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JP7772084B2 - モータ装置 - Google Patents
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JP7772084B2 - モータ装置 - Google Patents

モータ装置

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Description

本開示は、モータ装置に関する。
特許文献1~特許文献4は、モータ装置に関する技術を開示する。例えば、特許文献1は、モータと、複数の回路ブロックを用いてモータを駆動するインバータと、を備えるモータ装置を開示する。このモータ装置では、各回路ブロックは、PWM(Pulse Width Modulation)方式によって制御される。PWM制御では、予め定められた電圧指令と、キャリアとの比較によって、各回路ブロックへの制御信号が生成される。制御信号に応じて各回路ブロックが駆動することによって、モータを駆動させる交流電流がインバータから出力される。インバータから出力される交流電流には、モータ損失を増大させる要因となる電流リップル成分が重畳する。この電流リップル成分の増大を抑える(すなわち、モータ損失の増大を抑える)ためには、キャリアのキャリア周波数を高く設定することが有効とされている。
特開2016-197933号公報 特開2016-220325号公報 特開2008-271617号公報 特開2014-072935号公報
しかしながら、キャリア周波数が高く設定される場合、回路ブロックのスイッチング回数が増大するため、スイッチング損失が増大し、これに応じて、インバータ損失が増大する。インバータ損失が増大すると、モータの出力効率の低下等の問題が生じ得る。
本開示は、インバータ損失を低減できるモータ装置を説明する。
本開示の一形態に係るモータ装置は、交流である駆動電力によって駆動するモータと、モータに駆動電力を供給するインバータと、駆動電力の目標を示す第1の指令信号とキャリアとを用いて、駆動電力を制御するためのパルス信号を生成するコントローラと、を備える。コントローラは、駆動電力の目標を示す第2の指令信号を用いてキャリアのキャリア周波数を設定するキャリア周波数設定部を有する。キャリア周波数設定部は、第2の指令信号の一周期のうちの第1の位相範囲に対応する区間におけるキャリア周波数を、第1の位相範囲以外の第2の位相範囲に対応する区間におけるキャリア周波数よりも低く設定する。
本開示のいくつかの態様によれば、インバータ損失を低減できるモータ装置が提供される。
図1は、一実施形態に係るモータ装置の一例を示す構成図である。 図2は、図1に示すコントローラの機能的構成の一例を示すブロック図である。 図3は、図2に示すPWM制御器の機能的構成の一例を示すブロック図である。 図4は、キャリア周波数設定部によるキャリア周波数の設定の一例を説明するための図である。 図5は、キャリア周波数設定部によるキャリア周波数の設定の別の例を説明するための図である。 図6は、キャリア周波数設定部によるキャリア周波数の設定の更に別の例を説明するための図である。 図7は、モータ装置の変形例を示す構成図である。
本開示の一形態に係るモータ装置は、交流である駆動電力によって駆動するモータと、モータに駆動電力を供給するインバータと、駆動電力の目標を示す第1の指令信号とキャリアとを用いて、駆動電力を制御するためのパルス信号を生成するコントローラと、を備える。コントローラは、駆動電力の目標を示す第2の指令信号を用いてキャリアのキャリア周波数を設定するキャリア周波数設定部を有する。キャリア周波数設定部は、第2の指令信号の一周期のうちの第1の位相範囲に対応する区間におけるキャリア周波数を、第1の位相範囲以外の第2の位相範囲に対応する区間におけるキャリア周波数よりも低く設定する。
このモータ装置では、インバータがパルス信号に応じて駆動することにより、インバータからモータへ駆動電力が供給され、この駆動電力によってモータが駆動する。インバータにおいて発生するインバータ損失は、パルス信号に用いられるキャリアのキャリア周波数が低くなるほど、小さくなる傾向がある。そこで、上記のモータ装置では、第2の指令信号の一周期のうちの第1の位相範囲に対応する区間におけるキャリアのキャリア周波数が、第1の位相範囲以外の第2の位相範囲に対応する区間におけるキャリアのキャリア周波数よりも低く設定されている。つまり、第2の指令信号の一周期の全区間において高いキャリア周波数が設定されずに、第2の指令信号の一周期の一部の区間のみにおいて低いキャリア周波数が設定されている。これにより、第2の指令信号の一周期の間のインバータ損失を低減することが可能となる。
いくつかの態様において、第1の位相範囲は、第2の指令信号の一周期のうち、第2の指令信号の正負が反転するゼロクロス点を含まない位相範囲であってもよい。この場合、第2の指令信号の一周期のうちゼロクロス点を含まない第1の位相範囲に対応する区間では、第2の位相範囲に対応する区間と比べて、キャリアのキャリア周波数が低く設定される。インバータ損失は、第2の指令信号の絶対値が高い区間(すなわち、ゼロクロス点を含まない位相範囲)では大きくなり、第2の指令信号の絶対値が低い区間(すなわち、ゼロクロス点を含む位相範囲)では小さくなる傾向がある。そこで、キャリア周波数が低く設定される区間を、ゼロクロス点を含まない第1の位相範囲に設定することにより、インバータ損失をより効果的に低減できる。
いくつかの態様において、第1の位相範囲は、第2の指令信号の一周期のうち、第2の指令信号の絶対値が基準値以上となる位相範囲であってもよい。インバータ損失は、上述したように、第2の指令信号の絶対値が高い区間では大きくなり、第2の指令信号の絶対値が低い区間では小さくなる傾向がある。そこで、キャリア周波数が低く設定される区間を、第2の指令信号の絶対値が基準値以上となる第1の位相範囲に設定することにより、インバータ損失をより効果的に低減できる。
いくつかの態様において、第1の位相範囲は、第2の指令信号の一周期のうち、第2の指令信号の絶対値が最大となるピーク点を含む位相範囲であってもよい。インバータ損失は、上述したように、第2の指令信号の絶対値が高い区間では大きくなり、第2の指令信号の絶対値が低い区間では小さくなる傾向がある。そこで、キャリア周波数が低く設定される区間を、ピーク点を含む第1の位相範囲に設定することにより、インバータ損失をより効果的に低減できる。
いくつかの態様において、第1の位相範囲は、第2の指令信号の一周期のうち、第2の指令信号の絶対値が最大となるピーク点を含まない位相範囲であってもよい。この設定によっても、インバータ損失をより効果的に低減できる。
いくつかの態様において、モータ装置は、モータにおいて発生するモータ損失に関する信号を出力するモータ損失計測部と、インバータにおいて発生するインバータ損失に関する信号を出力するインバータ損失計測部と、を更に備えてもよい。キャリア周波数設定部は、モータ損失に関する信号及びインバータ損失に関する信号に基づいて、第1の位相範囲を設定してもよい。この場合、モータ損失とインバータ損失とを考慮して、キャリア周波数が低く設定される区間を定めることができる。換言すると、第2の指令信号の一周期のうちの第1の位相範囲に対応する区間を定めることができる。
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
<実施形態>
図1に示すモータ装置1は、モータ2と、インバータ20と、コントローラ30と、を備える。モータ装置1は、電源10から電力を受けて、駆動する。モータ2は、例えば、永久磁石式の同期電動機である。モータ2は、IPM(Interior Permanent Magnet;埋込磁石型)モータであってもよいし、SPM(Surface Permanent Magnet;表面磁石型)モータであってもよい。モータ2は、インバータ20から交流電力を供給されることにより回転する。具体的には、モータ2の固定子が交流電力の供給に応じて回転磁界を発生し、その回転磁界を受けてモータ2の回転子が回転する。
インバータ20には、電源10から直流電力が供給される。インバータ20は、供給された直流電力を三相交流電力に変換し、変換した三相交流電力をモータ2に供給する。インバータ20は、三相交流電力の相ごとに、回路ブロック21及び22と、回路ブロック23及び24と、回路ブロック25及び26と、を有する。回路ブロック21及び22は、単相交流電力をU相の交流電力としてモータ2に供給する。回路ブロック23及び24は、単相交流電力をV相の交流電力としてモータ2に供給する。回路ブロック25及び26は、単相交流電力をW相の交流電力としてモータ2に供給する。
回路ブロック21及び22は、互いに直列に接続されると共に、電源10に対して並列に接続されている。回路ブロック21の端子21aは、コントローラ30に接続される。回路ブロック21の端子21bは、電源10、回路ブロック23及び25に接続される。回路ブロック21の端子21cは、回路ブロック22に接続される。回路ブロック21の端子21cは、モータ2に接続される。
回路ブロック21は、トランジスタ21T及びダイオード21Dを含む。トランジスタ21Tのコレクタは、回路ブロック21の端子21bを構成する。トランジスタ21Tのエミッタは、回路ブロック21の端子21cを構成する。トランジスタ21Tのゲートは、回路ブロック21の端子21aを構成する。ダイオード21Dは、トランジスタ21Tのエミッタ側からコレクタ側への電流を通すように、入力がダイオード21Dのドレインに接続されると共に、出力がダイオード21Dのコレクタに接続される。ダイオード21Dは、トランジスタ21Tに対して並列に接続される。
このように、回路ブロック21では、トランジスタ21Tがオンの状態においては、端子21bから端子21cに電流が流れる。一方、トランジスタ21Tがオフの状態においては、端子21cから端子21bに電流が流れる。
回路ブロック22の端子22aは、コントローラ30に接続される。回路ブロック22の端子22bは、回路ブロック21に接続される。回路ブロック22の端子22bは、モータ2に接続される。回路ブロック22の端子22cは、電源10、回路ブロック24及び26に接続される。回路ブロック22も回路ブロック21と同様に、トランジスタ22T及びダイオード22Dを含む。トランジスタ22T及びダイオード22Dは、トランジスタ21T及びダイオード21Dとそれぞれ同様の接続構成を有する。
回路ブロック23及び24は、互いに直列に接続されると共に、電源10に対して並列に接続されている。回路ブロック23及び24も、回路ブロック21及び22と同様の接続構成を有する。
回路ブロック23の端子23aは、コントローラ30に接続される。回路ブロック23の端子23bは、電源10、回路ブロック21及び25に接続される。回路ブロック23の端子23cは、回路ブロック24に接続される。回路ブロック23の端子23cは、モータ2に接続される。回路ブロック23も回路ブロック21と同様に、トランジスタ23T及びダイオード23Dを含む。トランジスタ23T及びダイオード23Dは、トランジスタ21T及びダイオード21Dとそれぞれ同様の接続構成を有する。
回路ブロック24の端子24aは、コントローラ30に接続される。回路ブロック24の端子24bは、回路ブロック23に接続される。回路ブロック24の端子24bは、モータ2に接続される。回路ブロック24の端子24cは、電源10、回路ブロック22及び26に接続される。回路ブロック24も回路ブロック21と同様に、トランジスタ24T及びダイオード24Dを含む。トランジスタ24T及びダイオード24Dは、トランジスタ21T及びダイオード21Dとそれぞれ同様の接続構成を有する。
回路ブロック25及び26は、互いに直列に接続されると共に、電源10に対して並列に接続されている。回路ブロック25及び26も、回路ブロック21及び22と同様の接続構成を有する。
回路ブロック25の端子25aは、コントローラ30に接続される。回路ブロック25の端子25bは、電源10、回路ブロック21及び23に接続される。回路ブロック25の端子25cは、回路ブロック26に接続される。回路ブロック25の端子25cは、モータ2に接続される。回路ブロック25も回路ブロック21と同様に、トランジスタ25T及びダイオード25Dを含む。トランジスタ25T及びダイオード25Dは、トランジスタ21T及びダイオード21Dとそれぞれ同様の接続構成を有する。
回路ブロック26の端子26aは、コントローラ30に接続される。回路ブロック26の端子26bは、回路ブロック25に接続される。回路ブロック26の端子26bは、モータ2に接続される。回路ブロック26の端子26cは、電源10、回路ブロック22及び24に接続される。回路ブロック26も回路ブロック21と同様に、トランジスタ26T及びダイオード26Dを含む。トランジスタ26T及びダイオード26Dは、トランジスタ21T及びダイオード21Dとそれぞれ同様の接続構成を有する。
各回路ブロック21~26のオン・オフは、コントローラ30からの制御信号S21~S26に応じて切り替えられる。これにより、インバータ20からモータ2へ三相交流電力が供給される。インバータ20とモータ2との間の線路には、電流センサ60が設けられている。電流センサ60は、インバータ20からモータ2に出力される交流電力の各相の電流を検出する。すなわち、電流センサ60は、U相の電流とV相の電流とW相の電流とをそれぞれ検出する。電流センサ60は、各相の電流を示す電流信号S1をコントローラ30に出力する。電流センサ60は、U相、V相、及びW相の三相全ての電流を検出する必要は無い。例えば、電流センサ60は、U相、V相、及びW相のうちの二相の電流を検出し、残りの一相の電流を演算により取得してもよい。
コントローラ30は、インバータ20全体の制御を行う電子制御ユニットである。コントローラ30は、例えばCPU、ROM、及びRAMを含むコンピュータにより構成される。コントローラ30は、例えば、制御回路31と、ドライブ回路32とを有する。制御回路31には、電流センサ60から電流信号S1が入力される。制御回路31は、電流信号S1に基づいて、回路ブロック21~26をそれぞれオン・オフ駆動させるための制御信号S11~S16をドライブ回路32に出力する。ドライブ回路32は、制御回路31から出力された制御信号S11~S16を増幅し、増幅した制御信号S21~S26を、対応する回路ブロック21~26にそれぞれ出力する。
以下、図2を参照して、制御回路31の構成をより詳細に説明する。図2に示すように、制御回路31は、機能的構成として、例えば、情報検出部40と、信号生成部50と、を有する。信号生成部50は、モータ2の角速度を目標角速度に追従させるように、回路ブロック21~26へ提供される制御信号S11~S16を生成する。情報検出部40は、信号生成部50における制御処理等に必要な信号を出力する。例えば、情報検出部40は、信号S2、S3a、及びS3bを出力する。
情報検出部40は、例えば、座標変換器41と、情報導出器42と、を含む。
座標変換器41には、電流信号S1及び情報信号S3bが入力される。座標変換器41は、電流信号S1及び情報信号S3bを利用して電流信号S2を生成する。座標変換器41は、回転位置情報を利用して、電流信号S1に含まれる各相の電流を座標変換することにより、電流信号S2を生成する。座標変換器41は、電流信号S2を情報導出器42に出力する。更に、座標変換器41は、電流信号S2を信号生成部50に出力する。
d軸及びq軸を含むdq座標系は、モータ2の回転子と共に回転する回転座標系を意味する。d軸及びq軸は、互いに直交しており、いずれもモータ2の回転軸線に直交している。d軸電流は、d軸方向の電流を意味する。すなわち、d軸電流は、d軸方向の磁束をモータ2の固定子に発生させるための電流を意味する。q軸電流は、q軸方向の電流を意味する。すなわち、q軸電流は、q軸方向の磁束をモータ2の固定子に発生させるための電流を意味する。本実施形態では、モータ2の回転子の磁石が2極に着磁されている場合を例示するが、当該磁石は、2極以上に(多極に)着磁されていてもよい。例えば、当該磁石は、4極(2極対)に着磁されていてもよい。2極の磁石が用いられる場合、機械周波数と電気周波数とは1対1の関係にある。4極の磁石が用いられる場合、機械周波数に対して電気周波数は2倍となる。2極の磁石が用いられる本実施形態では、後述する図4の(a)に示す位相θ=0~2πの区間が電流指令の一周期分となる。これに対し、4極の磁石が用いられる場合は、図4の(a)に示す位相θ=0~πの区間が電流指令の一周期分となる。
情報導出器42には、電流信号S2が入力される。情報導出器42は、電流信号S2を利用して情報信号S3a及びS3bを生成する。情報信号S3aは、角速度ωを示す。角速度ωは、モータ2の固定子に対する回転子の角速度を表している。情報信号S3bは、位相θを示す。位相θは、モータ2の固定子に対する回転子の回転位置を表している。情報導出器42は、電流信号S2に含まれるd軸電流及びq軸電流に基づいて、モータ2の角速度ω及び位相θを導出する。情報導出器42は、情報信号S3a及び情報信号S3bを信号生成部50に出力する。更に、情報導出器42は、情報信号S3bを座標変換器41にも出力する。
信号生成部50は、例えば、速度制御器51と、電流制御器52と、座標変換器53と、PWM制御器54と、を含む。
速度制御器51には、情報信号S3a及び目標信号S3cが入力される。速度制御器51は、情報信号S3a及び目標信号S3cを利用して電流指令信号S4を生成する。目標信号S3cは、例えば、操作者の入力により設定されるd軸電流指令である。電流指令信号S4は、q軸電流指令及びd軸電流指令を含む。q軸電流指令は、情報信号S3aに含まれるモータ2の角速度ωと、目標角速度ωとの偏差を縮小させる指令である。目標角速度ωは、例えば、上位の制御器から入力される。速度制御器51は、電流指令信号S4を電流制御器52に出力する。
電流制御器52には、電流信号S2及び電流指令信号S4が入力される。電流制御器52は、電流信号S2及び電流指令信号S4を利用して電圧指令信号S5a及び電流指令信号S5bを生成する。電圧指令信号S5aは、d軸電圧指令及びq軸電圧指令を含む。d軸電圧は、d軸電流と同方向の電圧を意味する。q軸電圧は、q軸電流と同方向の電圧を意味する。電流指令信号S5bは、電流指令信号S4と同一の情報を示す。電流制御器52は、d軸電流指令とd軸電流との偏差に基づく演算を行うことにより、d軸電圧指令を生成する。同様に、電流制御器52は、q軸電流指令とq軸電流との偏差に基づく演算を行うことにより、q軸電圧指令を生成する。電流制御器52は、電圧指令信号S5a及び電流指令信号S5bを座標変換器53に出力する。
座標変換器53には、情報信号S3b、電圧指令信号S5a及び電流指令信号S5bが入力される。座標変換器53は、電圧指令信号S5a及び電流指令信号S5bを利用して、電圧指令信号S6a(第1の指令信号)と、電流指令信号S6b(第2の指令信号)と、を生成する。電圧指令信号S6aは、U相の電圧指令、V相の電圧指令、及びW相の電圧指令を示す。座標変換器53は、回転位置情報を利用して、電圧指令信号S5aに含まれるd軸電圧指令及びq軸電圧指令を座標変換することにより、U相の電圧指令、V相の電圧指令、及びW相の電圧指令を生成する。電流指令信号S6bは、U相の電流指令、V相の電流指令、及びW相の電流指令を示す。座標変換器53は、回転位置情報を利用して、電流指令信号S5bに含まれるd軸電流指令及びq軸電流指令を座標変換することにより、U相の電流指令、V相の電流指令、及びW相の電流指令を生成する。座標変換器53は、電圧指令信号S6a及び電流指令信号S6bをPWM制御器54に出力する。
PWM制御器54には、電圧指令信号S6a及び電流指令信号S6bが入力される。PWM制御器54は、電圧指令信号S6a及び電流指令信号S6bを利用して制御信号S11~S16を生成する。制御信号S11~S16は、回路ブロック21~26の動作を制御するパルス信号である。PWM制御器54は、制御信号S11~S16をドライブ回路32(図1参照)に出力する。
ドライブ回路32は、制御信号S11~S16を増幅することにより、制御信号S21~S26を生成する。ドライブ回路32は、制御信号S21~S26を対応する回路ブロック21~26に出力する。
次に、図3を参照して、PWM制御器54のより詳細な構成について説明する。図3に示すように、PWM制御器54は、例えば、キャリア周波数設定部54aと、キャリア生成部54bと、比較部54cと、制御信号生成部54dと、を含む。
キャリア周波数設定部54aには、各相の電流指令を示す電流指令信号S6bが入力される。キャリア周波数設定部54aは、電流指令信号S6bに基づいて周波数信号S7を生成する。周波数信号S7は、U相に関するキャリア周波数と、V相に関するキャリア周波数と、W相に関するキャリア周波数と、を含む。つまり、キャリア周波数設定部54aは、U相の電流指令に基づいてU相のキャリア周波数を設定し、V相の電流指令に基づいてV相のキャリア周波数を設定し、W相の電流指令に基づいてW相のキャリア周波数を設定する。キャリア周波数設定部54aは、周波数信号S7をキャリア生成部54bに出力する。
キャリア生成部54bには、周波数信号S7が入力される。キャリア生成部54bは、周波数信号S7を利用してキャリアS8を生成する。キャリアS8は、U相のキャリアと、V相のキャリアと、W相のキャリアと、を含む。つまり、キャリア生成部54bは、周波数信号S7に従って、U相のキャリアと、V相のキャリアと、W相のキャリアと、を生成する。キャリアS8は、三角波であってもよいし、のこぎり波であってもよい。キャリア生成部54bは、キャリアS8を比較部54cに出力する。
比較部54cには、キャリアS8及び電圧指令信号S6aが入力される。比較部54cは、キャリアS8及び電圧指令信号S6aを利用して情報信号S9を生成する。情報信号S9は、インバータ20に提供されるパルス信号である。具体的には、比較部54cは、電圧指令信号S6aに含まれる各相の電圧指令と、キャリアS8に含まれる各相のキャリアと、の振幅の大小を比較する。比較部54cは、その比較結果に基づいて、制御信号S11~S16の生成に必要な情報信号S9を生成する。比較部54cは、情報信号S9を制御信号生成部54dに出力する。
制御信号生成部54dは、情報信号S9に基づいてパルス信号である制御信号S11~S16を生成する。
ここで、図4を参照して、キャリア周波数設定部54aによるキャリア周波数の設定の例を説明する。図4の(a)は、U相の電流指令G1を示す。図4の(a)の縦軸は、電流指令G1の電流値[A]を示しており、図4の(a)の横軸は、U相の電流指令の位相θ[rad]を示している。図4の(b)は、U相のキャリアG2を示している。図4の(b)の横軸は、図4の(a)の横軸に対応している。
図4の(c)は、V相のキャリアG3を示す。図4の(d)は、W相のキャリアG4を示す。図4の(c)及び(d)の横軸は、図4の(b)の横軸と同様、図4の(a)の横軸に対応している。以下では、電流指令G1とU相のキャリアG2との関係に着目して、U相のキャリアG2のキャリア周波数を設定する例について説明する。
V相のキャリアG3のキャリア周波数の設定、及びW相のキャリアG4のキャリア周波数の設定は、U相のキャリアG2のキャリア周波数の設定と同様に行われる。従って、これらの設定についての説明は省略する。
キャリア周波数設定部54aは、電流指令G1を参照しながら、所定区間ごとにキャリアG2のキャリア周波数を切り替える。具体的には、キャリア周波数設定部54aは、電流指令G1の一周期の中に、区間T1と区間T2とを設定する。そして、キャリア周波数設定部54aは、区間T1におけるキャリア周波数(f1)と、区間T2におけるキャリア周波数(f2)と、を互いに異ならせる。
区間T1は、電流指令G1の一周期のうちの第1の位相範囲である。「第1の位相範囲」は、例えば、電流指令G1の一周期のうち、電流指令G1の電流値の正負が反転するゼロクロス点P01、P02、及びP03を含まない位相範囲である。「第1の位相範囲」は、電流指令G1の一周期のうち、ゼロクロス点P01、P02、及びP03を含まず、且つ電流指令G1の電流値の絶対値が最大となるピーク点P11及びP12を含む位相範囲としてよい。
ゼロクロス点P01では、電流指令G1の位相θが0[rad]である。ゼロクロス点P02では、電流指令G1の位相θがπ[rad]である。ゼロクロス点P03では、電流指令G1の位相θが2π[rad]である。ゼロクロス点P01、P02、及びP03においては、いずれも電流指令G1の電流値がゼロである。電流指令G1の位相θがπ/2[rad]であるとき、電流指令G1の電流値は極大(ピーク点P11)である。電流指令G1の位相θが3π/2[rad]であるとき、電流指令G1の電流値は極小(ピーク点P12)である。
従って、上記の「第1の位相範囲」は、ゼロクロス点P01とゼロクロス点P02との間の位相範囲であってピーク点P11を含む位相範囲と、ゼロクロス点P02とゼロクロス点P03との間の位相範囲であってピーク点P12を含む位相範囲と、を含む。これら位相範囲は、いずれもゼロクロス点P01、P02、及びP03を含んでいない。以降、これら位相範囲を、「区間T1」に置き換えて説明することがある。
区間T1は、例えば、基準位相θS1と、基準位相θS1を基準とした位相差ΔθD1及びΔθA1と、によって定義できる。区間T1は、例えば、基準位相θS1に対して位相差ΔθD1だけ遅れた開始位相θ1から、基準位相θS1に対して位相差ΔθA1だけ進んだ終了位相θ2までの範囲としてよい。基準位相θS1は、0[rad]よりも大きくπ[rad]よりも小さい範囲(0<θ<π)に設定される。例えば、基準位相θS1は、図4の(a)に示すように、ピーク点P11を示す位相θ(π/2[rad])としてよい。基準位相θS1としてπ/2[rad]を設定した場合には、位相差ΔθD1及びθA1のそれぞれは、0[rad]以上π/2[rad]未満の範囲に設定される。図4の(a)の例示では、位相θが遅れる側の位相差ΔθD1と、位相θが進む側の位相差ΔθA1とが、互いに同じ値に設定されている。位相θが遅れる側の位相差ΔθD1と、位相θが進む側の位相差ΔθA1とは、互いに異なっていてもよい。
区間T1は、位相θが0[rad]よりも大きくπ[rad]よりも小さい範囲(0<θ<π)において設定される。更に、区間T1は、位相θがπ[rad]よりも大きく2π[rad]よりも小さい範囲(π<θ<2π)においても設定される。位相θがπ[rad]よりも大きく2π[rad]よりも小さい範囲に設定される区間T1は、例えば、基準位相θS2と、基準位相θS2を基準とした位相差ΔθD2及びΔθA2によって定義できる。区間T1は、例えば、基準位相θS2に対して位相差ΔθD2だけ遅れた開始位相θ3から、基準位相θS2に対して位相差ΔθA2だけ進んだ終了位相θ4までの範囲としてよい。基準位相θS2は、π[rad]よりも大きく2π[rad]よりも小さい範囲(π<θ<2π)の範囲に設定される。例えば、基準位相θS2は、図4の(a)に示すように、ピーク点P12を示す位相θ(3π/2[rad])としてよい。位相差ΔθD2及びΔθA2は、位相差ΔθD1及びΔθA1と同様に、互いに等しくてもよいし(ΔθD2=ΔθA2)、互いに異なっていてもよい(ΔθD2≠ΔθA2)。
一方、区間T2は、電流指令G1の一周期のうち、「第1の位相範囲」以外の「第2の位相範囲」に対応する。「第2の位相範囲」は、電流指令G1の一周期のうち、「第1の位相範囲」以外の全ての位相範囲である。従って、「第2の位相範囲」は、位相θが0[rad]からθ1[rad]までの位相範囲と、位相θがθ2[rad]からθ3[rad]までの位相範囲と、位相θがθ4[rad]から2π[rad]までの位相範囲と、を含む。これら位相範囲は、ゼロクロス点P01、P02、及びP03をそれぞれ含む。以降、これら位相範囲を「区間T2」に置き換えて説明することがある。
従って、電流指令G1の一周期において、ゼロクロス点P01を含む区間T2と、ピーク点P11を含む区間T1と、ゼロクロス点P02を含む区間T2と、ピーク点P12を含む区間T1と、ゼロクロス点P03を含む区間T2と、が順に並んでいる。電流指令G1の一周期において、区間T2と区間T1とが交互に繰り返されるように設けられているともいえる。
キャリア周波数設定部54aは、区間T1におけるキャリア周波数(f1)と、区間T2におけるキャリア周波数(f2)とを設定する。キャリア周波数(f2)は、モータ2が発生するモータ損失の低減を優先させた周波数である。従来のモータ装置にあっては、全ての区間において等しいキャリア周波数(f2)が設定されていた。一方、キャリア周波数設定部54aは、区間T1におけるキャリア周波数(f1)を、区間T2におけるキャリア周波数(f2)よりも低く設定する。キャリア周波数(f1)は、インバータ20が発生するインバータ損失の低減を優先させた周波数である。このように、区間T2では、キャリアG2のキャリア周波数(f2)が高周波に設定される一方、区間T1では、キャリアG2のキャリア周波数(f1)は低周波に設定される。
キャリア周波数設定部54aは、V相のキャリアG3のキャリア周波数、及びW相のキャリアG4のキャリア周波数についても、U相のキャリアG2のキャリア周波数と同様に設定する。但し、U相の電流指令G1は、V相の電流指令に対して2π/3[rad]ずれており、V相の電流指令は、W相の電流指令に対して2π/3[rad]ずれている。このため、図4の(b)、(c)及び(d)に示すように、V相のキャリアG3のキャリア周波数が低周波に設定される区間、及びW相のキャリアG4のキャリア周波数が低周波に設定される区間はそれぞれ、U相のキャリアG2のキャリア周波数(f1)が低周波に設定される区間T1からずれる。V相のキャリアG3のキャリア周波数が低周波に設定される区間、及びW相のキャリアG4のキャリア周波数が低周波に設定される区間において、これらのキャリア周波数は、U相のキャリアG2のキャリア周波数(f1)と同一であってもよいし、キャリア周波数(f1)とは異なってもよい。
<作用効果>
続いて、本実施形態に係るモータ装置1によって奏される作用効果について説明する。本実施形態に係るモータ装置1では、区間T1におけるキャリアG2のキャリア周波数(f1)が、区間T2におけるキャリアG2のキャリア周波数(f2)よりも低く設定されている。つまり、電流指令G1の一周期の全区間(すなわち、区間T1及びT2を含む全ての区間)において高いキャリア周波数(f2)が設定されるのではなく、電流指令G1の一周期の一部の区間T1のみにおいて低いキャリア周波数(f1)が設定されている。低いキャリア周波数(f1)が設定される区間T1では、高いキャリア周波数(f2)が設定される区間T2と比べて、インバータ損失が小さく抑えられる。
インバータ損失は、インバータ20において電磁的要因により発生する損失である。インバータ損失が増大する要因としては、例えば、スイッチング損失の増大が挙げられる。スイッチング損失も、キャリアのキャリア周波数が高くなるほど増大する。何故なら、キャリアのキャリア周波数が高くなると、回路ブロック21~26のスイッチング回数が多くなり、これに応じてスイッチング損失が増大するからである。スイッチング損失は、回路ブロック21~26がオンからオフへと遷移する際に生じるため、回路ブロック21~26のスイッチング回数が多くなるに従って、スイッチング損失の合計も増大する。このように、インバータ損失は、キャリアのキャリア周波数が高くなるほど増大する。言い換えると、インバータ損失は、キャリアのキャリア周波数が低くなるほど減少する。
モータ2が備えるステータの電気抵抗の周波数特性は、一般的に駆動電力の周波数が高くなるに従い、急激に抵抗値が上昇する。これは、近接効果及び表皮効果等が原因である。例えば、10kHz以降の周波数領域にて急激に抵抗値が上昇する場合もあり得る。このため、モータ電流の周波数特性において、高周波成分を低減することで損失を低減することが可能である。
従って、電流指令G1の一周期の一部の区間T1のみにおいて低いキャリア周波数(f1)が設定される場合、電流指令G1の一周期の全区間において高いキャリア周波数(f2)が設定される場合と比べて、電流指令G1の一周期の間のスイッチング損失の合計を低減することが可能となる。これにより、インバータ損失を低減することが可能となる。V相のキャリアG3のキャリア周波数、及びW相のキャリアG4のキャリア周波数についても同様である。その結果、モータ2の出力効率の低下を抑制できる。
更に、電流指令G1の一周期の一部の区間T1のみにおいて低いキャリア周波数(f1)が設定される場合、電流指令G1の一周期の全区間において低いキャリア周波数(f1)が設定される場合と比べて、モータ損失の増大が抑制される。モータ損失は、モータ2において電磁的要因により発生する損失であり、例えば鉄損又は銅損等である。モータ損失が増大する要因としては、電流リップル成分の増大が挙げられる。電流リップル成分は、キャリアのキャリア周波数が高くなるほど増大する。電流リップル成分が増大すると、電流指令を理想的な正弦波状に近付けることが難しくなるので、モータ損失が増大する。従って、モータ損失は、キャリア周波数が低くなるほど増大する。
このため、電流指令G1の一周期のうちの全区間において低いキャリア周波数(f1)が設定されてしまうと、モータ損失が増大し、その結果、モータ2の出力効率が低下し得る。つまり、電流指令G1の一周期のうちの全区間において低いキャリア周波数(f1)が設定されると、インバータ損失の増大が抑制される一方、モータ損失が増大する。逆に、電流指令G1の一周期うちの全区間において高いキャリア周波数(f2)が設定されると、モータ損失の増大が抑制される一方、インバータ損失が増大する。これに対し、モータ装置1のように、電流指令G1の一周期の一部の区間T1においてのみ低いキャリア周波数(f1)に設定すれば、モータ損失の増大を抑えつつ、インバータ損失を低減することが可能となる。その結果、モータ2の出力効率の低下を好適に抑制することが可能となる。
本実施形態において、「第1の位相範囲」は、電流指令G1の一周期のうち、電流指令G1の電流値の正負が反転するゼロクロス点P01、P02、及びP03を含まない位相範囲としてよい。インバータ損失は、電流指令G1の電流値の絶対値が高い区間(すなわち、ゼロクロス点P01、P02、及びP03を含まない区間T1)では大きくなり、電流指令G1の電流値の絶対値が低い区間(すなわち、ゼロクロス点P01、P02、及びP03を含む区間T2)では小さくなる傾向がある。何故なら、電流指令G1の電流値の絶対値が大きくなるほど、一回のスイッチングにおいて発生するスイッチング損失が増大するからである。回路ブロック21~26がオンからオフへと遷移する際、回路ブロック21~26を流れる電圧及び電流は瞬時に切り替わらず、これら電圧及び電流がオーバーラップする区間が生じる。その結果、電圧と電流との積によって示されるスイッチング損失が発生する。
このため、電流指令G1の電流値の絶対値が大きくなるほど、一回のスイッチングにおいて発生するスイッチング損失が増大する。そこで、キャリア周波数が低く設定される区間を、ゼロクロス点P01、P02、及びP03を含まない区間T1に設定すれば、スイッチング回数を少なくすることができるので、スイッチング損失の合計が増大する事態を抑えることができる。これにより、キャリア周波数が低く設定される区間を、ゼロクロス点P01、P02、及びP03を含む区間T2とした場合と比べて、インバータ損失をより効果的に低減できる。
本実施形態において、「第1の位相範囲」は、電流指令G1の一周期のうち、電流指令G1の電流値の絶対値が最大となるピーク点P11及びP12を含む位相範囲としてよい。電流指令G1の電流値の絶対値は、ピーク点P11及びP12において最大となる。従って、ピーク点P11及びP12付近の区間においては、一回のスイッチングにおいて発生するスイッチング損失が極めて大きくなる。そこで、キャリア周波数が低く設定される区間を、ピーク点P11及びP12を含む区間T1とすることにより、スイッチング損失の合計が増大する事態を効果的に抑えることができる。これにより、キャリア周波数が低く設定される区間を、ピーク点P11及びP12を含まない区間T2とした場合と比べて、インバータ損失をより効果的に低減できる。
本開示は、上述した実施形態に限られず、他に様々な変形が可能である。
<変形例1>
図5は、キャリア周波数設定部54aによるキャリア周波数の設定の別の例を示している。図5の(a)は、U相の電流指令G1を示している。図5の(b)は、U相のキャリアG21を示している。図5の(c)は、V相のキャリアG31を示している。図5の(d)は、W相のキャリアG41を示している。以下では、上述した実施形態と同様、U相の電流指令G1とU相のキャリアG21との関係に着目して、キャリアG21のキャリア周波数を設定する例を説明する。図5に示す例では、キャリア周波数設定部54aは、電流指令G1の一周期のうちの「第1の位相範囲」を、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値is以上となる位相範囲に設定する。
「基準値is」は、0よりも大きい値である。ゼロクロス点P01、P02、及びP03においては、電流指令G1の電流値の絶対値が0となる。ピーク点P11及びP12においては、電流指令G1の絶対値が必ず0よりも大きくなる。従って、電流指令G1の絶対値が基準値is以上となる位相範囲は、電流指令G1の一周期のうち、ゼロクロス点P01、P02、及びP03を含まず、且つピーク点P11及びP12を含む位相範囲と言い換えることができる。つまり、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値is以上となる位相範囲は、ゼロクロス点P01とゼロクロス点P02との間の位相範囲であってピーク点P11を含む位相範囲と、ゼロクロス点P02とゼロクロス点P03との間の位相範囲であってピーク点P12を含む位相範囲と、を含む。これら位相範囲は、図5の(a)における「区間T3」に対応する。以降、これら位相範囲を「区間T3」に置き換えて説明することがある。
ゼロクロス点P01とゼロクロス点P02との間の区間T3は、電流指令G1の電流値の正側の基準値isに対応する2つのθ5[rad]及びθ6[rad]の間の位相範囲である。つまり、この区間T3は、位相θがθ5[rad]以上θ6[rad]以下の位相範囲であって、ピーク点P11を含む位相範囲である。ゼロクロス点P02とゼロクロス点P03との間の区間T3は、電流指令G1の負側の電流値-isに対応する2つのθ7[rad]及びθ8[rad]の間の位相範囲である。つまり、この区間T3は、位相θがθ7[rad]以上θ8[rad]以下の位相範囲であって、ピーク点P12を含む位相範囲である。図5の(a)に示す例では、「基準値is」は、電流指令G1の電流値の絶対値の最大値の半分(1/2)に設定されている。つまり、正側の基準値isは、電流指令G1の電流値の極大値imaxの半分に設定されており、負側の基準値-isは、電流指令G1の電流値の極小値-imaxの半分に設定されている。
「基準値is」は、電流指令G1の電流値の絶対値の最大値の半分に設定されなくてもよく、適宜変更可能である。「基準値is」は、電流指令G1の電流値の絶対値の最大値の2/3であってもよいし、3/4であってもよい。正側の基準値と負側の基準値とは、互いに異なる値に設定されてもよい。この場合、これらの基準値の違いに応じて、ゼロクロス点P01とゼロクロス点P02との間の区間T3と、ゼロクロス点P02とゼロクロス点P03との間の区間T3と、が互いに異なることとなる。
一方、電流指令G1の一周期のうち、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値is以上となる位相範囲以外の「第2の位相範囲」は、図5の(a)における「区間T4」に対応する。「第2の位相範囲」は、電流指令G1の一周期のうち、「第1の位相範囲」以外の全ての位相範囲、すなわち、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値isよりも小さい位相範囲である。電流指令G1の電流値の絶対値が基準値isよりも小さい位相範囲は、位相θが0[rad]以上θ5[rad]よりも小さい位相範囲と、位相θがθ6[rad]よりも大きくθ7[rad]よりも小さい位相範囲と、位相θがθ8[rad]よりも大きく2π[rad]以下の位相範囲と、を含む。これら位相範囲は、ゼロクロス点P01、P02、及びP03をそれぞれ含む。
キャリア周波数設定部54aは、上述した実施形態と同様、区間T3におけるキャリアG21のキャリア周波数(f1)を、区間T4におけるキャリアG21のキャリア周波数(f2)よりも低く設定する。従って、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値is以上となる区間T3では、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値isよりも低くなる区間T4と比べて、キャリアG21のキャリア周波数が低く設定される。このため、区間T3では、区間T4に比べて、回路ブロック21~26のスイッチング回数が少なくなる。
上述したように、電流指令G1の電流値の絶対値が大きくなるほど、一回のスイッチングにおいて発生するスイッチング損失が増大する。そこで、キャリア周波数が低く設定される区間を、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値is以上となる区間T3とすれば、スイッチング回数を少なくすることができるので、スイッチング損失の合計が増大する事態を抑えることができる。この場合、キャリア周波数が低く設定される区間を、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値isよりも低くなる区間T4とした場合と比べて、インバータ損失をより効果的に低減できる。
図5の(a)に示す例において、基準値isは、電流指令G1の電流値の絶対値が最大となる最大値の半分に設定されている。上述したように、電流指令G1の電流値の絶対値が基準値is以上となる区間T3では、一回のスイッチングのスイッチング損失が比較的大きくなる。そのため、区間T3において、スイッチング回数が少なくなるようにキャリア周波数を低く設定することにより、スイッチング損失の合計をより一層効果的に低減することができる。これにより、インバータ損失をより一層効果的に低減できる。V相のキャリアG31のキャリア周波数、及びW相のキャリアG41のキャリア周波数についても、上述したU相のキャリアG21のキャリア周波数と同様に設定することにより、図5に示す例と同様の効果が得られる。
図5に示す例では、キャリアG21のキャリア周波数が高く設定される区間T4が、図4に示す実施形態においてキャリアG2のキャリア周波数が高く設定される区間T2と比べて、短くなっている。このため、図5に示す例では、モータ損失が比較的増大してしまうようにも考えられる。しかし、図5に示すように、U相のキャリアG21のキャリア周波数が高く設定される区間T3は、V相のキャリアG31の周波数が高い区間、及びW相のキャリアG41の周波数が高い区間と重なっている。このように、或る相のキャリアの周波数が低く設定されている区間であっても、他の相のキャリアの周波数が高く設定されている区間と重なっていれば、モータ損失の増大が抑えられる。
例えば、図1において、インバータ20の電流経路が、U相用の回路ブロック21と、W相用の回路ブロック26とを通る経路である場合を想定する。この場合、U相のキャリアG21の周波数が低く設定されている区間T3では、U相用の回路ブロック21のオン・オフの駆動が低速となる。しかし、区間T3は、図5に示すように、W相のキャリアG41においてキャリア周波数が高く設定される区間と重なっている。この区間では、W相用の回路ブロック26のオン・オフの駆動が高速となる。このようにインバータ20の電流経路上におけるいずれかの相の回路ブロックが高速に駆動すれば、その電流経路を通る電流変化量を低減することができるので、電流リップル成分を低減できる。このため、図5に示す例では、モータ損失の増大が効果的に抑制されている。
<変形例2>
図6は、キャリア周波数設定部54aによるキャリア周波数の設定の更に別の例を示している。図6の(a)は、U相の電流指令G1を示している。図6の(b)は、U相のキャリアG22を示している。図6の(c)は、V相のキャリアG32を示している。図6の(d)は、W相のキャリアG42を示している。以下では、上述した実施形態と同様、U相の電流指令G1とU相のキャリアG22との関係に着目して、U相のキャリアG22のキャリア周波数を設定する例を説明する。
図6に示す例では、キャリア周波数設定部54aは、電流指令G1の一周期のうちの「第1の位相範囲」を、ゼロクロス点P01、P02、及びP03を含まず、且つピーク点P11及びP12も含まない位相範囲に設定する。つまり、電流指令G1の一周期のうちの「第1の位相範囲」は、ピーク点P11とゼロクロス点P02との間の位相範囲と、ピーク点P12とゼロクロス点P03との間の位相範囲と、を含む。これら位相範囲は、図5における「区間T5」に対応する。以降、これら位相範囲を「区間T5」に置き換えて説明することがある。
ピーク点P11とゼロクロス点P02との間の区間T5は、位相θがθ9[rad]からθ10[rad]までの位相範囲である。θ9は、π/2[rad]より大きくπ[rad]よりも小さい。θ10は、θ9[rad]より大きくπ[rad]よりも小さい。θ9からθ10までの位相差Δθ1は、0[rad]よりも大きくπ/2[rad]よりも小さい。区間T5は、θ9とθ10とにより規定されてもよいし、θ9と位相差Δθ1とにより規定されてもよい。ピーク点P12とゼロクロス点P03との間の区間T5は、位相θがθ11[rad]からθ12[rad]までの位相範囲である。θ11は、π/2[rad]より大きくπ[rad]よりも小さい。θ12は、θ11[rad]より大きくπ[rad]よりも小さい。θ11からθ12までの位相差Δθ2は、0[rad]よりも大きくπ/2[rad]よりも小さい。区間T5は、θ11とθ12とにより規定されてもよいし、θ11と位相差Δθ2とにより規定されてもよい。位相差Δθ1及びΔθ2は、互いに等しくてもよいし(Δθ1=Δθ2)、互いに異なっていてもよい(Δθ1≠Δθ2)。
一方、電流指令G1の一周期のうち、「第1の位相範囲」以外の第2の位相範囲は、図6における「区間T6」に対応する。「第2の位相範囲」は、位相θが0[rad]以上θ9[rad]よりも小さい位相範囲と、位相θがθ10[rad]よりも大きくθ11[rad]よりも小さい位相範囲と、位相θがθ12[rad]よりも大きく2π[rad]以下の位相範囲と、を含む。これら位相範囲は、ゼロクロス点P01、P02、及びP03をそれぞれ含む。これら位相範囲のうち、ゼロクロス点P01を含む位相範囲はピーク点P11を含む。ゼロクロス点P02を含む位相範囲はピーク点P12を含む。
キャリア周波数設定部54aは、上述した実施形態と同様、区間T5におけるキャリアG22のキャリア周波数(f1)を、区間T6におけるキャリアG22のキャリア周波数(f2)よりも低く設定する。このような形態であっても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。V相のキャリアG32のキャリア周波数、及びW相のキャリアG42のキャリア周波数についても、上述したU相のキャリアG22のキャリア周波数と同様に設定することにより、図6に示す例と同様の効果が得られる。
<変形例3>
モータ装置1の構成は、上述した実施形態に限られず、適宜変更可能である。
例えば、図7に示すように、モータ装置1は、インバータ損失計測部71と、モータ損失計測部72と、を更に備えてもよい。インバータ損失計測部71の一端71aは、電源10とインバータ20とを接続する線路に接続されている。インバータ損失計測部71の他端71bは、インバータ20とモータ2とを接続する線路に接続されている。インバータ損失計測部71は、インバータ20に入力されるエネルギと、インバータ20から出力されるエネルギと、の差分を測定することにより、インバータ損失を測定する。インバータ損失計測部71は、計測したインバータ損失を示す情報信号S31をコントローラ30に出力する。モータ損失計測部72の一端72aは、インバータ20とモータ2とを接続する線路に接続されている。モータ損失計測部72の他端72bは、モータ2の出力に接続されている。モータ損失計測部72は、モータ2に入力されるエネルギと、モータ2から出力されるエネルギと、の差分を測定することにより、モータ損失を測定する。モータ損失計測部72は、計測したモータ損失を示す情報信号S32をコントローラ30に出力する。
情報信号S31及びS32は、コントローラ30のキャリア周波数設定部54aに入力される。キャリア周波数設定部54aは、情報信号S31及びS32に含まれるインバータ損失及びモータ損失を利用して、位相条件を設定する。「位相条件」とは、区間T1を定めるための基準となる基準位相θS1及びθS2と、基準位相θS1からの位相差ΔθD1及びΔθA1と、基準位相θS2からの位相差ΔθD1及びΔθA1と、を含む(図4参照)。
キャリア周波数設定部54aは、例えば、インバータ損失及びモータ損失の合計損失が最小となるように、区間T1の範囲を定めるための位相条件を決定する。上述したように、キャリア周波数が高くなるほどスイッチング損失が増大し、キャリア周波数が低くなるほどスイッチング損失が減少する。そこで、モータ損失とインバータ損失とのバランスを考慮し、これらの合計損失が最小となるように、キャリア周波数が低く設定される区間T1を設定する。これにより、モータ損失の増大を抑えつつ、インバータ損失を低減するという効果をより確実に得ることができる。その結果、モータ2の出力効率をより確実に低下させることができる。
<その他の変形例>
上述した実施形態では、電流指令G1の一周期において、区間T1と区間T2とが設定される例について説明した。電流指令G1の一周期において、区間T1と区間T2とに加えて、別の区間が設定されてもよい。この場合、当該別の区間におけるキャリア周波数は、区間T1におけるキャリア周波数(f1)よりも高く設定されてよい。当該別の区間におけるキャリア周波数は、区間T2におけるキャリア周波数(f2)よりも高く設定されてもよいし、低く設定されてもよい。
上述した実施形態では、電流指令G1の一周期において、区間T1が2か所設定される例について説明した。例えば、電流指令G1の一周期において、区間T1は1か所だけ設定されてもよい。上述した実施形態では、「第1の指令信号」が電圧指令信号S6aを示し、「第2の指令信号」が電流指令信号S6bを示す例について説明した。「第1の指令信号」及び「第2の指令信号」は、共に同一の情報を示してもよい。
〔付記〕
本開示は、以下の構成を含む。
本開示のモータ装置は、[1]「交流である駆動電力によって駆動するモータと、前記モータに前記駆動電力を供給するインバータと、前記駆動電力の目標を示す第1の指令信号とキャリアとを用いて、前記駆動電力を制御するためのパルス信号を生成するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記駆動電力の目標を示す第2の指令信号を用いて前記キャリアのキャリア周波数を設定するキャリア周波数設定部を有し、前記キャリア周波数設定部は、前記第2の指令信号の一周期のうちの第1の位相範囲に対応する区間における前記キャリア周波数を、前記第1の位相範囲以外の第2の位相範囲に対応する区間における前記キャリア周波数よりも低く設定する、モータ装置。」である。
本開示のモータ装置は、[2]「前記第1の位相範囲は、前記第2の指令信号の一周期のうち、前記第2の指令信号の正負が反転するゼロクロス点を含まない位相範囲である、上記[1]に記載のモータ装置。」である。
本開示のモータ装置は、[3]「前記第1の位相範囲は、前記第2の指令信号の一周期のうち、前記第2の指令信号の絶対値が基準値以上となる位相範囲である、上記[2]に記載のモータ装置。」である。
本開示のモータ装置は、[4]「前記第1の位相範囲は、前記第2の指令信号の一周期のうち、前記第2の指令信号の絶対値が最大となるピーク点を含む位相範囲である、上記[3]に記載のモータ装置。」である。
本開示のモータ装置は、[5]「前記第1の位相範囲は、前記第2の指令信号の一周期のうち、前記第2の指令信号の絶対値が最大となるピーク点を含まない位相範囲である、上記[3]に記載のモータ装置。」である。
本開示のモータ装置は、[6]「前記モータにおいて発生するモータ損失に関する信号を出力するモータ損失計測部と、前記インバータにおいて発生するインバータ損失に関する信号を出力するインバータ損失計測部と、を更に備え、前記キャリア周波数設定部は、前記モータ損失に関する信号及び前記インバータ損失に関する信号に基づいて、前記第1の位相範囲を設定する、上記[1]~[5]のいずれかに記載のモータ装置。」である。
1 モータ装置
2 モータ
20 インバータ
30 コントローラ
54a キャリア周波数設定部
71 インバータ損失計測部
72 モータ損失計測部
is 基準値
P01,P02,P03 ゼロクロス点
P11,P12 ピーク点
S6a 電圧指令信号(第1の指令信号)
S6b 電流指令信号(第2の指令信号)
S11~S16 制御信号(パルス信号)
T1~T6 区間

Claims (6)

  1. 交流である駆動電力によって駆動するモータと、
    前記モータに前記駆動電力を供給するインバータと、
    前記駆動電力の目標を示す電圧指令信号とキャリアとを用いて、前記駆動電力を制御するためのパルス信号を生成するコントローラと、を備え、
    前記コントローラは、
    前記駆動電力の目標を示す電流指令信号を用いて前記キャリアのキャリア周波数を設定するキャリア周波数設定部を有し、
    前記キャリアは、第1相の前記駆動電力に対応する第1相のキャリアと、第2相の前記駆動電力に対応する第2相のキャリアと、を含み、
    前記キャリア周波数設定部は、
    第1相の前記駆動電力の目標を示す電流指令信号の一周期のうちの第1の位相範囲に対応する第1区間における前記第1相のキャリアの前記キャリア周波数を、前記第1の位相範囲以外の第2の位相範囲に対応する第2区間における前記第1相のキャリアの前記キャリア周波数よりも低く設定し、
    第2相の前記駆動電力の目標を示す電流指令信号の一周期のうちの第3の位相範囲に対応する第3区間における前記第2相のキャリアの前記キャリア周波数を、前記第3の位相範囲以外の第4の位相範囲に対応する第4区間における前記第2相のキャリアの前記キャリア周波数よりも低く設定し、
    前記第1相のキャリアの前記キャリア周波数が低く設定されている前記第1区間は、前記第2相のキャリアの前記キャリア周波数が高く設定されている前記第4区間と重なっている、モータ装置。
  2. 前記第1の位相範囲は、前記電流指令信号の一周期のうち、前記電流指令信号の正負が反転するゼロクロス点を含まない位相範囲である、請求項1に記載のモータ装置。
  3. 前記第1の位相範囲は、前記電流指令信号の一周期のうち、前記電流指令信号の絶対値が基準値以上となる位相範囲である、請求項2に記載のモータ装置。
  4. 前記第1の位相範囲は、前記電流指令信号の一周期のうち、前記電流指令信号の絶対値が最大となるピーク点を含む位相範囲である、請求項3に記載のモータ装置。
  5. 前記第1の位相範囲は、前記電流指令信号の一周期のうち、前記電流指令信号の絶対値が最大となるピーク点を含まない位相範囲である、請求項3に記載のモータ装置。
  6. 前記モータにおいて発生するモータ損失に関する信号を出力するモータ損失計測部と、
    前記インバータにおいて発生するインバータ損失に関する信号を出力するインバータ損失計測部と、を更に備え、
    前記キャリア周波数設定部は、前記モータ損失に関する信号及び前記インバータ損失に関する信号に基づいて、前記第1の位相範囲を設定する、請求項1に記載のモータ装置。
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