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JP7773308B2 - 乳化化粧料 - Google Patents
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JP7773308B2 - 乳化化粧料 - Google Patents

乳化化粧料

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JP7773308B2 JP2021074275A JP2021074275A JP7773308B2 JP 7773308 B2 JP7773308 B2 JP 7773308B2 JP 2021074275 A JP2021074275 A JP 2021074275A JP 2021074275 A JP2021074275 A JP 2021074275A JP 7773308 B2 JP7773308 B2 JP 7773308B2
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本願発明は、乳化化粧料に関する。
乳化のタイプには、水中油型(O/W型)と、油中水型(W/O型)がある。O/W型の乳化タイプで乳化した水中油型乳化化粧料は、使用感が良好なことから化粧品分野に於いて好んで採用されている。中でも油滴をナノサイズに微細化した微細エマルションは、透明感に優れた美しい外観や、油剤のぬるつきを抑えた優れた使用感、皮膚への高い浸透実感が得られるため市場価値が高いと評価されている。
微細エマルジョンとするための乳化手法には、(1)高剪断力によって油滴を微細化する手法(高圧乳化法)と、(2)界面活性剤の特性を利用して油滴を微細化する手法がある。
乳化手法として(1)の高圧乳化法を採用すると、一般的な乳化(ホモミキサーやプロペラによる攪拌など)よりも界面活性剤量を低く設計することができる。このため皮膚安全性が高い乳化化粧料が得られる。高圧乳化では高圧ホモジェナイザー等の特殊な装置が必要であり、一度に処理できる量が少なく、製造コストが高くなる。また油滴の均一化には、剪断力の精密な制御が必要であり、生産工程の管理が煩雑となった。高圧乳化法によるエマルジョンの微細化は、昨今の環境意識の高まりによる、省エネルギー化の観点からは、必ずしも現代に合致した技術とは言えない。
一方、(2)の界面活性剤の特性を利用して油滴を微細化する乳化手法を採用すると、特別な乳化装置を必要とせず、低エネルギーで乳化できるので、省エネルギー化の観点から、現代に合致した技術と言える。(2)の界面活性剤の特性を利用して油滴を微細化する乳化手法には、転相乳化法、液晶乳化法、D相乳化法、転相温度乳化法などが挙げられる。
本願発明者は、(2)の界面活性剤の特性によって乳化粒子サイズを調整する技術は、界面活性剤の合計含有量に対する油剤の合計含有量を計算した数値(以後、油剤/界面活性剤比と記載する場合がある)に着目すると、得られる組成物の特性(乳化粒子径、皮膚安全性、使用感、外観)を予測しやすくなると考え、処方開発に活かしている。
一般的な組成では、油剤/界面活性剤比が小さいと乳化粒子径は小さくなり、油剤/界面活性剤比が大きいと乳化粒子径は大きくなる。油剤/界面活性剤比が小さいと相対的に界面活性剤が多いことになり、皮膚安全性は低下する。油剤/界面活性剤比が大きいと相対的に界面活性剤が少ないことになり、皮膚安全性は高まる。乳化粒子径が小さい方が、使用感や外観の透明性は、優れたものとなる。
本願発明者は、数多くの処方開発の経験により、油剤/界面活性剤比の数値に意味があることに気づき、油剤量÷界面活性剤量として計算した値が「2.5」を境界として考えると、その乳化技術が一般的なものなのか、優れた技術であるのか識別できるとして、先行技術を3つに分類した。
(a)油剤/界面活性剤比を2.5未満とし乳化粒子径を細かくする技術
(b)油剤/界面活性剤比を2.5以上とし乳化粒子径を大きくする技術
(c)油剤/界面活性剤比を2.5以上とし、第三成分の添加により乳化粒子径を細かくする技術
(a)に分類される、「油剤/界面活性剤比が2.5未満」の技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。乳化粒子経は100nm以下に微細化している。これらの従来技術では、油剤量に対する界面活性剤量が相対的に多いため、界面活性剤に由来するべたつきが使用性の低下につながる恐れがある。また多量の界面活性剤は皮膚安全性の低下になる恐れがある。
(b)に分類される、「油剤/界面活性剤比が2.5以上」の技術としては、例えば特許文献2が挙げられる。
これらの従来技術では、油剤量に対する界面活性剤量が相対的に少ないため、皮膚安全性は高い。乳化粒子経は100nmを超える。乳化粒子径が大きいと、外観の透明性は低下し製品の目的によっては審美性に欠けると判断される。また乳化粒子径が大きいと、油剤に由来する「ぬるつき感」が感じられやすくなる。
(c)に分類される、「油剤/界面活性剤比を2.5以上」とし、第三成分の添加により乳化粒子径を細かくする技術としては、各社から多くの提案がなされている。乳化粒子経は100nm以下に微細化している。
第三成分として、代表的なものを以下に取り上げる。
第三成分の添加例1としては、アニオン界面活性剤を含有することが挙げられる。例えば、特許文献3、特許文献4、特許文献5に記載されている。アニオン界面活性剤は界面活性剤の曲率が大きいため、乳化粒子の微細化に有効であるが、特にリーブオンで使用するスキンケア製品に配合した場合には、皮膚刺激につながる恐れがある。
第三成分の添加例2としては、ハイドロトロープとして多価アルコールを高含有することが挙げられる。例えば、特許文献6、特許文献7に記載されている。多価アルコールを高配合することにより、べたつき感が発生し、使用性が低下する恐れがある。
第三成分の添加例3として、乳化時の水相に多量のエタノールを含有させる技術が挙げられる。
例えば、特許文献8の実施例には、油/界面活性剤比が10以上で、乳化粒子経が100nm以下となる組成物が記載されている。乳化粒子径は微細であるが、エタノールが必須となる技術のため、アルコールに敏感な肌には刺激となるし、肌の乾燥につながる恐れがある。
第三成分の添加例4としては、乳化助剤を含有することが挙げられる。油剤/界面活性剤比を大きくして皮膚安全性を担保しつつ、乳化助剤を組み合わせることで、乳化粒子経を小さくする技術である。しかしながら、乳化助剤の種類によっては、使用感や安全性が損なわれる恐れがある。
以上見てきたとおり、従来技術では、皮膚への安全性、使用性、安定性のすべてが優れた、乳化粒子が微細な乳化化粧料は実現していない。前記すべてを満たす水中油型乳化化粧料が求められている。
特開2020-105077号公報 特許第5053557号公報 特許第4185081号公報 特許第4116020号公報 特許第5134197号公報 特開2010-6739号公報 特開2008-100937号公報
高圧ホモジェナイザーなどの特殊な乳化装置を使わずに、皮膚安全性、使用性、経時安定性に優れた、半透明の水中油型乳化化粧料を提供することを課題とする。
本願発明の構成は、次のとおりである。
(1)(A)~(D)を含有し、(D)水を化粧料あたり50~98質量%含む水中油型乳化化粧料。
(A)炭素数14~22の脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルである界面活性剤
(B)炭素数6~10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステルである界面活性剤
(C)油剤
(D)水
(2)(C)油剤に対する(A)と(B)を含む界面活性剤の質量比が2.5以上である、(1)に記載の水中油型乳化化粧料。
(3)乳化粒子の体積基準平均粒子径が100nm以下である(1)又は(2)に記載の水中油型乳化化粧料。
(4)透過率(波長600nm、光路長1cm)が0.1%以上である(1)~(3)のいずれかに記載の水中油型乳化化粧料。
本発明の構成をとることで、皮膚安全性、使用性、経時安定性のすべてが優れた、水中油型乳化化粧料が得られた。特に(C)油剤に対する(A)と(B)を含む界面活性剤の質量比が2.5以上となる組成、すなわち界面活性剤量が油剤に対して相対的に少ない組成においても、乳化粒子の体積基準平均粒子径が100nm以下の微細なエマルションを得ることができた。該水中油型乳化化粧料は、すべての温度帯(-5℃、0℃、25℃、40℃、50℃)で外観に変化がなく安定であり、特に50℃という過酷な条件下に一ヵ月保管後も、クリーミングせず安定であった。そして皮膚安全性、使用性、安定性に優れていた。半透明(青白半透明)の美しい外観は、高級感のある化粧水として最適であった。本発明の構成をとることで、製造時の煩雑な工程管理が不要となり、低ネルギーで水中油型乳化化粧料を製造することができた。
本発明は、(A)炭素数14~22の脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルである界面活性剤と、(B)炭素数6~10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステルである界面活性剤と、(C)油剤と、(D)水50~98質量%含む、水中油型乳化化粧料に係る発明である。
本発明の成分について以下に説明する。
(A)成分:炭素数14~22の脂肪酸とポリグリセリンとのジエステル
本発明の水中油型乳化化粧料には、A成分として炭素数14~22の脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルを用いる。A成分である炭素数14~22の脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルとしては、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ジオレイン酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。A成分の脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルの含有量は、化粧料全量当たり0.05~4.9質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.1~2質量%がより一層好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンは、平均重合度が5~15が好ましい。
(B)成分:炭素数6~10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステル
本発明の水中油型乳化化粧料には、B成分として炭素数6~10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステルを用いる。(B)成分である炭素数6~10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステルとしては、カプリル酸トリグリセリル、ジカプリル酸ペンタグリセリル、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル、ヘキサカプリン酸エイコサグリセリル、カプリン酸トリグリセリル、ジカプリル酸ヘキサグリセリルおよびジカプリン酸ヘキサグリセリルが挙げられる。前記成分は、1分子あたりの、ポリグリセリン重合度と脂肪酸の結合残基数の比(ポリグリセリン重合度/脂肪酸の結合残基数)が2.5~3.5である、炭素数6~10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンとのエステルである。カプリル酸トリグリセリル(ポリグリセリン重合度と脂肪酸の結合残基数の比が3.0)、ジカプリル酸ペンタグリセリル(同2.5)、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル(同3.3)、ヘキサカプリン酸エイコサグリセリル(同3.3)、カプリン酸トリグリセリル(同3.0)、ジカプリル酸ヘキサグリセリル(同3.0)、ジカプリン酸ヘキサグリセリル(同3.0)である。このうち、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル(表示名称;ヘキサカプリル酸ポリグリセリル-20)又はジカプリン酸ヘキサグリセリル(表示名称;ジカプリン酸ポリグリセリル-6)がより好ましい。(B)成分の配合量は、油中水型乳化料全量当たり0.05~4.9質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましく、0.1~2質量%がより一層好ましい。
本願発明の水中油型乳化化粧料において、(A)成分の界面活性剤と(B)成分の界面活性剤の合計含有量は、化粧料全量当たり0.1~9.8質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましく、0.2~4質量%がより一層好ましく、0.2~3.5質量%がさらにより一層好ましい。この範囲であると界面活性剤に起因するべたつきが生じる恐れが低くなるので好ましい。なお、本発明の水中油型乳化化粧料に、(A)と(B)以外の任意の界面活性剤を含有させる場合は、(A)と(B)の合計含有量に含める。
(C)成分:油剤
本願発明の(C)油剤としては、以下を例示できる。
天然動植物油脂類及び半合成油脂、炭化水素油、エステル油、グリセライド油、シリコーン油、脂溶性ビタミン、高級脂肪酸、動植物や合成の精油成分等が挙げられる。天然動植物油脂類及び半合成油脂としては、アボカド油、アマニ油、アーモンド油、オリーブ油(オリーブ果実油)、小麦胚芽油、ゴマ油、米胚芽油、米糠油、サフラワー油、大豆油、月見草油、トウモロコシ油、菜種油、馬脂、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ヤシ油、硬化ヤシ油、落花生油、メドゥフォーム油、ラノリン等が挙げられる。炭化水素油としては、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、ワセリン等が挙げられる。エステル油としては、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸セチル、乳酸テトラデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、リンゴ酸ジイソステアリル、パラメトキシケイ皮酸エステル、テトラロジン酸ペンタエリスリット、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、ジカプリリルエーテル、ジイソノナン酸BG、コハク酸ジエチルヘキシル等が挙げられる。グリセライド油としては、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリテトラデカン酸グリセリル、ジパラメトキシケイ皮酸モノイソオクチル酸グリセリル等が挙げられる。シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロヘキサシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ステアロキシシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン等が挙げられる。脂溶性ビタミンとしてはトコフェロール等、精油としてはオレンジ果皮油、ローズマリー葉油等が挙げられる。
これらの例示した中でも、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、ジカプリリルエーテル、ジイソノナン酸BG、コハク酸ジエチルヘキシル、ミネラルオイル、アボカド油、メドゥフォーム油、オリーブ果実油、トコフェロール、オレンジ果皮油、ローズマリー葉油が好ましい。なかでもエチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、(カプリル酸/カプリン酸)カプリリル、ジカプリリルエーテル、ジイソノナン酸BG、コハク酸ジエチルヘキシル、ミネラルオイルを油剤に含ませることが特に好ましい。(C)成分の油剤は、単独で配合してもよいが、2以上を組み合わせて含有させることができる。本願発明の水中油型乳化化粧料は、(C)成分である油剤を化粧料全量当たり、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.5~12質量%、さらに好ましくは1~10質量%含有する。
(D)成分:水
本願発明の水中油型乳化化粧料には、(D)成分として水を50~98質量%含有する。本発明において、(D)成分のである水の配合量は、50~98質量%が好ましく、より好ましくは60~98質量%、さらに好ましくは70~98質量%、より一層好ましくは73~98質量%である。
本発明の水中油型乳化化粧料には、任意に下記成分を含有してよい。以下に例示した成分(Eポリオール、F抗菌性ポリオール)は、本発明の構成をとる水中油型乳化化粧料に含有させると、好ましい効果を発揮することが発明者により確認された成分である。
(任意成分)
(E)成分:ポリオール
本願発明の水中油型乳化化粧料には、任意で(E):ポリオールを含有すると好ましい。例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン-3、ポリグリセリン-4、ポリグリセリン-5、ポリグリセリン-6およびポリグリセリン-10、メチルグルセス-10から選ばれる1以上のポリオールを含有すると、水中油型乳化化粧料に含有される油剤の溶剤として作用し、水中油型乳化化粧料の半透明性と、高温での経時安定性に貢献する場合があるので好ましい。
本願発明の水中油型乳化化粧料に、任意成分として(E)成分のポリオールを配合する場合、化粧料全量当たり0.01~15質量%、好ましくは0.1~13質量%含有するとよい。この範囲であると、ポリオールに起因するべたつきを感じることなく、より一層、半透明で温度安定性に優れた水中油型乳化化粧料が得られる場合があるので好ましい。
また本発明の水中油型乳化化粧料には、前述したポリオールとは別に、任意で抗菌作用の高いポリオールを含有することができる。下記(F)成分を含有する場合、その含有量は(E)成分のポリオールには含めない。
(F)成分:抗菌性ポリオール
本願発明の油中水型乳化化粧料は、(F)成分として抗菌性ポリオールを含有すると好ましい。水を含む化粧料組成物を腐敗させないために、抗菌成分を含有して抗菌性を高めることは、品質設計上、重要である。パラベンなどの固形物の配合により抗菌作用を付与する場合は(F)成分は必ずしも必須ではない。しかしながらパラベンを水に溶解させるためには加熱が必須であるし、保存状況によっては析出の恐れがある。また水中油型乳化化粧料はその使用において、肌を擦る動作があるので、肌を傷つける恐れのある固形物の析出は品質を著しく低下させる。さらにまたパラベン等の防腐剤は、目や皮膚への安全性が懸念される成分である。したがって、本発明の水中油型乳化化粧料には、抗菌性の付与を目的としてさらに(F)抗菌性ポリオールを1以上含有するとより一層好ましい。
(F)成分の抗菌性ポリオールとしては、BG(1,3-ブチレングリコール)、DPG(ジプロピレングリコール)、ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)から選ばれる1以上を含有することが好ましい。本発明において、(F)成分の抗菌性ポリオールは、化粧料全量に対し合計量で0.1~9質量%配合すると好ましい。例えば、BGまたはDPGを単独で用いるのであれば5~9質量%が適量であり、ペンチレングリコールを単独で用いるのであれば0.1~5質量%が適量である。本発明において、(F)成分の抗菌性ポリオールを化粧料全量に対し合計量で0.1~9質量%配合すると、化粧料に抗菌性が付与されるので好ましい。本発明の水中油型乳化化粧料に(E)成分のポリオールを含有させる場合、(E)成分のポリオールと(F)成分の抗菌性ポリオールを質量比で10:9~100:1となるように含有すると、半透明な外観が得られやすいので好ましい。
(その他任意成分の配合について)
また、本発明の水中油型乳化化粧料には、化粧料に常用される各種成分を本願発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。例えば、pH調整剤、中和剤、酸化防止剤、香料、着色剤(例えばシアノコバラミン、(クロロフィリン/銅)複合体)、美容成分(例えばローズマリーエキス)等を配合することができる。
本願発明の水中油型乳化化粧料は、使用性や使用感を考慮して様々な剤型に設計される。具体的には液状又はジェル状である。本発明の特性を最も発揮するのは化粧水である。
以下に試験例(実施例、比較例)を示して本発明をさらに説明する。表1に示す組成により実施例1~6、比較例1~6の水中油型乳化化粧料を、下記調製方法により調製した。組成の単位は質量%である。
<調製方法>
A成分の界面活性剤、B成分の界面活性剤、C成分の油剤、D成分の水(一部)を70~85℃で加熱溶解し、透明な一相の組成物(1)を得る。次に滅菌のため80~85℃に加熱した残りの水(D成分)を、組成物(1)に徐々に加えて、水中油型乳化化粧料を得る。ポリオールなどの水溶性の任意成分の添加時期は問わない。すなわち組成物(1)の調製時、水中油型乳化化粧料の調製後、あるいはポリオールの一部を組成物(1)調整時に添加し、残りのポリオールは水中油乳化化粧料を調製した後に添加するなど分けて添加してもよい。今回の試験では、ポリオールは分けて添加した。
〔試験と評価〕
試験例(実施例および比較例)について、乳化粒子経、透過率を測定し、外観観察(翌日、1か月後)、官能評価を行い、安定性と使用感(使用性)を評価した。
<乳化粒子経>
調製した水中油型乳化化粧料1gに対して99gのイオン交換水を加えて希釈し、検体を作成した。ゼータ電位・粒径測定システム(装置名:ELSZ―1000ZS、大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により、検体の体積平均粒径を測定した。

本発明者は数多くの処方開発の経験から、油剤の乳化粒子径が100nm以下になると、油剤のぬるつきが感じられにくくなることを熟知している。そこで、本試験においても、乳化粒子径の目標値を100nmとし、乳化粒子径が100nm以下であれば目的を達成できたと判断した。

<透過率>
分光光度計(装置名:紫外可視分光光度計V-750DS、日本分光株式会社製)を用いて、調製した水中油型乳化化粧料の透過率を測定した。測定波長は600nm、光路長1cm、石英セルを用いてイオン交換水を標準として測定した。

本発明者は、研究の過程において、様々な化粧料の外観観察と透過率を測定してきた。そして青白半透明と認識された化粧料の透過率は0.1%以上であった。そこで、本発明においても、青白半透明な化粧料を得るために、組成物の透過率が0.1%以上になることを目標とし、透過率が0.1%以上であれば目的を達成できたと判断した。
<外観観察>
調製した水中油型乳化化粧料を、直径30mmのスクリューキャップ付透明ガラス瓶に充填し、室温(25℃)に1日保管後に、容器を横から見通して、外観を目視観察した。観察結果は見た目の状態をそのまま表現して、青白い半透明であれば「青白半透明」、白濁していれば「白濁」と表に記載した。本試験では透明なものはなかった。
<経時安定性・1か月後の外観観察>
調製した水中油型乳化化粧料を、直径30mmのスクリューキャップ付透明ガラス瓶に充填し、-5℃、0℃、25℃、40℃、50℃の各温度帯に1か月保管した後、容器を横から見通して、外観を目視観察した。-5℃、0℃、25℃、40℃に保管したものは、実施例、比較例ともに外観変化したものはなく、すべて安定であった。
50℃に保管した試験品のみ、外観に変化(クリーミング)が生じたものがあった。表には50℃で一ヵ月保管後の外観観察結果を、クリーミングの「ある、なし」で記載した。

クリーミングしている:あり
クリーミングしていない:なし

<官能評価>
得られた水中油型乳化化粧料を専門の官能評価員が前腕内側部にスポイトで1滴滴下し、肌に擦り込んだ後に、タッピングして「べたつき感」を評価した。
○:べたつきを感じない
×:べたつきを感じる
なお、官能評価により、べたつきを感じないが、油剤のぬるつきを感じたものが存在した。この場合は「○」とはせずに「べたつきは感じないがぬるつきを感じた」として、評価は「△」とした。
以下、油剤/界面活性剤比を「3」に固定した組成を中心に、油剤/界面活性剤比に着目しながら、本願発明を説明する。
本試験において、油剤/界面活性剤比を「3」に固定したのは、一般的に、油剤/界面活性剤比が2.5以上であると、界面活性剤量としては相対的に少ない量で構成された組成と判断でき、得られる化粧料は皮膚に対して低刺激であることが経験的に判明しているからである。
この皮膚安全性が担保された「油剤/界面活性剤比が2.5以上となる系」において、従来技術ではそのすべての達成が困難とされた、半透明(青白半透明)な外観と、優れた使用性(べたつき、ぬるつきがない)、保存安定性(すべての温度帯(-5℃、0℃、25℃、40℃、50℃)に1か月保管後で外観に変化がなく、特に50℃1か月保管後にクリ-ミングしない)のいずれをも達成できたことが本願発明の意義である。以下、試験結果を示して説明する。まず界面活性剤の種類を変えた組成と試験結果を表1に示す。
(結果)
実施例1~6は、油剤/界面活性剤比が3であり、2.5を超えた組成である。本発明の構成(A+B+C+D)をとることで、乳化粒子径(体積基準平均径)が100nm以下の水中油型乳化化粧料が得られ、波長600nmにおける透過率は最低値が0.86%であり、目標とした0.1%以上であった。外観は青白半透明を呈し、べたつきやぬるつきがなく使用性に優れていた。また50℃で一ヵ月保管した後の、外観観察おいてもクリーミングはなく、安定性に優れていた。なお実施例1、3、4の組成では任意のグリセリンを含む組成であり、実施例2、5は任意のグリセリンを含まない組成であるが、同様な結果であった。
これに対して、B成分を含有せずA成分を増量した比較例1の水中油型乳化化粧料(A+C+D)は、乳化粒子径(体積基準平均径)が7506.3nmであり、目標とした100nm以下にはならなかった。そして波長600nmにおける透過率が0.01%であり、目標とする0.1%以上にならなかった。外観が白濁し、官能評価では、べたつきは感じないが油剤に起因するぬるつきを感じるとして、△評価であった。50℃保管においてクリーミングが認められた。
比較例2、3はA成分を含有せずB成分を増量した組成である。得られた水中油型乳化化粧料(B+C+D)は、乳化粒子径は7545nm(比較例2)、267nm(比較例3)であり、目標とした100nm以下にはならなかった。そして波長600nmにおける透過率は0.01%(比較例2)、0.01%(比較例3)であり、目標とした0.1%以上にはならなかった。比較例2、3共に外観が白濁し、官能評価では、油剤に起因するぬるつきを感じたため△評価であった。50℃保管において、いずれもクリーミングが認められた。
比較例4はA成分を含有せず、その他界面活性剤に置き換えた組成である(B+任意のその他界面活性剤+C+D)。得られた水中油型乳化化粧料は、691nm(比較例4)であり、目標とした100nm以下にはならなかった。そして波長600nmにおける透過率は0.0164%(比較例4)であり、目標とした0.1%以上にはならなかった。比較例4は外観が白濁し、官能評価では、油剤に起因するぬるつきを感じたため△評価であった。50℃保管において、いずれもクリーミングが認められた。
以上のことから、A成分、B成分のいずれかが欠ける組成では、目標とした乳化粒子径100nm以下とはならず大きな乳化粒子径であり、ぬるつきを感じて使用感に問題が生じること、透過率は0.1%以上にならずに外観は白濁してしまうことがわかった。A成分として、ジイソステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリルが有効であった。B成分としては、ヘキサカプリル酸エイコサグリセリル、ジカプリン酸ヘキサグリセリルが有効であった。
次に示す表2の水中油型乳化化粧料は、油剤/界面活性剤比を3に固定し、各種油剤を変えた組成である。
(結果)
実施例1(表1と同じ組成)、実施例7~11の水中油型乳化化粧料は、油剤として、2-エチルヘキサン酸セチル、トリ2-エチルヘキサノイン、ミネラルオイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコールのいずれか1以上を含有する組成である。油剤/界面活性剤比が3であり、2.5を超えている。本発明の構成をとることで体積基準平均径が100nm以下である微細な水中油型乳化化粧料が得られた。得られた水中油型乳化化粧料は青白半透明の外観を呈しており、べたつきやぬるつきがなく使用性に優れていた。いずれも波長600nmにおける透過率は0.1%以上を示した。50℃で一ヵ月保管後の外観観察でクリーミングは認められなかった。
実施例12~15は、油剤として2-エチルヘキサン酸セチルをベースとし、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル)、ホホバ種子油、オリーブ果実油を組み合わせて含有した組成である。本発明の構成をとることで、乳化粒子径(体積基準平均径)が100nm以下である微細な水中油型乳化化粧料が得られた。青白半透明の外観を呈し、べたつきやぬるつきがなく使用性に優れていた。50℃で一ヵ月保管した後においてもクリーミングは認められなかった。
以上のとおり、油剤の種類を変えても、また複数の油剤を組み合わせても、本発明の構成をとることで優れた効果が得られることがわかった。
次に示す表3の組成は、油剤/界面活性剤比を2.5~4.0にした組成である。
実施例1(表1と同じ組成)、実施例16~18の水中油型乳化化粧料は、油剤/界面活性剤比が3.0、2.5、3.5、4.0であり、油剤/界面活性剤比が2.5~4.0の範囲にある。実施例1、実施例16~18の組成では、乳化粒子の体積基準平均径が100nm以下である微細な水中油型乳化化粧料が得られた。そして該水中油型乳化化粧料は青白半透明の外観を呈しており、べたつかず使用性に優れていた。いずれも波長600nmにおける透過率は0.1%以上を示した。50℃で一ヵ月保管した後の外観観察でクリーミングが認められなかった。
次に、油剤の含有量を増量して試験した。試験品の油剤の含有量は、一般的な化粧水や乳液に含有される油剤の量である「1~10質量%」とした。前記試験と同様にして試験した。結果を表4に示す。
実施例19~22の水中油型乳化化粧料は、油剤/界面活性剤比が3.0、3.0、3.5、3.0であり、油剤/界面活性剤比が2.5~4の範囲にある。実施例19~22の組成では、乳化粒子径(体積基準平均径)が100nm以下の微細な水中油型乳化化粧料が得られた。該水中油型乳化化粧料は青白半透明の外観を呈しており、べたつきやぬるつきがなく使用性に優れていた。いずれも波長600nmにおける透過率は目標とした0.1%以上を示した。50℃で一ヵ月保管した後もクリーミングせず経時安定性に優れていた。
以上の結果より、使用感の観点から乳液・化粧水に含有すると好ましいとされる油剤量「1~10質量%」の範囲において、本発明の優れた効果が確認できた。
次に、その他の任意成分を含有させた組成で同様に試験した。結果を表5に示す。
実施例23~25は任意成分であるポリオール(Eポリオール、F抗菌性ポリオール)と防腐剤(フェノキシエタノール)を含有し、保湿性と防腐性を高めた水中油型乳化型化粧料(ミルキーローション・化粧水)である。さらに実施例24は、任意成分である粘度調整剤を含有し、粘性(とろみ)を付与している。さらにまた実施例25は任意成分である香料を添加し、香りを付与している。実施例23~25の水中油型乳化化粧料は、油剤/界面活性剤比が3.0であり、油剤/界面活性剤比が2.5~4.0の範囲にある。実施例23~25の組成では、乳化粒子径(体積基準平均径)が100nm以下の微細な水中油型乳化化粧料が得られた。そして該水中油型乳化化粧料は青白半透明の外観を呈していた。べたつかず、ぬるついたりせず、使用性に優れていた。そしていずれも波長600nmにおける透過率は目標とした0.1%以上を示し、50℃で一ヵ月保管した後においてもクリーミングせず保管安定性に優れていた。
実施例1~25の水中油型乳化化粧料(化粧水)を、実使用に供したところ、いずれも皮膚刺激はなかった。表1~5(実施例1~25)に示した通り、本願発明の構成をとる水中油型乳化化粧料は、乳化粒子の体積規準平均粒子径が49.6~93.7nmであり、油剤に起因するぬるつきがなく、使用感が良好と評価される目標値100nm以下を達成した。実施例1~25の水中油型乳化化粧料の透過率(測定波長600nm)は0.29~29.12%であり、目視で半透明であると評価される0.1%以上を達成し、目視観察では青白半透明であると評価された。実施例1~25の水中油型乳化化粧料は、(C)油剤に対する(A)と(B)を含む界面活性剤の質量比(油剤/界面活性剤比)が2.5~4.0の範囲にあり、油剤/界面活性剤比が2.5以上となる組成であるが、べたついたりぬるついたりせず、優れた使用感であった。そして、すべての温度帯(-5℃、0℃、25℃、40℃、50℃)で1か月保管後も外観に変化がなく安定であり、保存安定性に優れていた。
本発明の構成をとることで、皮膚安全性、使用性、経時安定性のすべてが優れた、水中油型乳化化粧料が得られた。特に(C)油剤に対する(A)と(B)を含む界面活性剤の質量比が2.5以上となる組成、すなわち界面活性剤量が油剤に対して相対的に少ない組成においても、乳化粒子の体積基準平均粒子径が100nm以下の微細なエマルションを得ることができた。該水中油型乳化化粧料は、すべての温度帯(-5℃、0℃、25℃、40℃、50℃)で外観に変化がなく安定であった。特に50℃という過酷な条件下に一ヵ月保管後も、クリーミングせず安定であった。そして皮膚安全性、使用性、安定性に優れていた。半透明(青白半透明)の美しい外観は、高級感のある化粧水として最適であった。本発明の構成をとることで、製造時の煩雑な工程管理が不要となり、低エネルギーで水中油型乳化化粧料を製造することができた。

Claims (2)

  1. (A)~(D)を含有し、(C)油剤に対する(A)と(B)を含む界面活性剤の質量比〔油剤量÷界面活性剤量〕が2.5~4であって、(D)水を化粧料あたり50~98質量%含む、水中油型乳化化粧料。
    (A)炭素数14~22の脂肪酸とポリグリセリンとのジエステルである界面活性剤
    (B)炭素数6~10の直鎖脂肪酸とポリグリセリンのエステルである界面活性剤
    (C)油剤を化粧料全量あたり0.1~15質量%
    (D)水
  2. 乳化粒子の体積基準平均粒子径が100nm以下である請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
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