JP7779271B2 - 水素還元反応によるハイドロフルオロカーボンの製造方法 - Google Patents
水素還元反応によるハイドロフルオロカーボンの製造方法Info
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Description
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、CFCの転化率に優れ、副生成物の生成量が少ないHFCを製造する方法を提供することを課題とする。
クロロフルオロカーボン(1A)と水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボン(1A)に対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を用いて反応させることを特徴とする、ハイドロフルオロカーボンの製造方法。
CF2Xa-Rf-CXa 3 (1A)
(式中、Xaは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のXa中の0または1個がフッ素原子であり、少なくとも1個が塩素原子であり、Rfは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
[2] 上記Rfがジフルオロメチレン基である、[1]に記載の製造方法。
[3] 上記クロロフルオロカーボン(1A)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンおよび3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 製造される上記ハイドロフルオロカーボン(2A)が、上記クロロフルオロカーボン(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボンを主成分とする、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 上記触媒が、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、レニウム、モリブデンおよびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属触媒である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 上記クロロフルオロカーボン(1A)と水素を気相で反応させる、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 反応温度が、150~350℃である、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8] 下記式(1B)で表されるクロロフルオロカーボン(1B)と水素を反応させて、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボン(2B)を製造する方法であって、
クロロフルオロカーボンの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、
上記多段工程中の少なくとも1つの単工程が、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程(Y)であることを特徴とする、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボンの製造方法。
CF2Xb-Rf-CXb 3 (1B)
(式中、Xbは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のXb中の0または1個がフッ素原子であり、2~4個が塩素原子であり、Rfは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
[9] 上記Rfがジフルオロメチレン基である、[8]に記載の製造方法。
[10] 上記クロロフルオロカーボン(1B)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパンおよび3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[8]または[9]に記載の製造方法。
[11] ハイドロフルオロカーボン(2B)が、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[8]~[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 上記単工程(Y)における主生成物が、クロロフルオロカーボンの1個の塩素原子が水素原子に置換された化合物である、[8]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 上記単工程(Y)において、気相で水素を反応させる、[8]~[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14] 上記単工程(Y)において、反応温度150~350℃で水素を反応させる、[8]~[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15] 連続する2つの単工程において、
少なくとも後段の単工程が上記単工程(Y)であり、
前段の単工程で得られた反応混合物中の塩化水素の少なくとも一部を除去して、前段の単工程で得られたハイドロフルオロカーボンであるクロロフルオロカーボンから、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素を含む反応性混合物であってクロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである反応性混合物を調整し、かかる反応性混合物を用いて後段の上記単工程(Y)を実施する、[8]~[14]のいずれかに記載の製造方法。
CF2Xa-Rf-CXa 3 (1A)
(式中、Xaは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のXa中の0または1個がフッ素原子であり、少なくとも1個が塩素原子であり、Rfは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
本発明の第1の製造方法における原料であるCFC(1A)は、1~4個の塩素原子を有することより、生成物であるHFC(2A)は、0~3個の塩素原子を有する。生成物であるHFC(2A)は0~3個の塩素原子を有する化合物の2種以上からなっていてもよく、通常は主生成物のHFC(2A)と相対的に少量の副生成物のHFC(2A)の少なくとも1種とからなる。たとえば、後述のように、1,1,1,3-テトラクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、214cbともいう。)から1,1,3-トリクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、224caともいう。)と1,1,3-トリクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン(以下、224ccともいう。)が生成する場合がある。
CFCの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、
前記多段工程中の少なくとも1つの単工程が、反応開始前のCFCと水素と塩化水素とを含み、CFCに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程(Y)であることを特徴とする、塩素原子の数が0または1であるHFCの製造方法である。
CF2Xb-Rf-CXb 3 (1B)
(式中、Xbは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のXb中の0または1個がフッ素原子であり、2~4個が塩素原子であり、Rfは炭素数が1以上のフルオロアルキレン基である。)
本発明の第2の製造方法における出発原料であるCFC(1B)の塩素原子の数が2~4でありかつ最終生成物HFC(2B)の塩素原子の数が0または1であることより、塩素原子の1個を水素原子に置換する単工程の場合は少なくとも2つの単工程からなる多段工程を必要とする。多段工程中の単工程の少なくとも1つは単工程(Y)であり、複数の単工程の2以上が単工程(Y)であることが好ましく、すべての単工程が単工程(Y)であることがより好ましい。
式(1A)で表されるCFC(1A)および式(1B)で表されるCFC(1B)におけるRfはフルオロアルキレン基であり、少なくとも1個のフッ素原子を有するアルキレン基である。フルオロアルキレン基としては、直鎖状のフルオロアルキレン基であることが好ましい。Rfの炭素原子数は、1~3であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。Rfのフッ素原子数は、炭素原子数と同数以上であることが好ましく、炭素原子数の1.8~2.0倍の数であることがより好ましく、炭素原子数の2倍の数であること(すなわち、フルオロアルキレン基がパーフルオロアルキレン基であること)が特に好まししい。Rfは、ジフルオロメチレン基であることが最も好ましい。
以下、Rfがジフルオロメチレン基である場合を例に、本発明を説明する。
4個のXaのどれもがフッ素原子でない場合、4個のXaにおける塩素原子の数は1~4個であり、水素原子に数は0~3個である。4個のXaのどれか1つがフッ素原子である場合、塩素原子の数は1~3個であり、水素原子に数は0~2個である。
CFC(1A)から製造されるHFC(2A)は、CFC(1A)に対応する、その塩素原子の1または2個が水素原子に置換された化合物である。
4個のXbのどれもがフッ素原子でない場合、4個のXbにおける塩素原子の数は2~4個であり、水素原子の数は0~2個である。4個のXbのどれか1つがフッ素原子である場合、塩素原子の数は2個または3個であり、水素原子に数は0または1個である。
CFC(1B)から製造されるHFC(2B)は、CFC(1B)に対応する、塩素原子を1個有するかまたは塩素原子を有しない化合物である。
ただし、下記化学式において、炭素原子(C)は結合線の交点で示す。矢印は生成する化合物を示す。
また、化合物の下に記載の数字及びアルファベットからなる記号は、本明細書において使用した化合物の略称である。たとえば、「254cb」は1,1,2,2-テトラフルオロプロパンを、「215ca」は1,1,3-トリクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパンを、「245ca」は1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパンを、「215cb」は1,1,1-トリクロロ-2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパンを、「245cb」は1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンを、いう。
本発明の第1の製造方法において、原料であるCFC(1A)は1つの化合物のみからなっていてもよく、CFC(1A)の2種以上の化合物からなる混合物であってもよい。 原料であるCFC(1A)の1つの化合物から2種のHFC(2A)が生成することがあり(たとえば、214cbから224caと244ccが生成する)、通常、CFC(1A)の反応性や反応条件により、一方が主生成物となり、他方が副生成物となる。
また、原料であるCFC(1A)は2種以上の化合物の混合物である場合、生成するHFC(2A)も通常2種以上の化合物の混合物となる。たとえば、CFC(1A)の2種の混合物からそれぞれ対応する2種のHFC(2A)が生成する。また、CFC(1A)の1つの化合物から2種以上のHFC(2A)が生成することがあることより、CFC(1A)が2種以上の化合物の混合物である場合、生成するHFC(2A)は3種以上のHFC(2A)の混合物となることもある。
一方、異なる2種のCFC(1A)それぞれから同一のHFC(2A)が生成する場合もある(たとえば、244ccと244caのそれぞれから254cbが生成する)ことより、そのような2種のCFC(1A)の混合物を原料として、1種のHFC(2A)を主成分とする生成物が生じる場合もある。
本発明の第1の製造方法としては、得られるHFC(2A)がCFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを主成分となる製造方法であることが好ましい。この場合であっても、通常、副生成物としてCFC(1A)の2個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCも生成する。CFC(1A)の2個以上の塩素原子が水素原子に置換されたHFCの生成を抑制するために、CFC(1A)に対する塩化水素濃度の最適化やCFC(1A)に対する水素のモル比等の反応条件の最適化を図ることが好ましいが、CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFC(2A)のみの製造に特化しようとすると生成率の低下等の悪影響を招くおそれがあり、CFC(1A)の2個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを副生成物として含む、CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを製造することが好ましい。
出発原料化合物であるCFC(1A)は、前記製造フローに記載されたその化合物に向かう矢印の元側に記載された化合物から製造されたCFCが好ましい。ただし、出発原料化合物であるCFC(1A)は、前記製造フローに記載されたその化合物に向かう矢印の元側に記載された化合物から製造されたCFCに限られるものではない。また、前記製造フローに記載されたその化合物に向かう矢印の元側に記載されたCFCから製造された化合物であっても、本発明の第1の製造方法で製造されたCFCに限られるものではない。
CFC(1A)が複数の化合物を含む場合、214cb、224ca、224cc、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、215ca、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、215cb、225caおよび235cbとの組み合わせが好ましく、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、225caと235cbとの組み合わせがより好ましい。
本発明の第1の製造方法によって製造された化合物であるHFC(2A)としては、前記のように2種以上のHFCを含んでいてもよい。たとえば、CFC(1A)である214cbから得られるHFC(2A)としては、224caと244ccとを含んでいてもよく、さらに234ccや234cbを含んでいてもよい。この場合、得られるHFC(2A)としては、224caと244ccのいずれかを主成分とするものが好ましい。
なお、上記希釈剤とは、気相反応における不活性なガス(以下、希釈ガスともいう。)や液相反応における不活性な液状媒体を意味し、前記塩素原子を有しないHFC等の非反応性フッ素化合物であってもよい。
反応性混合物における水素(H2)の量は、CFC(1A)に含まれる塩素原子の1モルに対して0.5~10.0モルが好ましく、0.8~8.0モルがより好ましく、1.0~5.0モルが特に好ましい。水素の量が0.5モル未満であるとHFC(2A)の生成率が低くなり、10.0モルを超えるとCFC(1A)中の塩素原子の3個以上が水素原子に置換されたHFC等の副生成物の生成量が多くなる。
前記のように、HFC(2A)としては、CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCが好ましい。CFC(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたHFCを主生成物とするためには、反応性混合物における水素(H2)の量は、CFC(1A)に含まれる塩素原子の1モルに対して0.5~5.0モルが好ましく、0.8~3.0モルがより好ましく、1.0~2.0モルが特に好ましい。
本発明の第1の製造方法に用いる触媒は、CFC(1A)と水素との反応を促進する作用を有する触媒であれば特に限定されない。触媒としては、ジルコニウム等の第4族元素、モリブデン等の第6族元素、レニウム等の第7族元素、鉄、ルテニウム、オスミウム等の第8族元素、コバルト、ロジウム、イリジウム等の第9族元素、パラジウム、ニッケル、白金等の第10族元素、金等の第11族元素等の金属が挙げられる。
触媒は、上記金属の1種であってよく、2種以上であってもよい。2種以上の金属で構成される触媒は、2種以上の金属の混合物であってよく、2種以上の金属の合金であってもよい。
触媒としては、HFC(2A)の選択率をさらに向上させる点で、パラジウムおよび白金が特に好ましい。
担体としては、アルミナ、活性炭、ジルコニアおよびシリカから選ばれる担体が好ましい。担体としては、CFC(1A)の転化率およびHFC(2A)の選択率を向上させる点から、アルミナおよび活性炭が好ましく、活性炭がさらに好ましい。
反応性混合物中の塩化水素は、CFC(1A)を製造する過程で生じた塩化水素がCFC(1A)とともに反応性混合物導入されていてもよく、CFC(1A)とは別に反応性混合物に導入されていてもよい。CFC(1A)に含まれている塩化水素が過剰の場合、アルカリ洗浄等の公知の方法により塩化水素の一部を除去したCFC(1A)を用いることができる。
本発明の第1の製造方法では、反応器を用いて、触媒の存在下、CFC(1A)と水素を接触させる。例えば、CFC(1A)と水素の反応は、触媒が設けられた反応の場に、CFC(1A)と水素を供給することで行われる。触媒が設けられた反応の場は、通常、触媒が収容された反応器内である。以下、触媒を収容した反応器内にCFC(1A)と水素を供給して反応させる方法について説明するが、これに限定されない。
液相反応の具体的な手順としては、触媒の存在する反応器内で、液体状態のCFC(1A)と気体状態の水素とを撹拌等の手段を用いて接触させて、HFC(2A)を得る手順が挙げられる。
流量の調整、副生成物の抑制、触媒の失活の抑制等に有効である点から、上記反応に不活性なガス(希釈ガス)を反応器に供給してもよい。希釈ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。希釈ガスは2種以上を併用してもよい。
反応器内の温度は、反応器に供給される原料の温度および圧力を調整することにより制御できる。必要に応じて、電気ヒータやマイクロウェーブ発生機等により反応器内を補助的に加熱できる。
0<v≦(2×g×h)0.5
CFC(1A)としては、224ca、224cc、234cc、234cb、244cc、244ca、225cb、225cc、235cc、235ca、225caおよび235cbが好ましく、234cc、234cb、244cc、244ca、225cb、225cc、235cc、235ca、225caおよび235cbがより好ましい。
CFC(1A)が複数の化合物を含む場合、214cb、224ca、224cc、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、215ca、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、215cb、225caおよび235cbとの組み合わせが好ましく、234cc、234cb、244ccおよび244caとの組み合わせ、225cb、225cc、235ccおよび235caとの組み合わせ、225caと235cbとの組み合わせがより好ましい。
塩化水素が低減された後の出口ガス中に存在する所望のHFC(2A)以外の成分は、蒸留等によって望まれる程度に除去できる。分離した未反応のCFC(1A)は、再び反応器に戻すことで、HFC(2A)の製造原料としてリサイクルすることができる。このように未反応原料をリサイクルすることで、CFC(1A)と水素の反応におけるHFC(2A)の転化率が低い場合であっても、全体としてHFC(2A)の生産性を高くできる。
また、蒸留等によって除去した水素についても、再び反応器に戻すことで、製造原料としてリサイクルすることができる。
塩化水素が低減された後の出口ガスが水分を含んでおり、そこから蒸留精製により所望のHFC(2A)を回収する際、所望のHFC(2A)より低沸点の成分が水と共沸または擬共沸組成を形成する場合には、水を低沸点成分に同伴させて留出させることで、所望のHFC(2A)を、水を除いた状態で回収することができる。所望のHFC(2A)より低沸点の成分としては、HFC(2A)が254cbの場合、具体的に1-フルオロプロパン(HFC-281fa。以下、281faともいう。)、2-フルオロプロパン(HFC-281ea。以下、281eaともいう。)、フルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、フルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン等が挙げられ、HFC(2A)が245caの場合、具体的に244cc、254cb、フルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、フルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン等が挙げられ、HFC(2A)が245cbの場合、具体的にフルオロメタン、ジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、フルオロエタン、1,2-ジフルオロエタン等が挙げられる。
本発明の第2の製造方法は、CFC(1B)と水素を反応させて、塩素原子の数が0または1であるHFC(2B)を製造する方法であって、CFCの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、多段工程中の少なくとも1つの単工程が単工程(Y)であることを特徴とする。
単工程(Y)は、反応開始前のCFCと水素と塩化水素とを含み、CFCに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程である。
本発明の第2の製造方法において、最初の単工程の出発原料は本発明の第2の製造方法の出発原料であるCFC(1B)であり、最後の単工程の生成物は本発明の第2の製造方法の製造目的物であるHFC(2B)である。CFC(1B)は2個以上の塩素原子を有し、HFC(2B)は塩素原子を有さないかまたは塩素原子を1個有する。
本発明の第2の製造方法における多段工程は、単工程(Y)の連続する2工程以上からなることが好ましく、多段工程におけるすべての単工程が単工程(Y)からなることがより好ましい。
連続する2つの単工程(Y)において、前段の単工程(Y)の反応後の後処理も上記と同様である。ただし、通常は、後段の単工程(Y)における塩化水素濃度を調整するために、前段の単工程(Y)の反応後の後処理(特にアルカリ洗浄等の塩化水素低減のための処理)を行って、前段の単工程(Y)の生成物HFCを後段の単工程(Y)の出発原料CFCとして使用することが好ましい。
単工程(Y)以外の単工程が連続する2つの単工程の前段の単工程であり、後段の単工程が単工程(Y)である場合、この前段の単工程においても塩化水素が生成することより、前段の単工程の反応生成物におけるHFC(後段の単工程(Y)におけるCFCとなる化合物)に対する塩化水素濃度が10000質量ppmを超える濃度となることが少なくない。よって、この場合も、後段の単工程(Y)における塩化水素濃度を調整するために、前段の単工程の反応後の後処理を行って、前段の単工程の生成物HFCを後段の単工程(Y)の出発原料CFCとして使用することが好ましい。
CFC(1B)としては、234cc、234cb、225cb、225ccおよび225caが好ましい。
CFC(1B)が複数の化合物を含む場合、214cb、224ca、224cc、234ccおよび234cbとの組み合わせ、215ca、225cbおよび225ccとの組み合わせ、215cbと225caとの組み合わせが好ましく、234ccと234cbとの組み合わせ、225cbと225ccとの組み合わせがより好ましい。
HFC(2B)としては、254cb、245caおよび245cbが挙げられる。
ただし、本発明の第2の製造方法が塩素原子を1個有するHFC(2B)を製造することを目的とする場合は、その原料CFC(1B)は塩素原子を3個以上有するCFC(1B)である。例えば、244ccや244caを製造することを目的とする場合は、その原料CFC(1B)は214cb、224caまたは224ccであり、それらの2種以上を含む混合物であってもよい。
単工程(Y)における原料CFCや生成HFCが複数の化合物の混合物である場合、単工程(Y)における塩素原子減少数、すなわち原料CFCの1分子当たり平均の塩素原子数と生成HCFの1分子当たり平均の塩素原子数との差は、0.8~1.6が好ましく、0.9~1.4がより好ましく、1.0~1.2が特に好ましい。
単工程(Y)が多段工程の最初の単工程以外の単工程である場合、原料CFCは、前段の単工程で生成した主成分HFC(塩素原子を含むHFC)と未反応CFCや副生HFC(塩素原子を含むHFC)とを含む混合物であってもよく、未反応CFCや副生HFCを除去した後の主成分HFCであってもよい。上記混合物である場合は、原料CFCの1分子当たり平均の塩素原子数とは、前段単工程で生成した主成分HFC以外の未反応CFCや副生HFCを含む混合物の平均塩素原子数を意味する。
(234cc、244cc、244caの製造)
まず、500mLステンレス製オートクレーブに、無水塩化アルミニウム(25g)、CHCl3(500g)および224ca(100g)を入れて撹拌しながら減圧脱気した後、テトラフルオロエチレン(TFE)をオートクレーブ内が0.05MPaとなるまで供給し、オートクレーブ内を80℃に昇温した。その後、オートクレーブ内の圧力を0.8MPaで維持しながら、TFEをさらに供給した。オートクレーブに供給されたTFEは総量で0.17kgであった。
さらに1時間撹拌した後、室温まで冷却して、反応液をガスクロマトグラフィで分析したところ、CHCl3の転化率は33%であり、224caの選択率は84%であった。反応後の液を濾別し得られた粗液に、モレキュラーシーブ5Aを102g加え一晩撹拌して、脱水した。撹拌後の粗液を濾別し得られた粗生成物を蒸留精製することにより224ca(230g)を製造した。
まず、電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径25mm、長さ30cm)に2.0質量%の割合でパラジウムを担持した活性炭ペレット(15g)を充填し、窒素(N2)ガス(500NmL/min)を流しながら130℃まで昇温した。反応器を大気圧(1気圧)に維持しながら、反応器通過後の粗ガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、窒素の供給を停止し、水素(180mL/min)を供給しながら反応管を200℃に加熱した後、224ca(0.44g/min)を供給した。
反応管からの粗ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して酸分と水分とを除去した後、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、224caの転化率は98%であり、234ccが選択率24%、244ccが選択率70%、244caが選択率5%で得られた。合計1000gの224caを上記で反応させて、596gの粗生成物を得た。
まず、電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径25mm、長さ30cm)に2.0質量%の割合でパラジウムを担持した活性炭ペレット(15g)を充填し、窒素(N2)ガス(500NmL/min)を流しながら130℃まで昇温した。反応器を大気圧(1気圧)に維持しながら、反応器通過後の粗ガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、窒素の供給を停止し、水素(180mL/min)を供給しながら反応管を190℃に加熱した後、225cb(AGC社製、0.44g/min)を供給した。
反応管からの粗ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して酸分と水分とを除去した後、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、225cbの転化率は60%であり、235ccが選択率70%、235caが選択率20%で得られた。合計1000gの225cbを上記で反応させて、730gの粗生成物を得た。
まず、電気炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応装置(SUS316製、直径25mm、長さ30cm)に2.0質量%の割合でパラジウムを担持した活性炭ペレット(15g)を充填し、窒素(N2)ガス(500NmL/min)を流しながら130℃まで昇温した。反応器を大気圧(1気圧)に維持しながら、反応器通過後の粗ガス中の水分が20ppm以下になるまで触媒を乾燥した。触媒の乾燥終了後、窒素の供給を停止し、水素(180mL/min)を供給しながら反応管を190℃に加熱した後、225ca(AGC社製、0.44g/min)を供給した。
反応管からの粗ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して酸分と水分とを除去した後、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析したところ、225caの転化率は75%であり、235cbが選択率60%で得られた。合計1000gの225caを上記で反応させて、751gの粗生成物を得た。
塩浴炉を備えた円筒形反応管からなる気相反応器(インコネル(登録商標)600製、直径26mm、長さ60cmの反応管)に、活性炭(破砕炭)の100質量%に対して2.0質量%の割合でパラジウムを担持させたパラジウム触媒担持体を充填し、高さ40cmの触媒層を形成した。塩浴炉によって反応器を200℃に加熱した後、原料化合物である234ccおよび水素および塩化水素を供給し、234ccと水素(H2)の単位時間あたりのモル流量の比(234cc/H2)が1/2となり、かつ塩化水素(HCl)と234ccの単位時間あたりのモル流量の比(HCl/234cc)が各条件で定めた比となるように20秒間触媒と接触させて生成ガスを得た。生成ガスは水洗後、アルカリ洗浄塔およびモレキュラーシーブ5Aを通して、コールドトラップに捕集した。捕集した粗生成物をガスクロマトグラフィで分析した。また、原料化合物を244cc、244caに変えて、同一の実験も行った。
生成ガスの分析は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて行った。カラムには、DB-1301(長さ60m×内径250μm×厚み1μm、アジレント・テクノロジー株式会社製)を用いた。GC分析結果から、下記式で転化率、選択率、生成率を算出した。 原料化合物の転化率(%)={(反応器に供給した原料化合物の量(モル)-生成ガスに含まれる原料化合物の量(モル))/反応器に供給した原料化合物の量(モル)}×100
生成化合物の選択率(%)={生成ガスに含まれる生成化合物の量(モル)/反応で消費された原料化合物の量(モル)}×100
生成化合物の生成率(%)=(原料化合物の転化率×生成化合物の選択率)×100
表2、3中に示すように原料化合物と反応条件を変更した以外は、例1と同様にして反応を行った。原料化合物の転化率、生成した各化合物の選択率を、反応条件(塩浴炉の温度(反応温度)、原料中のHCl濃度)と併せて表2、3に示す。
原料化合物を、表4中に記載した234ccと244ccと244caの混合物と変更した事以外は、例1と同様にして反応を行った。各原料中HCl濃度での、反応生成物の化合物組成を表4に示す。
表4の結果から、複数の化合物を原料として用いた場合も、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の生成物組成のその他から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
原料化合物を、表5中に記載した225cbと235ccと235caの混合物と変更した事以外は、例1と同様にして反応を行った。各原料中HCl濃度での、反応生成物の化合物組成を表5に示す。
表5の結果から、複数の化合物を原料として用いた場合も、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の生成物組成のその他から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
原料化合物を、表6中に記載した225caと235cbの混合物と変更した事以外は、例1と同様にして反応を行った。各原料中HCl濃度での、反応生成物の化合物組成を表6に示す。
表6の結果から、複数の化合物を原料として用いた場合も、本発明のHFCの製造方法は、CFC(1A)の転化率に優れることがわかる。また、表中の生成物組成のその他から、副生成物の生成量が少ないことがわかる。
原料化合物を、234ccとして例1と同様にして反応を行った。これを1回目の反応とする。捕集した粗生成物中の塩化水素濃度を、イオンクロマトグラフ法(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、Dionex ICS-5000+ハイブリッド HPIC)により測定したのち、その粗生成物を原料化合物とし、反応温度を220℃として、1回目の反応と同様にして2回目の反応を行った。1回目、2回目それぞれの反応生成物の組成を、表7中の例10に示す。また、1回目の反応時に、アルカリ洗浄塔を使用しない事以外は例10と同様の操作を行う実験も実施した。その結果を表7中の例11に示す。
原料化合物を、225cbとして例10、11と同様にして反応を行った。その結果を表8中の例12、13に示す。
なお、2021年1月29日に出願された日本特許出願2021-013304号の明細書、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (14)
- 触媒の存在下、下記式(1A)で表されるクロロフルオロカーボン(1A)と水素を反応させて、前記クロロフルオロカーボン(1A)の1個または2個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボン(2A)を製造する方法であって、
前記触媒が、パラジウム又は白金を含み、
クロロフルオロカーボン(1A)と水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボン(1A)に対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を用いて反応させることを特徴とする、ハイドロフルオロカーボンの製造方法。
CF2Xa-Rf-CXa 3 (1A)
(式中、Xaは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のXa中の0または1個がフッ素原子であり、少なくとも1個が塩素原子であり、Rfは炭素数が1のフルオロアルキレン基である。) - 前記Rfがジフルオロメチレン基である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記クロロフルオロカーボン(1A)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1-クロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1-クロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンおよび3-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の製造方法。
- 製造される前記ハイドロフルオロカーボン(2A)が、前記クロロフルオロカーボン(1A)の1個の塩素原子が水素原子に置換されたハイドロフルオロカーボンを主成分とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記クロロフルオロカーボン(1A)と水素を気相で反応させる、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 反応温度が、150~350℃である、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
- 下記式(1B)で表されるクロロフルオロカーボン(1B)と水素を反応させて、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボン(2B)を製造する方法であって、
クロロフルオロカーボンの1個または2個の塩素原子を水素原子に置換する単工程を少なくとも2回繰り返す多段工程を有し、
前記多段工程中の少なくとも1つの単工程が、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素と塩化水素とを含み、クロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである、反応性混合物を触媒の存在下に反応させる単工程(Y)であり、
前記触媒が、パラジウム又は白金を含むことを特徴とする、塩素原子の数が0または1であるハイドロフルオロカーボンの製造方法。
CF2Xb-Rf-CXb 3 (1B)
(式中、Xbは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または塩素原子であって、4個のXb中の0または1個がフッ素原子であり、2~4個が塩素原子であり、Rfは炭素数が1のフルオロアルキレン基である。) - 前記Rfがジフルオロメチレン基である、請求項7に記載の製造方法。
- 前記クロロフルオロカーボン(1B)が、1,3-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2,3,3-テトラフルオロプロパン、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパンおよび3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7または8に記載の製造方法。
- ハイドロフルオロカーボン(2B)が、1,1,2,2-テトラフルオロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパンおよび1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7~9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記単工程(Y)における主生成物が、クロロフルオロカーボンの1個の塩素原子が水素原子に置換された化合物である、請求項7~10のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記単工程(Y)において、気相で水素を反応させる、請求項7~11のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記単工程(Y)において、反応温度150~350℃で水素を反応させる、請求項7~12のいずれか一項に記載の製造方法。
- 連続する2つの単工程において、
少なくとも後段の単工程が前記単工程(Y)であり、
前段の単工程で得られた反応混合物中の塩化水素の少なくとも一部を除去して、前段の単工程で得られたハイドロフルオロカーボンであるクロロフルオロカーボンから、反応開始前のクロロフルオロカーボンと水素を含む反応性混合物であってクロロフルオロカーボンに対する塩化水素濃度が100~10000質量ppmである反応性混合物を調整し、かかる反応性混合物を用いて後段の前記単工程(Y)を実施する、請求項7~13のいずれか一項に記載の製造方法。
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