以下、本発明を具体的な実施の形態に即して詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に束縛されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の形態で実施することが可能である。
なお、本発明において任意の数値範囲規定について複数の上限値及び/又は複数の下限値を示す場合、特に明示されない場合であっても少なくとも上限規定の最大値と下限規定の最小値とを組み合わせた数値範囲規定が直接的に記載されており、さらに当該上限値のうち任意の上限値と当該下限値のうち任意の下限値とを組み合わせて得られる全ての数値範囲が本発明の対象として意図される。例えば、「通常0.1質量%以上、中でも0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.5質量%以上、又は1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、また、通常15質量%未満、中でも14質量%以下、又は13質量%以下、又は12質量%以下、又は11質量%以下、又は10質量%以下」との記載は、開示された上限と下限とを任意で組み合わせて得られる全ての数値範囲、即ち、0.1質量%以上15質量%未満、0.1質量%以上14質量%以下、0.1質量%以上13質量%以下、0.1質量%以上12質量%以下、0.1質量%以上11質量%以下、0.1質量%以上10質量%以下、0.2質量%以上15質量%未満、0.2質量%超14質量%以下、0.2質量%以上13質量%以下、0.2質量%以上12質量%以下、0.2質量%以上11質量%以下、0.2質量%以上10質量%以下、0.3質量%以上15質量%未満、0.3質量%以上14質量%以下、0.3質量%以上13質量%以下、0.3質量%以上12質量%以下、0.3質量%以上11質量%以下、0.3質量%以上10質量%以下、0.5質量%以上15質量%未満、0.5質量%以上14質量%以下、0.5質量%以上13質量%以下、0.5質量%以上12質量%以下、0.5質量%以上11質量%以下、0.5質量%以上10質量%以下、1質量%以上15質量%未満、1質量%以上14質量%以下、1質量%以上13質量%以下、1質量%以上12質量%以下、1質量%以上11質量%以下、1質量%以上10質量%以下、2質量%以上15質量%未満、2質量%以上14質量%以下、2質量%以上13質量%以下、2質量%以上12質量%以下、2質量%以上11質量%以下、2質量%以上10質量%以下、3質量%以上15質量%未満、3質量%以上14質量%以下、3質量%以上13質量%以下、3質量%以上12質量%以下、3質量%以上11質量%以下、及び3質量%以上10質量%以下の全てが本発明の対象に含まれることを意味する。
また、本開示において「湿潤質量換算」(単に「湿潤質量基準」と称する場合もある。)とは、試料の水分を含む湿潤質量を分母、試料中の対象成分の含有質量を分子として算出される、試料中の対象成分の含有比率を表す。また、本開示において「乾燥質量換算」(単に「乾燥質量基準」と称する場合もある)とは、試料の水分を除く乾燥質量を分母、試料中の対象成分の含有質量を分子として算出される、試料中の対象成分の含有比率を表す。また、本発明における割合規定において、特に指定なく単に「質量%」と記載される場合、「湿潤質量換算」の割合を表す。
本発明において「乾量基準含水率」とは、本発明の組成物の原料に由来する水分量と別途添加した水分量の合計量の、固形分の合計量に対する割合を意味する。その数値は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、減圧加熱乾燥法で90℃に加温することで測定する。具体的には、予め恒量になったはかり容器(W0)に適量の試料を採取して秤量し(W1)、常圧において、所定の温度(より詳しくは90℃)に調節した減圧電気定温乾燥器中に、はかり容器の蓋をとるか、口を開けた状態で入れ、扉を閉じ、真空ポンプを作動させて、所定の減圧度において一定時間乾燥し、真空ポンプを止め、乾燥空気を送って常圧に戻し、はかり容器を取り出し、蓋をしてデシケーター中で放冷後、質量をはかる。そのようにして恒量になるまで乾燥、放冷、秤量する(W2)ことを繰り返し、次の計算式で水分含量(乾量基準含水率)(質量%)を求める。なお、湿潤基準含水率(質量%)は、(W1-W2)/(W1-W0)によって求めることができる。
〔式中、W0は恒量としたはかり容器の質量(g)を示し、W1は試料を入れたはかり容器の乾燥前の質量(g)を示し、W2は試料を入れたはかり容器の乾燥後の質量(g)を示す。〕
[I.固形状食品組成物の製造方法]
<概要>
本発明の一側面によれば、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のでんぷんを含有する固形状食品組成物を製造する方法であって、下記段階(i)~(iv)を含む製造方法が提供される(以下適宜「本発明の製造方法」と称する)。
(i)水性媒体を用意する段階。
(ii)後述の所定の特徴を充足する基礎固形状組成物を用意する段階。
(iii)段階(ii)の基礎固形状組成物を段階(i)の水性媒体に浸漬して固形状組成物とする段階。
(iv)段階(iii)において水性媒体に浸漬された固形状組成物を所定の条件で高温加圧処理する段階。
<段階(i):水性媒体の用意>
・水性媒体の組成:
本段階では水性媒体を用意する。本開示において「水性媒体」とは、水を主成分とする液体からなる媒体である。水性媒体の水分の割合は、下限が例えば50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上であり、上限は特に制限されないが、例えば100質量%、又は100質量%以下とすることができる。水性媒体の例としては、制限されるものではないが、水又は水を主成分とする調味液等が挙げられる。
一態様によれば、水性媒体が水として純水及び/又は超純水を含んでいてもよい。水性媒体が純水及び/又は超純水を含む場合、その合計質量が配合する水全体の質量に対して50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は100質量%であってもよい。また、水性媒体全体の水分質量に対して、純水及び/又は超純水の合計質量が上記規定を充足する態様であってもよい。本開示において「純水」とは、不純物が少ない水のことを意味する。また、本開示において「超純水」とは、純水よりも不純物の少ない、比抵抗値が18 MΩ・cm以上の水のことを指す。本発明において使用する純水及び超純水の精製方法には特に制限は無いが、例えば、水道水や井戸水などの不純物が含まれる水を逆浸透膜やイオン交換樹脂、蒸留などによって水中の不純物を取り除くことで得られる。
・基礎調味液:
一態様によれば、水性媒体としては、基礎調味液を用いることができる。本開示において「基礎調味液」とは、本発明の調味液の前駆体であって、浸漬及び高温加圧処理を経て調味液となる組成物を意味する。一態様によれば、基礎調味液をそのまま水性媒体として用いてもよい。この場合、段階(iii)の浸漬及び段階(iv)の高温加圧処理を経て得られた調味液が、喫食時にそのまま調味液となる。一態様によれば、基礎調味液を希釈して水性媒体として用いてもよい。この場合、段階(iii)の浸漬及び段階(iv)の高温加圧処理を経て得られた希釈調味液を、喫食時に必要に応じて加熱すると共に濃縮(例えば調味液の加熱沸騰により濃縮)することにより、調味液とすることができる。また、一態様によれば、濃縮状態の基礎調味液を水性媒体として用いてもよい。この場合、段階(iii)の浸漬及び段階(iv)の高温加圧処理を経て得られた濃縮調味液を、喫食時に必要に応じて加熱すると共に水等の媒体で希釈することにより調味液とすることができる。
基礎調味液の塩化ナトリウム含有量は、所定範囲内であることが好ましい。具体的には、基礎調味液の塩化ナトリウム含有量の上限を所定値以下とすることにより、所定の与圧条件下で高温処理することで、基礎固形状組成物に速やかに水分移行が起こり、組成物中のでんぷん老化が促進されることで加熱調理適性が高い組成物となるため好ましい。その原理は不明であるが、基礎調味液の塩化ナトリウム含有量が少ないことで、浸透圧により基礎固形状組成物に速やかに水分移行が起こると考えられる。また、でんぷん老化に伴って、2ペンチルフランをはじめとする香気成分がでんぷん内に固定され、ムレ臭が抑制された呈味の好ましい組成物となるため好ましい。具体的に、当該含有量は、限定されるものではないが、例えば0.1質量%以上10質量%未満であってもよい。より具体的にその上限は特に制限されないが、例えば10質量%未満、又は9.0質量%以下、又は8.0質量%以下、又は7.0質量%以下、又は6.0質量%以下、又は5.0質量%以下、又は4.0質量%以下、又は3.0質量%以下とすることができる。また、その下限は特に制限されないが、例えば0.1質量%以上、又は0.3質量%以上、又は0.5質量%以上、又は0.7質量%以上、又は0.8質量%以上とすることができる。また、水性媒体の塩化ナトリウム含有量が上記規定を充足することであってもよい。また、水性媒体の塩化ナトリウム含有量が上記規定を充足するように濃縮された状態の基礎調味液を用いる態様であってもよい。
基礎調味液の油脂含有量は、所定範囲内であることが好ましい。具体的には、基礎調味液の油脂含有量の下限を所定値以上とすることにより、所定の与圧条件下で高温処理することで、基礎固形状組成物に速やかに水分移行が起こり、組成物中のでんぷん老化が促進されることで加熱調理適性が高い組成物となるため好ましい。また、でんぷん老化に伴って、2ペンチルフランをはじめとする香気成分がでんぷん内に固定され、ムレ臭が抑制された呈味の好ましい組成物となるため好ましい。具体的に、当該含有量は、限定されるものではないが、例えば0.1質量%以上10質量%以下であってもよい。より具体的にその上限は特に制限されないが、例えば10質量%以下、9.0質量%以下、又は8.0質量%以下、又は7.0質量%以下、又は6.0質量%以下、又は5.0質量%以下とすることができる。また、その下限は特に制限されないが、例えば1.0質量%以上、又は1.2質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上とすることができる。
・香気成分:
一態様によれば、水性媒体は、2ペンチルフラン(CAS.No.3777-69-3、2-Pentylfuran)を湿潤質量換算で0.01質量ppb以上含有することが好ましい。具体的には、水性媒体(好ましくは基礎調味液)の2ペンチルフランを所定量含有することで、段階(iv)の高温加圧処理時において、固形状組成物に2ペンチルフランが移行し、ムレ臭が抑制された呈味の好ましい組成物となるため好ましい。具体的に、その下限は特に制限されないが、例えば0.01質量ppb以上、又は0.05質量ppb以上、又は0.1質量ppb以上、又は0.2質量ppb以上、又は0.3質量ppb以上、又は0.4質量ppb以上、又は0.5質量ppb以上、又は0.6質量ppb以上、又は0.7質量ppb以上、又は0.8質量ppb以上、又は0.9質量ppb以上、又は1.0質量ppb以上とすることができる。また、2ペンチルフランが濃すぎるとその香りが目立ちすぎる場合があるため、その上限は特に制限されないが、湿潤質量換算で、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下とすることができる。
なお、本発明における2ペンチルフランとしては、本発明の組成物の原料となる食用植物等の食材に含まれるものであってもよく、当該食材とは別に添加されるものであってもよく、本発明の組成物の製造に伴い生じるものであってもよく、それらが組み合わさった合計量が所定の含有量及び/又は割合となっていればよい。当該成分を食材とは別に添加する場合、2ペンチルフランが組成物に含有された状態であっても、精製抽出された高純度の試薬の状態であってもよい。なお、後述するノナナールについても同様である。
本発明において、2ペンチルフラン、ノナナール等の各成分の含有量又はピーク面積の測定は、定法に従い、ダイナミックヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析(これを適宜「DHS-GC/MS」とする。)法及び/又はパルス式炎光光度検出(PFPD)法によって行うことができる。
DHS-GC/MS法は、測定試料をDHS(ダイナミックヘッドスペース)法(気相の揮発性成分を不活性ガスで強制的にパージを行い、揮発性成分を吸着剤に捕集する動的な抽出方法)によって揮発させた後、ガスクロマトグラフ質量分析(GS/MS)法によって測定を行う方法である。具体的な手順としては、例えば、試料を10mL平底のバイアルに少量(1g)計り取った後に密閉し、窒素ガスパージによって揮発させた試料を、分析成分の性質に応じた吸着樹脂(Tenaxカラム等)で吸着した後、加熱脱着システムを用いて処理することでガスクロマトグラフィー分析装置に導入し、分析を行うことができる。また、試料中の成分含有量を測定するためには、試料と任意含有量に希釈した標準品試料とを分析し、両試料の確認イオンピーク面積の積分結果を把握し、その値を比較することで、試料中の当該成分含有量を測定することができる。
上記分析後、試料の一部を質量分析計にかけてマススペクトルを求め、各成分の関連イオン(2-ペンチルフラン:m/z=81、82、138.1、ノナナール:82、95、98)で成分の保持時間の確認を行う。質量分析計(MS)としては、四重極型の5977 Mass Selective Detector(Agilent社製)を用いる。イオン化法、イオン化電圧は、イオン化法:EI+、イオン化電圧:70eVの条件で行い、結果はスキャンモードで取り込み、各成分に特徴的なイオン(2-ペンチルフラン:m/z=81、82、138.1、ノナナール:82、95、98)を関連イオンとして用いて同定を行うことで質量スペクトル解析を行うことができ、標準品においてこれら関連イオンが全て検出される保持時間を特定することで、2-ペンチルフラン及びノナナールの保持時間を特定することができる。尚、本発明における「m/z」とは、各成分のm/z中心値における-0.3~+0.7の範囲において検出された値をいう。例えば、m/z=81は80.7~81.7において検出されたイオンピーク面積の累積値を表している。
具体的には、基礎固形状組成物、固形状組成物及び水性媒体の試料を、例えば小型ヒスコトロン(マイクロテックニチオン社製ホモジナイザーNS-310E3)等を用いて粥状の性状となるまで処理(通常は10000rpmで15秒程度)した後、DHS-GC/MS法による分析に供する。DHS-GC/MS分析の具体的な条件は、例えば以下のとおりである。なお、本分析に関しては、後述する二次元GC/MS分析との対比で、「一次元GC/MS分析」と称する場合がある。
[GC/MS条件]
(ダイナミックヘッドスペース(dynamic headspace:DHS)注入法)
・装置:Agilent社製7890B(GC)、5977B(MS)
Gester社製 MultiPurpose Sampler(auto-sampler)
・吸着樹脂:TENAX
・インキュベーション温度:80℃
・窒素ガスパージ量:60mL
・窒素ガスパージ流量:10mL/分
・TDU:[30℃]-[210℃/分]-[240℃(3分)]
・CIS:[10℃]-[12℃/秒]-[240℃]
(ライナー充填剤:TENAX)
・カラム:Gester社製DB-WAX(長さ:30m×内径:250μm×膜厚:0.25μm)
・カラム温度:[40℃(3分)]-[5℃/分]-[240℃(7分)]
・キャリアガス:He
・トランスファーライン:250℃
・イオン源温度:230℃
・スキャンパラメータ:m/z=28.7~300
・スプリット:なし
また、試料の一部をパルス式炎光光度検出(PFPD)法に供し、サンプル中の硫黄化合物を分析することで、サンプル中のごく低含有量の含硫化合物を検出することができる。PFPD法による分析は、パルス式炎光光度検出器により行うことができる。一般的なパルス式炎光光度検出器であれば、任意のものを使用可能であるが、例としてはOI Analytical 5380 Pulsed Flame Photometric Detector(OI Analytical社製)を挙げることができる。試料の分析は、Sモード(硫黄に最適化した条件)にて行うことができる。
上記の条件にて、既知含有量の香気成分の各標品を、蒸留水で適当な濃度に希釈したものを試料に添加して分析に供する。パルス式炎光光度検出器は物質を還元水素炎中で燃焼させ、その際発生する394nmの特定波長の光を検出することで硫黄化合物のみを選択的に検出することができ、極微量の硫黄成分をも検出することができる。また、その高い選択性を利用して、極微量の硫黄化合物の検出に使用することができる。このパルス式炎光光度検出器による高感度硫黄成分検出能と質量分析計のマススペクトルパターンに基づく定性的な分析(測定サンプルと標品における関連イオン分布の比較によって、関連イオンが共に有意に検出される保持時間を、各成分の保持時間として認定する。)と匂いかぎ分析による香気特徴による判別を組み合わせることで、検出されたピークの香気成分を判定することができる。
上記の条件にて、含有量既知の2-ペンチルフラン(CAS.No.3777-69-3、2-Pentylfuran、東京化成工業社製、製品コード:P1209)、ノナナール(CAS.No.124-19-6、nonanal、東京化成工業社製、製品コード:N0296)の標品を蒸留水で適当な含有量に希釈したものと試料とを分析に供する。質量分析計のマススペクトルパターンに基づく分析によって、測定条件によって多少のずれはあるものの、標準品保持時間との比較によって、ターゲット成分と思しきピークの保持時間付近における、それらの希釈標品と試料との確認イオン(2-ペンチルフラン:m/z=138.1、ノナナール:m/z=98)量のピーク面積積分結果の比較によって、試料中の成分の定量を行うことができる。
更に、上記の条件で一次元GC/MS分析を行い、ターゲット成分と思しきピークの保持時間付近をハートカットして異なる性質のカラムで二次元ガスクロマトグラフィーを実施することによって、より精緻に当該成分含有量の定量を行うことができるため、特に好ましい。具体的には二次元ガスクロマトグラフィー分析は以下のような条件で行うことができる。なお、当該二次元GC/MS分析における保持時間は、カラム昇温開始時点を0分として算出するため、一次元GC/MS分析時とは異なる値となるが、標準品との分析結果比較によってその保持時間を把握することができる。
[二次元GC/MS条件]
・CTS:[-150℃]-[10℃/秒]-[250℃]
・カラム:Gester社製DB-5(10m×180μm×0.4μm)
・カラム温度:[40℃(0分)]-[40℃/分]-[240℃(15分)]
・キャリアガス:He
<段階(ii):基礎固形状組成物の用意>
本段階では、基礎固形状組成物を用意する。本開示において「基礎固形状組成物」とは、本発明の固形状食品組成物の前駆体であって、段階(iii)の水性媒体への浸漬及び段階(iv)の高温加圧処理を経て発明の固形状食品組成物となる組成物を意味する。
・基礎固形状組成物の食物繊維含有量
基礎固形状組成物の食物繊維の湿潤質量換算割合は、下限は例えば通常0.5質量%以上、上限は制限されるものではないが、例えば40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常0.5質量%以上である。中でも0.7質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、特に5.0質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。
また、上記食物繊維に関する規定が、可溶性食物繊維及び/又は不溶性食物繊維においても充足されることが好ましい。即ち、基礎固形状組成物における可溶性食物繊維及び/又は不溶性食物繊維の湿潤質量換算割合は、例えば通常0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常0.5質量%以上、中でも0.7質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、特に5.0質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。
また、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来の食物繊維(好ましくは可溶性食物繊維及び/又は不溶性食物繊維)が上記規定を充足することが好ましい。即ち、基礎固形状組成物における食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来の食物繊維(好ましくは可溶性食物繊維及び/又は不溶性食物繊維)の湿潤質量換算割合は、例えば通常0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常0.5質量%以上、中でも0.7質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、特に5.0質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。
・基礎固形状組成物のでんぷん含有量
基礎固形状組成物のでんぷん含有量は、湿潤質量換算で、下限は例えば通常1.0質量%以上、上限は制限されるものではないが、例えば80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常1.0質量%以上である。中でも1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は10.0質量%以上、又は15.0質量%以上、又は20.0質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常80質量%以下、又は75質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。また、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のでんぷんが上記規定を充足することが好ましい。
また、基礎固形状組成物は、でんぷんとして、少なくとも食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)に由来するでんぷんを含有する。即ち、基礎固形状組成物は、食用植物に由来するでんぷん(特に豆類に由来するでんぷん、及び、雑穀類に由来するでんぷんのうち、少なくとも一方又は双方)を含有する。豆類及び雑穀類については後に詳述する。
基礎固形状組成物は、食用植物由来でんぷんを含有する。すなわち、豆類及び/又は雑穀類由来でんぷんに加えて、その他のでんぷんを含んでいてもよい。その他のでんぷんとしては、豆類及び/又は雑穀類以外の食用植物由来のでんぷんや、合成でんぷん等が挙げられるが、食用植物由来のでんぷんが好ましい。但し、固形状組成物中の総でんぷん含有量に対する、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来でんぷん含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。基礎固形状組成物における食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来でんぷんが前記所定値以上であることで、本発明の効果が奏されやすくなる。また、加熱調理中及び/又は加熱調理後に固形状組成物内部の成分が流出しにくいという効果が得られる場合がある。また、基礎固形状組成物中の総でんぷん含有量に対する、食用植物由来でんぷん含有量の比率が上記割合を充足してもよく、豆類由来でんぷん含有量の比率が上記割合を充足してもよく、雑穀類由来でんぷん含有量の比率が上記割合を充足してもよく、豆類由来でんぷん及び雑穀類由来でんぷんの合計含有量の比率が上記割合を充足してもよい。
基礎固形状組成物中の(豆類及び/又は雑穀類由来でんぷん及びその他のでんぷんを含む)総でんぷん含有量は、制限されないが、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば30質量%以上、又は35質量%以上であることが好ましい。その上限は特に制限されず、通常100質量%以下であるが、例えば90質量%以下、又は80質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。
基礎固形状組成物中のでんぷんは、単離された純品として組成物に配合されたものであってもよいが、食用植物に含有された状態で組成物に配合されていることが好ましい。具体的には、基礎固形状組成物全体の総でんぷん含有量に対する、食用植物に含有された状態で配合されているでんぷん含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。基礎固形状組成物において、食用植物に含有された状態で配合されているでんぷんが前記所定値以上であることで、本発明の効果が奏されやすくなる。また、加熱調理中及び/又は加熱調理後に固形状組成物内部の成分が流出しにくいという効果が得られる場合がある。
中でも、基礎固形状組成物中のでんぷんは、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)に含有された状態で組成物に配合されていることが好ましい。具体的には、基礎固形状組成物全体の総でんぷん含有量に対する、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)に含有された状態で配合されているでんぷん含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。基礎固形状組成物において、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)に含有された状態で配合されているでんぷんが前記所定値以上であることで、本発明の効果が奏されやすくなる。また、加熱調理中及び/又は加熱調理後に固形状組成物内部の成分が流出しにくいという効果が得られる場合がある。
また、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)に含有された状態ででんぷんが基礎固形状組成物に配合される場合、さらに「食用植物(不溶性食物繊維局在部位)の粒子径」において規定されるサイズの食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)の不溶性食物繊維局在部位微細化処理物を含有することが好ましく、当該不溶性食物繊維局在部位がオーツ麦、きびにおける不溶性食物繊維局在部位であることが好ましい。特に、当該不溶性食物繊維局在部位が成熟した豆類における不溶性食物繊維局在部位であることが好ましく、さらには当該不溶性食物繊維局在部位が、エンドウにおける不溶性食物繊維局在部位(例えば豆類可食部に付着した薄い種皮(「hull」と呼ばれる場合がある)又は鞘(「pod」と呼ばれる場合がある))であることが好ましい。また、同一種類の食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)における不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物と食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のでんぷんとを共に含有することが好ましい。また、不溶性食物繊維局在部位の微細化処理物は、食材から不溶性食物繊維局在部位を分離した後に微細化処理を施したものを基礎固形状組成物に含有させてもよいし、不溶性食物繊維局在部位を含む不溶性食物繊維含有食材の状態で微細化処理を施したものを基礎固形状組成物に含有させてもよいし、その二つを組み合わせたものを基礎固形状組成物に含有させてもよい。
一態様によれば、基礎固形状組成物中におけるコメ、小麦、及び/又は大麦(好ましくは小麦及び/又は大麦)に由来するでんぷんの合計含有量が、所定範囲内であることが好ましい。具体的には、基礎固形状組成物全体の総でんぷん含有量に対する、コメ、小麦、及び/又は大麦(好ましくは小麦及び/又は大麦)に由来するでんぷんの合計含有量の比率が、例えば0質量%以上、10質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、当該比率の上限は、通常10質量%以下、又は9質量%以下、又は8質量%以下、又は7質量%以下、又は6質量%以下、又は5質量%以下、又は4質量%以下、又は3質量%以下、又は2質量%以下、又は1質量%以下、特には実質的に含有されない(具体的には、一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量である)又は含有されないことが望ましい。一方、当該比率の下限は特に制限されないが、通常0質量%、又は0質量%以上とすることができる。
なお、組成物中のでんぷん含有量は、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に準じ、AOAC996.11の方法に従い、80%エタノール抽出処理により、測定値に影響する可溶性炭水化物(ぶどう糖、麦芽糖、マルトデキストリン等)を除去した方法で測定する。また、組成物中のでんぷん糊化度は、関税中央分析所報を一部改変したグルコアミラーゼ第2法(Japan Food Research Laboratories社メソッドに従う:https://web.archive.org/web/20200611054551/https://www.jfrl.or.jp/storage/file/221.pdf)を用いて測定する。
・基礎固形状組成物のタンパク質含有量
基礎固形状組成物のタンパク質の湿潤質量換算割合は、下限は例えば通常0.5質量%以上、上限は制限されるものではないが、例えば40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常0.5質量%以上である。中でも1.0質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は12質量%以上、又は13質量%以上、又は14質量%以上、又は15質量%以上、又は16質量%以上、又は17質量%以上、又は18質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。また、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のタンパク質が上記規定を充足することが好ましい。
・基礎固形状組成物の湿潤基準含水率
基礎固形状組成物の湿潤基準含水率は、上限は例えば通常50質量%未満、下限は制限されるものではないが、例えば0質量%以上の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は通常50質量%未満である。中でも例えば48質量%未満、又は46質量%未満、又は43質量%未満、又は40質量%未満とすることが好ましい。その下限は特に制限されないが、例えば0質量%以上、又は1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は16質量%以上、又は18質量%以上、又は20質量%以上、又は22質量%以上とすることができる。
ここで、基礎固形状組成物における食物繊維(好ましくは可溶性食物繊維及び/又は不溶性食物繊維)、でんぷん、及びタンパク質の含有量、並びに含水率は、水を含んだ状態の基礎固形状組成物全体の質量を分母、各成分の含有量を分子として算出される湿潤質量換算割合であり、原料となる食用植物(例えば豆類及び/又は雑穀類)等に由来する各成分が規定の値以上となるように調整することができる。すなわち、本発明において、「湿潤質量換算割合」(単に「湿潤質量基準割合」「湿潤質量基準」「湿潤質量換算」又は「湿量基準」と称する場合もある。)とは、組成物や各画分の水分を含んだ湿潤質量を分母、各対象成分や対象物の含有量を分子として算出される、各成分等の含有割合を表す。
・基礎固形状組成物のでんぷん糊化度
基礎固形状組成物のでんぷんは、予め高度に糊化されたでんぷんを使用することが好ましい。具体的には、基礎固形状組成物のでんぷん糊化度は、下限は通常40質量%以上であり、上限は制限されるものではないが、例えば100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常40質量%以上である。中でも50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下である。
また、基礎固形状組成物中のでんぷんは、予め一定以上の温度で加熱されたでんぷんであることが好ましい。例えば、本発明において、基礎固形状組成物に含まれるでんぷんが、乾量基準含水率25質量%以上(又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上)の含水条件下において、最高到達温度100℃以上で予め加熱されたでんぷんであることが好ましい。より具体的には、基礎固形状組成物中のでんぷんは、例えば予め通常100℃以上200℃以下の範囲で加熱されたでんぷんとすることができる。より具体的に、基礎固形状組成物中のでんぷんは、予め通常100℃以上、又は110℃以上、又は120℃以上の最高到達温度で加熱されたでんぷんであることが好ましい。でんぷんの予加熱温度の上限は特に制限されないが、通常200℃以下、又は180℃以下とすることができる。より好ましくは、上記温度範囲での加熱は、乾量基準含水率25質量%以上の含水条件下において実施するのが好ましい。
また、当該予加熱に際して、乾量基準含水率が一定未満の状態で高温加熱されたでんぷんは、熱分解によって加工性の低い特性を有する。よって、基礎固形状組成物中のでんぷんは、一定以上の乾量基準含水率下で加熱されたでんぷんであることが更に好ましい。具体的には、基礎固形状組成物に使用されるでんぷんの予加熱時の乾量基準含水率は、例えば40質量%以上200質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常40質量%以上、中でも45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、特に80質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常200質量%以下、又は175質量%以下、又は150質量%以下とすることができる。
また、当該でんぷんは、食用植物(好ましくは豆類及び/又は雑穀類)に由来するでんぷんであることが好ましく、食用植物(好ましくは豆類及び/又は雑穀類)に含有された状態のでんぷんであることがさらに好ましい。また、組成物全体の総でんぷん含有量に対する、当該食用植物(好ましくは豆類及び/又は雑穀類)由来でんぷん含有量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限が通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。
・基礎固形状組成物のでんぷん粒構造:
基礎固形状組成物は、特定の条件下で観察されるでんぷん粒構造の数が所定値以下であることを特徴の一つとする。これにより、所定の与圧条件下で高温処理することで、基礎固形状食品組成物に多量の水分移行が起こることで、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが出来るため好ましい。また、多量の水分移行が起こることで、組成物中のでんぷん老化が促進され、加熱調理適性が高い組成物となるため好ましい。その原理は不明であるが、でんぷん粒構造が破壊された状態となることで、水分の浸透が阻害されにくい構造となるためと考えられる。また、でんぷん老化に伴って、2ペンチルフランをはじめとする香気成分がでんぷん内に固定され、ムレ臭が抑制された風味の好ましい組成物となるため好ましい。
でんぷん粒構造とは、平面画像中で直径1~50μm程度の円状の形状を有する、よう素染色性を有する構造であり、例えば、組成物の粉砕物を水に懸濁してなる6質量%の水懸濁液を調製し、拡大視野の下で観察することができる。具体的には、組成物の粉砕物を目開き150μmの篩で分級し、150μmパスの組成物粉末3mgを水50μLに懸濁することにより、組成物粉末の6質量%懸濁液を調製する。本懸濁液を載置したプレパラートを作製し、位相差顕微鏡にて偏光観察するか、又はよう素染色したものを光学顕微鏡にて観察すればよい。拡大率は制限されないが、例えば拡大倍率100倍又は200倍とすることができる。プレパラートにおけるでんぷん粒構造の分布が一様である場合は、代表視野を観察することでプレパラート全体のでんぷん粒構造の割合を推定することができるが、その分布に偏りが認められる場合は、有限の(例えば2箇所以上、例えば5箇所又は10箇所の)視野を観察し、観察結果を合算することで、プレパラート全体の測定値とすることができる。
具体的に、基礎固形状組成物は、下記のでんぷん粒構造に関する要件(a)及び/又は(b)を充足することが好ましい。
(a)組成物の粉砕物の6%懸濁液を観察した場合に認められるでんぷん粒構造が、300個/mm2以下である。
(b)ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて14質量%の組成物粉砕物水スラリーを50℃から140℃まで昇温速度12.5℃/分で昇温して測定した場合の糊化ピーク温度が120℃未満である。
前記要件(a)については、具体的に、本発明の組成物は、前記条件下で観察されたでんぷん粒構造の数が、例えば0個/mm2以上300個/mm2以下の範囲とすることができる。より具体的に、本発明の組成物の当該でんぷん粒構造の数は通常300個/mm2以下、中でも250個/mm2以下、又は200個/mm2以下、又は150個/mm2以下、又は100個/mm2以下、又は50個/mm2以下、又は30個/mm2以下、又は10個/mm2以下、特に0個/mm2であることが好ましい。
前記(b)については、本発明の組成物は、後述の条件下でラピッドビスコアナライザー(RVA)により測定された組成物の糊化ピーク温度が、例えば50℃以上120℃未満の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は通常120℃未満、中でも115℃以下、又は110℃以下、又は105℃以下、又は100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は85℃以下、又は80℃以下であることが好ましい。一方、その下限は特に制限されないが、通常50℃以上、又は55℃以上、又は60℃以上とすることができる。なお、ラピッドビスコアナライザー(RVA)及びその測定条件については後述する。
なお、本発明において「組成物の粉砕物」、「組成物粉砕物」又は「粉砕組成物」とは、特に断りがない限り、後述する単位体積当たり比表面積と同様の方法で測定した場合における超音波処理後の粒子径d50及び/又はd90(好ましくは粒子径d50及びd90の双方)が1000μm以下、又は750μm以下、又は500μm以下程度となるように粉砕した組成物を意味する。なお、超音波処理後の粒子径d50及び/又はd90(好ましくは粒子径d50及びd90の双方)の下限は特に限定されないが、通常1μm以上であることが好ましい。
・基礎固形状組成物の原料:
基礎固形状組成物の原料は特に制限されないが、少なくとも1種の食用植物を含むことが好ましい。食用植物の種類は特に制限されないが、少なくとも1種の乾燥食用植物、即ち、乾量基準含水率が25%未満、好ましくは20%未満、更に好ましくは15%未満、その下限は特に制限されないが通常0質量%以上であり、且つ、水分活性値が0.85以下、好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.75以下、その下限は特に制限されないが通常0.10以上である食用植物を含むことが好ましい。また、食用植物としては、微細化・粉末化したものを用いることが好ましい。また、具体的な食用植物としては、少なくとも1種の豆類及び/又は雑穀類を含むことが好ましい。但し、基礎固形状組成物の原料はこれに制限されるものではなく、後述する各種特性が満たされる限りにおいて、豆類又は雑穀類以外の食用植物や、その他の原料を併用してもよい。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として豆類を用いる場合、豆類の種類は限定されないが、未熟種子(例えばエンドウ未熟種子であるグリーンピースや、大豆の未熟種子であるエダマメ)よりも、成熟した豆類を用いることが好ましい。また、同様の理由により、成熟に伴って乾量基準含水率が所定値以下となっている状態の豆類であることが好ましい。具体的に、でんぷんの由来となる豆類の乾量基準含水率は、例えば0.01質量%以上、15質量%未満の範囲とすることができる。より具体的に、当該割合の上限は、通常15質量%未満、又は13質量%未満、又は11質量%未満、又は10質量%未満であることが好ましい。一方、斯かる豆類の乾量基準含水率の下限は、特に制限されないが、通常0.01質量%以上とすることができる。
・食用植物:
本発明の食用植物は、食用植物加工品を含有してもよい。食用植物加工品の形態は、液体状でも固体状でもペースト状でもよいが、通常は4メッシュパスの画分に含有される。よって、食用植物加工品は、調味液の一部を構成することになる。また、食用植物加工品の粒子の大部分(例えば80質量%以上)のサイズが200メッシュオンであることが好ましい。具体的には、本発明の食品組成物の4メッシュパス画分に相当する調味液を更に200メッシュの篩で篩分けした場合に、200メッシュオンとなる画分の質量比率(後述する[食用植物加工品]/[調味液]の質量比率)が所定の割合以上であることが好ましい。詳しくは後述する。
食用植物の種類は、制限されないが、一態様によれば、穀類、イモ類、豆類、種実類、野菜類、果実類、及びきのこ類から選ばれる1種以上の食用食物を使用することができる。これらの具体例を以下に挙げる。
穀類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、アマランサス、アワ、エンバク、オオムギ、キビ、キヌア、コムギ、コメ、サトウキビ、ソバ、コーン(トウモロコシ)、ハトムギ、ヒエ、フォニオ、モロコシ等が挙げられる。中でもコーンが好ましく、特にはスイートコーンが好ましい。
イモ類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、キクイモ、コンニャクイモ、サツマイモ、サトイモ、ミズイモ、ヤツガシラ、ジャガイモ、ヤマノイモ、イチョウイモ、ナガイモ、ヤマトイモ、ジネンジョ、ダイジョ、キャッサバ、ヤーコン、タロイモ、タシロイモ、ムラサキイモ、ヤムイモ等が挙げられる。中でもサツマイモ、ムラサキイモ等が好ましく、特にはサツマイモが好ましい。
豆類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、インゲン、ベニバナインゲン、ウズラマメ、ダイズ、エンドウ、キマメ、緑豆、ササゲ、アズキ、ソラマメ、黒豆、ヒヨコマメ、レンズマメ、ヒラ豆、ラッカセイ、ルピナス豆、グラスピー、イナゴマメ、コーヒー豆、カカオ豆等が挙げられる。中でも、ダイズ、エンドウ、黒豆等が好ましく、特にはダイズ、エンドウが好ましい。なお、エダマメはダイズを未熟な状態で、収穫前に乾燥させずに、鞘ごと収穫したもので、豆が緑色の外観を呈するものである。なお、不溶性食物繊維局在部位は、栄養価(食物繊維)の観点から、成熟した豆類におけるものが好ましく、エンドウにおける不溶性食物繊維局在部位(例えば豆類可食部に付着した薄い種皮(「hull」と呼ばれる場合がある)、又は鞘(「pod」と呼ばれる場合がある))を用いることが好ましい。
種実類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、アーモンド、アサ、アマニ、エゴマ、カシューナッツ、カボチャの種、カヤ、ギンナン、クリ、クルミ、ケシ、ココナツ、ゴマ、シイ、トチ、ハスの実、ヒシ、ピスタチオ、ヒマワリの種、ブラジルナッツ、ヘーゼルナッツ、ペカン、マカダミアナッツ、マツ、ラッカセイが挙げられる。中でも、ゴマ、アーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ等が好ましい。
野菜類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、ニンニク、タマネギ、トマト、ニンジン、セロリ、アーティチョーク、アサツキ、アシタバ、アスパラガス、アロエ、ウリ、サヤインゲン、ウド、トウミョウ、サヤエンドウ、スナップエンドウ、オクラ、カブ、カボチャ、カラシナ、カリフラワー、キク、キャベツ、キュウリ、ギョウジャニンニク、クウシンサイ、クレソン、クワイ、ケール、ゴボウ、コマツナ、ザーサイ、シシトウ、シソ、ササゲ、シュンギク、ショウガ、ズイキ、スグキナ、ズッキーニ、セリ、タアサイ、ダイコン、タカナ、タケノコ、チコリ、チンゲンサイ、トウガラシ、ナス、ナバナ、ニガウリ、ニラ、ノザワナ、ハクサイ、パクチョイ、バジル、パセリ、ビーツ(ビートルート)、ピーマン、フキ、ブロッコリー、ヘチマ、ホウレンソウ、ホースラディッシュ、ミズナ、ミツバ、ミョウガ、モヤシ、キュウリ、モロヘイヤ、ユリネ、ヨモギ、ラッキョウ、ルッコラ、ルバーブ、レタス、レンコン、ワケギ、ワサビ、ワラビ、ハーブ(コリアンダー、セージ、タイム、バジル、オレガノ、ローズマリー、ミント、レモングラス、ディル等)等が挙げられる。中でもニンニク、タマネギ、トマト、ニンジン、セロリ、カボチャ、キャベツ、ケール、パプリカ、ビーツ(ビートルート)、ブロッコリー、及びホウレンソウ等が好ましい。
果実類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、アセロラ、アボカド、アンズ、イチゴ、イチジク、ウメ、カンキツ類(イヨカン、ウンシュウミカン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、レモン等)、オリーブ、カキ、キウイ、グアバ、ココナッツ、ザクロ、スイカ、スモモ、チェリー(サクランボ、ブラックチェリー等)、ナツメ、パイナップル、ハスカップ、バナナ、パパイア、ビワ、ブドウ、ベリー(ブルーベリー、ラズベリー等)、マンゴー、マンゴスチン、メロン、モモ、リンゴ等が挙げられる。中でも、アボカド、イチゴ、ベリー、カンキツ類、マンゴー、パイナップル、ブドウ及びリンゴ等が好ましい。
きのこ類としては、その種類は任意である。具体例としては、これらに限定されないが、シイタケ、マツタケ、キクラゲ、マイタケ、サルノコシカケ、ヒラタケ、エリンギ、エノキタケ、シメジ、ナラタケ、マッシュルーム、ナメコ、アミタケ、ハツタケ、チチタケ等が挙げられる。
なお、前記の食用植物は、何れか1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、食用植物には通常、可食部と不溶性食物繊維局在部位(例えば種皮部又は非可食部)とが存在するが、何れの食用植物についても、可食部のみを使用してもよく、不溶性食物繊維局在部位(例えば種皮部又は非可食部)のみを使用してもよく、可食部と不溶性食物繊維局在部位(例えば種皮部又は非可食部)とを併用してもよい。可食部と不溶性食物繊維局在部位(例えば種皮部又は非可食部)とを併用する場合は、同一の1又は2以上の食用植物に由来する可食部と不溶性食物繊維局在部位(例えば種皮部又は非可食部)との組み合わせであってもよく、ある1又は2以上の食用植物に由来する可食部と、別の1又は2以上の食用植物に由来する不溶性食物繊維局在部位(例えば種皮部又は非可食部)との組み合わせであってもよい。即ち、本発明では、1又は2以上の食用植物の可食部及び/又は不溶性食物繊維局在部位(例えば種皮部又は非可食部)の選択及び組み合わせには何ら制限はない。
なお、本開示において、食用植物の「非可食部」とは、食用植物の通常飲食に適さない部分や、通常の食習慣では廃棄される部分を表し、「可食部」とは、食用植物全体から廃棄部位(非可食部)を除いた部分を表す。また、本発明に使用される食用植物における非可食部の部位や比率は、斯かる食用植物やその加工品を取り扱う当業者であれば、当然に理解することが可能である。例としては、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の「廃棄部位」及び「廃棄率」を参照し、これらをそれぞれ非可食部の部位及び比率として扱うことができる。以下の表Aに、主な食用植物について日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載されている「廃棄部位」及び「廃棄率」(すなわち非可食部の部位及び比率)を挙げる。また、食用植物における非可食部の部位や比率から、可食部の部位や比率についても理解することができる。
一態様によれば、食用植物(特に豆類及び雑穀類)の小麦含有量は、湿潤質量換算で例えば0質量%以上、10質量%以下の範囲であることが好ましい。より具体的に、当該比率の上限は、通常10質量%以下、又は9質量%以下、又は8質量%以下、又は7質量%以下、又は6質量%以下、又は5質量%以下、又は4質量%以下、又は3質量%以下、又は2質量%以下、又は1質量%以下、特には実質的に含有されない(具体的には、一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量である)又は含有されないことが望ましい。一方、当該比率の下限は特に制限されないが、通常0質量%、又は0質量%以上とすることができる。これにより、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが可能となる。その原理は不明であるが、小麦粉を高温加圧処理に供すると、たんぱく(グルテン)が変性し、固形状組成物の弾力が維持されず、食感が好ましくないものになると考えられる。
一態様によれば、食用植物(特に豆類及び雑穀類)のグルテン含有量は、湿潤質量換算で0質量%以上、50質量%以下の範囲であることが好ましい。より具体的に、当該比率の上限は、通常50質量%以下、又は40質量%以下、又は30質量%以下、又は20質量%以下、又は10質量%以下、又は9質量%以下、又は8質量%以下、又は7質量%以下、又は6質量%以下、又は5質量%以下、又は4質量%以下、又は3質量%以下、又は2質量%以下、又は1質量%以下、特には実質的に含有されない(具体的には、一般的な測定方法の下限である1ppm未満の含有量である)又は含有されないことが望ましい。一方、当該比率の下限は特に制限されないが、通常0質量%、又は0質量%以上とすることができる。これにより、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが可能となる。その原理は不明であるが、グルテンを高温加圧処理に供すると、グルテンが変性し、固形状組成物の弾力が維持されず、食感が好ましくないものになると考えられる。
・不溶性食物繊維局在部位
本発明の組成物(特に基礎固形状組成物又は固形状組成物)に食用植物加工品を含有させる場合、食用植物中の種々の部位の中でも、不溶性食物繊維局在部位の加工品を含有させることが好ましい。組成物(特に基礎固形状組成物又は固形状組成物)に食用植物の不溶性食物繊維局在部位を含有させることで、吸水性が向上しやすくなり、本発明の効果が奏されやすくなる場合がある。
本開示において、ある食用植物の「不溶性食物繊維局在部位」とは、当該食用植物中の不溶性食物繊維が局在する部位を意味し、言い換えれば、当該食用植物の可食部よりも、相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有する部位を表す。より具体的には、ある食用植物の「不溶性食物繊維局在部位」とは、乾燥状態において、当該食用植物の可食部の例えば通常1.1倍以上、又は1.2倍以上、又は1.3倍以上、又は1.4倍以上、又は1.5倍以上、又は1.6倍以上、又は1.7倍以上、又は1.8倍以上、又は1.9倍以上、又は2.0倍以上の不溶性食物繊維含有割合を有する部位を表すものとする。例えば、豆類において可食部(子葉等)における不溶性食物繊維含有割合よりも相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有する種皮部が不溶性食物繊維局在部位に該当する。また、雑穀類において可食部(胚乳等)における不溶性食物繊維含有割合よりも相対的に高い不溶性食物繊維含有割合を有する外皮部(ふすま部又はぬか部)が不溶性食物繊維局在部位に該当する。
また、不溶性食物繊維局在部位における乾燥質量換算での不溶性食物繊維含有割合は、例えば8質量%超50質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は通常8質量%超、又は9質量%超、又は10質量%超、又は11質量%超、又は12質量%超、又は13質量%超、又は14質量%超、又は15質量%超、又は16質量%超、又は17質量%超、又は18質量%超、又は19質量%超、又は20質量%超であることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常50質量%以下、又は40質量%以下、中でも30質量%以下とすることができる。ここで、本開示において「乾燥質量換算」とは組成物や各画分の水分を含まない乾燥質量(上記の場合、不溶性食物繊維局在部位の乾燥質量)を分母、各対象成分や対象物の含有量(上記の場合、不溶性食物繊維の乾燥質量)を分子として算出される、各成分等の含有割合を表す。
各食用植物における不溶性食物繊維局在部位は、不溶性食物繊維局在部位の代表的な例としては、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の各種の食用植物の「廃棄部位」が挙げられる(一例を前記の表Aに示す)。但し、これら「非可食部」以外の「可食部」についても、上記の雑穀類、豆類、種実類、野菜類の皮部や種子部、野菜類の茎葉部の特に硬く厚い部分等にも不溶性食物繊維局在部位が認められる。本発明で食用植物の不溶性食物繊維局在部位を使用する場合は、食用植物の「可食部」の一部(例えば穀類、豆類、種実類、野菜類の種子又は皮部等、特に野菜類の種子又は皮部等)であっても「非可食部(例えばコーンの芯部、豆類の鞘部)」であってもよいが、「可食部」の一部であることが好ましく、豆類(特にエンドウマメ、ヒヨコマメが好ましい)の種皮部及び/又は子葉部をともに含むように豆類を使用する態様又は雑穀類(特にエンバク、キビが好ましい)の外皮部(ふすま部又はぬか部)をともに含むように雑穀類を使用する態様であることが特に好ましい。
本発明の組成物(特に基礎固形状組成物又は固形状組成物)に食用植物の不溶性食物繊維局在部位の加工品を含有させる場合、その割合は限定されないが、例えば以下の通りである。組成物(特に基礎固形状組成物又は固形状組成物)全体の合計質量に対する不溶性食物繊維局在部位の湿潤質量基準割合は、例えば0.1質量%以上20質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は例えば0.1質量%以上、又は0.2質量%以上、又は0.3質量%以上、また、例えば20質量%以下、又は10質量%以下、又は5質量%以下とすることができる。
本発明の組成物(特に基礎固形状組成物又は固形状組成物)に食用植物の不溶性食物繊維局在部位の加工品を含有させる場合、食用植物から分離した不溶性食物繊維局在部位を単独で含有させてもよく、不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位とを含む状態で含有させてもよい。但し、同一種類の食用植物における不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位とを共に含有することが好ましく、同一個体の食用植物における不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位を共に含有することが特に好ましい。同一種類又は同一個体の食用植物における不溶性食物繊維局在部位を含む不溶性食物繊維含有食用植物は、食用植物中の不溶性食物繊維局在部位とそれ以外の部位を別個に含有させてもよいし、不溶性食物繊維局在部位を含んだ状態の食用植物を含有させてもよい。
なお、本発明の組成物(特に基礎固形状組成物又は固形状組成物)に食用植物(特にその不溶性食物繊維局在部位)の加工品を含有させる場合、所定の粒子径を有する微細化処理物の状態で含有させることが好ましい。これにより、得られる調味液の口当たりが良くなる傾向がある上に、態様によっては、調味液の粘性向上効果が奏される場合がある。その原理は不明であるが、調味液の不溶性食物繊維局在部位に含まれるペクチンなどの成分が抽出物と反応して粘性を発現している可能性がある。なお、食用植物(特にその不溶性食物繊維局在部位)の粒子分布に関する特徴は、本発明の製造方法の欄で後述する。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として豆類を用いる場合、豆類の具体的な種類は、限定されないが、エンドウ属、インゲンマメ属、キマメ属、ササゲ属、ソラマメ属、ヒヨコマメ属、ダイズ属、及びヒラマメ属から選ばれる1種以上の豆類であることが好ましい。具体例としては、これらに限定されないが、エンドウ(特に黄色エンドウ、白エンドウ等)、インゲン(隠元)、キドニー・ビーン、赤インゲン、白インゲン、ブラック・ビーン、うずら豆、とら豆、ライマメ、ベニバナインゲン、キマメ、緑豆、ササゲ、アズキ、ソラマメ、ダイズ、ヒヨコマメ、レンズマメ、ヒラ豆、ブルーピー、紫花豆、レンティル、ラッカセイ、ルピナス豆、グラスピー、イナゴマメ(キャロブ)、ネジレフサマメノキ、ヒロハフサマメノキ、コーヒー豆、カカオ豆、メキシコトビマメ等が挙げられる。その他例示されていない豆類の分類は、斯かる豆類やその加工品を取り扱う当業者であれば、当然に理解することが可能である。具体的には、一般家庭における日常生活面においても広く利用されている日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載の食品群分類(249頁、表1)を参照することで明確に理解することができる。なお、これらの豆類は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の組合せで用いてもよい。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として豆類を用いる場合、でんぷん含量が所定値以上の豆類を用いることが好ましい。具体的には、豆類のでんぷん含量は、湿潤質量換算で、例えば5.0質量%以上70質量%以下の範囲であることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常5.0質量%以上、又は10.0質量%以上、又は15.0質量%以上、又は20.0質量%以上、又は25.0質量%以上、又は30.0質量%以上、又は35.0質量%以上、又は40.0質量%以上であることが好ましい。一方、豆類のでんぷん含量の上限は特に制限されないが、例えば通常70.0質量%以下、又は65.0質量%以下、又は60.0質量%以下とすることができる。
本発明において「雑穀類」とは、一般に穀類のうち、主要な穀類であるコメ、小麦、大麦以外のものを指し、イネ科穀類以外のいわゆる疑似雑穀(アカザ科、ヒユ科)を含む概念である。基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として雑穀類を用いる場合、使用する雑穀類の種類は、限定されるものではないが、例としては、イネ科、アカザ科、ヒユ科から選ばれる1種又は2種以上の雑穀類であることが好ましく、イネ科であることがより好ましい。具体例としては、これらに限定されるものではないが、あわ、ひえ、きび、もろこし、ライ麦、えん麦(オーツ麦)、はと麦、とうもろこし、そば、アマランサス、キノア(キヌア)などが挙げられ、特にえん麦(オーツ麦)、アマランサス、キノア(キヌア)、きびのいずれか1種類又は2種類以上を用いることが好ましく、可溶性食物繊維を多く含むえん麦(オーツ麦)を用いることが特に好ましい。また、雑穀類はグルテンを実質的に含有しない(具体的にはグルテン含有量が10質量ppm未満の状態を表す)ことが好ましく、グルテンを含有しないことがより好ましい。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として雑穀類を用いる場合、でんぷん含量が所定値以上の雑穀類を用いることが好ましい。具体的には、雑穀類のでんぷん含量は、湿潤質量換算で、例えば5.0質量%以上70質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常5.0質量%以上、又は10.0質量%以上、又は15.0質量%以上、又は20.0質量%以上、又は25.0質量%以上、又は30.0質量%以上であることが好ましい。一方、雑穀類のでんぷん含量の上限は特に制限されないが、例えば通常70質量%以下、又は65.0質量%以下、又60.0質量%以下、又は55.0質量%以下、又は50.0質量%以下とすることができる。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として雑穀類を用いる場合、乾燥した雑穀類を用いることが好ましい。具体的には、乾量基準含水率が所定値以下となっている状態の雑穀類であることが好ましい。より具体的には、本発明の固形状組成物に使用する雑穀類の乾量基準含水率は、例えば0質量%以上15質量%未満の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その上限は、通常15質量%未満、又は13質量%未満、又は11質量%未満、又は10質量%未満であることが好ましい。一方、斯かる雑穀類の乾量基準含水率の下限は、特に制限されるものではないが、通常0質量%以上、又は0.01質量%以上であることが好ましい。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として豆類を用いる場合、本発明の固形状組成物における豆類の含有率は、制限されるものではないが、湿潤質量換算で例えば1質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常1質量%以上、中でも3質量%以上、又は5質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源として雑穀類を用いる場合、本発明の固形状組成物における雑穀類の含有率は、制限されるものではないが、湿潤質量換算で例えば1質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常1質量%以上、中でも3質量%以上、又は5質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
基礎固形状組成物の原料及び/又はでんぷん源としての豆類及び雑穀類の合計含有率は、制限されるものではないが、湿潤質量換算で例えば1質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常1質量%以上、中でも3質量%以上、又は5質量%以上、又は8質量%以上、又は10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。
また、基礎固形状組成物の原料として、食用植物(例えば豆類及び/又は雑穀類)を用いる場合、斯かる食用植物(例えば豆類及び/又は雑穀類)の湿潤質量換算割合は、例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は100質量%とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下とすることができる。
また、基礎固形状組成物の原料として食用植物(例えば豆類及び/又は雑穀類)を用いる場合、基礎固形状組成物の総でんぷん含量及び/又は総タンパク質含量に対する、食用植物(例えば豆類及び/又は雑穀類)に由来するでんぷん含量及び/又はタンパク質含量の比率が、所定値以上であることが好ましい。具体的には、基礎固形状組成物の総でんぷん含量に対する、食用植物(例えば豆類及び/又は雑穀類)に由来するでんぷん含量の比率が、乾燥質量換算で例えば30質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、30質量%以上、中でも40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、又は100質量%とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、通常100質量%以下とすることができる。
また、基礎固形状組成物の総タンパク質含量に対する、食用植物(例えば豆類及び/又は雑穀類)に由来するタンパク質含量の比率が、乾燥質量換算で例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、通常10質量%以上、中でも20質量%以上、又は30質量%以上、又は40質量%以上、又は50質量%以上、又は60質量%以上、又は70質量%以上、又は80質量%以上、又は90質量%以上、特に100質量%であることが好ましい。
豆類由来のでんぷん、タンパク質としては、特にエンドウ由来のものが好ましく、黄色エンドウ由来のものが最も好ましい。雑穀類由来のでんぷん、タンパク質としては、オーツ麦由来のものが好ましい。また、豆類由来と雑穀類由来のでんぷん合計が上記規定を充足することが好ましく、豆類由来と雑穀類由来のタンパク質合計が上記規定を充足することが好ましい。
・その他の食材:
基礎固形状組成物は、任意の1又は2以上のその他の食材を含んでいてもよい。斯かる食材の例としては、植物性食材(野菜類、芋類、きのこ類、果実類、藻類、穀類(特に雑穀類に含まれない主要な穀類であるコメ、小麦、大麦)、種実類等)、動物性食材(魚介類、肉類、卵類、乳類等)、微生物性食品等が挙げられる。これら食材の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
・調味料、食品添加物等:
基礎固形状組成物は、任意の1又は2以上の調味料、食品添加物等を含んでいてもよい。調味料、食品添加物等の例としては、醤油、味噌、アルコール類、糖類(例えばブドウ糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等)、糖アルコール(例えばキシリトール、エリスリトール、マルチトール等)、人工甘味料(例えばスクラロース、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK等)、ミネラル(例えばカルシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、亜鉛、マグネシウム等、及びこれらの塩類等)、香料、pH調整剤(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸及び酢酸等)、シクロデキストリン、酸化防止剤(例えばビタミンE、ビタミンC、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、クロロゲン酸、香辛料抽出物、カフェ酸、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテート、ルチン、ケルセチン、ヤマモモ抽出物、ゴマ抽出物等)、乳化剤(例としてはグリセリン脂肪酸エステル、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リノシール酸エステル、キラヤ抽出物、ダイズサポニン、チャ種子サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、着色料、増粘安定剤等が挙げられる。
但し、昨今の自然志向の高まりからは、基礎固形状組成物は、いわゆる乳化剤、着色料、増粘安定剤(例えば、食品添加物表示ポケットブック(平成23年版)の「表示のための食品添加物物質名表」に「着色料」、「増粘安定剤」、「乳化剤」として記載されているもの)から選ばれる何れか1つを含有しないことが好ましく、何れか2つを含有しないことがより好ましく、3つ全てを含有しないことが更に好ましい。
特に、基礎固形状組成物は、ゲル化剤を含有しなくても組成物に弾性を付与でき、また過度の弾力付与を防止するため、ゲル化剤を含有しないことが好ましい。また、素材の味が感じられやすい品質とする観点からは、本発明の組成物は、乳化剤を含有しないことが好ましい。更には、本発明の組成物は、食品添加物(例えば、食品添加物表示ポケットブック(平成23年版)中の「表示のための食品添加物物質名表」に記載されている物質を食品添加物用途に用いたもの)を含有しないことがとりわけ望ましい。また、食品そのものの甘みが感じられやすくなるという観点からは、本発明の組成物は、糖類(ブドウ糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖等)を添加しない方が好ましい。
また、基礎固形状組成物は、塩化ナトリウムの含有量が少なく、或いは塩化ナトリウムを配合しないことが好ましい。従来の加熱調理用でんぷん含有固形状組成物(特にネットワーク構造のグルテンを含有する組成物)は、塩化ナトリウムを含有させることで組成物弾性を保持しているが、味に影響を与えたり、塩分の過剰摂取の観点から問題があった。特に乾燥状態の組成物(乾燥うどん、乾燥ひやむぎ等)においては、組成物弾性の保持のため、通常3質量%以上の塩化ナトリウムが使用されるため、こうした課題が顕著であった。一方、本発明の組成物では、塩化ナトリウムの使用量が極微量であるか、或いは塩化ナトリウムを添加しなくても、弾性低下が抑制された組成物とすることができ、良好な品質の組成物となるため好ましい。また、通常はネットワーク構造のグルテンと塩化ナトリウムによって粘着力や弾力を有する、パスタ、うどん、パン等の加熱調理用でんぷん含有固形状組成物についても、本発明を適用することで、塩化ナトリウムを添加することなく良好な品質の組成物とすることができるため好ましい。具体的に、本発明の組成物中の塩化ナトリウムの含有量は、乾燥質量換算で、例えば0質量%以上3質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その通常3質量%以下、中でも2質量%以下、又は1質量%以下、又は0.7質量%以下、特に0.5質量%以下であることが好ましい。また、生地組成物における塩化ナトリウムの含有量は、湿潤質量換算で、例えば0質量%以上3質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常3質量%以下、中でも2質量%以下、又は1質量%以下、又は0.7質量%以下、特に0.5質量%以下であることが好ましい。本発明の組成物中の塩化ナトリウムの含有量の下限は特に限定されず、0質量%であっても構わないが、0.05質量%以上であってもよく、0.10質量%以上であってもよい。また、固形状組成物が上記規定を充足してもよく、特に基礎調味液中で固形状組成物を高温加圧処理して固形状組成物を製造する態様において上記規定を充足してもよい。なお、本発明において、でんぷん含有固形状組成物中の塩化ナトリウムの定量法としては、例えば日本食品標準成分表2015年版(七訂)の「食塩相当量」に準じ、原子吸光法を用いて測定したナトリウム量に2.54を乗じて算出する手法を用いる。
・基礎固形状組成物の製造方法:
基礎固形状組成物の製造方法は任意である。でんぷんの由来原料となる食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類、好ましくはその粉末)を、任意により使用されるその他の成分(その他の食材、調味料、食品添加物等)と共に混合すればよい。成分の混合時には必要に応じて水や水性媒体等の溶剤を併用してもよい。混合の手法も任意であり、例えば通常の撹拌装置を用いて混合してもよく、押出機(エクストルーダー)等を用いて混練しながら混合してもよい。なお、押出機を使用する場合、後述のように一軸押出機を使用してもよく、二軸押出機を使用してもよく、一軸押出機と二軸押出機とを併用してもよい。後者の場合、一軸押出機と二軸押出機とをタンデムに連結して用いることが好ましい。
また、前記の基礎固形状組成物の成分の混合前(例えば基礎固形状組成物の原料となる食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)又は食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)粉末の段階)、混合中、又は混合後に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件は限定されないが、前記のでんぷん粒構造に関する要件(a)及び/又は(b)を充足するように加熱処理を行うことが好ましい。加熱温度は、例えば100℃以上200℃以下の範囲とすることができ、処理時間は、例えば0.1分以上2時間以下の範囲とすることができる。より具体的に、加熱温度の下限は、例えば100℃以上、又は110℃以上、又は120℃以上、また、例えば200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下の最高温度で、処理時間の下限は、例えば0.1分以上、又は0.2分以上、又は0.3分以上、また、例えば2時間以下、又は1.5時間以下、又は1時間以下に亘って行えばよい。加えて、所定割合以上の水分存在下で加熱処理を行うことが好ましい。詳細については後述する。但し、一般的に加熱温度と加熱時間とは略相互依存の関係にもあり、加熱温度を高くするほど加熱時間は概ね短くて済む一方で、加熱時間を長くするほど加熱温度は概ね低くて済む傾向がある。よって、斯かる加熱温度及び加熱時間の関係を考慮し、それぞれ適切な範囲となるように設定すればよい。また、基礎固形状組成物の製造に際して、いずれかの過程で上記の加熱処理を行えばよく、複数の工程に亘って加熱処理を行ってもよい。より具体的には、原料段階(例えば、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)を粉末状に粉砕加工する段階)の加工段階で上記加熱処理を行ってもよく、成型段階(例えばパスタ状の基礎固形状組成物であれば、エクストルーダーをはじめとする装置を用いた押出段階)で上記加熱処理を行ってもよく、成型後段階(例えばパスタ状の組成物であれば乾燥段階)で上記加熱処理を行ってもよい。或いは、これらの複数の段階で行われる加熱処理を合算することで上記加熱処理条件を充足する態様であってもよい。
さらに、当該加熱処理を実施する際に、所定割合以上の水分存在下で加熱処理を行うことが好ましい。これにより、前記のでんぷん粒構造に関する要件(a)及び/又は(b)が所定の値以下に調整されやすくなる。その理由は定かではないが、非常に強固な構造を有する食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)のでんぷん粒が破砕しやすくなり、結果として前記のでんぷん粒構造に関する要件(a)及び/又は(b)を充足するためと考えられる。具体的には乾量基準含水率が、例えば40質量%超200質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は、40質量%超の状態で加熱処理を行うことが好ましく、45質量%超で行うことがさらに好ましく、50質量%超で行うことが特に好ましい。その上限は特に制限されないが、通常200質量%以下、又は150質量%以下、又は100質量%以下とすることができる。
さらに、当該加熱処理を実施する際に、一定以上の強さで混練することが好ましい。これにより、前記のでんぷん粒構造に関する要件(a)及び/又は(b)が所定の値以下に調整されやすくなる。その理由は定かではないが、このように高温条件で強混練することで、前述した好適なでんぷんの分子量分布が形成され、本発明の効果が奏されるものと考えられる。特に、一定の高温加圧条件下で混練を行うことで、斯かる不溶性成分が流出防止される効果が高められるため、より好ましい。その理由は定かではないが、一定の高温条件下、好ましくは高温加圧条件下での処理によって、生地中のタンパク質、でんぷん、及び不溶性食物繊維が、組成物の表面に複合構造を形成し、特に不溶性成分の流出を抑えている可能性がある。一方、本発明の固形状組成物は精製でんぷんを原料として使用した通常の冷麺やはるさめ(馬鈴薯でんぷんを原料として用いたはるさめや、緑豆でんぷんを原料として用いた緑豆はるさめ)等であってもよいが、これらは、特に食物繊維をごく僅かしか含有しないため、本発明の組成物のような構造が適切に発達しない可能性がある。
混練時の具体的な条件は、以下式Iで求められるSME(specific mechanical energy)値が所定値以上であることで、でんぷん粒が十分に破壊され、マトリクスとしての性質を発現する場合があるため好ましい。具体的には、当該SME値が通常350kJ/kg以上となるような条件下で混練することが好ましく、中でも400kJ/kg以上、又は450kJ/kg以上、又は500kJ/kg以上、又は550kJ/kg以上、又は600kJ/kg以上、又は700kJ/kg以上、特に800kJ/kg以上となる条件下で混練することが好ましい。また、エクストルーダーを用いる場合、スクリューの回転数を通常150rpm超、中でも200rpm超、更には250rpm超とすることが好ましい。
N:混練時スクリュー回転数(rpm)
Nmax:最大スクリュー回転数(rpm)
τ:混練時トルク/最大トルク(%)
τempty:空回し時トルク/最大トルク(%)
Q:総質量流量(kg/時間)
Pmax:撹拌機(例えばエクストルーダー)最大パワー(kW)
更に、前述の混練を例えば通常100℃以上、中でも110℃以上、更には120℃以上の高温下で行うことで、でんぷん粒構造が破壊されやすくなるため、更に好ましい。また、例えば混練にエクストルーダーを用いる場合には、前記した高温かつ高SME値における処理が、バレル全長の通常3%以上、中でも5%以上、更には8%以上、又は10%以上、又は15%以上、特に20%以上の領域で行われることが好ましい。特に、豆類及び/又は雑穀類に由来するでんぷん粒構造は、その構造がより強固であるため、前記した高温かつ高SME値における処理はより有用である。一方、処理温度の上限は、通常200℃以下である。中でも190℃以下、更には180℃以下、又は170℃以下、特に160℃以下が好ましい。本段階における温度が前記上限を超えると、例えば混練にエクストルーダーを用いる場合、エクストルーダーのダイ部からの組成物の押出時の温度が十分に低下しない虞がある。
更に、上記混練を大気圧に対する加圧条件下で行う場合、混練を通常よりも高い圧力を印加する条件で行うことがより好ましい。混練時圧力は、エクストルーダーを用いる場合、その出口圧力を測定することで測定することができる。混練を大気圧に対する加圧条件下で行う場合、大気圧に加えて更に印加すべき圧力の下限は、通常0.01MPa以上、中でも0.03MPa以上、更には0.05MPa以上、又は0.1MPa以上、又は0.2MPa以上、特に0.3MPa以上、0.5MPa以上、更に好ましくは1.0MPa以上、更に好ましくは2.0MPa以上、更に好ましくは3.0MPa以上とすることが好ましい。一方、大気圧に加えて更に印加すべき圧力の上限は、特に制限はないが、例えば50MPa以下、又は40MPa以下、とすることができる。また、混練部先端側終点付近(好ましくは混練部先端側終点直後)にフロー遅滞構造を設置することで、混練部における圧力を高めることができるため好ましい。
混練の時間は、混練の温度及び圧力、混練容器の大きさ等から適宜定めればよい。特に、組成物に印加される熱量は、主に用いられる装置の特性によって大きく異なることから、処理前後の組成物の物性が所定の範囲に調整されるように加工することが好ましい。混練時間は限定されないが、一般的には例えば以下のとおりである。即ち、混練時間の下限は、例えば通常0.1分間以上、中でも0.2分間以上、更には0.3分間以上、又は0.4分間以上、又は0.5分間以上、又は0.8分以上、又は1分間以上、特に2分間以上とすることが好ましい。混練時間の上限は制限されないが、例えば通常60分間以内、中でも30分間以内、更には15分間以内とすることができる。
混練にエクストルーダー(押出機)を用いる場合、エクストルーダーの種類は制限されないが、加水、強混練(最低でもSME値350kJ/kg以上)、加熱、冷却、押出し成形までの各処理をひとつのユニットで実施できるものが好ましい。特に加温加圧前の原料に加水できる構造を有するエクストルーダーが好ましい。具体的に、1軸エクストルーダー及び2軸エクストルーダーのいずれであっても使用できるが、本発明の組成物構造の形成を促進するための強混練を実現する観点から、一般的な1軸エクストルーダーよりも2軸エクストルーダーを用いることが好ましい。また一般に1軸エクストルーダー、2軸エクストルーダーと呼ばれる装置(特に海外でextruder、twin screw extruderと称される装置)においては、単なるミキサー、ニーダー機能を有するに過ぎない押出装置も含まれるが、そのような装置は本発明の組成物構造を形成するための強混練を得られないため、好ましくない。さらに、でんぷん粒構造を有する組成物原料を用いる場合は、その構造が強固であり、でんぷん粒構造が十分に破壊されるためには、通常のフライトスクリューのみを用いたエクストルーダーよりも、ニーディング効果を有するバレル部位を通常より顕著に多く使用することがさらに好ましい。具体的には、エクストルーダーにおけるバレル全長に対するフライトスクリュー部割合が95%以下であることで、組成物が強く混練され、本発明の組成物の特徴的な構造の形成が促進されるため、好ましい。フライトスクリュー部とは、輸送エレメントとも呼ばれる最も一般的な形状のバレル部であり、バレル全長に対するその割合が高まると、生地組成物をダイに向けて押し出す能力が高まるものの、生地組成物を混練しその反応を促す能力が低下する。より好ましくは90%以下、更に好ましくは85%以下である。なお、パフなどの膨化物をエクストルーダーを用いて製造する際は、高圧で勢いよく組成物を押し出す必要があるため、バレル全長に対するフライトスクリュー部位割合を高める動機が存在し、(高SME値で混練する場合であっても)、バレル全長に対するフライトスクリュー部位割合は95%~100%となることが通常である。また、バレル長全体の5%以上、より好ましくは7%以上、更に好ましくは10%以上、より更に好ましくは12%以上をニーディング効果を有するバレル部位とすることができる。
また、基礎固形状組成物の湿潤基準含水率は前述のとおりであるが、一態様によれば、前記の基礎固形状組成物の成分の混合後、及び任意により加熱処理後、得られた基礎固形状組成物を乾燥してもよい。このような乾燥態様の基礎固形状組成物(例えば乾麺等)とする場合、その湿潤基準含水率は30質量%未満、又は25質量%未満、又は20質量%未満、又は15質量%未満、又は10質量%未満とすることができる。或いは、このような基礎固形状組成物の乾燥工程を設けず、上記の湿潤基準含水率を充足する範囲で水分量が比較的多い湿潤態様の基礎固形状組成物(例えば半生麺又は生麺等)として、その後の段階に使用することも可能である。例えばその際の湿潤基準含水率下限は30質量%以上、又は32質量%以上、又は34質量%以上とすることができる。
<段階(iii):基礎固形状組成物の水性媒体への浸漬による固形状組成物の調製>
本段階(iii)では、段階(ii)の基礎固形状組成物を段階(i)の水性媒体に浸漬して固形状組成物とする。基礎固形状組成物を水性媒体に浸漬することで、段階(iv)における高温加圧処理後に得られる固形状食品組成物は、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが出来ると共に、食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する、優れた固形状食品組成物を得ることが可能となる。その原理は不明であるが、段階(iii)の浸漬処理により、基礎固形状組成物に水性媒体が浸透した状態で、段階(iv)で高温加圧処理を行うことで、固形状組成物の組織構造を破壊することなく、固形状組成物中に多量の水分を含有させることが可能となり、固形状組成物の弾力が維持され、食感が好ましくなるものと考えられる。また、固形状組成物中に多量の水分が含有されることで、固形状組成物中の食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する組成物になるものと考えられる。また、適宜、段階(iv)後に急速冷却を実施することで、固形状組成物内に含有された水分やその他成分が、でんぷんの老化に伴い、でんぷん中に固定され、本発明の効果を奏しやすくなると考えられる。
なお、本発明における「固形状組成物」とは、基礎固形状組成物が水性媒体に浸漬されることで得られる組成物を指す。基礎固形状組成物が水性媒体に浸漬されることで吸水するため、固形状組成物の湿潤質量含水率は、基礎固形状組成物の湿潤質量含水率よりも増加する。具体的に、基礎固形状組成物と固形状組成物との湿潤質量含水率の差分は、限定されるものではないが、通常1質量%以上、又は2質量%以上、又は3質量%以上、又は4質量%以上、又は5質量%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、又は55質量%以下、又は50質量%以下であってもよい。
段階(iii)において、浸漬処理時の固形状組成物の浸漬平均温度は、所定の範囲内であることが好ましい。これにより、浸漬中に固形状組成物内部の成分が固定されるという効果が得られる場合がある。一方、段階(iii)における浸漬平均温度が上限を上回る場合(例えば茹で調理後の固形状組成物を段階(iv)に用いた場合)、加熱臭が強く感じられやすくなり、組成物の好ましい呈味が失われる場合がある。より具体的に、段階(iii)における組成物の浸漬平均温度の上限は、100℃未満、まあは95℃以下、又は90℃以下、又は85℃以下、又は80℃以下、又は75℃以下、又は70℃以下、又は65℃以下、又は60℃以下、又は55℃以下、又は50℃以下とすることが出来る。その下限は特に制限されないが、通常0℃以上、又は5℃以上、又は10℃以上、又は15℃以上とすることが出来る。本発明における浸漬平均温度とは、基礎固形状組成物を段階(i)において水性媒体で浸漬する際の算術平均温度を指し、浸漬時間における組成物温度を有限の均等間隔(例えば1分間隔)で測定することで算出することができる。また、本発明における浸漬時間とは、基礎固形状組成物と水性媒体とが接触した時を始点とし、水性媒体が除去されるか、段階(iv)の高温加圧処理により与圧した時点を終点とする。つまり、基礎固形状組成物と水性媒体とが与圧していない条件、即ち、大気圧に加えて更に印加していない条件で接触している状態を浸漬という。
段階(iii)において、浸漬処理を行う時間は、通常0.05時間以上20時間以下の範囲とすることができる。より具体的に、その時間の下限は、通常0.05時間以上、中でも0.1時間以上、又は0.2時間以上、又は0.3時間以上、又は0.4時間以上、又は0.5時間以上、又は0.6時間以上、又は0.7時間以上、又は0.8時間以上、又は0.9時間以上、特に1.0時間以上に調節することができる。斯かる時間の上限は特に限定されないが、例えば通常20時間以下、又は15時間以下、又は10時間以下、又は5時間以下とすることができる。中でも、固形状組成物の湿潤基準含水率が60質量%未満における浸漬平均温度が0℃以上100℃未満の範囲における浸漬時間が、上記時間規定(0.05時間以上20時間以下)を充足することが好ましい。
段階(iii)の浸漬処理の際には、浸漬状態の組成物の湿潤基準含水率が60質量%未満においては10℃以下の温度帯を所定時間以上経由することが好ましい。具体的に、浸漬状態の組成物が10℃以下の温度帯を経由する時間の下限は、通常10分間以上、又は20分間以上、又は30分間以上とすることが好ましい。これにより、固形状組成物内部の成分が固定されるという効果が得られる場合がある。一方、その上限は特に制限されないが、例えば通常10時間以下、又は5時間以下とすることができる。
段階(iii)において、固形状組成物の湿潤基準含水率が16質量%以上60質量%未満の状態における浸漬時の条件が、上記温度規定(0℃以上100℃未満)及び/又は上記時間規定(0.05時間以上20時間以下)を充足することが好ましい。即ち、固形状組成物の湿潤基準含水率が20質量%以上60質量%未満の状態における浸漬温度の上限は、100℃未満、まあは95℃以下、又は90℃以下、又は85℃以下、又は80℃以下、又は75℃以下、又は70℃以下、又は65℃以下、又は60℃以下、又は55℃以下、又は50℃以下とすることが出来る。その下限は特に制限されないが、通常0℃以上、又は5℃以上、又は10℃以上、又は15℃以上とすることが出来る。また、固形状組成物の湿潤基準含水率が20質量%以上60質量%未満の状態における浸漬時間の下限は、通常0.05時間以上、中でも0.1時間以上、又は0.2時間以上、又は0.3時間以上、又は0.4時間以上、又は0.5時間以上、又は0.6時間以上、又は0.7時間以上、又は0.8時間以上、又は0.9時間以上、特に1.0時間以上に調節することができる。斯かる時間の上限は特に限定されないが、例えば通常20時間以下、又は15時間以下、又は10時間以下、又は5時間以下とすることができる。
段階(iii)において、浸漬処理後の固形状組成物の塩分濃度を湿潤質量換算で一定割合以下に調整することが好ましい。これにより、段階(iv)における高温加圧処理後の呈味がよくなる場合がある。具体的に、浸漬処理後の固形状組成物の塩分濃度は、例えば0質量%以上5.0質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は、5.0質量%以下、又は4.0質量%以下、又は3.0質量%以下とすることが出来る。その下限は特に制限されないが、通常0質量%以上、又は0.001質量%以上、又は0.01質量%以上とすることが出来る。
段階(iii)において、浸漬処理前後における固形状組成物の塩分濃度の増加差分を湿潤質量換算で一定割合以下に調整することが好ましい。これにより、段階(iv)における高温加圧処理後の固形状組成物の弾力が維持され、食感が好ましくなる場合がある。具体的には、浸漬処理前後における固形状組成物の塩分濃度の増加差分は、例えば0質量%以上5.0質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は例えば5.0質量%以下、又は4.0質量%以下、又は3.0質量%以下とすることが出来る。その下限は特に制限されないが、例えば0質量%以上、又は0.001質量%以上、又は0.01質量%以上とすることが出来る。
段階(iii)において、浸漬処理後の固形状組成物の湿潤基準含水率は、所定範囲を満たしていてもよい。具体的に、浸漬処理後の固形状組成物の湿潤基準含水率の範囲は16質量%以上85質量%以下であってもよい。より具体的に、その下限は、例えば16質量%以上、又は18質量%以上、又は20質量%以上、又は22質量%以上、又は24質量%以上とすることが出来る。一方、その上限は、例えば85質量%以下、又は80質量%以下、又は75質量%以下、又は70質量%以下、又は65質量%以下、又は60質量%以下、又は55質量%以下、又は50質量%以下とすることが出来る。
<段階(iv):固形状組成物の高温加圧処理>
本段階では、段階(iii)において水性媒体に浸漬された状態の固形状組成物を、下記(7)及び/又は(8)を充足するまで、所定の温度及び与圧条件下で処理する。これにより、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが出来ると共に、食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する、優れた固形状食品組成物を得ることが可能となる。その原理は不明であるが、段階(iii)の浸漬処理により、基礎固形状組成物に水性媒体が浸透した状態で、段階(iv)で高温加圧処理を行うことで、固形状組成物の組織構造を破壊することなく、固形状組成物中に多量の水分を含有させることが可能となり、固形状組成物の弾力が維持され、食感が好ましくなるものと考えられる。また、固形状組成物中に多量の水分が含有されることで、固形状組成物中の食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する組成物になるものと考えられる。
・高温加圧処理の条件:
具体的に、段階(iv)の高温加圧処理の温度条件は、下限が通常100℃以上であり、上限は制限されないが、例えば200℃以下とすることが出来る。これにより、高温加圧処理中に固形状組成物内部に多量の水分が導入され、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが出来ると共に、食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する、優れた固形状食品組成物を得ることが可能となる。具体的に、段階(iv)における組成物周辺の温度の下限は、制限されるものではないが、通常100℃以上、又は105℃以上、又は110℃以上、又は115℃以上、又は120℃以上とすることが出来る。その上限は特に制限されないが、通常200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下、又は170℃以下、又は160℃以下、又は150℃以下とすることが出来る。本発明における高温加圧処理における組成物周辺の温度とは、固形状組成物を段階(iv)において高温加圧処理する際に、与圧条件下、即ち、大気圧に対する加圧条件下における最高到達温度である。便宜的には、高温加圧処理を実施する装置内で大気圧に加えて更に印加した条件下における最高到達雰囲気温度、又は大気圧に加えて更に印加した条件下で装置内に噴霧するミストの最高温度を指すことができる。
段階(iv)の高温加圧処理の圧力条件は、大気圧に加えて更に印加すべき圧力として、下限が通常0.1MPa以上であり、上限は制限されないが、例えば0.3MPa以下とすることが出来る。これにより、高温加圧処理中に固形状組成物内部に多量の水分が導入され、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが出来ると共に、食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する、優れた固形状食品組成物を得ることが可能となる。具体的に、段階(iv)における組成物周辺の大気圧に対する加圧条件の下限は、制限されるものではないが、通常0.1MPa以上、又は0.12MPa以上、又は0.15MPa以上、又は0.18MPa以上、又は0.2MPa以上とすることが出来る。その上限は特に制限されないが、通常0.3MPa以下、又は0.28MPa以下、又は0.25MPa以下とすることが出来る。本発明における組成物周辺の大気圧に対する加圧条件とは、固形状組成物を段階(iv)において高温加圧処理する際に、大気圧に加えてさらに印加した圧力のうち最高到達圧力を指す。便宜的には、高温加圧処理を実施する装置内で、大気圧に対してさらに印加した圧力条件を指すことができる。
段階(iv)の高温加圧処理の時間は、制限されるものではないが、例えば通常0.1時間以上5時間以下の範囲とすることができる。より具体的に、その時間の下限は、通常0.1時間以上、中でも0.2時間以上、又は0.3時間以上、又は0.4時間以上、又は0.5時間以上、又は0.6時間以上、又は0.7時間以上、又は0.8時間以上、又は0.9時間以上、特に1.0時間以上に調節することができる。斯かる時間の上限は特に限定されないが、例えば通常5時間以下、又は4時間以下、又は3時間以下、又は2時間以下とすることができる。
段階(iv)の高温加圧処理時において、固形状組成物の湿潤基準含水率が50質量%以上の状態における平均温度が80℃以上であることが好ましい。具体的に、段階(iv)において、固形状組成物の湿潤基準含水率が例えば通常50質量%以上、又は51質量%以上、又は52質量%以上、又は53質量%以上、又は54質量%以上、又は55質量%以上、又は56質量%以上、又は57質量%以上、又は58質量%以上、又は59質量%以上、又は60質量%以上、又は61質量%以上、又は62質量%以上、又は63質量%以上、又は64質量%以上、又は65質量%以上、又は66質量%以上、又は67質量%以上、又は68質量%以上、又は69質量%以上、又は70質量%以上であり、その上限は制限されるものではないが、例えば通常300質量%以下、又は250質量%以下、又は200質量%以下の状態における高温加圧処理時の平均温度が、例えば80℃以上、又は83℃以上、又は85℃以上、又は88℃以上、又は90℃以上、又は91℃以上、又は92℃以上、又は93℃以上、又は94℃以上、又は95℃以上であり、その上限は制限されるものではいが、例えば通常200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下、又は170℃以下、又は160℃以下、又は150℃以下とすることができる。また、固形状組成物の湿潤基準含水率が50質量%以上の状態における高温加圧処理時間の下限は、通常0.1時間以上、中でも0.2時間以上、又は0.3時間以上、又は0.4時間以上、又は0.5時間以上、又は0.6時間以上、又は0.7時間以上、又は0.8時間以上、又は0.9時間以上、特に1.0時間以上に調節することができる。斯かる時間の上限は特に限定されないが、例えば通常5時間以下、又は4時間以下、又は3時間以下、又は2時間以下とすることができる。
段階(iv)の高温加圧処理は、与圧下での組成物周辺温度が115℃以上の温度帯を15分以上経由することが好ましい。具体的に、段階(iv)において、与圧下での固形状組成物の周辺温度が例えば通常115℃以上、又は116℃以上、又は117℃以上、又は118℃以上、又は119℃以上、又は120℃以上であり、その上限は制限されるものではないが、例えば通常200℃以下、又は190℃以下、又は180℃以下、又は170℃以下、又は160℃以下、又は150℃以下の状態における処理時間が、例えば通常15分以上、又は16分以上、又は17分以上、又は18分以上、又は19分以上、又は20分以上であり、その上限は制限されるものではいが、例えば通常60分以下、又は50分以下、又は40分以下とすることができる。
・レトルト処理:
なお、段階(iv)の高温加圧処理は、限定されるものではないが、レトルト処理であってもよい。ここで「レトルト」とは加圧加熱釜を意味し、「レトルト処理」とは、耐圧耐熱容器(レトルト容器)に包装された食品を加圧加熱釜に入れ、100℃以上の蒸気や加圧熱水により殺菌することを意味する。段階(iv)の高温加圧処理としてレトルト処理を行う場合、段階(iii)において水性媒体に浸漬された状態の固形状組成物を耐圧耐熱容器(レトルト容器)に入れて密閉し、加圧加熱釜に入れ、下記(7)及び/又は(8)を充足するまで、所定の温度及び与圧条件下で処理すればよい。
・高温加圧処理前後における固形状組成物の湿潤質量換算質量比(条件(7)):
段階(iv)における条件(7)は、段階(iv)の高温加圧処理前後における固形状組成物の湿潤質量換算の質量比{(段階(iv)後の固形状組成物の質量)/(段階(iv)前の固形状組成物の質量)}が、200%以上1500%以下という条件である。具体的に、その下限は制限されるものではないが、例えば200%以上、又は250%以上、又は300%以上、又は350%以上、又は400%以上とすることができる。また、その上限は特に制限されるものではないが、例えば1500%以下、又は1450%以下、又は1400%以下、又は1350%以下、又は1300%以下とすることができる。これにより、高温加圧処理した場合でも、食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する、優れた固形状食品組成物を得ることが可能となる。その原理は不明であるが、段階(iii)の浸漬処理により、基礎固形状組成物に水性媒体が浸透した状態で、段階(iv)で高温加圧処理を行うことで、固形状組成物の組織構造を破壊することなく、固形状組成物中に多量の水分を含有させることが可能となり、固形状組成物中の食用植物由来(例えば豆類及び/又は雑穀類)の雑味が抑えられ、すっきりとした味を呈する組成物になるものと考えられる。
・テクスチャーアナライザーによる応力に関する特徴(条件(8)及び(9)):
段階(iv)の高温加圧処理後の固形状組成物は、テクスチャーアナライザーにより下記[方法1]で応力を測定した場合に、少なくとも以下に説明する条件(8)を充足する。更に、高温加圧処理後の固形状組成物は、以下に説明する条件(9)も充足することが好ましい。
[方法1]
テクスチャーアナライザーを使用して、円盤型プランジャにより、下降速度0.5mm/秒で品温20℃の組成物の表面を所定の歪率まで押圧し、0.1秒間隔で応力(kN/m2)を連続的に測定し、所定の歪率到達時までに得られた応力の最大値(N/m2)を求める。
本発明における応力とは、テクスチャーアナライザー(株式会社山電社製、RE2-3305S)を使用して応力を測定する際に、組成物をステージとの接触面積が最も大きくなるように、即ち、組成物が内接する仮想直方体を想定し、当該直方体の最大面積の長側面をステージに接するように載置し、下降する円盤状プランジャに加わる応力値を表す。より具体的には、テクスチャーアナライザーを使用して、ステージ上の組成物がはみ出さない大きさの円盤状プランジャにより、下降速度0.5mm/秒で品温20℃の組成物の表面を歪率100%(又は90%)まで押圧し、ステージ上の組成物を上方から鉛直方向に観察した場合における投影面積を接触面積として、0.1秒間隔で単位接触面積あたり応力(kN/m2)を連続的に測定することで各歪率の応力を求める。また、歪率60%到達時の最大応力は、前述の測定と同様の方法で得られた応力の最大値として求める。歪率80%到達時の最大応力についても同様である。上記の方法で各組成物を10回測定した場合の算術平均値を、各組成物の測定値として採用することができる。
段階(iv)における条件(8)は、段階(iv)の高温加圧処理後における固形状組成物のP60/P80が5%超という条件である。但し、P60は、前記[方法1]で測定される歪率60%到達時の最大応力(N/m2)を指し、P80は、前記[方法1]で測定される歪率80%到達時の最大応力(N/m2)を指す。具体的に、段階(iv)の高温加圧処理後の固形状食品組成物のP60/P80は、例えば5%超とすることができ、その上限は特に限定されないが、例えば100%とすることができる。具体的には、その下限は制限されるものではないが、例えば5%超、又は6%超、又は7%超、又は8%超、又は9%超、又は10%超とすることができる。またその上限は制限されるものではないが、通常100%、又は100%以下、又は90%以下とすることができる。弾力を有し好ましい食感を維持する組成部であれば、歪率が小さい段階で応力が検出され、歪率60%と80%とでは、応力値の差が小さくなる傾向にある。これにより、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが可能となる。その原理は不明であるが、段階(iii)の浸漬処理により、基礎固形状組成物に水性媒体が浸透した状態で、段階(iv)で高温加圧処理を行うことで、固形状組成物の組織構造を破壊することなく、固形状組成物中に多量の水分を含有させることが可能となり、固形状組成物の弾力が維持され、食感が好ましくなるものと考えられる。
段階(iv)の高温加圧処理後において、固形状組成物が更に下記(9)を充足することが好ましい。条件(9)は、固体状組成物のP90/Pmaxが90%以下であるという条件である。但し、P90は、上記[方法1]で測定される歪率90%到達時の最大応力(N/m2)を指し、Pmaxは、上記[方法1]で測定される最大応力(N/m2)を指す。具体的に、段階(iv)の高温加圧処理後の固形状食品組成物のP90/Pmaxは、例えば90%以下とすることができ、その下限は特に限定されないが、例えば1%以上とすることができる。具体的には、その上限は制限されるものではないが、例えば90%以下、又は85%以下、又は80%以下、又は75%以下、又は70%以下とすることができる。またその下限は制限されるものではないが、通常1%以上、又は5%以上、又は10%以上とすることができる。これにより、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、粘り気が少なく、歯切れのいい食感となるため好ましい。また、組成物同士の結着を抑制できるため好ましい。その原理は不明であるが、段階(iii)の浸漬処理により、基礎固形状組成物に水性媒体が浸透した状態で、段階(iv)で高温加圧処理を行うことで、固形状組成物の組織構造を破壊することなく、固形状組成物中に多量の水分を含有させることが可能となり、でんぷん老化が促進されることで、効果が奏されると考えられる。通常、粘り気が多い組成物であれば、プランジャの下降に伴い、プランジャに加わる応力が上昇する。つまり、歪率100%に近づくと共に応力値も上昇していく。この時のP90/Pmaxは100%に近い値となる。一方で、本発明のように粘り気が少なく、歯切れのいい食感を有する組成物であれば、プランジャを下降する際の何れかの段階(例えば歪率70%)で組成物が崩壊し、プランジャに加わる応力が減少する。例えば、歪率70%で組成物が崩壊した場合、歪率70%における応力が最大応力となる。この場合、P90/Pmaxは100%よりも小さい値となる。
・浸漬処理及び/又は高温加圧処理の前後における組成物の各種物性の変化:
なお、段階(iii)の浸漬処理及び段階(iv)の高温加圧処理の前後における組成物のでんぷん糊化度の減少率(すなわち「{(段階(iii)前の基礎固形状組成物のでんぷん糊化度)-(段階(iv)後の固形状食品組成物のでんぷん糊化度)}/(段階(iii)前の基礎固形状組成物のでんぷん糊化度)」で規定される減少率)が、一定値以上であることが好ましい。これにより、高温加圧処理後の固形状組成物の品質劣化が抑えられ、粘り気が少なく、歯切れのいい食感となるため好ましい。また、組成物同士の結着を抑制できるため好ましい。具体的に、斯かるでんぷん糊化度の減少率は、例えば2%以上50%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば2%以上、又は3%以上、又は4%以上とすることが出来る。一方、その上限は例えば60%以下、又は55%以下、又は50%以下とすることが出来る。
また、段階(iv)の高温加圧処理の前後における組成物のでんぷん糊化度の減少率(すなわち「{(段階(iv)前の固形状組成物のでんぷん糊化度)-(段階(iv)後の固形状食品組成物のでんぷん糊化度)}/(段階(iv)前の固形状組成物のでんぷん糊化度)」で規定される減少率)が、一定値以上であることが更に好ましい。これにより、高温加圧処理後の固形状組成物の品質劣化が抑えられ、粘り気が少なく、歯切れのいい食感となるため好ましい。また、組成物同士の結着を抑制できるため好ましい。具体的に、斯かるでんぷん糊化度の減少率は、例えば2%以上60%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば2%以上、又は3%以上、又は4%以上とすることが出来る。一方、その上限は例えば60%以下、又は55%以下、又は50%以下とすることが出来る。
なお、段階(iii)の浸漬処理及び段階(iv)の高温加圧処理の前後における組成物結晶度の増加率(すなわち「{(段階(iv)後の固形状食品組成物の結晶度)-(段階(iii)前の基礎固形状組成物の結晶度)}/(段階(iv)後の固形状食品組成物の結晶度)」で規定される増加率)が、一定値以上であることが好ましい。これにより、高温加圧処理後の固形状組成物の品質劣化が抑えられ、粘り気が少なく、歯切れのいい食感となるため好ましい。また、組成物同士の結着を抑制できるため好ましい。具体的に、斯かる結晶度の増加率は、例えば2%以上100%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば2%以上、又は3%以上、又は4%以上、又は5%以上、又は10%以上、又は15%以上、又は20%以上、又は30%以上、又は40%以上、又は50%以上、又は60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上とすることが出来る。一方、その上限は例えば100%以下、又は98%以下とすることが出来る。
なお、本発明において「結晶度」とは、X線回折法により回折角2θが16度(deg)以上18度以下に検出される回折X線ピーク(典型的には17度以上17.5度以下の範囲にピークトップが検出され、より典型的には17度付近にピークトップが検出される)のピーク強度を求めることにより、測定することができる。具体的には、組成物を公知の方法(例えば凍結乾燥処理)を用いて湿潤基準含水率10質量%に乾燥処理した後、公知の方法(ハンマーミル等)を用いて粉末状に加工したのち、目開き45μmの篩を用いて45μm以上の画分を除去した粉末状組成物(より具体的には、目開き45μmの篩を通過し、目開き25μmの篩を通過しない画分を用いてもよく、より具体的は325メッシュパス500メッシュオンの画分を用いてもよい)を測定試料として用いる。本発明において、「メッシュオン」とは、特定サイズの篩上にとどまる粉末状組成物画分を指し、「メッシュパス」とは、特定サイズの篩を通過する粉末状組成物画分を指す。例えば、「325メッシュパス500メッシュオン」とは、325メッシュの篩を通過し500メッシュの篩上にとどまる粉末状組成物画分を意味する。本発明における「メッシュ」とは金網・篩・フィルター等の目の密度を表す単位であり、1インチあたりの網目の数を表す。すなわち、例えば「325メッシュパス」とは、目開き45μmの篩を通過する粉末状組成物画分を意味し、「500メッシュオン」とは、目開き25μmの篩上にとどまる粉末状組成物画分を意味する。
具体的には、メッシュオンの針金の太さと目の間隔は、U.S.A. Standard Testing Sieves ASTM Specifications E 11-04にて規定されている数値(例えば325メッシュは、同文献中のNominal Dimensions, Permissible Variation for Wire Cloth of Standard Testing Sieves (U.S.A.) Standard Seriesにおける「Alternative」に規定された「No.325」と対応し、500メッシュは「No.500」と対応する)またはそれに準じた数値を採用し、測定したい粉末状組成物を含むサンプル(20℃)100gを、段階的に目開きの大きいものから小さいものへと順番に上から重ねた篩上に均等に広げて、組成物サイズが変わらない程度の負荷で振動させながら各篩上の画分質量が一定となるまで処理することでサイズを測定することができる。
結晶度測定に際しては、試料を試料台に設置後、粉体表面の高さを均一にするために、摺り切りガラスを用いて均しを行ったものを供試する。X線回折に際しては、各領域の有限の(例えば2箇所以上、例えば5箇所又は10箇所の)測定箇所を測定して得られた回折X線グラフにおける当該ピーク面積を積分してその算術平均値を求めることで結晶度を把握することができる。より具体的な測定条件としては、例えばX線回折装置としてリガク社製のデスクトップX線回折装置Miniflex600-Cを用い、以下の条件で設定して測定して得られた回折X線グラフにおける当該ピーク面積を積分し、得られた値を結晶度とすることができる。
(入射側光学系条件)
線源:CuKα(λ=1.54186Å)、出力:40kV、15mA
発散角:0.1deg
照射系:50μmφ
入射角(ω):3deg
ステップ幅:0.0100deg
測定範囲:5deg~30deg
(受光側光学系条件)
検出器:D/teX Ultra2
発散スリット角:1.25deg
受光ソーラー:ソーラースリット2.5°
なお、段階(iv)高温加圧処理の前後における組成物結晶度の増加率(すなわち「{(段階(iv)後の固形状食品組成物の結晶度)-(段階(iv)前の基礎固形状組成物の結晶度)}/(段階(iv)後の固形状食品組成物の結晶度)」で規定される増加率)が、一定値以上であることが好ましい。これにより、高温加圧処理後の固形状組成物の品質劣化が抑えられ、粘り気が少なく、歯切れのいい食感となるため好ましい。また、組成物同士の結着を抑制できるため好ましい。具体的に、斯かる結晶度の増加率は、例えば2%以上100%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は例えば2%以上、又は3%以上、又は4%以上、又は5%以上、又は10%以上、又は15%以上、又は20%以上、又は30%以上、又は40%以上、又は50%以上、又は60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上とすることが出来る。一方、その上限は例えば100%以下、又は98%以下とすることが出来る。
・高温加圧処理後における組成物の各種組成・物性:
段階(iv)において、高温加圧処理後の固形状食品組成物の湿潤基準含水率が、所定範囲内であってもよい。具体的に、高温加圧処理後の固形状食品組成物の湿潤基準含水率は、例えば50質量%以上とすることができ、その上限は特に限定されないが、例えば200質量%以下とすることができる。より具体的に、その下限は例えば50質量%以上、又は53質量%以上、又は55質量%以上、又は58質量%以上、又は60質量%以上、又は63質量%以上、又は65質量%以上、又は68質量%以上、又は70質量%以上とすることが出来る。一方、その上限は特に限定されないが、例えば200質量%以下、又は180質量%以下、又は150質量%以下とすることが出来る。また、前述のように段階(iii)の一部又は全部と段階(iv)の一部又は全部を並行して実施する場合も、高温加圧処理後の固形状組成物の湿潤基準含水率が上記規定を充足することが好ましい。
段階(iv)において、高温加圧処理後の固形状食品組成物のでんぷん糊化度が、所定範囲内であってもよい。具体的に、高温加圧処理後の固形状食品組成物のでんぷん糊化度は、例えば99質量%以下とすることができ、その下限は特に限定されないが、例えば10質量%以上とすることができる。より具体的に、その上限は例えば99質量%以下、又は95質量%以下、又は90質量%以下、又は85質量%以下、又は80質量%以下とすることが出来る。一方、その上限は特に限定されないが、例えば10質量%以上、又は15質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上とすることが出来る。また、前述のように段階(iii)の一部又は全部と段階(iv)の一部又は全部を並行して実施する場合も、高温加圧処理後の固形状食品組成物のでんぷん糊化度が上記規定を充足することが好ましい。
段階(iv)において、高温加圧処理後の固形状食品組成物における食用植物(特に豆類及び雑穀類)の合計含有率は、制限されるものではないが、乾燥質量換算で例えば10質量%以上100質量%以下の範囲とすることが好ましい。より具体的に、その下限は、通常10質量%以上、中でも12質量%以上、又は15質量%以上、又は18質量%以上、又は20質量%以上、又は25質量%以上、又は30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上、又は55質量%以上、又は60質量%以上、又は65質量%以上、又は70質量%以上、又は75質量%以上、又は80質量%以上、又は85質量%以上、又は90質量%以上、又は95質量%以上とすることが好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、通常100質量%、又は100質量%以下とすることができる。また基礎固形状組成物が上記規定を充足する態様であってもよく、主要な穀類(特に小麦)以外の食用植物割合が上記規定を充足する態様であってもよく、グルテン含有食品(特に小麦)以外の食用植物割合が上記規定を充足する態様であってもよい。
・高温加圧処理後における組成物の香気成分量:
段階(iv)の高温加圧処理後において、固形状組成物が、2ペンチルフランを湿潤質量換算で1質量ppb以上含有することが好ましい。具体的には、固形状組成物の2ペンチルフランを所定量含有することで、ムレ臭が抑制された呈味の好ましい組成物となるため好ましい。具体的に、その下限は特に制限されないが、例えば1.0質量ppb以上、又は1.5質量ppb以上、又は2.0質量ppb以上、又は2.5質量ppb以上、又は3.0質量ppb以上、又は3.5質量ppb以上、又は4.0質量ppb以上、又は4.5質量ppb以上、又は5.0質量ppb以上とすることができる。また、2ペンチルフランが濃すぎるとその香りが目立ちすぎる場合があるため、その上限は特に制限されないが、湿潤質量換算で、例えば50質量ppm以下、又は47質量ppm以下、又は40質量ppm以下、又は30質量ppm以下、又は20質量ppm以下、又は15質量ppm以下、又は10質量ppm以下、又は5質量ppm以下、又は3質量ppm以下、又は2質量ppm以下、又は1.2質量ppm以下、又は0.5質量ppm以下、又は0.2質量ppm以下とすることができる。これにより、ムレ臭が抑制された風味の好ましい組成物となるため好ましい。その原理は不明であるが、所定の与圧条件下で高温処理することで、固形状組成物に速やかに水分移行が起こると共に、2ペンチルフランも移行することで、組成物中のでんぷん老化に伴って、2ペンチルフランがでんぷん内に固定され、ムレ臭が抑制された呈味の好ましい組成物となると考えられる。
段階(iv)の高温加圧処理後において、固形状組成物が更に下記を充足することが好ましい。即ち、固形状組成物を一次元GC/MS分析によって測定した場合に、保持時間10~14分においてm/z=81、82、及び138.1が共に検出される2ペンチルフラン由来のピーク面積に対する、保持時間15~19分においてm/z=82、95、及び98が共に検出されるノナナール由来のピーク面積の比(ノナナールピーク面積/2ペンチルフランピーク面積)が、100未満であることが好ましい。具体的に、固形状組成物の2ペンチルフランピーク面積に対する、ノナナールピーク面積の比(ノナナールピーク面積/2ペンチルフランピーク面積)を、例えば0以上、100未満の範囲とすることが好ましい。より具体的に、当該比の上限は、通常100未満、又は90未満、又は80未満、又は70未満、又は60未満、又は50未満、又は40未満、又は30未満、又は20未満、又は10未満、又は9未満、又は8未満、又は7未満、又は6未満、又は5未満、又は4未満、又は3未満、又は2未満、又は1未満とすることができる。一方、当該比率の下限は特に制限されないが、通常0、又は0以上とすることができる。これにより、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、ムレ臭が抑制された風味の好ましい組成物となるため好ましい。
<段階(v):急速冷却処理>
本発明は、段階(iv)の後に、組成物を急速冷却する段階(v)を更に含んでもよい。これにより、段階(iv)で固形状組成物中に多量の水分や香気成分(例えば2ペンチルフラン)を含有させた固形状組成物が、でんぷん老化に伴って、2ペンチルフランをはじめとする香気成分がでんぷん内に固定され、ムレ臭が抑制された呈味の好ましい組成物となるため好ましい。具体的に、段階(v)の急速冷却処理の条件は、下限が通常1℃/分以上であり、上限は制限されないが、例えば20℃/分以下とすることが出来る。より具体的に、段階(v)における急速冷却処理の下限は、制限されるものではないが、通常1℃/分以上、又は2℃/分以上、又は3℃/分以上、又は4℃/分以上、又は5℃/分以上、又は6℃/分以上とすることが出来る。その上限は特に制限されないが、通常20℃/分以下、又は19℃/分以下とすることが出来る。本発明における速冷却は、高温加圧処理した装置内に冷却水や冷却ミストを照射する方法や、ファンによる冷却、又はその両方を併用して実施することができる。
[II.固形状食品組成物]
・概要:
本発明の固形状組成物は、固形状組成物中に、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)に由来するでんぷんを含有する。即ち、本発明の固形状組成物は、固形状組成物中に、食用植物に由来するでんぷん(特に豆類に由来するでんぷん、及び、雑穀類に由来するでんぷんのうち、少なくとも一方又は双方)を含有する。
本発明の一側面によれば、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のでんぷんを含有すると共に、下記の所定の特徴を充足する固形状食品組成物が提供される。また、後述する本発明の製造方法によって得られた固形状食品組成物も、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のでんぷんを含有すると共に、好ましくは後述の所定の特徴を充足することになる。以下の記載では、斯かる食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のでんぷんを含有し、後述の所定の特徴を充足する固形状食品組成物、及び、本発明の製造方法によって製造された、好ましくは後述の所定の特徴を充足する固形状食品組成物を総称して、適宜「本発明の固形状食品組成物」と称する。よって、本発明の固形状食品組成物は、必ずしも後述の本発明の製造方法によって得られた固形状食品組成物に限定されるものではない。
なお、本発明の固形状食品組成物の組成及び物性等の詳細は、その前駆体たる基礎固形状組成物の組成及び物性等の詳細と、その多くが共通している。よって以下の説明では、主に両者の相違点のみに絞って説明することにする。
・固形状食品組成物の態様:
本発明の固形状食品組成物は、水中における成分溶出が抑制された性質を有することから、特に成分が溶出しやすい調理環境である液中(特に水中)での加熱調理に供されることが好ましい。例えば加熱調理用でんぷん含有固形状組成物が麺やパスタ等の麺線又は麺帯状組成物であった場合、喫食のために水中における加熱調理(例えば90℃以上の水中で5分以上)された後においても、喫食が可能な形状が保持されるような性質を有するため、麺やパスタ等の麺線又は麺帯状組成物であることが好ましい。
本発明の固形状食品組成物の例としては、これらに限定されるものではないが、パスタ、中華麺、うどん、稲庭うどん、きしめん、ほうとう、すいとん、ひやむぎ、素麺、蕎麦、蕎麦がき、ビーフン、フォー、冷麺の麺、春雨、オートミール、クスクス、きりたんぽ、トック、ぎょうざの皮等が挙げられる。
パスタの例としては、ロングパスタとショートパスタとが挙げられる。
ロングパスタとは、通常細長いパスタの総称であるが、本発明においては、うどんやそば等も包含する概念である。具体例としては、これらに限定されるものではないが、例えば、スパゲッティ(直径:1.6mm~1.7mm)、スパゲッティーニ(直径:1.4mm~1.5mm)、ヴァーミセリ(直径:2.0mm~2.2mm)、カッペリーニ(直径:0.8mm~1.0mm)、リングイネ(短径1mmほど、長径3mmほど)、タリアテッレ又はフェットチーネ(幅7mm~8mmほどの平麺)、パッパルデッレ(幅10mm~30mmほどの平麺)等が挙げられる。ロングパスタは加熱料理時に形状崩壊しやすい商品特性を有しやすいため、本発明の組成物とすることが有用であり好ましい。
ショートパスタとは、通常短いパスタの総称であるが、本発明においては、フレーゴラ(粒状のパスタ)やクスクス等の成型後更に小サイズに加工されたものも包含する概念である。具体例としては、これらに限定されるものではないが、マカロニ(直径が3mm~5mm前後の円筒状)、ペンネ(円筒状の両端をペン先のように斜めにカットしたもの)、ファルファーレ(蝶のような形状)、コンキリエ(貝殻のような形状)、オレッキエッテ(耳のような形状のドーム型)等が挙げられる。
なお、本発明の固形状食品組成物の形状は、その前駆体たる基礎固形状組成物の形状を所望の形状に成形することにより、調整することが可能である。
・固形状食品組成物の食物繊維含有量
本発明の固形状食品組成物の食物繊維の湿潤質量換算割合は、その前駆体たる基礎固形状組成物と同様である。具体的に、その下限は例えば通常0.5質量%以上、上限は制限されるものではないが、例えば40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常3.0質量%以上である。中でも4.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、特に10質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。
また、上記食物繊維に関する規定が、可溶性食物繊維及び/又は不溶性食物繊維においても充足されることが好ましい。即ち、本発明の固形状食品組成物における可溶性食物繊維及び/又は不溶性食物繊維の湿潤質量換算割合は、例えば通常0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることができ、より具体的に、その下限は通常0.5質量%以上、中でも0.7質量%以上、又は1.0質量%以上、又は1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、特に5.0質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。
本発明の固形状食品組成物中の食物繊維に関するその他の詳細は、その前駆体たる基礎固形状組成物中の食物繊維に関するその他の詳細と同様である。
・固形状食品組成物のでんぷん含有量
本発明の固形状食品組成物のでんぷん含有量は、その前駆体たる基礎固形状組成物と同様である。具体的に、その下限は湿潤質量換算で、例えば通常1.0質量%以上、上限は制限されるものではないが、例えば80質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常1.0質量%以上である。中でも1.5質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は10.0質量%以上、又は15.0質量%以上、又は20.0質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常80質量%以下、又は75質量%以下、又は70質量%以下とすることができる。また、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のでんぷんが上記規定を充足することが好ましい。
本発明の固形状食品組成物中のでんぷんに関するその他の詳細は、その前駆体たる基礎固形状組成物中のでんぷんに関するその他の詳細と同様である。
・固形状食品組成物のタンパク質含有量
本発明の固形状食品組成物のタンパク質含有量は、その前駆体たる基礎固形状組成物と同様である。具体的にその下限は、湿潤質量換算割合で、例えば通常0.5質量%以上、上限は制限されるものではないが、例えば40質量%以下の範囲とすることができる。より具体的に、その下限は通常0.5質量%以上である。中でも1.0質量%以上、又は2.0質量%以上、又は3.0質量%以上、又は4.0質量%以上、又は5.0質量%以上、又は6.0質量%以上、又は7.0質量%以上、又は8.0質量%以上、又は9.0質量%以上、又は10質量%以上、又は11質量%以上、又は12質量%以上、又は13質量%以上、又は14質量%以上、又は15質量%以上、又は16質量%以上、又は17質量%以上、又は18質量%以上とすることが好ましい。上限は特に制限されないが、例えば通常40質量%以下、又は30質量%以下とすることができる。また、食用植物(特に豆類及び/又は雑穀類)由来のタンパク質が上記規定を充足することが好ましい。
本発明の固形状食品組成物中のタンパク質に関するその他の詳細は、その前駆体たる基礎固形状組成物中のタンパク質に関するその他の詳細と同様である。
・固形状食品組成物の湿潤基準含水率
本発明の固形状食品組成物の湿潤基準含水率は、その前駆体たる基礎固形状組成物よりも高い値となる。具体的に、固形状食品組成物の湿潤基準含水率は、例えば50質量%以上とすることができ、その上限は特に限定されないが、例えば200質量%以下とすることができる。より具体的に、その下限は例えば50質量%以上、又は53質量%以上、又は55質量%以上、又は58質量%以上、又は60質量%以上、又は63質量%以上、又は65質量%以上、又は68質量%以上、又は70質量%以上とすることが出来る。一方、その上限は特に限定されないが、例えば200質量%以下、又は180質量%以下、又は150質量%以下とすることが出来る。
本発明の固形状食品組成物中の湿潤基準含水率に関するその他の詳細は、その前駆体たる基礎固形状組成物中の湿潤基準含水率に関するその他の詳細と同様である。
・固形状食品組成物のでんぷん糊化度
本発明の固形状食品組成物のでんぷん糊化度は、その前駆体たる基礎固形状組成物よりも低い値となる。具体的には、本発明の固形状食品組成物のでんぷん糊化度は、上限が例えば通常88質量%以下であり、下限は制限されるものではないが、例えば30質量%以上とすることができる。より具体的に、その上限は通常88質量%以下、又は85質量%以下、又は80質量%以下、又は75質量%以下、又は70質量%以下とすることが好ましい。一方、その下限は制限されるものではないが、例えば30質量%以上、又は35質量%以上、又は40質量%以上、又は45質量%以上、又は50質量%以上とすることが好ましい。
本発明の固形状食品組成物中のでんぷん糊化度に関するその他の詳細は、その前駆体たる基礎固形状組成物中のでんぷん糊化度に関するその他の詳細と同様である。
・固形状食品組成物のでんぷん粒構造:
本発明の固形状食品組成物のでんぷん粒構造は、その前駆体たる基礎固形状組成物と同様である。具体的に、本発明の固形状食品組成物は、下記のでんぷん粒構造に関する要件(a)及び/又は(b)を充足することが好ましい。
(a)組成物の粉砕物の6%懸濁液を観察した場合に認められるでんぷん粒構造が、300個/mm2以下である。
(b)ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いて14質量%の組成物粉砕物水スラリーを50℃から140℃まで昇温速度12.5℃/分で昇温して測定した場合の糊化ピーク温度が120℃未満である。
前記要件(a)については、具体的に、本発明の固形状食品組成物は、前記条件下で観察されたでんぷん粒構造の数が、例えば0個/mm2以上300個/mm2以下の範囲とすることができる。より具体的に、本発明の組成物の当該でんぷん粒構造の数は、通常300個/mm2以下、中でも250個/mm2以下、又は200個/mm2以下、又は150個/mm2以下、又は100個/mm2以下、又は50個/mm2以下、又は30個/mm2以下、又は10個/mm2以下、特に0個/mm2であることが好ましい。
前記(b)については、本発明の固形状食品組成物は、後述の条件下でラピッドビスコアナライザー(RVA)により測定された組成物の糊化ピーク温度が、例えば50℃以上120℃未満の範囲とすることができる。より具体的に、その上限は、通常120℃未満、中でも115℃以下、又は110℃以下、又は105℃以下、又は100℃以下、又は95℃以下、又は90℃以下、又は85℃以下、又は80℃以下であることが好ましい。一方、その下限は特に制限されないが、通常50℃以上、又は55℃以上、又は60℃以上とすることができる。なお、ラピッドビスコアナライザー(RVA)及びその測定条件については後述する。
本発明の固形状食品組成物は、テクスチャーアナライザーにより前記[方法1]で応力を測定した場合に、歪率60%到達時の最大応力P60(N/m2)と歪率80%到達時の最大応力P80(N/m2)との比P60/P80が通常5%超である。具体的に、固形状食品組成物のP60/P80は、例えば5%超とすることができ、その上限は特に限定されないが、例えば100%とすることができる。具体的には、その下限は制限されるものではないが、例えば5%超、又は6%超、又は7%超、又は8%超、又は9%超、又は10%超とすることができる。またその上限は制限されるものではないが、通常100%、又は100%以下、又は90%以下とすることができる。弾力を有し好ましい食感を維持する組成物であれば、歪率が小さい段階で応力が検出され、歪率60%と80%とでは、応力の差が小さくなる傾向にある。これにより、水性媒体に浸漬して高温加圧処理した場合でも、弾力を維持し、好ましい食感を保つことが可能となる。その原理は不明であるが、段階(iii)の浸漬処理により、基礎固形状組成物に水性媒体が浸透した状態で、段階(iv)で高温加圧処理を行うことで、固形状組成物の組織構造を破壊することなく、固形状組成物中に多量の水分を含有させることが可能となり、固形状組成物の弾力が維持され、食感が好ましくなるものと考えられる。
本発明の固形状食品組成物中のでんぷん糊化度に関するその他の詳細は、その前駆体たる基礎固形状組成物中のでんぷん糊化度に関するその他の詳細と同様である。
・喫食形態
本発明の固形状食品組成物の喫食形態は任意である。即ち、水性媒体に浸漬された状態で高温加圧処理された状態の固形状食品組成物を、レトルト容器を開封して取り出し、水性媒体と一緒にそのまま喫食してもよく、水性媒体の一部又は全部を除去してから喫食してもよい。後者の場合、水性媒体の一部又は全部の除去後、固形状食品組成物を別の調味料等の水性媒体に改めて浸漬したり、各種の調味料を添えたりしてから喫食してもよい。
また、本発明の固形状食品組成物は、そのまま常温で喫食してもよいが、加熱又は冷却してから喫食してもよい。後者の場合、特に段階(iv)の高温加圧処理としてレトルト処理を実施する場合には、得られた本発明の固形状食品組成物をレトルト容器に入った状態で加熱又は冷却してもよく、レトルト容器から固形状食品組成物を取り出して加熱又は冷却してもよい。
本発明の組成物を充填する容器には、あらゆる容器が使用できる。例えば、製造からの賞味期限が4ヶ月よりも長いロングライフ常温(本発明において20℃)保存容器、一部又は全部に樹脂を使用した容器、開栓後に容器開口部を密封して複数回に亘って使用することができる非使い切り容器、中身液が漏出しない程度の再密封可能なキャップや栓などの機構を持つ再密封可能な容器など、中身の組成物が劣化しやすい容器であっても使用できる。
以下、本発明を実施例に則して更に詳細に説明するが、これらの実施例はあくまでも説明のために便宜的に示す例に過ぎず、本発明は如何なる意味でもこれらの実施例に限定されるものではない。なお各表に記載された数値は、最小桁の1/10を四捨五入して算出した。
試験例・比較例の各々について、以下に示す手順に従って、水性媒体の調製(工程(ii))、基礎固形状組成物の調製(工程(ii))、基礎固形状組成物の水性媒体への浸漬処理(工程(iii))、固形状組成物の高温加圧処理(工程(iv))、及び冷却処理(工程(v))を行い、固形状食品組成物を調製した。得られた各例の固形状食品組成物について、物性評価及び官能評価に供した。
1.水性媒体の調製(工程(i)):
市販の調味液(基礎調味液)を各例の水性媒体として用いた。なお、当該基礎調味液中の塩化ナトリウム(NaCl)含有量(湿潤質量換算)は0.93質量%、油脂含有量(湿潤質量換算)は1.9質量%であった。
2.基礎固形状組成物の調製(工程(ii)):
下記表1に示す食用植物を用いて、各例の基礎固形状組成物を調製した。具体的には、食用植物の粉末(平均粒径d50:50μm)を用い、2軸式エクストルーダー(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製2軸エクストルーダーHAAKE Process11、スクリュー径11mm×2、スクリュー長41cm、セグメント式、同方向回転スクリュー)を用いて最高温度120℃でSME(specific mechanical energy)値800kJ/kgで処理時間0.1時間混練することにより調製した。得られた各例の基礎固形状組成物について、上述の手順により、組成物中のでんぷん含有量(湿潤質量換算)、でんぷんの糊化度、でんぷん粒の個数、RVAによる糊化ピーク温度、及び湿潤基準含水率を測定した。結果を表1に示す。
3.基礎固形状組成物の水性媒体への浸漬処理(工程(iii)):
各例について、レトルト容器(東洋製罐株式会社;材料アルミ箔製;容量80~3000mL)に前述の水性媒体及び基礎固形状組成物を入れ、基礎固形状組成物が水性媒体に完全に浸漬する状態として容器を密閉し、一定時間保持することにより、浸漬処理を行った。各例の平均浸漬温度及び浸漬時間を後述の表2に示す。なお、試験例5及び比較例6については浸漬処理時に加熱を行った。試験例5については、大気圧に対して与圧せずに加熱する段階を浸漬処理(工程(iii))、レトルト窯に移して与圧下で加熱する段階を高温加圧処理(工程(iv))として両者を区別した。比較例6については高温加圧処理を割愛し、浸漬処理後の水性媒体及び基礎固形状組成物を含む密閉レトルト容器をそのまま次段の冷却処理に供した。また、試験例2については浸漬処理を割愛し、水性媒体及び基礎固形状組成物を含む密閉レトルト容器をそのまま次段の高温加圧処理に供した。
4.固形状組成物の高温加圧処理(工程(iv)):
各例について、前述の浸漬処理後の水性媒体及び基礎固形状組成物を含む密閉レトルト容器をレトルト釜(株式会社日阪製作所)に入れ、加圧下で昇温し、高温下で一定時間保持することにより、高温加圧処理を行った。各例における圧力(大気圧に対する与圧)、昇温速度、最高到達温度、及び処理時間(最高到達温度で維持した時間)を下の表2に示す。
5.固形状組成物の高温加圧処理処理(工程(v)):
各例について、前述の高温加圧処理後(比較例6は浸漬処理後)の水性媒体及び基礎固形状組成物を含む密閉レトルト容器を、-10℃/分の降温速度で21℃まで冷却した。
6.固形状食品組成物の物性評価:
各例について得られた固形状食品組成物について、各々上述した手順により、固形状食品組成物の質量、段階(iv)の高温加圧処理前後の組成物の質量比、湿潤基準含水率、でんぷん糊化度、段階(iii)の浸漬処理及び段階(iv)の高温加圧処理の前後のでんぷん糊化度の減少率、塩化ナトリウム(NaCl)含有量(湿潤質量換算)、並びにテクスチャーアナライザーにより測定した応力に関する各パラメーター(P60/P80及びP90/Pmax)を求めた。結果を以下の表3に示す。なお、比較例4については、高温加圧処理中に組成物が煮溶けてしまい、何れの物性も測定不可能であった。
7.固形状食品組成物の官能評価:
・官能評価手順の概要:
各例について得られた固形状食品組成物を、沸騰液中(100℃)で7分間湯煎して固形状食品組成物を調製し、官能評価に供した。官能評価は、訓練された官能検査員10名によって行った。加熱後の各例の固形状食品組成物について、冷めないうちに官能評価員が摂食し、(1)食感、(2)呈味、及び(3)総合評価について評価を行った。
・官能評価員:
各官能試験を行う官能検査員としては、予め下記A)~C)の識別訓練を実施した上で、特に成績が優秀で、商品開発経験があり、食品の味や食感といった品質についての知識が豊富で、各官能検査項目に関して絶対評価を行うことが可能な検査員を選抜した。
A)五味(甘味:砂糖の味、酸味:酒石酸の味、旨み:グルタミン酸ナトリウムの味、塩味:塩化ナトリウムの味、苦味:カフェインの味)について、各成分の閾値に近い濃度の水溶液を各1つずつ作製し、これに蒸留水2つを加えた計7つのサンプルから、それぞれの味のサンプルを正確に識別する味質識別試験。
B)濃度がわずかに異なる5種類の食塩水溶液、酢酸水溶液の濃度差を正確に識別する濃度差識別試験。
C)メーカーA社醤油2つにメーカーB社醤油1つの計3つのサンプルからB社醤油を正確に識別する3点識別試験。
また、前記の何れの評価項目でも、事前に検査員全員で標準サンプルの評価を行い、評価基準の各スコアについて標準化を行った上で、10名によって客観性のある官能検査を行った。各評価項目の評価は、各項目の5段階の評点の中から、各検査員が自らの評価と最も近い数字をどれか一つ選択する方式で評価した。評価結果の集計は、10名のスコアの算術平均値から算出し、小数第1位を四捨五入して最終評点とした。
(1)固形状食品組成物の食感:
各例の固形状食品組成物について、その食感を下記の5段階で評価した。
5:好ましい食感が強く感じられ、弾力が維持されている。
4:好ましい食感が感じられ、弾力がほぼ維持されている。
3:好ましい食感がやや弱いものの、弾力が許容範囲で維持されている。
2:好ましい食感が弱く、弾力が十分維持されていない。
1:好ましい食感が感じられず、弾力が維持されていない。
(2)固形状食品組成物の呈味:
各例の固形状食品組成物について、その呈味を下記の5段階で評価した。
5:すっきりとした味が強く感じられ、非常に好ましい。
4:すっきりとした味が感じられ、好ましい。
3:すっきりとした味がやや感じられ、やや好ましい。
2:すっきりとした味があまり感じられず、やや好ましくない。
1:すっきりとした味が感じられず、好ましくない。
(3)固形状食品組成物の総合評価:
各例の固形状食品組成物について、その全体的なおいしさを下記の5段階で評価した。また、評価時の特記事項について、コメントを記載した。
5:食感と呈味のバランスが良好で、非常に好ましい。
4:食感と呈味のバランスが比較的良好で、やや好ましい。
3:食感と呈味のバランスが平均的である。
2:食感と呈味のバランスが若干悪く、やや好ましくない。
1:食感と呈味のバランスが非常に悪く、好ましくない。
以上の手順による各例の固形状食品組成物の官能評価結果を、以下の表4に示す。また、一部の例については、表にコメントを付した。