以下、図面を参照しつつ、本発明の移動体修理支援システムを、特に車両の修理支援するためのシステム、すなわち、車両修理支援システムに適用した実施形態について説明する。
<<第1実施形態>>
車両修理支援システム1が支援する作業者が修理を行う車両(以下、修理対象車両3)は、4輪の自動車であって、センサ5を備えている。センサ5は、修理対象車両3周辺の修理対象車両3に対する対象物の位置、大きさ、方向や、距離などの外界情報を取得する。センサ5は、例えば、電波を所定の照射領域6(検出領域ともいう)に向けて発射し、照射領域6内に位置する物体から反射されてセンサ5に入射する電波を測定することによって、照射領域6内の物体の位置や大きさを検出するレーダであってよい。
図1に示すように、センサ5の車外側に外装部材7が設けられていることがある。本実施形態では、センサ5の車外側には、外装部材7としてのバンパが設けられている。このとき、センサ5は、外装部材7に設定された透過領域8を介して外界情報を取得する。透過領域8は、センサ5が電波を発射する照射領域6(又は、センサ5に電波が入射する領域)と、外装部材7との重複部分に対応する。
センサ5の車外側に外装部材7が設けられて、センサ5が外装部材7から覆われている場合には、作業者はセンサ5の位置や透過領域8を容易に把握することができない。
センサ5が外装部材7によって覆われた修理対象車両3の修理を行う場合には、透過領域8を指定された方法以外の修理してしまうと、センサ5の機能が損なわれる虞があるため、作業者は透過領域8を正確に把握する必要がある。車両修理支援システム1は、作業者にとって透過領域8を理解し易くすることにより、透過領域8を介して外界情報を取得するセンサ5を備えた修理対象車両3の修理を行う作業者を支援するためのシステムである。
図1及び図2に示すように、車両修理支援システム1は、端末11と、サーバ13とを備えている。
図2に示すように、端末11は、プロセッサ(CPU、中央演算処理装置。以下、端末プロセッサ21)と、ROM、RAM等のメインメモリ23と、記憶装置25(フラッシュメモリ等)と、撮像装置27と、タッチパネル29とを備えている。端末11は、例えばインターネット等のネットワーク31を介して、サーバ13に相互に通信可能に構成されている。端末11は、いわゆるスマートフォンや、タブレット端末であってよい。
撮像装置27は、単一又は複数のカメラ27Aを含む。図3(A)及び(B)に示すように、撮像装置27は、修理対象車両3の外面を撮像することによって、修理対象車両3の像3Aを含む画像(撮像画像28)を取得することができる。本実施形態では、撮像装置27は複数のカメラ27A(複眼カメラ)によって構成されている。
タッチパネル29は、画像や文字等を表示する表示装置と、入力を受け付ける入力装置とを含む出入力装置として機能する。タッチパネル29は、撮像装置27によって取得された撮像画像28の上に所定の図柄や文字を重畳して表示することができる。タッチパネル29は、例えば、撮像画像28に修理対象車両3が映り込んでいるときには、映り込んだ修理対象車両3の像3Aに修理対象車両3の外面の特定の領域を示す像を重畳して、その領域の位置や大きさを作業者に提示することができる。
端末11のプロセッサ(以下、端末プロセッサ21)は、タッチパネル29に入力欄等を表示し、ユーザから入力を受け付けることができる。
端末プロセッサ21は、タッチパネル29に入力欄を表示し、作業者から修理対象車両3に係る情報の受付を行う。端末プロセッサ21が作業者から受け付ける情報(以下、修理車両情報)には、修理対象車両3の車名(車両の固有名称)、型式等が含まれる。修理車両情報には、その他、製造社名、車両番号、登録年月日等が含まれていてもよい。端末プロセッサ21は、受け付けた修理車両情報をサーバ13に送信する。
端末プロセッサ21は、撮像装置27によって取得された撮像画像28をサーバ13に送信する。本実施形態では、端末プロセッサ21は撮像装置27によって取得された撮像画像28をリアルタイムでサーバ13に送信可能に構成されている。その他、端末プロセッサ21は、サーバ13から送信された画像及び文字データをタッチパネル29に表示することができる。端末プロセッサ21は、サーバ13から送信された3次元データを用いて、撮像画像28に重畳して、表示する機能を有していてもよい。
図2に示すように、サーバ13は、プロセッサ(CPU、MPU等。演算処理装置ともいう。以下、サーバプロセッサ33)と、ROM、RAM等のメインメモリ35と、記憶装置(HDDやSSD。ストレージともいう。以下、サーバ記憶装置37)と、を備えたコンピュータである。
サーバ記憶装置37は、撮像画像28の中から、透過領域8に対応する部分を特定するための特定情報38を記憶する。特定情報38には、車両情報テーブル38Aと、車両外観データ群38Bと、透過領域データ群38Cとが含まれる。図4に示ように、車両情報テーブル38Aには、車名、型式、車両外観データ名、及び、重複領域データ名が関連付けて記録されている。
車両外観データ群38Bには車両外観データが含まれる。車両外観データとは、撮像装置27によって取得された画像から、撮像装置27の位置及び姿勢を推定し、端末11の位置及び姿勢を判定するためのデータである。車両外観データは、例えば、車両の中心や重心を原点とする車両の外面を示すデータであってよく、また、複数の特徴点の位置を示すデータであってもよい。
透過領域データ群38Cには透過領域データが含まれる。透過領域データとは、車両情報テーブル38Aの透過領域データ名に対応する車名及び型式の車両において、バンパ(外装部材7)のうち、車両に搭載されたセンサ5から発射される電波が透過する照射範囲を示すデータである。換言すれば、透過領域データは、センサ5の検出領域及びバンパの重複部分、すなわち、透過領域8の位置、大きさ、範囲を示すデータである。サーバ記憶装置37は、透過領域データを3次元の点列を含み、3次元空間の物体の形状を示すデータ(モデルデータ)として記憶している。但し、サーバ記憶装置37は、透過領域データを、センサ5の検出領域及びバンパの重複部分のうち、その外面を構成する点群を示すデータとして記憶していてもよい。
サーバプロセッサ33は、端末11から修理車両情報を取得すると、修理車両情報に含まれる車名及び型式を抽出する。その後、サーバプロセッサ33は、サーバ記憶装置37に記憶された車両情報テーブル38Aを参照して、対応する透過領域データ名を抽出する。その後、サーバプロセッサ33は、透過領域データ群38Cの中から、透過領域データ名に対応する透過領域データ、すなわち、修理対象車両3の外装部材7に設定された透過領域8を示す透過領域データを特定する。
サーバプロセッサ33は更に、端末11から修理車両情報を取得すると、車両情報テーブル38Aを参照して、修理対象車両3に対応する車両外観データを取得する。
その後、サーバプロセッサ33は、端末11から撮像画像28を取得すると、撮像画像28を処理して異常箇所、異常要因等を特定する異常特定処理と、撮像画像28を処理して撮像画像28に外装部材7に設定された透過領域8を示す像を重畳表示するための領域データ生成処理とを並行して実行する。以下では、まず、図5を参照して、異常特定処理の詳細について説明する。
サーバプロセッサ33は、異常特定処理の最初のステップST1において、撮像装置27によって取得された撮像画像28の中から、車体の傷や汚れ等の異常箇所の有無を判定する。サーバプロセッサ33は、構築済の学習モデルを用いた公知の機械学習の手法に基づいて、撮像装置27によって撮像された画像の中から異常箇所を抽出することにより、異常箇所の有無を判定してもよい。サーバプロセッサ33は、撮像装置27によって撮像された画像に対し、強調処理やフィルタ処理等を行い、例えば、濃淡や形状等に基づいて、異常箇所を抽出することにより、異常箇所の有無を判定してもよい。
サーバプロセッサ33は、撮像装置27によって取得された撮像画像28から、異常箇所を特定できない場合には、端末11に更なる画像を要求する要求信号を送信してもよい。端末11が要求信号を取得すると、端末プロセッサ21はタッチパネル29に、作業者に撮像装置27によって更に撮像することを促す通知を表示する。このとき、端末11のタッチパネル29には、例えば、「画像が不鮮明であるので、再度撮影してください」と表示されるとよい。作業者が再度、撮像装置27によって撮像すると、端末プロセッサ21はサーバプロセッサ33に撮像装置27によって取得された撮像画像28を送信する。その後、サーバプロセッサ33は、新たに送信された撮像画像28に基づいて、異常箇所の有無を判定する。
サーバプロセッサ33は、異常箇所がある場合にはステップST2を、異常箇所がない場合には異常特定処理を終える。
サーバプロセッサ33はステップST2において、異常箇所の位置を特定し、端末11のタッチパネル29に異常箇所の位置及び大きさを示すアイコン39を表示するためのデータ(以下、異常箇所位置データ)を生成する。アイコン39は例えば、異常箇所を囲む枠体であってよく、異常箇所位置データは、撮像装置27によって撮像された画像において、アイコン39に対応する枠体の形状や位置を示す数値データであってよい。異常箇所位置データの取得が完了すると、サーバプロセッサ33はステップST3を実行する。
サーバプロセッサ33はステップST3において、撮像装置27によって取得された撮像画像28を解析し、異常箇所にそれぞれ対応する異常要因を特定する。異常要因には、傷、汚れ、等が含まれる。サーバプロセッサ33は、構築済の学習モデルを用いた公知の機械学習の手法に基づいて、異常箇所それぞれの異常要因を特定するとよい。その他、サーバプロセッサ33は、撮像装置27によって取得された画像に対して、強調処理や、フィルタ処理を行い、濃淡や形状等に基づいて、異常箇所に対応する要因を特定してもよい。サーバプロセッサ33は、異常箇所それぞれに対して異常要因を特定し、異常箇所それぞれの異常要因を示す異常要因データを取得する。
本実施形態では、サーバプロセッサ33は、異常箇所が傷や汚れの場合には、その度合い(例えば、傷の深さや、汚れの取れやすさ)を示すレベル(以下、異常レベル)を算出する。
異常箇所それぞれに対して、異常要因及びレベルの取得が完了すると、サーバプロセッサ33はステップST4を実行する。
サーバプロセッサ33はステップST4において、異常要因が傷である異常箇所を抽出し、異常要因が傷である異常箇所が抽出された場合には、その異常箇所の修理の可否を判定する。サーバプロセッサ33は例えば、異常要因が傷である異常箇所が抽出されたときには、その異常箇所の異常レベルに基づいて、修理の可否を判定するよい。サーバプロセッサ33は、異常要因が傷である異常箇所それぞれに対して、修理の可否を示すデータ(以下、修理可否データ)を取得する。修理可否データの取得が完了すると、サーバプロセッサ33は、ステップST5を実行する。
サーバプロセッサ33は、ステップST5において、異常箇所位置データ、異常要因データ、及び、修理可否データを端末11に送信する。送信が完了すると、サーバプロセッサ33は異常特定処理を終える。
次に、図6を参照して、領域データ生成処理の詳細について説明する。
サーバプロセッサ33はステップST11において、修理対象車両3に対する端末11の位置及び姿勢を特定する。本実施形態では、サーバプロセッサ33は、車両外観データと、撮像装置27によって取得された撮像画像28とに基づいて、端末11の位置及び姿勢を特定する。
具体的には、サーバプロセッサ33は、例えば、撮像装置27によって取得された画像から、修理対象車両3の外装部材7の像を割り出し、その表面形状を取得する。その後、サーバプロセッサ33は、取得された表面形状と、車両外観データとを、比較することによって、端末11の位置及び姿勢を特定する。
その他、サーバプロセッサ33は、修理対象車両3の像を割り出し、画像中の特徴点を抽出する。その後、取得した特徴点の位置と、車両外観データに含まれる特徴点の位置とを比較することによって、サーバプロセッサ33は、端末11の位置及び姿勢を特定してもよい。サーバプロセッサ33は、適宜、外装部材7に加えて、修理対象車両3に搭載された複数の部材の位置に基づいて、端末11の位置及び姿勢を特定する。
本実施形態では、サーバプロセッサ33は、撮像装置27によって取得された画像から、端末11の位置及び姿勢を特定できない場合には、端末11に更なる画像を要求する要求信号を送信する。端末11が要求信号を取得すると、端末プロセッサ21はタッチパネル29に、撮像装置27によって更に撮像することを促す通知40を表示する。このとき、端末11のタッチパネル29には、例えば、図7(A)に示すように、「修理する車を別の角度から撮影してください」と表示されるとよい。作業者が再度、撮像装置27によって撮像すると、端末プロセッサ21はサーバプロセッサ33に撮像された画像を送信する。その後、サーバプロセッサ33は、新たに送信された画像に基づいて、端末11の位置及び姿勢を特定する。
端末11の位置及び姿勢の特定が完了すると、サーバプロセッサ33はステップST12を実行する。
ステップST12において、サーバプロセッサ33は、修理車両情報に基づいて特定した透過領域データを読み込む。その後、サーバプロセッサ33は、ステップST11において特定した端末11の位置及び姿勢に基づいて、透過領域8が撮像装置27によって撮像される範囲内に位置するか否かを判定する。透過領域8が撮像装置27によって撮像される範囲内に位置するときには、ステップST13を、範囲内に位置しないときにはステップST14を実行する。
サーバプロセッサ33は、ステップST13において、端末11の位置及び姿勢と、透過領域データとに基づいて、撮像装置27によって取得された撮像画像28中の透過領域8に対応する部分を示す像(以下、透過領域像8A)を生成する。透過領域像8Aは枠体状であってもよく、また、その枠体の内部が着色されたものであってもよい。サーバプロセッサ33は、透過領域像8Aを、透過領域像8Aに対応する枠体を構成するための点のデータとして生成してもよい。透過領域像8Aの生成が完了すると、サーバプロセッサ33はステップST15を実行する。
サーバプロセッサ33は、ステップST14において、撮像装置27の撮像領域内に透過領域8が含まれるようにするために要する端末11の移動方向を示すデータ(以下、移動方向データ)を取得する。サーバプロセッサ33は移動方向データを、端末11の位置及び姿勢と、透過領域データとに基づいて取得するとよい。移動方向データの取得が完了すると、サーバプロセッサ33は、その移動方向データを端末11に送信する。移動方向データの送信が完了すると、サーバプロセッサ33は、領域データ生成処理を終える。
サーバプロセッサ33は、ステップST15において、透過領域像8Aを端末11に送信する。送信が完了すると、サーバプロセッサ33は、領域データ生成処理を終える。
端末プロセッサ21は、異常箇所位置データ、異常要因データ、及び、修理可否データを受信すると、異常箇所位置データに基づいて、撮像装置27によって撮像された画像であって、特に、修理対象車両3の像3Aに、異常箇所を示すアイコン39を重畳してタッチパネル29に表示する。端末プロセッサ21は、異常要因データに基づいて、タッチパネル29に表示した異常箇所それぞれに対応する異常要因を取得し、異常要因を示す情報をテキスト41や図柄等によってタッチパネル29に表示する。また、端末プロセッサ21は、修理可否データに基づいて、タッチパネル29に表示した異常箇所のうち、異常要因が傷である異常箇所それぞれに対して、修理の可否を表示する。本実施形態では、端末プロセッサ21は、例えば、修理が可能である異常箇所に対しては、図3(A)に示すように、修理(修繕ともいう)を指示する旨の通知43を表示する。端末プロセッサ21は、修理が不能である異常箇所に対しては、図3(B)に示すように、交換が必要である旨の通知45をタッチパネル29に表示する。端末プロセッサ21は、タッチパネル29に表示された異常箇所を示すアイコン39への接触が検出されたときに、対応する通知43、45を表示するとよい。また、図3(A)に示すように、端末プロセッサ21は、修理を指示する旨の通知43を表示するときには、修理方法(修繕方法)を含めて表示するとよい。
端末プロセッサ21は、透過領域像8Aを取得したときには、透過領域像8Aに対応する枠体を、撮像装置27によって取得された撮像画像28に重畳して合成画像を生成し、その合成画像をタッチパネル29に表示する。端末プロセッサ21は、異常箇所位置データを取得しているときには、撮像装置27によって取得された撮像画像28に、透過領域像8Aに対応する枠体及び異常箇所を示すアイコン39を同時に重畳してタッチパネル29に表示するとよい。
図7(B)に示すように、端末プロセッサ21は、移動方向データを取得したときには、タッチパネル29に、その移動方向データに対応する移動方向を示す通知47を行う。移動方向を示す通知47は、例えば、移動方向データに対応する移動方向を示す矢印であってよい。本実施形態では、端末プロセッサ21は、「矢印の方向に移動してください」のテキストとともに、移動方向を示す矢印を撮像画像28に重畳して表示するとよい。
次に、このように構成した車両修理支援システム1の動作及び効果について説明する。
作業者が端末11を保持して、修理対象車両3を撮像して、サーバ13に送信すると、サーバプロセッサ33は、異常特定処理と、領域データ生成処理とを開始する。
サーバプロセッサ33は、異常特定処理において、撮像装置27によって取得された画像から車体の傷や汚れ等の異常箇所の有無を判定し、異常箇所がある場合には、異常箇所位置データ、異常要因データ、及び、修理可否データを端末11に送信する。
更に、サーバプロセッサ33は、領域データ生成処理において、端末11の位置及び姿勢を特定し、撮像装置27の撮像領域内に透過領域8が含まれる場合には、透過領域像8Aを端末11に送信する。
異常箇所位置データ、異常要因データ、修理可否データ、及び、透過領域像8Aを受信すると、図3(A)及び(B)に示すように、端末11(端末プロセッサ21)は、撮像装置27によって取得された画像に、異常箇所を示すアイコン39と、透過領域像8Aとを重畳して、タッチパネル29に表示する。すなわち、サーバプロセッサ33と端末プロセッサ21は協働して、特定情報38に基づいて、撮像画像28中の透過領域8に対応する部分を特定し、撮像画像28の修理対象車両3の像3Aの上に、透過領域8に対応する部分である透過領域像8Aを重畳して、タッチパネル29に表示させる。
これにより、タッチパネル29には、撮像画像28の修理対象車両3の像3Aの上に、現実世界では目視することができない透過領域8の像(透過領域像8A)が重畳されて表示される。そのため、センサ5が外装部材7に覆われて、直接外部に露出しない場合であっても、タッチパネル29の表示を目視することによって、作業者は外装部材7のセンサ5の検出範囲内にある部分を容易に把握することができる。
このように、車両修理支援システム1は、仮想現実技術(AR(Augmented Reality)技術)を用いて、撮像画像28に、現実世界に目視することができない領域をタッチパネル29に重畳して表示する。これにより、修理対象車両3に対して手作業でレーダの電波の照射範囲(透過領域8)を示すマーキングをすることなく、作業者は透過領域8を把握することができる。よって、修理作業に要する時間を大幅に短縮することができる。また、演算処理によって透過領域8が表示されるため、手作業によってマーキングする場合に比べて、正確な透過領域8を作業者に提示できる。また、スマートフォンによって構成されているため、別途、撮像装置27等を用いることなく、車両修理支援システム1を比較的安価に構成することができる。
また、サーバプロセッサ33により、撮像画像28から、センサ5の検出感度を低下させうる異常箇所の像が抽出され、タッチパネル29には、異常箇所を示すアイコン39が撮像画像28に重畳して表示される。そのため、作業者は、タッチパネル29の表示を確認することによって、異常箇所を容易に把握することができる。
更に、サーバプロセッサ33により、撮像画像28から、異常箇所に対応する異常要因が取得され、タッチパネル29に、異常要因を示す情報(テキスト41)が表示される。作業者は、そのタッチパネル29の表示によって、異常箇所の異常要因を容易に把握することができる。よって、修理を行う作業者の負担を低減することができる。また、異常要因に傷及び汚れが含まれるため、作業者は異常箇所において異常要因が傷であるのか汚れであるのかを理解することができる。これにより、作業者はセンサ5の検出感度の低下をもたらす傷や汚れ等の異常箇所をタッチパネル29の表示により理解することができ、その異常箇所に対して適切に対処することができる。
端末プロセッサ21は、異常要因を示すテキスト41とともに、異常要因が傷である異常箇所それぞれに対して、修理の可否をタッチパネル29に表示する。作業者は、タッチパネル29の表示によって修理の可否を理解することができるため、修理作業の効率が向上する。
端末プロセッサ21は、修理が可能である異常箇所に対しては、修理を指示する旨の通知43を表示し、修理が不能である異常箇所に対しては、交換が必要である旨の通知をタッチパネル29に表示する。そのため、作業者は容易に行うべき作業を把握することができるため、作業効率が一層向上する。
端末プロセッサ21は撮像装置27によって撮像された画像をリアルタイムでサーバ13に送信可能に構成されている。そのため、作業者が端末11を保持して撮像しながら移動すると、端末プロセッサ21は、その移動に合わせて撮像装置27によって撮像された画像をサーバ13に送信する。サーバ13が端末11から画像を取得すると、サーバプロセッサ33は、リアルタイムで、異常箇所位置データ、異常要因データ、修理可否データ、及び、透過領域像8Aを端末11に送信する。
これにより、端末11のタッチパネル29には、撮像装置27によって撮像された撮像画像28にリアルタイムで、透過領域像8Aと、異常箇所を示すアイコン39とが重畳して表示される。よって、作業者が撮像しながら移動した場合でも、タッチパネル29にリアルタイムで透過領域像8Aと、異常箇所を示すアイコン39とが更新されて表示されるため、作業者は、透過領域8の位置、範囲をより容易に理解することができる。また、作業者は様々な方向から、透過領域像8Aを確認することができるため、透過領域8をより正確に把握することができる。
図7(B)に示すように、端末プロセッサ21は、移動方向データを取得したときには、タッチパネル29に、その移動方向データに対応する移動方向を表示する。これにより、作業者はセンサ5の位置、方向を把握することができ、修理対象車両3の外面において修理作業を行うときに留意すべき場所を容易に理解することができる。
また、サーバプロセッサ33が撮像装置27によって取得された画像によって、異常箇所の有無を判定できないときや、端末11の位置及び姿勢を把握することができないときには、端末11のタッチパネル29に再度撮像することを促す通知47が表示される。これにより、画像が不鮮明で、異常箇所が特定できないときや、端末11の位置及び姿勢が特定できず、重複部分に対応する透過領域像8Aが取得できないときであっても、再度、作業者によって撮像されて画像が送信されることになり、異常箇所や重複部分の特定が可能となる。
このように、サーバプロセッサ33は、取得された表面形状と、車両外観データとを、比較することによって、端末11の位置及び姿勢を特定する。これにより、外装部材7の表面形状に基づかない場合に比べて、透過領域8の特定がより正確に行われる。また、サーバプロセッサ33は、適宜、外装部材7に加えて、修理対象車両3に搭載された複数の部材の位置に基づいて、端末11の位置及び姿勢を取得し、透過領域8を特定する。これにより、透過領域8の特定がより正確に行われる。
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係る車両修理支援システム51は、端末61の態様が、第1実施形態とは異なる。その他の構成については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。但し、以下の説明では、修理対象車両3に係る修理車両情報は別途、サーバ13によって取得されているものとする。
第2実施形態における端末61は、図8に示すように、いわゆる作業者が着用可能な端末、すなわち、ウェラブル端末である。本実施形態では、端末61は仮想現実(AR)技術を用いた眼鏡型のウェラブル端末(ARウェラブルデバイス)である。端末61は、いわゆる、スマートグラスによって構成されている。端末61は、作業者の耳に掛け止めされるフレーム63と、フレーム63に設けられ、着用した作業者の目の前方に配置される二つのレンズ65(グラスともいう)とを含む。
端末61は、撮像装置27と、表示装置69と、スピーカ71と、マイクロコンピュータ73と、を備えている。
撮像装置27は、フレーム63に設けられ、着用した作業者の前方を撮像するカメラ27Aによって構成されている。表示装置69は作業者の視野範囲内に半透明で画像や文字等の情報を表示することのできるデバイスである。本実施形態では、表示装置69は、レンズ65に画像や文字を半透明な状態で背景に重ね合わせた表示(すなわち、オーバーレイ表示)を行う。スピーカ71は、端末61を着用する作業者に音声により通知する。
マイクロコンピュータ73はそれぞれが第1実施形態と同様の、プロセッサ(端末プロセッサ21)、メインメモリ23と、記憶装置25とを備えている。マイクロコンピュータ73は、サーバ13とネットワーク31を介して、相互に通信可能に構成されている。本実施形態では、マイクロコンピュータ73はフレーム63に設けられている。但し、この態様には限定されず、マイクロコンピュータ73はフレーム63に繋がるケーブルを介して、撮像装置27及び表示装置69に接続されていてもよい。
マイクロコンピュータ73のプロセッサ(以下、端末プロセッサ21)は、第1実施形態と同様に、撮像装置27によって取得された画像をサーバ13に送信する。
サーバ13はそれぞれが第1実施形態と同様の、プロセッサ(サーバプロセッサ33)と、メインメモリ35と、記憶装置(サーバ記憶装置37)とを備えている。サーバ13のプロセッサ(以下、サーバプロセッサ33)は第1実施形態と同様に、異常特定処理及び領域データ生成処理を行い、異常箇所及び透過領域像8Aが取得できた場合には、異常箇所位置データ、異常要因データ、修理可否データ、及び、透過領域像8Aを送信する。
これにより、端末プロセッサ21は、図9に示すように、表示装置69によって、レンズ65を介して視認される修理対象車両3の像に、透過領域像8Aと、異常箇所を示すアイコン39とを重ね合わせて表示する。その他、端末プロセッサ21は、第1実施形態と同様に、表示装置69に、異常箇所に対応する異常要因や、修理の可否を重ね合わせて表示してもよい。
端末プロセッサ21は、更なる画像を要求する要求信号を受信したときには、スピーカ71から「移動してください」等の音声を出力することによって、撮像装置27によって更に別の位置から撮像することを促す通知を行ってもよい。
次に、このように構成した車両修理支援システム51の効果について説明する。
レンズ65には、透過して視認される修理対象車両3の像3Aに、透過領域像8Aと、異常箇所を示すアイコン39とを重ね合わせて表示される。これにより、センサ5が外装部材7に覆われて、直接外部に露出しない場合であっても、作業者がレンズ65を介して、修理対象車両3を見ることによって、外装部材7のセンサ5の検出範囲内にある部分、すなわち、透過領域8を容易に把握することができる。特に、本実施形態では、端末61は眼鏡型のウェラブル端末であるため、作業者は透過領域像8Aと、異常箇所を示すアイコン39を見ながら、両手で修理作業を行うことができるため、より一層の作業効率の向上が期待できる。
端末プロセッサ21は、更なる画像を要求する要求信号を受信したときに、撮像装置27によって更に別の位置から撮像することを促す通知が行われる。これにより、撮像装置27によって異常箇所や、端末61の位置や姿勢が取得し難い場合であっても、端末61が移動されて、サーバプロセッサ33による異常箇所や、端末61の位置や姿勢の取得が可能となる。
このように、本発明に係る車両修理支援システム1、51によって、作業者の修理作業の効率が改善されて、移動体(車両)の安全性がより一層高められる。よって、本発明は、持続可能な輸送システムの発展に寄与すると期待できる。
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。
上記実施形態では、移動体が4輪の自動車(車両)である例について記載したが、移動体は4輪の自動車には限定されない。移動体は、例えば、二輪車、三輪車、ロボット、ドローン、作業機、鉄道車両、船舶、飛行機等であってもよい。
上記実施形態では、センサ5はレーダであったが、この態様には限定されず、電波、音波、光等を送受信するいかなるデバイスであってよい。例えば、センサ5は、外装部材7であるバンパ等によって覆われ、車外に向けて音波を送受信するソナーであってもよい。
上記第1実施形態では、端末プロセッサ21が、撮像装置27によって取得された画像に、透過領域像8Aを重畳させることによって合成画像を生成していたが、この態様には限定されない。サーバプロセッサ33が、撮像装置27によって取得された画像に、透過領域像8Aを重畳させて合成画像を端末61に送信し、端末プロセッサ21がサーバ13から送信された合成画像をタッチパネル29に表示する構成であってもよい。
上記実施形態では、サーバ記憶装置37が特定情報38を記憶していたが、この態様には限定されず、端末11の記憶装置25が特定情報38を記憶していてもよい。また、サーバ記憶装置37と、端末11の記憶装置25とがそれぞれ、特定情報38を分けて記憶していてもよい。また、特定情報38の一部の情報がサーバ13とは異なる複数のサーバによって記憶し、特定情報38の残りの情報がサーバ記憶装置37と端末11の記憶装置25とによって記憶されていてもよい。
上記第1実施形態では、端末61のタッチパネル29にリアルタイムで撮像画像28と、透過領域像8Aと、異常箇所を示すアイコン39とが重畳表示される態様であったが、リアルタイムで重畳表示される態様には限定されない。撮像装置27が撮像画像28を取得してから所定時間後に、端末11が撮像画像28に透過領域像8Aを重畳表示する態様であってもよい。
また、サーバプロセッサ33はリアルタイムで送信される撮像画像28の中に透過領域8があると判定したときに、端末11に静止画像を撮像する旨の通知が表示される構成であってもよい。静止画像を撮像する旨の通知としては、作業者に撮影を促すものであればよく、例えば、「撮影してください」等のテキスト表示であってもよい。その後、端末11からサーバ13に撮像画像28が送信されると、サーバ13が透過領域像8Aを送信し、端末11が撮像画像28に透過領域像8Aを重畳表示するとよい。
その他、端末プロセッサ21は、異常箇所が修理可能であると判定したときに、サーバ13に補修方法説明を要求する信号をサーバ13に送信してもよい。サーバ13は対応する補修方法を示すテキストや画像を端末61に送信し、端末プロセッサ21は取得した補修方法を示すテキストや画像をタッチパネル29に表示してもよい。
上記第1実施形態では、サーバプロセッサ33はステップST14において、端末61の移動方向を示すデータを取得するように構成されていたが、端末61の移動方向に加えて、撮像装置27の撮像領域内に透過領域8が含まれるようにするために要する端末61の回転方向(向きを変える方向)や、移動距離を取得してもよい。その場合には、サーバプロセッサ33は、移動方向、回転方向、及び、移動距離に係る変位データを端末61に送信するとよい。端末61は変位データを受信すると、対応する移動方向、回転方向、及び移動距離をタッチパネル29に表示するとよい。
上記実施形態では、サーバプロセッサ33は撮像された画像内の全ての異常箇所を抽出するように構成されていたが、この態様には限定されない。サーバプロセッサ33は、撮像装置27によって取得された画像の中から、透過領域8内に位置する(すなわち、透過領域像8Aに重なる)部分を取得し、その抽出された部分の中からのみ異常箇所を抽出してもよい。センサ5からの電波や音波が通過する領域は比較的平坦な面が多いため、異常箇所の抽出が容易になり、サーバプロセッサ33の演算量の低減を図ることができる。
上記第2実施形態では、端末61は、眼鏡型のウェラブルデバイスであったが、この態様には限定されない。例えば、端末61はコンタクトレンズ型のウェラブルデバイスによって構成されていてもよい。また、端末61は腕時計型のウェラブルデバイス(いわゆる、スマートウォッチ)によって構成されていてもよい。また、撮像装置27は遠隔操作可能なロボットに設けられていてもよい。その場合には、ロボットを遠隔操作する作業者に情報を提示するデバイス(例えば、タッチパネル29等)に、透過領域像8Aが修理対象車両3の像3Aに重畳されて表示されるとよい。