JP7780065B2 - 哺乳類の凍結卵培養装置及び哺乳類の凍結卵の培養方法 - Google Patents
哺乳類の凍結卵培養装置及び哺乳類の凍結卵の培養方法Info
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Description
<1> 容器入り凍結卵を収容する収容部と、
液体注入部と、
液体排出部と、
前記容器入り凍結卵と、前記液体注入部及び前記液体排出部との間に位置する卵流出防止部とを備えることを特徴とする凍結卵培養装置である。
<2> 前記<1>に記載の凍結卵培養装置を用いることを特徴とする凍結卵の培養方法である。
本発明の凍結卵培養装置は、容器入り凍結卵を収容する収容部と、液体注入部と、液体排出部と、卵(受精卵及び未受精卵)流出防止部とを少なくとも有し、必要に応じて更にその他の構成を有する。
本発明において、凍結卵とは、凍結受精卵又は凍結未受精卵のことをいう。また、受精卵には、受精直後のものだけではなく、初期胚も含まれる。また、凍結卵の培養とは、凍結卵を解凍(融解)し、培養することをいう。
前記凍結卵の種としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、哺乳類が好ましい。前記哺乳類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、海獣などが挙げられる。
前記凍結卵の調製方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができる。
前記収容部は、容器入り凍結卵を収容する部分である。
前記収容部の形状、構造、大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記凍結卵は、凍結卵を収容する容器(以下、「凍結卵保存容器」と称することがある)に収容されている。
前記凍結卵保存容器としては、特に制限はなく、公知の凍結卵保存用容器を適宜選択することができ、例えば、クライオチューブ、ホローストローや、これらを加工したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正面視したときの形状とは、前記凍結卵保存容器の開放部を上側として平面に置き、垂直方向に切断した際の断面の形状のことをいう。
前記液体注入部は、前記収容部に液体を注入する際に使用される部分である。
前記液体注入部の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記凍結卵培養装置の端部に設けることが好ましい。
前記液体注入部の数は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよいが、操作が容易である点で、1つが好ましい。
前記液体排出部は、前記収容部内の液体を排出する際に使用される部分である。
前記液体排出部の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記液体注入部が配置された前記凍結卵培養装置の端部と同一の端部に設けることが好ましい。
前記液体排出部の数は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよいが、操作が容易である点で、1つが好ましい。
前記液体注入部及び前記液体排出部の端部は、外部との接触をさけるためにキャップなどの部材を設けてもよい。
前記卵流出防止部は、卵(受精卵及び未受精卵)の流出を防止するために使用される部分である。
前記卵流出防止部を壁状に配置する場合、前記卵流出防止部は、前記収容部の一方の端部から他方の端部までにわたって配置する。
前記メッシュの目開きとしては、卵は通過せず、凍結液などの液体を通過することができる限り、特に制限はなく、卵の大きさなどに応じて適宜選択することができ、例えば、マウスの卵であれば40μmなどが挙げられる。前記卵流出防止部は、単層であってもよいし、2層以上の複層であってもよい。
前記その他の構成としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、密着防止手段、保冷容器などが挙げられる。
前記密着防止手段は、前記収容部内の液体を排出する際に、前記収容部の上面と下面とが密着することを防止する手段である。前記収容部に前記密着防止手段を有することで、前記収容部内の液体を排出する際に、前記収容部の上面と下面との間に空間を形成する(維持する)ことができ、胚の回収率を向上したり、胚の変形を抑制したりすることができる。そのため、前記凍結卵培養装置は、前記収容部の前記容器入り凍結卵が配置される領域に、前記密着防止手段を有することが好ましい。なお、前記密着防止手段は、空間維持手段、潰れ防止手段と称することもある。
前記保冷容器を用いることにより、前記凍結卵培養装置の凍結卵に融解液を入れるまでの、急激な温度変化を防止することができ、凍結卵の生存率を上げることができる。
前記保冷容器の大きさとしては、特に制限はなく、前記凍結卵培養装置の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
前記保冷容器の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、袋状などが挙げられる。前記凍結卵培養装置全体を収容することができる大きさの袋状とすることにより、急激な温度変化をより防止することができる。
前記保冷容器の材質としては、液体窒素下で使用可能な材質であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナイロンメッシュや小粒のアルミニウムなどが挙げられる。
前記保冷容器の構造としては、液体窒素下で使用可能な構造であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、袋状としたナイロンメッシュなどのメッシュ素材の中に小粒のアルミニウムを含有させた態様などが挙げられる。
前記凍結卵培養装置の製造方法としては、特に制限はなく、公知の材料を適宜選択して、上記構成となるように公知の手段を用いて製造することができる。例えば、フローズバッグ(ニプロ株式会社)などの凍結保存が可能な容器を基にして、卵流出防止部を取り付けるなどにより、製造することができる。
本発明において、ガス透過性を有さないとは、前記凍結卵培養装置を構成する外側の部材(例えば、前記凍結卵培養装置が袋状の場合には、前記袋を構成する材料)の酸素ガス透過度として、5mL/m2/day/MPa以下であることをいう。なお、本発明において、酸素ガス透過度は、JIS K 7126-2準拠のプラスチックフィルム及びシートの気体透過度試験方法に従って、温度25℃、湿度80%RHにて、測定した値である。
本発明の凍結卵の培養方法としては、上記した本発明の凍結卵培養装置を用いる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融解工程と、洗浄工程と、培養工程とを少なくとも含み、必要に応じて受精工程や、凍結工程、回収工程、培養後の胚を凍結する再凍結工程などのその他の工程を含むことが好ましい。
前記融解工程は、前記凍結卵培養装置内の凍結卵を融解する工程である。
前記融解工程に用いる融解液としては、特に制限はなく、公知の凍結卵の融解方法に用いられる融解液を適宜選択することができる。例えば、高浸透圧である第1の融解液、低浸透圧である第2の融解液を用いて、前記凍結卵を融解するなどが挙げられる。
前記洗浄工程は、前記融解工程後の融解した卵(受精卵又は未受精卵)を洗浄する工程である。
前記洗浄工程に用いる洗浄液としては、特に制限はなく、公知の卵の洗浄方法に用いられる洗浄液を適宜選択することができ、例えば、後述する培養工程で用いる培養用培養液、受精工程で用いる受精用培養液などが挙げられる。
前記CO2濃度を最適化した培養液におけるCO2濃度としては、卵を培養することができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3~6%が好ましく、4~5%がより好ましい。前記好ましい範囲であると、発生率がより高くなる点で、有利である。
前記CO2濃度の最適化を行う時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記洗浄工程を行う1~2日前などが挙げられる。
前記注入手段は、操作を簡便に間違いなく、速やかに行う観点から、針付きチューブなどの前記液体注入部と接続するための部材を有する三方活栓のコネクターに取り付けることが好ましい。
なお、前記凍結卵培養装置を前記保冷容器に入れて保存していた場合には、前記保冷容器から、少なくとも前記凍結卵培養装置の液体注入部及び液体排出部を取り出し、それぞれ前記液体排出部には前記液体排出手段を接続する。
次いで、前記液体排出部を通じて、前記融解液を前記収容部から排出する。
前記融解液を複数種用いる場合には、上記作業をそれぞれの融解液について行う。
前記融解液として、上記した高浸透圧である第1の融解液と、低浸透圧である第2の融解液とを用いる場合には、前記第1の融解液は全量を一度に入れ、前記第2の融解液は、全量を半量ずつ2回に分けて入れることが、発生率及び胚盤胞の回収率が高まる点で、好ましい。
次いで、前記液体排出部を通じて、前記洗浄液を前記収容部から排出する。
前記一定時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30分間~3時間が好ましく、1時間~2時間がより好ましい。前記好ましい範囲内であると、凍結液をより除去することができ、発生率及び胚盤胞の回収率がより高まる点で、有利である。
前記一定時間中の温度等の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、20~40℃、遮光条件下とするなどが挙げられる。
前記凍結卵として凍結未受精卵を用いる場合には、前記洗浄工程の後であって、後述する培養工程の前に、受精工程を設ける。
前記受精工程は、前記未受精卵を含む前記凍結卵培養装置内に精子を入れ、受精させる工程である。
前記精子の使用量としては、特に制限はなく、前記未受精卵の量などに応じて適宜選択することができる。
前記培養工程は、前記洗浄工程で洗浄した受精卵、又は前記受精工程で受精した受精卵を培養する工程である。
前記培養の期間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3~4日間程度などが挙げられる。
本発明では、前記凍結卵培養装置がガス透過性を有さないものである場合、前記培養液にCO2濃度を最適化したものを用いる。この場合、完全に密閉した容器の中で受精卵培養が可能であり、温度のコントロールさえできれば、場所を選ばずに受精卵を培養することができる。
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結工程、固定化工程などが挙げられる。
前記凍結工程は、前記凍結卵保存容器に受精卵又は未受精卵を凍結する工程である。
前記受精卵又は未受精卵の凍結の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、受精卵又は未受精卵を低浸透圧の凍結液に浸した後、高浸透圧の凍結液を入れた前記凍結卵保存容器に前記受精卵又は未受精卵を移し、液体窒素中で急速凍結する方法が挙げられる。
前記保存の温度としては、特に制限はなく、凍結液の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、液体窒素温度から-30℃までの間とすることができる。
前記固定化工程は、前記培養後の胚を化学固定する工程である。
前記固定化工程は、不妊治療や畜産の分野では、特に必要な処理ではない。一方で、基礎生物学分野では詳細な観察のために、宇宙実験を行う場合には、長期間の保存が必要となるために、胚の固定化が必要となる。
フローズバッグF-050(容量250mL、ニプロ株式会社)を改変し、凍結卵培養装置を製造した。前記凍結卵培養装置(符号:1)の模式図を図2A及び図2Bに示した。
クライオチューブ(セラムチューブ、住友ベークライト株式会社、MS-4501 1mL)の上部をカットし、正面視した際の形状がV字型状である底部のみからなる凍結卵保存容器を製造した。前記凍結卵保存容器を撮影した図を図3に示した。
クライオチューブを原料とし、以下のようにして密着防止手段を製造した。
クライオチューブを約5等分に縦方向(深さ方向)に切断し、クライオチューブの側面部分を切り取った。切り取ったものを更に半分に切断し、横約3~5mm、縦約10mmの湾曲状の密着防止手段を得た。なお、前記密着防止手段は、面取り加工を行った。
本実験では、マウス受精卵の凍結及び融解は、高浸透圧ガラス化法を参考にして行った。
本実験では、マウス受精卵として、下記のようにして卵管灌流により採卵した2細胞期の卵管灌流胚を使用した。
マウスには、ICR系統又はB6D2F1系統の雌雄マウスを用いた。
1mLシリンジ(テルモ株式会社)と注射針[26ゲージ](テルモ株式会社)を用いて7.5IUのPMSG(セロトロピン、あすかアニマルヘルス株式会社)を腹腔注射してから48時間前後に同様に注射器を用いて7.5IUのhCG(ゴナドトロピン、あすかアニマルヘルス株式会社)を注射することで、雌マウスに過排卵処理を行った。
上記ホルモン注射による過排卵処理を行った雌マウスを雄マウスと一晩同じゲージに入れ飼育した。翌朝、プラグ(膣栓)のチェックを行い、プラグが確認できた雌マウスを次の日に使用した。
灌流は頸椎脱臼によって安楽死させたマウスから卵管を採取し、卵管采(卵管の卵巣側の入り口)に注射針(30ゲージ)を刺し、Hepes-CZB培地(下記参照、以下、「H-CZB培地」と称することがある。)を約0.1mL流した。灌流によって回収された受精卵はCZB培地(下記参照)をミネラルオイル(M8410、シグマ社)で覆ったチャンバーで培養した。培養はインキュベーター(5%CO2、37℃、100%湿度)内で行った。
ガラス瓶に200mLのミリQをとり、スラーターを用いて以下の試薬をよく溶解させ、下記組成のストック液を作製した。一晩冷蔵庫で静置して、フィルターを用いて、滅菌した。
-ストック液の組成-
以下の組成は、CZB培地100mLあたりの量を表す。
・ NaCl ・・・ 476mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ KCl ・・・ 36mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ MgSO4・7H2O ・・・ 29mg
(ナカライテスク株式会社)
・ KH2PO4 ・・・ 16mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ EDTA・2Na ・・・ 4mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ NaHCO3 ・・・ 211mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ 乳酸ナトリウム ・・・ 0.53mL
(60%シロップ)(シグマ社)
・ D-グルコース ・・・ 100mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ ペニシリンG ・・・ 5mg
(ICN Biomedicsls Inc)
・ ストレプトマイシン ・・・ 7mg
(ICN Biomedicsls Inc)
・ フェノールレッド ・・・ 適量
(10mg/ml soln.in saline)(シグマ社)
以下の組成は、CZB培地100mLあたりの量を表す。
・ ピルビン酸ナトリウム ・・・ 3mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ L-グルタミン ・・・ 15mg
(シグマ社)
・ CaCl2・2H2O ・・・ 25mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ BSA ・・・ 500mg
(シグマ社,GIBCO AlbuMAX)
ガラス瓶に200mLのミリQをとり、スラーターを用いて以下の試薬をよく溶解させ、下記組成のストック液を作製した。一晩冷蔵庫で静置して、フィルターを用いて、滅菌した。
-ストック液の組成-
以下の組成は、H-CZB培地100mLあたりの量を表す。
・ NaCl ・・・ 476mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ KCl ・・・ 36mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ MgSO4・7H2O ・・・ 29mg
(ナカライテスク株式会社)
・ KH2PO4 ・・・ 16mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ EDTA・2Na ・・・ 4mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ NaHCO3 ・・・ 211mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ Hepes・Na(basic) ・・・ 520mg
(シグマ社)
・ 乳酸ナトリウム ・・・ 0.53mL
(60%シロップ)(シグマ社)
・ D-グルコース ・・・ 100mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ ペニシリンG ・・・ 5mg
(ICN Biomedicsls Inc)
・ ストレプトマイシン ・・・ 7mg
(ICN Biomedicsls Inc)
・ フェノールレッド ・・・ 適量
(10mg/ml soln.in saline)(シグマ社)
以下の組成は、H-CZB培地100mLあたりの量を表す。
・ ピルビン酸ナトリウム ・・・ 3mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ L-グルタミン ・・・ 15mg
(シグマ社)
・ CaCl2・2H2O ・・・ 25mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ PVA ・・・ 10mg
(シグマ社)
上記のようにして調製したCZB培地中のマウス受精卵を少量の培養液と共に、室温に戻した低浸透圧の凍結液1(下記参照、「EFS 20液」と称することがある)50μLに移した。
-EFS 20用のFS液-
50mLの遠沈管に以下の試薬と溶液を入れ、よく混ぜて溶かした。完全に溶解してからBSA 60.0mgを上に載せ、自然に溶けるまで待ち、EFS 20液用のFS液とした。なお、PB1(BSA-)の組成等は後述した。
・ PB1(BSA-)※ ・・・ 14.0mL
・ フィコール ・・・ 6.0g
(GE Healthcare)
・ スクロース ・・・ 3.4g
(富士フイルム和光純薬株式会社)
前記EFS 20用のFS液にエチレングリコールを下記の割合で混ぜて、EFS 20液を調整した。
・ EFS 20用のFS液 ・・・ 4(v/v)
・ エチレングリコール ・・・ 1(v/v)
(富士フイルム和光純薬株式会社)
-EFS 42.5c-d用のFS液-
50mLの遠沈管に以下の試薬と溶液を入れ、よく混ぜて溶かし、4℃の冷蔵庫で一晩静置し、EFS 42.5c-d用のFS液とした。なお、PB1(BSA-)の組成等は後述した。
・ PB1(BSA-)※ ・・・ 9.0mL
・ フィコール ・・・ 6.0g
(GE Healthcare)
・ スクロース ・・・ 12.0g
(富士フイルム和光純薬株式会社)
前記EFS 42.5c-d用のFS液にエチレングリコールを下記の割合で混ぜて、EFS 42.5c-d液を調整した。
・ EFS 42.5c-d用のFS液 ・・・ 57.5(v/v)
・ エチレングリコール ・・・ 42.5(v/v)
(富士フイルム和光純薬株式会社)
〔PB1(BSA-/+)〕
(1) ねじ口瓶にPBSタブレット(タカラバイオ株式会社)を10粒入れ、1,000mLのミリQをとり、オートクレーブで溶解・滅菌した。これを、メスシリンダーを用いて1,000mLになるようにミリQを足し、PBS-を1,000mL調整し、ねじ口瓶に戻した。
<PB1(BSA-)の組成(80mLあたり)>
・ PBS+ ・・・ 80mL
・ ピルビン酸ナトリウム ・・・ 2.9mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
・ ペニシリンG ・・・ 5.1mg
(ICN Biomedicsls Inc)
・ D-グルコース ・・・ 80mg
(富士フイルム和光純薬株式会社)
-準備-
30mLシリンジを3本用意し、室温に戻した融解液1(高浸透圧の融解液、下記参照)、融解液2(低浸透圧の融解液、下記参照)、及び培養液(前記CZB培地)をそれぞれのシリンジに30mL吸入した。
なお、前記培養液は、ガス透過性を有する線虫バッグに入れ、インキュベーター(5%CO2、37℃、湿度100%)内で24時間静置し、培養液におけるCO2濃度を最適化(4~5%)したものを用いた。
(1) 1,000mLのストレージボトル(コーニング社)にスクロース179.7gを前記PB1(BSA-)に振盪しながら溶解させ、全量が前記ストレージボトルの700mLの目盛になるように調整した。
(2) 前記(1)で調整した0.75Mスクロース-PB1 700mLの水面にBSA2,100mgを載せ、冷蔵庫で静置して自然に溶けるまで待った。その後、フィルターを用いて滅菌し、融解液1(以下、「0.75Mスクロース-PB1(BSA+)」と称することがある)とした。
前記PB1(BSA+)400mLに、前記0.75Mスクロース-PB1(BSA+)200mLを混ぜ合わせた。その後、フィルターを用いて滅菌し、融解液2(以下、「0.25Mスクロース-PB1(BSA+)」と称することがある)とした。
(1) -80℃で保存した前記凍結卵培養装置をフリーザーから取り出した。
前記凍結卵培養装置の液体排出部に前記廃液用シリンジと接続したチューブを、液体注入部に前記三方活栓と接続したチューブをそれぞれ装着した(図4参照)。
前記廃液用シリンジと接続したチューブのコックを開き、シリンジで空気を抜いた後コックを閉めた。
本工程(1)は、1分30秒間、常温で行った。
本工程(2)は、4分30秒間、常温で行った。
前記凍結卵培養装置の収容部に前記融解液2を15mL入れ、コックを閉め、前記凍結卵培養装置を5回振った。
前記廃液用シリンジと接続したチューブのコックを開き、注入した前記融解液2を全量抜いた後コックを閉めた。
次いで、前記凍結卵培養装置の収容部に前記融解液2を15mL入れ、コックを閉め、前記凍結卵培養装置を5回振った。
本工程(3)は、3分間、室温で行った。
前記凍結卵培養装置の収容部に前記培養液を15mL入れ、コックを閉め、前記凍結卵培養装置を5回振った。
前記廃液用シリンジと接続したチューブのコックを開き、前記培養液を全量抜いた後コックを閉めた。
前記凍結卵培養装置の収容部に前記培養液を15mL入れ、コックを閉め、前記凍結卵培養装置を5回振った。
前記融解及び洗浄の作業後、前記液体注入部のポートの硬い部分を持ちながら、前記三方活栓と接続されたチューブをゆっくり外し、前記液体注入部にゴム栓をした。
同様に、前記液体排出部に接続されたチューブをゆっくり外し、前記液体排出部にゴム栓をした。
次いで、前記凍結卵培養装置を37℃のインキュベーターに静置し、3日間培養した。
なお、回収率、生存率、胚盤胞率は、下記の式から算出した。
回収率(%)=(回収された胚の数/供試卵数)×100
生存率(%)=(生存していた胚の数/回収された胚の数)×100
胚盤胞率(%)=(胚盤胞の数/回収された胚の数)×100
そこで、前記培養を4日間行った後の前記凍結卵培養装置内に0.99% PFAを入れて1時間固定処理を行った後、0.1%ポリビニルアルコールを含むPBSで洗浄した。なお、固定液の注入・排出、洗浄液の注入は、前記融解、洗浄のときと同様の方法で行った。
前記凍結卵培養装置を開封し、胚盤胞を回収した。
前記回収した胚盤胞について、常法により免疫染色を行ったところ、内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)をきれいに染め分けることができた。また、次世代シーケンサーを使って遺伝子発現を確認したところ、細胞周期のM期に必要な遺伝子であるPttg1の発現も確認できた。
密着防止手段を有さない凍結卵培養装置と、密着防止手段を有する凍結卵培養装置との比較を行った。
実施例1において、-融解及び洗浄-における工程(5)(2回目の培地交換までの時間及び温度)を、37±1℃、1~2時間とした以外は、実施例1と同様にして、凍結卵から胚盤胞までの培養を行った。
実施例1の<マウス受精卵の凍結及び凍結卵培養装置への封入>において、凍結卵保存容器を凍結卵培養容器の収容部に入れる際に、製造例3で製造した10個の密着防止手段を併せて前記収容部に入れ、-融解及び洗浄-における工程(5)(2回目の培地交換までの時間及び温度)を、37±1℃、1~2時間とした以外は、実施例1と同様にして、凍結卵から胚盤胞までの培養を行った。
したがって、不妊治療のクリニック、動物実験施設、畜産分野といった受精卵又は未受精卵を取り扱う機関で好適に用いることができ、更には、宇宙空間においてこれまで実施することが不可能であった実験が可能となる。
<1> 容器入り凍結卵を収容する収容部と、
液体注入部と、
液体排出部と、
前記容器入り凍結卵と、前記液体注入部及び前記液体排出部との間に位置する卵流出防止部とを備えることを特徴とする凍結卵培養装置である。
<2> 前記卵流出防止部が前記収容部に配置され、
前記収容部の前記容器入り凍結卵が配置された側と、前記液体注入部及び前記液体排出部側とを隔てている前記<1>に記載の凍結卵培養装置である。
<3> 前記容器入り凍結卵の容器の正面視したときの形状が、V字型である前記<1>から<2>のいずれかに記載の凍結卵培養装置である。
<4> 前記凍結卵が、哺乳類の凍結卵である前記<1>から<3>のいずれかに記載の凍結卵培養装置である。
<5> 前記収容部に密着防止手段を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の凍結卵培養装置である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の凍結卵培養装置を用いることを特徴とする凍結卵の培養方法である。
<7> 凍結卵を融解する融解工程と、
前記融解した卵を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄した卵を培養する培養工程と、を含む前記<6>に記載の凍結卵の培養方法である。
<8> 前記洗浄工程を少なくとも2回行う前記<7>に記載の凍結卵の培養方法である。
<9> CO2濃度を3~6%とした培養液を用いる前記<6>から<8>のいずれかに記載の凍結卵の培養方法である。
2 収容部
3 液体注入部
4 液体排出部
5 卵流出防止部
6 シリンジ(融解液1用)
7 シリンジ(融解液2用)
8 シリンジ(培養液用)
9 シリンジ(廃液用)
10 収容部上面
11 収容部下面
12 胚
13 密着防止手段
Claims (8)
- 収容部と、
液体注入部と、
液体排出部と、
卵流出防止部とを備える哺乳類の凍結卵培養装置であって、
前記収容部は、前記哺乳類の凍結卵培養装置の収容空間であり、
前記液体注入部は前記収容部に液体を注入する際に使用される部分であり、前記哺乳類の凍結卵培養装置の端部に位置し、
前記液体排出部は前記収容部内の液体を排出する際に使用される部分であり、前記哺乳類の凍結卵培養装置の端部に位置し、
前記卵流出防止部はメッシュ構造を有し、前記収容部を、哺乳類の凍結卵が収容された容器を収容する部位と、前記哺乳類の凍結卵が収容された容器が収容されない部位とに分けるように、前記収容部に壁状に配置され、
前記哺乳類の凍結卵が収容された容器が収容されない部位は、前記液体注入部側及び前記液体排出部側に位置することを特徴とする哺乳類の凍結卵培養装置。 - 前記液体排出部は、前記液体注入部が位置する前記哺乳類の凍結卵培養装置の端部と同一の端部に位置する請求項1に記載の哺乳類の凍結卵培養装置。
- 前記哺乳類の凍結卵が収容された容器は、開口部を上にして前記容器を配した際の正面視したときの形状が、V字型である請求項1から2のいずれかに記載の哺乳類の凍結卵培養装置。
- 前記収容部に、前記収容部の上面と下面との間の空間を維持する密着防止手段を有し、
前記密着防止手段は、前記収容部の上面と下面との間の長さを2~7mmに維持するものである請求項1から3のいずれかに記載の哺乳類の凍結卵培養装置。 - 請求項1から4のいずれかに記載の哺乳類の凍結卵培養装置を用いることを特徴とする哺乳類の凍結卵の培養方法。
- 哺乳類の凍結卵を融解する融解工程と、
前記融解した卵を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄した卵を培養する培養工程と、を含む請求項5に記載の哺乳類の凍結卵の培養方法。 - 前記洗浄工程を少なくとも2回行う請求項6に記載の哺乳類の凍結卵の培養方法。
- CO 2 濃度を3~6%とした培養液を用いる請求項5から7のいずれかに記載の哺乳類の凍結卵の培養方法。
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