範囲を決める前輪軸及び後輪軸は、一輪の回転軸を用いて同様に定義される。ただし、三輪車両での横移動モードでは、四輪車両とは異なり、各車輪に対応する三つの旋回中心が設定される。
また、車両の前後方向に三列以上の左右車輪対を有する六輪や八輪の独立転舵車両に対しても、本発明の転舵装置は同様に適用可能である。総括すると、本発明の転舵装置は、「一つ以上の前輪と一つ以上の後輪とを含む、互いに機械的に拘束されない三つ以上の車輪が独立して転舵可能な車両」に適用される。
(b)第1実施形態による機電一体式構成と第2実施形態による機電別体式構成とが併存してもよい。例えば、左右の前輪91、92については機電一体式構成であり、左右の後輪93、94については機電別体式構成であってもよい。或いは、一つの転舵アクチュエータに対し、一体式の転舵角算出部と別体式の転舵角算出部とが冗長的に設けられてもよい。
(c)車両動作決定部65は、車速及び各車輪の実転舵角に加えて、周辺の他車両や障害物の情報、路面の傾斜や摩擦係数の情報、風向風速等の情報を車両状態として取得し、それらの情報に基づいて車両動作を決定してもよい。例えば傾斜した路面や路面摩擦係数が小さい路面で転舵する場合、制動効果を考慮して、あえてアッカーマンジオメトリを採用せず、車輪を横滑りさせる車両動作を決定してもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
「前記車両動作決定部に入力される車両状態には、車速、及び、各車輪の実転舵角が含まれる請求項1に記載の転舵装置。」の発明は、記載要件が許容される場合、請求項1から直前請求項までのいずれか一項を引用するように特定されてもよい。
「前記旋回中心座標決定部は、車両の重心(G)を原点として旋回中心の座標を決定する請求項1に記載の転舵装置。」の発明は、記載要件が許容される場合、請求項1から直前請求項までのいずれか一項を引用するように特定されてもよい。
「各車輪に対応する前記転舵角算出部(671-674)と前記転舵アクチュエータとが一体に設けられており、車輪毎に前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って前記転舵アクチュエータが動作する請求項1に記載の転舵装置。」の発明、及び、「全ての車輪の転舵角指令値を算出する一つの前記転舵角算出部(67)を備え、前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪の前記転舵アクチュエータが動作する請求項1に記載の転舵装置。」の発明は、記載要件が許容される場合、互いの独立を保ちつつ、それぞれが請求項1からこれらの直前請求項までのいずれか一項を引用するように特定されてもよい。
本開示に記載の各制御部(車両動作決定部、旋回中心座標決定部、転舵角算出部)及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の各制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の各制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
65・・・車両動作決定部、
66・・・旋回中心座標決定部、
67、671-674・・・転舵角算出部、
71-74・・・転舵アクチュエータ、
801、802・・・転舵装置、
91-94・・・車輪、
100・・・(独立転舵)車両、
C(C1、C2)・・・旋回中心、 G・・・重心。

Claims (12)

  1. 一つ以上の前輪と一つ以上の後輪とを含む、互いに機械的に拘束されない三つ以上の車輪(91-94)が独立して転舵可能な車両(100)において、各車輪の転舵角を制御する転舵装置であって、
    車両が進みながら旋回する進行旋回モード、
    車両が進まずに旋回する非進行旋回モード、
    車両が前後軸に対し横方向に移動する横移動モード、
    を含む車両動作モードを車両状態に基づいて決定する車両動作決定部(65)と、
    前記車両動作決定部により決定された車両動作モードに基づいて車両の旋回中心(C)の座標を決定する旋回中心座標決定部(66)と、
    前記旋回中心座標決定部により決定された旋回中心の座標に基づいて各車輪の転舵角指令値を算出する一つ以上の転舵角算出部(67、671-674)と、
    各車輪に対応して設けられ、前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪を転舵させる複数の転舵アクチュエータ(71-74)と、
    を備え
    前輪の中心を通り車両前後軸(Y0)に直交する軸を前輪軸(X12)と定義し、後輪の中心を通り車両前後軸に直交する軸を後輪軸(X34)と定義すると、
    前記車両動作決定部が前記進行旋回モードを指令した場合、
    前記旋回中心座標決定部は、旋回内側かつ前記前輪軸と前記後輪軸との間の車両外部における全ての範囲内に一つの旋回中心の座標を決定する転舵装置。
  2. 一つ以上の前輪と一つ以上の後輪とを含む、互いに機械的に拘束されない三つ以上の車輪(91-94)が独立して転舵可能な車両(100)において、各車輪の転舵角を制御する転舵装置であって、
    車両が進みながら旋回する進行旋回モード、
    車両が進まずに旋回する非進行旋回モード、
    車両が前後軸に対し横方向に移動する横移動モード、
    を含む車両動作モードを車両状態に基づいて決定する車両動作決定部(65)と、
    前記車両動作決定部により決定された車両動作モードに基づいて車両の旋回中心(C)の座標を決定する旋回中心座標決定部(66)と、
    前記旋回中心座標決定部により決定された旋回中心の座標に基づいて各車輪の転舵角指令値を算出する一つ以上の転舵角算出部(67、671-674)と、
    各車輪に対応して設けられ、前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪を転舵させる複数の転舵アクチュエータ(71-74)と、
    を備え
    前記車両動作決定部が前記非進行旋回モードを指令した場合、
    前記旋回中心座標決定部は、車両内部における全ての範囲内に一つの旋回中心の座標を決定する転舵装置。
  3. 一つ以上の前輪と一つ以上の後輪とを含む、互いに機械的に拘束されない三つ以上の車輪(91-94)が独立して転舵可能な車両(100)において、各車輪の転舵角を制御する転舵装置であって、
    車両が進みながら旋回する進行旋回モード、
    車両が進まずに旋回する非進行旋回モード、
    車両が前後軸に対し横方向に移動する横移動モード、
    を含む車両動作モードを車両状態に基づいて決定する車両動作決定部(65)と、
    前記車両動作決定部により決定された車両動作モードに基づいて車両の旋回中心(C)の座標を決定する旋回中心座標決定部(66)と、
    前記旋回中心座標決定部により決定された旋回中心の座標に基づいて各車輪の転舵角指令値を算出する一つ以上の転舵角算出部(67、671-674)と、
    各車輪に対応して設けられ、前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪を転舵させる複数の転舵アクチュエータ(71-74)と、
    を備え
    後輪の中心を通り車両前後軸(Y0)に直交する軸を後輪軸(X34)と定義すると、
    前記車両動作決定部が前進からの前記横移動モードを指令した場合、
    前記旋回中心座標決定部は、前記後輪軸よりも後方において車両の左右方向に離れた二つの旋回中心の座標を決定する転舵装置。
  4. 一つ以上の前輪と一つ以上の後輪とを含む、互いに機械的に拘束されない三つ以上の車輪(91-94)が独立して転舵可能な車両(100)において、各車輪の転舵角を制御する転舵装置であって、
    車両が進みながら旋回する進行旋回モード、
    車両が進まずに旋回する非進行旋回モード、
    車両が前後軸に対し横方向に移動する横移動モード、
    を含む車両動作モードを車両状態に基づいて決定する車両動作決定部(65)と、
    前記車両動作決定部により決定された車両動作モードに基づいて車両の旋回中心(C)の座標を決定する旋回中心座標決定部(66)と、
    前記旋回中心座標決定部により決定された旋回中心の座標に基づいて各車輪の転舵角指令値を算出する一つ以上の転舵角算出部(67、671-674)と、
    各車輪に対応して設けられ、前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪を転舵させる複数の転舵アクチュエータ(71-74)と、
    を備え
    前輪の中心を通り車両前後軸(Y0)に直交する軸を前輪軸(X12)と定義すると、
    前記車両動作決定部が後進からの前記横移動モードを指令した場合、
    前記旋回中心座標決定部は、前記前輪軸よりも前方において車両の左右方向に離れた二つの旋回中心の座標を決定する転舵装置。
  5. 二つの前輪と二つの後輪とを含む四輪車両に適用され、
    前記旋回中心座標決定部は、前記二つの旋回中心の座標として、旋回内側の前後輪に対する第1旋回中心(C1)の座標と、旋回外側の前後輪に対する第2旋回中心(C2)の座標とを決定する請求項またはに記載の転舵装置。
  6. 車両左右方向の同じ側における前輪及び後輪の中心を通る軸を前後輪軸と定義すると、
    前記横移動モードにおいて真横移動する場合、
    前記旋回中心座標決定部は、
    旋回内側の前後輪軸上に前記第1旋回中心の座標を決定し、旋回外側の前後輪軸上に前記第2旋回中心の座標を決定する請求項に記載の転舵装置。
  7. 前記転舵角算出部は、各車輪の転舵方向が旋回中心と各車輪の中心とを結ぶ直線に直交するように各車輪の転舵角指令値を算出する請求項1~4のいずれか一項に記載の転舵装置。
  8. 前記旋回中心座標決定部は、車両の重心(G)を原点として旋回中心の座標を決定する請求項1~4のいずれか一項に記載の転舵装置。
  9. 二つの前輪と二つの後輪とを含む、互いに機械的に拘束されない四つの車輪(91-94)が独立して転舵可能な四輪車両(100)において、各車輪の転舵角を制御する転舵装置であって、
    車両が進みながら旋回する進行旋回モード、
    車両が進まずに旋回する非進行旋回モード、
    車両が前後軸に対し横方向に移動する横移動モード、
    を含む車両動作モードを車両状態に基づいて決定する車両動作決定部(65)と、
    前記車両動作決定部により決定された車両動作モードに基づいて車両の旋回中心(C)の座標を決定する旋回中心座標決定部(66)と、
    前記旋回中心座標決定部により決定された旋回中心の座標に基づいて、各車輪の転舵方向が旋回中心と各車輪の中心とを結ぶ直線に直交するように各車輪の転舵角指令値を算出する一つ以上の転舵角算出部(67、671-674)と、
    各車輪に対応して設けられ、前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪を転舵させる複数の転舵アクチュエータ(71-74)と、
    を備え
    前記非進行旋回モードを含め、各前輪及び各後輪のうち旋回中心に近い側の車輪を旋回内側前輪及び旋回内側後輪と定義し、
    車両の重心(G)を通り車両前後軸(Y0)に直交する軸を重心軸(X0)、前輪の中心を通り車両前後軸に直交する軸を前輪軸(X12)、後輪の中心を通り車両前後軸に直交する軸を後輪軸(X34)と定義し、
    前記重心軸から前記前輪軸までの距離を前輪軸距離(Lf)、前記重心軸から前記後輪軸までの距離を後輪軸距離(Lr)と定義すると、
    前記旋回中心座標決定部による旋回中心の座標の決定以前に前記旋回内側前輪の転舵角(δFI)及び前記旋回内側後輪の転舵角(δRI)が決定されている場合、
    前記旋回中心座標決定部は、
    車両の重心を原点とし、前記重心軸をx軸、前記車両前後軸をy軸とし、前記x軸について重心の右方を正、左方を負、前記y軸について重心の前方を正、後方を負とする座標を用い、
    前記旋回内側前輪及び前記旋回内側後輪の転舵角について中立位置から反時計回り方向を正、中立位置から時計回り方向を負とし、
    前記旋回内側前輪の転舵角をδFI、前記旋回内側後輪の転舵角をδRI、前記前輪軸距離をLf、前記後輪軸距離をLr、前輪のトレッド幅をDf、後輪のトレッド幅をDrと表すと、
    δFI≠δRI、-90°<δFI<90°、-90°<δRI<90°であり、
    前記進行旋回モード及び前記非進行旋回モードにおける旋回中心(C)の座標、並びに、前記横移動モードにおける前記旋回内側前輪及び前記旋回内側後輪に対する第1旋回中心(C1)の座標について、
    左旋回時の前記旋回中心又は前記第1旋回中心の座標(XL,YL)を以下の式(1)、(2)により算出し、
    右旋回時の前記旋回中心又は前記第1旋回中心の座標(XR,YR)を以下の式(3)、(4)により算出する転舵装置。
  10. 前記車両動作決定部に入力される車両状態には、車速、及び、各車輪の実転舵角が含まれる請求項1~4、9のいずれか一項に記載の転舵装置。
  11. 各車輪に対応する前記転舵角算出部(671-674)と前記転舵アクチュエータとが一体に設けられており、車輪毎に前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って前記転舵アクチュエータが動作する請求項1~4、9のいずれか一項に記載の転舵装置。
  12. 全ての車輪の転舵角指令値を算出する一つの前記転舵角算出部(67)を備え、
    前記転舵角算出部が算出した転舵角指令値に従って各車輪の前記転舵アクチュエータが動作する請求項1~4、9のいずれか一項に記載の転舵装置。
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