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JP7779587B2 - 磁気接合体、tmr素子、tmr素子アレイ、磁気センサ、リニアエンコーダ用磁気センサ及び磁気式ロータリーエンコーダ - Google Patents
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JP7779587B2 - 磁気接合体、tmr素子、tmr素子アレイ、磁気センサ、リニアエンコーダ用磁気センサ及び磁気式ロータリーエンコーダ - Google Patents

磁気接合体、tmr素子、tmr素子アレイ、磁気センサ、リニアエンコーダ用磁気センサ及び磁気式ロータリーエンコーダ

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Description

本開示は、磁気接合体、TMR素子、TMR素子アレイ、磁気センサ、リニアエンコーダ用磁気センサ及び磁気式ロータリーエンコーダに関する。本願は、2022年8月9日に、日本に出願された特願2022-127029に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
人工格子型巨大磁気抵抗素子を用いた位置および回転検出装置が提案されている(特許文献1参照)。図16Aは、人工格子型巨大磁気抵抗素子の一例である。図16Aに示す人工格子型巨大磁気抵抗素子は、電極160、下地層161、強磁性層162、非磁性層163、強磁性層164、非磁性層165、繰り返し積層体166、強磁性層167が順に積層された積層構造を有する。図16Aにおいて、強磁性層162、164、167の磁化方向を矢印で図示する。繰り返し積層体166は、強磁性層と非磁性層とが繰り返し積層されたものである。
このような積層構造体において、強磁性層162と強磁性層164との間にはたらく反平行磁気結合を利用することで、外部磁界が印加されていない状態では隣接する強磁性自由層の磁化は反平行に配列する。人工格子型巨大磁気抵抗素子に検出対称の磁界が加わると、強磁性自由層の磁化が回転して積層構造体の抵抗が変化する。この現象は、巨大磁気抵抗(GMR)効果を用いたものであり、この効果を利用して磁界をセンシングする。この素子は、図16Bに示すように、素子に印加される外部磁界の印加方向の正負に対して対称な抵抗変化(以下では、偶関数型抵抗磁界(R-H)特性と呼ぶ)を示す。この素子は、当該特性を示すことで、後述の奇関数型R-H特性をもつセンサに比べ高精度な位置および回転の検出が可能であり、エンコーダに利用されている。
しかしながら、GMRセンサの場合、そのセンサの出力値に相当する抵抗変化率は高々50%程度である。より高精度な位置および回転検出の実現には、150%~200%程度の抵抗変化率を示すトンネル磁気抵抗(TMR)センサの適用が望まれる。ここで、抵抗変化率は(Rmax-Rmin)/Rminで定義され、RmaxおよびRminはそれぞれGMRまたはTMR素子の最大抵抗および最小抵抗の値である。これに対し、TMRセンサは、トンネル障壁層を挟んだ2枚の強磁性層(自由層)の間に反平行磁気結合がはたらかない。そのため、TMRセンサにおける強磁性層の磁化を反平行配列させるためには、以下に示すソフトピン型のような工夫が必要である。
磁気ヘッドなどで実用化されている通常のスピンバルブ型TMRセンサは、図17に示すように、反強磁性層170、固定層171、トンネル障壁層172、第1の自由層173の多層構造を有する。図17の(A)は、外部磁場が正方向に飽和した状態の固定層171と第1の自由層173の磁化方向を示す図である。図17の(B)は、外部磁場がゼロである状態の固定層171と第1の自由層173の磁化方向を示す図である。図17の(C)は、外部磁場が負方向に飽和した状態の固定層171と第1の自由層173の磁化方向を示す図である。
固定層171の磁化は、隣接する反強磁性層170との交換バイアスによって固定されている。第1の自由層173の磁化は、外部磁場が印加されていない状態において、固定層171の磁化と直交する方向で安定化している(非特許文献1、2参照)。第1の自由層173の磁化の方向は、永久磁石によるバイアス磁界または磁界中熱処理による誘導磁気異方性によって決定できる。しかしながら、スピンバルブ型TMRセンサは、正の磁界で素子抵抗が増大する場合、負の磁界では素子抵抗が減少し、線形応答に近いR-H特性を示す。なお、正の磁界で素子抵抗が減少する場合は、負の磁界で素子抵抗が増加する線形応答に近いR-H特性を示す。この線形応答性が劣化すると、センサの位置検出精度が劣化するという課題がある。
また、図18は、シングルソフトピン型TMRセンサ(非特許文献3、4参照)の例を示す図である。シングルソフトピン型TMRセンサは、固定層181、トンネル障壁層182、自由層183が積層された層構造を有する。図18の(A)は、自由層183の異方性磁界に対して十分大きな外部磁界を正方向に印加し、自由層183の磁化が正方向に飽和した状態における固定層181と自由層183の磁化方向を示す図である。図18の(B)は、外部磁場がゼロである状態における固定層181と自由層183の磁化方向を示す図である。図18の(C)は、自由層183の磁化が負方向に飽和した状態における固定層181と自由層183の磁化方向を示す図である。
シングルソフトピン型TMRセンサは、自由層183の磁化が固定層181の磁化と逆方向に安定化(ソフトピン)されており、偶関数型R-H特性を示す。しかしながら、素子のRminは自由層183の磁化と固定層181の磁化が直交配列の状態での抵抗であるため、スピンバルブ型と比べて抵抗変化率が小さく、110%程度である。シングルソフトピン型TMRセンサは、検出対象の磁界の方向が本来の方向である自由層の磁化困難軸方向からずれると、元来、厳密に検出磁界の正負に対し対称であった素子の偶関数型R-H特性が非対称になる。そのため、このセンサは、センサの実装時に高い位置合わせ精度が求められる点が問題である。
また、図19は、絶縁体マトリックスに強磁性ナノ粒子が分散したグラニュラーTMR素子の磁気抵抗特性を示す図である。グラニュラーTMR素子は、素子に印加される検出磁界の正負に対して厳密に対称な偶関数型R-H特性が得られる。しかしながら、グラニュラーTMR素子は、その抵抗変化率が10%程度と小さく、高感度な磁気センサには不向きである。(非特許文献5参照)
特開2021-71334号 US 2017/0154643 A1
Journal of Applied Physics 92, 4722 (2002) J. Appl. Phys. 111, 07C710 (2012) 日本磁気学会第45回学術講演会 01aB-11 日本金属学会誌 第75巻(2011)419-423 日本金属学会誌 第76巻(2012)375-379
上記をまとめると、背景技術の欠点および問題点は以下のとおりである。
人工格子型GMR素子は、抵抗変化率が最大でも50%と小さく、高感度の実現に問題がある。
スピンバルブ型TMR素子は、奇関数型R-H特性のため、高精度な位置検出には高精度な線形応答性の実現が課題である。
シングルソフトピン型TMR素子は、抵抗変化率が110%程度と、スピンバルブ型(150%~200%程度)より小さい。さらに、シングルソフトピン型TMR素子は、検出磁界の方向がずれると、R-H特性が非対称になり、位置検出精度が劣化する。
グラニュラーTMR素子は、抵抗変化率が10%程度と小さい。
本開示はこのような課題を解決するもので、抵抗変化率が大きく、検出磁界の方向のずれによりR-H特性が非対称になりにくい、磁気接合体、TMR素子、磁気センサ、TMR素子アレイ、磁気センサ、リニアエンコーダ用磁気センサ及び磁気式ロータリーエンコーダを提供することを目的とする。
[1]第1の態様にかかる磁気接合体は、磁化容易軸と前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸を有する第1の自由層11と、トンネル障壁層12と、磁化容易軸と前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸を有する第2の自由層13とを備える。トンネル障壁層12は、第1の自由層11と第2の自由層13とに挟まれる。第1の自由層11及び第2の自由層13は、強磁性の金属を含む。検出対象磁界は、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の磁化困難軸方向に印加される成分を有するように構成されている。第1の自由層11の磁化と第2の自由層13の磁化とは、外部磁界が印加されていない状態で互いに反平行な配列で安定化する。また第1の自由層11の磁化と第2の自由層13の磁化とは、第1の自由層11及び第2の自由層13の磁化困難軸方向に印加される外部磁界の強度が、飽和磁界に到達した状態で、互いに平行な配列になる。ここで、反平行な配列は、第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化のなす角度が最大で(180度)、素子の抵抗が最大となる磁化配列状態と意味する。外部磁界が増大にすると第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化のなす角度が小さくなり、第1の自由層と第2の自由層の磁化が同じ方向、すなわち平行な配列になる。この際、素子の抵抗は最小となる。
[2]上記態様に係る磁気接合体は第1の自由層11及び第2の自由層13の磁化困難軸方向に印加される前記外部磁界の強度が、飽和磁界に到達するまでの状態では、第1の自由層11の磁化及び第2の自由層13の磁化は、前記外部磁界が印加される方向に対して対称に回転し、前記外部磁界の強度の増加とともに、第1の自由層11の磁化と第2の自由層13の磁化とのなす角が小さくなり、抵抗磁界特性は、前記外部磁界が印加される方向の正負に対して対称な偶関数型の特性を示す。
[3]上記態様に係る磁気接合体において、トンネル障壁層12はMgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される何れか1種を有し、第1の自由層11と第2の自由層13は、少なくともCoFeBからなる層を有してもよい。
[4]上記態様に係る磁気接合体において、第1の自由層と第2の自由層とのうち少なくとも一方は、複数の層を含む積層体でもよい。この積層体は、CoFeBからなる層と、CoFeからなる層と、中央層と、を有する。CoFeからなる層は、前記CoFeBからなる層よりトンネル障壁層12から離れた位置にある、中央層は、前記CoFeBからなる層と前記CoFeからなる層の間の間にある。中央層は、NiFe,CoFeSiB,CoFeBTaからなる群から選択されるいずれか1種を含む。
CoFeよりなる層は、磁気結合の改善のために設けられ、前記中央層は軟磁気特性の改善のために設けられる。
[5]第2の態様に係るTMR素子は、上記態様に係る磁気接合体を有してもよい。磁気接合体は、
[強磁性層A/結合層A/強磁性層An+1/中間層A/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/中間層B/[強磁性層B/結合層Bn+1/強磁性層Bn+2
又は、
[強磁性層A/結合層An+1/強磁性層An+2/中間層A/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/中間層B/[強磁性層B/結合層B/強磁性層Bn+1
で表される積層構造体を有する。
ここで、nは0以上の整数であり、n≠0のとき、i=1,…,nおよびj=1,…,n+1であって、[強磁性層A/結合層An+1なる表記は、「強磁性層A/結合層A」の2層構造をn+1回繰り返し積層することを意味し、[強磁性層B/結合層Bなる表記は、「強磁性層B/結合層B」の2層構造をn回繰り返し積層することを意味する。
[6]上記態様に係るTMR素子において、強磁性層A、強磁性層An+1、強磁性層B、強磁性層Bn+2、強磁性層A及び前記強磁性層Bは、CoFeであってもよく、結合層A、結合層B、結合層A及び結合層Bは、Ruであってもよく、中間層A及び中間層Bは、Cu,Ag,Cr,Ru及びAgSnからなる群から選択される少なくとも一種を有してもよく、トンネル障壁層はMgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される何れか1種を有してもよく、前記第1の自由層と前記第2の自由層は、少なくともCoFeBからなる層を有してもよい。
[7]上記態様に係るTMR素子は、上記態様に係る磁気接合体を有してもよい。磁気接合体は、
第1の反強磁性層/第1の強磁性層/第1の交換結合層/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/第2の交換結合層/第2の強磁性層/第2の反強磁性層/
で表される積層構造体を有し、
前記第1の交換結合層と前記第2の交換結合層は、Ru又はCrであって、第1の強磁性層と第1の自由層との間の磁気結合と、第2の強磁性層と第2の自由層との間の磁気結合とは、一方が反強磁性結合であり、他方が強磁性結合であってもよい。
[8]上記態様に係るTMR素子において、第1の反強磁性層及び第2の反強磁性層はIrMn、PtMn、FeMn、NiMnの少なくとも一種類であってもよく、第1の強磁性層及び第2の強磁性層はCoFeであってもよく、第1の交換結合層及び第2の交換結合層はRuであってもよく、前記トンネル障壁層は、MgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される1種であってもよく、前記第1の自由層と前記第2の自由層は、少なくともCoFeBからなる層を有してもよい。
[9]上記態様に係るTMR素子は、上記態様に係る磁気接合体を有してもよい。磁気接合体は、
反強磁性層A/ダスト層A/[強磁性層A/結合層A/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/[結合層B/強磁性層Bn+1/ダスト層B/反強磁性層B/
又は、
反強磁性層A/ダスト層A/[強磁性層A/結合層An+1/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/[結合層B/強磁性層B/ダスト層B/反強磁性層B/
で表される積層構造体を有してもよい。
ここで、nは0以上の整数であり、n≠0のとき、i=1,…,nおよびj=1,…,n+1であって、[強磁性層A/結合層An+1なる表記は、「強磁性層A/結合層A」の2層構造をn+1回繰り返し積層することを意味し、[結合層B/強磁性層Bなる表記は、「結合層B/強磁性層B」の2層構造をn回繰り返し積層することを意味する。
[10]上記態様に係るTMR素子は、反強磁性層A及び反強磁性層Bは、IrMn、PtMn、FeMn、NiMnからなる群から選択される少なくとも一種以上を有してもよく、強磁性層A、強磁性層B、強磁性層A、強磁性層Bは、CoFeであってもよく、結合層A、結合層B、結合層A、結合層BはRuであってもよく、ダスト層A及びダスト層Bは1nm以下の厚さのRuであってもよく、前記トンネル障壁層はMgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される少なくとも1種以上を有してもよく、前記第1の自由層と前記第2の自由層は、少なくともCoFeBからなる層を有してもよい。
[11]上記態様に係るTMR素子は、検出対象磁界がゼロの状態で最大抵抗を示し、第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化とが反平行な配列を示してもよい。またTMR素子は、前記検出対象磁界の印加によって抵抗が減少し、前記第1の自由層及び第2の自由層の磁化はともに回転し、前記検出対象磁界の強度の増加とともに第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化とのなす角が小さくなってもよい。
[12]上記態様に係るTMR素子は、検出対象磁界の印加方向を前記第1の自由層及び第2の自由層の磁化困難軸方向の向きから10°傾けた時、磁界H1の印加方向の正負に対する抵抗値の磁界非対称性が1%以内、より好ましくは0.5%であってもよい。ここで、磁界H1は、抵抗磁界(R-H)特性の実験データに準拠した曲線の微分(dR/dH)が最大になる点における前記実験データに準拠した曲線に対する接線を定め、前記実験データに準拠した曲線と接線の差分を前記実験データの抵抗値の最大値で割って規格化した値が20%となる磁界である。また磁界非対称性は、素子抵抗Rが磁界Hの関数としてR(H)と表されるとき、H=H’(>0)におけるR-H曲線の非対称性を
Asy(H’)=[R(H’)-R(-H’)]/[(R(H’)+R(-H’)](%)
で定義したものであり、磁界H1に対する抵抗の非対称性を定義したものである。
[13]上記態様に係るTMR素子において、積層構造体は、基板/下部電極/下地層/反強磁性層からなる第1構造と、反強磁性層/キャップ層からなる第2構造との間に位置してもよい。
[14]上記態様に係るTMR素子において、積層構造体は、基板/下部電極/下地層からなる第3構造と、キャップ層からなる第4構造との間に位置してもよい。
[15]上記態様に係るTMR素子において、前記基板は、シリコンウェハ、若しくはAlTiC又はアルミナよりなるセラミックスウェハであってもよく、前記下地層はTaとRuとの積層構成であってもよく、前記反強磁性層はIrMn、PtMn、FeMn、NiMnからなる群から選択されるいずれか一種類であってもよく、キャップ層はRuであってもよい。
[16]第3の態様に係る磁気センサは、上記態様に係るTMR素子を4個用いた、ブリッジ回路を有する。
[17]第4の態様に係るTMR素子アレイは、上記態様に係るTMR素子を直列又は並列の少なくとも一つの態様で複数個接続したものである。
[18]上記態様に係る磁気センサは、上記態様に係るTMR素子アレイをブリッジ回路接続したものでもよい。
[19]第5の態様に係るリニアエンコーダ用磁気センサ、又は、第6の態様に係る磁気式ロータリーエンコーダは、上記態様に係るTMR素子又は上記態様に係る磁気センサを有している。
本開示のTMR素子は、偶関数型のR-H特性を示し、奇関数型のスピンバルブ型と同等の150%超える抵抗変化率を示す。この抵抗変化率は、シングルソフトピン型TMRセンサの約1.5倍に相当している。そのため、本開示のTMR素子を用いた磁気センサは、高感度であり、より高精度な位置検出ができる。
本開示のTMR素子は、検出対象磁界の向きが自由層の磁化困難軸方向からずれても、従来のシングルソフトピン型に比べ、R-H特性の非対称性が小さく、より高精度な位置検出ができ、実装性に優れる。
本開示のTMR素子は、中間層、結合交換層又はダスト層の厚みなどを工夫して、位置検出磁界に応じた飽和磁界の調整が可能である。
第1実施形態に係る磁気接合体の磁化状態と抵抗磁界特性を説明する図であり、典型的な三類型の磁化モードでの自由層(強磁性層)の磁化方向を示す。 第1実施形態に係る磁気センサの第1積層類型の第1例(n=0)の積層構造体を示す図である。 第1実施形態に係る磁気センサの第1積層類型の第2例(n≧1)の積層構造体を示す図である。 第1実施形態に係る磁気センサの第2積層類型の第1例(n≧1)の積層構造体を示す図である。 第2実施形態に係る磁気センサの第1積層類型の第1例(n=0)の積層構造体を示す図である。 第2実施形態に係る磁気センサの第1積層類型の第2例(n≧1)の積層構造体を示す図である。 第2実施形態に係る磁気センサの第2積層類型の第3例(n≧1)の積層構造体を示す図である。 第3実施形態に係る磁気センサの第3積層類型の第1例の積層構造体を示す図である。 第4実施形態に係る磁気センサの第4積層類型の第1例(n=0)の積層構造体を示す図である。 第4実施形態に係る磁気センサの第4積層類型の第2例(n≧1)の積層構造体を示す図である。 第4実施形態に係る磁気センサの第5積層類型の第1例(n≧1)の積層構造を示す図である。 第1積層類型から第5積層類型の磁気センサを用いたTMRセンサの積層構造を示す図である。 本発明の一実施例である、表1に示す積層構造の第1積層類型の積層体の抵抗-磁界曲線を示す図で、破線と実線は中間層Aと中間層Bの厚みが異なる組み合わせに対するものである。 第1積層類型の積層体(n=0)の第1の自由層の磁化曲線を示す図である。 種々の積層構成における中間層厚さと自由層のソフトピン磁界強度Hpinの関係を示す図である。 抵抗-磁界曲線における磁界H1の定義を示す図である。 表1の構成の磁気センサの磁界印加角度のずれ角(θ)を示す図である。 表1の構成の磁気センサの磁界印加角度のずれ角(θ)が異なる場合の、抵抗-磁界曲線の変化を示す図である。 第3積層類型の積層体のアニール温度の相違による抵抗変化率の説明図である。 実施例と比較例に対する抵抗-磁界曲線の磁気センサの磁界印加角度のずれ角(θ)による磁界H1における非対称性の変化を示す図である。 本実施形態に係るデュアルソフトピンTMRセンサのH1非対称性のシミュレーション結果を示す図である。 比較例であるシングルソフトピンTMRセンサのH1非対称性のシミュレーション結果を示す図である。 本実施形態に係るデュアルソフトピンTMRセンサの抵抗-磁界曲線のシミュレーション結果を示す図である。 比較例であるシングルソフトピンTMRセンサの抵抗-磁界曲線のシミュレーション結果を示す図である。 本実施形態に係るデュアルソフトピンTMRセンサのTMR素子部を、複数個直列で接続した実施例を示す構成斜視図である。 本実施形態に係るデュアルソフトピンTMRセンサのTMR素子部を、複数個並列接接続と直列接続を組み合わせた実施例を示す構成斜視図である。 本実施形態に係るブリッジ構成を用いたエンコーダの回路図である。 人工格子型GMRセンサの積層構造の構成断面図で、強磁性層の磁化方向も示してある。 人工格子型GMRセンサの積層構造の抵抗-磁界曲線である。 スピンバルブ型TMRセンサの抵抗-磁界曲線を示す図で、併せて典型的な三類型の磁化モードでの自由層(強磁性層)の磁化方向も示してある。 ソフトピン型TMRセンサの抵抗-磁界曲線を示す図で、併せて典型的な三類型の磁化モードでの自由層(強磁性層)の磁化方向も示してある。 グラニュラーTMRの抵抗変化率-磁界曲線の一例を示す図である。 本実施形態に係る磁気センサが適用される磁気式リニアエンコーダの構成斜視図である。 本実施形態に係る磁気センサが適用される磁気式ロータリーエンコーダの構成図である。
以下、本開示を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。
本開示の磁気センサは、トンネル磁気抵抗(TMR)素子を用いるとよく、第1の自由層(強磁性体の金属)、トンネル障壁層(絶縁体の酸化物)、第2の自由層(強磁性体の金属)の3層構造を基本とする。トンネル障壁層は、第1の自由層と第2の自由層とに挟まれ、第1の自由層と第2の自由層を磁気的に分離する。TMR素子は、トンネル磁気抵抗効果を示し、第1の自由層と第2の自由層の間に電圧を印加した際に、センサの抵抗値が第1の自由層と第2の自由層の磁化の相対角度に依存して変化する。
本開示の磁気センサは、図1の(A)~(C)に示すように、第1の自由層11、トンネル障壁層12、第2の自由層13を有する。トンネル障壁層12は、第1の自由層11と、第2の自由層13とに挟まれる。第1の自由層11、第2の自由層13は、強磁性層であり、例えばCoFeBであることが好ましいが、これに限定されない。トンネル障壁層12は、MgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される少なくとも一種類を用いることが好ましい。また第1の自由層11又は第2の自由層13は、複数の層を含む積層体でもよい。積層体は、例えば、CoFeBからなる層と、CoFeからなる層と、中央層と、を有する。TMR特性に優れるCoFeBは、トンネル障壁層12の近くに配置することが好ましく、トンネル障壁層12から離れた位置にある他の層との境界面の近傍にCoFeを配置してもよい。中央層は、これらの層の間に配置され、軟磁性に優れるNiFe,CoFeSiB,CoFeBTaなどを用いることができる。
図1の(B)に示すように、トンネル障壁層12をはさんだ第1の自由層11、第2の自由層13の磁化は、無磁界下で互いに反平行な配列で安定化する。磁気センサは、例えば、検出対象磁界がその垂直方向(自由層の困難軸方向)にかかるように配置されている。
外部磁界を第1の自由層11、第2の自由層13の磁化困難軸方向(無磁界下での第1の自由層11、第2の自由層13の磁化方向の直交方向)に印加すると、第1の自由層11、第2の自由層13の磁化は外部磁界方向に対して対称に回転する。外部磁界強度の増加とともに、第1の自由層11、第2の自由層13の磁化のなす角は小さくなり、図1の(A)又は(C)の状態となる。図1の(A)及び(B)の状態では、図1の(C)の状態より素子抵抗が低下する。第1の自由層11および第2の自由層13の磁化の一方向への磁気異方性は、後述するように、検出対象磁界の大きさに適した強さに設定される。飽和磁場の大きさおよび自由層の透磁率は、磁気異方性の強度(ソフトピン磁界強度)で決まる。
図1の(D)は、本開示の磁気センサにおける磁界と抵抗との関係を示す。図1(D)に示すように、素子の磁気抵抗は、無磁界下で最大化し、外部磁界強度の増加とともに、低下する。外部磁界を第1の自由層11、第2の自由層13の磁化困難軸方向に印加すると、第1の自由層11、第2の自由層13の磁化は外部磁界に対して対称に回転し、外部磁界強度の増加とともに、第1の自由層11の磁化と第2の自由層13の磁化とのなす角が小さくなるためである。本開示の磁気センサは、外部磁界の符号の正負に対して対称な偶関数型抵抗磁界特性が得られる。外部磁界の符号は、例えば、磁化困難軸方向の一方向を正と規定し、反対の方向を負と規定する。
本開示の磁気センサにおける具体的なTMRセンサの積層構造として、以下の態様が考えられる。なお、本明細書において、以下では本開示に係る磁気センサを「デュアルソフトピンTMRセンサ」と呼ぶこととする。
本開示の磁気センサの各層の材料としては、以下のものが代表的である。下地層としてはTaとRuとが積層された積層構成を用いることができる。反強磁性体としてはIrMn、PtMn、FeMn、NiMnからなる群から選択されるいずれか1種以上を用いることができる。強磁性層としてはCoFeを用いることができる。結合層としてはRuを用いることができる。中間層としてはCu,Ag,Cr,Ruなど非磁性体、好ましくはAgSnを用いることができる。キャップ層としてはRuを用いることができる。
また、以下の第1積層類型及び第2積層類型において、反強磁性層をもちいずに、積層構造の最も下および最も上の強磁性層を、CoPtなどハード磁性膜に置き換えてもよい。
自由層(第1の自由層11及び第2の自由層13)はCoFeBからなる層の単層構造でもよいが、更に磁気特性を高めるために積層構成としてもよい。自由層の積層構成としては、例えば、CoFeBからなる層と、CoFeからなる層と、中央層と、を有してもよい。TMRに優れるCoFeBからなる層は、CoFeからなる層より、トンネル障壁層12側に設けられる。CoFeBからなる層とCoFeからなる層との間の中央部分には軟磁性に優れるNiFe,CoFeSiB,CoFeBTaなどを用いる。
図2Aは、第1実施形態に係る第1積層類型の積層構造体の第1例(n=0)を示す図である。
第1積層類型の第1例(n=0)の積層構造体は、電極20/下地層20a/反強磁性層21/強磁性層22/中間層23/第1の自由層24/トンネル障壁層25/第2の自由層26/中間層27/強磁性層28/結合層28a/強磁性層28b/反強磁性層29/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。ここで「/」は、各層の積層界面を示し、「/」を挟んで、この順に積層されている。
中間層23、27は例えばAgSnである。中間層23を挟む強磁性層22と第1の自由層24との間には、強磁性的な層間結合がはたらき、中間層27を挟む強磁性層28と第2の自由層26との間には、強磁性的な層間結合がはたらく。結合層28aは例えばRuで、結合層28aを挟む両側の強磁性層28、28bを強固に反平行結合させる。
図2Bは第1実施形態に係る第1積層類型の積層構造体の第2例(n≧1)を示す図である。
第1積層類型の第2例(n≧1)の積層構造体は、電極20/下地層20a/反強磁性層21/積層体22p(=[強磁性層22a/結合層22b]n回繰り返し)/強磁性層22/中間層23/第1の自由層24/トンネル障壁層25/第2の自由層26/中間層27/強磁性層28/積層体28p(=[結合層28a/強磁性層28b]n+1回繰り返し)/反強磁性層29/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
図2Cは、第1実施形態に係る第2積層類型の積層構造の第1例(n≧1)を示す図である。図2Cは、図2Bで示す第1積層類型の積層体における[強磁性層22a/結合層22b]nと[結合層28a/強磁性層28b]n+1の積層順を入れ替えたものである。
第2積層類型の第1例(n≧1)は、電極20/下地層20a/反強磁性層21/積層体22p’(=[強磁性層22c/結合層22d]n+1回繰り返し)/強磁性層22/中間層23/第1の自由層24/トンネル障壁層25/第2の自由層26/中間層27/強磁性層28/積層体28p’(=[結合層28c/強磁性層28d]n回繰り返し)/反強磁性層29/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
ここで、図2Bに示す第1積層類型(n≧1)の積層構造体は、一般式として、次のようにも表現できる。
第1積層類型:下地層/反強磁性層A/[強磁性層A/結合層A/強磁性層An+1/中間層A/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/中間層B/[強磁性層B/結合層Bn+1/強磁性層Bn+2/反強磁性層B/キャップ層
また、図2Cに示す第2積層類型(n≧1)の積層構造体は、一般式として、次のようにも表現できる。
第2積層類型:下地層/反強磁性層A/[強磁性層A/結合層An+1/強磁性層An+2/中間層A/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/中間層B/[強磁性層B/結合層B/強磁性層Bn+1/反強磁性層B/キャップ層
ここで、nは0以上の整数であり、n≠0のとき、i=1,…,nおよびj=1,…,n+1である。[強磁性層A/結合層An+1とは、「強磁性層A/結合層A」の2層構造をn+1回繰り返し積層することを意味する。すなわち、n=1のとき、[強磁性層A/結合層An+1/強磁性層An+2とは、強磁性層A/結合層A/強磁性層A/結合層A/強磁性層Aの積層体である。
このように構成された装置の動作を説明する。
第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化とは、無磁界下で反平行配置となる。その実現手段は以下の通りである。強磁性層Aは、反強磁性層Aに積層される。反強磁性層Bは、強磁性層Bに積層される。n≠0のとき、磁性層Aを含む積層体の強磁性層/結合層の積層回数と、磁性層Bを含む積層体の強磁性層/結合層の積層回数とは、いずれか一方が偶数で、他方が奇数である。また、結合層をはさんだ両側の強磁性層の磁化は互いに反平行に磁気結合する。これらの積層構造を成膜後、磁界下で熱処理(300℃程度)し、室温に戻すと、強磁性層A及び強磁性層Bの磁化は一方向磁気異方性によって同方向に固定される。結合層の反平行磁気結合を介して、第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化とは、互いに逆方向の一方向磁気異方性をもち、第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化とは、無磁界下で反平行な配列となる。
第1積層類型および第2積層類型において、外部磁界を第1の自由層、第2の自由層の困難軸方向(無磁界下での第1の自由層、第2の自由層の磁化方向の直交方向)に印加すると、第1の自由層、第2の自由層の磁化は外部磁界方向に対して対称に回転する。外部磁界強度の増加とともに、第1の自由層の磁化と第2の自由層の磁化とのなす角は小さくなり、素子抵抗は低下する。これによって、第1積層類型および第2積層類型の積層構造体は、外部磁界が印加される方向の正負に対して対称な偶関数型抵抗磁界特性を示す。飽和磁場の大きさおよび自由層の透磁率は、第1の自由層、第2の自由層のソフトピン強度で決まるが、これは中間層の厚みや材料(AgSnなど)で所望の大きさに調整できる。
図3Aは、第2実施形態に係る第1積層類型の積層構造体の第1例(n=0)を示す図である。図3Aに示す積層構造体は、図2Aに示す第1積層類型(n=0)の積層構造体の変形例である。
第2実施形態に係る第1積層類型の第1例(n=0)は、電極30/下地層30a/反強磁性層31/強磁性層32/中間層33/第1の自由層34/トンネル障壁層35/第2の自由層36/中間層37/強磁性層38/結合層38a/強磁性層38b/反強磁性層39/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
図3Bは、第2実施形態に係る第1積層類型の積層構造体の第2例(n≧1)を示す図である。図3Bに示す積層構造体は、図2Bに示す第1積層類型(n≧1)の積層構造体の変形例である。
第2実施形態に係る第1積層類型の第2例(n≧1)は、電極30/下地層30a/反強磁性層31/積層体32p(=[強磁性層32a/結合層32b]n回繰り返し)/強磁性層32/中間層33/第1の自由層34/トンネル障壁層35/第2の自由層36/中間層37/積層体38p(=強磁性層38/[結合層38a/強磁性層38b]n+1回繰り返し)/反強磁性層39/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
図3Cは、第2実施形態に係る第2積層類型の積層構造体の第1例(n≧1)を示す図である。図3Cに示す積層構造体は、図2Cに示す第2積層類型(n≧1)の積層構造体の変形例である。
第2実施形態に係る第2積層類型の第1例(n≧1)は、電極30/下地層30a/反強磁性層31/積層体32p’(=[強磁性層32c/結合層32d]n+1回繰り返し)/強磁性層32/中間層33/第1の自由層34/トンネル障壁層35/第2の自由層36/中間層37/強磁性層38/積層体38p’(=[結合層38c/強磁性層38d]n回繰り返し)/反強磁性層39/キャップ層(図示せず)となっている。
図3A~図3Cに示す構成において、図2A~図2Cに示す各層の名称は同じであり、図2A~図2Cと同様の構成を用いることができる。図3A~図3Cに示す積層体は、第1の自由層34/トンネル障壁層35/第2の自由層36に対する強磁性層32、38の磁化方向が反平行である点で、第1の自由層24/トンネル障壁層25/第2の自由層26に対する強磁性層22、28の磁化方向が平行である図2A~Cに示す積層体と相違している。
図4は、第3実施形態に係る第3積層類型の積層構造を示す図である。
第3積層類型の積層構造は、電極40/下地層40a/反強磁性層41/強磁性層42/交換結合層43/第1の自由層44/トンネル障壁層45/第2の自由層46/交換結合層47/強磁性層48/反強磁性層49/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
交換結合層43、47は、Ru,Cr,Ir,Rhなどである。交換結合層43の膜厚によって強磁性層42と第1の自由層44の層間結合を、反強磁性結合と強磁性結合の2種類のいずれかとすることができる。交換結合層47の膜厚によって強磁性層48と第2の自由層46の層間結合を、反強磁性結合と強磁性結合の2種類のいずれかとすることができる。交換結合層43の膜厚が、強磁性層42と第1の自由層44の層間結合が反強磁性結合となる膜厚の場合は、交換結合層47の膜厚を、強磁性層48と第2の自由層46の層間結合が強磁性結合となる膜厚とする。交換結合層43の膜厚を、交換結合層43を挟む層の磁化配列が強磁性結合となる膜厚とする場合は、交換結合層47の膜厚を、交換結合層47を挟む層の磁化配列が反強磁性結合となる膜厚とする。
第3積層類型の特性は、後で図14を参照して説明する。
図5Aは、第4実施形態に係る第4積層類型の積層構造体の第1例(n=0)を示す図である。
第4積層類型の第1例(n=0)は、電極50/下地層50a/反強磁性層51/ダスト層53/第1の自由層54/トンネル障壁層55/第2の自由層56/結合層57/強磁性層58/ダスト層58a/反強磁性層59/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
ダスト層53およびダスト層58aは、1nm以下の厚さのRuなど非磁性層で、反強磁性体の交換バイアスを弱めるはたらきをしている。
図5Bは、第4実施形態に係る第4積層類型の積層構造体の第2例(n≧1)を示す図である。
第4積層類型の第2例(n≧1)は、電極50/下地層50a/反強磁性層51/ダスト層53/積層体53p(=[強磁性層53a/結合層53b]n回繰り返し)/第1の自由層54/トンネル障壁層55/第2の自由層56/積層体58p(=[結合層57/強磁性層58]n+1回繰り返し)/ダスト層58a/反強磁性層59/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
図5Cは、第4実施形態に係る第5積層類型の積層構造体の第1例(n≧1)を示す図である。
第5積層類型の第1例(n≧1)は、電極50/下地層50a/反強磁性層51/ダスト層53/積層体53p’(=[強磁性層53c/結合層53d]n+1回繰り返し)/第1の自由層54/トンネル障壁層55/第2の自由層56/積層体58p’(=[結合層57c/強磁性層58c]n回繰り返し)/ダスト層58a/反強磁性層59/キャップ層(図示せず)で表される積層構造を有する。
ここで、図5Bに示す第4積層類型の第2例(n≧1)の積層構造体は、一般式として、次のようにも表現できる。
第4積層類型:下地層/反強磁性層A/ダスト層A/[強磁性層A/結合層A/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/[結合層B/強磁性層Bn+1/ダスト層B/反強磁性層B/キャップ層
また、図5Cに示す第5積層類型の積層構造の第1例(n≧1)は、一般式として、次のようにも表現できる。
第5積層類型:下地層/反強磁性層A/ダスト層A/[強磁性層A/結合層An+1/第1の自由層/トンネル障壁層/第2の自由層/[結合層B/強磁性層B/ダスト層B/反強磁性層B/キャップ層
ここで、nは0以上の整数であり、n≠0のとき、i=1,…,nおよびj=1,…,n+1である。
図6は、第1積層類型から第5積層類型の積層構造体を用いたTMRセンサの構成を示す図である。
TMRセンサは、基板600/下部電極602/積層体層604C/上部電極606、の積層構造を有する。積層体層604Cは、第1積層類型~第5積層類型の何れか1種類の積層構造体である。積層体層604Cは、各層を積層した後に、フォトリソグラフィなどで所定の形状にパターニングすることで得られる。基板600はシリコンウェハやAlTiCやアルミナのセラミックスウェハであり、下部電極602および上部電極606にはCu、Au、Ruなどを用いる。
積層体層604Cの左右の隣接領域には、絶縁層604L、604Rが設けられる。
〈磁性特性評価例1:膜構成とR-H特性〉
表1に示す積層類型1のn=0の構造をもつTMRセンサを作製した。このTMRセンサは、図2Aに示す第1積層類型(n=0)の積層構造をしている。また、図8Bに示す第2積層類型(n=1、2)の積層構造をもつTMRセンサも作製した。
成膜後に素子に微細加工をおこなった後に、磁界中熱処理を300℃、1時間でおこなった。図7にR-H特性を示す。ここでは抵抗値を抵抗変化率に規格化している。図7では、中間層A(AgSn)および中間層Bの厚さが異なる2種類の試料の特性を示す。いずれも偶関数型R-H特性と、160%程度の抵抗変化率を示すが、中間層Aおよび中間層Bの厚さの違いによって、飽和磁界の値と、抵抗変化率の磁界変化に対する傾き(すなわち感度)が調整されている。なお、この抵抗変化率は、同一の熱処理条件で作製されたスピンバルブ型TMRセンサの抵抗変化率と同等であり、図18に示す従来技術のシングルソフトピン型TMR素子の110%に比べ改善されている。
〈磁性特性評価例2:自由層のソフトピン磁界制御〉
図8A及び図8Bは、第1積層類型および第2積層類型の積層構造体の第1の自由層、第2の自由層の飽和磁場および透磁率を、中間層A及び中間層Bの膜厚によって制御できることを示す。まず、図8Aは、第1積層類型(n=0)の積層構造体の第1の自由層の磁化曲線を測定したものである。磁化曲線は、中間層A(AgSnを用いている)の膜厚の異なるサンプルのそれぞれで測定した。ここで、各層の材料および膜厚は表1と同等である。第1の自由層のヒステリシスカーブの中心は磁界ゼロからシフトしているが、このシフトの大きさが第1の自由層に対する一方向磁気異方性の大きさであり、ここではソフトピン磁界Hpinと呼ぶものであり。Hpinの大きさを制御することにより、TMRセンサの動作磁界範囲を制御できる。図8は、様々な積層構造について、AgSnからなる中間層の膜厚に対してソフトピン磁界Hpinをプロットしたものである。いずれの場合においても、中間層の膜厚の増大とともにHpinは減少する。これらのデータから、所望のHpinを得るための中間層の適切な膜厚を知ることができる。また、AgSn中間層の膜厚をここに示す2.2nmまたは2.3nmよりもさらに薄くすることによって、さらに大きなHpinが得られることが容易に推測される。
〈磁性特性評価例3:R-H特性の非対称性(実験)〉
まず、図9に記載の方法で、磁界H1を定義する。これは、図1,図7,図9のようなR-H特性では、抵抗Rの値が一定になる磁界、すなわち飽和磁界を定義することは難しいため、飽和磁界に代わるものとして磁界H1を定める。R-H特性の実験データの微分、dR/dHが最大になる点において実験データに接線を引き、実験データと接線の差分を実験データの抵抗値の最大値で割って規格化した値(Δ/Rmax)が20%となる磁界を磁界H1と定義する。この実験データに対する磁界H1は7.0mTである。
図10AにデュアルソフトピンTMRセンサの自由層の磁化困難軸(容易軸EAの直交方向)に対し、ずれ角θだけ外部磁界Hを傾けた状態を示している。図10Bは、図10Aに示したずれ角θだけ傾けた状態で外部磁界をデュアルソフトピンTMRセンサの自由層に印加した際のR-H曲線を示す。これは本センサを位置検出センサとして実装する際に、センサを適切な方向(自由層の困難軸)からずらして配置したときに、センサの出力波形がどれだけ歪むかを意味し、位置検出の誤差に直結する。
R-H曲線の非対称性は、以下で定義した。素子抵抗Rが磁界Hの関数としてR(H)と表されるとき、H=H’(>0)におけるR-H曲線の非対称性を次式で定義する。
Asy(H’)=[R(H’)-R(-H’)]/[(R(H’)+R(-H’)](%)
以下では、H=H1における非対称性、すなわちAsy(H1)(H1非対称性、と呼ぶ)の値を用いる。
実施例として、表1のデュアルソフトピンTMRセンサと、比較例として表2に示すシングルソフトピンTMRセンサとを準備した。図11は、実施例及び比較例におけるH1非対称性のずれ角θ依存性を示す。比較例の積層構造は、下地層/反強磁性A/強磁性層A/中間層A/第1の自由層/トンネル障壁層/強磁性層B2/結合層B/強磁性層B2/反強磁性層B/キャップ層である。比較例、実施例いずれの場合も、ずれ角θの増加に従ってH1非対称性が線形に増加する。しかしながら、比較例に比べ実施例は、磁界H1における非対称性の値が小さい。θ=20°までの範囲における、H1における非対称性の値は、実施例が比較例の約1/30の大きさである。
図10Cは、第3実施形態に係る第3積層類型の積層構造体の抵抗変化率のアニール温度の依存性についての説明図である。第3積層類型のセンサのアニール温度が300℃では、外部磁界が0mTのとき、抵抗変化率(dR/Rmin)の最大値が170%である。これに対し、アニール温度が350℃では、外部磁界が0mTのとき、抵抗変化率(dR/Rmin)の最大値が210%を達成している。即ち、外部磁界が0mTのとき、抵抗変化率(dR/Rmin)の最大値が200%を超える特性は、アニール温度が335℃以上360℃以下で得られる。
〈磁性特性評価例4:R-H特性の非対称性(シミュレーション)〉
R-H曲線の非対称性について、シミュレーションをおこなった。
図12Aは、本実施形態に係るデュアルソフトピンTMRセンサのH1非対称性である。第1の自由層、第2の自由層のHpinの大きさは同じであることが望ましい。第1の自由層、第2の自由層のHpinの大きさを同一にするためには、中間層あるいはダスト層の膜厚を精密に制御する必要がある。ここでは、第1の自由層、第2の自由層のHpinの比を6:6から6:3まで変えてH1非対称性の計算をおこなった。Hpinの比が6:6、すなわち同じ値であれば、いかなるずれ角θの値に対してもH1非対称性はゼロである。一方、第1の自由層、第2の自由層のHpinの大きさの非対称性が大きくなるにつれ、R-H曲線のH1非対称性は大きくなる。またH1非対称性はずれ角θに対し線形増加する。
図12Bは、比較例であるシングルソフトピンTMRセンサのH1非対称性を示す。シングルソフトピンTMRセンサのH1非対称性はずれ角θに対し線形増加するが、その大きさはデュアルソフトピンTMRセンサに比べはるかに大きい。例えば、シングルソフトピンTMRセンサのθ=10°におけるH1非対称性は9.6%であり、デュアルピンTMRセンサのθ=10°におけるH1非対称性、0.6%、1.4%、2.4%(それぞれHpinの比,6:6,6:5.6:3に対応)に比べはるかに大きい。実際上、第1の自由層、第2の自由層のHpinを6:5程度の差、またはそれよりも均等な値に合わせることは十分可能であり、図12A、図12Bの実験データに見られるように、デュアルソフトピンTMRセンサは、θ=10°におけるH1非対称性を1%以下に抑えることができ、外部磁界の符号の正負(外部磁場の印加方向)に対する抵抗値の対称性の高いR-H特性を示す。
図13Aおよび図13BにそれぞれデュアルソフトピンTMRセンサとシングルソフトピンTMRセンサのR-H曲線の計算値を示す。図13Aは、デュアルソフトピンTMRセンサのR-H曲線であり、図13Bは、シングルソフトピンTMRセンサのR-H曲線である。デュアルソフトピンTMRセンサの場合、ずれ角θがゼロでない場合でも、H1より十分大きな値の磁界(飽和磁界)を印加した際に、磁界の絶対値が同じであれば符号の正負によらず、ほぼ同一の抵抗値を示す。一方で、シングルソフトピンTMRセンサの場合、ずれ角θがゼロでない場合、飽和磁界では、磁界の絶対値が同じでも符号の正負によって異なった抵抗値を示す。ずれ角θにかかわらず、飽和磁界の絶対値が同じであれば符号の正負によらず素子抵抗が一致することは、デュアルソフトピンTMRセンサの特徴の一つである。
以上のことから、デュアルソフトピンTMRセンサを用いると、従来のシングルソフトピンTMRセンサに比べて、センサの実装時に測定磁界に対してセンサの向きに角度のずれが生じた場合でも、センサのR-H特性の非対称性を低減することができる。
〈TMR素子アレイ構成〉
図14Aは、デュアルソフトピンTMRセンサのTMR素子100を、複数個直列で接続した実施例を示す構成斜視図である。図14に示すTMR素子100は、上部電極E1と下部電極E2を介して直列に接続さえている。図14Bは、デュアルソフトピンTMRセンサのTMR素子100を、上部電極E1と下部電極E2を介して、複数個並列及び直列接続した実施例を示す構成斜視図である。
TMR素子アレイは、デュアルソフトピンTMRセンサのTMR素子100を、複数個直列で接続してもよいし、並列に接続してもよいし、またはその組み合わせとしてもよい。これにより、各TMR素子100.にかかる加わるバイアス電圧を分散させるとことができ、高バイアス電圧によって抵抗変化率が低下する問題を軽減することができる。
〈ブリッジ構成〉
デュアルソフトピンTMR素子を位置検出センサとして用いる場合には、図15のブリッジ回路構成を用いるとよい。図15は本実施形態にかかるブリッジ構成を用いたエンコーダの回路図である。素子157a~157dのそれぞれは、図1に示したデュアルソフトピンTMRセンサを示す。電流源155からアース156に向けて、電流は、素子157aと素子157bを繋ぐラインと、素子157cと素子157dを繋ぐラインと、のそれぞれに並列に流れる。エンコーダは、素子157aと素子157bの中間電位153と、素子157cと素子157dの中間電位154と、をセンサ出力として検出する。
次に、本実施形態に係るTMR素子及び磁気センサを用いた磁気式リニアエンコーダ及び磁気式ロータリーエンコーダを説明する。
図20は、本実施形態に係る磁気センサ200が適用された磁気式リニアエンコーダの構成斜視図である。磁気式リニアエンコーダは、磁気スケール201として、N極とS極が交互に着磁された永久磁石シートを有する。この磁気スケール201(永久磁石シート)の表面上の位置を磁気センサ200で検出する。
図21は、本実施形態に係る磁気センサ300が適用された磁気式ロータリーエンコーダの構成斜視図である。磁気式ロータリーエンコーダは、回転体302の周面上にN極とS極が交互に着磁された永久磁石領域301が設けられている。磁気式ロータリーエンコーダは、この永久磁石領域301の回転角を磁気センサ300で検出する。
ここまで本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本開示のTMR素子及びこれを用いた磁気センサによれば、抵抗変化率の最大値は、積層構造を最適化した場合で210%、典型的な範囲で製造して得られる最大値が160%程度と大きく、検出磁界の方向のずれによるR-H特性の非対称性を抑制することができるTMRセンサが得られるので、位置および回転検出装置に用いて好適である。
11 第1の自由層
12 トンネル障壁層
13 第2の自由層
20、30、40、50 電極
20a、30a、40a、50a 下地層
21、31、41、51 反強磁性層
22、32、42、52 強磁性層
23、33 中間層
24、34、44、54 第1の自由層
25、35、45、55 トンネル障壁層
26、36、46、56 第2の自由層
27、37 中間層
28、38、48、58 強磁性層
29、39、49、59 反強磁性層
22a、28b、32a、32c、38b、38d、53a、53c、58c 強磁性層
22b、28a、32b、32d、38a、38c、53b、53d、57、57c 結合層
43、47 交換結合層
53、58a ダスト層
160 電極、
161 下地層、
162、164、167 強磁性層
163、165 非磁性層、
166 繰り返し積層

Claims (20)

  1. 反強磁性層と、
    前記反強磁性層と磁気的に結合して磁化が固定された強磁性層と、
    磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有し、前記強磁性層の磁化に対して磁化が回転可能な第1の自由層と、
    トンネル障壁層と、
    磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有し、前記強磁性層の磁化に対して磁化が回転可能な第2の自由層と、を備え、
    前記トンネル障壁層は、前記第1の自由層と前記第2の自由層とに挟まれ、
    前記第1の自由層及び前記第2の自由層は、強磁性の金属を含み、
    検出対象磁界は、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の磁化困難軸方向に印加される成分を有するように構成され、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、外部磁界が印加されていない状態で、互いに反平行な配列で安定化し、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の前記磁化困難軸方向に印加される外部磁界の強度が、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の飽和磁界に到達した状態で、互いに平行な配列になる、磁気接合体。
  2. 前記第1の自由層及び前記第2の自由層の前記磁化困難軸方向に印加される前記外部磁界が、飽和磁界に到達するまでの状態では、前記第1の自由層の磁化及び前記第2の自由層の磁化は、前記外部磁界が印加される方向に対して対称に回転し、
    前記外部磁界の強度の増加とともに、前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とのなす角は小さくなり、
    抵抗磁界特性は、前記外部磁界が印加される方向の正負に対して対称な偶関数型の特性を示す、請求項1に記載の磁気接合体。
  3. 前記トンネル障壁層は、MgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される少なくとも1種を有し、
    前記第1の自由層と前記第2の自由層とは、少なくともCoFeBからなる層を有する、請求項1に記載の磁気接合体。
  4. 前記第1の自由層と前記第2の自由層とのうち少なくとも一方は、複数の層を含む積層体であり、
    前記積層体は、前記CoFeBからなる層と、CoFeからなる層と、中央層と、を有し、
    前記CoFeからなる層は、前記CoFeBからなる層より前記トンネル障壁層から離れた位置にあり、
    前記中央層は、前記CoFeBからなる層と前記CoFeからなる層の間にあり、NiFe、CoFeSiB、CoFeBTaからなる群から選択されるいずれか1種を含む、
    請求項3に記載の磁気接合体。
  5. 磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有する、第1の自由層と、
    トンネル障壁層と、
    磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有する、第2の自由層と、を備え、
    前記トンネル障壁層は、前記第1の自由層と前記第2の自由層とに挟まれ、
    前記第1の自由層及び前記第2の自由層は、強磁性の金属を含み、
    検出対象磁界は、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の磁化困難軸方向に印加される成分を有するように構成され、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、外部磁界が印加されていない状態で、互いに反平行な配列で安定化し、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の前記磁化困難軸方向に印加される外部磁界の強度が、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の飽和磁界に到達した状態で、互いに平行な配列になる磁気接合体を有し、
    前記磁気接合体は、
    [強磁性層A/結合層A/強磁性層An+1/中間層A/前記第1の自由層/前記トンネル障壁層/前記第2の自由層/中間層B/[強磁性層B/結合層Bn+1/強磁性層Bn+2
    又は、
    [強磁性層A/結合層An+1/強磁性層An+2/中間層A/前記第1の自由層/前記トンネル障壁層/前記第2の自由層/中間層B/[強磁性層B/結合層B/強磁性層Bn+1
    で表される積層構造体を有し、
    ここで、nは0以上の整数であり、n≠0のとき、i=1,…,nおよびj=1,…,n+1であって、[強磁性層A/結合層An+1なる表記は、「強磁性層A/結合層A」の2層構造をn+1回繰り返し積層することを意味し、[強磁性層B/結合層Bなる表記は、「強磁性層B/結合層B」の2層構造をn回繰り返し積層することを意味する、TMR素子。
  6. 前記強磁性層A、前記強磁性層An+1、前記強磁性層B、前記強磁性層Bn+2、前記強磁性層A及び前記強磁性層Bは、CoFeであり、
    前記結合層A、前記結合層B、前記結合層A及び前記結合層Bは、Ruであり、
    前記中間層A及び前記中間層Bは、Cu,Ag,Cr,Ru及びAgSnからなる群から選択される少なくとも一種を有し、
    前記トンネル障壁層は、MgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される何れか1種以上を有し、
    前記第1の自由層と前記第2の自由層は、少なくともCoFeBからなる層を有する、
    請求項5に記載のTMR素子。
  7. 磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有する、第1の自由層と、
    トンネル障壁層と、
    磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有する、第2の自由層と、を備え、
    前記トンネル障壁層は、前記第1の自由層と前記第2の自由層とに挟まれ、
    前記第1の自由層及び前記第2の自由層は、強磁性の金属を含み、
    検出対象磁界は、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の磁化困難軸方向に印加される成分を有するように構成され、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、外部磁界が印加されていない状態で、互いに反平行な配列で安定化し、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の前記磁化困難軸方向に印加される外部磁界の強度が、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の飽和磁界に到達した状態で、互いに平行な配列になる磁気接合体を有し、
    前記磁気接合体は、
    第1の反強磁性層/第1の強磁性層/第1の交換結合層/前記第1の自由層/前記トンネル障壁層/前記第2の自由層/第2の交換結合層/第2の強磁性層/第2の反強磁性層/
    で表される積層構造体を有し、
    前記第1の交換結合層と前記第2の交換結合層は、Ru又はCrであり、
    前記第1の強磁性層と前記第1の自由層との間の磁気結合と、前記第2の強磁性層と前記第2の自由層との間の磁気結合とは、一方が反強磁性結合であり、他方が強磁性結合である、TMR素子。
  8. 前記第1の反強磁性層及び前記第2の反強磁性層は、IrMn、PtMn、FeMn、NiMnの少なくとも一種類であり、
    前記第1の強磁性層及び前記第2の強磁性層は、CoFeであり、
    前記第1の交換結合層及び前記第2の交換結合層は、Ruであり、
    前記トンネル障壁層は、MgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される何れか1種類を含み、
    前記第1の自由層及び前記第2の自由層は、少なくともCoFeBからなる層を有する、請求項7に記載のTMR素子。
  9. 磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有する、第1の自由層と、
    トンネル障壁層と、
    磁化容易軸と、前記磁化容易軸と直交する磁化困難軸と、を有する、第2の自由層と、を備え、
    前記トンネル障壁層は、前記第1の自由層と前記第2の自由層とに挟まれ、
    前記第1の自由層及び前記第2の自由層は、強磁性の金属を含み、
    検出対象磁界は、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の磁化困難軸方向に印加される成分を有するように構成され、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、外部磁界が印加されていない状態で、互いに反平行な配列で安定化し、
    前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の前記磁化困難軸方向に印加される外部磁界の強度が、前記第1の自由層及び前記第2の自由層の飽和磁界に到達した状態で、互いに平行な配列になる磁気接合体を有し、
    前記磁気接合体は、
    反強磁性層A/ダスト層A/[強磁性層A/結合層A/前記第1の自由層/前記トンネル障壁層/前記第2の自由層/[結合層B/強磁性層Bn+1/ダスト層B/反強磁性層B/
    又は、
    反強磁性層A/ダスト層A/[強磁性層A/結合層An+1/前記第1の自由層/前記トンネル障壁層/前記第2の自由層/[結合層B/強磁性層B/ダスト層B/反強磁性層B/
    で表される積層構造体を有し、
    ここで、nは0以上の整数であり、n≠0のとき、i=1,…,nおよびj=1,…,n+1であって、[強磁性層A/結合層An+1なる表記は、「強磁性層A/結合層A」の2層構造をn+1回繰り返し積層することを意味し、[結合層B/強磁性層B]nなる表記は、「結合層B/強磁性層B」の2層構造をn回繰り返し積層することを意味する、TMR素子。
  10. 前記反強磁性層A及び前記反強磁性層Bは、IrMn、PtMn、FeMn及びNiMnからなる群から選択される少なくとも一種以上を有し、
    前記強磁性層A、前記強磁性層B、前記強磁性層A及び前記強磁性層Bは、CoFeであり、
    前記結合層A、前記結合層B、前記結合層A及び前記結合層Bは、Ruであり、
    前記ダスト層A及び前記ダスト層Bは、1nm以下の厚さのRuであり、
    前記トンネル障壁層は、MgO、Mg-Al-O及びAlからなる群から選択される少なくとも1種以上を有し、
    前記第1の自由層と前記第2の自由層は、少なくともCoFeBからなる層を有する、請求項9に記載のTMR素子。
  11. 前記検出対象磁界がゼロの状態で最大抵抗を示し、前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とは反平行な配列を示し、
    前記検出対象磁界の印加によって抵抗が減少し、前記検出対象磁界の印加によって前記第1の自由層及び前記第2の自由層の磁化はともに回転し、前記検出対象磁界の強度の増加とともに前記第1の自由層の磁化と前記第2の自由層の磁化とのなす角が小さくなる、請求項5に記載のTMR素子。
  12. 前記検出対象磁界の印加方向を前記第1の自由層及び前記第2の自由層の磁化困難軸方向の向きから10°傾けた時、磁界H1の印加方向の正負に対する抵抗値の磁界非対称性が1%以内であって、
    ここで、磁界H1は、抵抗磁界(R-H)特性の実験データに準拠した曲線の微分(dR/dH)が最大になる点における前記実験データに準拠した曲線に対する接線を定め、前記実験データに準拠した曲線と接線の差分を前記実験データの抵抗値の最大値で割って規格化した値が20%となる磁界であり、
    前記磁界非対称性は、素子抵抗Rが磁界Hの関数としてR(H)と表されるとき、H=H’(>0)におけるR-H曲線の非対称性を
    Asy(H’)=[R(H’)-R(-H’)]/[(R(H’)+R(-H’)](%)
    で定義したものであり、磁界H1に対する抵抗の非対称性を定義したものである、請求項11に記載のTMR素子。
  13. 前記積層構造体は、基板/下部電極/下地層/反強磁性層からなる第1構造と、反強磁性層/キャップ層からなる第2構造との間に位置する、請求項5に記載のTMR素子。
  14. 前記積層構造体は、基板/下部電極/下地層からなる第3構造と、キャップ層からなる第4構造との間に位置する、請求項7に記載のTMR素子。
  15. 前記基板は、シリコンウェハ、AlTiC又は酸化アルミニウムからなるセラミックスウェハであり、
    前記下地層は、TaとRuとの積層構成であり、
    前記反強磁性層は、IrMn、PtMn、FeMn、NiMnからなる群から選択されるいずれか一種類であり、
    キャップ層は、Ruである、
    請求項13に記載のTMR素子。
  16. 請求項5に記載のTMR素子を直列又は並列の少なくとも一つの態様で複数個接続した、TMR素子アレイ。
  17. 請求項5に記載のTMR素子を4個用いたブリッジ回路を有する、磁気センサ。
  18. 請求項16に記載のTMR素子アレイをブリッジ回路接続した、磁気センサ。
  19. 請求項5に記載のTMR素子を有する、リニアエンコーダ用磁気センサ。
  20. 請求項5に記載のTMR素子を有する、磁気式ロータリーエンコーダ。
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