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JP7768464B2 - ヒ化ガリウム単結晶の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板、およびヒ化ガリウム単結晶 - Google Patents
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JP7768464B2 - ヒ化ガリウム単結晶の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板、およびヒ化ガリウム単結晶 - Google Patents

ヒ化ガリウム単結晶の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板、およびヒ化ガリウム単結晶

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Description

本開示は、ヒ化ガリウム単結晶の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法、ヒ化ガリウム単結晶基板、およびヒ化ガリウム単結晶に関する。
国際公開第2006/106644号(特許文献1)は、ヒ化ガリウム単結晶基板(以下、「GaAs単結晶基板」とも記す)に適用されるケイ素(Si)がドープされたヒ化ガリウム単結晶インゴット(以下、「GaAs単結晶インゴット」とも記す)を開示している。当該GaAs単結晶インゴットは、転位密度の平均値が50cm-2以下であり、固化率0.1の部分におけるキャリア濃度をC0.1とし、固化率0.8の部分におけるキャリア濃度をC0.8とした場合に、C0.8/C0.1<2.0の関係を満たす。さらに特許文献1は、上記GaAs単結晶インゴットのキャリア濃度が1.0×1017cm-3以上1.0×1019cm-3以下であることを開示している。国際公開第2021/251349号(特許文献2)は、転位密度の平均値が500cm-2以下であり、Siの原子濃度が2.0×1017cm-3以上1.5×1019cm-3以下であり、かつキャリア濃度が5.5×1017cm-3以下であるGaAs単結晶インゴットを開示している。
特開2011-148693号公報(特許文献3)および特開2011-148694号公報(特許文献4)は、いずれもSiがドープされたn型のGaAs単結晶基板を開示している。上記GaAs単結晶基板は、それぞれ転位密度の平均値が40~100cm-2および15~30cm-2であり、Siの原子濃度が5.0×1016cm-3以上5.0×1017cm-3以下、および5.0×1016cm-3以上5.0×1017cm-3以下である。特表2011-527280号公報(特許文献5)、および佐々辺ら、「半導体レーザの量産に適したVGF法 低転位密度GaAsウェーハ」、日立電線、第20号、2001年8月、pp.33-36(非特許文献1)は、主表面上に所定の大きさを有するマスを形成し、上記マス内に存する転位をカウントすることにより転位密度を求める測定方法について開示している。
国際公開第2006/106644号 国際公開第2021/251349号 特開2011-148693号公報 特開2011-148694号公報 特表2011-527280号公報
佐々辺ら、「半導体レーザの量産に適したVGF法 低転位密度GaAsウェーハ」、日立電線、第20号、2001年8月、pp.33-36
本開示に係るヒ化ガリウム単結晶の製造方法は、円柱形状を有するヒ化ガリウム単結晶の製造方法である。上記製造方法は、ヒ化ガリウム単結晶製造装置を用いて種結晶からヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程を含む。上記種結晶の成長側表面は、上記ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記ヒ化ガリウム単結晶製造装置は、一部が円筒形状を呈する坩堝と、上記坩堝を保持する坩堝保持台と、上記坩堝を加熱する発熱体とを備える。上記坩堝は、種結晶収容部と、上記種結晶収容部に接続される増径部と、上記増径部の上記種結晶収容部側と反対側において接続される直胴部とを含む。上記種結晶収容部は、上記増径部に接続される側に開口し、その反対側に底壁が形成された円筒状の空洞部を有する。上記増径部は、軸方向上向きに拡径する円錐台形状を有し、上記増径部の小径側において上記種結晶収容部に接続される。上記直胴部は、中空円筒状の形状を有し、上記増径部の大径側に接続される。上記坩堝保持台は、上記増径部を保持する。上記増径部は、上部領域と下部領域とからなる。上記上部領域は、上記坩堝保持台と離間し、上記下部領域は、上記坩堝保持台と接触している。
図1は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶の製造方法およびヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法の一例として示されるフローチャートである。 図2は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶の製造方法に関し、ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程に用いられるヒ化ガリウム単結晶製造装置を模式的に説明する縦断面図である。 図3は、図2の要部拡大図である。 図4は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶基板の主表面、および上記基板におけるキャリア濃度を測定するための被測定箇所(被測定領域)を説明する平面説明図である。 図5は、図4に示されるヒ化ガリウム単結晶基板の主表面における転位密度を求めるために、上記主表面上に1辺が2mmである正方形を互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めた仮想の格子を設定した様子を説明する説明図である。 図6は、図4に示されるヒ化ガリウム単結晶基板を用いて作製されたホール測定用サンプルを説明する説明図である。 図7は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶を模式的に説明する斜視図である。
[本開示が解決しようとする課題]
近年、上記特許文献1~5、および非特許文献1に開示されるように、結晶性の良いGaAs単結晶を製造し、当該GaAs単結晶から主表面の転位密度の平均値等が極めて小さいGaAs単結晶基板を得ることを目的とした研究開発が進められている。その理由は、上記基板から、半導体デバイスを歩留まり良く得ることができるからである。しかしながら上記特許文献1~5、および非特許文献1に開示された方法により、直径8インチ程度の大口径を有し、かつGaAs単結晶の(100)面から4°以上のオフ角を有する主表面を有するGaAs単結晶基板を得た場合、上記GaAs単結晶基板は、上記主表面の転位密度の平均値が大きくなり、半導体デバイスの歩留まりに悪影響が及ぶ傾向があった。したがって、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のGaAs単結晶基板は未だ実現されておらず、その開発が切望されている。
上記実情に鑑み、本開示は、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のヒ化ガリウム単結晶基板を得るためのヒ化ガリウム単結晶の製造方法を提供することを目的とする。さらに本開示は、上記ヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法、上記ヒ化ガリウム単結晶基板、および上記ヒ化ガリウム単結晶を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示によれば、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のヒ化ガリウム単結晶基板を得るためのヒ化ガリウム単結晶の製造方法が提供される。さらに、上記ヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法、上記ヒ化ガリウム単結晶基板、および上記ヒ化ガリウム単結晶が提供される。
[実施形態の概要]
最初に本開示の実施形態の概要が説明される。本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。本発明者は、坩堝内にて成長する結晶内部の熱分布がより均一となるようにヒ化ガリウム単結晶製造装置(以下、「GaAs単結晶製造装置」とも記す)の熱環境を制御しながら、結晶性の良いGaAs単結晶を製造することに注目した。具体的には、ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程に用いる上記GaAs単結晶製造装置において、上記増径部を上部領域と下部領域とに区分し、上記上部領域を上記坩堝保持台と離間させ、上記下部領域を上記坩堝保持台と接触させる構造とした。これにより上記工程における熱環境は、上記坩堝の内部から上記坩堝保持台の方向に向かう熱流束をq、上記上部領域をA1、上記下部領域をA2、上記上部領域を通過する上記熱流束の量をq(A1)、上記下部領域を通過する上記熱流束の量をq(A2)として表したとき、q(A1)<q(A2)の関係を満たすように制御された。その結果、本発明者は、成長時の結晶内部において熱ゆらぎの発生が抑制され、熱分布が均一となることにより、直径が8インチ程度となる大きな単結晶であっても結晶内部の熱歪みを極力小さくできることを知見した。もってGaAs単結晶を材料として、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のGaAs単結晶基板を製造する製造方法に到達した。併せて、上記GaAs単結晶基板を得るためのGaAs単結晶の製造方法にも到達し、本開示を完成させた。
次に、本開示の実施態様が列記されることにより説明される。
[1]本開示の一態様に係るヒ化ガリウム単結晶の製造方法は、円柱形状を有するヒ化ガリウム単結晶の製造方法である。上記製造方法は、ヒ化ガリウム単結晶製造装置を用いて種結晶からヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程を含む。上記種結晶の成長側表面は、上記ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記ヒ化ガリウム単結晶製造装置は、一部が円筒形状を呈する坩堝と、上記坩堝を保持する坩堝保持台と、上記坩堝を加熱する発熱体とを備える。上記坩堝は、種結晶収容部と、上記種結晶収容部に接続される増径部と、上記増径部の上記種結晶収容部側と反対側において接続される直胴部とを含む。上記種結晶収容部は、上記増径部に接続される側に開口し、その反対側に底壁が形成された円筒状の空洞部を有する。上記増径部は、軸方向上向きに拡径する円錐台形状を有し、上記増径部の小径側において上記種結晶収容部に接続される。上記直胴部は、中空円筒状の形状を有し、上記増径部の大径側に接続される。上記坩堝保持台は、上記増径部を保持する。上記増径部は、上部領域と下部領域とからなる。上記上部領域は、上記坩堝保持台と離間し、上記下部領域は、上記坩堝保持台と接触している。
このような特徴を備えるヒ化ガリウム単結晶の製造方法により、結晶内部の熱歪みが極めて小さいヒ化ガリウム単結晶が得られる。これにより上記製造方法により得られるヒ化ガリウム単結晶は、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のヒ化ガリウム単結晶基板を作製するための材料として提供される。
[2]上記増径部は、上記上部領域の表面積をS(A1)、上記下部領域の表面積をS(A2)としたとき、下記式Iを満たすことが好ましい。
0.2≦S(A2)/(S(A1)+S(A2))≦0.6 式I
この場合、上述した特徴を有するヒ化ガリウム単結晶が容易に得られる。
[3]上記上部領域は、上記ヒ化ガリウム単結晶の成長方向に対して垂直な方向において、上記坩堝保持台と対向していることが好ましい。この場合、上述した特徴を有するヒ化ガリウム単結晶が容易に得られる。
[4]上記坩堝保持台は、単一の材料からなることが好ましい。この場合、上述した特徴を有するヒ化ガリウム単結晶がより容易に得られる。
[5]上記材料は、石英からなることが好ましい。この場合、上述した特徴を有するヒ化ガリウム単結晶がより容易に得られる。
[6]上記材料は、不透明であることが好ましい。この場合、上述した特徴を有するヒ化ガリウム単結晶がより容易に得られる。
[7]本開示の一態様に係るヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法は、円形状の主表面を有するヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法である。上記製造方法は、上記ヒ化ガリウム単結晶の製造方法により得られた上記ヒ化ガリウム単結晶を円盤状に切断し、かつ加工することによってヒ化ガリウム単結晶基板を得る工程を備える。このような特徴を備えるヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法により、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のヒ化ガリウム単結晶基板が得られる。これにより上記主表面上に半導体層が形成された場合であっても、上記ヒ化ガリウム単結晶基板から半導体デバイスが歩留まり良く得られる。
[8]本開示の一態様に係るヒ化ガリウム単結晶基板は、円形状の主表面を有するヒ化ガリウム単結晶基板である。上記ヒ化ガリウム単結晶基板の直径は、200mm以上210mm以下である。上記主表面は、ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向である。上記主表面の転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下である。上記主表面上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、上記格子を構成する上記正方形の総数に対する、上記正方形内に転位が存在しない上記正方形の数の比率は、98.04%以上である。上記ヒ化ガリウム単結晶基板は、ケイ素を含む。上記ケイ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下である。上記ヒ化ガリウム単結晶基板のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である。このような特徴を備えるヒ化ガリウム単結晶基板は、大口径を有し、かつ比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さい。これにより上記主表面上に半導体層が形成された場合であっても、上記ヒ化ガリウム単結晶基板から半導体デバイスが歩留まり良く得られる。
[9]上記ヒ化ガリウム単結晶基板は、ホウ素を含むことが好ましい。上記ホウ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下であることが好ましい。この場合、上記ヒ化ガリウム単結晶基板がより低転位となる。
[10]本開示の一態様に係るヒ化ガリウム単結晶は、円柱形状を有するヒ化ガリウム単結晶である。上記ヒ化ガリウム単結晶の表面を形成する円形面の直径は、200mm以上210mm以下である。上記円形面は、上記ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向である。上記円形面における転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下である。上記円形面上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、上記格子を構成する上記正方形の総数に対する、上記正方形内に転位が存在しない上記正方形の数の比率は、98.04%以上である。上記ヒ化ガリウム単結晶は、ケイ素を含む。上記ケイ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下である。上記ヒ化ガリウム単結晶のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である。このような特徴を備えるヒ化ガリウム単結晶は、結晶内部の熱歪みが極めて小さい。これにより上記ヒ化ガリウム単結晶は、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のヒ化ガリウム単結晶基板を作製するための材料として提供される。
[11]上記円柱形状の軸方向の長さは、40mm以上110mm以下であることが好ましい。この場合、上述したような特徴を有するヒ化ガリウム単結晶基板が多数提供される。
[12]および[13]上記ヒ化ガリウム単結晶の一方端のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上1.5×1018cm-3以下である。上記ヒ化ガリウム単結晶の他方端のキャリア濃度は、1.5×1018cm-3以上3.5×1018cm-3以下である。この場合、上述したような特徴を有するヒ化ガリウム単結晶基板が多数提供される。
[実施形態の詳細]
以下、本開示に係る一実施形態(以下、「本実施形態」とも記す)がさらに詳細に説明されるが、本開示はこれらに限定されるものではない。以下では図面が参照されながら説明される場合があるが、本明細書および図面において同一または対応する要素に同一の符号が付されるものとし、それらについて同じ説明は繰り返されない。また図面は、各構成要素を理解しやすくするために縮尺を適宜調整して示されており、図面に示される各構成要素の縮尺と実際の構成要素の縮尺とは必ずしも一致しない。
本明細書において「A~B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。さらに、本明細書において化合物などを化学式で表す場合、上記化学式は、原子比を特に限定しないとき、公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるべきではない。
本明細書において「素子歩留」とは、ヒ化ガリウム単結晶基板の加工時に割れ、欠け等が発生することなく、上記基板から、上記基板に半導体層を形成したウェーハ(たとえばマイクロLED(Light Emitting Diode、micro LED:μLED)形成ウェーハ)を得ることができる割合を示す加工歩留と、上記ウェーハから得られたμLEDが、要求された所定の性能を満たすことができる割合を示す性能歩留とを掛け合わせた歩留を意味する。上記「素子歩留」は、百分率により示される。「加工歩留」は、ヒ化ガリウム単結晶基板に対し半導体層等を形成するためにエピタキシャル成長を行う工程からμLED形成ウェーハを形成する工程までの一連の工程において上記基板に割れ、欠け等が発生しない割合により表される。「性能歩留」は、上記ウェーハから得られたμLEDに対しバーンインによる加速劣化試験を行い、当該試験後の劣化度合いから良否を判定し、その良品割合により表される。上記基板に半導体層を形成したウェーハとしては、垂直共振器型面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)形成ウェーハも例示される。この場合、「加工歩留」は、ヒ化ガリウム単結晶基板に対し半導体層等を形成するためにエピタキシャル成長を行う工程からVCSEL形成ウェーハを形成する工程までの一連の工程において上記基板に割れ、欠け等が発生しない割合により表される。「性能歩留」は、上記ウェーハから得られたVCSELに対しバーンインによる加速劣化試験を行い、当該試験後の劣化度合いから良否を判定し、その良品割合により表される。
本明細書において、ヒ化ガリウム単結晶基板の「主表面」とは、上記基板における円形状の2つの面の両方を意味する。ヒ化ガリウム単結晶基板は、この2つの面の少なくともどちらかが本開示に係る請求の範囲を満たす場合、本発明の範囲に属する。上記ヒ化ガリウム単結晶基板の「主表面」には、エピタキシャル膜が配置される場合がある。また本明細書において「面内」という用語にて用いられる「面」とは、「主表面」を意味する。本明細書において、ヒ化ガリウム単結晶基板の直径が「8インチ」であると記す場合、上記直径は、200mm以上210mm以下の範囲内であることを意味する。上記直径は、ノギス等の公知の外径測定器を用いることにより測定される。
本明細書において、ヒ化ガリウム単結晶の「表面を形成する円形面」とは、円柱形状を有する上記単結晶の表面に含まれる2つの円形面の両方を意味する。ヒ化ガリウム単結晶は、この2つの円形面の少なくともどちらかが本開示に係る請求の範囲を満たす場合、本発明の範囲に属する。本明細書において、ヒ化ガリウム単結晶における「表面を形成する円形面」の直径が「8インチ」であると記す場合、上記直径は、200mm以上210mm以下の範囲内であることを意味する。ヒ化ガリウム単結晶の上記直径も、ノギス等の公知の外径測定器を用いることにより測定される。
本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位が[]、集合方位が<>、個別面が()、集合面が{}でそれぞれ示される。また結晶学上の指数が負であることは、通常、“-(バー)”を数字の上に付すことによって表現されるが、これを本明細書において表記する場合、数字の前に負の符号が付される。
〔ヒ化ガリウム単結晶の製造方法〕
本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶(GaAs単結晶)の製造方法は、円柱形状を有するヒ化ガリウム単結晶の製造方法である。上記製造方法は、ヒ化ガリウム単結晶製造装置(GaAs単結晶製造装置)を用いて種結晶からGaAs単結晶を成長させる工程を含む。上記種結晶の成長側表面は、上記ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記GaAs単結晶製造装置は、一部が円筒形状を呈する坩堝と、上記坩堝を保持する坩堝保持台と、上記坩堝を加熱する発熱体とを備える。上記坩堝は、種結晶収容部と、上記種結晶収容部に接続される増径部と、上記増径部の上記種結晶収容部側と反対側において接続される直胴部とを含む。上記種結晶収容部は、上記増径部に接続される側に開口し、その反対側に底壁が形成された円筒状の空洞部を有する。上記増径部は、軸方向上向きに拡径する円錐台形状を有し、上記増径部の小径側において上記種結晶収容部に接続される。上記直胴部は、中空円筒状の形状を有し、上記増径部の大径側に接続される。上記坩堝保持台は、上記増径部を保持する。上記増径部は、上部領域と下部領域とからなる。上記上部領域は、上記坩堝保持台と離間し、上記下部領域は、上記坩堝保持台と接触している。
上記製造方法は、具体的には、たとえば図1のフローチャートに示されるような工程を有することが好ましい。図1は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶の製造方法およびヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法の一例として示されるフローチャートである。図1によれば、上記GaAs単結晶の製造方法は、GaAs単結晶成長装置、種結晶および塊状のヒ化ガリウム(以下、「塊状GaAs」とも記す)を準備する工程S10(第1工程:準備工程)と、上記GaAs単結晶製造装置を用いて種結晶からGaAs単結晶を成長させる工程S20(第2工程:GaAs単結晶を得る工程)とを含む。さらに図1によれば、上記GaAs単結晶基板の製造方法は、上記GaAs単結晶の製造方法により得られたGaAs単結晶を円盤状に切断し、かつ加工することによってGaAs単結晶基板を得る工程S30(第3工程:GaAs単結晶基板を得る工程)を備えることが好ましい。
GaAs単結晶を得る工程S20は、種結晶収容部に種結晶を収容し、かつ増径部および直胴部にケイ素とともに塊状GaAsを収容する工程(原材料装入工程S21)と、発熱体で坩堝を加熱することにより、上記種結晶の一部および上記塊状GaAsをヒ化ガリウム融液(以下、「GaAs融液」とも記す)に溶融するとともに、GaAs融液を種結晶の残部と接触させる工程(原材料溶融工程S22)と、上記種結晶の残部上でGaAs融液からGaAs単結晶を成長させる工程(GaAs単結晶成長工程S23)とを含むことができる。
とりわけGaAs単結晶成長工程S23においては、上記坩堝の内部から上記坩堝保持台へ向かう方向の熱流束をq、上記上部領域をA1、上記下部領域をA2、上記上部領域を通過する上記熱流束の量をq(A1)、上記下部領域を通過する上記熱流束の量をq(A2)としたとき、q(A1)<q(A2)の関係を満たすようにGaAs単結晶成長装置の熱環境が制御される。つまりGaAs単結晶成長工程S23においては、上記上部領域を通過する上記熱流束の量(q(A1))よりも、上記下部領域を通過する上記熱流束の量(q(A2))が大きくなるように常に制御される。
本発明者は、上記課題を解決するため、GaAs単結晶基板の原料となるGaAs単結晶を成長させるGaAs単結晶成長装置の熱環境を制御することによって、q(A1)<q(A2)の関係を満たしながらGaAs単結晶を得る工程S20を実行することに注目した。具体的には、発熱体における熱出力の制御とともに、上記装置を構成する坩堝の増径部の構造、および上記坩堝を保持する坩堝保持台の構造等について検討を進めた。とりわけ増径部を、上部領域と下部領域とに区別し、上記上部領域を上記坩堝保持台と離間させ、上記下部領域を上記坩堝保持台と接触させる構造とすることを想到した。
さらに増径部に関し、これを構成する上部領域の表面積をS(A1)とし、かつ下部領域の表面積をS(A2)としたとき、下記式Iを満たす構造とすることを試行した。なお上部領域の表面積(S(A1))および下部領域の表面積(S(A2))とは、いずれも増径部における坩堝保持台側の表面の面積を意味する。
0.2≦S(A2)/(S(A1)+S(A2))≦0.6 式I
あるいは、上記増径部と上記坩堝保持台との関係について、上記上部領域を、GaAs単結晶の成長方向に対して垂直な方向において上記坩堝保持台と対向させることを試行した。これらの試行錯誤を通じ、坩堝の内部から上記坩堝保持台へ向かう方向の熱流束を、q(A1)<q(A2)を満たすように制御した結果、坩堝内にて成長するGaAs単結晶内部の熱分布を均一とすることができることを知見した。これにより、上記GaAs単結晶から得られるGaAs単結晶基板において、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値を極めて小さくすることが実現された。併せて、ケイ素のドーピングによる転位密度の減少効果が得られることにより、極めて低転位または無転位のGaAs単結晶基板が達成された。以上から、本発明者は、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のGaAs単結晶基板を得るためのGaAs単結晶の製造方法を完成させた。上記GaAs単結晶基板は、上記主表面上に半導体層が形成された場合であっても、半導体デバイスを歩留まり良く得ることができる。なお、上記増径部の構造としては、上部領域の表面積をS(A1)とし、かつ下部領域の表面積をS(A2)とした場合、0.1<S(A2)/(S(A1)+S(A2))<0.8の関係を満たす構造とすることが妥当である。
GaAs単結晶を得る工程S20において、上記q(A1)、およびq(A2)の関係が、q(A1)<q(A2)の関係を満たさず、q(A1)≧q(A2)等の関係となる場合、上記特許文献等に開示されるのと同様なGaAs単結晶が製造される恐れがある。この場合、GaAs直径8インチ程度の大口径を有し、かつGaAs単結晶の(100)面から4°以上のオフ角を有する主表面を有するGaAs単結晶基板を得ようとすると、上記主表面の転位密度の平均値が悪くなり、素子歩留に悪影響が及ぶ可能性がある。あるいは上記q(A1)、およびq(A2)の関係が、q(A1)<q(A2)の関係を満たさず、q(A1)≧q(A2)等の関係となる場合、単結晶として成長させることができない可能性もある。
ここで本発明者は、上記課題を解決するために検討を重ねる過程で、上記特許文献1~5、および非特許文献1に開示された方法によりGaAs単結晶を作製した場合、次のような懸念があることをさらに知見した。すなわち上記先行技術文献等に開示された方法により、直径200mm程度の大口径を有し、かつGaAs単結晶の(100)面から4°以上のオフ角を有する面からなる主表面を有するGaAs単結晶基板を得た場合、上記主表面の面内のキャリア濃度分布がバラつくことを知見した。上記キャリア濃度分布のバラつきによって、GaAs単結晶基板は、その加工時に割れ、欠け等が頻発することが懸念された。本発明者は本知見に基づき、上述したGaAs単結晶を得る工程S20を、GaAs単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する結晶面を表面に有する種結晶を用いて実行した。その結果、これにより作製されたGaAs単結晶からGaAs単結晶基板を得た場合、上記基板の主表面においてキャリア濃度分布は極めて均一であり、もって素子歩留に好ましい影響を与えることが示唆された。したがって、本開示に係るGaAs単結晶の製造方法より得られるGaAs単結晶は、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のヒ化ガリウム単結晶基板を得るための材料として提供される。
以下、図2および図3が参照されることにより、上記GaAs単結晶成長装置の概要および上記GaAs単結晶の製造方法に含まれる各工程が、それぞれ説明される。図2は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶の製造方法に関し、ヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程に用いられるヒ化ガリウム単結晶製造装置を模式的に説明する縦断面図である。図3は、図2の要部拡大図である。本実施形態に係るGaAs単結晶の製造方法は、円柱形状を有するGaAs単結晶の製造方法である。上記製造方法は、たとえば図2に示されるGaAs単結晶成長装置10を用いてGaAs単結晶を成長させる工程(GaAs単結晶を得る工程S20)を含む。GaAs単結晶成長装置10は、一部が円筒形状を呈する坩堝5と、坩堝5を保持する坩堝保持台6と、坩堝5を加熱する発熱体7とを備えている。GaAs単結晶成長装置10は、坩堝を用いた縦型ボート(Vertical Boat)法によりGaAs単結晶を成長させることができる。以下、縦型ボート法は、VB法と略記される。VB法は、垂直ブリッヂマン法および垂直温度傾斜凝固法を含む。
<GaAs単結晶成長装置>
(坩堝)
図2に示されるように、GaAs単結晶成長装置10において坩堝5は、一部が円筒形状を呈する構造を有する。坩堝5は、具体的には、円筒形状の種結晶収容部51と、種結晶収容部51に接続される増径部52と、増径部52の種結晶収容部51側と反対側において接続される直胴部53とを含む。種結晶収容部51は、増径部52に接続される側に開口し、増径部52と反対側に底壁が形成された空洞部を有する。種結晶収容部51は、上記空洞部において種結晶8aを収容し、これを保持することができる。増径部52は、坩堝5の軸方向上向きに拡径する円錐台形状を有し、増径部52の小径側にて種結晶収容部51に接続される。直胴部53は、中空円筒状の形状を有し、増径部52の大径側に接続される。増径部52および直胴部53は、その内部において塊状GaAs(具体的には、多結晶ヒ化ガリウム)を保持する機能を有する。さらに増径部52および直胴部53は、後述するように塊状GaAs等の溶融状態であるGaAs融液82を凝固させることにより、結晶固体としてのGaAs単結晶81を成長させる機能を有する。坩堝5としては、GaAs融液82の温度に耐え得る種々の材料が用いられる。たとえば坩堝5の材料として熱分解窒化硼素(pBN)が採用される。直胴部53の内径は、成長させようとするGaAs単結晶81の直径に対応し、たとえば200mm以上215mm以下である。以下、図3が参照されることにより、増径部52がより詳細に説明される。
(増径部)
図3に示されるように、増径部52は、上部領域521と下部領域522とからなる。上部領域521は、坩堝保持台6と離間し、下部領域522は、坩堝保持台6と接触している。上部領域521とは、増径部52における軸方向上側の領域を意味する。下部領域522とは、増径部52における上部領域521よりも軸方向下側の領域を意味する。また坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束が、主に輻射に基づくものとなる増径部52の領域は、上部領域521と定められる。坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束が、主に輻射と熱伝導とに基づくものとなる増径部52の領域は、下部領域522と定められる。上部領域521と下部領域522との境界は、坩堝保持台6と離間しているか、あるいは接触しているかという構造的な差異によって定められる。上部領域521と下部領域522との境界については、坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束を構成する熱の伝わり方によっても定められる。
GaAs単結晶成長装置10は、上部領域521と下部領域522とが上述した構造を有することにより、坩堝内にて成長するGaAs単結晶内部の熱分布を均一とすることができる。具体的には、上部領域521および下部領域522の上述した構造により、上部領域521における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束を、主に輻射に基づくものとすることができる。下部領域522における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束を、主に輻射と熱伝導とに基づくものとすることができる。これによりGaAs単結晶成長装置10は、下部領域522における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束を、熱伝導の分だけ、上部領域521におけるそれよりも大きくすることができ、q(A1)<q(A2)の関係を容易に満たすことができる。
とりわけ上部領域521の坩堝保持台6と離間する構造によれば、上部領域521における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束を、主に輻射に基づくものとすることができる。このためGaAs単結晶成長装置10は、上記構造によって成長中のGaAs単結晶81内部の熱分布を十分に均一とすることができる。さらに下部領域522の坩堝保持台6と接触する構造によれば、GaAs単結晶成長装置10は、上述した熱伝導に基づいて成長中のGaAs単結晶81内部で熱ゆらぎが発生するものの、坩堝5の構造上、熱伝導の方向を種結晶収容部51へ向かう方向とすることができる。このためGaAs単結晶成長装置10は、上述した熱ゆらぎの量を大幅に抑制することができる。したがってGaAs単結晶成長装置10は、上述した構造に基づいて、GaAs単結晶81内部の熱歪みを極めて小さくすることができる。
増径部52は、たとえば上部領域521の表面積をS(A1)とし、かつ下部領域522の表面積をS(A2)としたとき、下記式Iを満たすことが好ましい。
0.2≦S(A2)/(S(A1)+S(A2))≦0.6 式I
このような増径部52の構造により、GaAs単結晶成長装置10は、上部領域521における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束の量と、下部領域522における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束の量との関係を、q(A1)<q(A2)を満たすように容易に調整することができる。なお上部領域521における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束の量とは、上部領域521を通過する熱流束の量を意味し、下部領域522における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束の量とは、下部領域522を通過する熱流束の量を意味する。
上記式Iは、下記式I’であることが好ましい。さらにS(A2)/(S(A1)+S(A2))は、0.5であることがより好ましい。
0.3≦S(A2)/(S(A1)+S(A2))≦0.5 式I’
S(A2)/(S(A1)+S(A2))が0.2未満である場合、ならびに0.6より大きい場合、成長中のGaAs単結晶81内部の熱分布が十分に均一とならない恐れがあることから、転位密度の平均値を極めて小さくする効果が十分とはならない可能性がある。とりわけS(A2)/(S(A1)+S(A2))がたとえば0.1以下となる場合、坩堝保持台6で保持される下部領域522が小さすぎ、坩堝5を安定させた状態でGaAs単結晶81を成長させることが困難となるので、GaAs単結晶81の成長に悪影響が及ぶ恐れがある。(A2)/(S(A1)+S(A2))がたとえば0.8以上となる場合、坩堝保持台6で保持される下部領域522が大きすぎ、上記q(A1)およびq(A2)の関係が、q(A1)≧q(A2)等の関係となってGaAs単結晶の成長に悪影響が及ぶ恐れがある。
上部領域521は、GaAs単結晶81の成長方向に対して垂直な方向において、坩堝保持台6と対向していることが好ましい。上部領域521の上述した構造により、上部領域521における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束は、主に輻射に基づくものとなる。これによりGaAs単結晶成長装置10は、GaAs単結晶を得る工程S20において、成長中のGaAs単結晶81内部において熱ゆらぎの発生が抑制され、熱分布が均一とされることにより、GaAs単結晶81内部の熱歪みを小さくすることができる。
(坩堝保持台)
GaAs単結晶成長装置10は、増径部52を保持する坩堝保持台6を備える。坩堝保持台6は、たとえば円筒形の外観を有することができる。坩堝保持台6は、単一の材料からなることが好ましい。上記材料は、たとえば石英、アルミナまたは炭化ケイ素などを採用することができる。上記材料は、石英からなることが好ましい。とりわけ上記材料は、不透明であることが好ましい。坩堝保持台6は、不透明であって放熱性の悪い材料が採用される場合、下部領域522が坩堝保持台6と接触している構造であるため、下部領域522における熱流束を構成する熱伝導の方向を軸方向下向き(種結晶収容部51へ向かう方向)とすることができる。この場合、坩堝保持台6は、上述した熱ゆらぎの量を大幅に抑制することができる。坩堝保持台6の外径は、直胴部53の外径と対応させる、または同じであることができ、たとえば215mm以上230mm以下である。
本明細書において「不透明」とは、波長1600~2400nmの光に対する透過率が10%以下であることをいう。坩堝保持台6を構成する材料が、不透明であるか否かについては、たとえば自記分光光度計(商品名(品番):「U-4000」、株式会社日立製作所製)を用いて評価される。具体的には、坩堝保持台6の材料として採用する部材の透過率、および形状を揃えた平行平板サンプルが準備され、当該サンプルが上記自記分光光度計で測定されることにより、不透明であるか否かについて評価される。
(発熱体)
GaAs単結晶成長装置10は、坩堝5を加熱する発熱体7を備える。発熱体7は、2体からなる場合がある。この場合、上記2体はそれぞれ坩堝5の外周を囲むように配置されている。発熱体7は1体毎に、それぞれ坩堝の軸に対し垂直方向に複数の部分に分割されている。これにより発熱体7は1体毎に、多段に構成される。さらに発熱体7の出力は、1体毎かつ部分毎に独立して制御することができる。したがってGaAs単結晶81とGaAs融液82との界面位置における温度は厳密に制御される。発熱体7として、たとえば公知の電気式ヒータが採用される場合がある。
GaAs単結晶成長装置10は、発熱体7により加熱された坩堝5の温度を計測可能な熱電対75を備えることができる。熱電対75は、坩堝5の外側かつ軸方向に沿って複数、配置される場合がある。この場合、熱電対75は、坩堝5の外側かつ軸方向の、坩堝5内のGaAs単結晶81とGaAs融液82との界面に相当する高さ付近に複数、少なくとも配置されることが好ましい。熱電対75それぞれで計測された温度に基づき、坩堝5内で結晶成長するGaAs単結晶81の各所の温度が推定される。とりわけ熱電対75それぞれで計測された温度に基づき、上記界面における径方向の温度分布が推定されることにより、結晶成長中のGaAs単結晶81内部の熱分布の均一性が間接的に評価される。換言すれば、上述した増径部52および坩堝保持台6の構造が採用されるとともに、発熱体7の熱出力が制御されることにより、熱電対75それぞれで計測される温度が最適化される。これにより結晶成長中のGaAs単結晶81内部の熱分布がより均一となる。
<GaAs単結晶の製造方法に含まれる各工程>
(第1工程:準備工程S10)
図1に示されるように、本実施形態に係るGaAs単結晶基板の製造方法においては、まず第1工程として準備工程S10が実行される。準備工程S10では、上記GaAs単結晶を製造するための上述したGaAs単結晶成長装置10、種結晶8aおよび塊状GaAsがそれぞれ準備される。種結晶8aは、GaAs単結晶からなる。種結晶8aおよび塊状GaAsは公知の方法により準備されてもよく、市販のものを入手することにより準備されてもよい。
種結晶8aは、種結晶収容部51に収容可能な円柱形状を有することが好ましい。上記種結晶の成長側表面は、上記ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。具体的には、種結晶8aにおいて上記円柱形状の表面を形成する円形面の結晶面は、4°以上20°以下の角度範囲より選ばれる1の角度だけGaAs単結晶の(100)面から傾いた面である。この場合において上記の傾いた面は、GaAs単結晶の[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向に傾いていることが好ましい。このような結晶面の特徴を有する種結晶8aを用いて本実施形態に係るGaAs単結晶の製造方法が実行される場合、上記製造方法より作製されたGaAs単結晶から得られるGaAs単結晶基板は、その主表面においてキャリア濃度分布が極めて均一となる。
(第2工程:GaAs単結晶を得る工程S20)
次に、本実施形態に係るGaAs単結晶基板の製造方法においては、上記GaAs単結晶製造装置を用いてGaAs単結晶を成長させる工程S20が実行される。GaAs単結晶を得る工程S20は、次の原材料装入工程S21、原材料溶融工程S22およびGaAs単結晶成長工程S23を含む。GaAs単結晶を得る工程S20は、これらの工程がこの順で実行される。
1) 原材料装入工程S21
原材料装入工程S21は、種結晶収容部51に種結晶8aを収容し、かつ増径部52および直胴部53にケイ素とともに塊状GaAsを収容する工程である。原材料装入工程S21は、種結晶装入工程およびヒ化ガリウム装入工程を含む。原材料装入工程S21は、さらに封止剤配置工程を含むことができる。図2に示されるように、種結晶装入工程においては、坩堝5の種結晶収容部51の空洞部にGaAs単結晶からなる種結晶8aが装入される。種結晶8aの種結晶収容部51への装入方法は、たとえば公知の方法が用いられる。ヒ化ガリウム装入工程においては、坩堝5の増径部52および直胴部53に、塊状GaAsとして多結晶GaAsからなる塊状物が複数個装入され、積み重ねられる。さらにヒ化ガリウム装入工程においては、本製造方法により得られるGaAs単結晶のケイ素の濃度が1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下となるように、坩堝5の増径部52および直胴部53にケイ素が所定量添加される。封止剤配置工程においては、VB法において公知の封止剤(たとえばB23(酸化硼素)からなる固体の封止剤)が、上記の塊状物上に配置されることが好ましい。
2) 原材料溶融工程S22
原材料溶融工程S22は、発熱体7で坩堝5を加熱することにより、種結晶8aの一部、および塊状GaAsをGaAs融液82に溶融するとともに、GaAs融液82を種結晶8aの残部と接触させる工程である。本工程においてはGaAs単結晶81を得る目的で、種結晶8aとGaAs融液82とが接触させられる。これにより本製造方法は次工程において、種結晶8aの残部上にてGaAs単結晶81を結晶成長させることができる。原材料溶融工程S22では、具体的には、種結晶8a、塊状GaAsおよび好ましくは固体の封止剤が内部に配置された坩堝5が、坩堝保持台6に支持される。このとき上述したように、坩堝5の増径部52における上部領域521は、坩堝保持台6と離間し、下部領域522は、坩堝保持台6と接触する。その後、発熱体7に電流が供給され、坩堝5が加熱される。これにより上記塊状物が溶融してGaAs融液82となる。次いで種結晶8aの一部も溶融し、その界面にて種結晶8aの残部とGaAs融液82とが接触する。原材料装入工程S21において固体の封止剤が上記の塊状物上に配置された場合、上記塊状物が溶融してGaAs融液82となるとともに、上記封止剤も溶融して液体封止剤(図4において図示省略)となることが好ましい。
3) GaAs単結晶成長工程S23
GaAs単結晶成長工程S23は、種結晶8aの残部上でGaAs融液82からGaAs単結晶81を結晶成長させる工程である。GaAs単結晶成長工程S23は、たとえば発熱体7に対し坩堝5が、その軸に沿って下向き(種結晶収容部51側)に徐々に引き下げられることにより、坩堝5において種結晶8a側の温度が低く、GaAs融液82側の温度が高くなるような温度勾配が形成される。これにより種結晶8aに接触するGaAs融液82が凝固し、種結晶8aの残部上でGaAs融液82からGaAs単結晶81が連続的に結晶成長する。坩堝5がその軸に沿って下向きに引下げられるスピードは、特に制限されないが、たとえば1~5mm/時である。
GaAs単結晶成長工程S23は、上述したような坩堝5の増径部52における上部領域521を坩堝保持台6と離間させ、下部領域522を坩堝保持台6と接触させる構造、および坩堝保持台6の構造に基づき、GaAs単結晶製造装置における熱環境が制御されながら実行される。具体的には、上部領域521における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束が、主に輻射に基づくものとされる。さらに下部領域522における坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束については、主に輻射と熱伝導とに基づくものとされる。これによりGaAs単結晶成長工程S23は、坩堝5の内部から坩堝保持台6へ向かう方向の熱流束をq、上部領域521をA1、下部領域522をA2、上部領域521を通過する上記熱流束の量をq(A1)、下部領域522を通過する上記熱流束の量をq(A2)としたとき、q(A1)<q(A2)の関係を満たして実行される。
とりわけ上記q(A1)<q(A2)の関係を容易に満たすために、増径部52は上部領域521の表面積をS(A1)とし、かつ下部領域522の表面積をS(A2)としたとき、下記式Iを満たすことが好ましい。
0.2≦S(A2)/(S(A1)+S(A2))≦0.6 式I
さらに上記q(A1)<q(A2)の関係を容易に満たすために、GaAs単結晶81の成長方向に対して垂直な方向において、上部領域521は坩堝保持台6と対向していることも好ましい。
GaAs単結晶成長工程S23においては、引き続き発熱体7に対し坩堝5が、その軸に沿って下向きに引下げられることにより、GaAs単結晶81とGaAs融液82との界面が液体封止剤側へ上昇し、かつGaAs融液82が凝固する。これによりGaAs単結晶成長工程S23は、GaAs単結晶81を坩堝5の軸に沿って上向きに結晶成長させることが可能となる。GaAs単結晶81の結晶成長は、坩堝5の直胴部53に残存するGaAs融液82の凝固が完了するまで継続される。以上によりGaAs単結晶81のインゴットが得られる。
ここで、GaAs単結晶81のインゴットのキャリア濃度は、固化率が0.3であるとき、0.8×1018cm-3以上1.5×1018cm-3以下であることが好ましい。GaAs単結晶81のインゴットのキャリア濃度は、固化率が0.85であるとき、2.5×1018cm-3以上3.5×1018cm-3以下であることが好ましい。本明細書において「固化率」とは、上記インゴットをその成長方向に垂直な方向で切断することにより、上記インゴットにおける種結晶側端から切断面までで形成される円柱体を作製した場合において、当該インゴットの総質量に対する、上記円柱体の質量の比率を意味する。つまり「固化率」とは、GaAs単結晶成長工程S23において、種結晶8aと接触している側からGaAs融液82の凝固を開始し、GaAs単結晶81のインゴットを成長させる過程において、上記インゴットの成長に伴う凝固が、どの程度進行したかを示すパラメータをいう。したがって、GaAs融液82の全体が溶融状態であるときが固化率0と表され、GaAs融液82の全体が凝固した状態が固化率1と表され、種結晶8a側から進行する凝固が、GaAs融液82の全体の50質量%まで進んだ状態が、固化率0.5と表される。GaAs単結晶のキャリア濃度、およびGaAs単結晶基板のキャリア濃度の測定方法については後述される。
<作用効果>
本実施形態に係るGaAs単結晶の製造方法によれば、GaAs単結晶を得る工程S20(とりわけGaAs単結晶成長工程S23)において、GaAs単結晶成長装置10の熱環境が制御された上で、GaAs単結晶81が成長する。これにより成長時のGaAs単結晶81内部において熱ゆらぎの発生が抑制され、熱分布が均一となることにより、直径が8インチ程度となる大きな単結晶であっても結晶内部の熱歪みが極力小さくなる。以上により、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のGaAs単結晶基板を得るためのGaAs単結晶が作製される。もって、上記主表面上に半導体層が形成された場合であっても、上記GaAs単結晶基板から半導体デバイスが歩留まり良く作製される。
上記製造方法においては、GaAs単結晶81の成長方向は、種結晶8aの円柱形状の表面を形成する円形面に対する法線方向であることが好ましい。すなわちGaAs単結晶81の成長方向は、GaAs単結晶の[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの向きに、4°以上20°以下の角度範囲より選ばれる1の角度だけGaAs単結晶の(100)面から傾いた面に対する法線方向であることが好ましい。さらに本実施形態に係るGaAs単結晶基板は、後述するように、上記GaAs単結晶のインゴットから、上述した4°以上20°以下の角度範囲より選ばれる1の角度だけGaAs単結晶の(100)面から傾いた面を主表面として切断することにより得られる。ここで上記の切断は、GaAs単結晶81の成長方向に対して垂直な方向により行われる場合がある。これにより上記製造方法より作製したGaAs単結晶基板の主表面の面内において、キャリア濃度分布は極めて均一となる。なお、GaAs単結晶81の成長方向を、GaAs単結晶の(100)面から20°を超過する角度に対する法線方向とした場合、上述した所望の転位密度の平均値の小ささを備えるGaAs単結晶を成長させることができない恐れがある。
〔GaAs単結晶基板の製造方法〕
<第3工程:GaAs単結晶基板を得る工程S30>
本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶基板(GaAs単結晶基板)の製造方法は、円形状の主表面を有するGaAs単結晶基板の製造方法である。図1に示されるように上記製造方法は、上記GaAs単結晶の製造方法により得られたGaAs単結晶を円盤状に切断し、かつ加工することによってGaAs単結晶基板を得る工程(GaAs単結晶基板を得る工程S30)を備える。具体的には、GaAs単結晶基板を得る工程S30は、上記GaAs単結晶の製造方法により得られたGaAs単結晶を円盤状に切断することにより、GaAs単結晶基板前駆体を得る切断工程、およびGaAs単結晶基板前駆体の外周を研削すること等により加工し、円形状の主表面を有するGaAs単結晶基板を得る外周研削工程を含む。GaAs単結晶基板を得る工程S30は、次の切断工程、外周研削工程、および必要に応じて後述する研磨工程を含み、これらの工程がこの順で実行される場合がある。
切断工程は、坩堝5より取り出されたGaAs単結晶81からなるインゴットより、円盤状のGaAs単結晶基板前駆体を得るために、上記インゴットを所定の厚みを有するウェーハとなるようにスライスする工程である。さらに外周研削工程は、上記GaAs単結晶基板前駆体の外周を研削することにより、円形状の主表面を有するGaAs単結晶基板を得る工程である。切断工程および外周研削工程としては、公知の切断方法および外周研削方法が用いられる場合がある。さらに研磨工程は、上記主表面を鏡面化する工程である。研磨工程としては、公知の研磨方法が用いられる場合がある。
<作用効果>
上記の各工程が実行されることにより、円形状の主表面を有するGaAs単結晶基板が製造される。本実施形態に係るGaAs単結晶基板の製造方法によれば、上述したGaAs単結晶の製造方法により作製された低転位または無転位のGaAs単結晶からGaAs単結晶基板が製造され、もって素子歩留を向上させることができるGaAs単結晶基板が提供される。
〔ヒ化ガリウム単結晶基板〕
図4は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶基板の主表面、および上記基板におけるキャリア濃度を測定するための被測定箇所(被測定領域)を説明する平面説明図である。図4に示されるように、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶基板(GaAs単結晶基板)1は、円形状の主表面11を有するGaAs単結晶基板である。GaAs単結晶基板1の直径は、200mm以上210mm以下である。主表面11は、GaAs単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向である。主表面11の転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下である。主表面11上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、上記格子を構成する上記正方形の総数に対する、上記正方形内に転位が存在しない上記正方形の数の比率は、98.04%以上である。GaAs単結晶基板1は、ケイ素を含む。上記ケイ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下である。GaAs単結晶基板1のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である。このような特徴を備えるGaAs単結晶基板1は、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さい。これによりGaAs単結晶基板1は、主表面11上に半導体層が形成された場合であっても半導体デバイスを歩留まり良く得ることができる。
GaAs単結晶基板1が素子歩留を向上させることができる理由は、次のとおりである。すなわちGaAs単結晶基板1は、たとえば上述したGaAs単結晶の製造方法により作製されたGaAs単結晶から得られ、あるいは好ましくは上述したGaAs単結晶基板の製造方法により作製される。したがってGaAs単結晶基板1は、上述のように直径が8インチ程度となる大きな単結晶であっても、結晶内部の熱歪みが極力小さくなるようにして作製された低転位または無転位のGaAs単結晶からなることができる。加えてGaAs単結晶基板1は、好ましくは、円柱形状の表面を形成する円形面が、4°以上20°以下の角度範囲より選ばれる1の角度だけGaAs単結晶の(100)面から傾いた面である種結晶から成長したGaAs単結晶からなる。このような特徴を有するGaAs単結晶基板1は、主表面11の面内の転位密度の平均値が極めて小さく、かつキャリア濃度分布も極めて均一となる。これによりGaAs単結晶基板1は、加工時の割れ、欠け等の発生を回避することができる。さらにGaAs単結晶基板1上に半導体層を形成した半導体デバイスにおいては、その多数が所定の性能を満たすことができる。以上より、大口径であり、かつ比較的大きなオフ角(具体的には4°以上20°以下)を有するGaAs単結晶基板1の主表面上に半導体層が形成された場合であっても、半導体デバイスが歩留まり良く作製されると考えられる。
<主表面>
GaAs単結晶基板1は、上述のように円形状の主表面11を有する。本明細書において当該主表面の形状を表す「円形状」には、幾何学的な円形状が含まれるほか、上記主表面の外周にノッチ、オリエンテーションフラット(以下、「OF」とも記す)またはインデックスフラット(以下、「IF」とも記す)の少なくともいずれかが形成されることにより、主表面が幾何学的な円形状を形成しない場合の形状が含まれる。ここで「主表面が幾何学的な円形状を形成しない場合の形状」とは、主表面の外周上の任意の点から上記主表面の中心まで延びる線分のうち、上記ノッチ、OFおよびIF上の任意の点から主表面の中心まで延びる線分において長さが短くなる場合の形状を意味する。さらに「主表面が幾何学的な円形状を形成しない場合の形状」には、主表面の外周上の任意の点から上記主表面の中心まで延びる線分すべての長さが、GaAs単結晶基板の原料となるGaAs単結晶の形状に起因して、同一になるとは限らない場合の形状も含まれる。この場合、主表面の中心については、重心の位置をいう。GaAs単結晶基板の直径については、GaAs単結晶基板の外周上の任意の点から上記主表面の中心を通過し上記外周上の他の点まで延びる線分のうち、最長となる線分の長さをいうものとする。
主表面11の表面粗さは、JIS B 0681-2:2018に規定される面粗さSaにおいて0.3nm以下であることが好ましい。これによりGaAs単結晶基板1は、主表面11が鏡面となるため、デバイス特性の向上に寄与することができる。主表面11の面粗さSaは、0.2nm以下であることがより好ましく、0.1nm以下であることがより一層好ましい。主表面11の面粗さSaについては、公知の原子間力顕微鏡(たとえば商品名:「Dimension 3000」、Bruker社製)のインターミッテントコンタクト(間欠接触)モードを用いることにより測定される。より具体的には、上記原子間力顕微鏡を用いて面粗さSaを算出するための512×512ピクセルのサイズが、主表面11上の任意の縦0.2μm×横0.2μmの正方形の領域に対応させられることにより測定される。これにより、当該領域における面粗さSaが求められる。
上記面粗さSaは、主表面11で測定したすべての上記領域で0.3nm以下である必要はなく、GaAs単結晶基板1の主表面11上に設定した複数の領域のうち少なくとも1つの領域で測定した面粗さSaが0.3nm以下であればよい。上記面粗さSaを測定するための主表面11上の領域としては、たとえばGaAs単結晶基板1の中心Oと、GaAs単結晶基板1の外縁から5mm内側の円周上の任意の4点(図示省略)とを測定範囲の中心とした合計5つの領域が選択され得る。
(オフ角およびオフ方向)
主表面11は、GaAs単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向である。GaAs単結晶の[01-1]方向、[0-1-1]方向、[0-11]方向、および[011]方向は、換言すればGaAs単結晶の[01-1]方向と等価な4方向であって、結晶学的に<110>方向と表される。
主表面11は、GaAs単結晶の(100)面から6°以上15°以下のオフ角を有する面であることが好ましい。この場合、GaAs単結晶基板1は、素子歩留をより向上させることができる。上記主表面のオフ角が、GaAs単結晶の(100)面から4°未満であるGaAs単結晶基板は、他の手段を用いても上述した本開示の効果を達成することができる可能性がある。上記主表面のオフ角が、GaAs単結晶の(100)面から20°より大きいGaAs単結晶基板は、上述した本実施形態に係るGaAs単結晶の製造方法に基づく限り、上述した本開示の効果を達成して得ることが困難となる可能性がある。
なお、本開示において主表面11の結晶面は、±0.5°の精度誤差を有するものとする。たとえば主表面11が「GaAs単結晶の(100)面から6°のオフ角を有する面である」という場合、主表面11は(100)面から5.5°~6.5°のオフ角を有する面である可能性があることを意味する。GaAs単結晶基板1の主表面11における(100)面からのオフ角は、公知の結晶方位測定装置(たとえば商品名(品番):「2991G2」、株式会社リガク製)を用いることにより測定される。
<直径>
GaAs単結晶基板1の直径は、200mm以上で210mm以下である。これにより直径が200mm以上210mm以下の大口径のGaAs単結晶基板1において、素子歩留を向上させることができる。ここでGaAs単結晶基板1の直径は、上記主表面がOF、IF等の影響によって幾何学的な円形状とはならない場合の形状であっても、上記OF、IF等が形成される前の円形状に基づいて求められる。また、上記のとおりGaAs単結晶基板1の直径は、ノギス等の公知の外径測定器を用いることにより測定される。
<転位密度>
主表面11の転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下である。さらに主表面11上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、上記格子を構成する上記正方形の総数に対する、上記正方形内に転位が存在しない上記正方形の数の比率(以下、「無転位率」とも記す)は、98.04%以上である。主表面11の転位密度の平均値および上記無転位率は、具体的には、溶融水酸化カリウムを用いた主表面11のエッチング後に、主表面11に現れる腐食孔(以下、「エッチピット」とも記す)の数をカウントすることにより求められる。つまり本実施形態に係るGaAs単結晶基板1は、エッチピットの数の平均値が0cm-2以上3.77cm-2以下となり、さらに上記無転位率が98.04%以上となる。なお上記無転位率の上限は、100%である。エッチピットは、学術的には転位と同義ではないが、本技術分野において転位と等価なものとして捉えられる。
(エッチピットの数の算出方法)
図5は、図4に示されるヒ化ガリウム単結晶基板の主表面における転位密度を求めるために、上記主表面上に1辺が2mmである正方形を互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めた仮想の格子を設定した様子を説明する説明図である。以下、図5が参照され、エッチピットの数の具体的な算出方法が説明される。
まずGaAs単結晶基板1の主表面11が500℃の溶融水酸化カリウムに10分間浸漬される。続いて上記溶融水酸化カリウム中からGaAs単結晶基板1が取り出される。GaAs単結晶基板1を浸漬する方法については公知の方法が用いられる。次に、図5に示されるようにGaAs単結晶基板1の主表面11上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子Gが設定される。さらに仮想の格子Gを構成する正方形それぞれを対象として公知の光学顕微鏡(たとえば商品名:「ECLIPSE(登録商標)LV150N」、株式会社ニコン製)で観察することにより、上記光学顕微鏡の1視野に現れたエッチピットの数がカウントされる。この場合において、上記光学顕微鏡による観察は、50倍の倍率で行われる。これにより上記光学顕微鏡の1視野は、2mm×2mmのサイズとなって上記正方形のサイズと対応する。このため、1視野毎のエッチピットの数は、仮想の格子Gを構成する正方形毎の転位の数として求められる。なお面積が100μm2以上であると確認されたエッチピットのみが、エッチピットの数としてカウントされるものとする。
最後に、仮想の格子Gを構成する正方形毎にカウントしたエッチピットが、それぞれ1cm2当たりの数に換算される。これにより、上記正方形毎の転位密度が算出される。続けて上記転位密度の総和が上記正方形の数で除算されることにより、上記主表面の転位密度の平均値が求められる。さらに上記仮想の格子Gを構成する正方形の総数に対する、上記正方形内に転位が存在しない上記正方形の数の比率が求められることにより、上述した無転位率が算出される。本明細書において、主表面11上に「正方形を互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰める」とは、主表面11上に上記正方形を互いに重なることなく並列するように敷き詰めた場合において、上記正方形と主表面11の外周およびその外側とが重なるとき、当該正方形については仮想の格子Gを構成する要素としては除外されることを意味する。なぜならGaAs単結晶基板1の主表面11の外周等を含む外周近傍の領域は、基板毎に転位の数の変動が大きく、かつ通常、半導体デバイスの材料として用いられない領域となるからである。
主表面11の転位密度の平均値は、0cm-2以上3cm-2以下であることが好ましく、0cm-2以上2.88cm-2以下であることがより好ましい。上記無転位率は、99.0%以上であることが好ましく、99.45%以上であることがより好ましい。これにより、素子歩留がより向上したGaAs単結晶基板を提供することが可能となる。
<ドーパント>
本実施形態に係るGaAs単結晶基板1は、ケイ素(Si)を含む。上記Siの原子濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下である。上記Siの原子濃度は、1.4×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下であることが好ましく、1.8×1018cm-3以上5.0×1018cm-3以下であることがより好ましい。この場合、GaAs単結晶基板1に対し導電型としてn型(電子供与型)の特性が付与されるとともに、転位密度の減少効果が得られる。
GaAs単結晶基板1は、ホウ素(B)を含むことが好ましい。この場合において、上記Bの原子濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下であることが好ましい。上記Bの原子濃度は、1.5×1018cm-3以上5.0×1018cm-3以下であることがより好ましい。この場合、GaAs単結晶基板1は、より低転位となる。GaAs単結晶基板1中のSiおよびBの原子濃度は、いずれもグロー放電質量分析法(Glow Discharge Mass Spectrometry:GDMS)を用いることにより測定される。上記Bは、上述したGaAs単結晶の製造方法を通じてGaAs単結晶基板1を得る場合、原材料となるヒ化ガリウム中に添加されたケイ素と、封止材として機能する酸化ホウ素とが反応することにより生成される。これにより、上記BがGaAs単結晶基板1に含まれる場合がある。
<キャリア濃度>
GaAs単結晶基板1のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である。上記キャリア濃度は、1.2×1018cm-3以上3.8×1018cm-3以下であることが好ましく、1.4×1018cm-3以上3.6×1018cm-3以下であることがより好ましい。この場合、GaAs単結晶基板1に対し導電型としてn型(電子供与型)の特性が付与される。GaAs単結晶基板1のキャリア濃度は、GaAs単結晶基板1を劈開することより得られる矩形状切片に対し、25℃の室温にてVan der Pauw法を適用したホール測定を行うことにより求められる。当該矩形状切片は、たとえば縦4mm×横4mm×厚み600μmサイズである。以下、GaAs単結晶基板1のキャリア濃度の測定方法が、図4および図6に基づいて説明される。図6は、図4に示されるヒ化ガリウム単結晶基板を用いて作製されたホール測定用サンプルを説明する説明図である。
まず、上述したGaAs単結晶の製造方法に基づいて得られたGaAs単結晶から、測定対象とするGaAs単結晶基板1が1枚作製される。次に図4に示されるように、この1枚のGaAs単結晶基板1において、その外縁から5mm内側の円周と、GaAs単結晶基板1の主表面11の中心OからGaAs単結晶の[01-1]方向、[0-1-1]、[0-11]、および[011]方向に伸びる半直線とが交わる点である4つの交点が定められる。さらに上記の4つの交点それぞれを中心とする縦4mm×横4mm×厚み600μmサイズの矩形状切片11aが作製される。続いて図6に示されるように、矩形状切片11aの4つの角に金、ニッケルおよびゲルマニウムを含む合金からなる電極21が形成され、もって4つのホール測定用サンプルが得られる。ここで上記電極21の形状は、図示した矩形に限定されず、扇形であってもよく、円形であってもよい。このような電極21を備えた4つのホール測定用サンプルに対し、25℃の雰囲気下にてVan der Pauw法によるホール測定を適用することによってキャリア濃度が求められる。なお本明細書において「GaAs単結晶基板のキャリア濃度」とは、上述した4つのホール測定用サンプルから得られるキャリア濃度の平均値を意味する。さらに、4つのホール測定用サンプルから得られるキャリア濃度の最大値から最小値を減算した値を上記平均値で除算することにより得られる値は、GaAs単結晶基板の第2キャリア濃度([max-min]/平均)と定義される。第2キャリア濃度は、GaAs単結晶基板1の主表面11におけるキャリア濃度のバラつきを表し、その値が小さいほど主表面11におけるキャリア濃度分布が均一であると評価される。
〔ヒ化ガリウム単結晶〕
図7は、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶を模式的に説明する斜視図である。図7に示されるように、本実施形態に係るヒ化ガリウム単結晶(GaAs単結晶)100は、円柱形状を有するGaAs単結晶である。GaAs単結晶100の表面を形成する円形面110の直径は、200mm以上210mm以下である。円形面110は、GaAs単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向である。円形面110における転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下である。円形面110上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、上記格子を構成する上記正方形の総数に対する、上記正方形内に転位が存在しない上記正方形の数の比率は、98.04%以上である。GaAs単結晶100は、ケイ素を含む。上記ケイ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下である。GaAs単結晶100のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である。このような特徴を備えるGaAs単結晶100は、結晶内部の熱歪みが極めて小さい。したがってGaAs単結晶100は、比較的大きなオフ角を有する主表面における転位密度の平均値等が極めて小さく、かつ大口径のGaAs単結晶基板を作製するための材料として提供される。
とりわけGaAs単結晶100において、上記円柱形状の軸方向の長さは、40mm以上110mm以下であることが好ましい。上記円柱形状の軸方向の長さを40mm以上とする場合、素子歩留の良いGaAs単結晶基板がより多数提供される。上記円柱形状の軸方向の長さを110mm以下とする場合、製品ロットごとのキャリア濃度のバラつきが少ないGaAs単結晶基板が提供される。
GaAs単結晶100が、素子歩留を向上させたGaAs単結晶基板を提供することができる理由は、上述したGaAs単結晶基板1が素子歩留を向上させることができる理由と同じであるので、重複する説明は繰り返さない。
<GaAs単結晶の表面を形成する円形面>
GaAs単結晶100は、円柱形状を有する。これによりGaAs単結晶100は、その表面を形成する円形面110を有する。本明細書において円形面110の形状は、幾何学的な円形状が含まれるほか、幾何学的な円形状を形成しない場合の形状が含まれる。ここで円形面110の「幾何学的な円形状を形成しない場合の形状」とは、円形面110の外周上の任意の点から円形面110の中心まで延びる線分すべての長さが、同一になるとは限らない場合の形状をいう。この場合、円形面110の中心は、重心の位置である。円形面110の直径は、円形面110の外周上の任意の点から円形面110の中心を通過し上記外周上の他の点まで延びる線分のうち、最長となる線分の長さである。
(オフ角およびオフ方向)
円形面110は、GaAs単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面である。上記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向である。GaAs単結晶100における円形面110のオフ角およびオフ方向に関する特徴については、上述したGaAs単結晶基板1の「主表面11」のオフ角およびオフ方向に関する特徴と同じであるので、重複する説明は繰り返さない。なお、円形面110における好ましいオフ角の範囲も、主表面11における好ましいオフ角の範囲と同じである。本開示において円形面110の結晶面は、GaAs単結晶基板1の主表面11と同様に、±0.5°の精度誤差を有する。
<直径>
GaAs単結晶100の表面を形成する円形面110の直径は、200mm以上で210mm以下である。上記のとおりGaAs単結晶100の表面を形成する円形面110の直径は、ノギス等の公知の外径測定器を用いることにより測定される。
<転位密度>
円形面110の転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下である。さらに円形面110上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、上記格子を構成する上記正方形の総数に対する、上記正方形内に転位が存在しない上記正方形の数の比率(無転位率)は、98.04%以上である。円形面110の転位密度の平均値および上記無転位率に関する特徴およびその効果については、上述したGaAs単結晶基板1の主表面11の転位密度の平均値および上記無転位率に関する特徴およびその効果と同じであるので、重複する説明は繰り返さない。なお、円形面110における好ましい転位密度の平均値および上記無転位率の範囲も、主表面11における好ましい転位密度の平均値および上記無転位率の範囲と同じである。また円形面110におけるエッチピットの数の算出方法は、主表面11におけるエッチピットの数の算出方法と同じである。したがって円形面110におけるエッチピットの数は、主表面11におけるエッチピットの数の算出方法の説明において用いた「主表面11」の用語を、「円形面110」の用語に読替えて上記算出方法を適用することにより求められる。
<ドーパント>
GaAs単結晶100は、ケイ素(Si)を含む。上記Siの原子濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下である。GaAs単結晶100のドーパントに関する特徴およびその効果については、上述したGaAs単結晶基板1のドーパントに関する特徴およびその効果と同じであるので、重複する説明は繰り返さない。なお、GaAs単結晶100がドーパントとしてホウ素(B)を含むことが好ましい点、およびその場合のBの含有量(原子濃度)の範囲も、GaAs単結晶基板1のそれと同じである。またGaAs単結晶100のドーパントの濃度も、GaAs単結晶基板1のそれと同じ測定方法により求められる。
<キャリア濃度>
GaAs単結晶100のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である。GaAs単結晶100のキャリア濃度に関する特徴およびその効果については、上述したGaAs単結晶基板1のキャリア濃度に関する特徴およびその効果と同じであるので、重複する説明は繰り返さない。またGaAs単結晶100のキャリア濃度および第2キャリア濃度も、GaAs単結晶基板1のそれと同じ測定方法により求めることができる。したがってGaAs単結晶100におけるキャリア濃度および第2キャリア濃度は、GaAs単結晶基板1におけるキャリア濃度および第2キャリア濃度の測定方法の説明において用いた「主表面11」の用語を、「円形面110」の用語に読替えて上記測定方法を適用することにより求められる。
とりわけGaAs単結晶100の一方端のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上1.5×1018cm-3以下であることが好ましい。GaAs単結晶100の他方端のキャリア濃度は、1.5×1018cm-3以上3.5×1018cm-3以下であることが好ましい。この場合、GaAs単結晶100に対し導電型としてn型(電子供与型)の特性が適切に付与される。
さらにGaAs単結晶100のキャリア濃度は、固化率が0.3であるとき、0.8×1018cm-3以上1.5×1018cm-3以下であることが好ましい。GaAs単結晶100のキャリア濃度は、固化率が0.85であるとき、2.5×1018cm-3以上3.5×1018cm-3以下であることが好ましい。この場合、GaAs単結晶100から得られるGaAs単結晶基板において、良好なエピタキシャル成長が行われる。本明細書において「固化率」とは、上述したように、GaAs単結晶100をその成長方向に垂直な方向で切断することにより、GaAs単結晶100における種結晶側端から切断面までで形成される円柱体を作製した場合において、GaAs単結晶100の総質量に対する、上記円柱体の質量の比率を意味する。
以下、実施例を挙げて本開示がより詳細に説明されるが、本開示はこれらに限定されるものではない。本実施例において本発明者は、図2に示されるようなGaAs単結晶成長装置等を用い、垂直ブリッヂマン法によって各試料のGaAs単結晶を作製し、この各試料のGaAs単結晶からGaAs単結晶基板を得た。以下の説明において試料11~試料18、および試料21~試料25は実施例であり、試料101~試料103、および試料201~試料203は比較例である。
[第1実施例]
〔GaAs単結晶基板の製造〕
直径が205mmである試料11~試料18および試料101~試料103のGaAs単結晶基板は、次の要領により製造された。
<試料101>
(第1工程:準備工程S10)
垂直ブリッヂマン法が適用される公知のGaAs単結晶成長装置が準備され、かつ種結晶、およびGaAs多結晶からなる塊状GaAsがそれぞれ公知の方法により製造されることにより準備された。ここで上記GaAs単結晶成長装置は、増径部の坩堝保持台側表面の全面が坩堝保持台と接触させられて構成される。したがって上記GaAs単結晶成長装置の坩堝の増径部における坩堝内部から坩堝保持台へ向かう方向の熱流束は、その全体において主に輻射と熱伝導とで構成され、もって上記増径部は、その全体が下部領域であるとみなされる。この場合、上記増径部において上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値は、1となる。また上記GaAs単結晶成長装置において坩堝の直胴部の内径は、210mmであった。種結晶は、円柱形状であって、上記円柱形状の表面を形成する円の結晶面は、(100)面から[011]方向に4°のオフ角を有する面であった。
(第2工程:GaAs単結晶を得る工程S20)
1) 原材料装入工程S21
公知の方法を用いることにより、GaAs単結晶成長装置に備えられた坩堝の種結晶収容部における空洞部に種結晶が装入された。さらに多結晶GaAsからなる塊状GaAsが、坩堝の増径部および直胴部に複数個装入され、積み重ねられた。ケイ素(Si)も微量添加された。さらにB23からなる封止剤が、上記塊状GaAs上に配置された。
2) 原材料溶融工程S22
発熱体に電流が供給され、坩堝が加熱されることにより上記封止剤が液体封止剤とされ、かつ増径部および直胴部に装入された塊状GaAsがGaAs融液とされた。さらに種結晶収容部を加熱する発熱体が制御されることにより、上記空洞部に収容された種結晶の一部も溶融された。これにより種結晶の残部とGaAs融液とが接触した。
3) GaAs単結晶成長工程S23
坩堝を加熱する発熱体の出力が制御されるとともに、発熱体に対し坩堝が、その軸に沿って下向き(種結晶収容部側)に徐々に引き下げられることにより、坩堝において種結晶側の温度が低く、GaAs融液側の温度が高くなるような温度勾配が形成された。これにより種結晶の残部上でGaAs融液からGaAs単結晶が連続的に結晶成長した。なお坩堝をその軸に沿って下向きに引下げるスピードは、2mm/時であった。
GaAs単結晶成長工程S23においては、坩堝を加熱する発熱体の出力が制御されるとともに、発熱体に対し坩堝がその軸に沿って下向きに引下げられることによってGaAs融液が凝固され、もってGaAs単結晶が坩堝の軸に沿って上向きに結晶成長した。その後、坩堝の直胴部に残存するGaAs融液の凝固が完了するまでGaAs単結晶の結晶成長が継続され、もってGaAs単結晶のインゴットが得られた。
ここで試料101のGaAs単結晶基板の作製に際しては、上記増径部の坩堝保持台側表面は、その全面が坩堝保持台と接触していることから、増径部の全体が下部領域であるとみなされる。この場合、上記増径部における坩堝内部から坩堝保持台へ向かう方向の熱流束は、その全体において主に輻射と熱伝導とで構成される。したがってGaAs単結晶成長工程S23において、成長中のGaAs単結晶81内部において熱ゆらぎの発生を十分に抑制することは困難であった。
(第3工程:GaAs単結晶基板を得る工程S30)
公知の切断方法および外周研削方法が用いられることにより、坩堝から取り出されたGaAs単結晶のインゴットより所定の厚みを有し、円形状の主表面を有するGaAs単結晶基板が得られた。さらに上記GaAs単結晶基板の主表面が公知の方法で研磨されることにより、当該主表面が鏡面化された。以上より、試料101のGaAs単結晶基板が得られた。上記GaAs単結晶基板の主表面の結晶面は、(100)面から[011]方向に4°のオフ角を有する面であった。また上記GaAs単結晶基板の主表面において、上述した測定方法によって測定された面粗さSaは、0.15nmであった。
<試料102>
準備工程S10において、円柱形状であって、上記円柱形状の表面を形成する円の結晶面は、(100)面から[011]方向に6°のオフ角を有する面である種結晶が準備されたこと以外、試料101と同じ要領によって試料102のGaAs単結晶基板が得られた。したがって、試料102のGaAs単結晶基板の作製に際して用いたGaAs単結晶成長装置において、上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値は、1であった。またGaAs単結晶成長工程S23は、増径部の全体が下部領域であり、上記増径部における坩堝内部から坩堝保持台へ向かう方向の熱流束が主に輻射と熱伝導とで構成されるため、成長中のGaAs単結晶81内部において熱ゆらぎの発生を十分に抑制することは困難であった。試料102のGaAs単結晶基板の主表面の結晶面は、(100)面から[011]方向に6°のオフ角を有する面であった。また上記GaAs単結晶基板の主表面において、上述した測定方法によって測定された面粗さSaは、0.15nmであった。
<試料11>
準備工程S10において、図2に示されるような垂直ブリッヂマン法が適用されるGaAs単結晶成長装置が準備され、かつ円柱形状であって、GaAs単結晶の(100)面から[011]方向に4°のオフ角を有する面が成長面である種結晶が準備されたこと以外、試料101と同じ要領によって試料11のGaAs単結晶基板が得られた。ただし試料11のGaAs単結晶基板の作製に際して用いたGaAs単結晶成長装置に備わる坩堝の増径部は、上領域と下部領域とからなり、上部領域は坩堝保持台と離間し、下部領域は坩堝保持台と接触している構造を有していた。さらに上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値が、0.5であった。試料11のGaAs単結晶基板の主表面の結晶面は、(100)面から[011]方向に4°のオフ角を有する面であった。また上記GaAs単結晶基板の主表面において、上述した測定方法によって測定された面粗さSaは、0.15nmであった。
<試料12~試料18、および試料103>
準備工程S10において、円柱形状であって、上記円柱形状の表面を形成する円の結晶面が、下記表1に示されるように、(100)面から[011]方向に6~22°傾いた面である種結晶がそれぞれ準備されたこと以外、試料11と同じ要領によって、試料12~試料18、および試料103のGaAs単結晶基板がそれぞれ得られた。試料12~試料18、および試料103のGaAs単結晶基板の主表面の結晶面は、下記表1に示されるように(100)面から[011]方向に6~22°のオフ角を有する面であった。また上記GaAs単結晶基板の主表面において、上述した測定方法によって測定された面粗さSaは、0.15nmであった。
ここで試料12と試料13とは、6°のオフ角を有するGaAs単結晶の同じインゴットから得られたGaAs単結晶基板である。ただし試料12は、上記インゴットの固化率が0.27である部位から得られたGaAs単結晶基板であり、試料13は、上記インゴットの固化率が0.89である部位から得られたGaAs単結晶基板である点で相違する。また試料16と試料17とは、15°のオフ角を有するGaAs単結晶の同じインゴットから得られたGaAs単結晶基板である。ただし試料16は、上記インゴットの固化率が0.27である部位から得られたGaAs単結晶基板であり、試料17は、上記インゴットの固化率が0.89である部位から得られたGaAs単結晶基板である点で相違する。
<特性評価>
試料11~試料18、および試料101~試料103のGaAs単結晶基板に対し、上述した測定方法または算出方法が実行されることにより、各試料におけるケイ素の原子濃度、キャリア濃度、第2キャリア濃度、およびホウ素の原子濃度、転位密度の平均値および無転位率が求められた。結果が表1に示される。なお表1においては、各試料のGaAs単結晶基板の主表面が有するオフ角、増径部の構造(上部領域および下部領域の有無)、上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値等についても示されている。
<素子歩留>
特開2008-283137号公報に開示された方法に従って、試料11~試料18、および試料101~試料103のGaAs単結晶基板を用いて、VCSELが作製された。この場合において加工時に割れ、欠け等が発生することなく上記GaAs単結晶基板から複数のVCSEL部を含むVCSEL形成ウェーハを得ることができた割合を示す加工歩留と、上記ウェーハから得られたVCSELが、要求された所定の性能を満たすことができた割合を示す性能歩留とを掛け合わせることにより、素子歩留(%)が求められた。ここで「性能歩留」については、次のような加速劣化試験により評価された。なお「VCSEL部」とは、上記VCSEL形成ウェーハが分割され、かつ実装されることによってVCSELとして機能することができる上記ウェーハ上の素子様部位をいう。上記VCSEL部は、それぞれが縦500μm×横500μmサイズのVCSELとなるように分割された。
まず加速劣化試験を行う前に、各試料において作製された上記VCSEL形成ウェーハ中の各VCSEL部に対し、オンウェーハ状態にて初期特性評価が行われた。初期特性評価においては、動作電流9mAで光出力が4mW以上となったVCSEL部が良品とされた。さらに動作電流9mAで光出力が4mW未満となったVCSEL部は、不良品として上記ウェーハ内の当該部分がマーキングされた。次に、上記ウェーハが分割されることにより、全数がチップとされた。続いて、上記チップから良品(すなわちマーキングされてないチップ)が40個任意に抜き取られ、実装されることによりVCSELが得られた。さらに上記VCSELに対し、雰囲気温度80℃、印加電流18mAで100時間通電することにより加速劣化試験が行われた。その後、各VCSELは室温に戻され、動作電流9mAにおける光出力が評価された。上記評価において、光出力の低下が加速劣化試験前の10%以内(すなわち光出力が3.6mW以上)であったVCSELが良品とされ、上記40個に対する良品であった個数の比率が性能歩留まりとされた。結果が表1に示される。なお表1においては、素子歩留が90%以上であった試料がAと判定され、素子歩留が80%以上90%未満であった試料がBと判定され、素子歩留が80%未満であった試料がCと判定された。
<考察>
試料11~試料18のGaAs単結晶基板においては、その主表面のオフ角が4~20°であって、主表面の転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下であり、無転位率は98.04%以上であった。さらにケイ素の原子濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下であり、キャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下であった。さらに、これらのGaAs単結晶基板における素子歩留は89.8%以上であり、AまたはBと判定された。これに対し、試料101~試料102のGaAs単結晶基板は、その主表面のオフ角が4~6°であったが、表面の転位密度の平均値は3.77cm-2を超過し、無転位率は98.04%未満であった。また試料101~試料102のGaAs単結晶基板は、増径部の全面が坩堝保持台に接触する構造のGaAs単結晶製造装置により作製されていた。その場合、これらのGaAs単結晶基板における素子歩留は、80%未満であり、Cと判定された。試料103のGaAs単結晶基板は、その主表面のオフ角が22°であり、主表面の転位密度の平均値は、3.77cm-2を超過し、無転位率は98.04%未満であった。その場合、試料103のGaAs単結晶基板における素子歩留は、80%未満であり、Cと判定された。
[第2実施例]
〔GaAs単結晶基板の製造〕
直径が205mmである試料21~試料25および試料201~試料203のGaAs単結晶基板が次の要領により製造された。
<試料201>
上述した試料102のGaAs単結晶基板が、試料201のGaAs単結晶基板として得られた。
<試料202>
準備工程S10において、増径部が上領域と下部領域とからなり、上部領域は坩堝保持台と離間し、下部領域は坩堝保持台と接触している構造を有するGaAs単結晶成長装置が準備された。坩堝の増径部における上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値は、0.1であった。それ以外、試料12と同じ要領によって試料202のGaAs単結晶基板が得られた。試料202のGaAs単結晶基板の主表面の結晶面は、(100)面から[011]方向に6°のオフ角を有する面であった。また上記GaAs単結晶基板の主表面において、上述した測定方法によって測定された面粗さSaは、0.15nmであった。
<試料21~試料23、試料25、および試料203>
準備工程S10において、後述するような増径部の構造を有するGaAs単結晶成長装置が準備されたこと以外、試料202と同じ要領によって試料21~試料23、試料25、および試料203のGaAs単結晶基板がそれぞれ得られた。試料21のGaAs単結晶基板の作製に際して用いられたGaAs単結晶成長装置は、坩堝の増径部における上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値が0.2であった。試料22のGaAs単結晶基板の作製に際して用いられたGaAs単結晶成長装置は、坩堝の増径部における上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値が0.3であった。試料23のGaAs単結晶基板の作製に際して用いられたGaAs単結晶成長装置は、坩堝の増径部における上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値が0.4であった。試料25のGaAs単結晶基板の作製に際して用いられたGaAs単結晶成長装置は、坩堝の増径部における上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値が0.6であった。試料203のGaAs単結晶基板の作製に際して用いられたGaAs単結晶成長装置は、坩堝の増径部における上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値が0.8であった。
<試料24>
上述した試料12のGaAs単結晶基板が、試料24のGaAs単結晶基板として得られた。
<特性評価>
試料21~試料25、および試料201~試料203のGaAs単結晶基板に対し、上述した測定方法または算出方法が実行されることにより、各試料におけるケイ素の原子濃度、キャリア濃度、第2キャリア濃度、およびホウ素の原子濃度、転位密度の平均値および無転位率が求められた。結果が表2に示される。なお表2においては、各試料のGaAs単結晶基板の主表面が有するオフ角、増径部の構造(上部領域および下部領域の有無)、上記式Iで示されるS(A2)/(S(A1)+S(A2))の値等についても示されている。
<素子歩留>
試料21~試料25、および試料201~試料203のGaAs単結晶基板に対し、第1実施例における素子歩留を求める方法と同じ方法が適用されることにより、これらの試料の素子歩留(%)が求められた。結果が表2に示される。なお表2においても、表1と同じように素子歩留が90%以上であった試料がAと判定され、素子歩留が80%以上90%未満であった試料がBと判定され、素子歩留が80%未満であった試料がCと判定された。
<考察>
試料21~試料25のGaAs単結晶基板においては、その主表面のオフ角が6°であって、主表面の転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下であり、無転位率は98.04%以上であった。さらにケイ素の原子濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下であり、キャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下であった。さらに、これらのGaAs単結晶基板における素子歩留は89.5%以上であり、AまたはBと判定された。これに対し、試料201のGaAs単結晶基板は、その主表面のオフ角が6°であったが、表面の転位密度の平均値は3.77cm-2を超過し、無転位率は98.04%未満であった。また試料201のGaAs単結晶基板は、増径部の全面が坩堝保持台に接触する構造のGaAs単結晶製造装置により作製されていた。その場合、試料201のGaAs単結晶基板における素子歩留は、80%未満であり、Cと判定された。試料202および試料203のGaAs単結晶基板は、その主表面のオフ角が6°であったが、表面の転位密度の平均値は3.77cm-2を超過し、無転位率は98.04%未満であった。また試料202および試料203のGaAs単結晶基板は、0.1<S(A2)/(S(A1)+S(A2))<0.8の関係を満たしていなかった。その場合、これらのGaAs単結晶基板における素子歩留は、80%未満であり、Cと判定された。とりわけ試料202のGaAs単結晶基板は、坩堝保持台で保持される下部領域が小さすぎ、坩堝を安定させた状態でGaAs単結晶を成長させることが難しく、GaAs単結晶の成長に悪影響が出たことが推定される。試料203のGaAs単結晶基板は、坩堝保持台で保持される下部領域が大きすぎ、上記q(A1)およびq(A2)の関係が、q(A1)≧q(A2)等の関係となってGaAs単結晶の成長に悪影響が出たことが推定される。
以上のように本開示の実施形態および実施例について説明を行ったが、上述の各実施形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態及び実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
S10 準備工程、S20 GaAs単結晶を得る工程、S21 原材料装入工程、S22 原材料溶融工程、S23 GaAs単結晶成長工程、S30 GaAs単結晶基板を得る工程、10 GaAs単結晶成長装置 5 坩堝、51 種結晶収容部、52 増径部、521 上部領域、522 下部領域、53 直胴部、6 坩堝保持台、7 発熱体、75 熱電対、8a 種結晶、81 ヒ化ガリウム単結晶(GaAs単結晶)、82 ヒ化ガリウム融液(GaAs融液)、1 ヒ化ガリウム単結晶基板(GaAs単結晶基板)、11 主表面、11a 矩形状切片、21 電極、G 仮想の格子、O 中心、100 ヒ化ガリウム単結晶(GaAs単結晶)、110 円形面。

Claims (13)

  1. 円柱形状を有するヒ化ガリウム単結晶の製造方法であって、
    前記製造方法は、ヒ化ガリウム単結晶製造装置を用いて種結晶からヒ化ガリウム単結晶を成長させる工程を含み、
    前記種結晶の成長側表面は、前記ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面であり、
    前記ヒ化ガリウム単結晶製造装置は、一部が円筒形状を呈する坩堝と、前記坩堝を保持する坩堝保持台と、前記坩堝を加熱する発熱体とを備え、
    前記坩堝は、種結晶収容部と、前記種結晶収容部に接続される増径部と、前記増径部の前記種結晶収容部側と反対側において接続される直胴部とを含み、
    前記種結晶収容部は、前記増径部に接続される側に開口し、その反対側に底壁が形成された円筒状の空洞部を有し、
    前記増径部は、軸方向上向きに拡径する円錐台形状を有し、前記増径部の小径側において前記種結晶収容部に接続され、
    前記直胴部は、中空円筒状の形状を有し、前記増径部の大径側に接続され、
    前記坩堝保持台は、前記増径部を保持し、
    前記増径部は、上部領域と下部領域とからなり、
    前記上部領域は、前記坩堝保持台と離間し、
    前記下部領域は、前記坩堝保持台と接触している、ヒ化ガリウム単結晶の製造方法。
  2. 前記増径部は、前記上部領域の表面積をS(A1)、前記下部領域の表面積をS(A2)としたとき、下記式Iを満たす、請求項1に記載のヒ化ガリウム単結晶の製造方法。
    0.2≦S(A2)/(S(A1)+S(A2))≦0.6 式I
  3. 前記上部領域は、前記ヒ化ガリウム単結晶の成長方向に対し垂直な方向において前記坩堝保持台と対向している、請求項1または請求項2に記載のヒ化ガリウム単結晶の製造方法。
  4. 前記坩堝保持台は、単一の材料からなる、請求項1または請求項2に記載のヒ化ガリウム単結晶の製造方法。
  5. 前記材料は、石英からなる、請求項4に記載のヒ化ガリウム単結晶の製造方法。
  6. 前記材料は、不透明である、請求項4に記載のヒ化ガリウム単結晶の製造方法。
  7. 円形状の主表面を有するヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法であって、
    前記製造方法は、請求項1または請求項2に記載のヒ化ガリウム単結晶の製造方法により得られる前記ヒ化ガリウム単結晶を円盤状に切断し、かつ加工することによってヒ化ガリウム単結晶基板を得る工程を備える、ヒ化ガリウム単結晶基板の製造方法。
  8. 円形状の主表面を有するヒ化ガリウム単結晶基板であって、
    前記ヒ化ガリウム単結晶基板の直径は、200mm以上210mm以下であり、
    前記主表面は、ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面であり、
    前記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向であり、
    前記主表面の転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下であり、
    前記主表面上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、前記格子を構成する前記正方形の総数に対する、前記正方形内に転位が存在しない前記正方形の数の比率は、98.04%以上であり、
    前記ヒ化ガリウム単結晶基板は、ケイ素を含み、
    前記ケイ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下であり、
    前記ヒ化ガリウム単結晶基板のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である、ヒ化ガリウム単結晶基板。
  9. 前記ヒ化ガリウム単結晶基板は、ホウ素を含み、
    前記ホウ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1019cm-3以下である、請求項8に記載のヒ化ガリウム単結晶基板。
  10. 円柱形状を有するヒ化ガリウム単結晶であって、
    前記ヒ化ガリウム単結晶の表面を形成する円形面の直径は、200mm以上210mm以下であり、
    前記円形面は、前記ヒ化ガリウム単結晶の(100)面から4°以上20°以下のオフ角を有する面であり、
    前記オフ角を有する面のオフ方向は、[01-1]、[0-1-1]、[0-11]、または[011]方向のいずれかの方向であり、
    前記円形面における転位密度の平均値は、0cm-2以上3.77cm-2以下であり、
    前記円形面上に1辺が2mmである正方形を、互いに重なることなく最も多く並列するように敷き詰めることにより形成した仮想の格子において、前記格子を構成する前記正方形の総数に対する、前記正方形内に転位が存在しない前記正方形の数の比率は、98.04%以上であり、
    前記ヒ化ガリウム単結晶は、ケイ素を含み、
    前記ケイ素の濃度は、1.0×1018cm-3以上5.0×1019cm-3以下であり、
    前記ヒ化ガリウム単結晶のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上4.0×1018cm-3以下である、ヒ化ガリウム単結晶。
  11. 前記円柱形状の軸方向の長さは、40mm以上110mm以下である、請求項10に記載のヒ化ガリウム単結晶。
  12. 前記ヒ化ガリウム単結晶の一方端のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上1.5×1018cm-3以下であり、
    前記ヒ化ガリウム単結晶の他方端のキャリア濃度は、1.5×1018cm-3以上3.5×1018cm-3以下である、請求項10に記載のヒ化ガリウム単結晶。
  13. 前記ヒ化ガリウム単結晶の一方端のキャリア濃度は、0.8×1018cm-3以上1.5×1018cm-3以下であり、
    前記ヒ化ガリウム単結晶の他方端のキャリア濃度は、1.5×1018cm-3以上3.5×1018cm-3以下である、請求項11に記載のヒ化ガリウム単結晶。
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