初めに、本明細書によって開示される蓄電素子及びその製造方法の概要について説明する。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、扁平形状を有する巻回型電極体と、上記巻回型電極体の中心部に配置された巻芯とを備え、上記巻芯は、帯状のシート部材が巻回されてなる、2つの折り返し位置を有する扁平形状を有し、上記巻芯は、筒状部と、上記筒状部の内側に配置され、一端のみが上記筒状部に固定された内周余剰部とを有し、上記内周余剰部の長さが、上記筒状部との固定位置から上記固定位置に対して遠い側の上記折り返し位置までの距離より短い。
当該蓄電素子は、電極間の隙間の発生が抑制されている。このような効果が生じる理由としては定かではないが、以下の理由が推測される。当該蓄電素子においては、一端のみか筒状部に固定された巻芯の内周余剰部の長さが、筒状部との固定位置から固定位置に対して遠い側の折り返し位置までの距離より短いため、巻回型電極体が厚さ方向に押圧されて筒状部の内面間の距離が小さくなった状態であっても内周余剰部にしわが生じ難い。このため、巻芯から巻回型電極体に掛かる荷重の均一性が高く、電極間の隙間の発生が抑制されると推測される。
なお、内周余剰部の長さ、固定位置から折り返し位置までの距離、後述する2つの固定位置の間の距離等は、巻回型電極体における巻回軸方向視(図2等)における長さ、距離等を意味する。内周余剰部の長さが幅方向で異なる場合は、内周余剰部の長さは、最も短い長さとする。
また、筒状部に対する内周余剰部の固定位置が、筒状部の2つの折り返し位置の中間に位置し、上記内周余剰部の固定位置から各折り返し位置までの距離が等しい場合がある。このような場合、巻芯の内周余剰部の長さは、筒状部との固定位置から一方の折り返し位置までの距離より短ければよい。
上記巻芯が2つの上記内周余剰部を有し、上記2つの内周余剰部の長さの合計が、それぞれの上記筒状部との固定位置の間の距離より短いことが好ましい。このような場合、巻回型電極体を厚さ方向に押圧した状態であっても2つの内周余剰部同士が重ならないため、しわがより生じ難く、電極間の隙間の発生がより抑制される。
上記内周余剰部の長さが上記シート部材の平均厚さの10倍以上であることが好ましい。このように内周余剰部が十分な長さを有する場合、巻回により巻芯及び巻回型電極体を製造する際に、内周余剰部が巻芯の筒状部と巻軸とが対向する間に十分に挟み込まれ、巻芯のずれ等の発生を抑制することができる。
なお、シート状部材の平均厚さは、任意の5ヶ所で測定される厚さの平均値とする。
上記内周余剰部の長さが3mm以上であることが好ましい。このような場合も、内周余剰部が十分な長さを有するため、巻回により巻芯及び巻回型電極体を製造する際の巻芯のずれ等の発生を抑制することができる。
本発明の他の一側面に係る蓄電素子の製造方法は、巻芯が中心部に配置された、扁平形状を有する巻回型電極体を得ること、及び上記巻回型電極体を上記巻芯と共に厚さ方向に押圧することを備え、上記巻芯は、帯状のシート部材が巻回されてなる、2つの折り返し位置を有する扁平形状を有し、上記巻芯は、筒状部と、上記筒状部の内側に配置され、一端のみが上記筒状部に固定された内周余剰部とを有し、上記巻回型電極体が上記巻芯と共に押圧された状態において、上記内周余剰部の長さが、上記筒状部との固定位置から上記固定位置に対して遠い側の上記折り返し位置までの距離より短い。
当該製造方法によれば、電極間の隙間の発生が抑制されている蓄電素子を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子、蓄電素子の製造方法、蓄電装置、及びその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<蓄電素子:第一の実施形態>
本発明の第一の実施形態に係る蓄電素子は、扁平形状を有する巻回型電極体と、上記巻回型電極体の中心部に配置された巻芯と、電解質と、上記巻回型電極体、巻芯及び電解質を収容する容器と、を備える。蓄電素子の一例として、電解質が非水電解質である非水電解質二次電池について説明する。
図1に非水電解質二次電池の一例としての蓄電素子1を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。巻芯(図1においては図示しない)が中心に配置された扁平形状を有する巻回型電極体2が、角型の容器3に収納されている。巻回型電極体2は巻芯と共に厚さ方向に押圧された状態で容器3に収納されている。巻回型電極体2は、セパレータを挟んで巻回された正極及び負極を有する。正極は正極リード41を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極は負極リード51を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、容器3内には、巻回型電極体2と共に非水電解質(図示しない)が収容されている。非水電解質の一部は、巻回型電極体2の内部に含浸している。
(巻回型電極体及び巻芯)
以下、蓄電素子1に備わる巻回型電極体2及び巻芯6の構造について、図2等を参照に詳説する。図2は、巻芯6及び巻回型電極体2を製造後、厚さ方向(図2における上下方向)に押圧した状態、換言すれば、容器3内に収納されている状態を示す。図2は、巻回型電極体2における巻回軸方向視における断面図、換言すれば巻回軸と垂直な切断面における断面図である。
巻回型電極体2は、例えば、帯状の第一のセパレータと、帯状の負極と、帯状の第二のセパレータと、帯状の正極とが、この順に重ね合わされた状態で巻回されてなる、巻回型の電極体である。巻回型電極体2の中心部には、巻芯6が配置される領域が存在する。巻回型電極体2は、従来公知の巻回型電極体と同様の構成とすることができる。第一のセパレータと第二のセパレータとは同一の部材であってよい。巻回型電極体2を構成する各部材(正極、負極及びセパレータ)の具体的形態については後述する。
巻芯6は、巻回型電極体2の中心部に配置されている。換言すれば、例えば巻回型電極体2は、巻芯6を中心にして、帯状の第一のセパレータと、帯状の負極と、帯状の第二のセパレータと、帯状の正極とをこの順に重ね合わされた状態で巻回することにより形成される。
巻芯6は、帯状のシート部材が巻回されてなる。巻芯6は、例えば、2枚のシート部材が巻回されることにより形成されている。巻芯6は、2つの折り返し位置7A、7Bを有する扁平形状を有する。巻芯6は、2つの折り返し位置7A、7Bにおいて完全に折れ曲がっていてもよく、断面視略半円状に滑らかに湾曲していてもよい。
巻芯6を構成するシート部材の材質としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂等が挙げられる。このシート部材は、無孔質であってもよく、多孔質であってもよい。巻回型電極体2を構成するセパレータと同じものを、巻芯6を構成するシート部材として用いてもよい。巻芯6を構成するシート部材の平均厚さとしては、10μm以上1mm以下が好ましく、40μm以上300μm以下がより好ましい。
巻芯6は、筒状部8と、2つの内周余剰部9A、9Bとを有する。また、巻芯6においては、巻回されたシート部材のずれ等が生じないように、重なり合ったシート部材が2箇所の固定位置10A、10Bで固定されている。この固定位置10A、10Bにおけるシート部材の固定は、溶着、接着等により行われている。
筒状部8は、巻芯6の本体部分であり、シート部材が巻回されて構成されている。図2の形態における筒状部8は、二重のシート部材から構成されているが、より多くの巻回を行い三重以上のシート部材から筒状部8が構成されていてもよいし、一重のシート部材から筒状部8が構成されていてもよい(第四の実施形態:図8、9参照)。筒状部8が二重以上のシート部材から構成されている場合、内周余剰部9A、9Bがある部分とない部分等におけるシート部材の積層枚数差、すなわち巻芯6の部位による厚さの差が相対的に小さくなる。そのため、巻回型電極体2を容器3に挿入する際、巻回型電極体2が容器3の内面等に引っ掛かり難く、容易に容器3へ挿入することができる。一方、筒状部8が一重のシート部材から構成されている場合、巻芯6が薄くなり、巻回型電極体2における正極及び負極の巻回数を増やすことができるため、蓄電素子1の体積当たりのエネルギー密度を高めること等ができる。
内周余剰部9A、9Bは、筒状部8の内側に配置され、一端11A、11Bのみが固定位置10A、10Bにおいて筒状部8に固定されている。内周余剰部9A、9Bは、筒状部8を構成していないシート部材の内周側の余剰部分である。
内周余剰部9Aの長さLAは、この内周余剰部9Aにおける筒状部8との固定位置10Aから、この固定位置10Aに対して遠い側の折り返し位置7Bまでの距離DAよりも短い。同様に、内周余剰部9Bの長さLBは、この内周余剰部9Bにおける筒状部8との固定位置10Bから、この固定位置10Bに対して遠い側の折り返し位置7Aまでの距離DBよりも短い。なお、折り返し位置7A、7Bは、筒状部8の内面の折り返し位置とする。
このように、巻芯6の内周余剰部9A、9Bの長さLA、LBが、それぞれ筒状部8との固定位置10A、10Bから固定位置に対して遠い側の折り返し位置7B、7Aまでの距離DA、DBより短いため、巻回型電極体が厚さ方向に押圧されて筒状部の内面間の距離が小さくなった状態であっても内周余剰部9A、9Bにしわが生じ難い。このため、巻芯6から巻回型電極体2に掛かる荷重の均一性が高く、電極間の隙間の発生が抑制される。
図2の形態において、2つの内周余剰部9A、9Bの長さの合計(LA+LB)は、それぞれの筒状部8との固定位置10A、10Bの間の距離(DX)より短い。このため、巻芯6においては、2つの内周余剰部9A、9B同士が重ならず、しわがより生じ難く、巻回型電極体2の電極間の隙間の発生がより抑制される。
各内周余剰部9A、9Bの長さLA、LBは、シート部材の平均厚さの10倍以上であることが好ましく、20倍以上又は30倍以上であることがより好ましい。また、各内周余剰部9A、9Bの長さLA、LBは、3mm以上であることが好ましく、1cm以上又は1.5cm以上であることがより好ましい。このように内周余剰部9A、9Bが十分な長さを有する場合、後述する図4に示されるように、巻回により巻芯6及び巻回型電極体2を製造する際に、内周余剰部9A、9Bが巻芯6の筒状部8と巻軸62A、62Bとが対向する間に十分に挟み込まれ、巻芯6のずれ等の発生を抑制することができる。なお、巻芯に内周余剰部が設けられていない場合、製造時等に巻芯のずれが顕著に生じ得るため、好ましくない。
(巻芯及び巻回型電極体の製造方法)
次いで、巻芯及びこの巻芯が中心部に配置された巻回型電極体の製造方法について、図3から5を参照して説明する。はじめに、蓄電素子の巻芯を製造する巻芯製造装置について、図3を参照して説明する。巻芯製造装置は、回転軸61を中心に回転自在に設けられるテーブル60と、テーブル60上に回転軸61を挟んで配置される一対の巻軸62A、62Bと、巻軸62A、62Bにシート部材63を挿入するシート挿入装置64A、64Bとを備える。巻芯製造装置は、さらに、シート部材63を巻軸62A、62Bに押圧固定したり、シート部材63を溶着又は接着等したりするチャック65A、65Bを備えている。
まず、図3に示すように、各シート挿入装置64A、64Bにより、両巻軸62A、62B間にシート部材63を挿入する。このとき、2つのシート部材63のそれぞれの一方の面は、巻軸62A、62Bの表面と接触するようにチャック65A、65Bによって押圧固定される。また、このときの挿入されるシート部材63の長さ(シート部材63における巻軸62A、62Bとチャック65A、65Bとに押圧されている部分より先の長さ)は、形成される内周余剰部9A、9B(図4参照)が所定の長さとなるように調整される。
図3に示す状態から、テーブル60を時計回りに回転させると、図4に示すように、巻軸62A、62Bの周面に沿うようにシート部材63が巻回される。なお、図3に示す状態から半回転した時に、シート部材63がチャック65A、65Bを巻き込まないように、各チャック65A、65Bは移動(退避)可能に構成されている。図4に示す状態において、シート部材63と巻軸62A、62Bとが重なっている部分(固定位置10A、10B)をチャック65A、65Bにより溶着又は接着等するとともに、シート部材63における固定位置10A、10Bよりも後方(シート挿入装置64A、64B側)を切断する。これにより、筒状部8と、筒状部8の内側に配置され、一端が固定位置10A、10Bにおいて筒状部8に固定された2つの内周余剰部9A、9Bを有する巻芯6が得られる(図5参照)。なお、本実施形態においては、テーブル60を1回転させているが、より多くテーブル60を回転させてもよい。なお、図5においては、巻芯製造装置の一部(テーブル60等)を省略して図示している。
図3から5に示した製造方法のように、2枚のシート部材63を用いて巻芯6を製造する方法は、例えば第四の実施形態において記載している1枚のシート部材を用いて製造する方法と比べて、シート部材をカットする工程が少ない。このため、このような製造方法によれば、製造時間の短縮化を図ることなどができる。
このように製造された巻芯6を中心にして、公知の方法により、セパレータを介して正極及び負極を巻回することで、図5に示すように巻回型電極体2を製造することができる。図5に示す状態から、巻回型電極体2を巻芯6と共に巻軸62A、63Bから引き抜くことにより、巻芯6が中心部に配置された、扁平形状を有する巻回型電極体2が得られる。そしてこの巻回型電極体2を巻芯6と共に厚さ方向(図5等における上下方向)に押圧することにより、図2に示される厚さ方向に押圧された状態の巻回型電極体2が得られる。
以下、蓄電素子1を構成する各部材について具体的に説明する。
(正極)
正極は、正極基材と、当該正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層とを有する。
正極基材は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が107Ω・cmを閾値として判定する。正極基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)又はJIS-H4160(2006年)に規定されるA1085、A3003、A1N30等が例示できる。
正極基材の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材の強度を高めつつ、蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材と正極活物質層との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電剤を含むことで正極基材と正極活物質層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、バインダ及び導電剤を含む。
正極活物質層は、正極活物質を含む。正極活物質層は、必要に応じて、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LixNi(1-x)]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγCo(1-x-γ)]O2(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LixCo(1-x)]O2(0≦x<0.5)、Li[LixNiγMn(1-x-γ)]O2(0≦x<0.5、0<γ<1、0<1-x-γ)、Li[LixNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)、Li[LixNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O2(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1、0<1-x-γ-β)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LixMn2O4、LixNiγMn(2-γ)O4等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4、LiCoPO4、Li3V2(PO4)3、Li2MnSiO4、Li2CoPO4F等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェットミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛、非黒鉛質炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
正極活物質層における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、蓄電素子のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
正極活物質層におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質を安定して保持することができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(負極)
負極は、負極基材と、当該負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極で例示した構成から選択することができる。
負極基材は、導電性を有する。負極基材の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム等の金属又はこれらの合金、炭素質材料等が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材としては、箔、蒸着膜、メッシュ、多孔質材料等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材の強度を高めつつ、蓄電素子の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層は、負極活物質を含む。負極活物質層は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極で例示した材料から選択できる。
負極活物質層は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba、等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。負極活物質としては、例えば、金属Li;Si、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Ti酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;Li4Ti5O12、LiTiO2、TiNb2O7等のチタン含有酸化物;ポリリン酸化合物;炭化ケイ素;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。これらの材料の中でも、黒鉛及び非黒鉛質炭素が好ましい。負極活物質層においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質である炭素材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されるように放電された状態を意味する。例えば、負極活物質として炭素材料を含む負極を作用極として、金属Liを対極として用いた半電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態である。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素材料をいう。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質が炭素材料、チタン含有酸化物又はポリリン酸化合物である場合、その平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質が、Si、Sn、Si酸化物、又は、Sn酸化物等である場合、その平均粒径は、1nm以上1μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、上記正極で例示した方法から選択できる。負極活物質が金属Li等の金属である場合、負極活物質層は、箔状であってもよい。
負極活物質層における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(セパレータ)
セパレータは、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータとして、例えば、基材層のみからなるセパレータ、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータの基材層の形状としては、例えば、織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が挙げられる。これらの形状の中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。セパレータの基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータの基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、室温から800℃まで昇温したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、チタン酸バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータの空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
セパレータとして、ポリマーと非水電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。ポリマーとして、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。ポリマーゲルを用いると、漏液を抑制する効果がある。セパレータとして、上述したような多孔質樹脂フィルム又は不織布等とポリマーゲルを併用してもよい。
(非水電解質)
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもECが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF6、LiPO2F2、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2等の無機リチウム塩、リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸リチウム塩、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、LiC(SO2C2F5)3等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPF6がより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm3以上2.5mol/dm3以下であると好ましく、0.3mol/dm3以上2.0mol/dm3以下であるとより好ましく、0.5mol/dm3以上1.7mol/dm3以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm3以上1.5mol/dm3以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸塩;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、1,3-プロペンスルトン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,4-ブテンスルトン、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
<蓄電素子の製造方法>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子の製造方法は、巻芯が中心部に配置された、扁平形状を有する巻回型電極体を得ること、及び上記巻回型電極体を上記巻芯と共に厚さ方向に押圧することを備え、上記巻芯は、帯状のシート部材が巻回されてなる、2つの折り返し位置を有する扁平形状を有し、上記巻芯は、筒状部と、上記筒状部の内側に配置され、一端のみが上記筒状部に固定された内周余剰部とを有し、上記巻回型電極体が上記巻芯と共に押圧された状態において、上記内周余剰部の長さが、上記筒状部との固定位置から上記固定位置に対して遠い側の上記折り返し位置までの距離より短い。
当該製造方法における、巻芯が中心部に配置された、扁平形状を有する巻回型電極体を得ること、及び上記巻回型電極体を上記巻芯と共に厚さ方向に押圧することは、「巻芯及び巻回型電極体の製造方法」として上記した方法を具体的に採用することができる。当該製造方法により得られる巻芯及び巻回型電極体の具体的形態は、本発明の実施形態に係る蓄電素子に備わる巻芯及び巻回型電極体として説明したものと同様である。
当該製造方法は、その他、巻芯が中心部に配置され、厚さ方向に押圧された状態である巻回型電極体を容器に収容すること、電解質を準備すること、電解質を容器に収容すること等をさらに備えていてもよい。電解質を準備することは、電解質を調製することであってもよい。電解質を容器に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、電解質に非水電解液を用いる場合、容器に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
<蓄電素子:第二の実施形態>
本発明の第二の実施形態に係る蓄電素子は、図6に示す巻芯106を備える。第二の実施形態に係る蓄電素子は、巻芯6に替えて巻芯106を備えること以外は、第一の実施形態に係る蓄電素子と同様である。
図6に示す巻芯106は、内周余剰部109A、109Bの長さが、図2に示す巻芯6の内周余剰部9A、9Bより長い点が、図2に示す巻芯6と異なる。図6に示すように、巻芯106の内周余剰部109Aの長さLA’は、この内周余剰部109Aにおける筒状部108との固定位置110Aから、この固定位置110Aに対して遠い側の折り返し位置107Bまでの距離DA’よりも短い。同様に、内周余剰部109Bの長さLB’は、この内周余剰部109Bにおける筒状部108との固定位置110Bから、この固定位置110Bに対して遠い側の折り返し位置107Aまでの距離DB’よりも短い。一方、2つの内周余剰部109A、109Bの長さの合計(LA’+LB’)は、それぞれの筒状部108との固定位置110A、110Bの間の距離(DX’)より長い。このような場合、図6に示されるように2つの内周余剰部109A、109Bが重なり合うことでしわの発生が抑制され、巻回型電極体2の電極間の隙間の発生が抑制される。特に、2つの内周余剰部109A、109B同士が重なり合う部分はシート部材の積層枚数が他の部位よりも多くなることによって強く押圧されるため、内周余剰部109A、109Bのしわの発生はより生じ難くなる。
<蓄電素子:第三の実施形態>
本発明の第三の実施形態に係る蓄電素子は、図7に示す巻芯206を備える。第三の実施形態に係る蓄電素子は、巻芯6に替えて巻芯206を備えること以外は、第一の実施形態に係る蓄電素子と同様である。
図7に示す巻芯206は、1枚の帯状のシート部材が巻回されて形成されており、筒状部208と、1つの内周余剰部209とを有する。重なり合ったシート部材は、2箇所の固定位置210A、210Bで固定されている。巻芯206の内周余剰部209の長さLは、この内周余剰部209における筒状部208との固定位置210Bから、この固定位置110Bに対して遠い側の折り返し位置207Aまでの距離Dよりも短い。
このように、1つのみの内周余剰部209を有する巻芯206を備える蓄電素子も本発明の実施形態に含まれ、電極間の隙間の発生を抑制するという効果を奏することができる。また、本実施形態における巻芯206は、1枚のシート部材から形成でき、生産性に優れる。
<蓄電素子:第四の実施形態>
本発明の第四の実施形態に係る蓄電素子は、図8に示す巻芯306を備える。第四の実施形態に係る蓄電素子は、巻芯6に替えて巻芯306を備えること以外は、第一の実施形態に係る蓄電素子と同様である。
図8に示す巻芯306は、筒状部308と、2つの内周余剰部309A、309Bとを有する。また、巻芯306は、2枚のシート部材が巻回されることにより形成されており、重なり合ったシート部材は、2箇所の固定位置310A、310Bで固定されている。図8に示す巻芯306は、筒状部308が実質的に一重のシート部材から構成されている点が図2等に示す巻芯6と異なる。このような巻芯306は、図3から5等に示す巻芯6の製造方法に準じて製造することができる。例えば、図3に示す状態からテーブル60を時計回りに半回転させた図9に示す状態において、シート部材63と巻軸62A、62Bとが重なっている部分(固定位置310A、310B)を溶着又は接着等するとともに、シート部材63における固定位置310A、310Bよりも後方(シート挿入装置64A、64B側)を切断することにより、図8に示す形態の巻芯306が得られる。
本実施形態のように、筒状部308を実質的に一重のシート部材から形成した場合、巻芯306を薄くすることができ、巻回型電極体2における正極及び負極の巻回数を増やすことができる。従って、このような巻回型電極体2を備える第四の実施形態に係る蓄電素子によれば、体積当たりのエネルギー密度を高めること等ができる。
<蓄電装置>
本実施形態の蓄電素子は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電ユニットに含まれる少なくとも一つの蓄電素子に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図10に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット20をさらに集合した蓄電装置30の一例を示す。蓄電装置30は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット20を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット20又は蓄電装置30は、一以上の蓄電素子の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、蓄電素子が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。また、本発明は、電解質が非水電解質以外の電解質である蓄電素子にも適用できる。
上記実施形態では、正極及び負極がセパレータを介して積層された状態で巻回されてなる巻回型電極体について説明したが、巻回型電極体は、セパレータを備えなくてもよい。例えば、正極又は負極の活物質層上に導電性を有さない層が形成された状態で、正極及び負極が直接接してもよい。また、本発明の蓄電素子において、巻芯を構成するシート部材は、巻回型電極体を構成するセパレータと連続したものであってもよい。
本発明の蓄電素子に備わる巻芯は、上記実施形態で説明した方法とは異なる方法で製造してもよい。例えば、図11に示すような内周余剰部409が筒状部408の内面間を架け渡すように設けられた巻芯406を得た後、内周余剰部409を2つに切断することなどによって製造してもよい。このような製造方法の場合、1枚のシート部材から巻芯を製造するため、比較的容易に巻芯を製造することができる。