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JP7770852B2 - 電気化学セル及び炭化水素製造装置 - Google Patents
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JP7770852B2 - 電気化学セル及び炭化水素製造装置 - Google Patents

電気化学セル及び炭化水素製造装置

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JP7770852B2 JP2021166227A JP2021166227A JP7770852B2 JP 7770852 B2 JP7770852 B2 JP 7770852B2 JP 2021166227 A JP2021166227 A JP 2021166227A JP 2021166227 A JP2021166227 A JP 2021166227A JP 7770852 B2 JP7770852 B2 JP 7770852B2
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Description

本発明は、炭化水素の製造に用いられる電気化学セルと、電気化学セルを用いた炭化水素製造装置に関する。
近年、二酸化炭素排出量の削減及びカーボンリサイクルの観点から、電気化学プロセスによって二酸化炭素と水蒸気とを共電解し、メタン等の炭化水素に変換するための技術を確立することが期待されている。このようなプロセスに用いられる電気化学セルとして、一般に、固体酸化物を材料とした固体酸化物形電解セル(Solid Oxide Electrolysis Cell;SOEC)が知られており、所望の反応を進行させ、反応効率を高めるために、電極材料となる複合酸化物や添加成分、電極構造等の検討が行われている。
例えば、特許文献1には、燃料電池に用いられる電気化学セルにおいて、カソードとして機能する空気極活性層の反応活性を向上させるために、電極材料の平均粒径が異なる2つの領域を設けた電極構造が開示されている。具体的には、空気極活性層の外側に位置する第2領域よりも、反応活性に影響を与えやすい固体電解質層側の第1領域の平均粒径を小さくすることによって、空気極活性層の総表面積を増加させ、吸着・反応の場を増加させている。
特許文献1では、電極材料に、ペロブスカイト型の複合酸化物を用い、その一部を置換する元素の種類や割合を、領域ごとに調整することによって、電極全体としての反応活性を高めることが提案されている。また、例えば、電極材料に白金族金属等の金属成分を添加して、電極の触媒活性を向上する方法も提案されている。
特開2018-26339号公報
このように、電気化学セルの性能には、電極材料の選定や電極構造の改良が重要となる。一方、電気化学セルを用いて、炭化水素を生成するためには、原料となる二酸化炭素及び水蒸気をそれぞれ電気分解し、さらに、電解により生成する一酸化炭素と水素との反応を進める必要がある。ところが、従来の電気化学セルを単純に適用しても、これらの反応を進行させることは難しく、炭化水素を発生させるのに適した、単一の電気化学セルは、未だ知られていない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素及び水蒸気を電気化学プロセスにより炭化水素に変換可能な電気化学セル、及び、電気化学セルを用いた炭化水素製造装置を提供することにある。
本発明の一態様は、
酸化物イオン伝導体(11)と、上記酸化物イオン伝導体の対向する2つの面(12、13)に設けられるカソード(2)及びアノード(3)と、を備える電気化学セル(1)において、
上記カソードは、
銀を主成分とする第1粒子(21)により構成され、二酸化炭素と水蒸気とを含む原料ガス(G)に接する導電性金属層(2A)と、
遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子(22)により構成され、上記酸化物イオン伝導体に接する複合酸化物層(2B)と、
上記導電性金属層と上記複合酸化物層との間に設けられ、上記第1粒子及び上記第2粒子により構成される中間層(2C)と、が積層された構造を有しており、
上記酸化物イオン伝導体は、無配向性又は配向性のアパタイト型化合物から選択される少なくとも一種にて構成されており、上記アパタイト型化合物は、リン酸塩系アパタイト型化合物、又は、アパタイト型複合酸化物である、電気化学セルにある。
本発明の他の態様は、
酸化物イオン伝導体(11)と、上記酸化物イオン伝導体の対向する2つの面(12、13)に設けられるカソード(2)及びアノード(3)と、を備える電気化学セル(1)において、
上記カソードは、
銀を主成分とする第1粒子(21)により構成され、二酸化炭素と水蒸気とを含む原料ガス(G)に接する導電性金属層(2A)と、
遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子(22)により構成され、上記酸化物イオン伝導体に接する複合酸化物層(2B)と、
上記導電性金属層と上記複合酸化物層との間に設けられ、上記第1粒子及び上記第2粒子により構成される中間層(2C)と、が積層された構造を有しており、上記遷移金属元素を含む複合酸化物は、ランタン系複合酸化物又はセリア系複合酸化物である、電気化学セルにある。
本発明の他の態様は、上記一態様に記載の電気化学セルを用いた炭化水素製造装置(100)であって、
筒状のガス流通部(101)の一端側を閉鎖するように上記電気化学セルが配置される炭化水素製造部(10)を備えており、
上記ガス流通部は、上記電気化学セルの上記カソードと対向して設けられるガス導入部(102)及びガス導出部(103)を有し、
上記ガス導入部は、上記カソードに対して垂直な方向をガス導入方向として、上記原料ガスを、上記カソードへ供給し、
上記ガス導出部は、上記ガス導入部の外周側に配置され、上記ガス導入方向と反対の方向を、ガス導出方向として、上記カソードにおける反応生成物を、上記ガス流通部の外部へ導出する、炭化水素製造装置にある。
上記電気化学セルの三層構造のカソードに、二酸化炭素と水蒸気とを含む原料ガスが導入されると、まず、銀を主成分とする第1粒子を含む導電性金属層において、水蒸気の電解による水素が生成し、中間層へ拡散する。中間層は、第1粒子と、遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子とを含み、水蒸気の電解がさらに進むと共に、二酸化炭素の電解による一酸化炭素が生成する。中間層では、導電性金属層から拡散する水素により、水素リッチな雰囲気となっていると考えられ、そのために、生成した一酸化炭素が速やかに水素と反応して炭化水素の前駆体を生成し、さらに、第2粒子の触媒作用により、前駆体が電解還元して、炭化水素に変換されるものと考えられる。このとき、中間層又は複合酸化物層のみでは、炭化水素の生成が確認されていないことから、これら両層を含むことにより、前駆体の生成と、その電解還元が段階的に進行し、炭化水素の生成が可能になると推測される。
このような電気化学セルを用いた炭化水素製造装置は、ガス導入部の外周にガス導出部を有するガス流通部を設けて、その一端側に電気化学セルを配置すると、小型で効率のよい炭化水素製造部を構成することができる。この構成のガス流通部では、ガス導入部が電気化学セルのカソードに対向し、垂直な方向から原料ガスが導入される一方、ガス導出部は、ガス流れが反対の方向となるので、段階的に反応が進行しながら、複合酸化物層に達した前駆体を含むガスが、そのまま流れ出ずに滞留しやすい。また、中間層では、吸熱反応である電解が進行して温度低下しており、隣接する複合酸化物層におけるメタン生成の進行に適した状態となる。そのために、前駆体の電解還元が進行しやすくなり、メタン転化率を高めることができる。
以上のごとく、上記態様によれば、二酸化炭素及び水蒸気を電気化学プロセスにより炭化水素に変換可能な電気化学セル、及び、電気化学セルを用いた炭化水素製造装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、電気化学セルの構成を模式的に示す全体断面図。 実施形態1における、電気化学セルの主要部であるカソードの構造を模式的に示した断面図で、図2のA部拡大断面図。 実施形態1における、電気化学セルのカソードにおける反応を説明するための要部拡大断面図。 実施形態1における、電気化学セルを用いた炭化水素製造部のガス流通部の構成例を示す要部拡大断面図。 実施形態1における、電気化学セルのカソードへ供給される原料ガス流れを説明するための要部拡大断面図で、図4のB部拡大断面図。 実施形態1における、電気化学セルを用いた炭化水素製造装置の全体構成図。 実施形態1における、炭化水素製造装置のガス導入部の構成例を示す要部拡大断面図で、図6のC部拡大断面図。 実施形態1における、炭化水素製造装置のガス導入部のガス流れを説明するための図で、図4の構成に対応する要部拡大断面図。 実施形態1における、炭化水素製造装置のガス導入部のガス流れを説明するための図で、図7の構成に対応する要部拡大断面図。 実施例における、炭化水素製造装置を用いたメタン製造試験によるメタン転化率を比較して示す柱状グラフ図。 参考例における、メタン合成反応におけるメタン生成率と圧力との関係を示すグラフ図。
(実施形態1)
電気化学セル及び炭化水素製造装置に係る実施形態について、図1~図9を参照して説明する。図1に示されるように、電気化学セル1は、酸化物イオン伝導体11と、酸化物イオン伝導体11の対向する2つの面12、13に設けられるカソード2及びアノード3と、を備える。カソード2とアノード3は、平板状の酸化物イオン伝導体11を挟んで対向し、カソード2の表面20へ向けて、二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)とを含む原料ガスGが供給される。
図2、図3に示されるように、カソード2は、銀(Ag)を主成分とする第1粒子21により構成される導電性金属層2Aと、遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子22により構成される複合酸化物層2Bと、第1粒子21及び第2粒子22により構成される中間層2Cとが、この順に積層された構造を有する。
このとき、導電性金属層2Aは、原料ガスGが導入される空間4に接して設けられ、カソード2の最外層を構成する。表面20は、酸化物イオン伝導体11と平行な仮想面として示している。複合酸化物層2Bは、酸化物イオン伝導体11の原料ガスG側の面12に接して設けられ、カソード2の最内層を構成する。中間層2Cは、導電性金属層2Aと複合酸化物層2Bとの間に位置して、これら両層と一体的に設けられる。これら導電性金属層2A、複合酸化物層2B及び中間層2Cにおいて、粒子間に形成される空隙は、互いに連通して、原料ガスG及び反応生成物を含む生成ガスが拡散可能な拡散路23を形成している。
このように、カソード2が三層構造を有し、導電性金属層2Aと複合酸化物層2Bとの間に、第1粒子と第2粒子の両方を含む中間層2Cが形成されることにより、各層において、原料ガスGに含まれるCO2及びH2Oの共電解と、電解生成物の反応が段階的に進行し、炭化水素の生成が可能になるものと考えられる。導電性金属層2Aと複合酸化物層2Bのみで、中間層2Cを有しない場合、又は、導電性金属層2Aと中間層2Cのみで、複合酸化物層2Bに相当する構成を有しない場合には、炭化水素の生成は見られない。
次に、カソード2の詳細構造と、電気化学セル1の全体構成について説明する。
カソード2の導電性金属層2Aは、第1粒子21のみが集合して構成される多孔質の導電性金属層であり、主に、原料ガスGに含まれる水蒸気を電気分解する作用を有する。このとき、図3中に[I]として示すように、水蒸気の電解により水素(H2)ガスが生成する反応が進行すると考えられる。導電性金属層2Aにて生成する水素は、未反応の水蒸気を含む原料ガスGと共に、中間層2Cへ拡散する。
第1粒子21は、銀を主成分金属として含む導電性金属粒子であり、導電性金属層2A及び中間層2Cにおける電極反応を妨げない範囲で、他の触媒金属を含んでいてもよい。好適には、第1粒子21は、銀のみを金属成分として含む導電性金属粒子とすることができる。
中間層2Cは、導電性金属層2Aと複合酸化物層2Bとの間に形成される多孔質の混合材料層であり、複合酸化物層2Bは、第2粒子22のみが集合して構成される多孔質の複合酸化物層である。中間層2Cは、導電性金属層2Aと同様に、銀を主成分とする第1粒子21を含むと共に、複合酸化物層2Bと同様に、遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子22を含んで構成される。
図3中に[II]として示すように、中間層2Cでは、原料ガスGの電解反応と、電解生成物の反応によるメタン前駆体を生成する反応が進行する。すなわち、導電性金属層2Aと同様に、未反応の水蒸気が電気分解してH2が生成すると共に、原料ガスGに含まれるCO2ガスが電気分解して、一酸化炭素(CO)ガスが生成する。さらに、生成したCOと、導電性金属層2Aから供給されるH2、又は、中間層2Cにて生成するH2とから、メタン前駆体が生成する。
このとき、導電性金属層にて予め生成したH2が中間層2Cへ拡散して、中間層2Cが、水素リッチな状態となるために、生成したCOに対して、十分な量のH2が周囲に存在する。これにより、COが生成すると、速やかに周囲のH2との反応が進行し、以下のように、CO分子と複数のH2分子とからメタン前駆体の生成が可能になると考えられる。
CO+2H2 → CO(H22
CO(H22:メタン前駆体
図3中に[III]として示すように、複合酸化物層2Bでは、メタン前駆体からメタン(CH4)ガスを生成する反応が進行する。すなわち、中間層2Cにおいて生成したメタン前駆体を含む生成ガスが、複合酸化物層2Bへ拡散すると、第2粒子22の触媒作用により、以下のように、メタン前駆体が電解還元されて、CH4に変換されるものと考えられる。
CO(H22 +2e-→ CH4+O2-
メタン前駆体の電解還元により発生する酸化物イオン(O2-)は、複合酸化物層2Bに接する酸化物イオン伝導体11を透過して、アノード3側へ放出される。
第2粒子22は、遷移金属から選ばれた少なくとも一種の元素を含む複合酸化物の粒子であり、電気伝導性を有して中間層2Cにおいて電解電極として機能すると共に、複合酸化物層2Bにおいてメタン前駆体の還元触媒として機能する。好適には、電子と酸化物イオンの混合伝導性を有する複合酸化物であることが望ましい。このような機能を有する複合酸化物として、遷移金属元素を含むペロブスカイト型複合酸化物、遷移金属元素を含むセリア系複合酸化物等が用いられる。
遷移金属元素を含むペロブスカイト型複合酸化物とは、一般式がABO3で表されるペロブスカイト構造を基本組成とし、少なくとも一種の遷移金属元素を含む複合酸化物である。ペロブスカイト構造を含む類似構造、例えば、[(A1)BO3+(A2)O]等で表される複合酸化物であってもよい。その場合には、A1又はA2元素として、ランタノイド元素等の希土類元素及びアルカリ土類金属元素から選ばれる少なくとも一種を含み、B元素として、遷移金属元素から選ばれる少なくとも一種を含むことができる。好適には、A1又はA2元素、B元素として、例えば、以下に示す一種又は二種以上が選ばれる。
A1又はA2;La、Sm、Sr、Ca、Ba
B:V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd
好適には、ペロブスカイト型又は類似構造の複合酸化物として、ランタン(La)を含むランタン系複合酸化物を用いることができる。このようなランタン系複合酸化物の例としては、電子伝導性及びイオン伝導性等の観点から、好適には、(La,Sr)CoO3、(La,Sr)(Co,Fe)O3、LaSr(Co,Fe)O4等が用いられる。このような複合酸化物の具体例としては、LaSrCo0.8Fe0.24等が挙げられる。但し、これに限定されるものではない。
遷移金属元素を含むセリア系複合酸化物は、具体的には、組成式がCe1-x(M1)x2(但し、0<x<1)で表される複合酸化物とすることができる。式中のM1元素は、遷移金属元素であり、例えば、以下に示す一種又は二種以上の元素が選ばれる。好適には、Xは、0.1以上0.4以下の範囲から選ばれる値である。
M1:V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、Rh、Pd
このようなセリア系複合酸化物の例としては、電子伝導性及びイオン伝導性等の観点から、例えば、Ce1-x(Co,Fe)x3等が用いられ、具体的には、Ce0.75Co0.2Fe0.052等が挙げられる。但し、これに限定されるものではない。
遷移金属元素を含むセリア系複合酸化物は、イオン伝導性の良好な酸化セリウム(CeO2)に対し、Ceの一部を遷移金属で置換することにより、電子構造的に金属的として電気伝導性を付与している。このとき、例えば、M1元素として、Coを選択すると、より多くのCeを置換可能であり、電気伝導性を高めるために有利である。また、電気伝導性と共に、触媒機能を付与するには、メタン前駆体を吸着して、電子を供給し、還元させる必要があり、そのために、前駆体分子吸着能と、電子供給に有利な電子構造を有することが好ましい。上述したM1元素を選択した場合には、このような反応の場が、電極内に有利に形成されると考えられ、好適には、複数の遷移金属元素を含むことが望ましい。
好適には、中間層2Cにおいて、第1粒子21は、導電性金属層2Aの第1粒子21に連なるように形成されると共に、第2粒子22の表面に延出して、一体化した構成となっていることが好ましい。その場合には、第1粒子21の平均粒子径は、第2粒子22の平均粒子径よりも小さいことが望ましく、中間層2Cは、表面に第1粒子21が付着した第2粒子22の集合体として構成される。例えば、第1粒子21の材料の一次粒径は、0.1μm以下、第2粒子22の材料の一次粒径は、1μm以下とすることができる。第2粒子22の表面の複数の第1粒子21は、互いに電気的に接続されて、帯状の連なりを形成し、その一端側は、導電性金属層2Aの第1粒子21に電気的に接続される。第1粒子21が付着した第2粒子22は、隣接する粒子同士が互いに電気的に接続されると共に、複合酸化物層2Bの第2粒子22に連なるように形成されて、一体化していることが好ましい。
これにより、カソード2において、第1粒子21同士又は第2粒子22同士が、それぞれ接続されて、三次元網目状の伝導パスが形成されやすくなり、電子伝導性又はイオン伝導性が向上する。また、中間層2Cにおいて、第1粒子21と第2粒子22とが接触している領域が広がって、電極反応が進行しやすくなり、第1粒子21がより小さくなることで、第2粒子22の粒子間の空隙が確保されて、拡散路23のガス拡散性が良好になる。
このように、カソード2において、導電性金属層2Aと複合酸化物層2Bとの間に、中間層2Cを適切に配置することによって、単一の電気化学セル1による炭化水素の生成が可能になる。好適には、中間層2Cの層厚t1と、中間層2Cの層厚t1及び複合酸化物層2Bの層厚t2の合計の層厚t(すなわち、t=t1+t2)との比率t1/tが、1%以上となるように構成されるのがよく、原料ガスGの共電解によるCH4の発生が可能になる。より好適には、比率t1/tを、5%以上とすることにより、実用上十分なメタン転化率が得られる。なお、メタン転化率は、以下の式により求められる。
メタン転化率=(生成ガス中メタン濃度)/[(原料ガス中CO2濃度)-(生成ガス中CO2濃度)]
一方、比率t1/tが5%を超えて50%程度まで大きくなっても、メタン転化率の向上効果は限定的であり、95%程度まで大きくすると、メタン転化率はむしろ低下する傾向が見られる。また、比率t1/tが大きくなると、第1粒子21の使用量が増加するので、好適には、比率t1/tが95%以下の範囲で、より好適には、50%以下の範囲で、所望のメタン転化率が得られるように、適宜選択することが好ましい。
カソード2の厚さは、特に制限されるものではないが、一般に、電極として作用するための厚さとして、例えば、20μm~30μm程度ないしそれ以上であることが好ましい。好適には、中間層2Cと複合酸化物層2Bの合計の層厚tを、20μm以上30μm以下の範囲で設定し、導電性金属層2Aの層厚を、電子伝導度の観点から、適宜選定することが好ましい。好適には、導電性金属層2Aの層厚は、電子伝導度が十分に得られる10μm程度ないしそれ以上に設定することができる。
中間層2Cの層厚t1は、導電性金属層2Aを形成するための印刷用ペーストの粘度等を調整し、複合酸化物層2Bの表面に塗布する際の浸透深さを調整することにより、所望の厚さに制御することができる。なお、カソード2の各層の厚さは、例えば、電子顕微鏡を用いた試料断面の画像観察により、測定することができる。その場合には、表面に第1粒子21が付着した第2粒子22が存在する領域を中間層2Cとし、その両側を導電性金属層2A又は複合酸化物層2Bとして、それぞれ複数箇所の厚さを測定した算術平均を、各層の厚さとすることができる。
酸化物イオン伝導体11は、カソード2とアノード3との間に配置される緻密な固体電解質の層であり、カソード2側で発生する酸化物イオン(O2-)をアノード3側へ透過させる。アノード3へ透過したO2-は、電子(e-)を放出して、酸素(O2)ガスが発生する。酸化物イオン伝導体11の材料は、必ずしも限定されないが、好適には、耐電圧性、酸化物イオン伝導性等の観点から、安定化ジルコニア、無配向性又は配向性のアパタイト型化合物を用いることができる。
安定化ジルコニアは、蛍石型の結晶構造を有する酸化ジルコニウム(ZrO2)に、安定化剤となる希土類元素等の酸化物を固溶させて安定化したジルコニア系酸化物である。安定化剤としては、例えば、イットリア(Y23)、スカンジア(Sc23)等が挙げられ、好適には、イオン伝導度、機械的及び化学的安定性等の観点から、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を主に用いることができる。
アパタイト型化合物は、六方晶系のアパタイト型の結晶構造を有する化合物であり、配向軸を有していない無配向性、又は、一軸配向及び二軸配向を包含する配向性のアパタイト型化合物とすることができる。配向性のアパタイト型化合物である場合には、c軸配向性を有していることが好ましい。アパタイト型化合物は、一般に、安定化ジルコニアよりも酸化物イオン伝導性が高い特性を有することから、電極反応が進みやすくなり、より多くの生成ガスが得られる。また、配向性を有するものは、無配向性のものよりも酸化物イオン伝導性が高く、メタン転化率の向上に寄与する。
アパタイト型化合物としては、例えば、組成式が(M2)10(PO46(X)2で表されるリン酸塩系アパタイトを基本組成とする化合物が挙げられる。M2サイトは、例えば、以下に示す一価又は二価の金属イオン等から選ばれる一種又は二種以上を含み、Xサイトは、例えば、以下に示す陰イオン又はH2O等から選ばれる一種又は二種以上を含むことができる。
M2:Li+、Na+、K+、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+、Mn2+、Fe2+、Cu2+
X:OH、F、Cl、CO3 2-、H2
好適には、酸化物イオン伝導性を向上させる観点から、M2サイトが、Na+、Ca2+を含み、Xサイトが、OH、CO3 2-を含むリン酸塩系アパタイトが用いられる。このようなアパタイト型化合物としては、例えば、Ca10-xNa2x/3(PO45(CO3x(H2O)x(OH)2-x/3等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
アパタイト型化合物として、下記(1)で表されるアパタイト型複合酸化物を用いるここともできる。すなわち、
式(1):A9.3+x[T6.0-yy]O26.0+z
(式中のAは、La、Ce、Y、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれた一種又は二種以上の元素である。式中のTは、Si又はGe又はその両方を含む元素である。式中のMは、Mg、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Y、Zr、Ta、Nb、B、Ge、Zn、Sn、W及びMoからなる群から選ばれた一種又は二種以上の元素である。)で示され、
式中のxは-1.4以上1.5以下の数であり、式中のyは0.0以上3.0以下の数であり、式中のzは-5.0以上5.2以下の数であり、Tのモル数に対するAのモル数の比率(A/T)が1.4以上3.7以下である、アパタイト型構造を有する複合酸化物を、酸化物イオン伝導体11として用いることができる。
式(1)において、A元素は、正の電荷を有するイオンとなり、アパタイト型六方晶構造を構成し得るランタノイド又はアルカリ土類金属である。これらの中でも、酸化物イオン伝導度をより高めることができる観点から、La、Nd、Ba、Sr、Ca及びCeからなる群のうちの一種又は二種以上の元素との組み合わせであるのが好ましく、中でも、La,又はNdのうちの一種、或いは、LaとNd、Ba、Sr、Ca及びCeからなる群のうちの一種又は二種以上の元素との組み合わせであるのが好ましい。
また、式(1)におけるTは、Si又はGe又はその両方を含む元素であればよい。
式(1)におけるM元素は、配向性を有するアパタイト構造とする場合に、気相中において、準安定な前駆体(A2+xTO5+z)との反応により導入され、その結果、該前駆体をアパタイト構造に変化させると共に、結晶を一方向に配向させることができる。
かかる観点から、M元素としては、上記前駆体がアパタイト構造をとることになる1000℃以上の温度で気相となって、必要な蒸気圧を得ることができる元素であればよい。なお、「必要な蒸気圧」とは、雰囲気中を気相状態で移動でき、上記前駆体表面から内部に向って粒界又は粒内拡散して反応を進めることができる蒸気圧の意である。
よって、このような観点から、M元素として、例えばB、Ge、Zn、W、Sn及びMoからなる群から選ばれた一種又は二種以上の元素を挙げることができる。中でも、高配向度や高生産性(配向速度)の点で、B、Ge及びZnなどが特に好ましい。
式(1)において、xは、配向度及び酸素イオン伝導性を高めることができる観点から、-1.4以上1.5以下であるのが好ましく、中でも0.00以上0.70以下、その中でも0.45以上0.65以下であるのが好ましい。
式(1)中のyは、アパタイト型結晶格子におけるT元素位置を埋めるという観点から、0.0以上3.0以下であるのが好ましく、中でも1.0以上2.0以下、その中でも1.0以上1.6以下であるのが好ましい。
式(1)中のzは、アパタイト型結晶格子内での電気的中性を保つという観点から、-5.0以上5.2以下であるのが好ましく、中でも-1.5以上1.5以下、その中でも-1.0以上1.0以下であるのが好ましい。
また、式(1)において、Tのモル数に対するAのモル数の比率(A/T)、言い換えれば、式(1)における9.3+x/6.0-yは、アパタイト型結晶格子における空間的な占有率を保つという観点から、1.4以上3.7以下であるのが好ましい。
望ましい
上記式(1)で表されるアパタイト型複合酸化物としては、例えば、式中のAが希土類元素であり、式中のTがSiである、希土類シリケート系の複合酸化物を用いることができる。希土類シリケート系の複合酸化物の例としては、La9.3+x(Si6.0-yy)O26.0+z、La9.3+x(Si6.0-yGey)O26.0+z、La9.3+x(Si6.0-yZny)O26.0+z等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
無配向性のアパタイト型複合酸化物を製造する場合には、通常の方法で、各構成元素を含む酸化物を原料とし、湿式混合したものをシート状に成形し、加熱焼成して、複合酸化物焼結体を得ることができる。配向性のアパタイト型複合酸化物を製造する場合には、所望のアパタイト型複合酸化物に対して、特定の元素を除いた前駆体の焼結体を同様に作製した後、特定の元素を含む気相中で加熱する気相-固相拡散工程により、特定の元素と前駆体とを反応させて、所望の組成を有する配向アパタイト構造とすることができる。
このように、気相-固相拡散工程を備える製造方法を採用することにより、結晶が一方向に配向したアパタイト型構造を有する複合酸化物を得ることができる。また、結晶内のクラック等の発生を抑制することができるから、より大面積の配向性アパタイト型の酸化物イオン伝導体11を製造することができる。
アノード3の構成材料は、必ずしも限定されないが、例えば、遷移金属元素を含むペロブスカイト型複合酸化物を用いることができる。遷移金属元素を含むペロブスカイト型複合酸化物は、具体的には、一般式ABO3で表されるペロブスカイト構造のAサイトに、ランタノイド元素、アルカリ土類金属元素及び希土類元素等から選ばれる一種又は二種以上の元素を含み、Bサイトに一種又は二種以上の遷移金属元素を含む複合酸化物である。好適には、AサイトにBa、Srを含み、BサイトにCoを含む、(Ba,Sr)CoO3等を用いることができる。このような複合酸化物としては、例えば、Ba0.6Sr0.4CoO3等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
図4に示すように、このような構成の電気化学セル1は、ガス流通部101を備える炭化水素製造部10を構成することができる。炭化水素製造部10において、ガス流通部101は、原料ガスGが供給されるガス導入部102と、電気化学セル1における生成ガスが導出されるガス導出部103とを備えている。ガス流通部101は、内部をガス流通路とする配管として構成されており、ここでは、一重管状のガス導入部102とガス導出部103とが、90°の角度を有して接続されており、途中の接続部においてガス流通路が90°に屈曲する構造を有する。
電気化学セル1は、ガス流通部101の屈曲する接続部において、カソード2がガス流通部101の内壁の一部を形成し、かつカソード2の表面20へガス導入部102から供給される原料ガスGの導入と、生成ガスの導出がスムーズになされるように配置される。例えば、図中に白抜矢印で示す原料ガスGのガス流れ方向と、カソード2とのなす角度(ガス導入角度)θ1が、45°の傾斜を有し、生成ガスのガス流れ方向とカソード2とのなす角度(ガス導出角度)θ2が、135°の傾斜を有する構成とすることができる。その場合には、原料ガスGのガス流れ方向と、生成ガスのガス流れ方向は、直交する方向となっている。なお、カソード2とのなす角度とは、酸化物イオン伝導体11の原料ガスG側の面12を基準とするカソード面、例えば、仮想的な平面である表面20に対する角度とする。
図5に模式的に示すように、電気化学セル1には、カソード2の表面20に向けて、原料ガスGがガス導入部102から供給され、導電性金属層2Aから中間層2Cを経て複合酸化物層2Bへ拡散する間に、上述したように原料ガスG中のCO2及びH2Oの共電解と、電解生成物の反応により、CH4が発生する。CH4を含む生成ガスは、複合酸化物層2B内をから側方へ拡散して、ガス導出部103へ向かい、外部へ取り出される。
ガス流通部101を備える炭化水素製造部10は、図6に一例を示す炭化水素製造装置100の主要部を構成する。炭化水素製造部10のガス流通部101の構成と、電気化学セル1の配置は、上記図4、図5に示したものに限定されず、適宜変更することができる。例えば、図6、図7に示すように、ガス流通部101に屈曲する接続部を設けず、電気化学セル1に対して、ガス導入方向及びガス導出方向が垂直となるように配置すると、効率よい炭化水素の生成が可能になる。
図6において、炭化水素製造部10は、二重筒状のガス流通部101を備える。ガス流通部101の内筒は、ガス導入部102を構成し、内筒の外周を取り囲む外筒は、ガス導出部103を構成している。電気化学セル1は、ガス流通部101の一端側を閉鎖するように配置される。ガス流通部101の一端側は、炭化水素製造部10の筐体10aから外部へ延出し、分岐部10bにおいては、ガス導入部102とガス導出部103とが分離される。炭化水素製造部10の筐体10a、分離されたガス導入部102及びガス導出部103の外周には、それぞれヒータHが配置されて、所定の温度に加熱又は保温可能となっている。
ガス導入部102は、CO2が導入されるCO2導入路102aと、ベースガスとなる窒素(N2)が導入されるN2導入路102bとを備える。N2導入路102bには、CO2導入路102aとの接続部の上流に、水(H2O)が貯留される水蒸気濃度制御槽102cが配置され、水蒸気濃度制御槽102cの内部を通過することによって、水蒸気濃度が調整されるようになっている。ガス導出部103の途中には、ガス採取管104が接続され、ガスクロマトグラフ分析計105にて生成ガスの分析が可能となっている。
図7において、ガス流通部101は、ガス導入部102が、カソード2の表面20の中央部に対向し、表面20の外周部に対して、ガス導出部103が対向している。図中に白抜矢印で示すように、原料ガスGは、カソード2の表面20と垂直な方向をガス流れ方向とし、カソード2の表面20へ向けて原料ガスGが導入される。生成ガスのガス流れ方向は、ガス導入方向と反対の方向となっており、カソード2の表面20から離れるように、原料ガスGの流れと並行かつ対向して、生成ガスが導出される。その場合には、ガス流れ方向とカソード2とのなす角度θは90°であり、ガス導入側及び導出側とで同じになる(角度θ=ガス導入角度θ1=ガス導出角度θ2)。
このとき、図8に示すように、上記図5に示した電気化学セル1では、原料ガスGが導入される方向が、表面20に対して傾斜しているために、原料ガスGの導入量が多い領域(例えば、図8中に点線で囲った領域)Rで、電解反応が多く起きた後、メタン前駆体を含むガスがガス流れと共に、そのまま流れていきやすい。ここで、領域Rでは、吸熱反応である電解反応がより多く生じるために、温度低下しており、メタン生成に有利な低温領域となっている。ところが、メタン前駆体を含むガスが、下流側へ流れていくために、領域Rから離れて、メタン生成が進みにくくなるおそれがある。CO、H2、CH4を含む生成ガスは、そのままカソード2の外部へ導出される。
これに対して、図9に示すように、上記図7に示した電気化学セル1では、原料ガスGが垂直な方向から導入されるために、原料ガスGの導入量が多い領域(例えば、図9中に点線で囲った領域)Rで、電解反応が多く起きた後、メタン前駆体を含むガスが複合酸化物層2Bに滞留し、低温領域である領域Rの近傍に留まりやすい。そのために、メタン前駆体の電解還元に有利な状態となり、メタン生成が進みやすくなる。これにより、CO、H2、CH4を含む生成ガス中のCH4比率が、より高くなり、効率よい炭化水素製造装置100を実現できる。また、ガス流通部101が、二重筒構造であるため、コンパクトな構造とすることができる。
電気化学セル1は、炭化水素製造部10の周囲に配置されるヒータHにより、例えば、300℃~800℃の範囲で、これら一連の反応に適した温度となるように加熱される。メタン化反応には、平衡的に低温側(例えば、300℃~600℃)が有利であり、電極表面の触媒活性としては、高温側(例えば、500℃~800℃)が有利となる。好適には、セル内の電極温度が、これら両方に有利な温度範囲(例えば、500℃~600℃)となるようにし、吸熱反応である電解による温度低下を考慮して、セル周囲の温度をヒータ制御するのが好ましい。
(実施例1~4)
上述した実施形態1と同様の構成を有する電気化学セル1を作製し、上記図6に示した炭化水素製造装置100を用いてメタンの生成試験を行い、メタン転化率の評価を行った。電気化学セル1の作製は、次のようにして、酸化物イオン伝導体11となる電解質シートを用意し、その両面に、カソード2となるカソード形成用材料及びアノード3となるアノード形成用材料を印刷により塗布し、熱処理することにより行った。
<電解質シートの作製>
電解質シートの材料として、含有量が8mol%となるようにイットリア(Y)を添加したジルコニア(ZrO)を調整した。得られたイットリア安定化ジルコニア粉末に、ポリビニルブチラールを添加して、混合溶媒としての酢酸イソアミル、2-ブタノール及びエタノールと共に、ボールミルにて混合することにより、スラリーを調製した。なお、表1中に示すように、8mol%のYを含むイットリア安定化ジルコニアのことを、以下、「8YSZ」と略称する。
なお、8YSZ粉末の平均粒径は、0.8μmであった。ここで、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法により測定した体積基準の累積度数分布が50%を示すときの粒子径(直径)d50であり、以降においても、同様とする。
調製したスラリーを、公知のドクターブレード法を用いて、樹脂シート上に層状に塗工し、乾燥させた。その後、樹脂シートを剥離し、大気中、1450℃で2時間焼成することにより、8YSZを材料とする電解質シートを得た。
<カソード材料の準備>
カソード2の複合酸化物層2Bの材料となる、遷移金属元素を含む複合酸化物としては、ランタン系複合酸化物である、LaSrCo0.8Fe0.24を用いた(表1中に、LaSr系として示す)。原料として、ランタン系複合酸化物の構成元素の単一酸化物(富士フイルム和光純薬株式会社製;試験用試薬)を用い、所望の組成となるように秤量した。次いで、秤量した原料を、分散剤としてポリビニルアルコールを1質量%添加したエタノール中で、ボールミルにて混合した。ボールミルによる混合は、直径10mmのジルコニアビーズを用いて、16時間行い、その後、混合原料をバットに取り出して乾燥させた。この乾燥粉体を、1100℃で熱処理することにより、遷移金属元素を含む複合酸化物の粉体を得た(平均粒径0.5μm)。
得られた複合酸化物の粉体を、分散剤としてアクリル樹脂を1質量%添加したテルピネオール中にて、ボールミルにて混合した。ボールミルによる混合は、直径10mmのジルコニアビーズを用いて、16時間行い、その後、混練により粘調することで、複合酸化物層2Bの形成材料となる印刷用ペーストを準備した。
カソード2の導電性金属層2Aの材料としては、銀(Ag)を用い、粘度の異なる印刷用ペーストを準備した。まず、市販のペースト状の銀フリット(大研化学工業株式会社製;「NAG-10」)を用意し、テルピネオール中へ添加して希釈し、もしくはアクリル樹脂を追加して溶解させることにより、所望の粘度に調整された印刷用の銀ペーストを得た。銀フリットは、平均粒径0.02μmのものを使用した。
<アノード材料の準備>
アノード3の材料となる複合酸化物としては、ペロブスカイト型複合酸化物であるBa0.6Sr0.4CoO3を用いた。カソード2の複合酸化物層2Bと同様の方法にて、原料となる構成元素の単一酸化物を、所望の組成となるように秤量し、アクリル樹脂とテルピネオールのビヒクル内に分散させて、ボールミル混合を行った後に、乾燥させて、乾燥粉体を得た。この乾燥粉体を熱処理することにより、複合酸化物の粉体を得た(平均粒径0.5μm)。得られた複合酸化物の粉体を、同様の方法にてボールミル混合し、混練により粘調することで、アノード形成のための印刷用ペーストを準備した。
<電気化学セル1の作製>
上記のようにして得られた電解質シートの一方の面に、複合酸化物層2Bの形成用に準備した印刷用ペーストを、印刷により塗布した後、乾燥させた。その後、1000℃にて10分間、熱処理することにより、焼き付けを行い。複合酸化物層2Bを形成した。さらに、複合酸化物層2Bの表面に、導電性金属層2Aの形成用に準備した印刷用の銀ペーストを印刷し、熱処理して、中間層2Cを形成すると共に、その表面に導電性金属層2Aを形成して、カソード2とした。
その際に、粘度の異なる銀ペーストを用いることにより、複合酸化物層2Bへの浸透深さを調整して、サンプル毎に中間層2Cの層厚t1を調整した。また、導電性金属層2Aの層厚は、いずれのサンプルも10μmとし、粘度の低い銀ペーストを用いた場合には、印刷後に、粘度調整を行っていない銀ペーストを印刷して、層厚10μmとなるように調整した。複合酸化物層2Bの層厚は、25μmとした。
また、上記のようにして得られた電解質シートのもう一方の面に、アノード3の形成用に準備した印刷用ペーストを、印刷により塗布した後、乾燥させた。その後、1000℃にて10分間、熱処理することにより、焼き付けを行い。アノード3となる複合酸化物層を形成した。アノード3の層厚は、25μmとした。
さらに、カソード2及びアノード3のそれぞれに、電力供給用の白金(Pt)製のリード線を、銀フリットを溶融させることにより接合した。アノード3上の銀フリットは、粘度調整を行っていない銀フリットペーストを印刷し、800℃にて10分間、熱処理して配置した。
このようにして、緻密体である酸化物イオン伝導体11の両面に、多孔質電極であるカソード2及びアノード3が積層された電気化学セル1のサンプルを得た(実施例1~4)。このとき、表1に示すように、実施例1のサンプルは、中間層2Cの層厚t1と、複合酸化物層2Bとの合計の層厚tとの比率t1/tが1%となるように調整されている。また、実施例2~4のサンプルは、比率t1/tが、それぞれ5%、50%、95%に調整された中間層2Cを有する電気化学セル1とした。なお、酸化物イオン伝導体11の気孔率は、5%以下であり、多孔質電極の気孔率は、50%であった。
<評価方法>
実施例1~4の電気化学セル1について、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行った。炭化水素製造部10は、上記図4に示したガス流通部101を有する構成であり、電気化学セル1のカソード2に対して、ガス導入部102から、原料ガスGを供給し、生成ガスをガス導出部103から取り出した。ガス流通部101のガス流れ方向は、ガス導入角度θ1=45°となるように接続し、ガス導出部103は、ガス導出角度θ2=135°となるように接続した。表1に、これらガス方向を、ガス導入角度θ1(45°)/ガス導出角度θ2(135°)として示す。
原料ガスGは、CO2と水蒸気とを含み、残部をN2とするガスであり、N2導入路102bから水蒸気濃度制御槽102cを通過するN2のバブリングにより、水蒸気を含むN2とし、CO2導入路102aから導入されるCO2と混合して、ガス導入部102へ供給した。原料ガスGは、CO2及び水蒸気の濃度が、CH4の生成に適したモル比となるように調整されており、適度に保温されたガス導入部102から、炭化水素製造部10内に配置されている電気化学セル1へ供給して、共電解させた。以下に、メタン製造条件として、原料ガスGのガス流量、原料ガスG中の水蒸気濃度及びCO2濃度、電気化学セル1のカソード2及びアノード3の電極面積、両電極間の印加電圧を示す。
メタン製造条件
ガス流量:50ml/min
水蒸気濃度:0.6%(バブリング温度:0℃)
CO2濃度:0.3%
電極面積:2cm2
印加電圧:-1.6V
ガス流量は、電極体積に対する単位時間当たりの原料ガス量の比率(空間速度SV)が、1000~10000程度の範囲(例えば、SV=3600)となるように調整した。また、電気化学セル1は、炭化水素製造部10の周囲に配置されるヒータHにより全体が加熱され、炭化水素製造部10の内部温度が、700℃付近となるように制御した。このとき、CO2とH2Oの電解反応(吸熱反応)により、セル温度は周囲の温度よりも低くなり、カソード2における表面の触媒活性とメタン化反応の両方に有利な500℃~600℃程度に維持される。
ガス導出部103へ取り出される生成ガスは、ガス導出部103の途中に接続したガス採取管104から、10秒にわたり1mlのガスを採取し、ガスクロマトグラフ(アジレント・テクノロジー株式会社製;GC490)にて成分分析を実施した。成分分析は、生成ガス中の各ガス濃度(mol%/L)を測定した。また、測定結果に基づいて、メタン転化率を算出し、それらの結果を、表1に併記した。また、図10に、メタン転化率を比較する柱状グラフを示した。
メタン転化率=(生成ガス中メタン濃度)/[(原料ガス中CO2濃度)-(生成ガス中CO2濃度)]
(比較例1、2)
比較のため、実施例1と同様の製造工程により、カソード2に中間層2Cが形成されないように、すなわち、比率t1/tが0%となるように調整した電気化学セル1を作製し、比較例1とした。また、カソード2において、中間層2Cの比率t1/tが100%となるように、すなわち、複合酸化物層2Bが形成されないように調整した電気化学セル1を作製して、比較例2とした。
これら比較例1、2の電気化学セル1について、実施例1と同様にして、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行い、生成ガスをガスクロマトグラフにより分析した。結果を表1、図10に併記する。これら結果に示されるように、比較例1、2の電気化学セル1のいずれを用いた場合も、電解によるCO、H2の生成は見られるものの、CH4の生成は確認されなかった。
これに対して、実施例1~4の電気化学セル1のいずれについても、CH4の生成が確認された。具体的には、比率t1/tが1%の実施例1において、20%のメタン転化率が得られ、比率t1/tが5%の実施例2では、メタン転化率が80%に大きく増加した。比率t1/tが50%の実施例3では、メタン転化率が85%と、さらに増加した。比率t1/tが95%の実施例4では、メタン転化率が35%と、実施例2、3より低くなるものの、実施例1よりも高い値が得られる。
これらの結果から、カソード2は、導電性金属層2Aと複合酸化物層2Bとの間に、第1粒子21と第2粒子22とを含む中間層2Cが形成されることにより、単一の電気化学セル1において、CH4を効率よく生成できることが確認された。その理由は、必ずしも明らかではないが、導電性金属層2Aにおいて、原料ガスGのうちの水蒸気が電気分解し、生成するH2によって、中間層2CがH2リッチな状態となることが寄与していると考えられる。これにより、中間層2Cにおいて、さらに原料ガスGのうちのCO2が電気分解してCOが生成すると、それら電解生成物が速やかに反応して、メタン前駆体が生成し、その電極還元反応が、複合酸化物層2Bにおいて選択的に進むことにより、CH4の生成が可能になるものと推測される。
このような作用効果は、比率t1/tの下限側については、1%ないしそれ以上で得られ、メタン転化率が20%以上となる。中間層2Cの層厚t1が厚くなるに従い、メタン転化率が高くなり、5%~50%で80%以上となる。一方、比率t1/tの上限側は、95%で、35%以上のメタン転化率が得られ、比率t1/tに応じたメタン転化率が得られると考えられる。
ここで、図11に参考例として示すように、H2とCO2からメタンを合成する反応におけるメタン生成率は、圧力と相関がある。この合成反応は減圧反応であることから、高圧条件下での合成によりメタン生成率が上昇することが知られており、例えば、3MPaの圧力において、ほぼ平衡値に達している。このとき、常圧でのメタン生成率30%~70%の曲線を比較すると、常圧でのメタン生成率50%であれば、3MPaの圧力で95%に達し、常圧でのメタン生成率70%であれば、1MPaの圧力で95%に達している。なお、メタン生成率95%は、ガスの燃焼性を示す指標のうち、噴出熱量インプットを示す指数であるウォッベ指数と、燃焼速度を示す指数である最大燃焼速度とに基づいて、ガスの調整・管理を行う際に、反応後の生成ガスを精製等の過程を経ずに、ガスパイプライン等に投入できるとされる値である。
したがって、実用上は、常圧で50%以上のメタン転化率が得られていれば十分であり、70%以上のメタン転化率であれば、より好ましい。そのために、実施例1~4の電極構成であれば、比率t1/tは、5%前後ないしそれ以上であり、50%前後ないしそれ以下の範囲で選択されると、より好ましい。
(比較例3)
比較のため、カソード2の導電性金属層2A、中間層2Cを構成する導電性金属として、Agに代えて白金(Pt)を用いた以外は、実施例1と同様の製造工程により、電気化学セル1を作製し、比較例3とした。比較例3の電気化学セル1において、中間層2Cの比率t1/tは1%であり、ガス流通部101のガス流れ方向は、ガス導入角度θ1(45°)/ガス導出角度θ2(135°)となっている。
比較例3の電気化学セル1について、実施例1と同様にして、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行い、生成ガスをガスクロマトグラフにより分析した。結果を表1、図10に併記する。これら結果に示されるように、比較例3の電気化学セル1を用いた場合は、中間層2Cと複合酸化物s2Bの両方を有する構成であっても。CH4の生成は確認されなかった。その理由は、必ずしも明らかではないが、導電性金属にPtを用いた場合には、メタン前駆体が生成しても電解還元が進まず、メタン化しないものと推測される。
(実施例5)
実施例5として、酸化物イオン伝導体11の材料を、実施例1の8YSZに代えて、無配向のリン酸塩系アパタイトであるCa9.00Na0.67(PO45(CO3)(H2O)(OH)1.67とし、カソード2及びアノード3の構成は、実施例1と同様とした電気化学セル1を作製した。無配向のリン酸塩系アパタイトは、原料として、リン酸カルシウム[Ca3(PO42]と炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)を、所望の組成となるように秤量したものを用い、実施例1の複合酸化物材料と同様の製造工程により、原料の混合、乾燥、熱処理を行って、リン酸塩系アパタイト構造の化合物粉体を得た。
実施例1の8YSZと同様にして、得られた化合物粉体を含むスラリーを調製し、樹脂シート上に塗工した。次いで、樹脂シートを剥離し、水蒸気を5%含むよう調整した大気雰囲気中、1350℃で2時間の焼成を行って、酸化物イオン伝導体11となる電解質シートを形成した。
得られた電解質シートに、実施例1と同様にして、カソード2及びアノード3の材料を塗布し、焼成して、電気化学セル1を得た。この実施例5の電気化学セル1について、実施例1と同様に、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行って、生成ガスを分析した。結果を表1、図10に併記する。
(実施例6)
実施例6として、酸化物イオン伝導体11の材料を、実施例1の8YSZに代えて、c軸配向性のリン酸塩系アパタイトであるCa9.00Na0.67(PO45(CO3)(H2O)(OH)1.67とした以外は、実施例5と同様にして、電気化学セル1を作製した。その際には、まず、原料として、リン酸カルシウムのみを、所望の量となるように秤量し、実施例5と同様にして、シート形成用の粉体とスラリーを調製して、樹脂シート上に塗工したシートを作製した。
その後、得られたシートの樹脂シートを剥離して、炭酸水素ナトリウム粉体に埋もれさせた。次いで、水蒸気を5%含むよう調整した大気雰囲気中、1300℃で50時間の熱処理を施した。このような気相-固相拡散工程により、リン酸カルシウムと炭酸水素ナトリウムとを反応させて、c軸配向性のリン酸塩系アパタイト型化合物を生成し、酸化物イオン伝導体11となる電解質シートを形成した。
得られた電解質シートに、実施例1と同様にして、カソード2及びアノード3の材料を塗布し、焼成して、電気化学セル1を得た。この実施例6の電気化学セル1について、実施例1と同様に、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行って、生成ガスを分析した。結果を表1、図10に併記する。
(実施例7)
実施例7として、酸化物イオン伝導体11の材料を、実施例1の8YSZに代えて、無配向のアパタイト型複合酸化物であるLa9.3Si5.30.725とした以外は、実施例1と同様にして、電気化学セル1を作製した。その際には、まず、原料となる構成元素の単一酸化物を、所望の組成となるように秤量し、ボールミル混合を行った後に、乾燥させて得た乾燥粉体を熱処理して、シート形成用の複合酸化物の粉体を得た。この複合酸化物粉体を用いて、実施例1の8YSZと同様にして、スラリーを調製し、樹脂シート上に塗工した。次いで、樹脂シートを剥離し、大気雰囲気中、1600℃で2時間の焼成を行って、酸化物イオン伝導体11となる電解質シートを形成した。
得られた電解質シートに、実施例1と同様にして、カソード2及びアノード3の材料を塗布し、焼成して、電気化学セル1を得た。この実施例7の電気化学セル1について、実施例1と同様に、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行って、生成ガスを分析した。結果を表1、図10に併記する。
(実施例8)
実施例8として、酸化物イオン伝導体11の材料を、実施例1の8YSZに代えて、c軸配向性のアパタイト型複合酸化物であるLa9.3Si5.30.725とした以外は、実施例1と同様にして、電気化学セル1を作製した。その際には、原料として、Bを除く構成元素の単一酸化物を、所望の組成となるように秤量し、ボールミル混合を行った後に、乾燥させて得た乾燥粉体を熱処理して、シート形成用の前駆体粉体を得た。この前駆体粉体を用いて、実施例1の8YSZと同様にして、スラリーを調製し、樹脂シート上に塗工した。次いで、樹脂シートを剥離し、大気雰囲気中、1600℃で2時間の焼成を行った。
その後、得られたシートの樹脂シートを剥離して、酸化ホウ素(B23)蒸気雰囲気中、1550℃で50時間の熱処理を施した。このような気相-固相拡散工程により、前駆体と酸化ホウ素とを反応させて、c軸配向性のアパタイト型複合酸化物を生成し、酸化物イオン伝導体11となる電解質シートを形成した。
得られた電解質シートに、実施例1と同様にして、カソード2及びアノード3の材料を塗布し、焼成して、電気化学セル1を得た。この実施例6の電気化学セル1について、実施例1と同様に、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行って、生成ガスを分析した。結果を表1、図10に併記する。
(実施例9)
実施例9として、複合酸化物層2Bの材料を、実施例1のランタン系複合酸化物に代えて、セリア系複合酸化物であるCe0.75Co0.2Fe0.052とした(表1中に、Ce(Co,Fe)Oとして示す)以外は、実施例1と同様にして、電気化学セル1を作製した。セリア系複合酸化物は、原料として、構成元素の単一酸化物を用い、実施例1の複合酸化物材料と同様の製造工程により、原料の混合、乾燥、熱処理を行って、セリア系複合酸化物の粉体を得た。
得られた複合酸化物の粉体を用い、実施例1と同様にして、複合酸化物層2Bの形成材料となる印刷用ペーストを準備した。実施例1と同様の8YSZを用いた電解質シートに、準備した印刷用ペーストを含むカソード2及びアノード3の材料を塗布し、焼成して、電気化学セル1を得た。この実施例9の電気化学セル1について、実施例1と同様に、炭化水素製造装置100を用いたメタン製造試験を行って、生成ガスを分析した。結果を表1、図10に併記する。
表1、図9の実施例5~8の結果に示されるように、酸化物イオン伝導体11の材料を、アパタイト型化合物とすることにより、メタン転化率を50%以上に向上させることができる。その場合には、無配向性のアパタイト型化合物よりもc軸配向性を有するアパタイト型化合物のメタン転化率が高くなり、70%以上のメタン転化率が得られた。また、リン酸塩系のアパタイト型化合物を用いた実施例5、6よりも、アパタイト型複合酸化物を用いた実施例7、8において、高いメタン転化率が得られた。また、実施例9の結果に示されるように、中間層2C及び複合酸化物層2Bを構成する第2粒子22の材料を、セリア系酸化物とすることにより、メタン転化率が90%に向上した。
(実施例10)
実施例10として、実施例1と同様にして作製した電気化学セル1を、上記図7に示した炭化水素製造部10に取り付けて、メタン製造試験を行った。炭化水素製造部10は、ガス流通部101が二重筒状の構成を有しており、ガス流通部101のガス流れ方向は、カソード2に対して垂直な方向となるように接続した。表1に、ガス方向(ガス導入角度θ1/ガス導出角度θ2)は、90°/90°として示す。また、実施例1と同様にして、メタン製造試験を行った結果を、表1、図10に併記する。
表1、図10の結果に示されるように、実施例1と同じ構造の電気化学セル1に対して、ガス流れ方向を変更することにより、メタン転化率が52%に向上した。その理由は必ずしも明らかではないが、上記図9にて示したように、垂直方向からガス導入し、ガス導入方向と反対方向にガス導出することにより、加熱されやすい領域にメタン前駆体が滞留して、電解還元が効率よく進むものと推測される。
このように、電気化学セル1において、比率t1/tが1%ないしそれ以上である場合には、カソード2及び酸化物イオン伝導体11の材料を適切に選択し、あるいは、炭化水素製造部10のガス流通部101におけるガス流れ方向を、適切に設定することにより、実用上十分なメタン転化率を示す炭化水素製造装置100を実現することができる。
上記構成の電気化学セル1によれば、カソード2が、導電性金属層2Aと複合酸化物層2Bとの間に、中間層2Cを有する三層構造であることにより、単一の電気化学セル1にて炭化水素の生成が可能になる。導電性金属層2Aは、Agを主成分として含み、複合酸化物層2Bは、遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とすると共に、中間層2Cは、これら両方の構成成分を含むことにより、カソード2において高い触媒活性が得られる。また、このような電気化学セル1を用いることにより、実用性の高いて炭化水素製造装置を実現することが可能になる。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、電気化学セル1を
用いた炭化水素製造部10を構成する場合に、複数の電気化学セル1を積層してもよい。また、炭化水素製造部10のガス流通部101の構成や、炭化水素製造部10を含む炭化水素製造装置100の構成は、上述した構成に限らず、用途等に応じて変更することができる。
1 電気化学セル
11 酸化物イオン伝導体
12、13 面
2 カソード
3 アノード
21 第1粒子
22 第2粒子
2A 導電性金属層
2B 複合酸化物層
2C 中間層

Claims (9)

  1. 酸化物イオン伝導体(11)と、上記酸化物イオン伝導体の対向する2つの面(12、13)に設けられるカソード(2)及びアノード(3)と、を備える電気化学セル(1)において、
    上記カソードは、
    銀を主成分とする第1粒子(21)により構成され、二酸化炭素と水蒸気とを含む原料ガス(G)に接する導電性金属層(2A)と、
    遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子(22)により構成され、上記酸化物イオン伝導体に接する複合酸化物層(2B)と、
    上記導電性金属層と上記複合酸化物層との間に設けられ、上記第1粒子及び上記第2粒子により構成される中間層(2C)と、が積層された構造を有しており、
    上記酸化物イオン伝導体は、無配向性又は配向性のアパタイト型化合物から選択される少なくとも一種にて構成されており、上記アパタイト型化合物は、リン酸塩系アパタイト型化合物、又は、アパタイト型複合酸化物である、電気化学セル。
  2. 酸化物イオン伝導体(11)と、上記酸化物イオン伝導体の対向する2つの面(12、13)に設けられるカソード(2)及びアノード(3)と、を備える電気化学セル(1)において、
    上記カソードは、
    銀を主成分とする第1粒子(21)により構成され、二酸化炭素と水蒸気とを含む原料ガス(G)に接する導電性金属層(2A)と、
    遷移金属元素を含む複合酸化物を主成分とする第2粒子(22)により構成され、上記酸化物イオン伝導体に接する複合酸化物層(2B)と、
    上記導電性金属層と上記複合酸化物層との間に設けられ、上記第1粒子及び上記第2粒子により構成される中間層(2C)と、が積層された構造を有しており、上記遷移金属元素を含む複合酸化物は、ランタン系複合酸化物又はセリア系複合酸化物である、電気化学セル。
  3. 上記遷移金属元素を含む複合酸化物は、複数の遷移金属元素を含むセリア系複合酸化物である、請求項に記載の電気化学セル。
  4. 上記酸化物イオン伝導体は、安定化ジルコニア、無配向性又は配向性のアパタイト型化合物から選択される少なくとも一種にて構成される、請求項2又は3に記載の電気化学セル。
  5. 上記アパタイト型化合物は、リン酸塩系アパタイト型化合物、又は、アパタイト型複合酸化物である、請求項4に記載の電気化学セル。
  6. 上記アパタイト型複合酸化物は、下記式;
    9.3+x[T6.0-yy]O26.0+z
    (式中のAは、La、Ce、Y、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Yb、Lu、Be、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれた一種又は二種以上の元素であり、式中のTは、Si又はGe又はその両方を含む元素であり、式中のMは、Mg、Al、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Y、Zr、Ta、Nb、B、Ge、Zn、Sn、W及びMoからなる群から選ばれた一種又は二種以上の元素である。)で示され、
    式中のxは-1.4以上1.5以下の数であり、
    式中のyは0.0以上3.0以下の数であり、
    式中のzは-5.0以上5.2以下の数であり、
    式中のTのモル数に対するAのモル数の比率(A/T)が1.4以上3.7以下である、請求項1又は5に記載の電気化学セル。
  7. 上記遷移金属元素を含む複合酸化物は、ランタン系複合酸化物又はセリア系複合酸化物である、請求項に記載の電気化学セル。
  8. 上記遷移金属元素を含む複合酸化物は、複数の遷移金属元素を含むセリア系複合酸化物である、請求項7に記載の電気化学セル。
  9. 上記請求項1~8のいずれか1項に記載の電気化学セルを用いた炭化水素製造装置(100)であって、
    筒状のガス流通部(101)の一端側を閉鎖するように上記電気化学セルが配置される炭化水素製造部(10)を備えており、
    上記ガス流通部は、上記電気化学セルの上記カソードと対向して設けられるガス導入部(102)及びガス導出部(103)を有し、
    上記ガス導入部は、上記カソードに対して垂直な方向をガス導入方向として、上記原料ガスを、上記カソードへ供給し、
    上記ガス導出部は、上記ガス導入部の外周側に配置され、上記ガス導入方向と反対の方向を、ガス導出方向として、上記カソードにおける反応生成物を、上記ガス流通部の外部へ導出する、炭化水素製造装置。
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