JP7780077B2 - めっき鋼線 - Google Patents
めっき鋼線Info
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Description
鋼線と、
前記鋼線の表面上に形成されているめっき層とを備え、
前記めっき層は、
質量%で、
Al:0.5~15.0%、及び、
Mg:0.3~5.0%、を含有し、
残部がZn及び不純物からなり、
前記めっき鋼線の軸方向に垂直な断面において、
前記めっき層の厚さ中央位置であって、周方向に90度ずつずれた4箇所の硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの算術平均値は100~150HVであり、
前記硬さ測定領域A1~A4での前記ビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下である、
めっき鋼線。
めっき鋼線であって、
鋼線と、
前記鋼線の表面上に形成されているめっき層とを備え、
前記めっき層は、
質量%で、
Al:0.5~15.0%、及び、
Mg:0.3~5.0%、を含有し、
残部がZn及び不純物からなり、
前記めっき鋼線の軸方向に垂直な断面において、
前記めっき層の厚さ中央位置であって、周方向に90度ずつずれた4箇所の硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの算術平均値は100~150HVであり、
前記硬さ測定領域A1~A4での前記ビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下である、
めっき鋼線。
[1]に記載のめっき鋼線であってさらに、
前記めっき層は、
前記Znの一部に代えて、質量%で、
Pb:0.50%以下、
Bi:0.50%以下、
Sr:0.50%以下、
V:0.50%以下、
Cr:0.50%以下、
Mn:0.50%以下、
Sn:0.50%以下、
Si:0.50%以下、
Ti:0.50%以下、
Be:0.50%以下、
Na:0.50%以下、
K:0.50%以下、
Ca:0.50%以下、
Cu:0.50%以下、
La:0.50%以下、
Ce:0.50%以下、
Hf:0.50%以下、
Mo:0.50%以下、
W:0.50%以下、
Nb:0.50%以下、
Ta:0.50%以下、及び、
Fe:2.00%以下、
からなる群から選択される1種以上を含有する、
めっき鋼線。
「~」を用いて表される数値範囲について、「~」の前に記載される数値は、下限値を意味する。「~」の前に記載される数値に「超」が記載されている場合、数値範囲には、「超」の前に記載の数値は含まれない。「~」の後ろに記載される数値は、上限値を意味する。「~」の後ろに記載される数値に「未満」が記載されている場合、数値範囲には、「未満」の前に記載の数値は含まれない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階的な数値範囲の上限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値に置き換えてもよい。ある段階的な数値範囲の下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の下限値に置き換えてもよい。また、上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
図1は、本実施形態のめっき鋼線の軸方向に垂直な断面図である。図1を参照して、本実施形態のめっき鋼線1は、鋼線100と、めっき層10とを備える。めっき層10は、鋼線100の表面上に形成されている。
鋼線とは、線材に対して伸線加工を実施した後の線状の鋼材である。鋼線100は、製造するめっき鋼線に求められる各機械的性質(たとえば、引張強度、加工性、疲労特性等)に応じて、めっき鋼線に適用される公知の鋼線を使用すればよい。たとえば、鋼線100として、金網用途の鋼線を使用してもよいし、フェンス用途の鋼線を使用してもよいし、送電用ワイヤ用途の鋼線を使用してもよい。
めっき層10は、鋼線100の表面上に形成されている。めっき層10の化学組成は、次の元素を含有する。
アルミニウム(Al)は、めっき鋼線の耐食性を高める。めっき層にMgが含有される場合、溶融亜鉛合金めっき浴の表面などに酸化物の形成が促進される。Alは、溶融亜鉛合金めっき浴の酸化物の形成を抑制する。そのため、Alを含有することにより、めっき鋼線を安定的に生産できるようになる。Al含有量が0.5%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、Al含有量が15.0%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、溶融亜鉛合金めっき浴の融点が高くなる。そのため、溶融亜鉛合金めっき浴の表面などに酸化物の形成が促進される。この場合、溶融亜鉛合金めっき浴の表面などの酸化物を除去する作業が発生する。溶融亜鉛合金めっき浴の融点が高くなればさらに、溶融亜鉛合金めっきの浴槽の損耗が促進される。そのため、製造効率が低下する。
したがって、Al含有量は0.5~15.0%である。
Al含有量の好ましい下限は3.0%であり、さらに好ましくは4.0%であり、さらに好ましくは5.0%である。
Al含有量の好ましい上限は14.0%であり、さらに好ましくは13.5%であり、さらに好ましくは13.0%ある。
マグネシウム(Mg)は、めっき鋼線の耐食性を高める。Mg含有量が0.3%未満であれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が十分に得られない。
一方、Mg含有量が5.0%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、めっき層のミクロ組織において、Zn-Mg金属間化合物が多量に生成する。Zn-Mg金属間化合物は硬質である。そのため、Zn-Mg金属間化合物が多量に生成すれば、めっき層の硬さが過剰に高まる。その結果、加工時のめっき層の割れの発生を十分に抑制することができない。
したがって、Mg含有量は0.3~5.0%である。
Mg含有量の好ましい下限は0.5%であり、さらに好ましくは0.7%であり、さらに好ましくは0.9%である。
Mg含有量の好ましい上限は4.0%であり、さらに好ましくは3.0%であり、さらに好ましくは2.5%である。
本実施形態のめっき鋼線において、めっき層の化学組成はさらに、Znの一部に代えて、
Pb:0.50%以下、
Bi:0.50%以下、
Sr:0.50%以下、
V:0.50%以下、
Cr:0.50%以下、
Mn:0.50%以下、
Sn:0.50%以下、
Si:0.50%以下、
Ti:0.50%以下、
Be:0.50%以下、
Na:0.50%以下、
K:0.50%以下、
Ca:0.50%以下、
Cu:0.50%以下、
La:0.50%以下、
Ce:0.50%以下、
Hf:0.50%以下、
Mo:0.50%以下、
W:0.50%以下、
Nb:0.50%以下、
Ta:0.50%以下、及び、
Fe:2.00%以下、
からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。以下、任意元素について説明する。
本実施形態のめっき鋼線において、めっき層の化学組成はさらに、Znの一部に代えて、Pb:0.50%以下、Bi:0.50%以下、Sr:0.50%以下、V:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Mn:0.50%以下、及び、Sn:0.50%以下、からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
含有される場合、つまり、Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn及びSnからなる群から選択される1種以上の元素含有量が0%超である場合、これらの元素は、いずれも加工時のめっき層の割れの発生を抑制することができる。Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn及びSnからなる群から選択される1種以上の元素が少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn又はSnの各元素含有量が0.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が飽和して、製造コストが高くなる。Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn又はSnの各元素は、偏析する場合がある。そのため、Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn又はSnの各元素含有量が0.50%を超えればさらに、加工時にめっき層の割れが発生する場合がある。Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn又はSnの各元素含有量が0.50%を超えればさらに、めっき鋼線の耐食性が低下する場合がある。
したがって、Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn及びSnの各元素含有量は0~0.50%である。含有される場合、Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn及びSnの各元素含有量は0.50%以下、つまり、0超~0.50%である。
Pb、Bi、Sr、V、Cr、Mn又はSnの各元素含有量の好ましい上限は0.48%であり、さらに好ましくは0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
本実施形態のめっき鋼線において、めっき層の化学組成はさらに、Znの一部に代えて、Si:0.50%以下、Ti:0.50%以下、Be:0.50%以下、Na:0.50%以下、K:0.50%以下、Ca:0.50%以下、Cu:0.50%以下、La:0.50%以下、Ce:0.50%以下、及び、Hf:0.50%以下、からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
含有される場合、つまり、Si、Ti、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Ce及びHfからなる群から選択される1種以上の元素含有量が0%超である場合、これらの元素は、いずれもめっき鋼線の耐食性を高める。Si、Ti、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Ce及びHfからなる群から選択される1種以上の元素が少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。
しかしながら、Si、Ti、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Ce又はHfの各元素含有量が0.50%を超えれば、他の元素含有量が本実施形態の範囲内であっても、上記効果が飽和して、製造コストが高くなる。Si、Ti、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Ce又はHfの各元素含有量が0.50%を超えればさらに、加工時のめっき層の割れの発生を十分に抑制することができない。
したがって、Si、Ti、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Ce及びHfの各元素含有量は0~0.50%である。含有される場合、Si、Ti、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Ce及びHfの各元素含有量は0.50%以下、つまり、0超~0.50%である。
Si、Ti、Be、Na、K、Ca、Cu、La、Ce又はHfの各元素含有量の好ましい上限は0.48%であり、さらに好ましくは0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
本実施形態のめっき鋼線において、めっき層の化学組成はさらに、Znの一部に代えて、Mo:0.50%以下、W:0.50%以下、Nb:0.50%以下、Ta:0.50%以下、及び、Fe:2.00%以下、からなる群から選択される1種以上を含有してもよい。
Mo、W、Nb、Ta及びFeの各元素含有量が上述の範囲内であれば、本実施形態によるめっき鋼線の効果は得られる。
したがって、Mo、W、Nb及びTaの各元素含有量は0~0.50%であり、Fe含有量は0~2.00%である。含有される場合、Mo、W、Nb及びTaの各元素含有量は0.50%以下、つまり、0超~0.50%である。含有される場合、Fe含有量は2.00%以下、つまり、0超~2.00%である。
本実施形態のめっき鋼線では、めっき鋼線の軸方向に垂直な断面である横断面において、ビッカース硬さが適切に制御されている。以下、この点について説明する。
一方、上記ビッカース硬さの算術平均値が100HV未満であれば、めっき層において各元素含有量が上記範囲内であり、後述するビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下である場合であっても、めっき層の硬さが低い。そのため、めっき層が傷つきやすい。めっき層の硬さが低い場合、めっき層が摩耗しやすい。めっき層の摩耗により、めっき鋼線のめっき付着量が低減する。めっき層の傷やめっき付着量の低減により、めっき鋼線の耐食性が低下する。したがって、上記ビッカース硬さの算術平均値は100~150HVである。
上記ビッカース硬さの算術平均値の好ましい下限は105HVであり、さらに好ましくは110HVであり、さらに好ましくは115HVである。
本実施形態のめっき鋼線では、めっき層のビッカース硬さの算術平均値を100~150HVとするだけでなく、めっき層の周方向の硬さのばらつきが十分に抑制されている。具体的には、本実施形態のめっき鋼線では、めっき鋼線の軸方向に垂直な断面において、めっき層の厚さ中央位置であって、周方向に90度ずつずれた4箇所の硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下である。
上記ビッカース硬さの標準偏差はなるべく小さい方が好ましい。しかしながら、上記ビッカース硬さの標準偏差の過剰な低減は製造コストを高める。したがって、通常の工業生産を考慮すれば、上記ビッカース硬さの標準偏差の好ましい下限は0HV超であり、さらに好ましくは1.0HVであり、さらに好ましくは5.0HVである。
上記ビッカース硬さの算術平均値、及び、上記ビッカース硬さの標準偏差は、次の方法で測定できる。ビッカース硬さの測定は、上述の硬さ測定領域A1~A4を1箇所ずつ含む合計4箇所の硬さ測定領域において実施する。硬さ測定領域A1~A4で、JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験を実施する。JIS Z 2244(2009)には、硬さを測定するくぼみの中心から試料(試験片)の縁までの距離を、くぼみの平均対角線長さdに対して2.5d以上とする点が規定されている。ただし、本実施形態のめっき鋼線において、めっき層の厚さが比較的薄く、硬さを測定するくぼみの中心から試料(試験片)の縁までの距離が2.5d未満となる場合がある。硬さを測定するくぼみの中心から試料(試験片)の縁までの距離が2.5d未満となる場合でも、硬さを測定するくぼみの中心から試料(試験片)の縁までの距離が2.5d以上である場合と同様に、ビッカース硬さ試験を実施する。試験力は0.1N(10gf)とする。
本実施形態のめっき鋼線の製造方法の一例を説明する。以降に説明するめっき鋼線の製造方法は、本実施形態のめっき鋼線を製造するための一例である。したがって、上述の構成を有するめっき鋼線は、以降に説明する製造方法以外の他の製造方法により製造されてもよい。
鋼線準備工程は、周知の方法で鋼線を準備する。本実施形態のめっき鋼線の製造者は、第三者から鋼線の供給を受けて、鋼線を準備してもよい。また、鋼線を製造して準備してもよい。鋼線を製造する場合、鋼線の製造方法は特に限定されないが、線材を所望の線径まで伸線加工する工程(伸線加工工程:S11)と、伸線加工工程後の鋼線に対して、必要に応じて、熱処理を実施する工程(熱処理工程:S12)とを含む。
伸線加工工程では、線材に対して、周知の方法で伸線加工を実施する。伸線加工の方法は特に限定されないが、熱間圧延後の線材に対して、酸洗又はメカニカルな方法により、線材の表面に付着したスケールを除去する。その後、伸線加工を実施して、所望の線径に調整し、鋼線を製造する。
熱処理工程は任意の工程である。熱処理工程は、めっき鋼線に必要な機械的特性に応じて、実施する。熱処理工程は実施してもよいし、実施しなくてもよい。熱処理工程を実施する場合、伸線加工工程後の鋼線に対して、周知の方法で焼鈍処理を実施する。以上の方法により、鋼線を得ることができる。
1次めっき処理工程(S2)では、鋼線準備工程(S1)で準備した鋼線に対して、亜鉛めっき処理を実施して、後述の溶融亜鉛合金めっき処理に供する鋼線を製造する。1次めっき処理工程において亜鉛めっき処理を実施することにより、後述の溶融亜鉛合金めっき処理工程(S3)においてめっき層10を効率よく形成することができる。1次めっき処理工程は、周知の方法で実施する。
溶融亜鉛合金めっき処理工程(S3)では、1次めっき処理工程(S2)後の溶融亜鉛合金めっき処理に供する鋼線に対して、溶融亜鉛合金めっき処理を実施する。これにより、1次めっき処理工程(S2)後の溶融亜鉛合金めっき処理に供する鋼線の表面上に本実施形態のめっき層が形成される。
前処理工程は任意の工程である。前処理工程は実施してもよいし、実施しなくてもよい。前処理工程を実施する場合、前処理工程では、たとえば、溶融亜鉛合金めっき処理に供する鋼線に酸洗及び/又はフラックス処理を実施してもよい。前処理工程を実施する場合、前処理工程で実施する酸洗及びフラックス処理の方法は特に限定されない。前処理工程を実施すれば、後述の浸漬工程(S32)及び冷却工程(S33)においてめっき層10をさらに効率よく形成することができる。
浸漬工程では、前処理工程を実施する場合は1次めっき処理工程(S2)後の鋼線に前処理を施した後、溶融亜鉛合金めっき浴21に浸漬する。前処理工程を実施しない場合は、1次めっき処理工程(S2)後の鋼線を溶融亜鉛合金めっき浴21に浸漬する。
冷却工程では、溶融亜鉛合金めっき浴21からめっき鋼線1を引き出し、冷却する。冷却工程では、めっき鋼線の周方向において、冷却速度のばらつきをできるだけ抑制し、かつ、めっき鋼線を十分に低い温度まで冷却することが好ましい。冷却速度のばらつきをできるだけ抑制し、かつ、めっき鋼線を十分に低い温度まで冷却するための好ましい条件はたとえば、次のとおりである。
冷却装置に備えられる冷却ノズルの個数N(個):複数
めっき鋼線に掛かる張力TN(N):めっき鋼線の引張強度TS(MPa)×めっき鋼線の断面積S(mm2)の20~50%
次の式(1)で定義されるFn:4.00以上
Fn=TN/(TS×PS)×100 (1)
ここで、式(1)のTNはめっき浴から引き上げ時にめっき鋼線に掛かる張力(N)であり、TSはめっき鋼線の引張強度(MPa)であり、PSは冷却時のめっき鋼線の引上速度(m/min)である。
冷却停止温度T(℃):200℃以下
めっき鋼線の表面温度が350~200℃である場合における平均冷却速度:12℃/s以上
図5は、図4に示す冷却装置50の模式図である。冷却装置50は、複数の冷却ノズル51を備える。冷却装置50が複数の冷却ノズル51を備えれば、めっき鋼線を十分に低い温度まで冷却することができる。そのため、冷却停止後において、鋼線からの復熱による温度上昇が小さくなる。そのため、復熱によるめっき硬さの変化が抑制される。冷却装置50が複数の冷却ノズル51を備える場合さらに、めっき鋼線の周方向において、表面の冷却速度のばらつきを十分に抑制することができる。その結果、めっき鋼線の周方向の硬さばらつきが十分に抑制される。つまり、硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下となる。
冷却工程では、めっき鋼線に掛かる張力TN(N)をめっき鋼線の引張強度TS(MPa)×めっき鋼線の断面積S(mm2)の20~50%とする。ここで、めっき鋼線に掛かる張力とは、めっき鋼線1が冷却装置50を通過するときにめっき鋼線1に掛かる張力のことである。図5を参照して、通常、めっき鋼線1の通過するライン(パスライン)が冷却装置50の中央を通過することを前提に、冷却装置50は設置される。図5を参照して、めっき鋼線1は冷却装置50の中央付近を通過している。そのため、めっき鋼線1とパスラインとは、ほぼ一致する。そのため、各冷却ノズル51とめっき鋼線1との距離にばらつきが生じにくい。この場合、各冷却ノズル51から噴出された冷却媒体52とめっき鋼線1とが接触する量のばらつきを十分に抑制することができる。そのため、めっき鋼線の周方向の冷却速度のばらつきを十分に抑制することができる。そのため、めっき鋼線の周方向の硬さばらつきを十分に抑制することができる。
冷却工程ではさらに、次の式(1)で定義されるFnが4.00以上となるようにする。
Fn=TN/(TS×PS)×100 (1)
ここで、式(1)のTNはめっき浴から引き上げ時にめっき鋼線に掛かる張力(N)であり、TSはめっき鋼線の引張強度(MPa)であり、PSは冷却時のめっき鋼線の引上速度(m/min)である。
冷却工程では、溶融亜鉛合金めっき浴21からめっき鋼線1を引き出した後、めっき鋼線の表面温度が200℃以下になるまで冷却を実施する。つまり、冷却工程において、冷却停止温度Tは200℃以下である。ここで、冷却停止温度Tとは、冷却装置50の出側のめっき鋼線の表面の温度である。冷却停止温度Tが200℃以下であれば、めっき鋼線の温度が十分に低くなる。そのため、冷却停止後において、鋼線からめっき層への復熱が十分に抑制される、そのため、復熱によるめっき層の硬さの変化が十分に抑制される。その結果、めっき鋼線の周方向の硬さばらつきが十分に抑制される。つまり、硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下となる。したがって、冷却停止温度Tは200℃以下である。
冷却工程では、めっき鋼線の表面温度が350~200℃である場合における平均冷却速度を12℃/s以上に制御する。350~200℃は、亜鉛合金めっきの凝固完了近傍から、亜鉛合金めっきの変態が完了し、めっき組織の変化が小さくなる温度域である。亜鉛合金めっきが凝固し、冷却が進行すれば、めっき層のミクロ組織が決定する。そのため、めっき鋼線の表面温度が350℃~200℃である場合における平均冷却速度が12℃/s以上であれば、めっき鋼線の周方向の硬さばらつきを十分に抑制することができる。つまり、硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下となる。したがって、めっき鋼線の表面温度が350℃~200℃である場合における平均冷却速度は12℃/s以上である。
試験番号1~34のめっき鋼線に対して、ビッカース硬さの算術平均値及び標準偏差を求めた。さらに、試験番号1~34のめっき鋼線に対して、加工性評価試験及び耐食性評価試験を実施した。
各試験番号のめっき鋼線のビッカース硬さの算術平均値、及び、ビッカース硬さの標準偏差は、次の方法で測定した。ビッカース硬さの測定は、硬さ測定領域A1~A4を1箇所ずつ含む合計4箇所の硬さ測定領域において実施した。硬さ測定領域A1~A4で、JIS Z 2244(2009)に準拠したビッカース硬さ試験を実施した。試験力は0.1N(10gf)とした。
各試験番号のめっき鋼線を、芯材に5周巻き付け、めっき表面の割れの有無を調べた。めっき鋼線の線径は2.0mmであり、芯材の直径はめっき鋼線の線径の3倍とした。加工性評価試験の結果を表2の「加工性評価」欄に示す。めっき表面に割れが目視で確認されなかった場合、めっき層の割れの発生を十分に抑制できたと判断し、「〇」とした。めっき表面に割れが目視で確認された場合、めっき層の割れの発生を十分に抑制できなかったと判断し、「×」とした。
各試験番号のめっき鋼線の耐食性評価試験は、次の方法で実施した。各試験番号のめっき鋼線に、JIS H 8052(1999)に準拠した中性塩水噴霧サイクル試験を実施した。中性塩水噴霧サイクル試験は、JASO M609で規定された条件で実施した。JASO M609で規定された条件は、具体的には、次のとおりである。
(1)塩水噴霧工程:35±1℃、5%NaCl水溶液、2時間
(2)乾燥工程:60±1℃、20~30%RH、4時間
(3)湿潤工程:50±1℃、95%RH以上、2時間
(4)(1)~(3)を30回繰り返す。
表2に試験結果を示す。表2を参照して、試験番号1~23は、めっき層の化学組成が適切であり、製造工程も適切であった。そのため、硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの算術平均値は100~150HVであり、硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下であった。その結果、加工時のめっき層の割れの発生を十分に抑制することができた。
2 溶融亜鉛合金めっき処理に供する鋼線
3 パスライン
10 めっき層
11 合金層
20 溶融亜鉛合金めっきの浴槽
21 溶融亜鉛合金めっき浴
30 シンカーロール
40 断気筒
50 冷却装置
51 冷却ノズル
52 冷却媒体
60 引き上げロール
100 鋼線
Claims (2)
- めっき鋼線であって、
鋼線と、
前記鋼線の表面上に形成されているめっき層とを備え、
前記めっき層は、
質量%で、
Al:0.5~15.0%、及び、
Mg:0.3~5.0%、を含有し、
残部がZn及び不純物からなり、
前記めっき鋼線の軸方向に垂直な断面において、
前記めっき層の厚さ中央位置であって、周方向に90度ずつずれた4箇所の硬さ測定領域A1~A4でのビッカース硬さの算術平均値は100~150HVであり、
前記硬さ測定領域A1~A4での前記ビッカース硬さの標準偏差が20.0HV以下である、
めっき鋼線。 - 請求項1に記載のめっき鋼線であってさらに、
前記めっき層は、
前記Znの一部に代えて、質量%で、
Pb:0.50%以下、
Bi:0.50%以下、
Sr:0.50%以下、
V:0.50%以下、
Cr:0.50%以下、
Mn:0.50%以下、
Sn:0.50%以下、
Si:0.50%以下、
Ti:0.50%以下、
Be:0.50%以下、
Na:0.50%以下、
K:0.50%以下、
Ca:0.50%以下、
Cu:0.50%以下、
La:0.50%以下、
Ce:0.50%以下、
Hf:0.50%以下、
Mo:0.50%以下、
W:0.50%以下、
Nb:0.50%以下、
Ta:0.50%以下、及び、
Fe:2.00%以下、
からなる群から選択される1種以上を含有する、
めっき鋼線。
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Citations (5)
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